株式会社森中製作所

学校給食を下支えして60年

株式会社森中製作所について
大阪市東成区に学校給食用の厨房容器に特化した板金加工メーカーがある。

株式会社森中製作所だ。

家族経営で一致団結。

へら絞り加工とプレス加工で、学校給食用の容器を実現。

北海道から沖縄まで納品する。

今回は代表の橋本秀一氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

橋本氏

弊社は、学校の給食の厨房容器に特化しています。
学校給食のおかずが入ってるものですね。
創業からずっと手がけてきています。
丸いものは、全部へら絞り加工ですね。
細かいものに関しては、プレスでやっています。
株式会社になったのが、昭和33年で、最初は脱脂粉乳を入れるようなものでした。
もともとは祖父が、脱脂粉乳の撹拌機をつくっていた関係で。
そこから戦後、学校給食が全国的に広がっていくのにつれて、あれもできないだろうか、これもできないだろうか、という形で商品の種類も増えていきました。
納入先は全国で、北海道から沖縄まで卸しています。


ありがとうございます。全国に卸されるようになった経緯などお伺いさせてください。

森中氏

基本的には、商社さんが間に入る形です。
商社さんから注文をいただいて、そのまま代理店に送ることもありますし、直接学校に送ることもあります。
後は、給食センターですね。
給食センターから直接受注をもらって、そのまま発送する流れ。
あとは、在庫を持ってくださるところにまとめて納入させていただくこともあります。

ただ、少子化などの問題もありまして、基本的に生産が減っています。
生徒が減れば、備品の数も減りますよね。
昔は、全国どこにでも給食センターがあるような感じで沢山ありました。
そこに、どんどん卸していたのですが、なかなか難しくはなってきています。

なるほど。へら絞りは、力を入れる作業で多いと伺っています。

森中氏

そうですね。
昔は、職人さんが沢山いたのですが、だんだんと少なくなっていきまして。
今はもうほとんど機械で手がけています。
ただ、外注先のお話を伺うと、手でやっていらっしゃる方がまだまだ沢山残っているようです。
外注さんは、ほとんど個人経営の方ばかりですので、なかなか大変だと思います。
高齢化も進んでいますし。
色々情報を仕入れながら、新しいところも探したりもしています。
ニーズはあるので、絶対になくならない仕事だとは思っていますね。
何なら最後の一人になってもやろうと思っていますよ(笑)
今は経営の方に注力しなければいけないので、なかなか思うように動けませんが、根は職人気質なんですね。
やはり、ものをつくっていたいです。

ありがとうございます。森中さまが継がれることになった経緯などお伺いさせてください。

森中氏

自分で3代目です。
創業したのが祖父で、祖父が亡くなったあとは、父が継いでいました。
ただ、その父が体調を崩してしまって、急遽継いで欲しいという状態になったんです。
それが3年前くらいで、引き受けざるを得ない状況でしたね。
自分も、もともと現場で、ものをつくっていました。
弊社も、家族経営だったので、抵抗があったわけではないのですが、突然のことだったので。
何も準備することもできなかったですし、本当に何もわからないままで引き継ぎました。
何から手をつけていいかわからず、本当に手探り状態でして。
その都度その都度、これはこうやる、あれはああやるっていう形でした。
もともと先代も変わった人で、ものを教えてくれるようなタイプのひとではありませんでした。
ですから、基本的なことを一から積み重ねていって、何とか今までやってきたという感じですね。

ありがとうございます。60年くらいの歴史がある中で特に難しかった案件や仕事などございましたら、お伺いさせてください。

森中氏

もう苦労ばっかりでしてね。
その中で一番難しかったのは、事業を引き継いだ時でしょうか。
ただ、あんまり覚えていなくて(笑)
まずは、信用を持ってもらうところからやったのですが。
ものはつくれても、それも信用がなければ依頼がありませんからね。
これからもよろしくお願いしますっていうところからやりました。
色々と飛び回りましたけど、一番確実なのは信用をきちんとつくることですからね。
製品の品質や納期はもちろん、電話の受け答えくらいから意識してやりました。
頼まれたことも、何でもやるっていうくらいの勢いで。
気づいたら、山場を越していたという感じです。
何かあると夜眠れない。
とにかくがむしゃらにやって、気がついたらクリアしている。
その繰り返しですね。

なるほど。それは家族経営でよく直面する課題でしょうか。

森中氏

そうですね。
でも、家族経営だからできている部分でもあります。
あまりメディアとかでは取り上げてくれないことですが、家族だから信用して仕事ができるところがあります。
一致団結して仕事ができるところは、強みですね。
弊社は、兄弟が仲いいんです。
普通はこんなに仲良くないと思いますよ。
ですから、今のところは家族経営で、上手くやれているところがありますね。


