クロダ精機株式会社

プレス部品の試作に特化

クロダ精機株式会社について
長野県下伊那郡に、微細な仕事に強みを持つ板金加工メーカーがある。

クロダ精機株式会社だ。

年間350日稼働の「コンビニ工場」として対応。

プレス部品の試作専門に、航空機部品も扱う。

高精度、短納期を実現する秘訣は何か。

今回は、代表取締役社長の佐々木俊一(ささき しゅんいち)氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容と強みを教えてください。

佐々木氏

プレス部品、特に小さいもの、細かいものに特化しております。
試作に特化しているところが大きな特徴かと思います。
金型を作らずに、レーザー加工とかベンダーを使って、形を作ることもあります。
量産に近いものであれば、簡易的な金型を作って、量産部品のような作り方をすることもあります。
しかし、量産は、基本的にはやらないようにしていて、あくまで試作専門です。
強みは、精度の高いものをとにかく早く、短納期で。
板金というとラフなイメージのものが多いのですが、将来プレス部品になるものの試作なので、たとえ試作であっても、精度を求められます。
そこをきちんとするために、品質保証の体制も作っております。
開発系の部品ですので、納期が非常に厳しいことが多いですが、お客様の納期に合わせて、希望納期に納品しようと意識しています。
板金で航空機の部品を扱っているのも、他にない特徴です。
航空機の品質の認証もとって、ごく一部ですが、MRJとかホンダジェットに乗るような実際の飛行機の部品もやっています。
これは、試作ではないのですが、少量で。
そういうところも珍しいかと思います。



御社が試作品を得意にされるようになった経緯について、お聞かせいただけますか。

佐々木氏

弊社は、元来プレスの量産をやっている会社だったんです。
入社前のことなので、聞いた話ですが、25年前くらいですね。
量産品が海外にシフトしていく流れで、お客さんから、試作品の依頼がありました。
持っていた設備で試作をやってみたところ、いけそうだと。
もともとプレス屋だったので、そのサイズ、作っているものの試作品ではありますが。
いよいよ試作専門にやっていく流れになりました。
板金屋から入ったのではなく、量産屋から試作の世界に入りました。
うちのお客さんは、自動車向けの部品が非常に多くて。
試作開発は国内で、量産は海外でと、決めているメーカーさんが多いので、まだまだ国内で開発の仕事はあるかと思います。
例えば、弊社はやっていないんですが、自動車のエンジン周りの部品は確実に減っていくと思います。
なくなっていく仕事はあると思いますので、次はどこの産業が伸びてきて、どこの業界で仕事をすれば良いのかを意識してはいます。

プレスの試作以外のお仕事のご依頼はありますか。

佐々木氏

もちろんありますけど、設備が他の板金屋さんに比べて、小さいもの向きの設備ですので。
そのようなご依頼であれば、もっと得意な板金屋さんにお願いすることもあります。
あくまで、自分たちの守備範囲で仕事をしております。

精度の高い試作を行うのに、どのような設備で対応されていますか。

佐々木氏

小型の設備ですね。
レーザー加工機は他とあまり変わりませんが。
精度が厳しいもので言いますと、ワイヤ放電加工機で製品を加工することもあります。
特別な設備があるわけではありませんが、この世界で鍛えられてきて、今があります。
お客さんの要望が厳しい中、どのようにすれば、求める精度を実現できるかという点を追求してきました。
昔から工夫してやってきた積み重ねがあり、精度が出せています。
特別な機械ではなく、人が勉強して、できるようになってきたのだと思います。


今のお仕事をされるようになった経緯について、お教えいただけますか。

佐々木氏

私はいま4代目の社長で、就いて半年になります。
2代目が私の父親だったんです。
父が62歳で倒れて、病気で亡くなっちゃったんですけど、その時に地元に戻ってきて。
この仕事を始める前は、製造業に興味がないわけではなかったのですが、関係ない仕事をしておりました。
特別跡を継ぐ意志はなかったのですが、そういう経緯がありまして。
仕事を始める前は、なんとなく、こういうことをやっているんだろうという漠然としたイメージしかなくて。
試作品を作っているらしいということしか知らず、どのように物を作っているのか知りませんでした。
会社に入って15年くらいになりますが、ずっと現場の方で、ものづくりを勉強しました。
社長業を意識するようになったのはここ最近で、実際には1年くらい前ですね。
いずれ就くということも、意識していましたけど、その前に、自分がやるべき責任をしっかり果たしていきたいと思っていましたので。
社長に就く前は、弊社では製造部長をやっていました。
小さい会社ですので、製造部を束ねつつ、営業的なこともみんなでやりながらでした。
なんでも屋さんみたいに、いろいろな仕事を、とにかく経験していこうと。
就いてからは、気持ちはそれほど変わっていませんが、役員を経験していなかったので、経営をたくさん勉強しています。
まだまだ始まったばかりですが、新しいことを覚えていくのは、楽しいことだと思いながらやっています。

