快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。
白澤氏
事業内容は、レーザ、タレパン加工機による板金加工ですね。
業種的には、建築から車両関係、船舶関係、その他もろもろ。
業界にこだわりなく、できるものは何でもやるような形でやっています。
ただ、得手不得手はございますので、なるべく不得手のものは手がけないようにしています。
得意分野でいうと、鉄関係になります。
ステンレスやアルミも手がけてはいますが、やはり鉄が一番得意で、事業的にも伸びてきているところになります。
工場のサイズ的に、あまり大物はできないので、小物をメインに手がけています。
ありがとうございます。小物で数が出るようなものを手がけられているのでしょうか。
白澤氏
試作のようなものも手がけますね。
両方手がけていて、ちょうど1:1くらいですね。
あまり数ものがありすぎても、場所的に置くところがありませんので。
流れものも手がけています。
流れものっていうのは、試作品から始まって、その流れでいただくようになったお仕事ですね。
毎月決まった数が出るようなものです。
取引に関して言えば、ほぼ関西圏で、大阪はメインです。
なるほど。御社で働かれている人の部分について伺わせてください
白澤氏
父が創業者で、29年くらいの会社になります。
その後、兄が二代目をやって、3年ほどまでに兄に代わって自分が社長になったような形です。
従業員が7名います。
その内、アルバイトが1名ですね。
人を入れたり、後継者を育てたいという気持ちもあるのですが、どうしても仕事量のキャパの問題もありまして。
どうしても、一人二役、三役ということをしなければいけなくて。
そうなってくると、雇用や教育の方に時間を割く余裕がでません。
なんとか、仕事を継いでもらえるような人を探したいのですが、いい時と悪いときの波が激しくて。
ひと月時間ができると、それを取り返すのに、何カ月もかかるようなこともございます。
なかなか、毎月これだけあります、というような仕事がないもので。
営業活動を毎月しているのですが、運が悪いと重なってしまうこともあります。
そういう場合には、泣く泣くお断りさせていただいています。
あるいは、協力工場にお願いさせていただいたり。
どうしても、好不調の波が激しいのがネックになっています。
ありがとうございます。今、時期的にお忙しいのでしょうか。
白澤氏
月単位で見るとそうでもないのですが。
ただ、暇な時があったと思ったら、急にどっと固まって仕事が来たりします。
しかも、短納期のものが多い。
納期に余裕があって、規模も大きいような仕事はどうしても地方に回ってしまうのかなと感じていますね。
大きな仕事は、大阪だったら大阪を中心にして、その周辺の地域でやってしまうような形が多いと思っています。
弊社のように、町の中で事業を営んでいると、どうしても短納期ものが多くなってしまうのかもしれないですね。
この辺りも、住宅地に変わりまして。
大きい会社は、みんな町から離れたところに出ていきましたね。
ありがとうございます。今までで困難だった案件や、苦労されたお仕事などございましたら、お伺いさせてください。
白澤氏
たくさんありますね。
私が板金を始めたころに、寒冷地の小中学校のプールを室内プールにしようという流れがありまして。
その工事の一部を担当したことは、思い出深いですね。
主に屋根の部分のガラスを貼る部分をつくり出しました。
石川県に行ったり、静岡県に行ったりしました。
仕事自体は、それほど大きいものではなかったのですが、頭を悩ますようなことがたくさんありまして。
ただ、加工するだけではなくて、意匠などの問題もありまして。
もともと、知り合いの会社さまがハウス関係をやっておりまして。
ガラス張りの天井一式を引き受けられていたんですね。
そこから、弊社に板金加工の部分をお願いいただきました。
で、そこの会社さま意匠設計なども引き受けられていましたので、かなり難しい形だったんです。
ありがとうございます。今、挑戦されていることなどございましたら、是非お伺いさせてください。
白澤氏
今は、仕事をきちんとこなすのと探すので手一杯です(笑)
ですから、まず自分がやっている仕事を任せられる人間を育てたいと考えています。
特に、データ関係の仕事ですね。
まず、そこに手をつけないと、なかなか会社全体で次のチャレンジをする余裕がない状態です。
図面の読み描き、プログラムの作成とかですね。
NC加工機とか。なかなかそういう設計ができる人というのがいないんですよね。
では、今代表が直接手を動かさないと仕事が回っていかないというところが、御社の課題でもある。
白澤氏
そうですね。
兄が先代でいたころには、まだ大丈夫だったのですが。
急に代表が代わりましたので。
その準備期間もなかったものですから、それがそのまま会社の課題になってしまいました。
もともとは、工場を3か所もっていて、そのうち1か所は私が経営していたのですが、先代の時に大きな赤字が出てしまいまして。
毎月200万くらいあった仕事が、ぷつんと切れてしまったんです。
その穴を埋めるのが一苦労で。
自分の経営していた工場を売却して、支払い清算しました。
そこからなんとか再スタートできて、今がある感じですね。
もともとは、デジタル放送局の扉関係とかのお仕事を手がけていました。
そのお客さまは関西エリア一帯を手がけていました。大手通信会社さまの基地局の扉なども手がけていました。
その関係で、デジタル放送局の基地局の開設がはじまって上手くいっていたのですが、全部行き渡ってしまってしまいました。
それで、重機関係の仕事も手がけました。
ただ、そこもモデルチェンジして、物自体の大きさが3倍4倍になったんです。
そうすると、弊社の規模感では月に何十台もつくれない。
そういう形で売り上げが落ち込んでしまったんです。
ありがとうございます。最後に大きな質問になってしまうのですが、板金業界全体や金属加工業界全体の課題などございましたら、是非お伺いさせてください。もちろん、御社の課題でもかまいません。
白澤氏
いい仕事、割りのいい仕事というものは、大きな会社さまに回ってしまいます。
なかなか小さい会社に仕事が回ってこない状況の中で、回ってくるのはどうしても割に合わないもの。
大体は単価が安いものですね。
今、どんどんと材料費が値上がりしているのですが、加工する側の工賃は据え置きですので、なかなか厳しいなと感じています。
やはり、工賃が安いままで止まってしまっているのを問題に感じますね。
でも、工賃を上げてもらおうと思ったら、依頼者の2つ上、3つ上まで話をしにいかなければいけない。
もともとの発注先から、お仕事をいただくことってまずないんですね。
必ず1社2社挟んでから、仕事が来ます。
そうすると単価を上げて欲しいといっても、話がなかなか上まで通らないんです。
もし、発注者さまと直接お取引できるような環境があれば、お喜びいただけるのでしょうか。
白澤氏
単価が上がるのであればですね。
ただ、総合的に見たときに弊社はISOとかを取れる規模にない。
ですから、製品管理とか品質管理とかはどこかで担保していただきたいとは思いますね。
品質に関して言えば、年々厳しくなってきています。
にもかかわらず、単価を低いまま。
高い品質を要求されるのはいいのですが、どれを実現するためにはどうしても費用がかかります。
検査しかりです。
そうすると、検査できる機械や人をいれなければいけない。
でも、それは自前でまたなければいけない。
これは、自社の課題でもありますが、なかなか厳しいものがあります。
まとめ
昔ながらの板金屋さんとして。
短納期、小回りの利く仕事を請け負う。
試作品から、流れもの、数ものまで。
できるものをコツコツと積み上げる。
株式会社協和工業。