株式会社サンテック

オフィス家具のトレンドを見据えて

株式会社サンテックについて
栃木県鹿沼市に、オフィス家具に強みを持つ板金加工メーカーがある。

株式会社サンテックだ。

内田洋行の鹿沼工場として創業。

事務用家具、教育用機器を中心に開発、設計、製造まで一貫生産。

働き方の変化に合わせて、変容するオフィス家具のニーズについて。

今回は、取締役副社長の屋代郁夫(やしろ いくお)氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容と強みを教えてください。 

屋代氏

弊社は、内田洋行という一部上場の事務機器商社の子会社になります。
いろいろな種類がありますが、UCHIDAというブランドで毎年市場に出ている商品を開発しています。
内田洋行の方からスペックが出て、われわれがデザイン設計からスタートして、内田洋行の方と取り決めをし完成品まで作っています。
開発から完成品までの一貫した生産を社内で行っているんです。
家具というのは、いろいろな素材が使われている商品ですので、例えば、テーブルにしても、木製の天板があり、足は金属製の素材で塗装しています。
それら全部を社内でやっているわけではなく、金属部分をやっています。
木関係や塗装は、社外から仕入れをして、社内で板金加工と組み立てをしています。
全体のデザイン、開発は社内で行っていまして、プラスチックやダイカストに関しても、われわれが設計したものを外注で作っています。
このような背景から、売り上げの比率は75%は内田洋行の製品が占めています。
残りの25%が内田洋行以外のお客様です。
長年にわたり、内田洋行の商品供給で売り上げ100%だったのですが、経済環境やオフィス市場縮小に伴い、このような比率になりました。
市場縮小は著しく、バブル時にオフィス家具市場規模は7500億だったのが、今は2500億くらいでと、良かった時期の三分の一くらいの規模になっています。
そういった意味でも、内田洋行以外のお客様を開拓し、売り上げにつなげていこうと。
お客様の場合は、ロッカー、ワーキングステーション、テーブルものといった、われわれが従来手がけているオフィス家具の延長の仕事と、電機メーカーさんのサーバーラックといった筐体系も増えています。
筐体も部品だけではなく組み立ても含めまして、社内でできますので、そういう形になっています。


内田洋行様から出されるスペックとは、具体的にどのような内容を指すのでしょうか。

屋代氏

価格帯や商品のバリエーションです。
たとえば、目の前のテーブルもそうなのですが、4本の足で構成するテーブルもあれば、T字型の足もあります。
天板の色目もそうですし、形状、エッジのデザイン、サイズ、そういったスペックのことです。
大きさ、幅がいくつ、奥行きがいくつ、天板のサイズ、足の形が何種類と、そういうのを一つの品種にかけるとすごい数になるんです。
一つの品種でも、100や150いきますね。
内田洋行の方から、全体のスペックが出て、最後の足のデザインをどうするとか、天板との結合をどうするかとか、細部はわれわれが担当して、具体的な商品に落とし込んでいます。

今まで難しかった案件や印象に残っているエピソードはありますか。

屋代氏

電機メーカーさんのサーバーラックのような筐体も、そもそもの業界が違うので、同じ板金でも大きさが違いますし、構造や構成も違うので、通常のわれわれの工程ラインに入りません。
そのため、サーバーラックを組み立てる用の体制を組み立てるのが大変でした。
家具の場合は、重くても60kgくらいなのですが、サーバーラックは400kgとか500kgもします。
簡単に動かないようなものになるので、それをやっていくのは大変だったかなと。
慣れてしまえば、大きさには、それほどびっくりしなくなるんですけどね。
オフィス家具でいうならば、大きな案件の中で何百台と出るものに関しては問題ないのですが、標準のカタログに掲載されていない、細かなスペックがいっぱい入っている案件が最近増えているんですね。
その場合、特注で、新たな設計をして対応しなくてはなりません。
納期の中でやるのが非常に大変ですが、その手の案件が増えてきています。
いろいろな構成部品があって、短納期ということになると、設計の時間が通常より増え、外注先も通常流れているものではないので、時間がかかりますね。
お客様は量産ものだから納期が早くて、単品ものだから遅くていいということはなくて、一つの案件の中の話ですから。


納期へは、やりくりする時間を増やしたりなどの工夫して対応されているのでしょうか。

屋代氏

そういう対応もします。
設計から始まって全部やっていますので、社内で設計したものが現場にスムーズに流れるかという問題があります。
設計する人間が製作用のデータを落とし込む時に、いろいろなソフトを使っているので、製造データの変換がものによっては手間がかかっています。
タレパンという前工程と、ベンダーの工程があり、データがベンダーまでスムーズにいくものは、ベンダーでもデータが見られて、指示に従ってやればいいんですが。
データの流れが、ぶつ切りになってしまうものは、入力し直さなければならないので難しいです。
社内でも、計画立てて設計ソフトの運用していかなかったために、いろいろなソフトを使う人がいるので、製造データを落とし込むのに、ぶつ切りになってしまったり、互換性の問題が出ています。
それを統一していかなければなりません。
とはいえ、今までやってきたデータがあり、そのデータをベースにしてカスタマイズしてやりますので、なおかつそのデータはいろいろなソフトを使っていますので。
今までのデータを新しいソフトの中に組み込むのは大変なので、設計から製作までの情報の流れが、時間がかかる状態になってしまっています。
それも課題ですね。

