正栄工業株式会社

次世代へ感動をつくり続ける

正栄工業株式会社について
大阪府和泉市に、機械設備であるハードと人財であるソフトの両方に強みを持つ板金加工メーカーがある。

正栄工業株式会社だ。

堺市溶接技術コンクールで数々の受賞実績あり。

「No!と言いません」をモットーに、社内一丸で対応。

意識が変わったとある出来事について。

今回は、代表取締役社長の久保勇樹(くぼ ゆうき)氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容と強みを教えてください。 

久保氏

板金業ということで一貫生産で、設計から製造までワンストップ。
レーザー工程から一部塗装までやっています。
主力の商品が電気リフト用のバッテリーケースになります。
短納期に対応するため、受注してレーザーで切って溶接して出荷し、社内で塗装できるよう設備を作りました。
強みの一つは、30人規模の会社ではありますが、レーザー加工機が3台あることです。
レーザーだけの仕事もやらせてもらっています。
私は二代目で、創業者は溶接工でした。
溶接という仕事に重きをおいています。
うちの社員の半数くらいは溶接の免許を持っていまして、溶接に携わる部分を核として持っています。

溶接技術の習得や継承について、どのように啓蒙活動をされていますか。

久保氏

先輩からの技術伝承です。
溶接技術コンクールというのが、年に1回堺市主催でありまして。
50年くらい続いているんですね。
市主催というものの、ダイキン工業さんとか日立造船さんとか、一部上場の企業さんから出てこられるような大会で、うちも出て、何かしら賞をいただいたりしていますので、技術力をあげるモチベーションがあると思うんです。
昔は5人くらいむりやり引き連れて、捕まえて出ろって出させていましたけど、最近は社内で選抜して、選ばれた者が出て行くような感じになりましたね。
エントリーだけで15人もいたので、15人から5人を選ぶのは狭き門やなっていうことで、今年は7人に増やしたんです。
それでも、去年優勝した子が今年出られんとかありまして。


現在、工作機械業界、半導体業界が好景のため、稼働状況を考慮して経験者を採用している企業が多い中、御社は新卒採用に力を入れられています。背景や思いについて教えていただけますか。

久保氏

高校の新卒採用は7年前くらいに始めたんです。
その当時10名くらいの会社だったんですが、今年とって来年とらないとかをしないで、やるんだったら毎年、順々に入ってもらえるようにしようとスタートしました。
最初の3、4年くらいは、募集したら高校から応募があって、順々に1名ずつ入ってくれたんですけど、ここ最近は高校生が引く手数多で。
大手企業ががさっと人手をもっていくんで、うちらのところには残っていないんです。
それでマイナビで新卒募集しました。
町工場に大卒の子がくるわけないよって言ってたんですけど、やらなくちゃわからないのでやってみようと。
3年前に1人入ってくれて、去年は4人入ってくれまして。
4人中1人は高校生で、残りの3人は大卒の子で、今年また春に大卒2人と高卒1人入ります。

継続して採用していくのは大変だと思います。お仕事の引き合いがないと、なかなか人を増やしにくいと思いますが、どのようなご状況ですか。

久保氏

今、仕事は忙しいですね。
ですが、忙しいから人を入れているというより、人を入れて彼らに活躍してもらえるよう仕事を取っていくイメージの方が強いですね。
普通であれば、儲かっている会社でないとそういうことができないですが、優秀でいい人材が目の前にいるのに、今年の採用枠は一人だからと絞ることはできないです。
うちの方針として、採用枠に関係なく、いいと思う子がいたら採用しようと。
その子の仕事を自分たちがつくっていけばいいんじゃないかと。
来てもらわなければ何もはじまらないので、来てもらった以上は彼らが活躍できる場をつくっていくのが大事だと思っています。


今までの歴史の中で、大変な案件や泣く泣くお断りした案件があると思いますが、印象深いエピソードはありますか。

久保氏

ホームページには「No!」と言わないというのを掲げています。
おおっぴらにはいわないんですけど、そこまで書いたのは去年くらいです。
社員の意識が変わった出来事がありまして。
5、6年前のクリスマス直前、そろそろ正月前の掃除をしてという時に、工具メーカーさんから連絡が来て。
特殊な工具が4000個いるという話があって、しかも超短納期で。
普通ならできるんですけど、4000個を数日でっていったら、なかなかできないです。
その時にレーザー担当している部長に相談してみて、そうしたら、「やりましょう」と。
正月休み返上して対応したんですけど、それがきっかけでお客様と継続して取引ができるようになりました。
それ以上に、お客様が困っている所に対応することで、信頼を得れるというのを、本人の意思で気づいていったのが大きかったです。

従業員の方から積極的な意見が出たのは大きいですよね。

久保氏

やれと言われてやるのは、業務命令ですから、やらざるをえない。
やらされている感でやるのと、自発的にやるのでは全然違います。
そこのところの成功体験がすごく大きくて、全員がそうなったかというとそうではなくて、彼が気づけたというのが大きいのかなって思います。

御社はQC活動もされていたり、ホームページのURLが4158だったり、現場の意識が高く、改善活動にも熱心だと思いますが、どういう背景からQC活動をされたのでしょうか。

