株式会社メタルファンテック

ものづくりの面白さを追求する

株式会社メタルファンテックについて
大阪府東大阪市に製缶板金に強みをもつ板金加工メーカーがある。

株式会社メタルファンテックだ。

ものづくりの面白さを追求して、自社製品を生み出していく。

キリコ、カルックアーム、落花生脱皮機、酸洗浄機。

ものづくりの面白さを追求するとはどういうことか。

今回は、代表取締役会長の平井敏治氏にお話しを伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

平井氏

加工技術でいいますと、ステンレスを得意としています。
製品でいうと、食品関係、薬品関係、半導体関係も手掛がけています。
ただ、それだけを手がけているわけではなく、ご依頼いただいた仕事はできるだけチャレンジするように心がけています。
ですから、初めての仕事も沢山てがけてきましたし、結果的に本当に多岐に渡った仕事をしています。
会社を立ち上げて40年経ちましたが、図面があれば大概のものはできますね。
薄いものから厚いものまで、守備範囲は広いと思っています。
そういう守備範囲の広い人間が弊社に多くいます。
彼らのキャリアが弊社の財産となっていますし、特徴でもありますね。

これまで手がけてきたものの中でも大きなものは、冷却槽。
15、6mくらいのもので、素材の重さでは5、6トンになるものでした。
大きさで、あまり驚くことはありません。
工場の中で、できるものでいえば、9トンくらいの素材まで。
大分前になりますが、かなり大きな生ごみ処理機を手がけたことがあります。

弊社は、製缶板金を強みとしているのですが、製缶板金にはマンパワーの部分が残っています。
機械だけではダメで、人間が介在する余地が残っているんですね。
多品種小ロットのものを製作していく上で、どれだけ人間の部分で価値を生み出すことができるのか。
そこに、どれだけ対応できるのかが、生き残っていく道でもありますね。


ありがとうございます。どのような形でのご依頼が多いのでしょうか。

平井氏

おかげさまで、毎年一社ずつ増えていっているような感じです。
今は、お客さまが検索して、ホームページの方からお問い合わせをいただいている状況ですね。
我々の方から、営業をかけて案件をいただいてくるということは、あまり多くないです。
きちんとホームページで情報発信をしていれば、お客さまの方が弊社を選んでくださっている状況です。
我々のようなものづくりの業界は、営業をかければすぐに仕事に結びつくというようなものではありません。
業界が一致していても、タイミングが合わないといけないんですね。

なるほど。先ほど、人間の部分の話がありました。社員教育なども含めて、お話を伺わせてください。

平井氏

はい。
様々な側面がありますね。
まず、弊社は、会社として人が仕事をしていく部分を大事にしています。
人がいなければ仕事ができないし、仕事ができなければ事業を継続できませんから。
その上で、会社そのものをつくっていくには、大きく分けて種類の違う2つの仕事があると思っています。
1つは、売り上げをあげていく仕事。
お客さまの要望にきちんと答えられる技術を身に着けていくことです。
もう1つは、チームワークで、会社そのものの土台をつくっていく仕事です。
会社全体のことを見ながら仕事をしていく感覚はとても大事です。
そういう感覚を持ってもらわなければいけません。
事業が継続していくには、お客さまからの依頼がリピートしていかなければいけません。
そのためには、今述べた2つの視点をきちんと持っていることが重要です。
そういう意味では、両方ともつながっています。

今、働き方改革の話が盛んで新卒を採用するために、休みはきちんと何日設けてくださいとかありますね。
そういう視点も確かに大事です。
しかしながら、全部がそういう内向きな視点になってしまうと、仕事をさせていただけていることへの感謝のようなもの、そういうものを忘れてしまいます。
仕事をすること自体は罪悪でも何でもないです。
でも、仕事というと重労働だったり、過酷な労働のイメージが強くなってきてしまっている。
働くことそのもののイメージが悪くなってしまっている。
働くことは、本来とても楽しいことで。
自分から積極的に向かっていくようなところが、本来あるはずです。
そういう意味での、やりがいのようなものが、だんだん抜けてきてしまっているように思います。

やりがいを感じる仕事は、沢山あります。
仕事は、単に時間ではかるものではないように思います。
ものづくりの現場におられる人で、やりがいを感じながら仕事をされている方は多くいらっしゃいます。
もちろん、それは過酷な労働を、人に押し付けるということではありません。
機械があんまりない時代は、1人の人間が図面を見て、曲げて、穴開けて、溶接、仕上げまで手がけていました。
そこには、一気通貫で製品を作りあげていく、ものづくりの本来のあり方がありました。
そこに、ものづくりの面白さがあったわけです。
残念ながら、そういうものが効率性を重視するために、分断化されてしまいました。
自分の目の前にきたものだけを、加工して次の工程に送っていく。
それでは、なかなかやりがいというものを感じられないと思います。

