カテゴリ

Mitsuriでの受発注の最新の傾向や統計、サービス最新情報を毎月メールにてお届けします。
WEB上での新規取引のコツや活用方法など役に立つ情報も配信しています!

 

5軸加工機についてご紹介!3軸加工機との違いについても解説

2024-09-18

更新

この記事を監修した人

志民 直人

技術営業、カスタマーサクセス

切削加工歴29年の1級機械加工技能士(精密器具製作/フライス盤/数値制御フライス盤)。金型・部品加工経験を持ち、CAD・CAMや各種工作機械に精通。設計からカスタマーサービスまで幅広く対応。製造現場改善や治具設計も得意。趣味は日曜大工、ゲーム。

部品加工や金型加工における形状の複雑化が進展し、多品種少量生産が求められている現在、多様かつ複雑な形状を高精度に加工できる5軸加工機のニーズが高まっています。

その一方で、それほど複雑な製品を製造するわけではないから、3軸制御のマシニングセンタで十分と考えている方もいるかも知れません。

そこで、今回の記事では、5軸加工機の詳細や種類、3軸加工機との違いについて解説します。5軸加工機特有の加工方法や導入することのメリット、5軸加工機を使用する際の問題点や注意点についても説明していきますので、ぜひ参考にしてください。

5軸加工機とは

引用元:モノマド

5軸加工機とは、3次元空間中で工具の位置決めをするX軸・Y軸・Z軸に加え、工具や加工物のXY面内での向きやZ軸方向に対する傾斜を変えることができる回転軸(C軸)と傾斜軸(B軸)を備えた切削加工機のことです(上図参照)。

そのほとんどは、フライス盤やボール盤、中ぐり盤などを兼ねた3軸制御マシニングセンタをベースに5軸としたもので、高速回転させた工具を加工物に当てることで加工します。マシニングセンタとは、工具を自動的に取り替え、多種類の加工を連続的に実行できる工作機械です。

旋削機能を付加した5軸加工機もあります。通常の5軸加工機におけるC軸は、加工物を緩やかに回転させたり、工具の向きをXY面内で変えたりすることで、加工面の変更や5軸の同時制御による複雑な形状加工を可能としています。これに加え、旋削機能付きの5軸加工機では、加工物の高速回転を可能とすることで、旋盤のように回転対称の形状加工も高速に行うことができます。

3軸加工機との違い

3軸加工機との違いは、回転軸と傾斜軸を備えていることです。

3軸加工機は、工具の位置を自由に決定可能ですが、工具の向きが一定であるため、加工面を変更することはできません。そのため、複数の面を加工する場合には、加工面を変更するために加工物を取り外し、固定し直す必要があります。このような作業は、時間がかかる上、固定位置に誤差を生じさせ、精度や形状に不均一性を発生させる原因となります。

一方、5軸加工機では、工具の向きを自由に変えたり、加工物を横に傾けて回転させたりすることが可能です。そのため、加工物を固定している面を除いた全ての面を連続的に加工することができます。

参考記事

切削加工全般に関しては、以下の記事に詳細がありますので、気になった方はぜひご覧ください。

【切削加工とは?】特徴・種類・注意点を動画と一緒にご紹介します!

5軸加工機の種類

5軸加工機は、回転軸と傾斜軸を、工具を固定するヘッドと加工物を固定するテーブルのどちらに追加するかによって3つの型に分類されます。

1.回転傾斜テーブル型

回転傾斜テーブル型は、テーブルに回転軸と傾斜軸を追加した5軸加工機です。テーブルを傾斜回転させることで、一定方向を向いた工具に固定面以外の全ての面を向けることができます。

これは、テーブルの制御とヘッドの制御を独立して実行できることを意味します。そのため、3軸制御マシニングセンタの使用経験しかなくても、加工面変更の手間を不要とした上で、3軸制御のものと同様な形で複数面を加工することができます。

このように、回転傾斜テーブル型は、3軸加工機の制御技術をそのまま活かすことができるので、初めて5軸加工機を導入する場合に最適です。

しかし、加工物を設置するテーブルを傾斜させるため、大物の加工には向いていません。加工機のサイズバリエーションも小~中型の部品加工に適したものが豊富です。

2.傾斜ヘッド回転テーブル型

傾斜ヘッド回転テーブル型は、テーブルに回転軸、ヘッドに傾斜軸を追加した5軸加工機です。ヘッドを傾斜させることで、斜め穴や横穴などの加工も可能です。さらに、テーブルを回転させれば、加工物の全側面を連続的に加工できます。

テーブルの回転中心を基準にすれば、直感的に理解しやすい制御プログラムを組むことが可能です。そのため、円筒をベースとした形状の加工に向いています。旋削機能が付いているのもこのタイプの5軸加工機が多くなっています。

また、テーブルが傾斜しないため、大物を安定して加工することができます。加工機のサイズとしては、中~大型のものが大部分です。加工機の多くが、高い剛性が必要な難削材や重切削にも対応しています。

3.回転傾斜ヘッド型

回転傾斜ヘッド型は、ヘッドに回転軸と傾斜軸を追加した5軸加工機です。加工物は完全に固定しますが、ヘッドは水平面内の360度全ての方向に向けることが可能で、垂直方向から90度程度まで傾けることができます。

