有限会社 鈴木工業所

ノウハウの蓄積が大事

有限会社 鈴木工業所について
茨城県日立市に精密板金・溶接精缶に強みをもつ金属加工メーカーがある。

有限会社鈴木工業所だ。

タレットパンチ複合機、プレスベンダーにより、配電盤、制御盤などの筐体を一式受注生産。

時代の変化に合わせて、IT化、共同受注体GLIT(グリット)への参画を実現。

震災の影響が残る中、どのような生き残りの戦略があるのか。

今回は、代表取締役の黒田義明(くろだ よしあき)氏と、専務取締役の黒田和貴(かずたか)氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

義明

弊社の強みといえば、金属製造業。
その中でも、精缶板金になります。
製作しているもので、いちばんわかりやすいものは、受電盤。
制御盤や配電盤の筐体ですね。
そういうのを一式つくっています。
細かく言えば、精密精缶といいます。
材料をいえば、薄物の加工。
薄物を切断したり、溶接したり、曲げたりして、制御盤をつくっています。
設備は、大きなものでいえば、穴を穿孔するタレットパンチとレーザーの複合機。
プレスベンダーなどで、折り曲げて、箱の形にする作業を行っています。
多品種の商品を扱っています。
同じ寸法でつくることが少ないので、ある意味で一品ものです。

月にどれくらいの数をこなされていますか。

義明

3000件から4000件だね。

すごいですね。

義明

穿孔や曲げる作業は、完全に自動ではできないから、数だけ多くても大変だね。
作業所のノウハウで作業するようなことが多いね。

ー品ものの仕様変更に対して、どのように対応されていますか。

義明

データの数が多くなったから、件数が多いとバカになりません。
昔は、フロッピーに入れて記憶させてたから、取り出すのが大変だったの。
何万件ものデータを、いかに簡便に取り出して、繰り返し使えるかが肝だよね。

御社では、どのように図面を整理されているんですか。

義明

図面の番号で整理するしかないよね。
今はパソコンに図面の番号を入れて検索すれば、すぐに該当の図面が出てくるようになったから。
困るのが、類似品がある場合。
形状で記憶していても、番号で入力しないと検索できない。
番号だけではなく、形状で図面を検索できると、使いやすいんだけど。

難しかったお仕事について、お聞かせください。

義明

曲げ角度だね。
鋭角に曲げたり、鈍角に曲げたり。
直角に曲げるのは、簡単にできるよね。
曲げは計算がなかなか難しい。
角度を入力すると、自動に展開寸法が出てくるようなプログラムも独自につくっています。
昔は試し曲げしないとできなかったものが、プログラムをつくったからできるよ。
私も最初、ピタゴラスの定理で、三角関数でつくったんです。
やってみたら、データが合わないんだよね。
計算が合わなくて、「どうしたらいい」って周りに聞いたら、うちの息子ができたんだよね。
だてに大学はいってねえな、大したもんだなって思ったよ。

プログラミングで曲げられるようになったのは、筐体ですか。

義明

筐体もあるし、部品でいえば、平鋼みたいのもあるよ。

今のお話でいえば、機械産業化が著しいのかなって思います。そのあたりについて、お聞かせください。

義明

そうだね。たとえば、昔はシャーリングをやるときには、スケールで合わせてできました。
今は、実際には、NC装置でやります。
数値を入れれば、機械がやってくれるようになった。
昔は、プレスで穴をあけていたのも、今は機械がやってくれる。
親工場がそういう設備を導入しているから、図面に合わせて対応しなければならない。
設備投資がバカにならないね。

