株式会社仁張工作所

トータルメーカーとしての誇り

株式会社仁張工作所について
大阪府東大阪市に、一貫生産体制に強みを持つ板金加工メーカーがある。

株式会社仁張工作所だ。

ロッカーやキャビネットなどの箱物筐体を得意とし

設計から塗装工程を含む仕上げまで一貫生産体制を構築。

現在進めているIT導入について

今回は、常務取締役の仁張茂(にんばり しげる)氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容と強みを教えてください。

仁張氏

どこかの系列でない会社の板金屋としては、ある程度の規模がありますので、規模感が出せるところがポイントです。
社員数がアルバイトさんまで含めますと約150人います。
設計から抜き加工、折り曲げ、溶接、塗装仕上げまで一貫してできますので、トータルでお受けできます。
東大阪という地の利を活かしまして、社内で一貫してできない特殊加工につきましても、外注さんネットワークで完成まで対応させてもらっています。
とくに板金屋の中では、自社で塗装まで対応できるのが強みだと思います。

弊社の成り立ちとしましては、創業者である私の父が金庫の設計をやっておりまして、脱サラして図面を書いて、抜き加工からはじめて完成までやっていました。
昭和61年に塗装までできる一貫した工場にするため、ここの建物に移ってきました。
そのあとISO、エコアクションの認証取得し、官公庁や大手企業さんからワンストップでお受けできる体制を整えました。
売り上げは2012年から20億を超えるようになり、売り上げの約半分が大手企業さんからのサプライヤーで、図面通りにお作りし、部品などを納品させてもらっています。
約4分の1が二社のカタログ製品の下請けをやっています。
残りが自社商品の直販やオーダーメイドの対応があります。
その中で任せていただいている中で、定期的なお客様がいますので、ここ数年は安定した形でやらせてもらっています。

サプライヤー事業もステンレス家具や什器が多いのでしょうか。

仁張氏

家具というよりも部品が多いですね。
医療機器や空調機のカバー、産業機械の部品、部品単位も含めて納入させてもらっています。
核となる会社さんが10社強ありますので、お客様への安定した提供をしています。


昭和61年に塗装環境を持ったところに移られたということですが、今でも一貫生産のご依頼があった時に塗装までできることが強みになっていますか。

仁張氏

ロッカーやスチール家具などの箱物板金を手がけている関係で、塗装工程がついて回ります。
外注さんだと品質面、納期面がうまくいかない時がありますし、この建物だけで最後までいけるのが強みかなと思います。

いろいろな工程もあって技術を身につけていかないといけない思うのですが、従業員の多能工化を推し進められているんですか。

仁張氏

それもありますが、今年はITを推進していますね。
重要視しているのがコミュニケーションと自動化、RPAです。
大手企業さんになると、インターネットを介しての注文が多く、EDIデータとか予測情報をもとに、定期定量生産という形にしています。
休日が増えたり、有休消化、人手不足の問題から労働時間も10年前に比べて2割くらい減っていますので、機械に頼れるところ、人がするところ、自動化できるところ、を合理化していくのが今年来年くらいのキーワードかなと。
今一番大きな仕事でいいますと、本社工場では、大きな仕事は夕方の17時15分までにきた仕事を、18時からネステングをかけて、20時から機械で加工する、1個単位ロット1単位の作り込みで、1日200くらいあるもので、0日目で抜き加工、1日目で曲げ加工と溶接加工、2日目で塗装で出荷しています。
変量でやっていますので、大変ですが仕組みとしてできています。
今は、仕事は積極的に取りにいってはいないですが、続けていただいているお客様にご迷惑をかけないよう、ストライクゾーンの仕事をきっちりしています。


これまでの歴史の中で、思い出深い案件や苦労した案件、思い入れのあるエピソードはございますか。

仁張

毎月100万円以上の仕事など、続く仕事は立ち上げの体制づくりが要ります。
今は売り上げが20億ありますが、2009年の売り上げは10億くらいしかなくて、先ほどお話しした大きな仕事をお受けるするかしないか非常に考えました。
お客様の方でも歩み寄ってもらって、きちんとしたテキストデータをもらって、うちもフリーサイズの制御盤のプロトタイプの作り込みをして、曲げしろ、遊びとかを全部作り込んでいきました。
立ち上がって10年目くらいになりますけど、おかげさまでずっと伸びています。
仕組みでできている仕事なので、仕組みをつくる時は都度苦労しますね。
中小製造業の場合はキャパの部分がありますので、人手不足を感じていますね。
外注さんがやめはる場合もありますし、いろいろな場合がありますね。

新生産管理システムを2005年に導入されたり、2014年関西IT100選に選ばれたり、IT、RPAを強化していくところで、現在はIT面はどのように強化されていきますか。

仁張氏

今年の大きな目標の中に、ITを入れています。
ITはあくまでも手段なんですけど、LINEみたいなツールを入れてコミュニケーションを高めています。
EDIでつながっているお客様に対して、ルーティンワークの自動化というのを持っていまして、RPAとか、ものと情報の一致で、RFIDでいろいろなことをやっていきたいなと。
ここ5年くらいハイブリッド生産をやっていまして、本社と三和工場と外注さん、どこでやるのが一番いいのかということですね。
単純なブラケットだったら、うちでやるよりも2人くらいでやっているところでやったほうがいいですし、アルミの溶接やうちでできないパイプ曲げは、外注さんでやらないと。
ハイブリッド生産に磨きをかけ、最適化を目標にしています。