ですから、これから若い人たちを採用していく上で、多能工ではないですけれでも、色々な経験をさせてあげること自体が大事なのかな、と思っています。
それは、やりがいの部分だけではなくて。
例えば、お客さまというのはできあがった製品のことを考えていらっしゃいます。
ですから、こちらもできあがる製品全体のことをきちんと理解しながら、仕事をしていかなければいけない。
お客さまに部分的な話だけしても、上手くコミュニケーションはとれない。
全てを見渡せるような人間をきちんと育てていかないといけないと思っています。


図面だけでは、なかなか製品全体を理解できないのでしょうか。

平井氏

確かに、図面というものもございます。
ただ、図面は最低限度の情報であって、組み立てたときに製品がどうなるのか。
そこまで、きちんと考えて仕事をしなければいけません。
図面通りに作っても、製品がきちんと機能しなければ意味がありませんから。
また、図面の使いまわしという問題もありますよね。
同じようなものを発注するために、図面使いまわしていく。
図面は複雑になっていくし、最初に書いた人間もいなくなっていく。
そうすると、図面上になんでそのような指示があるのか、だれも説明できない。
CADデータでも同じような問題が起こります。
DXFで送られてきたデータがつじつまが合わなかったりする。
部分的な仕事をしていると、こういう問題が起きてしまう。
部分ではなく、全体を見渡す視野をもって仕事をしなければいけません。

ありがとうございます。自社製品も多く手がけられていると伺っています。これまでに難しかった案件、印象に残っているものなどございましたら、是非教えてください。

平井氏

難しいですね(笑)
はじめてのものにチャレンジするのが面白いので、極力量産ものをやらないようにしています。
弊社は、もともと大量生産でやることを意識していないんですね。
その中でも、一番印象に残っているのは、生ごみ処理機ですね。
とても大きくて、重たかったんです。
これは、ある会社の開発部さんから受注した案件でした。
一時期、生ごみ処理機は、どこの会社でも手がけているくらい流行った時期がありました。
中堅規模の会社から受注したんですが、開発から協力させていただきました。
1日に500キロもの量を処理する生ごみ処理機なんです。
それも、当然初めての案件でした。

設計から製品製作までの受注という形でした。
最初に、このようなものを作りたいんだけど、言われたので、はいできます、といったんです。
設計から友人と提携しながら、手がけたのですが、ものができてくると本当に大きくて(笑)
もちろん、図面上でその大きさを知ってはいたわけですが。
長さでいうと7m強、幅も2、3m、高さも2、3m。
さらに、その中に撹拌させる機械をセットしました。
ですから、電気系のものも手がけさせていただいたんですね。
弊社のネットワークの中で、電気を得意としている友人がいますので、そこで協力しながら実現させました。
かなり短期間で制作しました。
大体、一ヵ月半くらいだったと思います。


なるほど。自社製品で「キリコ」というペーパーホルダーなどを手がけられています。この辺りの製作秘話をお伺いさせてください。

平井氏

いわゆる失われた10年とか、20年とかいう不景気な時代がありましたよね。
で、色々文句は言いたいわけですが、でも文句をいって事業がよくなるわけではありません。
経営者っていうのは、自分で自分を奮い立たせなければいけなようなところがあります。
何かできることがないかな、と思った時に中小企業創造活動促進法というのがあったんですね。
そういうものに認定してもらえれば、特許じゃないですけど、会社の1つの目標にもなるわけですね。
で、何をしようかと思ったときに、私の友人で障碍者の方のために一生懸命に働いていらっしゃる人がいまして。
その人が、片手だとトイレットペーパーが切れないって仰っていたんです。
じゃあ、それに挑戦してみようと思いまして。
挑戦してみたら、思った以上に大変でして(笑)
出来上がった製品はシンプルなものでして。
ただ、思いつくまでがドラマチックだったんです。
寝ていて、夢の中で思いついたんですね。
頭の中で寸法も込みで立体で思いついたんですね。
これまでの仕事してきた蓄積があったんでしょうけど、それで実際にできてしまいました。

ただ、我々には、それを売っていく手段というものを持ち合わせていない。
アピールは一生懸命して、展示会やメディアの取材を受けさせていただいて。
あらゆるメディアに出させていただいたんです。
ニュースとして取り上げてもらえたのですが、実際の販売ということに関係するような宣伝効果はなかったです。
量産するかどうか、本当に迷いまして。
量産するなら、金型をつくらなければいけませんし、在庫も抱えてしまう。
そうすると、売りに営業に行かなければいけませんよね。
でも、金属加工屋ですから、そういう営業マンっていませんし。
それを考えたら、できるだけお金をかけないように作るようにしました。