設備導入を見込んで、取引先が製品の単価を上げてくれることはありますか。

義明

逆に、そんな設備を入れて、会社が健全に運営できるのか心配されるね。
設備を入れることの説明はするけど、単価をあげてくれとは交渉しない。
全部、自己資金。
「うちの会社は大丈夫、そのくらいの力がある」って方向に、説明をもっていくよ。
みんなが入れるからウチも入れるっていうんじゃ、ダメだよね。
設備投資たるもの、そうじゃなきゃダメだよ。
機械ってのは壊れるでしょう。
今の機械は、メカの部分よりも、電子機器を使って制御するのが多いよね。
本体よりも、電子部分の方が高い。
機械はどんどん高くなっているのに、寿命は短くなっている。
機械は昔だったら目で見て直せたよね。
でも、基板になると直せない。
目で見えないし、なにが動いているのかわからない。
しかも10年20年たつと、この部分の部品はありませんからと、メーカーに宣言されちゃう。

設備投資がたいへんですね。

義明

東日本大震災の前、発電所をあちこち作るのに、忙しくてね。
1億くらい借金してね、機械を入れたの。
3月に大震災が起きて、仕事がぴたりとなくなっちゃって。
当時最新設備を入れて、鈴木さんすごいねって言われたけど。
仕事が少なくなって、大変だったよ。
安倍首相になってから、毎年補助金が出るから、そういうのを利用して買っています。

機械産業化が進んでいくと、技術力というのはどこになりますか。

義明

いろいろなもに対応するためには、ノウハウを蓄積しないと。
折り曲げの作業を体験していれば、図面を見てもできます。
作ったことがないと、わからないよね。
だから、今の人は大変だと思う。
平鋼とか丸鋼とか、いろいろなものを曲げた時に、実験しなくてもデータ上でできるノウハウを積まないと、生き残れないでしょうね。

現場の人も図面を理解できないと、仕事ができないんですか。

義明

図面を読めないと仕事にならないね。
うちの場合は、深いところまで理解していないと、わからなくなっちゃうよね。
一方で、機械で単純化しちゃうと、みんな頭を使わなくなっちゃうから、いかにノウハウを形成するかが大事です。
うちの息子にしても、現場で研修させるときに、曲げを1年やらせました。
設計に10年くらいいって戻ってきました。
曲げを覚えるのにはそれくらいかかるんです。
一ヶ月やそこらでは、ものになりません。

ものづくりの担い手不足について、どうお考えですか。

義明

現場を見てもらえればわかるのですが、弊社は、二十歳までの従業員が半数を占めています。
ここ15年くらい、毎年人を雇っていたので。
ここへきて、子供が少なくなって、引き合いが減ったね。
日立市の会社もだいぶ減ってきて、人口が減っちゃったでしょう。
シャッター通りになって、さびしいよね。
立地条件の問題で、平らの場所が少ないよね。引っ越すのも難しい。

地域として活性化するのが先でしょうか。

義明

日立市市長も心配して、うちのような会社に訪問して話を聞くけど、求心力や営業力のあるメインになる会社がないと厳しいよね。

板金加工業界全体で、業界の問題があれば教えてください。

義明

自分らの若い頃はね、仲間の仕事も一緒にもらってきたりしたよ。
そういうことをやらないと、仕事の幅も薄まっちゃうから。
それを会社は、だんだん仕事の幅がなくなってくるよね。
町工場は、ノウハウをもってないと、やっていけないから大変。
自分らの体でつくって、仕事を覚えないと。
理屈だけでは難しいですよね。
仕事を覚えていれば、お客さんのところに行っても、いろいろな話ができるよね。

