2024-09-17
更新
染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
適切な受注管理は、ビジネスの入口であると同時に、事業拡大の屋台骨になる重要な業務の一つだと言えます。これまでは、Excelなどの受発注システムで管理できていても、加速度的に発達する流通網や多様な支払いシステムに対応していくのは難しく、管理・運用も複雑で属人化してしまう傾向にありました。
政府は、電子受発注システムの導入を2023年までに、約5割にすることを発表しています。これは、高齢化に伴う労働力不足や新型コロナウイルスの感染拡大による非接触・非対面が求められる社会環境に伴いデジタル化の必要性が高まっているためです。
すでに、2022年1月より「電子帳簿保存法」の改定で電子取引をした請求書の紙保存を禁止するなどビジネスのデジタル化が急速に進んでいます。以上のことからも、正確かつ効率的な受注管理システムの導入は急務だと言えるでしょう。
今回は、前半部で受注管理の概要や導入のメリットなどの基礎情報を丁寧に解説します。また、後半部では実際に受注管理システムを導入する際の流れや、気を付けるべきポイントについても分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。参考:取引適正化に向けた5つの取組について | 中小企業庁
受注管理とはどのようなことを意味するのでしょうか。近年は単に受注だけではなく出荷までを一元管理するようになりました。ここでは、以下の4つの点から受注管理の基礎知識を解説していきます。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
受注管理の基礎知識の1つ目は、受注管理が重要な理由についてです。
受注管理が重要な理由は、顧客に商品を届けるための正確な受注処理や希望の商品の在庫管理・出荷管理を担っているためです。たとえば、注文を受けたものの、実際には商品在庫が無かったり、生産が追いつかなかったりすれば大きなトラブルに発展しかねません。一方、受注管理が適切であれば、顧客のストレスを軽減でき顧客満足度向上にも繋がります。また、確度の高い生産計画の構築も実現できるでしょう。
受注管理の基礎知識の2つ目は、受注処理についてです。
顧客から商品の注文を受けたら注文内容を丁寧に確認します。特にBtoBのビジネスモデルの場合、受注方法はメールやFAXなどのときもあれば、電話や営業担当を介しての口頭ベースだったりと様々です。誤りなく注文を受けることは、基本でありながら最重要業務だと言えます。注文内容を確認できたら、担当営業などと密に連携しながら見積書や契約書の作成を行います。
受注管理の基礎知識の3つ目は、在庫管理についてです。
注文を受けた商品の在庫が十分な量があるか確認します。企業によっては、複数の倉庫を持っており、顧客によって利用できる倉庫が限定されている場合もあります。単に在庫の総数が足りているだけでなく、顧客との取り決めごとに細かく在庫を管理する必要があります。
また、不足があれば生産部門や仕入先に発注しなければなりません。受注生産であった場合は原料や部品がスムーズに手配できるかなども確認したうえでお客様に納品する納期を確定します。
受注管理の基礎知識の4つ目は、出荷管理についてです。
注文を受けた商品は、作成した受注伝票に基づき、指定された数を、指定された場所に、指定された期日で納品する必要があります。必要な数量の在庫を確保できたら、商品を確実にお届けするための出荷指示をします。納品先が遠方であれば、台風や地震などの自然災害を始め、交通事故などの不測の事態にも対応しなければなりません。
受注管理は会社の内外に大きな影響を与える重要なセクションです。ここでは、以下の5つの点から適切な受注管理を行うメリットを解説します。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
適切な受注管理を行うメリットの1つ目は、顧客満足度を上げることができるということです。
顧客にとって「発注」は手間をかけたくない作業の一つです。特にECサイトなどを利用する一般消費者にとっては、単なる買い物にすぎません。したがって、できるだけストレスなく、指示した場所に、指示した数量を送り届けてほしいという思いがあります。しかし、それらをスムーズに行える企業は意外なほど多くありません。適切な受注管理に基づきトラブルを未然に防ぎスムーズに取引を進められれば、それだけで大きなアドバンテージになり、顧客満足度の向上に繋がるでしょう。
適切な受注管理を行うメリットの2つ目は、業務効率を上げコストを削減できるということです。
受注情報は関係部署に広く共有する必要があるため、FAXや電話、メールで受けた注文を印刷したり、書き写したりしているシーンは多く見られます。これらの情報をデータ化できれば紙の使用量の大幅な削減に繋がり、ミスも減少するでしょう。
誤った受注管理は不適切在庫や不良品の発生などに繋がります。万が一、商品回収や失注となれば、リカバリーにかかる人的・経済的コストは膨大なものになります。適切な受注管理は業務のスリム化とコスト削減に繋がるのです。
適切な受注管理を行うメリットの3つ目は、属人化を防止し人的リソースを適切に配分できるということです。
取引先ごとのルールを踏まえ、複雑な生産工程・流通網の取りまとめを行う受注管理業務は煩雑になりやすく、一定の人員を割かなければなりません。しかし、システム化や生産部門とのデータ連携などの効率化を実現できれば、マンパワーの偏りを適性化できます。余裕ができた人的リソースはマーケティングや商品開発などに充てることも可能になるでしょう。
適切な受注管理を行うメリットの4つ目は、効率的にデータを集めることができるということです。