ありがとうございます。引き継がれて、お忙しくされてきた中で、新しく挑戦されていることなどございましたら、是非お伺いさせてください。

森中氏

挑戦といういい方になると、あまり公にはしていないのですが、ECサイトで販売をしています。
そこでは、自社の名前をだしていないんです。
自社の名前を出してしまうとややこしいことになってしまうので(笑)

今年で10年くらいになると思います。
その分、ホームページで自社の製品をおしだしていないんです。
自分が代表になる前から、勝手にやるっていって。
その頃、売り上げが落ちていたので、何かしないといけないと思って、やり始めました。
面白いもので、これがなかなかレトロで、ありそうでない。
そういう引き合いと、後はアウトドアで使用されることが多いみたいです。
キャンプとかする際に使用するんでしょうね。
そういう形で重宝してもらっています。

売上の規模的に、それほど多いわけではないのですが、道筋みたいなものは見えていて。
結構力を入れて取り組んでいます。
昔は片手間でやっていたのですが、代表になってからは奥さんに任せながらやっています。

なるほど。そちらの方は、個人のお客さまが多いのでしょうか。

森中氏

個人も多いですね。
ただ、会社さんだったり、お店だったりもあって、多種多様ですね。
NPO法人さんみたいなところが、大量にドバっと買っていかれたこともありましたね。
そっちの方から、弊社の方に問い合わせがあって、新規のお客さんになるということもありますね。
そこで、つながった大手の量販店さんは、自社ブランドとして販売されていますね。

今、実際にお仕事をされている中で、板金加工業界や金属加工業界で実感されている課題などございましたら、是非お伺いさせてください。

森中氏

難しいですね。
ただ、やっぱり担い手は減っていくでしょうね。
弊社の周りの人たちの話を聞いていても、ほとんどが自分の代で畳むような話ばっかりです。
個人でやっているところが、多いのもあるでしょうが。
そういう中で、どうやって生き残っていくかといったら、知恵を回さないといけない。
単純な技術で勝負というのは、なかなか難しいように感じています。
ものというか商品に対して、何といえばいいのでしょうか、それなりの値段をつけているところが、残っている印象がありますね。
買いたたきにあってしまったところは、最終的に淘汰されてしまっている感じがします。
見積りして、高いから他に行きます、というようなことは、だんだんできなくなってきているように思います。
もうその製品は、そこでしかできないような状況になってきていますから。
適正価格にだんだんと落ち着いてきているのかもしれませんね。
同じような仕事をしていたら、どうしても価格競争になってしまいます。
それで、結局同業者同士で首を絞めあったように思います。
上手く棲み分けとかできていたらよかったんでしょうが。

今まで買いたたきをしていたところが、適正な動きになってきたのでしょうか。

森中氏

まだ、そこまでは行っていないですね。
やはり発注側が優位ですから。
本当に適正価格なものをつくろうと思ったら、オリジナル商品を出さないといけない。
自社でしかできないよ、という強みがあれば、全然違いますね。
弊社でも、今つくっているものでも、もう自社でしかできないようなものもありますね。
似たようなものはあっても、同じものかといったら、やはり違いますので。
そういうところも、きちんと打ち出していかないといけないと思っています。

これは、よく考えることなのですが、お客さまはすぐに商品ができるものだと思っている。
弊社の工場まで見に来てくださった方は、ちゃんとわかってくれるのですが。
手間暇がかかることをわかってくれますから。
給食用のもので、1個絞るのに20分はぜったいかかりますよ。
この丸い形にするだけでも、それくらいは絶対かかります。
あと色々な部品を使用したら、10分。
合計で30分はかかりますね。


なるほど。先ほど担い手不足のお話を伺いましたが、そこには給料の問題もあると伺っています。

森中氏

それは絶対ありますね。
先ほどの適正価格のところですね。
どうしても単価が安い。
弊社のことで言えば、最初に決めた単価でやっていかないといけないというようなところがある。
材料費なんかもどんどんあがっていくけど、ものの単価をあげることがなかなかできない。

他社さまで、特殊な溶接をされているところとお話したのですが、そこはその都度その都度の見積りで、ものをつくられているようです。
ですから、材料費が高騰した分はそこに上乗せできるみたいですね。
それは、確かに強いなと思います。
弊社は、既製品のようなところがありますので、なかなかそういうような値段のつけかたはできない。

既製品をつくって大きな市場でやっていくか、オリジナルの少量多品種で単価の高いものをつくっていくのかでいったら、絶対にオリジナルの方が強いです。
それは、そこでしかできないものですから、極端に言えばブランドですよね。
そういうブランドをつくっていけるようにやっていきたいですね。


まとめ

3代にわたる家族経営の強みをいかして。


学校給食を下支えして60年。


レトロな味わいがECサイトでじわりと人気。


自社ブランドの構築を目指して。


株式会社森中製作所は今日もがむしゃらに。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
森中 亨
担当者名
森中 亨
創業年度
1958年
メールアドレス
morinaka@w3.dion.ne.jp
電話番号
06-6732-5225

住所

〒577-0808 大阪府東大阪市横沼町3-15-16

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