有限会社 ビナ・テック

信頼とネットワークが誇り

有限会社 ビナ・テックについて
神奈川県綾瀬市にある精密板金加工メーカー「有限会社ビナ・テック」。

鉄道車両や大型の特殊車両を中心に、各業界に合わせた幅広い対応が可能。

最新鋭のファイバーレーザーの複合機の導入により、さらなる飛躍へ。

業界で評判が高いのは、安定した見積もり価格。

その秘訣は、いったいどこにあるのか。

今回は、取締役の西川正己氏、橋本法子氏、品質・生産管理部長の沼滝正氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

西川

弊社は、いわゆる精密板金の部類に入ります。
精度としては、0.07mmまで保証できる設備が揃っています。
板厚は、0.5mmから対応することが可能です。
最近では、新たに導入したファイバーレーザーの複合機がありまして。
非鉄金属にも対応可能になりました。
銅板や真鍮、アルミなどですね。
また、金型なしに自由なカットができるようになりました。

弊社の仕事の半分強は、乗り物関係になります。
電車やバスなどの大型の乗り物。
これらが、弊社の売り上げの半分以上を占めています。
長くやっているものとしては、アミューズメントや建築関係。
最近、特にお仕事としていただくようになったのが、地震対策関連のものです。
精密板金という業種というよりも、どのような加工が可能なのか。
そのようなというところで、お客様にお選びいただいていますね。
有難いことに、とても忙しく仕事をさせていただいています。



車関係のお仕事は品質管理の要求が厳しいと伺っています。それから、鉄道関係をやられている業者さまは初めてでして。その辺りについても、お伺いさせてください。

沼滝

弊社は、それほど自動車の部品を多く手がけているわけではありません。
それを前提としていただいた上で、通常の自動車関係は、プレス屋さんなどが手がけるのが一般的です。
その中で、弊社にお仕事をいただいているのは、大型トラックや特殊車両などです。
これらは、金型で量産するものではないので、板金でのハンドワークで部品をつくることが多いんですね。
プレスでは打抜けないような分厚い板材のものを扱うこともあります。
数10mmの板厚のものをレーザー加工して、溶接まで行なうことがあります。
これらのものに関しては、板金加工の仕事として、メーカーさまからのニーズがございます。
鉄道車両に関しましては、車と同様で人の命を預かるものですよね。
ただ、そこに直接かかわるものと、直接かかわらないものがあります。
後者は、例えば車のシート。
鉄道車両関係でいえば、上の部分の内装、たとえばパネルやシート周りですとかトイレ、車両の中の扉、網棚、空調関係。
この辺りのお手伝いをさせていただいています。

西川

鉄道関係は、継続して、お仕事をいただいています。
通常のお仕事とは異なって、かなり長い期間にわたってのご注文をいただいています。
なかなかそのようなお客さんは少ないです。
板金は、仕事がいつくるのか読みにくい分野でして。
このように継続的に、長期でお仕事をいただけるのは、本当にありがたいです。
負荷の平均化ができますからね。

お客さまからの反応で、印象に残っているものがあれば、ぜひ教えてください。

西川

そうですね。
車両関係のお客様からいただいた言葉の中で、とても嬉しいものがございました。
それは、「ビナ・テックさんの見積りは安定している」というものです。
ビナ・テックの見積りを基準にして、他社さんの見積り金額の高い、安いを決めてくださっているそうです。
見積りは、時価のようなところがあります。
その中で、弊社が見積りの標準化が図れるような立ち位置にいる。
これは嬉しいことです。
もともと、弊社は日立製作所のスタンダードタイムの考え方を導入しています。
40年ほど前に、日立製作所の社内工場で行われてきたもので。
一定時間内で、どれだけの量をこなすことができたのか。
繰り返し繰り返し検証することで、標準化を図ります。
その中で、見積もりの精度もあがってきます。
そのような考え方を弊社でも取り入れ、仕事を標準化しています。
ビナ・テックの場合は、初めての発注でもお任せで大丈夫。
安心して見積もりをだすことができる。
そう言っていただけることに、とてもうれしく思っています。



