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五面加工機(マシニングセンタ)とは?用途・メリット・デメリットを解説

2026-06-02

更新

この記事を監修した人

志民 直人

技術営業、カスタマーサクセス

切削加工歴29年の1級機械加工技能士(精密器具製作/フライス盤/数値制御フライス盤)。金型・部品加工経験を持ち、CAD・CAMや各種工作機械に精通。設計からカスタマーサービスまで幅広く対応。製造現場改善や治具設計も得意。趣味は日曜大工、ゲーム。

五面加工機(マシニングセンタ)とは?用途・メリット・デメリットを解説

五面加工機とは、主に大型ワークの加工に使われる門形マシニングセンタの一種です。

名前の通り、ワークの上面だけでなく、側面を含めた複数面の加工に対応できるため、大型プレート、機械部品、治具、金型、産業機械部品などの加工で活躍します。

特に、大きな材料を一度段取りすれば複数面を加工できるため、大型部品の高精度加工に向いています。

参考:マシニングセンタの基礎知識と導入メリットを解説

参考:自動工具交換装置(ATC)とは?ATCの種類と構造

五面加工機は何に使われる?

五面加工機は、主に以下のような加工に使われます。

  • 大型プレートの切削加工
  • 半導体製造装置向け部品
  • 産業機械部品
  • 工作機械部品
  • 大型フレーム部品
  • 金型部品
  • 加工治具の製作

通常の立形マシニングセンタでは載せられないような大きなワークでも、五面加工機であればテーブルに載せて加工できる場合があります。

また、アングルヘッドなどを使用することで、上面だけでなく側面の穴あけ、タップ加工、面加工なども行えます。

五面加工機と5軸マシニングセンタの違い

五面加工機と似た言葉に、5軸マシニングセンタがあります。

どちらも「5」という数字が入るため混同されやすいですが、意味は異なります。

五面加工機は、ワークの上面と側面を含めた複数の面を加工しやすい大型の門形マシニングセンタです。主に、大型プレートや機械部品、治具、金型などの加工に使われます。

一方、5軸マシニングセンタは、X・Y・Zの直線軸に加えて、回転軸を組み合わせた機械です。工具やテーブルを傾けながら加工できるため、複雑な形状や曲面加工に向いています。

簡単にまとめると、以下のような違いがあります。

種類別の主な特徴、得意な加工
五面加工機

大型ワークの上面・側面など複数面を加工しやすい大型プレート、機械部品、治具、金型

5軸マシニングセンタ

工具やテーブルを傾けて複雑形状を加工できるインペラ、金型、航空機部品、複雑な曲面形状

つまり、五面加工機は「大きなワークを複数面加工するための機械」、5軸マシニングセンタは「複雑な形状を多方向から加工するための機械」と考えると分かりやすいです。

なお、五面加工機にもアタッチメントやヘッド交換により多方向加工に対応できる機種がありますが、一般的には5軸マシニングセンタとは用途や考え方が異なります。

五面加工機のメリット

大きなワークを加工できる

五面加工機の大きなメリットは、大型ワークを加工できることです。

テーブルサイズが大きく、重量のある材料を載せられるため、通常のマシニングセンタでは対応できないサイズの部品加工に向いています。

大型プレートや長尺部品、厚板部品などの加工では、五面加工機が必要になるケースがあります。

段取り替えを減らせる

五面加工機は、ワークを一度固定した状態で複数面を加工できます。

通常であれば、上面加工後にワークを反転したり、向きを変えたりする必要がありますが、五面加工機ではその手間を減らせます。

段取り替えが少なくなることで、以下のようなメリットがあります。

  • 加工時間を短縮しやすい
  • 段取りミスを減らせる
  • 位置精度を出しやすい
  • 重いワークを何度も動かさずに済む

特に、大型ワークは移動や反転だけでも大きな作業になるため、段取り回数を減らせるメリットは大きいです。

高精度な大型加工に向いている

大型ワークは、加工中の熱、クランプ方法、材料の反りなどによって精度を出すのが難しい場合があります。

五面加工機は、大型部品を安定して加工するための剛性や機械構造を持っているため、高精度な大型加工に向いています。

五面加工機のデメリット

加工コストが高くなりやすい

五面加工機は、設備そのものが非常に高価です。

機械本体だけでなく、設置スペース、基礎工事、電力、メンテナンス、工具、クレーン設備なども必要になります。

そのため、加工費は通常のマシニングセンタより高くなりやすいです。

大型ワークを加工できる反面、機械の維持費や稼働コストも大きいため、少量の小さな部品ではコストが合わない場合があります。

段取りに時間がかかる

五面加工機で扱うワークは大きく重いものが多いため、段取りにも時間がかかります。

材料の搬入、クレーン作業、位置出し、クランプ、芯出しなど、加工前の準備が重要です。

ワークが大きいほど、少しの位置ズレや固定不足が加工不良につながることもあります。

加工できる工場が限られる

五面加工機は大型設備のため、どの工場にもある機械ではありません。

対応できる工場が限られるため、大型ワークの加工では、設備の有無だけでなく、作業者の経験や段取り力も重要になります。

代表的な五面加工機:オークマ MCR-A5CⅡ

引用元:MCR-A5CⅡ | 製品情報 | オークマ株式会社

五面加工機の代表的な機種のひとつに、オークマのMCR-A5CⅡがあります。

MCR-A5CⅡは、大型ワークの五面加工に対応する門形マシニングセンタです。テーブル作業面の大きさは、仕様により1,500×3,000mmから3,000×12,000mmまで用意されており、大型プレートや長尺ワークの加工に対応できます。

このクラスの機械では、ワークサイズが大きいだけでなく、材料重量も大きくなるため、加工機そのものの性能だけでなく、クレーン設備、段取り作業、加工経験も重要になります。

大型のベースプレート、産業機械部品、半導体製造装置関連部品、加工治具など、大きく重いワークを高精度に加工したい場合に適した設備です。

筆者の経験:大型プレート加工は緊張感がある

筆者も、以前のモデルの五面加工機を使っていたことがあります。

当時は、半導体関連の材料の切削加工や、加工治具の製作を担当していました。

特に印象に残っているのは、2m×5mほどのテーブルいっぱいに載るような大きなプレートを扱っていたことです。

大きな材料をクレーンで上げ下ろしするときは、傷を付けないように気を使い、吊り荷の動きにも注意しながら作業していました。

材料が大きい分、段取りの失敗や接触のリスクも大きくなります。

正直、切削油まみれになりながら、変な汗をかいて作業していた記憶があります。

五面加工機は非常に便利な機械ですが、実際に扱う現場では、機械の大きさ以上に段取りや安全確認が重要だと感じました。

五面加工機に向いている加工

五面加工機は、以下のような案件に向いています。

  • 大型ワークの加工
  • 重量物の加工
  • 一度の段取りで複数面を加工したい部品
  • 高精度が必要な大型プレート
  • 産業機械や半導体装置向けの部品
  • 大型治具やベースプレート

一方で、小さな部品や単純な加工では、通常のマシニングセンタやフライス盤の方がコストを抑えられる場合があります。

まとめ

五面加工機は、大型ワークを高精度に加工できるマシニングセンタです。

大きなプレートや産業機械部品、半導体関連部品、治具などの加工に向いており、一度の段取りで複数面を加工できる点が大きなメリットです。

一方で、機械が高価で、設置や維持にもコストがかかるため、加工費は高くなりやすいです。

五面加工機での加工を検討する際は、ワークサイズ、加工内容、数量、必要精度をふまえて、コストとのバランスを確認することが大切です。

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