第8回 板金加工、曲げ加工の基礎(2)

ゼロからわかる!板金加工!

第8回 板金加工、曲げ加工の基礎(2)



本シリーズは、板金に関する知識がゼロでも、読み進めていくことで、板金加工の理解が身についてくことを目標にしています。


対象とする読者は、知識ゼロのあなたです。 


板金加工には、大きく分けて切る、曲げる、作るという加工方法があります。


その中で、今回取り上げるのは、板金加工の主役としても過言ではない曲げ加工です。

前回取り上げたように、曲げ加工は、主としてプレスブレーキが使用されますが、作業者の技量に大きく依存します。

そのため、作業者の技量が求められます。


他方で、曲げ加工には、L曲げという加工方法も存在します。


これは作業者の技量に依存する部分が少ないため、比較的自動化されやすい加工方法です。

しかしながら、汎用性という面においてV曲げに負ける面があります。

以下では、L曲げ加工の基礎的な理解を確認してみたいと思います。

L曲げ加工とは

L曲げ加工は、V曲げ加工と異なり、下の図に示すように材料の端を滑らないようにパッドなどで押さえつけ、もう一端をパンチなどで折り曲げる加工方法です。

引用元:林洪鑾「薄板のL曲げ加工における高精度化の研究」より

図に示したL曲げ機構であれば、曲げ時に発生するスプリングバック角度を見込んで、余分に曲げることが難しく、直角曲げができません


そのため、工業的にはオーバーベンドができるフォールディング曲げ加工方法とオーバーベンディングL曲げ加工方法が使用されています。


フォールディング曲げは、フォールディングマシンを使用する加工方法です。

具体的には、ラムの上下と、ウイングの回転機構を組み合わせた、押さえ巻き曲げ(迎え巻き曲げ)といわれる加工をおこないます。

これは、高いフランジを持った製品を閉じた形状の口の字形に曲げることができます。

引用元:村田機械株式会社

他方で、オーバーベンディングL曲げは、パンチ側になる金型(刃)を横方向に動かして、スプリングバック余分にオーバーベンディングさせる加工方法です、

金型(刃)の軌跡を自由に制御できるため、ヘミングシーミングカーリングなどに代表される複雑な曲げ形状を実現できます。

(ヘミング・シーミング・カーリングについては、別記事で取り上げます)

L曲げ加工を使用する理由

一般的に、配電盤、制御盤の扉、空調機のカバーなどにL曲げ加工を行います

その理由は、曲げフランジが長い大板の一端を、一般的なV曲げで曲げると、自重により腰折れなどが発生し、製品の精度や外観を悪くしてしまうからです。

それを防ぐためには、加工中にワークを保持しなければなりません。

この作業には、数人の作業員を必要とします。

また、跳ね上がりによる危険や、曲げ完了後のワークの落下にも注意を払わなければなりません。

この点、L曲げ加工では、ワークをホルダに乗せたままで行なうことが可能です。

そのため、腰折れの防止万歳作業を実現します。

L曲げ加工の特徴

①非対称であること

左右で曲率が対称であるV曲げ加工と異なり、L曲げ加工では曲率が非対称となります。

パッドで押さえた側の曲率は小さく、パンチで折り曲げる側の曲率が大きいです。

②スプリングバックとスプリングゴーが生じること

L曲げ加工では、目標角度まで曲げた後、パンチが材料から離れるとスプリングバックが生じ、パッドが材料から離れるとスプリングゴーが生じます。

スプリングバックとスプリングゴーが生じるのがL曲げ加工の特徴です。

パンチが材料から離れると、V曲げと同様に曲げ外側に引張り応力、内側に圧縮応力が生じています。

除荷時にこれらの応力によるモーメントがゼロになるように弾性回復し、スプリングバックが生じます。

ベンディングマシン

板材の曲げ加工様式を大別すると、V曲げに代表される突き曲げ方式板を押さえつけて折り曲げるL曲げ方式とに分けられます。

突き曲げ様式の曲げは、板金加工業界で最も使用されている曲げです。

後述する多様な曲げ金型との組み合わせで、加工を自由自在に行うことができます。

極めて汎用性の高い曲げ加工として、多く使用されています。

L曲げは、突き曲げ様式に比べて汎用性には劣るものの、省人省力化および自動化ラインへの応用など、大規模な生産工場での活用が可能になります。

また、大板材の曲げなどでは、曲げフランジの曲げによる跳ね上がりが小さくなるため、大型パネル曲げに向いています

引用元:村田機械株式会社

プレスブレーキはラムが下側から上昇する上昇式タイプとラムが上側から下降する下降式タイプがあり、それぞれ設備コスト、対象製品の形状、大きさ、要求加工精度などにより使い分けられている。

L曲げ機械は単体での使用、自動化ラインでの使用、対象製品の形状、大きさなど、装着金型の要望などにより個別対応しているケースが多いです。

そのため、一般的な機械形状を特定するのは難しいです。

曲げ加工における金型

金型の選択を行う場合は、その金型が適切な金型としての条件を満足しているかどうかを判断しなければなりません。

さらには、その条件が曲げ加工作業にどのように関係するかを理解しておかなければなりません。

金型の適切な条件

適切な金型の条件として、以下の点が挙げられる。

①取り付け、取り外しが容易にできる長さであること。

②完全な熱処理が施され、十分な強度があり耐摩耗性が高いこと。

③寸法精度が高いこと。

④機種に関係なく使用する上での互換性が高いこと。

金型の種類

一般に曲げ金型は、大きくパンチ(上型・上刃・雄型)とダイ(下型・下刃・雌型)に分類されます。

パンチやダイは、各機械メーカー別・用途・特徴により様々な取り付け方式や形状があります。

市販されている曲げ金型は、大きく分けて2つあります。


・パンチ・ダイそれぞれの仕様・形状を規定し、在庫品として製造・販売している標準金型

・加工用途などに合わせて専用に設計・製作する特殊金型


標準金型は、コスト的にも安価であり、愛個品であるため納期的にも入手が容易です。

他方で、特殊金型は基本的に受注生産品であるため、標準金型に比較して価格が高く納期がかかるのが一般的です。

もっとも、加工の合理化や省力化を実現することができます。

パンチとダイ

パンチは、一般的にその断面形状や刃先角度などの特徴によって分類することができます。


V曲げ(90°・鋭角)用パンチ

・曲率の大きいR加工を行うR曲げパンチ

・ヘミング(潰し)加工を行うフラットパンチ


ダイは、一般的にその断面形状・V溝の数・V溝の角度・構造・加工内容などによって分類することができます。

1Vダイ・2Vダイや鋭角ダイのほかに、ヘミング加工用のダイなどがあります。

詳しくは、以下のリンク先で確認してみてください。

金型ワールド

まとめ

前回に引き続き、板金加工の花形である曲げ加工について確認しました。


曲げ加工の特徴を少しでもつかむことができたら、大丈夫です。


次回は、板金加工で使用される溶接について確認してみたいと思います。



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Mitsuri編集部

Mitsuri編集部

Mitsuriは、お客様に寄り添い、製造プロセスに関わる課題をトータルに解決する「お客様の最適な生産活動を達成するコーディネーター」です。

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