久保氏

私が先代から代表をかわった年に、3S活動を始めました。
もともと先代は創業者なのでトップダウンで、ぐいぐい引っ張っていけばよかったんですけど、私がそれを代わってやっていってはいけないと思いましたので。
その当時の先代の考えでは、「現場が汚くても、ええもんさえつくっとったら、仕事がなんぼでもくるんや」でした。
ところが、いろいろな会社を見る中で、ええもんを作っていても、きれいにやっている工場がほとんどになってきていたので、自分のところに帰ってきて、汚さにうんざりして。
これではあかんやって、3S活動を始めたんです。
実際に3Sというのは、掃除することとかじゃなくて、生産をあげて、人の自主性、主体性、人間力、気づき力を高めていくっていうことが根本にあることがわかって、継続しています。


実際にきれいな現場にすることに加え、工程の改善を重ねられていると思うんですけど、効果はありましたか。

久保氏

また最近崩れて、汚くなってきているので、意識してやり直しています。
物を探す時間とか、無駄なものを買わないとか、そういう部分の意識は高まってきているので。
以前と比べると、物を大事にするとか、機械の点検とか、引き継ぎができるようになっています。

現場の話になりますが、どういったところにITを導入されていますか。

久保氏

一応生産管理のソフトが入れてやっていますが、まだ十分に使いこなせていない部分があります。
人がいなくて手が回せなかったところもありますので。
だんだん人も増えてきましたので、今年くらいから専任、工場長に任せてやっていってもらえるような体制が整いつつあります。
そのため、本格的に今年は進めています。
具体的には、「チームマネージャー」という、営業の案件や商談をチームでマネジメント、日常業務で気付いたことを報告する日報を電子化したものを使っています。
工場が3箇所あるので、今日誰が、何をしたのか、何を感じたのか、気付いたのかを共有できる仕組みがあると有用です。

今、御社でなにか挑戦されていることだったり、新しい取り組みはありますか。

久保氏

去年から進めている新しい取り組みは外国人採用ですね。台湾の大卒2人とベトナム人エンジニア4人を採用しました。
もともとうちは、国内の仕事しか眼中になかったのですが、彼らが活躍できる場所を考えた時に、中国語を話せるから中国ですよね。
台湾には付き合いのある会社さんがたくさんあるので、足がかりにして、台湾の人たちと一緒に中国に行くんやったら成功率は上がりますし。
台湾から東南アジアというのもひとつの手ですので、考えています。

これから伸びていきそうな気配がありますか。

久保氏

2年以内に台湾支店をつくって、5年以内にベトナムに工場をつくって。
そういうのは着々と進んでいて、何を作るかっていわれると、まだそこは具体的に考えていませんが。

海外進出に対して、もともと展望を持っていらっしゃったのでしょうか。

久保氏

いや、そういうのは別にないです。
去年実習生が足りなくて、海外実習生を採用したところ、いい子がたくさんいて。
ベトナムで面接して、全員連れて帰りたいくらいいい子ばっかりだったんですけど、その中でも3人ほど採用し、教育して、こっちにきたんです。
彼らはハングリーさが全然違いますから。
家族のため、国のために来ていて、覚悟が違いますから。
彼らを見て日本人が刺激をもらいます。
その子たちが素朴で素直でかわいらしくて。
うちの子達もなんとかしてあげたい思いでいますし、彼らは彼らで日本語を覚えて、仕事を覚えて役に立てるようにやっていきますんでといいますので。
仕事を覚えるのもめちゃめちゃ早いです。
二ヶ月くらいで、覚えてくれて。大戦力になってくれて。そのうちに、国に帰らなくちゃいけない。
せっかくこれだけの技術を身につけたのに、どんな仕事をするかわからないっていうので、うちがベトナムに工場をつくったら働いてくれるかっていうたら、「うん」っていうんで、「じゃ、つくりましょう」って。

現在、代表者様が実感されている金属加工業界の課題はどのようなものですか。

久保氏

どんどん高齢化していっているのが普通ですが、うちは若すぎて。
それは、技術を身につけていけばいいところでもありますが。
業界全体でいえば、会社自体が少なくなっていますし、横のつながり自体があるようでないですね。
課題になっているのは自社で全部こなそうとしていて、自社でこなせないものは断るとか。
そういうのはもったいないですし、じゃ、協力会社がいっぱいあるかっていうと、そうでもないですし、横のつながりを増やしていきたいですね。
どかんと大量に急にくるような仕事でも、知っている業者がたくさんあれば、少しずつ仕事を分けながらできるやろって思います。
うちもNoと言わないと掲げているんで、断るわけにはいかないので。
どうやったらできるかって考えたら、納期がもう少しあって物量が多い分にはかまわない。
納期をもっと延ばしていこうと思いますね。

  


  ーーまとめ

  「No!と言わない」ことを成長の糧にし


  家庭的なあたたかい社風でものづくりに挑む


  今後を見据えて、東南アジア展開を推進


  正栄工業株式会社は、100年企業を目指す


加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
久保 勇樹
担当者名
久保 勇樹
従業員数
33名
創業年度
1968年
メールアドレス
info@shoei4158.co.jp
電話番号
0725-92-2451

住所

〒594-114 大阪府和泉市国分町1419-1

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