株式会社高橋製作所

より大きな敷地をもとめて

株式会社高橋製作所について
東京都東久留米市にプレスからパイプ加工までてがける板金加工メーカーがある。

株式会社髙橋製作所だ。

創業60年の歴史を誇り、プレス加工で培った技術をいかして事業を拡大。

近年では、金属加工に加え、プラスチック加工や文化芸術品の製作に挑戦。

「感謝」の気持ちを大事に、日々仕事に取り組んでいる。

今回は、代表取締役の髙橋典子氏、専務取締役の髙橋晃一氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

典子氏

はい。
弊社は、プレス加工業者として昭和27年に創業しました。
私で3代目になります。
元々ノートパソコン用の部品を取り扱っていました。
現在は、時代の流れもあり、プレスにこだわらず、事業を展開しています。
金属加工に長年携わってきた技術やノウハウを活かして、パイプ加工や板金加工も手がけています。
製品としては、自動車部品や建築板金・医療用機器・アミューズメント用の機器などを手がけています。
最近では、スタジアムや公道で使う連結式の椅子に使うパーツの案件が多くなってきています。

社長就任までの経緯についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

典子氏

社長への就任は、先代であった主人が亡くなったときですね。
私自身は元々、銀行に勤めていました。
結婚した後に、すぐ髙橋製作所に入社したわけではなく、女性ばかりを集めて内職を斡旋する仕事をしていました。
外に出るのが好きで、事務所を構えて営業もしていました。
そちらの事業が20人以上になっていた頃でしょうか。
「そんなに人が集まるなら、手伝ってくれないか?」と言われたんです。
それで、徐々に会社の方も手伝い始めたんですね。
経理から始めて軽作業の手伝い、営業を行なったり。本当に色々な仕事をしました。


手伝いとはいえ、仕事に戸惑ったりしなかったのでしょうか。

典子氏

私の実家も製造業でした。
先ほど申し上げた内職の斡旋業でも家電製品関係の仕事をしていました。
自分の仕事が休日の際には、主人の会社の手伝いもしていましたから。
それほど戸惑いのようなものはありませんでしたね。

なるほど。外から会社に入ってこられて、工場の改善をしなければと思うようなことはありましたか。

典子氏

それはありましたし、今でもありますよ。
資金のある大手の会社さまは、こうしようと思ったらすぐに実行できますよね。
しかしながら、町工場の規模では、できるだけ費用を抑えながら、工夫して改善をしていかなければいけません。
簡単に資金を投入するのではなくて、よくよく現状を見極めた上で投資を行わなければいけません。
とはいえ、大企業さまの環境も非常に魅力的ですし、それに近い職場作りも大切です。
今は、デジタルの時代ですけど、アナログで代替可能なものはできるだけアナログで対応しながら、デジタル化が必要な部分はきちんと対応していけるように心がけています。


ありがとうございます。今、積極的に取り組んでらっしゃることなどございましたら、お伺いさせてください。

典子氏

とにかく敷地の確保ですね。
ものを整理整頓したり、在庫をおける倉庫の用地購入に取り組んでいます。
というのも、以前はプレスの量産ものに特化していたのですが、パイプ加工や板金加工を手がけるようになって、その分場所が必要になってきているのです。

プレスに特化していた時は、量産もので小さいものを多く手がけていました。
先ほど申し上げたように、ノートパソコンの部品を手がけていたのですが、それだけで忙しい状況でした。
でも、その仕事は海外に流れていってしまったので。
じゃあ、ということで多品種小ロットに対応しようと。
量産ものを手がけていた時は、作ったら業者が持っていってくれました。
ですから、作ったものの在庫を置く場所など必要がありませんでした。
多品種小ロットに対応していく中で、身につけなければいけない技術が増え、機械もあわせて導入しました。
また、在庫として抱えなければいけない部品も増えたり。
だんだんと敷地が必要になっていきました。
敷地が確保できていれば、納品管理や在庫管理など行いやすいのですが、なかなか簡単にはうまくいかなくて。
敷地として、大きな面積を確保できていない部分で苦労していますね。

なるほど。多品種小ロットのものに対応されるように事業を展開されているとのことですが、それまではずっと量産のみを手がけられていたのでしょうか。

典子氏

そんなことはないですね。
ノートパソコンの部品を中心にやっていたときも、他社さまではできないと言われるような難しい試作の依頼を引き受けていました。
ただ、試作はどうしても費用がかかります。
以前は、案件が潤沢にあったので、多少割が合わなくても引き受けるようなこともありました。
ただ、そのような潤沢な案件は海外に流れていきましたので、そのような試作だけ受けることは難しくなりまして。
その代わりに、事業分野を広げることにしたんですね。


ありがとうございます。普段仕事をする上で、心がけていることなどございましたら、お伺いさせてください。

典子氏

私のモットーは「感謝」です。
社内でも、感謝の気持ちを大事にしてもらいたいです。
なかなか全員に、浸透させるのは難しいところもあるのですが。
例えば、仕事をしていて、ミスというものは必ず起きますよね。
それを、指摘されたときに「あ、やっちゃった」って、マイナスの方向に考えてしまう人がいます。
ミスを見つけられて、「嫌だな」ってなってしまっているんですね。
でも、社内でミスを見つけれるっていうことは、その製品が社外に行かないっていうことでもありますよね。
ですから、見方を変えれば、とてもいいことでもあるんですよね。
だから、例えミスをしてしまったとしても、「社内で見つかってよかった」って前向きに捉えて欲しい。
そういう考え方に立つと、指摘されたことに感謝することができますよね。