ありがとうございます。今、挑戦されていることなどお伺いできればと思います。

平井氏

先ほどの自社製品の話と被ってしまうのですが、落花生脱皮機、要はから割り機ですね。
これは、もともと沖縄の友人にちょっと手伝って欲しいと言われて、伊江島というところに行ったんですね。
落花生の苗を一緒に植えるところから、仕事をさせられて(笑)
でも、そこで地元の落花生農家屋さんや名護学院っていう地元の社会福祉法人さんとのかかわりができたんです。
で、見ていたら殻を割るのが大変そうだったんです。
大阪に戻ってきて、何かできないかなと思って作ってみたんです。
それが、始まりでして。
まず、手動のものを作ってみて、上手くいきそうだなっと思って、今度はモーターをつけてみてやったら、これも上手くいきました。
細かい原理とかは、よくわからないのですが、こうやれば上手くいきそうだな、と思って試しにやってみるとできてしまって。
で、沖縄から見に来てもらって、喜んでもらえたんです。
これを売っていこうという気持ちは本当になくて。
別に機械屋でもないのに、機械を設計しているわけですし(笑)
今までやってきた経験やノウハウで喜んでもらえるなら、それでいいと思ったんです。
実際にどれだけの需要があるかもわからないので、量産するわけにはいきませんし。

ただ、ホームページに載せたら、思った以上に引き合いがあちこちからあって。
これまでの実績で言うと、長崎、四国、長野、千葉など。
こちらからアピールするつもりで作ったのではなくて、こんなもの作ってみました程度で載せたのですが。
でも、やっぱり困っていらっしゃる方がいたんですね。
一昨年辺りから手がけ始めて、少しずつ改良を加えています。
改良していくと、なかなか面白い製品になっていく可能性が出てきました。
ですから、落花生のから割り機にもうちょっとかかわっていきたいと思っています。
勉強していくとやはり困っている方が相当いらっしゃることがわかってきました。
1つの村とか地域単位で、困ってらっしゃる。
豆に特化した販売店さんなんかもあるんですね。
今は、なかなか忙しくて手をつけることができないのですが、次の落花生のシーズンまでにバージョンアップしたものを実現させてみたいと考えています。
まだ、従業員全員を巻き込めるまでいっていないので、会長なにやってんねんっておもわれているみたいですが(笑)

なるほど。最後になるのですが、御社や板金業界全体の課題をお伺いさせてください。

平井氏

難しい質問ですね。
弊社が、抱えている課題としては、人をきちんと雇用していかなければいけないと思っています。
会社として、継続していくにはある程度の規模をもたなければいけませんから。
ただ、規模の拡大だけを狙ってもダメです。
いい会社にしていくには、各ポジションに熟練、中堅、若手をバランスよく配置できていないといけません。
そこのバランスを考えて、きちんと取れて、ようやく新しい人を取ることができます。
そうすると、会社が上手く循環していく。
単に短期・中期の事業計画のことだけ考えていてはダメで、次の世代にバトンタッチできるところまで考えていかなければいけません。
それをきちんと仕組みのところまで落とし込んで、長期的な視点で経営していかなければいけません。
会社は成長していかなければいけませんから。
規模を整えるということと、上手く循環していくような仕組みをバランスよく整えていく。

よくヒト・モノ・カネといいますがここのバランスは本当に難しいです。
特に今はヒトの部分が難しくなってきている。
だから、なかなか次の一歩を踏み出せない。
ここのヒトの問題、若い方々にも参入してきていただかなけれいけません。
その際に、我々のような人間が、単にものづくりは面白いよ、といっていてもダメで、未来像まできちんと情報発信していく努力が必要だと思っています。
ここら辺に業界全体の課題があると思っています。

最近、考えているのは、職人の熟練の技術をどうやって若い人たちに伝えていくことができるのか。
そこを、若い方々がAIやIoTなどで解決してもらえるなら、是非見せてもらいたいと思っています。
そこは、本当に期待していますね。


まとめ

板金加工だけではなく、機械製品の設計まで。


それは、蓄積してきたノウハウで社会に貢献できるから。


お客さまの喜びこそが、ものづくりの醍醐味を加速させる。


メタルファンテックはものづくりの面白さを追求する。


加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
平井敏治
担当者名
平井敏治
従業員数
18名
創業年度
1978年
メールアドレス
info@mftech.jp
電話番号
06-6720-5585

住所

〒577-0835 大阪府東大阪市柏田西3-12-12

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