株式会社徹工業

雑貨屋のように臨機応変に

株式会社徹工業について
埼玉県久喜市に精密板金・製缶加工に強みをもった板金加工メーカーがある。

株式会社徹工業だ。

ありとあらゆる金属加工を得意として、雑貨屋のような企業であると自称する。

雑貨屋のような企業とは何か。

今回は、代表取締役の古屋徹さまにお話を伺ってきました。
シェア


快く取材を受けていただきありがとうございます。御社の事業概要と強みを教えていただけますでしょうか。

古屋氏

弊社は、精密板金と製缶加工に特化しています。
その中で土木製品や高速道路の看板、モニュメント、圧力タンクなど、ありとあらゆる設備関係の鉄、ステンレス、アルミを加工しています。
建築金物も扱っています。
板金部門、製缶部門にも属さないような金属加工製品も得意としています。
この部分でもお客さまから多く引き合いをいただいています。
白岡工場においては、樹脂加工も手掛けています。

弊社の規模としては、現在従業員が52名います。
2019年3月には中国でも工場が稼働する予定です。
弊社のような規模感は中途半端な部分があります。
このような規模感で独立して仕事をされている業者は少ないかと思います。
弊社は親会社を持っていませんのでフリーな立場で、短納期かつ高い品質を実現しています。
例えるならば、金属加工の雑貨屋という表現が一番弊社の特長を表しているのではないでしょうか。


たまたま、現在は建築金物を多く手がけてらっしゃるということですか。

古屋氏

そうです。
例えば、今は東京オリンピック向けに新国立競技場であったり、首都高速の整備ですね。
設備関係で言えば、お客さまがラインの入れ替え時期にあたる部分になっていまして、そのような部分で忙しくさせていただいています。
また最近では、東京オリンピック向けに看板の張り替えに関連した製品もかなりの量を手掛けさせていただいています。

ありがとうございます。設備投資に力を入れていらっしゃると伺っています。沿革も含めてお話をいただければと思います。

古屋氏

私自身が20歳の頃から、この業界で働いてきました。
私だけではなく、兄弟全員がこの業界に関わっているような環境でしたので、自分達でも会社を経営しようと、立ち上げました。

起業当初は製缶加工のみやっておりました。
というのは、板金加工の設備というのは非常に高価な機械が多いからです。

ただ、もともと私たちは板金加工出身で、製缶加工もできます。
ですから、製缶加工をメインとしながら、少しずつ板金加工の設備を整えていきました。
設備導入で、一番大きかったのは、レーザー加工機です。
レーザー加工機を導入したタイミングで、たまたまあるお客さんが大きな設備ラインをつくりたいというお話をいただきました。
ほぼ24時間体制で、何カ月も作業させていただくくらいの物量をこなしました。
そのお仕事で、お客さまから信用をいただくことができました。
そこから更に設備投資をしまして、レーザーだけでは実現することができなかったもの。
例えば、曲げをもっと早く加工できるようにと、ベンダーを購入しました。
仕事の幅も広がり、好循環の中で設備投資を進めていきました。

設備投資をすることが、次の仕事に繫がっているというのが現状です。
我々の業界は、「設備と営業」は「鶏が先か卵が先か」の関係にあります。
私は基本的に設備が整っていれば、仕事は営業で取ってくることができると考えています。
仕事を取ってきてから、設備を導入したのではどうしても納期が遅くなりますよね。
ですから、先行的に設備投資を進めて、それからお客さまにこのような設備を入れましたよ、今までよりもっと早く安くきれいにできますよと、営業をかけていく。
そのような形で事業を拡大してきました。


お客さまの潜在的な要望に答えていく形で成長されてこられた。

古屋氏

そうですね。
おかげさまで、弊社のような親会社をもたない業者では、普通は持っていないような特殊な設備を弊社では多く揃えております。
これは、アマダさんといいお付き合いをさせていただいているからです。
弊社の設備はほぼ全てアマダさんの製品です。
ソフトの面でも、うちは3Dでものをつくることができるように対応しました。
その面でも、他社さまと差別化をはかることができたのだと思っています。
お客さまから3Dデータを直接いただいて、弊社が必要なデータを取り出しものをつくる。
結果的に、やりとりがスムーズになってミスが少なくなりました。
当然、その分、量もこなせるようになりました。
この辺りも、お客さまに評価していただいている部分だと思っています。

