株式会社 小林製作所

21世紀を創造する

株式会社 小林製作所について
石川県白山市の「21世紀を創造する」板金加工メーカーがある。

株式会社小林製作所だ。

生産性向上のために自社開発したSopak-C。

緊急の依頼にも対応できる社内一貫生産体制。

「21世紀を創造する」とはどういうことか。

今回は代表取締役の小林靖典氏とCOOの黒川正枝氏にお話を伺いました。
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今回はお時間をいただきましてありがとうございます。最初に、御社の事業の概要や強みについて教えてください。

黒川氏

半導体製造装置メーカー、工作機械メーカーさまなどと取引をしています。
外装カバー一式の受注生産を行なっています。
新幹線のコンプレッサーを入れる箱、バスの料金箱などなど。
色んな製作物がありますね。
変わったところでは、展示会に向けてウクレレなども作ってますよ。
メーカーさまから図面をいただいて製作します。
こんなものを作って欲しいという要望にもできるだけ対応するようにしています。
それから、塗装から組み立てまで自社で行う一貫生産体制ですね。
これも強みです。

また、弊社では生産管理システムを独自に作っています。
Sopak-Cといって、生産現場をカメラで記録します。
会社内の情報共有や現場での作業の改善を目指して導入しました。
もともとは自社用に開発したものですが、いろんなお客様から反響がございまして。
製品化するにいたりました。
この生産管理システムと一貫生産体制により、緊急の依頼にも対応できます。
生産管理システムを導入したことによって、生産性と品質の向上につながりました。
高品質のものを安定して、しかも短納期でお届けできる。
お客様に喜んでいただいている自信があります。

ありがとうございます。一貫生産体制で緊急の依頼にも対応できるとのことですが、具体的なエピソードなどございましたら是非お伺いしたいです。

黒川氏

メーカーさまがある製品の出荷の準備してたときに、その製品に不備がでてしまったということがありました。
金曜日にお客様から電話がかかってきて図面を10枚送るから、月曜日までに届けて欲しいと言われました。
間に合わせるためには、月曜日の朝一で出荷しなければなりませんでした。
まったく新規の図面だったのですが、「わかりました。なんとかします」と。
普段土日は休みにしているのですが。
この案件を遂行するには、社員に土日出勤してもらわなければいけません。
もちろん、こちらからは社員にお願いすることしかできません。
でも、お客様が困っているなら、とこたえてくれる社員がいる。
そういう社員がいることが、まさに弊社の強みですね。


ホームページを拝見して、開発や設計提案という記載がございました。

黒川氏

今、日本の板金業界は急速なスピードで設備を更新しています。
お客さまの方では、なかなか板金業界でどこまでできるのか、把握するのが難しくなってきていると思います。
ですから、そこはこちらから提案しなければいけないことがあります。
今、こういう設備をもっているのでこういうことができますよ、そのためにはこういう設計の方がいいですよ、って。
板金で対応するだけで、製作費を数十万円抑えることができたりします。
しかも、短納期で高品質なものを提供できる。
ですから、中京や関西の方も相談に来てくださっています。
お客さまに喜んでもらえている自負はありますよ。

地元だけではなく、関西のお客様もいらっしゃるんですね。

黒川氏

遠方から来てくださるお客様が多いです。
メインのお客様は、関西・関東のお客様になっています。
むしろ、北陸圏内のお客様は30%以下になってきています。

Sopak-Cについて、お伺いさせてください。導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

黒川氏

大きく分けて2つあるのですが、1つはリアルタイムで状況を確認できること。
もう1つはトレーサビリティです。
Sopak-Cを導入することで、遠方であってもリアルタイムで確認できます。
例えば、弊社では2直体制で製造を行なっています。
加えて、工場の敷地も3000坪あります。
ずーっと確認し続けることも、また工場内を移動するのも大変なんですね。
Sopak-Cで確認していれば、遠方の状況もわかります。

後工程で塗装を担当の方も、製品の製作状況を把握できますから、どのタイミングで何をしにいくかがわかります。

最も優れた点として、過去に遡れることがありますね。
トレーサビリティを追究すると、生産性も品質もコミニュケーションでのトラブルも改善します。
例えば、夜中の作業も後から確認できます。
何か工程で問題を感じれば、作業者や当事者を呼び出してヒアリングする必要はありません。
記録を見れば、問題点を把握して、十分な対策をすることができます。

こういう話がありました。

自社に導入した当初のことです。
日勤の工場長が、昨日の夜に終わるはずの製品ができていないのを見て、怒ったことがあるんですね。
「夜勤は何をしているんだ。何で製品が出来上がっていないんだ」って。
じゃあ、カメラで記録しているんだから、それを見てみようということになりました。
それで、実際に夜勤の様子を確認したんですね。
そうしたら、夜勤の方は途中で間違えに気がついて、作り直しをしていたことがわかったんです。
不真面目にやっていたのではなく、作り直しをコツコツやっていたんですね。
工場長はさっきまでカンカンだったのですが、事情がわかると納得しまして。
「大変だったんだな」って。
交替の時間に、「昨日は大変だったんだな。気をつけて頑張れよ。」と励ましていましたね。

