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塩ビ管(塩ビパイプ)種類・特徴・用途・規格まとめ

2024-09-18

更新

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

今回は塩ビ管の種類や特徴、用途などについて解説します。

塩ビ管とは、主に配管で使われている部材です。塩ビ管は、水道や下水道管などで流体を流すだけでなく、ケーブルを通す保護管としても採用されることがあります。塩ビ管は鉄製の管に比べて施工性・軽量性・経済性などに優れているのが特徴です。

塩ビ管に使われている素材のポリ塩化ビニルは、塩化ビニル(クロロエチレン)を重合させたプラスチックです。ポリ塩化ビニルは熱可塑性樹脂の一種で、五大汎用樹脂とも呼ばれています。

塩ビ管(塩ビパイプ)とは

塩ビ管とは、ポリ塩化ビニルでできた配管素材のことです。塩ビ管の正式名称は「硬質ポリ塩化ビニル管」で、通称「ポリ塩化ビニル・塩化ビニル樹脂」とも呼ばれています。

塩ビ管は鉄製の管よりも流体の流れる抵抗が少なく、腐食にも強い特徴があります。軽量性にも優れており、取り扱いやすいのもポイントです。

塩ビ管の素材であるポリ塩化ビニル(PVC)は合成樹脂(プラスチック)です。ポリ塩化ビニルは加工性に優れ、軟質から硬質まで幅広い成型品を製造できます。また、耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・電気絶縁性・耐候性・難燃性・経済性など、多くの メリットがあります。

一方で、耐熱性・耐衝撃性が低い点はデメリットです。

参考:塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)とは?特徴・長所と短所・用途・加工方法

塩ビ管(塩ビパイプ)の種類と色、用途

塩ビ管は大きく分けてVP管とVU管があります。VP管は厚肉、VU管は薄肉の特徴があり、用途に合わせて使い分けられています。また、VP管には耐火性・耐衝撃性・耐熱性をそれぞれ向上した種類もラインナップしています。ここでは、各種類の特徴について解説します。

塩ビ管の色が違う理由

塩ビ管は種類ごとに色が異なります。

一般的に、VU管とVP管はグレー、耐火VP管は緑色、HI管・HIVP管は黒色または濃紺色、HT管・HTVP管は赤茶色で分けられています。

VU管(グレー)

引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とは

VU管は、VP管と比べて薄肉で、主に無圧管路に使用する塩ビ管です。低層住宅の排水系統や、埋設では自然流下用途(下水用・土木用・排水用)に採用されています。

VU管は薄肉管なので、VP管と比べて重量が軽いメリットがありますが、圧力には弱く、中~高圧管路用には使用できません。

VP管(グレー)

引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とは

VP管は、一般的に圧力用の上農水道埋設用・建築給水用に採用されています。そのほかにも集合住宅の排水・通気配管や浅埋設・深埋設の用途でも採用されます。

VP管はVU管に比べて厚肉でたわみにくい特徴があります。また、内面が滑らかで摩擦抵抗が小さいことから、粘性の高い液体などが付着しにくく、排水効率に優れています。

しかし、直射日光により、塩ビ管の表面温度が上昇すると、塩ビ管の裏側との温度差により反りが発生するので注意が必要です。

耐火VP管(緑色)

引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とは

耐火VP管は、火災時の延焼を防止する塩ビ管です。主に集合住宅や店舗等の建物内の雑排水・汚水・雨水排水などの排水設備用として使われています。

耐火VP管は、内層・中間層・外層の3層で構成されており、内層と外層は従来の硬質ポリ塩化ビニル樹脂を、中間層には耐火性硬質ポリ塩化ビニル樹脂を採用しています。また、VP管と寸法や性能が同等で、軽量性にも優れており施工が簡単に行えます。

HI管・HIVP管(黒色)

引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とは

HI管(HIVP管)は、耐衝撃性能を向上させた塩ビ管です。主に寒冷地での使用や、施工時における、外部衝撃による破損を防止する場面に採用されています。

従来の塩ビ管は、低温環境だと耐衝撃性が低下する傾向にありましたが、HI管は粘り強さがあることで、衝撃を吸収します。また、優れた可とう性を有しているほか、管軸・管側方向の荷重に対する接合部の信頼性も高く、地震に強い管路を構築できます。一方で高性能であることから、配管コストがかかる点はデメリットです。

HT管・HTVP管(赤茶色)

引用元:ダンドリープロ 塩ビパイプ(VPパイプ・VPパイプ)とは

HT管(HTVP管)は、耐熱性を向上させた塩ビ管で、給湯配管、冷・暖房管、温泉配管などの用途に採用されています。

HT管は熱伝導率が非常に小さい特徴があり、配管内部の流体の保温性に優れています。また、金属管とは異なり、錆びや腐食による水質悪化や電食、漏電事故などの心配もありません。しかし、高性能な塩ビ管のため、配管コストが増加します。

塩ビ管の規格(サイズと太さ)

塩ビ管のサイズ選びで見ておくべきポイントとして「呼び径」があります。

呼び径は管の太さを表す呼称ですが、管の呼び径=管の外径というわけではありません。また、VP管に関しては呼び径と概略内径が近い値を示していますが、実際のところ呼び径は内径とも異なります。JIS規格では、塩ビ管は外径を基準寸法としており、外径から厚さを差し引いた分が内径になるので、内径の値は参考値となります。

以下に、JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管の規格に記載されている、一部の呼び径を抜粋したものを参考として記載します。

<VP・HIVP管の外径・厚さ・概略内径>

呼び径 外径 厚さ 参考
基準寸法 最小 許容差 概略内径
13 18.0 2.2 +0.6 13
16 22.0 2.7 16
20 26.0 20
25 32.0 3.1 +0.8 25
30 38.0 31
40 48.0 3.6 40
50 60.0 4.1 51
65 76.0 67
75 89.0 5.5 77

引用元:JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管

<VU管の外径・厚さ・概略内径>

呼び径 外径 厚さ 参考
基準寸法 最小 許容差 概略内径
40 48.0 1.8 +0.4 44
50 60.0 56
65 76.0 2.2 +0.6 71
75 89.0 2.7 83
100 114.0 3.1 +0.8 107
125 140.0 4.1 131
150 165.0 5.1 154
200 216.0 6.5 +1.0 202
250 267.0 7.8 +1.2 250

引用元:JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管

JIS K 6741:2016 硬質ポリ塩化ビニル管では、VP管(HIVP管)の呼び径は13~300まであります。一方でVU管は呼び径40~600まであります。

上の2つの表を見比べると、VP管とVU管で同じ呼び径のものは、同じ外径の寸法を示していることが分かります。ただし、厚みの寸法はそれぞれで違うので、内径の寸法はVP管とVU管で異なります。

 

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