ありがとうございます。お話いただいたように、板金加工業界で設備の高度化が進んでいると伺っています。他方で、人がものをつくる以上、人の部分も重要ではないかと思います。その辺りについてお話を伺わせてください。

古屋氏

弊社の平均年齢は30代で、とても若いです。
設備がコンピュータ化されてきて、若手でも短期間で戦力となるようになってきています。
我々の世代が、3年~5年かけて学んで習得したような技術を短期間で覚えることができるようになってきています。
ただ、なかなか若手がこういう業界に残ってくれない、定着してくれないという問題があります。
そこで、弊社は若手の意見を積極的に聞くように心がけています。
昔は、教育・指導のあり方の一つとして、叱ることがありました。
どのように叱ればいいのか、考えながら指導していました。
ただ、今の若手は、叱られることに慣れてないので、そのような指導の方法は通用しません。
では、どうするか。
できるだけ、若手の意見を聞くようにしました。
若手が物事を言いやすい環境づくりですね。
それが、働きやすさにもつながりますし。
幹部やリーダー職には、そのような方針を共有してもらうようにしています。
それでも、なかなか不平不満は無くならないのですが(笑)
ただ、いくらかは良い環境になったのかなと、思っています。

なるほど。これまで苦労した案件や大変だった加工などあれば、是非お伺いさせてください。

古屋氏

やはり大型案件ですかね。
大型案件の場合は、どうしても物量、納期で難しい面があります。
弊社は建設現場に絡むような仕事が多いのですが、つい先日も、ある現場で全体の物量として2千トンの案件を約1年半でやりました。
天候などの状況で生産現場がストップすることもあります。
図面においても、工事を進めていくにつれやはり当初の予定とは変わってくる部分もあります。
そういったところに、柔軟に対応していくことが一番難しいですね。
現場の方々は、製品を扱うのに最初は慣れが必要なんですよ。
慣れてくれば思うように進み始めます。すると、次の部品を早く納入してほしいと要望がでます。
そういう部分を予測しつつ、現場の方々とコミュニケーションを取っていかなければいけない。
毎回大変な作業ではあるのですが、現場からの評価は悪くないと思っています。

そのような厳しい納期の案件は、やっぱりたくさん今お引き合いがあると思うんですけど、そういった案件は厳しいのでお断りするっていうことはないんですか。

古屋氏

新規のお客さまには、納期を回答して、それで合わない場合にはお断りさせていただいています。
ただ、長年お付き合いしているお客さまの場合は、簡単にお断りするわけにはいかない。
弊社の現状をお話させていただいて、「半分だけなら可能です」などコミュニケーションをとって、納得したうえでお互いの最善策を取るように心がけています。
ここのコミュニケーションは、正直結構大変です。
昔であれば、「何月何日頃にこの図面で、このくらいの物量で、納期は大体こうです」とお話をいただき、「わかりました、そこの予定を空けて対応できるようにしておきます」で、大丈夫でしたが最近は少し様子が変わってきていますね。

お客さまの方で、現場でのトラブルがあったり、出図が遅くなったりすると、我々の方の手が空いてしまいます。
また、仮に押さえておいた予定のところに、別のお客さまから大量の発注がきてしまったりします。
例えば、一回の発注で数十トンと入ってきてしまうと、どうしても手がふさがってしまいます。
要は、有難いことに昔より引き合いをいただくようになっているのです。
以前は、一週間くらい先の予定しか埋まっていなかったのが、今は一ヵ月以上先まで埋まっています。
お客さまには、対応できる量や納期を変更していただけるように交渉をさせていただくことはあります。


ありがとうございます。少し大きな話になるのですが、板金業界全体の課題についてお伺いさせてください。

古屋氏

一番はやはり人じゃないかと考えます。
どこの企業でも労働者不足が問題となっていて、最近はよく外国人研修生などがメディアで取り上げられていますよね。
弊社も外国人研修制度を一部取り入れています。
最近は問題視されている面もあるようですが、弊社に来ていただいている方々は、特に問題も無く、かなり腕も良くて、頑張ってもらっています。
世間では悪い評判もありますが、弊社の場合は、言葉が通じる面も含めて、かなり戦力となっています。
現在は全員で8人います。
研修生は積極的に受け入れるようにしています。

