記事を探す

キーワードを入力してください

TOPMitsuri Media資金繰り
資金繰り約束手形

【2026年】約束手形廃止で中小製造業の資金繰りはどう変わる?今からできる対策

公開:2026-07-31更新:2026-07-31読了目安:約6分
約束手形廃止による資金繰りへの影響と備えをテーマにしたイラスト。電卓を使って書類を確認する担当者と「約束手形廃止へ」の見出し

金属加工・製造業の取引で長らく使われてきた「約束手形」が、2026年度末(2027年3月末)を目途に姿を消そうとしています。あわせて2026年1月1日には、下請法が「取適法(中小受託取引適正化法)」に改正され、手形払いそのものが禁止されます。取引先からの入金を手形で受け取ってきた企業ほど、資金繰りへの影響は小さくありません。今から何を準備しておくべきか、実務目線で整理します。

約束手形はなぜ廃止される?取適法(旧下請法)との関係

2026年1月施行の取適法では、委託事業者(旧・親事業者)による手形払いが禁止されます。あわせて、電子記録債権やファクタリングであっても、支払期日までに代金満額相当の現金を得ることが困難な支払方法は認められません。背景には、手形が「支払サイト120日」など長期の支払猶予を前提にしてきたことで、下請け側の資金繰りを圧迫し続けてきたという問題があります。取適法は、この構造そのものにメスを入れる改正です。

廃止スケジュール(〜2026年度末)

政府・全銀協は、紙の約束手形・小切手の流通を2026年度末(2027年3月末)までにゼロにする方針を掲げています。大手行の中にはすでに新規発行を停止し始めているところもあり、実質的な移行期限はスケジュールより前倒しで動いていると見た方が安全です。取引先金融機関から案内が来るのを待つのではなく、こちらから確認しておく方が動きやすくなります。

手形廃止のメリット

手形廃止はデメリットばかりではありません。中小企業にとっては、次のようなメリットも期待できます。

  • 印紙税・郵送コストの削減:手形1枚あたりの印紙代(数百円)が不要になり、押印・封入・郵送といった発行事務もなくなります。月50枚発行する企業であれば、印紙代だけで年間十万円単位のコスト削減になる試算もあります。
  • 紛失・盗難・改ざんリスクの解消:紙の手形特有の管理リスクがなくなり、金庫での保管や搬送の手間からも解放されます。
  • 資金繰りの改善(受取側):電子化された決済は現金化までの期間が短くなる傾向があり、これまで手形サイトの長さに苦しめられてきた受注側にとっては、資金繰りが改善する可能性があります。
  • 事務の効率化・DX推進:でんさいや振込への統一は、経理業務のペーパーレス化・自動化を進めるきっかけにもなります。

一方で、支払う側(発注元)は前倒しで資金を用意する必要があるなど、次に説明するような負担も発生します。メリット・デメリット双方を踏まえて対応を検討することが大切です。

手形廃止で資金繰りが厳しくなる理由

手形が使われなくなると、多くの取引は振込に切り替わります。一見シンプルですが、これまで発注から2〜4ヶ月後に現金化していた取引が、当月〜翌月払いに前倒しされるケースが増えるということでもあります。支払う側(発注元)は必要な手元資金が急に増え、受け取る側(受注元)も「早く払ってもらえる」メリットと引き換えに、手形割引を前提にしていた資金計画の見直しを迫られます。

代替手段①でんさい(電子記録債権)

「でんさいネット」を通じて発生・譲渡・支払いを電子的に管理する仕組みです。紛失・盗難・改ざんのリスクがなく、手形と同様に期日前の割引による早期資金化も可能です。手数料は発生記録1件あたり561円程度が目安(受取側は無料)、期日前に割り引く場合は1.5〜5.5%程度が相場とされています。導入には取引金融機関での審査とインターネットバンキング契約が必要で、取引先がでんさいネットを利用しているかの確認も欠かせません。

