多摩電子株式会社

欲しい形をより早く・より安く

多摩電子株式会社について
神奈川県相模原市に欲しい形をより早く・より安く実現する板金加工メーカーがある。

多摩電子株式会社だ。

半導体関連、医療機器関連が事業の柱。

電子機器に強い自信をもって、ワンストップ。

どのようにして欲しい形をより早く・より安く実現しているのか。

今回は、取締役の北原勇氏、加藤好彦氏に話を伺いました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

北原氏

弊社は基本的にワンストップが可能な生産体制を敷いています。
溶接や組立も行なえまして、塗装も協力工場さんにお願いすることで実現可能です。
工場内でシルク印刷ができるのも特徴だと思っています。

弊社は、板金業界に携わって40年から50年の歴史があります。その際、コンピューター関連にはずっと力を入れてきました。コンピューターの成長期にその入れ物として板金加工をしたという経緯があるんです。
そのため、製造面や管理面をデジタルで管理できるように進めてきました。これも弊社の特徴ですね。当時は、コンピューター関連の市場シェアを80~90%占めるほどの仕事をいただいていました。

現在は、携帯や自動車関連でよく使われるチップマウンター(基盤装着)がメイン事業になっています。
弊社は、半導体関係のチップマウンターの事業が、売上で言えば70~80%を占めています。残りは景気に左右されにくい医療器関係の事業を扱っています。
これらの仕事が獲得できたのは、提案型営業の賜物でして。
医療器関係でいえば、従来はフレームを溶接して作り、塗装、外板を組み立てるという製作方法。これに対して、提案型営業を行いました。フレームはステンレスかつリベット構造。外板は塗装のいらない材料で曲げて使ってもらう。
このような提案をした結果、最初は1機種のみだったんですが、お客さまにお喜びいただいて。今ではその医療器関係の全機種をやらせていただくようになりました。
チップマウンターも同様です。弊社の方で提案させていただいた結果、リードタイム・工数の改善に成功しました。これらは、現在の当社の中核事業になっています。



ありがとうございます。関連して半導体事業についてお伺いさせてください。

加藤氏

先ほど北原がふれたチップマウンターというものですね。
チップマウンターとは半導体を基板に実装する装置です。基板上にICチップを装着していく装置。その外板や内部フレーム構造部分に当社の製品が採用していただいています。

北原氏

半導体というのは波がある業界です。
いったん生産が終了すると、しばらく期間が空きます。バージョンアップで次の機種が生産されるときに、また依頼が来る。そのような構造を持っている業界です。
これは当社が担当しているチップマウンターに限らず、おおもとのウエハーを作るところも同じです。

なるほど。医療器関係の事業についてお伺いさせてください。具体的にどのようなものを製造されているのでしょうか。

北原氏

医療器具そのものではなく、MRIやCT等の大きな医療機器を後ろで制御するもの。一般に医療機器の制御ボックスと言われるものを製造しています。

加藤氏

コンピュータを格納している大型のサーバーのようなものですね。それから、それらに付随する小物板金一式。

ありがとうございます。人と技術力は関連性が高いと考えています。社内で「技術認定制度」を導入されているとお伺いしました。

北原氏

弊社は、今中途採用の人が多くなってきています。
ですから、その人が持っている技術を判定する機会を設けています。
同時に、3年ごとに行っているものもあります。多能工性を判定するもの。
この2つが当社の技術認定制度ですね。
ただ、今は仕事がいっぱいいっぱいの状態が続いていまして。多能工を育てる時間的な余裕がなくて(笑)。

加藤氏

各仕事が専任的なものになってしまっていますね。

北原氏

仕事に余裕があれば、機械間を移動させる。
これからこっちの機械を担当してください、と指示して。それで多少効率が落ちたとしても、今後のことを考えればプラスになるものですから。
ですが、先ほども申しましたように、ここ2年くらいは仕事が満杯の状態でして。
既存の技術や能力をフルに発揮してもらう方を優先していただいています。
最近の悩みの種ですね。


仕事が多いゆえの嬉しい悩みでしょうか。

加藤氏

何とも言えないですね。人材は探してはいるんですが、来た人材が期待したようなところではないということが多くて。

これまでに苦労した案件だったり、難しい加工だったというようなものがございましたら、是非お伺いさせてください

北原氏

案件として苦労しているのは、今のチップマウンターですね。
もっと生産数量を増やしてくれというような要望をいただいています。対応に少し苦慮している部分があります。できる限りに、対応できるように努力をしたいのですが。
一社さまにかかりっきりになると難しい問題がでてきます。
多くのお客さまと取引きするというのが、弊社の方針でもありますので。

加藤氏

現場側での話でいいますと、ここ5〜6年くらい発注側から外観重視の要望をいただいています。この要望にこたえるのに苦労しています。
例えば、ある内部構造に使用されるメッキ製品。
裏側に傷があるとNG判定されることもあります。製品としては、仕様に何も問題がない。バリ等も丁寧にとっています。表面も当然綺麗に仕上げています。
ただ、裏面のちょっとした傷でもダメだといわれると加工方法の改善をしなければいけません。
ほんのすり傷程度のものなんですが。