ビナ・テックさまは、前身が商社だったと伺っています。

西川

はい。
長い話になるので、できるだけ簡単にお話しします。
前に勤めていた会社が倒産しまして、
その時に、私と橋本が営業をやっていました。
お客さまの外注さんに一番近い位置にいました。
外注さんの連鎖倒産を防ぐために、残務整理を行いました。
正直申し上げて、手弁当で橋本と一緒にやりました。
その中で、お客さまに評価いただいたのは、利益度外視で、金型を守った点です。
今どこにどのような金型があるのか。
どのような会社に仕事をお願いすればいいのか。
そこは、間に入っていた我々しか知らないわけですから。

もっといえば、発注者さんも受注する方も、お互いに、価格もわからないわけですよね。
発注者さんに、従来の価格をいただいても構わなかったんでしょうが、そこを安くやらせていただきました。
双方に、お得感をもっていただけるようにいたしました。
その時点では、まだ起業する気はなかったんですが。
周りで、私たちのやっていたことを見てくれていた人がいるんですよね。
起業したらどうかって。
お金もだすよって言われて。

投資されたわけですね。

西川

はい。
普通は、倒産した会社の社員は、ボコボコになるんですよ。
端に追いやられて。
そんな状況でも、助けられることがあるんです。
前の会社の色がついてしまっていて、使いにくいと言われる中で、
それでも、見ていてくれる人がいるものです。
ある程度、三か月もつなぎをしていれば、落ち着いてくるわけで。
どうしようか、と。
地方の工場さんを知っている方が声をかけてくれて、
新しくやりませんかと。
お金はなかったので、橋本が色々起業の勉強をしてくれまして。
そこからスタートしました。
今考えても、不思議な話なのですが。
設立した月に、売り上げが30数万円だったんですね。
でも、4か月後、5か月後には、1000万円を超したんですね。

それはすごいですね。

西川

すごいと思いますよね(笑)
私も、びっくりしましたよ(笑)
当時3人しかいなかったのですが、3年目に6500万円。
ものすごい売り上げになりました。

そのうちに、お客さんの方から、
「実際にものを作ってよ」と要望がありました。
ある程度のまとまった収入があったものですから、
最小限度の機械をそろえて、今の会社になったんです。

ピーク時は、3人でどのように仕事を回されていたのでしょうか。

橋本

3人なんですけど、電話は4台つけまして。
3人とも電話に出ていると、話し中になってしまいますよね。
1台空いているものがあれば。
それが鳴っているのがわかれば、折り返せばいいわけですから。
みんな、いつも電話に出ているような状態でした。
事務所はマンションの一室を借りて。
加工の仕事自体は、協力会社さんにお願いするんですが。
そこから、小さな店舗を借りて、そこに品物が届くようになりまして、
直送ももちろんあるんですが、我々が間に入った方がいいものもあって。
そういうものは、どうしても品物を置く場所がなければいけません。
事務所に荷物が届く。
それを梱包して別の業者様に流す。
そういうこともしていました。



前身の会社で扱っていた仕事が、現在の事業につながっている。

西川

語弊があるかもしれませんが、品質管理を保証していただける外注さんを使いました。
万が一クレームが起きた場合、その問題にかかりきりになり、新規のお仕事を取れなくなってしまいます。
その点、協力してくださった外注さんが、きっちりしていました。
弊社にも見る目があった。
よい判断をできたのが、受注拡大につながっていった要素だと思います。