受注管理で取り扱われる情報は、膨大です。場当たり的に受注管理をしていては、それらの情報を蓄積することは叶いません。しかし、適切なシステムを構築し、効率的に受注管理を行っていれば、手間をかけることなく体系的にデータ収集ができるでしょう。万が一、取引先からのクレームの問い合わせやトラブルがあった場合も、対応履歴などをしっかりと記録していればトラブルの拡大を防ぐことにも繋がります。
適切な受注管理を行うメリットの5つ目は、販路拡大に柔軟に対応できるということです。
受注管理のなかで体系的に蓄積された顧客の購買行動などを分析できれば、販路拡大に繋げることができます。各商品がどのような属性から支持されているのかが明確になれば、営業活動のターゲティングができます。外敵情報を加えれば、自社の強みを活かしつつトレンドを抑えた商品開発もできるでしょう。受注管理で収集した情報は、販路拡大にも活用することが可能なのです。
実際に受注管理システムを導入する際にはどのような流れで進めていくことになるでしょうか。ここでは、以下の3つの点から解説します。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
受注管理システムを導入する際の流れの1つ目は、要件定義です。
取り扱う商品や生産工程によって適性と思われる受注管理のスタイルは様々です。既に、ビジネスが拡大していて既存の受注管理システムが追いついていないため新システムを導入したいという場合も考えられます。また、ビジネスは、小規模ですが、人手が足りないため受注管理システムを自動化したいと考えていることもあるでしょう。
上記のように、いま自分たちが抱えている課題が何かをよく見極め、優先して取り入れる機能の絞り込みを行っていくことが重要です。
受注管理システムを導入する際の流れ2つ目は、サービスのリストアップです。
ひとくちに受注管理システムといってもその機能は、多岐にわたります。受注管理システムごとに提供されているサービスをリストアップすれば、それぞれのシステムの得手不得手が見えてきます。
リストアップする中で、当初思いついていなかった機能が実装できることを知ったり、費用の相場観なども身につけることができるでしょう。
受注管理システムを導入する際の流れ3つ目は、自社とのマッチ率の精査です。
提供されるサービスを知れば知るほど、どれを選ぶべきか悩んでしまう場合もあるはずです。そのような時は要件定義に立ち返り、解決したい課題を再認識することが重要です。そして、リストアップした各サービスの特性と自社の課題を照らし合わせどのサービスがよりマッチするのか定量的に精査しましょう。
中長期にわたって自社の基幹システムになる受注管理システムは、できるだけトラブルを回避して導入を進める必要があります。ここでは、以下の5つの点から受注管理システムを導入する際に注意すべきポイントを解説します。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
注意すべきポイントの1つ目は、システム導入担当チームが適切に構成されているかという点です。
受注管理システムは性質上、その業務を行うにあたって部門を横断して情報を統合する必要があります。したがって、システム導入の際には関係する部門・部署から幅広くメンバーを招集し、システム導入の担当チームを立ち上げる必要があります。また、チームメンバーは各業務の実務経験があり、システム導入の際に障害になるポイントなどを整理できる能力がなければなりません。
注意すべきポイントの2つ目は、自社の発注フローは明確になっているかという点です。
受注における一連の流れが規則的にまとまっておらず、担当者や状況によってスタイルを変えていてはシステム化は叶いません。また、各部門が担当範囲のみの処理業務だけを把握しており、実際にどのような受注フローを取っているか不明だという企業も多いことでしょう。自社の受注フローを明確にしておくことで、システム構築における余分な労力とコストを抑えることができます。
注意すべきポイントの3つ目は、操作しやすいかという点です。
受注管理システムにはある程度パッケージ化され、誰でも感覚的に操作できるものがあります。また、カスタマイズ性に富み、高度な処理が行える代わりに専門的な操作が必要な場合もあるでしょう。企業や担当者によって、ITスキルにはグラデーションがあって当然です。導入したシステムを適切に活用するためにも、自社のレベルをよく把握したうえで操作しやすいサービスを導入するためにも、無料サービス期間などがあれば活用することをおすすめします。
注意すべきポイントの4つ目は、料金は自社にとって適切かという点です。
受注管理システムとは中長期にわたって付き合っていくことになります。システムの利用料金には従量課金型のものと月額定額型の2種類があります。どんなものに追加料金がかかるかなど、しっかりと確認し無理のなく支払える料金のサービスを選びましょう。
注意すべきポイントの5つ目は、サポート体制が充実しているかという点です。
受注管理システムを長期間停止するわけにはいきませんが、新しいシステムを導入した際にトラブルはつきものです。したがって、トラブル発生時に迅速かつ手厚くサポートを受けられるかは、システム選定時の重要なポイントです。以下のような点をおさえておくとよいでしょう。
今回は、受注管理の基礎的な知識から受注管理システムを導入する際の流れや注意すべきポイントを解説しました。適切な受注管理システムの運用はビジネスを行っていく上で避けては通れない重要な業務です。法令の整備やインフラ・人的資源の動向をふまえれば受注管理システムの刷新は急務だと言えます。
受注管理システムが効率化され適切な運用体制になれば、コストの削減・人的リソースの適切な配分・顧客満足度の向上など様々な恩恵を受けられるでしょう。システム導入の方法に戸惑っている担当者の方は是非この記事を参考にしてみてください。
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