きちんと仕事を教えることができれば、非常に大きな戦力となりますからね。
それから若い方には、今ネットは使いこなしていると思いますが、もっとものづくりについて理解して興味をもって欲しいと思います。
例えば、スマートフォン。
スマートフォンは便利ですよね。
確かに我々はスマートフォンを作っているわけではない。
でも、スマートフォンを作るために必要な機械の部品を作っている。
その部品がなければ、スマートフォンは完成しないし、使えない。
多くの若者がiPhoneを利用していますよね。
最新のものだと結構な値段がすると思います。
でも、物理的に考えたらかなり安くできている。
大量生産出来る設備を使用しているから、その値段で提供できているんですよね。

これは、私がものづくりに関わっている人間だから言えることかもしれないのですが、本来で言えばもっとお金がかかってもおかしくない。
それを、もっとコストを下げるために様々な工夫をしている。
自動ラインを導入したり、コンピュータ制御にして、省人化している。
それはものづくりに携わっているから分かることだと思います。
そういうものづくりの醍醐味を若い方に理解してほしいですし、この業界に入ってきて欲しいですね。

ものづくりが私たちの生活を支えている。

古屋氏

そうです。
日本のものづくりはメイドインジャパンとして、有名ですよね。
メイドインジャパンとは、結局技術の話になりますよね。
そこには繊細さがあります。
例えば階段。
弊社でも階段を製作していますが、階段一つ作るにしても、ただ人が歩ければいいのではない。
それは、ただの機能の部分で。
見てよし、触ってよし。
そういう部分が日本のものづくりにはある。
その部分はなかなか海外の方には理解されない部分かもしれません。
逆に言えば、そこを理解できる日本的な独特なセンスを持った方、特に若い方には、ものづくりに携わって欲しいですね。
なんだったら、職人になればいいと思います。
今、本当にそういう人が少なくなってしまった。
だから、逆にチャンスですよ。多くの若い方に、是非挑戦して欲しいですね。


まとめ

親企業を持たずにフリーな立場で。


臨機応変に短納期かつ高い品質を実現する。


それは、多くのお客さまの声にこたえてきた結果。


雑貨屋のように臨機応変に、小さい物から大きな物まで。


株式会社徹工業は挑戦し続ける。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
古屋 徹
担当者名
古屋 徹
従業員数
52名
創業年度
2001年
メールアドレス
info@toorukg.biz
電話番号
0480-53-9772 

住所

〒340-0203 埼玉県久喜市桜田5-21-1

他の工場も見る

内田工機株式会社 株式会社

内田工機株式会社 株式会社

久喜市 | 埼玉県

内田工機株式会社 株式会社は埼玉県久喜市にある板金加工業者だ。

株式会社フロインテック

フロインテックにできないものはない

株式会社フロインテック

川口市 | 埼玉県

埼玉県川口市に一品ものに強みをもった板金加工メーカーがある。 株式会社フロインテックだ。 ステンレス加工のスペシャリストとして、設計から製作までワンストップ。 できないものはな...

株式会社 北陽製作所

多品種少量生産で、スピーディーに

株式会社 北陽製作所

入間市 | 埼玉県

埼玉県入間市に、スピードに強みを持つ板金加工メーカーがある。 株式会社北陽製作所だ。 食品関連装置、電子機器、半導体関連装置、医療機器、光学機器の筐体を主に。 精密板金加工の技...

株式会社小貫金網製作所

金網×板金×レーザーで一貫加工

株式会社小貫金網製作所

川口市 | 埼玉県

埼玉県川口市に金網加工に強みをもった板金加工メーカーがある。 株式会社小貫金網製作所だ。 金網加工、板金加工、レーザー加工をかけ合わせながら。 大正期から積み上げてきた加工技術...

株式会社相馬製作所

お客様のためなら、どこでも飛んでいきます

株式会社相馬製作所

川口市 | 埼玉県

埼玉県川口市に、サービスに強みを持つ板金加工メーカーがある。 株式会社相馬製作所だ。 理化学機器、医療機器、各種通信機器を中心に。 少量多品種を得意とし、塗装、組み立て処理まで...

有限会社天ヶ瀬工業

有限会社天ヶ瀬工業

飯能市 | 埼玉県

有限会社天ヶ瀬工業は埼玉県飯能市にある板金加工業者だ。