染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
製造業の展示会のビッグイベントの一つ、「第35回 日本 ものづくり ワールド」に行ってきました。最新のテクノロジーや業界の動向についての知見を深めるためには、展示会はなくてはならないイベントです。
日本ものづくりワールドは、10の専門展で構成される日本最大級の製造業の展示会です。
IT、DX製品、部品、設備、装置、計測製品などを扱う企業が世界中から出展し、設計、開発、製造、生産技術、購買、情報システム部門の方々と活発に商談が行われます。
第35回 日本ものづくりワールド
期間:2023年6月21日(水)~2023年6月23日(金)
会場:東京ビッグサイト
https://www.manufacturing-world.jp/tokyo/ja-jp.html
開催歴の長い「第35回 設計・製造ソリューション展」「第28回 機械要素技術展」はご存知の方、参加されたことがある方も多いのではないでしょうか。また、近年のトレンドに合わせて、「第6回 工場設備・備品展」「第6回 ものづくりAI/IoT展」「第1回 製造業DX展」といった新しいテーマの専門展も増えています。
会場内では、商談が活発に行われており、大変にぎわっていました。ふと通りがかりの方が立ち寄り、そこから話に花が咲いている光景も多々見られました。
金属加工に優れている企業や、生産性が上がりそうなアイテムを紹介する企業などを中心にブースへお邪魔しました。その中で4社の方が取材に応じてくださいました。
ブースで特に目立つのは、優しい光を放っているライトとカラフルなスツールです。ライトは蛇腹状に曲げた細長いステンレスをきれいに繋げており、曲げと溶接の技術力の高さが光っている逸品です。スツールは、鉄・ステンレス・アルミ・真鍮・銅と材質違いで作られており、さらに研磨の違いもあり、バリエーションがあります。水色のスツールはアルミにアルマイト加工を施しており、他のスツールよりも圧倒的に軽量で、実際に持ってみると金属とは思えないような軽さでした。
他にも、学生の方が考案したデザインを形にした、和風テーマの意匠性の高い製品展示されています。落ち葉のフォトスタンドは折り曲げて利用するため、手で曲げられるように0.3mmの薄板を使用しています。見た目の美しさだけでなく、実際にどのように利用されるかを考えて最適な素材を選定されています。
意匠性のある部品や薄板に限らず、金属のキャンプ用品や金属部品も製作していらっしゃいます。
株式会社かねよし:https://www.kaneyoshidesu.co.jp/
展示会に訪れたら気になるのは、新しい技術ではないでしょうか。
株式会社松楽産業では、「ビジョンカウンター」というカメラで数量を計測するAI搭載のパーツカウンターが展示されていました。
こちらのブースに展示されているパーツカウンターは、1台のカメラが落下する部品を正面から撮影するのではなく、ミラーで分光させ、左右2方向から画像を捉えます。従来のパーツカウンターでは、2つの部品が重なって1つに見えたり、ゴミなどの不純物が混ざったりすることが誤カウントの原因になっていました。「ビジョンカウンター」は、搭載したAIと1つのカメラが2方向から見ることで、誤カウントの問題を解決する世界初の画期的な技術です。
とても小さい半導体関連の部品や、ビーズから植物の種など多種多様のものを計測できます。数えたいものによって形状が違うので、数えたいものに合わせて機械をカスタムして提供されています。
「同じ形状のものを数えるのに何時間もかけて苦戦している」「1つの数量不足で、コストをかけて現地まで運んだことがある」こういった課題の解決につながるのではないでしょうか。
株式会社松楽産業:https://shoraku-jp.com/
展示会では、都道府県や地域でブースを出しているところもあります。SABAE TECHNOLOGY(鯖江市)ブースが明るく、おしゃれな雰囲気でつい足を運びたくなるような外観でした。
鯖江といえば、有名なのが眼鏡フレームです。その眼鏡のテンプルの部分に模様を印刷されているのが、有限会社ファインです。展示されているテンプルには模様が入っているものも多く、彫刻のような美しいテンプルもあります。その彫刻のようなものが、実は印刷だけで表現されているから驚きです。つるつるの金属のプレートに樹脂で3D印刷することで、立体的な模様が再現されています。その印刷の持ちも良く、毎日身につける眼鏡に限らず、アウトドアで利用するナイフに印刷しても落ちにくいそうです。
有限会社ファイン:https://www.fineltd.jp/
溶接レスや部品簡略化は、金属加工に携わっているとどこでも話題になります。溶接は長い距離を加工すると歪んでしまうことが多く、また歪んだ製品を戻すのがとても大変だからです。和信産業株式会社では、溶接で歪みを出さないようにするためにファイバーレーザーで溶接したり、溶接レスにするためにリベットで組み立てしたり、ポンチ(ダボ)ではめ込んで組み立てたりしています。
部品点数を減らすことは、組み立て工数削減や外観の向上に繋がります。こちらのきれいなブラケットですが、ボルトを金属の板で代用しています。板とボルトまで全て一体物で製作されていました。部品レスにもなりますし、外側から見るとネジの頭が見えずキレイな仕上がりになります。
他にも、薄物から厚物の加工、金属の3Dプリンターが展示されていました。金属の3Dプリンター加工では、実物の製品はもちろんムービーで加工風景も見ることができます。
和信産業株式会社:https://www.washin-s.co.jp/
各社、各地域によってブースには特色があり、技術力がわかるように商材や事例を展示して実際に触ってみることができるブースもあれば、実際に使っている場面を想像しやすいように展示しているブース、大きな機械を搬入して作動展示しているブースもありました。
実物を見られるのも展示会ならではの貴重な体験ですし、実物を見ることで導入を検討される方も使用時をイメージしやすい環境になっていました。
どの会場も多くの人でにぎわっていましたが、中でも「第28回 機械要素技術展」「第6回 航空・宇宙機器 開発展」はとても混雑していて、来場者の注目を集めている展示が多かったように感じます。
出展側・参加側の企業問わず、展示会は若手の勉強会の場にもなっています。商談の場はもちろん、自社以外の製品を見ることもできるので、業界のトレンドや知見を深められます。法人の方限定ではありますが、機会があれば是非足を運んでみてください。
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