ソフトの互換性がないのでしょうか。

屋代氏

互換性がなかったり、変換するときに文字化けするようなデータが入っているとかですね。
pdfとかdxfとかいろいろあるのですが、変換する時に、必ず文字化けするから、pdfを確認しながらやらなくちゃいけないとか。
設備を同じ会社から買っている方だと思いますが、違う会社から買ってしまうと、データの専用機が変わってきてしまうんですよ。
専用機に入れて変換してやらなくちゃいけないとか。
ソフトの情報の伝達は難しいです。
個人のソフトの好き嫌いになってしまっていますし。

ソフトの値段は高いのでしょうか。

屋代氏

高いですね。
一つソフトを変えれば100万くらい。
うちは8人いますので。
ご存知のようにヴァージョンアップする時も費用がかかります。
本来ならば、開発したCADデータが、そのまま製造のCAMデータと同一であれば、一番いいでしょうね。
そういうわけにはいかなくて、いくつか変換をしなければいけません。

御社様として、新しいチャレンジや取り組みはありますでしょうか。

屋代氏

オフィス家具市場がわれわれの中心ですが、オフィスというのも、昔はデスクがあって、椅子があって、キャビネットがあって、会議室があって、そんな感じのスタイルでした。
それが今はデスクがあると場所をとるので、個人用のデスクがなくなって、大きなテーブルになっています。
一人一個のデスクは持っていないけど、営業マンが帰ってきたときにデータを整理するのに、場所が必要というので、それこそ喫茶店的なつくりで、カフェ的なスペースを作るところが増えてきているんです。
コミュニケーション、情報交換する場として。会議室を設けず、オープンスペースで、3、4人くらいでパーテーションで、そういう空間を作ったりするなど、そういうオフィスの形態に変わってきているんです。
われわれも環境の変化に対応するような新しい商品を開発しています。
内田洋行からも毎年来て、そういう流れもあるんですが、さらに、こちら側から新しい商品を社外に商品を発信する、そういうこともやっていまして。
そのためには、マーケットの流れやデザインとか部分の能力が必要なので、外部のデザイン事務所と一緒にやっています。
カフェ的なテーブルや椅子や置物など、オフィスがホーム化しているんですよ。
おそらく、ホームはオフィス化しないんでしょうけど、オフィスがホーム化しています。
だんだんとその境目がなくなってきています。
昔はオフィス家具はホーム家具の中には入らず、ホームインテリアの業界は、オフィス家具には入らないで一線があったんです。
オフィス家具は不特定多数の人が使う公共性のあるものですので、安全性だとか、強度とか、そういうものが全然違うんです。
家のものは決まった特定の人が使うものなので、それほど安全性や商品寿命の保証は求められません。
オフィス家具は20年とか保証しなければいけないので。

デザイン性を求められた上で、安全性、耐久性も保証しなければならないのでしょうか。

屋代氏

従来の安全性、耐久性を求められるとキツいところです。
オフィス家具は、がっしりとしたつくりなんですよ。
ホーム家具は細いものを使っているので、その感覚でいると、転倒性は甘くしないと。
オフィスは不特定多数の人間が使っていくものではあるので、そこらへんの落とし所をどこに持っていくかが問題です。
揺れの減衰時間など厳しく求められますので。

検査もあるのでしょうか。

屋代氏

検査基準があります。

ものづくり全体で後継者不足だったり、人材不足だったりの問題があがってきていますが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

屋代氏

内田洋行の子会社ですから、経営層は親会社の出向です。経営層の後継は、その形ですね。
私は65歳ですが、そのような形できています。
社員は現地採用で、当然労働人口が減ってきているので、なかなか人が集まらない部分があります。
解決策としては、一つは、60歳以上の方の再雇用です。
65歳過ぎても、健康で勤労意欲を持っている人には、パートなどの非正規雇用の形で仕事を延長してもらっています。
女性は正社員もいますが、積極採用し、パートも採用しています。
パートの募集をすると、われわれが思った以上に応募する方が多いです。
新卒の方は、高校卒の新卒をとっています。
今年は5名、去年は1名、その前は4名、3名くらいを定期的にとっていまして、そういう実績があり、高校とのつながりもできていますので、新卒の方は来てくれています。


従業員の方の年齢分布はどのような感じですか?

屋代氏

正社員の平均年齢は年々低くなっていますね。
こういう企業ですので、毎年採用というのをやっていませんでしたので、世代ギャップがありまして。
今年は定年退職者がいっぱいいたので、正社員の平均年齢が下がってきました。

御社がお仕事をする際に大切になさっていることについて、お聞かせください。


屋代氏

各部門の連携ですね。
会社は一人でやっているわけではないので、各部門がそれぞれ機能的に動くようにと思っています。
コミュニケーションがちゃんとしていかないと、仕事がスムーズが流れないということになるので。
そのために、情報伝達をしっかりやることを大切にしています。
ちゃんと情報伝達をしないと、ロスが発生します。
一つのものをやるときに、必要な情報がいきわたっていないといけません。


  ーーまとめ

  働き方の変化により、オフィス家具のあり方も変容。


  デザイン事務所とともに、自社商品を開発。


  別製、特注、カスタマイズなどの要望に、柔軟に対応。


  株式会社サンテックは、時代のニーズに応え続ける。


加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
中村 武史
担当者名
中村 武史
従業員数
72名
創業年度
1950年
メールアドレス
yashiro@suntech-k.com
電話番号
0289-76-3253

住所

〒322-0014 栃木県鹿沼市さつき町8 鹿沼工業団地

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