これは、お客様との間でも同じことがいえます。
何かあった時に、お客様にと一緒に動画を見ることができます。
何か問題が生じた際に、原因究明を正しく行うことができるので、お互い快く話し合いをすることができます。


なるほど。これは、板金の工場に限らず色んな現場で使えるのではないでしょうか。

黒川氏

そのとおりですね。
過去に、金沢で豆腐を生産している工場の方から相談を受け、試験的に導入を行いました。
その工場では、日頃から二時間の残業が発生していました。その原因の究明にカメラを導入していただきまして。
カメラを入れて、様子を見た所、作業手順が違っていたり、社内ルールが守られていないことがわかりました。
徹底的に改善を行なった結果、今では定時内に後片付けまで終えて帰ることが可能になったんです。
その後、どの工場にもカメラシステムを導入していただきました。
そのことが口コミで広がりまして、食品会社の方にも導入していただけました。
本業は製造業ですが、50社に販売実績があります。
現在は販売部門も作りまして、システム開発部も整備してお客様に対応できるようにしています。

なるほど。社長が開発されたと伺っていますが、どのようなバックグラウンドをお持ちなのでしょうか。

黒川氏

弊社の社長は、元々機械工学が専門でして、博士の学位も持っています。
パソコンについては、独自で研究されたみたいでして。
CAD/CAMも自身であっという間に作られました。
社長が開発したものは、スピードがとても早くて。
ベンダーさまのものは、弊社に必要のない複雑な機能がたくさんついていました。
ポリシーとして、フットワークがよいもの、レスポンスよいもの。
そういうものを開発する探究心をお持ちの方で。たとえ、ある部分で便利になっても、レスポンスが悪くなるなら意味がない。
社長が作ったシステムは、例えばボタンが多くて3つだったり。
使う側にストレスをする与えないように考えて作られています。
ですから、私達の方が社長に他社のシステムを導入しないでほしいとお願いもしたり。
今では社長も、それでよかったと思われているみたいで(笑)


ありがとうございます。製造業では後継者不足や人手不足が問題となっていますが、この辺りに関して、お話しを伺わせてください。

黒川氏

難しい問題ですね。
弊社でも社長のご子息(現専務取締役)が戻られて三年目になりました。
専務を中心に若い世代の方々に、どのように事業を継承していくのか。
そのようなテーマを持ちながら、人材の育成に取り組んでいます。
どうしても世代間で考えの違いがでてきます。
幸いなことに、弊社の社長は、「古い考えのままでは若者に通用しない。
そこは変えていかなければいけない」という考えをお持ちです。

私の考えでは、ものの考え方や姿勢の中には、時代の中で変わっていいもの、変わってはいけないものの両方があると思います。
成功した秘訣やそれを支えてきた考え方、姿勢といったことは、世代を超えて伝えていかなければいけません。

良くも悪くも無意識に身につけていた姿勢や考え方というものがあります。
伝えるべきもの、伝えるべきでないもの、どちらもきちんと言語化できるようにしなければいけません。
ただ、そこの言語化の作業に難しさを感じます。

若者の求職という問題に関していえば、弊社ではあまり問題になっていません。
おかげさまで毎年5〜6人入社してもらって、定着率も高い状況にあります。
中小企業では、内定を出した数の半分から3分の1しか入らないという話を伺っています。
そのような話しを伺って、多めに取ったこともあるのですが、辞退されることなく入社していただいていますね。

採用募集の際に、「ものづくり好きな人集まれ」と打ち出すようにしています。
多品種少量なので、飽きずにものづくりをおこなえるというところで、面白みを感じていただいているのかもしれません。
あるいは、透明性が高く心根の優しい社長に惹かれているのかもしれません(笑)

取材していて、小林さまのお人柄の部分伝わってくるものがございます。私達のようなものづくりの外にいる人に対して、何か期待していただけることがあれば、ぜひ教えていただきたいのですが。

黒川氏

残念ながら、日本の製造業は世界のトップから、凋落してしまったと考えています。
その原因の一つにものづくりの面白さが伝わっていないことがあるのではないでしょうか。

パソコンを通じて、シミュレーションする。
それも楽しいことだと思うので、それはそれでいいことなのですが。
実際に、目の前でものを作っていく楽しさ。
そういったものが伝えていかなければいけませんね。

小林氏

製造業でもITを活用した技術が世に生まれているとは思っています。
ただ、当たり前のように受け入れられている状況ではない。
その辺りに製造業全体の課題を感じます。
IT技術を受け入れ、IT化をもっと進めなければいけない。
そういったメッセージをメディアの方にもっと伝えていただきたいですね。


まとめ

Sopak-Cと社内一貫生産体制。


高品質、短納期を実現。


すべては、お客さまに喜んでいただくために。

小林製作所は「21世紀を創造する」。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
小林 靖典
担当者名
黒川
従業員数
99名
創業年度
1919年
メールアドレス
kurokawa@kobayashi-mfg.co.jp
電話番号
076-277-7330

住所

〒924-0855 石川県白山市水島町429-17

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