どのような思いで自社のオリジナル商品を開発されたんですか。

仁張

売り上げが減っているんですよね。
私が入社した頃、1990年代郵便局の仕事が一番多くて、街の郵便局全部にキャッシュコーナー、引き出しを入れてたんです。
近畿郵政局の仕事は全部やっていました。
郵政民営化があって、その仕事がゼロになったんです。
一番売り上げが多かった郵便局の仕事がなくなって、入社した時にはお昼までしか仕事がない時があって。
そこで、ホームページも立ち上げて。最初は自分で作りましたからね。
本だけ買ってフロントページエクスプレス、ホームページビルダー、Photoshopでつくって。
商品を載せて、ぱっと自社で売れるよう、自社でできるものがあったらいいなって。
その中からオリジナル商品として、貴重品ロッカー、スポーツロッカーと立ち上げていきました。
売り上げは全体の15%くらいですけど、思い入れはあります。
貴重品ロッカーは自社で売るのがいいのか、大手通販業者様などのサイトに載せて売るのがいいのか迷っています。
スポーツロッカーは、プロ野球6球団に納入させて頂いています。
また今年に入ってからは、甲子園常連高校からも注文を頂きました。
センバツ優勝候補の一角にもあがり、“優勝してくれへんかなぁ”と応援しています。
プロサッカー(Jリーグ)やプロラグビー(TOPリーグ)、バレーボール(Vリーグ)…。
あらゆる競技のプロチームに最も納入していることが自慢です。
これらは口コミだけなんです。
遅まきながらfacebookもはじめましたので、発信していきたいと思います。


今現在御社で取り組まれていることや挑戦されていることをお聞かせください。

仁張氏

近い将来設備投資して、設備を入れる場所がないので用意します。
やりたいこととしては、家族経営の会社さんのハブになって、一緒になってものをつくることもあるかもしれないです。
引き合いあってのことで、今から人が減っていくのでどうなるか。
国内の仕事は増えはしないでしょうけど、それ以上に人は減って、忙しいけど儲からんということがあります。
利益を出し、「健康・健全経営」をやっていかなあかんと思っています。

板金加工業界全体の課題について、実感されていることをお聞かせいただけますか。

仁張氏

製造業がやりにくい時代になっていると思うんです。
働き手不足で製造業がやりにくい中、「健康・健全経営」をしようと思うと、選択と集中が必要で。
IT化しようと思っても大手さんの方がずっと進んでいるんです。
東大阪でも、後継者不足でものづくりをやめるっていうところ多いと思うんです。
どうやって解決していくのかは、人件費、工賃、鋼材全部上がっていますから、知恵を使って自分の得意なところをやって利益をあげるほかないですね。
合理化をこれ以上やるのは難しいでしょうから。
仕事を受けないのもありでしょうね。
受けなくても困らないよと強く言える会社にならなければ。
人材紹介の会社は強いじゃないですか。
ハローワークだけじゃ人がこないので、採用にすごくお金がかかるので、その中でどうやって人を確保していくかの問題があります。
人を採用する競争は、だいぶ熱を帯びてくるような気がしますね。

今仕事をしていて、抱えられている問題やお困りごとはありますか。

仁張氏

5工程ありますので、チーム間のバランスがありますよね。
いろいろなお客さんの、いろいろな多品種をやっていますので、その仕事によって塗装に負荷がかかるとか、曲げが難しいとかいろいろあるんですよね。
その時にどうやって解決していくのか、チーム力とか、各チームがチームワークで、ちゃんとやらなあかんし。
現代人の特徴として無関心とかありますし、会社はチームプレーだと思いますので。
どうやって克服してやっていくか。
コミュニケーションの問題もありますし、評価一つとっても、昭和30年代からの年功序列の賃金形態とか、人が一社でやめへんというのは、今はないじゃないですか。
そういう中でどうやって評価基準をもってきて、みんなが納得して働くか。
モチベーションを維持してもらうことが、離職率につながってくると思います。通常の業務の中では日々悩みだらけです。
実務的なことでいえば、連続運転なので抜きカスが出るわけですよね。
ロッカーを50台作りますってなったら、1.5枚で1台作るとなれば、最後の1台はたくさんあまるわけです。
端材がいっぱい出てきて、こまめに消化してもらおうと思ったら、小さな会社さんは手分けしはると思うんです。
スクラップやったら10分の1にしかならんけど、B級品とかで50円で買うところがあったら、大きな機械で連続運転でやることもなくなります。
5人くらいの会社さんは加工賃仕事をしているんですよ。
材料費にも経費利益が乗るからいいと思うんですよ。
うちは端材がどんどん出てくるから、置き場に困っています。
3Sに悪影響を及ぼしたりしますね。
最初は端材からオセロを自社製品でつくろうと思っていたんです。
アニマル型のブックスタンドは作っていたんですけど、手間を考えるとうまくいかなくて。
端材の活用が今いちばん悩んでいますね。



  ーーまとめ

  IT化を推進する中、新生産管理システムを導入し、RPAを強化


  二工場と協力会社によるハイブリッド生産により最適化を進める


  「健康・健全経営」の実現を目指し


  株式会社仁張工作所は、組織としての強みを高める


加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
仁張 正之
担当者名
仁張 茂
従業員数
150名
創業年度
1964年
メールアドレス
sales@nimbari.co.jp
電話番号
072-962-2888 

住所

〒578-0921 大阪府東大阪市水走3-14-6

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