代替手段②ファクタリング(一括ファクタリング含む)

売掛債権を金融機関やファクタリング会社に売却して早期に現金化する方法です。自社と会社間だけで完結する「2社間」は手数料8〜18%程度、売掛先も関与する「3社間」は2〜9%程度が相場とされています。3社間の方が手数料は低く抑えられますが、売掛先にファクタリング利用の事実が伝わる点は考慮が必要です。急な資金需要への対応力は高い一方、手数料が資金繰りコストに直結するため、複数社で見積もりを比較する姿勢が重要です。

なお、発注元(大企業)が主体となって手形決済を廃止する場合には「一括ファクタリング」という仕組みも使われます。金融機関が納入企業の売掛債権を一括して買い取ることで、発注元は決済事務を合理化でき、納入企業側も手形の印紙代負担なく早期資金化できる点がメリットです。取引先の大手企業から一括ファクタリングへの切り替え案内が来るケースもあるため、内容を把握しておくと安心です。

代替手段③銀行振込(インターネットバンキング)

政府・全銀協が代替手段として第一に推奨しているのが、インターネットバンキングを含む銀行振込です。手数料や導入審査が不要で最も移行しやすい一方、支払企業側は「発注から2〜4ヶ月後の現金化」を前提にしていた資金繰りを、当月〜翌月払いに合わせて見直す必要があります。また手形と異なり不渡り(信用毀損)という強い牽制力がないため、期日どおりに支払われないリスクへの備え(取引先の与信管理など)もあわせて検討しておきたいところです。

代替手段④オンライン決済サービス・法人カード

でんさい・ファクタリング・銀行振込ほど一般的ではありませんが、少額の資材調達や継続的な小口取引では、法人カード決済やBtoB後払い決済サービス(発注企業に代わって決済代行会社が立て替え払いを行うサービス)を使う選択肢もあります。振込よりも支払サイトを実質的に延ばせる場合があり、経理側も請求書の都度処理から明細の一括管理に切り替えられるメリットがあります。ただし手形ほど広く普及した仕組みではないため、取引先の対応状況を事前に確認しておく必要があります。

今からできる社内対応チェックリスト

  • 取引先ごとに、現在の支払方法・支払サイトを一覧化する
  • 主要取引金融機関に、でんさいの導入可否・手数料体系を確認する
  • ファクタリング(一括ファクタリング含む)を使う場合の手数料相場を複数社で比較しておく
  • 銀行振込への切り替えに備え、社内の支払承認フロー・資金繰り表を見直す
  • 法人カードやBtoB後払い決済サービスの利用可否を、小口取引先ごとに検討する
  • 支払前倒しに備えた資金繰り表・運転資金の見直しを行う
  • 請求書・契約書の電子化を進め、振込対応への切り替えをスムーズにする

まとめ

約束手形の廃止は単なる決済手段の変更ではなく、取引全体の支払サイクルを変える改正です。取適法の施行と合わせて、資金繰りへの影響は今後1〜2年で本格化します。でんさい・ファクタリング・銀行振込・オンライン決済サービスといった代替手段は、それぞれ手数料もリスクの性質も異なるため、自社の取引構造や取引先の対応状況に合わせて早めに比較検討しておくことが、資金繰りの安定につながります。

Mitsuriでは、製造業・金属加工に関する依頼や相談を、
初心者でもかんたんに、進めることができます。
図面が未確定な段階からでも分かっている条件を整理したうえで、
複数の工場に相談できます。

無料ではじめてみるまずは相談からでもはじめられます
Mitsuri Media 編集部

業界最大級の金属加工マッチングプラットフォーム「Mitsuri」が運営する総合情報メディアです。

お役立ち資料

受発注の「今」がわかる、無料のお役立ち資料

Mitsuriでの受発注の最新傾向や統計、業界の基礎知識をまとめた資料を無料でダウンロードいただけます。
WEB上での新規取引のコツや活用方法など、役立つ情報も掲載しています。