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タップ加工とは?ねじ穴を依頼するときの注意点を解説

作成日:

2026-06-08

最終更新日:

2026-06-09

この記事を監修した人

志民 直人

技術営業、カスタマーサクセス

切削加工歴29年の1級機械加工技能士(精密器具製作/フライス盤/数値制御フライス盤)。金型・部品加工経験を持ち、CAD・CAMや各種工作機械に精通。設計からカスタマーサービスまで幅広く対応。製造現場改善や治具設計も得意。趣味は日曜大工、ゲーム。

タップ加工とは、金属部品にボルトを締めるためのねじ穴を作る加工です。

機械加工部品では非常によく使われる加工で、プレート、ブラケット、治具、カバー、ベース部品など、さまざまな部品に使われます。

一見すると単純な加工に見えますが、タップの深さや穴の種類、材質、加工位置によっては、加工費や納期に影響することがあります。

この記事では、タップ加工の基本と、金属加工を依頼するときに確認しておきたいポイントを解説します。

タップ加工とは

タップ加工とは、下穴をあけたあとに、タップという工具を使って穴の内側にねじ山を作る加工です。

たとえば、図面にM6と記載されている場合、M6のボルトを締められるねじ穴を加工するという意味です。

タップ加工では、主に以下のような情報が必要になります。

  • ねじのサイズ
  • タップの深さ
  • 穴の位置
  • 貫通穴か止まり穴か
  • 加工する材質
  • 必要な数量

これらの情報が不明確だと、見積りや加工時に確認が必要になり、納期が延びる原因になることがあります。

貫通穴と止まり穴の違い

タップ穴には、大きく分けて貫通穴止まり穴があります。

貫通穴

貫通穴は、部品を完全に突き抜けている穴です。切りくずが下に抜けやすいため、比較的加工しやすいタップ穴です。

止まり穴

止まり穴は、途中で止まっている穴です。切りくずが穴の中に残りやすく、タップの折損リスクが高くなるため、貫通穴より加工に注意が必要です。

設計上問題がなければ、止まり穴よりも貫通穴の方が加工しやすく、コストを抑えやすい場合があります。

タップ深さは深すぎると高くなりやすい

タップ加工で特に注意したいのが、タップ深さです。

タップ深さが深くなるほど、工具に負荷がかかり、タップが折れるリスクが高くなります。

特に、タップ深さがねじ径の2倍を超える場合は注意が必要です。

たとえば、M6のタップであれば、ねじ径は約6mmです。
この場合、タップ深さは12mm程度あれば、一般的には十分なねじのかかり代を確保しやすいです。

目安としては以下のようになります。

ねじサイズタップ深さの目安M4約8mmM5約10mmM6約12mmM8約16mmM10約20mm

もちろん、荷重条件や使用環境によって必要な深さは変わりますが、必要以上に深いタップは加工リスクとコストが上がりやすくなります。

タップが深いと工具が折れやすい理由

タップ加工では、穴の内側にねじ山を作りながら切りくずが発生します。

タップ穴が深いほど、切りくずが詰まりやすくなり、工具に大きな負荷がかかります。

特に止まり穴では切りくずの逃げ場が少ないため、タップが折れるリスクが高くなります。

タップが折れると、以下のような問題が起きます。

  • 製品が不良になる
  • 折れたタップを取り除く作業が必要になる
  • 追加工や再製作が必要になる
  • 納期が遅れる可能性がある

そのため、深すぎるタップ穴は、見積り時にリスクとして考慮されることがあります。

下穴の深さも重要

タップ加工では、ねじを切る前に下穴をあけます。

止まり穴の場合、タップ深さと同じ深さまで下穴をあければよいわけではありません。

タップの先端には完全なねじ山が立たない部分があるため、必要なねじ深さを確保するには、タップ深さよりも少し深めの下穴が必要になります。

図面で止まり穴を指定する場合は、以下を分けて考えると分かりやすいです。

  • 有効ねじ深さ
  • タップ加工深さ
  • 下穴深さ

特に、部品の厚みが薄い場合や、裏側に貫通させたくない場合は、下穴深さの余裕を確認しておくことが大切です。

材質によって加工のしやすさが変わる

タップ加工は、材質によって加工のしやすさが変わります。

アルミや一般的な鉄鋼材であれば比較的加工しやすいですが、ステンレスや難削材では工具への負荷が大きくなります。

特にステンレスは粘りがあり、切りくずが絡みやすいため、タップ折損に注意が必要です。

代表的には、以下のような違いがあります。

  • アルミ:比較的加工しやすい
  • 鉄:一般的な加工材として対応しやすい
  • ステンレス:粘りがあり、工具負荷が大きい
  • チタン・インコネルなど:難削材で加工費が高くなりやすい

同じM6タップでも、材質によって加工時間や工具寿命が変わるため、見積り金額に差が出ることがあります。

図面で指定しておきたいポイント

タップ加工を依頼する際は、図面に必要な情報を明確にしておくことが大切です。

特に、以下の項目を確認しましょう。

  • ねじサイズ
  • タップ深さ
  • 貫通穴か止まり穴か
  • 穴位置
  • 穴数
  • 材質
  • 表面処理の有無
  • ねじ精度の指定が必要か

たとえば、単に「M6」とだけ書かれていると、深さや貫通・止まりの判断ができない場合があります。

「M6 深さ12」や「M6貫通」など、加工者が判断しやすい指示にすると、見積りや加工がスムーズになります。

コストを抑えるためのポイント

タップ加工のコストを抑えるには、加工しやすい設計にすることが重要です。

以下の点を意識すると、見積りが高くなりにくくなります。

  • 必要以上に深いタップを避ける
  • 可能であれば貫通穴にする
  • 止まり穴の場合は下穴深さに余裕を持たせる
  • 小径で深いタップを避ける
  • ステンレスや難削材では無理な深さを指定しない
  • 穴数や深さを図面で明確にする

特に、タップ深さはコストに影響しやすいポイントです。

設計上問題がなければ、ねじ径の2倍程度をひとつの目安にするとよいでしょう。

まとめ

タップ加工は、ボルトを締めるためのねじ穴を作る加工です。

機械加工部品では一般的な加工ですが、タップ深さ、貫通穴・止まり穴、材質、下穴深さなどによって、加工の難易度やコストが変わります。

特に、タップ深さがねじ径の2倍を超える場合は、工具折損のリスクが高くなり、加工費が上がりやすくなります。

金属加工を依頼する際は、以下のポイントを確認しましょう。

  • タップ深さは必要以上に深くしない
  • 貫通穴か止まり穴かを明確にする
  • 止まり穴では下穴深さに注意する
  • 材質による加工難易度を考慮する
  • 図面にねじサイズ・深さ・穴数を明記する

タップ加工は小さな加工に見えますが、設計や図面指示によって加工費や納期に影響します。

見積り時には、必要なねじ深さと加工しやすさのバランスを確認することが大切です。

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