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A2011の特徴、成分、機械的性質、使い方

2024-09-18

更新

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

A2011は、快削性合金と呼ばれ、高強度を示す2000番台のアルミ合金の中でも、特に切削加工性に優れる材質です。強度、被切削性に優れる一方で、耐食性に劣るという欠点もあり、使用環境によっては対策が必要です。A2011は、さまざまな機械・工業用部品として利用されています。

参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります!

A2011の特徴(強度、溶接性、耐食性、被切削性)

A2011は、強度、被切削性に優れます。A2011は、銅(Cu)を含有するため、高い強度を示す一方で、耐食性は劣ります。また、A2011には鉛(Pb)とビスマス(Bi)が添加されているため、被切削性が良好です。ただし、A2011の溶融溶接性は低く、結合には主にリベット、ボルト接合、抵抗スポット溶接が用いられます。

A2011の用途

A2011は、ボリュームシャフト、光学部品、ネジ部品などに用いられています。

A2011の化学成分

<A2011の成分、組成(単位:%)>

材料記号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn V, Bi, Pb, Zr, Ni など Ti その他 Al
A2011 0.40以下 0.7以下 5.0~6.0 0.30以下 Bi 0.20~0.6, Pb 0.20~0.6 0.05以下(計0.15以下) 残部

引用元:JISH4040:アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線

A2011の化学成分を上表に示しました。

A2011では、Cu(銅)を添加することで、引張強さ・硬さなど機械的性質を高めています。ただし、銅には耐食性を低下させるという欠点もあります。

また、Pb(鉛)とBi(ビスマス)は切削加工性を向上させる目的で添加されています。

A2011の機械的性質

<A2011の機械的性質>

質別 引張性質 ブリネル硬さ(HB W 10/500) せん断強さ(N/mm2) 疲れ強さ(N/mm2)
引張強さ(N/mm2) 耐力(N/mm2) 伸び(%)
1.6mm 厚 (L=50mm) 12.5mm径 (L=5D)
T3 380 295 - 13 95 220 125
T8 405 310 - 10 100 240 125

引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p38

A2011の機械的性質は上表の通りです。

A2011の物理的性質

<A2011の物理的性質>

質別 密度 (20℃)(Mg/m3) 溶解温度範囲(℃) 導電率 (20℃) (IACS,%) 熱伝導度 (20℃)(kW/m•℃) 縦弾性係数 (kN/mm2)
T3 2.82 541〜638 39 0.15 70.6
T8 45 0.17

引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p50

A2011の物理的性質は上表の通りです。

A2011の使い方・選び方

前述した通り、A2011は鉛(Pb)を0.2~0.6%含みます。鉛は、環境負荷物質として規制されている場合もあるため、選定時には注意が必要です。ただし、近年では非鉛快削アルミ合金として、鉛の代わりにスズ(Sn)を添加した材質も開発されているため、場合によってはこのような材料を選定すると良いでしょう。

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