入社されてきて苦労されたこと、現在苦労されていることは、どういったことでしょうか。

佐々木氏

まずは、人並みに仕事ができるようになりたい想いがありました。
今もそうですが、15年前は若い社員が多くて。
現場も、ベテランがいて教わるというよりも、みんなで新しい技術を作っていこうという雰囲気でした。
難しい依頼が来たら、みんなでどうしたらできるか取り組んでいましたので、楽しいといえば、楽しかったですね。
なかなか上手くいかずに苦労することも多かったですけど、そうやってこなすうちに、徐々に力をつけてきました。
私に限った話ではなく、会社全体がそうでした。
次第にお客さんの要求も厳しくなり、リーマンショックで、価格も厳しくなりましたね。
以前は、とにかく製品を作っていれば、それなりの値段で売れたのですが。
リーマンショック後は、価格も効率も、しっかり意識しなければならなくなりました。
ただものを作ることから、意識が変わりましたよね。
そういう面で苦労をしています。
まだまだ実現できていないですけど、コミュニケーションを取りながら、チームとしてものを作っていく意識を高めていければ。
そうでなければ、お客さんの要求には応えていけないのではと思っています。

プレスの試作ならではの、お仕事の難しさはありますか。

佐々木氏

事業としてやっていく難しいところは、範囲が狭いんですよ。
プレス部品の試作というのは、世の中に仕事の量がそんなにあるわけではないので。
今その部分でやらせてもらっていますけど、仕事が来た時に、他の会社さんと仕事の取り合いになる可能性もゼロではないですよね。
そうならないよう、とにかく難しいものを、他の会社でできないようなものを、どんどんやっています。
例えば、切削という事業は広いじゃないですか。
展示会でも、圧倒的に切削屋さんが多いですし、つまりは、切削屋さんの仕事が世間に多くあると思うので。
狭い世界の中で、どうやって仕事を確保していくのか、怖いところがありますね、正直。

御社のホームページで「コンビニ工場」を掲げていらっしゃいますが、どのような体制を取られているのでしょうか。

佐々木氏

350日稼働で、土日も当番制で工場動かすようにしています。
年末年始、GW、お盆は連休取りますが、それ以外は、基本的に工場稼働しています。
極端な話、金曜の夕方に電話やメールがきて、月曜の朝欲しいといった案件についても、当番で、通常の範囲内でできることを対応しています。
土日に関しては、3人くらいがいま土日当番なんですけど、休みをとる曜日をずらして、引き継ぎができるようにしています。
また、毎週月曜のお昼には全員で集まって、情報交換や連絡を行っています。
それを、「昼礼」と呼んでいますね。


御社の目標について、お聞かせいただけますか。

佐々木氏

社会的に、働き方改革とか、問題になっていますね。
困難な問題とは思っていないですけど、やっぱり、最後に問題になるのは人ですよね。
人が不足して困っているわけではないんですけど。
今後もう少し増やしたほうがいいのか、人材を育てて生産性を上げていったほうがいいのか、いろんな方向があると思うんですが、どういった方向を採用して、会社を強くしていくかを考えています。

ものづくりの後継者不足が問題になっていますが、御社では、技術の継承や教育はどのようにされていますか。

佐々木氏

もちろん教育訓練という意味で、使えなかった機械を覚えましょうとか。
そういうことは、もちろんやるんですけど。
試作の世界にいると、毎日違う新しい図面が常にくるわけですよね。
作業者一人一人が、どうやれば図面通りのものが作れるのか、常に考えているわけなので、仕事そのものが訓練になっています。

日本のものづくり、製造業の課題について、御社のお考えを教えてください。

佐々木氏

製造業の展示会に行った時に、アジアの各国が非常に元気だという話を聞きました。
何が違うかというと、本気度が、日本の企業と全然違うんです。
なんとかしなくちゃいけないって、みんな言うんですけど、できていない部分があるので。
日本のものづくりは、すごいとは思うんですが、従来のやり方に固執していると、世界の中で取り残されちゃうんですよね。
確かに、腕は良いかもしれないけど、ガラケーみたいなもので。
常に世界を見て、その中で自分のポジションを意識して、今後どうしていくのかを意識していかないといけないかなと思っています。
他のアジアの国は、国家レベルでやる気が違うので。
国がどんどん投資し、新しい技術や産業を取り入れてますので、日本にそれを求めてもというのがありますけど。
少ない力ではありますが、中小企業も、みんなで頑張っていかないといけない。

  まとめ


  土日も休まず、当番制で工場を稼働。


  350日の稼働により、特急品の対応も可能。


  試作の要である短納期を実現するため。


  クロダ精機株式会社は、試作スペシャリストの道を歩む。


加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
佐々木 俊一
担当者名
細川
従業員数
40名
創業年度
1970年
メールアドレス
info@kurodaseiki.co.jp
電話番号
0265-35-1101

住所

〒399-3202 長野県下伊那郡豊丘村神稲9268-1

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