晃一さまは、元々製造業のお仕事をされていたのでしょうか。

晃一氏

いえ、大学出てから、証券会社で勤務していました。
その後、プロゴルファーを目指してゴルフ留学をしました。
留学から戻ってきて、勤務を始めました。
そこからは、本当に一から始めまして。
簡単な加工や軽作業は、手伝っていますが。
主に担っているのは、営業や見積もり、お客様の対応ですね。
本格的なプレスの工程に入ってしまうと、電話や外出の際に製造の流れが止まってしまいます。
ですから、自分が抜けても製造に支障のきたさないポジションの仕事を行っています。


元から家業を継がれることは意識されていたのでしょうか。

晃一氏

多少はありました。
けれども、決定的だったのは、父が亡くなったことで。
そうでなければ、もう少し証券会社で勤務を続けていたと思います。
5年とか、8年とかいたら、変わっていたかもしれないですね。
過去のことなので、わからないですが。

御社の課題について伺わせてください。

晃一氏

従業員の年齢が高くなってきていることでしょうか。なかなか若い人を雇用することが難しい状態です。
日本人の給与水準は上がっていますが、企業の利益水準が上がっているわけではないので。
若い方を入れて成長していくというのが、理想ではあるのですが、満足する給与を支払うのはなかなか難しいです。
現状は、セミリタイヤした方を入れて、即戦力として活躍していただいています。


周りの方の年齢が高くなってきている中で、難しさなどございますか。

晃一氏

それはあります(笑)
僕と工場長が30代なんですが、現場の方ではが50代、60代の方の方が多いです。
ですから、言わなければいけないことは言いますけれども、特別強く何かを言ったりすることは、ありませんね。
そもそも今時、ものを言うのに強く言わなければいけないということもないのですが。


なるほど。少し大きな話になるのですが、製造業全体の課題についてお伺いさせてください。

晃一氏

将来の見通しが、見えづらいことでしょうか。
板金屋さんで成長している会社さまは、設備投資を大胆にされています。
ある程度、敷地もあって、加工も難易度が高く、そのために高価な設備を入れていらっしゃるような会社さまですね。
弊社の場合、設備投資は最低限に抑えながらやっています。
同じような事業規模で、たたまれる会社さまから設備や仕事も含めて引き継いだりします。
仕事は増えてありがたいのですが。

一方で引き継いだ案件というのは、使用頻度の少ない金型を引き取ることになったり。
そうすると、保管費ばかりが増えてしまいます。
この問題は、他のプレス屋さんでも抱えていると思います。
中小企業庁からは、金型の保管料を発注者からもらってくださいね、とアドバイスいただいているのですが。
実際にやろうとすると、保管費用を取らない企業さまに案件が流れてしまいます(苦笑)

板金加工でもタレパンには、汎用の型はありますけど、プレスとなると金型の保管が重要になるのでしょうか。

晃一氏

ご指摘いただいたようにタレパンの型には、汎用性があります。
他方で、プレスは製品ごとに金型が異なります。
ですから、どうしても保管しておかなければいけない。
とはいえ、その金型を使用しないでのあれば、意味のないものになってしまいます。
どこのプレス業者さまも抱えている問題だとは思いますが、難しい問題です。
弊社の場合、10年使用しないものについて、お客様と相談させていただいています。
金型は保管だけではなくて、保守もしなければいけません。
企業さまによっては、写真を撮って状態の確認をするなど、厳しい管理を求められることがります。
ただ、そのような企業さまの場合、金型の使用状況などを理解していただいているので、相談させていただいたときには、話がスムーズに進むことが多いです。
他方で、長期間眠っている金型を「いつか使うかもしれないから保管して」と言われる会社さまも多くいらっしゃいます。
そのような場合、スムーズに処分することができないので、悩ましいところですね。

製品には、時期によって流行があると伺っています。金型の形状にも、流行などがあるのでしょうか。

晃一氏

確かに、流行によって形状が異なるということもあります。
ただ、それよりも金型屋さんによって癖や特徴のようなものがあります。
材料の使い方から始まって、設計の仕方、金型の組み方などですね。
いい金型屋さんを見つけてお付き合いすることができれば、プレス屋にとってはメリットになることが多いです。
とはいえ、金型屋さんもだんだんと減ってきています。

最後に今後の目標などお伺いできれば。

晃一氏

弊社の場合、資金力のある会社さまのように積極的に設備投資をおこなうことはできません。
そのような中で、どのように生き抜いていくのか。
これは経営の問題でもありますが、さまざまな着地点を検討していきながら、今後の事業の可能性を模索していこうと思っています。答えになっていないかもしれませんが(笑)


まとめ

時代の流れに対応して、プレスのみならずパイプ加工、板金加工まで。


積極的に他社から事業継承をして、事業も拡大。


町工場ならではの創意工夫をしながら。


株式会社髙橋製作所は、より大きな敷地を求める。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
高橋 典子
担当者名
高橋 典子
メールアドレス
tkk-no2@gb3.so-net.ne.jp
電話番号
0424-70-1955 

住所

〒203-0044 東京都東久留米市柳窪5-4-11

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