御社が参加されているGLIT(グリット)についてのお話を聞かせてください。

和貴

GLIT(グリット)の成り立ちについて、順を追ってご説明します。
もともとは、「ひたち立志塾」という若手経営者を育成する会に参加していました。
先端技術である「医療・介護」、「航空・宇宙」、「再生可能エネルギー」。
この三分野に参入していきたいと思いまして。
ひたち立志塾の中で、先端技術研究会なるものを立ち上げたんです。
その会で、共同参入するために、GLIT(グリット)と名前をつけました。
グリットは、Guild for Laeding Innovative Technology の略です。
株式会社エムテックさんに、リーダーになってもらい、共同で受注できるように進めています。
メディアに取り上げてもらえるように、ブランディングを意識して動いています。
2015年の立ち上げの時には、茨城新聞とNHK茨城地域の水戸放送局で取り上げられました。
「ガイアの夜明け」でも取り上げられました。
2016年5月にG7サミットがつくば市であったのですが。
われわれグリットが特別出展の依頼を受けまして、展示を行ったりもしました。
10社それぞれに得意分野が異なり、精密微細、プレス加工、樹脂加工、旋盤と多岐にわたります。
お仕事が来た時に、各社でそれぞれの強みをいかして対応できるわけです。
現状としては、医療系で、県立医療大学の依頼のお仕事を行いました。
外科手術用の工具の開発して、評価いただきました。
ほかには、11月に、ドイツのドュッセルドルフで、世界最大規模のメディカという医療系の展示会がありまして。
そこで、コンパートメントといって、付属の部品加工メインの展示会が行われました。
それに、ここ最近は出展するようになりました。
今年は私も行っています。

ちなみに、三分野の参入の難しさはどこにありますか。

和貴

医療は敷居が高いです。
製造業には、ISO規格がありますが、医療系のがあるんです。
そういうのを持っていないと製版ができません。
航空は、航空で規格があります。
技術能力も管理能力も高いものが求められ、だいぶハードルが上がります。
三分野の中では、今動いているのは、主に医療系です。
まだ売り上げはそれほどあがっていませんが、グループとして機能していますし、横のつながりが強くなっています。
グループを作ったことで、通常では相談を受けないような案件も受けたりもしています。
個社で難しい時代ですので、こういうことができればと思います。
われわれ板金は、つながりを大事にしながら、ビジネスをやっていきます。
取材に来ていただくような、声をかけていただくきっかけになればいいなと願っています。

情報発信を大事にされているようですね。

和貴

先ほども申し上げましたように、情報発信の上で、ブランディングが大事だと思っています。
グリットの母体であるひたち立志塾の塾頭、一橋大学の名誉教授の関満博先生に見ていただいています。
それぞれの塾とのつながりもありまして、由紀精密さんの活動を学ばせてもらい、交流しています。
たとえば、由紀精密さんは、ホールディング会社をつくり、後継者がいなくて閉めてしまうような会社を吸収合併して、残していく活動もしています。
由紀さんから学んだことが、これからのわれわれの活動の参考になるのではと思っています。

板金業界全体の問題について教えていただけますか。

和貴

過当競争になっていきかねない業種だと思います。
設備があればできる仕事にはなっています。
精密板金の機械は高いです。
お金があれば買えてしまうので、中国などの海外の資本家に設備を整備されると怖いです。
精度をあげることで、世界との競争に勝ち抜くしかないのかなって思います。
技術力、こだわりで差をつけられれば。
過当競争の中、相見積もりで値段を荒らされても困るので、情報共有も難しいです。
オリンピック前で、仕事が集中しているところは集中していますが、2020年以降が勝負だと思っています。
震災以降、この地域での仕事が少なくなってきています。
生き残りを考えると、地域限定の仕事で考えると難しい。
それ以外の部分で差をつけていきたいです。


まとめ
時代のニーズに柔軟に対応した結果、IT化、データの蓄積に成功。

しかし、震災の影響による地域の問題など、課題は多い。

共同受注体を立ち上げ、最先端事業へと。

有限会社鈴木工業所は、未来を見据えて挑み続ける。

加工技術

  • カット・穴あけ加工
  • 曲げ加工
  • 抜き加工
  • 成型加工
  • 溶接
  • 塗装
  • めっき
  • 組立
  • 検査
  • 仕上げ・研磨

基本情報

代表者名
黒田 義明
担当者名
黒田 和貴
創業年度
1955年
メールアドレス
ka-kuroda@suzukikogyosyo.com
電話番号
0294-33-1451

住所

〒316-0001 茨城県日立市諏訪町1079-1

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