なぜそのような要望が出てくるのでしょうか。

北原氏

これは最近の傾向なのですが、親会社さまの技術が低下してきている。あるいはルーティンワークしかしなくなってきている。
昔は、親会社さまも一体感を持ってものづくりを行うような姿勢だったように思います。ですから、製造の技術がわかる人間がいらっしゃいましたね。
でも、最近はこれが分業化されてきてしまっている。
製造の技術をわからない人が、増えてきてしまっているように感じています。仕様に問題がなくても、外観だけ見て判断をする。
弊社の立場としては、ものづくり全体を理解した観点からご要望をいただきたいという気持ちを持ちます。


そういたしますと、設計力の低下という問題も。

加藤氏

ありますね。
極端な話をいいますと、立体で書かれた図面の場合、曲がらないようなものでも曲げて書けてしまいます。
そこで手戻りが起こってしまいます。
お客さまには、その都度指摘させていただいているのですが。
このような現状を、御社のメディアで発信してもらえるとありがたいですね(笑)。

なるほど。今後の展望や展開などについてお伺いさせてください。

加藤氏

設備投資をこの12月に行ないます。
ファイバーレーザー複合機、ファイバーレーザー溶接機。
ロボット溶接機とハンド溶接機。
これらが会社の一画をかなり占めることになると思います。設備投資によって、今お客様からいただいている増産依頼や品質におこたえできると考えています。
今度導入する加工機は、アルミや銅板のレーザー加工に強いものです。これまで、アルミは抜き加工でお客さまの要望におこたえしてきました。
ただ、バリ処理など仕上げの部分で、どうしても時間を割かなければいけなかった。
そういった作業の簡略化、工数の削減を実現できる。
加えて、全体的なコストも抑えていける。
これを上手く運用していかないと、社長や北原さんに怒られちゃいます(笑)




設備の導入により、新規顧客にも対応ができるようになったかと思います。販路拡大などについてはいかがお考えでしょうか。

北原氏

やはり医療機器関係のお客さまとお仕事がしたいです。
求められる品質は厳しいでしょうが、医療機器関係にチャレンジしたいと考えています。あとは距離的に近いお客様とお仕事できれば。
何か起こったときに、すぐに駆けつけて対応させていただきたいので。関東圏のお客さまだとありがたいですね。

加藤氏

医療機器関係には様々な規則があります。
新しいサプライヤーとしての参入が難しいというイメージを持っていますね。
以前に、医療機器関係の紹介を受けたことがあります。
ただ、門前払いのような扱いを受けてしまいました。なかなか参入障壁が高いという印象を持っています。

具体的に何が問題となったのでしょうか。

加藤氏

その時は価格面が問題になりました。
ある程度の量が出るような案件でしたので、海外でも実現可能な仕事だったんですね。
そうなると価格競争になる。海外との価格競争になると、やはり厳しいものがあります。

北原氏

量がでるもので海外生産のコストが安いものに特化するのか。
それとも、品質や対応力で実現する付加価値のものに特化するのか。
弊社は、後者を重視していますので

最後に少し大きな話になってしまうのですが、板金加工業界の課題についてお伺いさ

北原氏

やはり賃金面ですね。
弊社の場合、利益としては本当にギリギリの状態でやっています。
今後は、できるだけ余裕のある仕事をやっていきたいと考えています。
そうしなければ、賃金を上げることができません。
ここをきちんと実現しないと、若い人の採用、教育ができません。
担い手不足等の問題を根本的に解決できないわけですから。

加藤氏

今は、残念ながらその余裕がちょっとないですね。

北原氏

発注さま側としては、毎年何%かずつ価格を下げられるような企業でないと困りますよ、と。
正直申し上げて、そのようなプレッシャーがあります。弊社の立場としては、毎年何%かずつ価格を上げて欲しい。

発注元の親企業さまの従業員が、賃上げをしたいというような話をよく聞きます。
反対するわけではないのですが、下請けに対する金額も上げていただきたい。
これは弊社のみのことを考えてではなくて。
ここが改善すれば、社会構造そのものが良い方向に動いていくはずですので。
ただ、なかなか上手くいかないですね。

加藤氏

そこは発注さま側に決断していただいて、改善していただきたい点です。
そうしないと、若い人が業界に入ってきません。
結果、人手不足の問題がいつまでたっても解消しません。

弊社も、どうしても採用の部分でそういう難しいものが反映されてきてしまう。
先ほど、北原が申し上げたように賃金面の部分で社員にこたえてあげたい。
もちろん、これから入ってくる人たちにも。
そのような中で、どのような舵取りをしていくのか。弊社の問題でもありますし、業界全体の課題でもありますね。

まとめ

提案型営業によって、コストの削減・機能の向上を提供する。


確かな技術を継承、維持するための技術認定制度。


設備投資も惜しまず、取引先の要望にこたえる。


だから、欲しい形をより早く・より安く実現できるのだ。


加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
大林 根生
担当者名
加藤 好彦
従業員数
50名
創業年度
1966年
メールアドレス
info@tama-denshi.co.jp
電話番号
042-773-7761 

住所

〒252-0132 神奈川県相模原市緑区橋本台3-2-26

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