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製造原価とは?求め方・計算式を解説!売上原価との違い

2024-09-18

更新

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

製造業では材料や原料を仕入れ、工場で生産し、製品を売ることで利益を得ています。生産するのにかかった費用の合計である「製造原価」は、製造業を運営していくにあたり、利益に大きく関わります。

企業がより利益を上げるためには、売上の向上、もしくは製品の原価を抑えなければなりません。原価を抑える方法で利益を上げるのであれば、製造原価を計算・分析しておくのは重要なポイントです。また、製造原価をしっかりと把握しておくことは、製品の価格設定や予算管理などにも役立ちます。

製造原価とは?

製造原価とは、製品を作るうえで発生したすべての費用のことで、主に製造業で使われる言葉です。

製品を作るには、原料や材料を仕入れて、設備の運転や外注を利用するなど、さまざまな工程を必要とします。費用は、原料などを仕入れる以外にも、設備の燃料費・水道光熱費・人件費などにもコストは発生しているものです。製造原価は、そのようなものも含めてすべて合算します。

なお、企業で発生する原価には、仕入れから生産までにかかる費用である「製造原価」のほかに、製品を販売するのにかかる費用である「販売費及び一般管理費」もあります。ここでは、製造原価に焦点をあてて解説していきます。

製造原価と売上原価の違い

売上原価とは、売れた商品に対する仕入れや製造にかかった原価のことで、主に小売業で使われる言葉です。一方で製造原価は、製品を製造するのにかかった費用の合算であるため、計算する対象が異なります。

製造原価の分類方法

製造原価は、基本的に費用の発生形態による分類である「材料費・労務費・経費」の3つに種類分けされます。各費用の詳細は下表の通りです。

<費用の発生形態による分類>

分類 内容 代表例
材料費 物品の消費で発生する原価 原料費・消耗品費・燃料費・備品費など
労務費 人件費などの労働力を使うことで発生する原価 給料・賞与・手当・福利厚生費など
経費 材料費と労務費以外で発生する原価 減価償却費・水道光熱費・賃貸料など

製造原価を計算する際は、以上の3つを用います。

また、製造原価は、製品との関連による分類である「製造直接費・製造間接費」の2種類による分け方もあります。さらに製造直接費には「直接材料費・直接労務費・直接経費」の3種類、製造間接費には「間接材料費・間接労務費・間接経費」の3種類で、合計6種類の分類がされています。製品との関連による分類の詳細は下表の通りです。

<製品との関連による分類>

分類1 分類2 内容 代表例
製造直接費 直接材料費 特定の製品のために使った費用 特定の製品を作るうえで必要な金属や部品などの材料費
直接労務費 製品の製造に関わった従業員の賃金 現場作業員の賃金
直接経費 製造にかけた材料費・労務費以外の費用や外注費用 外注加工費
製造間接費 間接材料費 製品にどれだけの材料費をかけたのか不明確なもの 潤滑油・塗料・工具といった消耗品・補助材料費など
間接労務費 直接製造に関わらない人への労務費 生産管理者の給料・賞与・福利厚生費など
間接経費 特定の製品との関わりが不明な経費 減価償却費・水道光熱費・賃貸料など

製造間接費は製造直接費と違い、明確にかかった費用が把握しにくいため、製品の生産量や設備の稼働時間などから配賦(はいふ)計算を行います。

配賦とは、費用を配分処理することで、企業ごとに配賦基準を定めて製造間接費を計算します。

製造原価の求め方・計算式

製造業での決算書には、当期に販売した製品の製造原価を明らかにするための「製造原価報告書」があります。ここでは、「材料費・労務費・経費」の分類を用いた方法で、製造原価報告書に記載が必要な、「当期製品製造原価」の計算式を以下に紹介します。

当期製品製造原価=当期総製造費用+期首仕掛品棚卸高-期末仕掛品棚卸高

当期製品製造原価とは、当期に完成した製品の製造原価を指します。これは、前期に未完成だったものが当期に完成したものも含みます。一方、当期中に完成しなかった製品については含みません。

当期総製造費用は、当期にかかった、費用の発生形態による分類の「材料費・労務費・経費」の合計額です。当期材料費は「期首材料棚卸高+当期材料仕入れ高-期末材料棚卸高」の数式から算出します。

期首仕掛品棚卸高は、前期末時点で未完成の製品の金額です。期末仕掛品棚卸高は、今期末時点で未完成の製品の金額を表します。

 

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