外注さんとの信頼関係により、受注につながっていったわけですね。

西川

はい。その上で、相見積もりに勝ってきました。

相見積もりの競争を、どのように勝ち残ってこられたのでしょうか。

西川

正直、コンペの中で、それほどの差がついていたとは思えません。
しかし、ある程度の発注量の多い会社にとって、3%〜5%の差は大きいものです。
うちが管理費用を乗せても食べていける安さを提供できたのは、
地方工場があればこそ、でした。
もう一つ、一番重要なのは、板金屋さんとの繋がりです。
どれだけの数の、どんな種類の板金屋さんを知っているかが勝負です。
板金屋さんは、100社100色。弊社の方でも、今、十数社くらいの協力工場さんがあるんですけど、みんな特徴が違います。
我々が図面を見て、どこに任せるのがいいのか。
経験や知識があるところは、すぐ見積りがだせる。
適材適所で、価格も安くなるし、結果として製品もいいものができることが多いです。

商社を始めたばかりの時は、新規のお客さんに対しては、信用がゼロなわけですね。
その中で、紹介であれば、紹介した先の信用が、我々にかかってくるんです。
そこで、我々がどのような会社とどのようなお付き合いをしてきたかが、重要になってくるわけですよ。
そこで財産が生きてくる。
一社でできることは限られていますから。
その場の損得で動かないで、腹を割って話をすれば、見えてくるものがあるんじゃないか。
そういう風に感じています。
駆け引きとかなしにね。
そこで得られたものが財産ですね。

板金の仕事を頼もうと思った時には、近くに頼むのが一般的かと思います。貴社では、岩手や島根など遠くの工場さんにお仕事頼んでいる。この辺りに関してはいかがでしょうか。

西川氏

運搬費に関して言えば、流通が発達していますから、微々たるものですね。
それ以上に、製造原価の安いところで作った方がコストで優位を出せる。
数ものである程度、数がまとまっていれば、運搬費はそれほど問題になりません。

沼滝氏

基本的にキズが問題になるような、塗装だとかメッキだとかはこちらでやるようにしている。
その辺りを上手く振り分けてしまいます。

橋本氏

私がこれまでお付き合いしてきた実感ですけど、岩手や島根の人は、地元で働きたい。でも、仕事がないと地元で働くことができない。こういった背景から、ある意味、真面目な方々が多くて、すごくいい品物を作ってくれるんです。

西川氏

さらに、地元の雇用を守ろうと、地方自治体さんが頑張ってバックアップしてくれました。
それが功を奏したところもあります。



今後の事業展開と課題についてお聞きできますか。

西川

人に尽きます。

業界全体で、人手不足と聞きますが。

橋本

ここにきて募集をかけても、なかなか難しくなってきました。
本当に若い子や習熟した30代くらいの人っていうのは集まりにくいです。
機械を入れたんだけど、その機械を動かすオペレーターを見つけるのが難しい状態ですね。

西川

他の会社さんと比べたら弊社は若い人がいる方なんですよね。
労務倒産っていう言葉もありますが、後継者がいない。
製造業で黒字で廃業している会社が多くあるというふうに聞いています。
ちゃんと若い世代にものを残していかなければいけない。
これからの会社を担っていく世代をどのように育てていくべきなのか。
私たちがいなくなっても会社は存続して欲しい。
ビナ・テックというコミュニティがあって、
その中で生活している人たちがいる。
それが、永遠にとはいいませんが、ある程度は続いて欲しいと願っています。
しかし、現実は厳しいので、苦慮しています。
今後につながる仕事をできるだけとれるように、心がけています。
受注をすると同時に、会社を担える人材を確保しなければいけない。
それは両輪ですね。
どちらもしなければいけない。


まとめ

安定した見積もり価格の秘訣は、人脈と知識。

そこに至るまでには、前身の商社時代の苦節があった。

禍福はあざなえる縄のごとく。

培われた人脈と経験が財産に。

ビナ・テックは良質のものづくりを実現する。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
西川 正己
担当者名
西川 正己
従業員数
30名
創業年度
2000年
メールアドレス
info@vinatech.co.jp
電話番号
0467-79-5377

住所

〒252-1108 神奈川県綾瀬市深谷上8-23-11

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