加工物を動かすことがないため、大物や重量物の加工物に適しています。加工機のサイズも大型のものが多数を占めています。

5軸加工方法の種類

5軸加工機は、追加した2軸の使い方により、割り出し5軸加工と同時5軸加工に分けることができます。

割り出し5軸加工

割り出し5軸加工は、加工面の決定と変更に回転軸と傾斜軸を使用する方法です。加工の際には、残りの直交3軸のみを制御して切削します。

加工物を着脱する段取り換えが不要となるので、取付治具の削減や工数削減につながります。また、取り付け誤差の要因が低減するため、寸法精度の向上が見込めます。

3軸制御マシニングセンタで加工していた製品を短時間・高精度で加工することができるでしょう。特に、エンジン部材などの加工面が多い場合の加工に効果的です。

同時5軸加工

同時5軸加工は、全5軸を同時に動かして切削する加工法です。

複数面にまたがる曲面やアンダーカット(正面からは見えない陰となる部分)などの難加工形状の加工が可能となります。また、複数面を連続的に加工することで、継ぎ目の少ない仕上げ面を実現することが可能です。

インペラー(羽根車)やブレードなどの航空機部品、曲面を有した精密金型や人工関節などの加工に適しています。なお、下の写真は、同時5軸加工によって製造したインペラーです。

引用元:技研精機株式会社

Mitsuriでしたら、5軸加工機を保有する、同時5軸加工の高度な技術を有したメーカーをご紹介できます。難加工形状の切削加工を依頼したい場合は、ぜひMitsuriにご相談ください。

5軸加工のメリット

5軸加工のメリットとしては、以下が挙げられます。

1.品質が安定する

上述したように、5軸加工機では、加工物を脱着することなく複数の加工面を加工できます。そのため、同一製品を生産する場合には、取り付け誤差から生じる不均一性を低減でき、安定した品質が見込めます。

2.加工時間が短縮できる

5軸加工機では、複数面を自動的かつ連続的に加工することが可能です。加工物の脱着は、通常人手を必要とするため、時間がかかります。従って、5軸加工機を用いることで、加工時間の短縮に繋げることができます。

3.難加工形状の加工が可能

5軸加工機を使用すれば、複数面にまたがった曲面なども加工可能です。また、工具や加工物を傾ければ、3軸加工機では届かないアンダーカットなどの加工も可能となります。

4.加工精度が向上する

工具を回転させる転削加工では、回転中心である工具先端が回転していない(周速ゼロ点となる)ため、先端を当てている部分が押し切られてむしれが発生します。しかし、5軸加工機では、工具や加工物を傾ければ、下図のように工具先端を当てることなく加工可能ですので、周速ゼロ点によるむしれを回避することができます。

引用元:町工場で働く薬剤師ブログ

また、5軸加工機では、工具を傾けたり加工物を回転させたりすることで、奥まった部位にも工具を差し込むことができます。そのため、下図のように、工具の突き出し量を短くすることが可能となります。それにより、工具のたわみやビビリを防止し、加工誤差を低減することができます。

引用元:DMG森精機株式会社

5.工具寿命が向上する

5軸加工では、工具を傾けて加工することができるため、工具の切削点を変化させながら加工することが可能です。それにより、工具の摩耗を抑制して、工具寿命を向上させることができます。

5軸加工機の注意点・問題点

5軸加工には、以下のような注意点や問題点があります。

1.加工機の型によっては重量物の加工に向かない

5軸加工機の中でも、回転傾斜テーブル型は、重量物の加工に向いていません。テーブルが傾斜するタイプの5軸加工機は、重量物を乗せると傾斜軸回りに大きなトルクがかかり、傾斜角を維持できなくなることがあります。そのため、回転傾斜テーブル型の5軸加工機は、加工物の重量に注意が必要です。

2.機械の制御が難しい

多軸加工機は、一般的に軸が増えるほど制御が難しくなり、制御するためのプログラムも複雑になります。

機械や工具、加工物などの間の干渉に注意しなくてはならず、機械の可動範囲を超えてしまうオーバートラベルなどにも気をつける必要があります。

これらを事前に確認するには、CAM等のソフトウェアを活用してシミュレーションなどを行う必要があります。

3.機械剛性が低い傾向がある

工作機械で加工を行う際には、工具や機械に反作用が働きます。また、重量物を乗せれば、機械に負荷がかかります。これらに対抗する性質が剛性であり、剛性が低い工作機械では、機械が劣化したり歪んだりしてしまいます。

機械剛性は、機械が大きく重いほど高くなりますが、同時に機械の複雑性が増すほど低くなる傾向があります。そのため、5軸加工機は、より単純な工作機械に比べて剛性が低いことがあります。

まとめ

5軸加工機には、いくつかの注意点や問題点もありますが、操作性や性能は日々向上しており、今やたくさんのメーカーが5軸加工機を導入しています。

また、切削加工をご依頼する予定の方には、高精度・高品質・短納期が期待できるので、ぜひ一度、5軸加工に対応しているメーカーへご相談してみていはいかがでしょうか。

 

「5軸加工機を使用した金属部品の調達に困っている」

「どの加工で依頼したらいいのかわからなくて困っている」

そのような方に向けてMitsuriでは、見積から発注までWEB上で行えるサービスを提供しております。お手持ちの図面を登録すると、加工可能な工場から見積が届きます。
切削部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。

金属加工のマッチングならMitsuri!

法人・個人問わずご利用できます。

Mitsuriでどんな取引が行われている?
新しい機能を使ってどう新規取引につなげる
‍そんな疑問に毎月メールでお届けします

 
新着記事