株式会社DAISE

ある意味では何でも屋として

株式会社DAISEについて
石川県金沢市に精密板金、製缶板金に強みを持つ板金加工メーカーがある。

株式会社DAISEだ。

薄物から厚物まで、種々の材料に対応。

精密板金と製缶板金の両分野にまたがる製品をなんなくこなす。

製造のみならず、設計、電気の配線、制御も実現。

より付加価値の高い製品を実現するために。

ある意味では、何でも屋として。

今回は、代表の大久保龍司氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

大久保氏

弊社は、精密板金と製缶板金をトータルで実現することができるところに特徴があります。
薄いものから厚いものまで。
材質も幅広くお受けしています。
鉄はもちろんのこと、ステンレス、アルミ、チタン、銅など、一通りカバーしていますね。
ある意味では、何でも屋みたいなところがあります。
材質や加工方法でどこに依頼したらいいのかわからないようなものは、是非お声がけいただければと考えています。

板金業界には、様々なカテゴリーがありますが、そのカテゴリーに収まらないようなものを形にする。
そのようなところに強みを持っています。
例えば、カバーとフレームの中間のようなもの。
製缶板金と精密板金の両方ができないといけないような製品。
弊社は、そのようなものをきちんと形にすることができます。


ありがとうございます。確かに、板金と一言で言っても様々な製品がありますよね。

大久保氏

そうですね。
ある意味では、グレーゾーンみたいなものがたくさんあります。
弊社では、協力工場さんにお願いしながら、機械加工が絡むものも対応させていただくこともあります。
前後工程塗装や表面処理にも対応していますね。
また、設計から組立まで手がけています。
装置の組み立てまでお願いしますという依頼もございますので。
板金がかかわる製品にかなり幅広く対応しています。

製品だけではなくて、各工程にもグレーゾーンみたいなものがあります。
例えば、機械設計、電気関係、配線などですね。
弊社には、機械設計や電気関係の技能を持っている人間がいます。
単に、板金加工を手がけるのではなく、製品全体の機能まで含めた考えて、工程を考えて手がけることができます。

なるほど。幅広い対応ができるために、オンリーゆサービスのような自社製品事業も実現されてらっしゃる。

大久保氏

そうですね。
これは、家庭用のお湯の循環装置です。
この自社製品を手がけたことで、流体を循環させる装置であったり、ろ過して循環させるユニット製品の依頼が舞い込むようになりました。
油圧ユニットや加工機械にクーラントを供給するユニットもですね。
そのような関係で、タンク系の板金製品を手がけることも、比較的多いです。

最近、機械関係でこのような装置ものに対応できる業者さんがとても減ってきています。
機械メーカーさんであれば、当然開発部隊からそれを生産する部隊まで一通りいらっしゃいます。
ただ、ちょっとした機械装置に対応できる業者さんがいなくなってきてしまっている。
これは、常にそのような機械の需要があるわけではないのが原因だと思います。
しかも、装置を完全に納品するまで、入金されないとか回収に時間がかかる。
ですから、それを専門でやってらっしゃった会社さんがどんどん廃業されてしまっている。
もともと、このような仕事を手がけてきたのは、個人事業主の方が多かったという事情もありますね。

弊社の場合は、板金をメインで手がけながら、余力でそのような装置も手がけているような状況ですね。
この分野に関しては、本当に需要の波があります。
装置だけを本業でやろうと思ったら、弊社でもかなり難しいですね。


ありがとうございます。どのような仕事を手がけていくのかというのは、営業戦略に関わっていくと思われますが、この辺りはどのようにお考えですか。

大久保氏

この仕事って、どうしてもメインのお客さまがどんどん変わっていきます。
業界に、流行り廃りがどうしてもあるんです。
ただ、そういう中で全体の30%くらいは、3年未満のつきあいの新規のお客さまで占めておきたいと考えています。

新規のお客さまの開拓のために、積極的に商談会やビジネスマッチングに出るようにしています。
実際のお仕事につながる確率が高いんですね。
最近では、WEBマーケティングにも力を入れています。
結構、ホームページを見ましたと仰って、飛び込みで連絡されるお客さまもいらっしゃいますよ。

これは、少し余談になるのですが、最近新規のお客さまの増え方のペースがすごいんです。
以前は、商談会などに行ってもモヤモヤして帰ってくることが多かったんですけど(笑)
今は、行くたびに仕事がございます。
即発注しますとか、しかも価格感もよかったり。
サプライチェーンがものすごい勢いで崩壊しているのではないか、とつくづく感じます。
先ほど述べたようなグレーゾーンを含むような仕事を手がけることができる業者が少なくなってきているんです。
依頼したいんだけど、実際に形にできる会社が少なくなってきた。
業界全体の生産量自体は落ちているんですけど、それと同時に廃業されている業者も増えてきている。
そのようなトレンドの中で、弊社に多くの新規のお問い合わせをいただいているような形です。
弊社で言うと、既存のお客さんの受注量でギリギリです。
でも、新規のお客さまの食い込み追いつき具合がすごい増えている。
去年一年はそのような形で多くの受注をいただきました。
さすがに、このペースでこのタイミングでの依頼が増えていったら、弊社でも新規のお客さまに対応しきれないです。

時々、弊社が受けているようなグレーゾーン的な仕事って、どこが受けるんだろうってちょっと心配になります。
他の会社さまとお話ししても、同じような話になります。
業界全体では生産量が減っている。
でも、個々の会社では仕事がいっぱい。
弊社でも、そのような流れを実感しています。

なるほど。業界全体の仕事量は減っている。でも、それを上回る勢いで事業者が減っている。

大久保氏

このような話自体は、3年くらい前から予測されていたんですけど。
それが一気に顕在化しましたね。
お客さま自身も、ものすごい危機感を持ってらっしゃる。
それで、流れが一気に変わりましたね。

統計にも出ているのですが、この業界で事業継承ができる事業所って半分くらいしかない。
後継者がきちんといるところが、50%しかいない。
経営者の年齢を見たら、だいたい60代後半。
5年後には、70代ですよね。で、後継者がいるのが50%。
単純に考えて、生産量が減っても残りの半分でこなせない、かなりまずいよねっていうのがこれが、3年くらい前の話です。

その当時、新規で受けてくれる受注先を探そうという動きが一気に出ました。
当時はそういう形で、新規の問い合わせがたくさんありました。
でも、その後全体の生産量が増えてぐちゃぐちゃになってしまって(笑)
みんな新規のサプライヤー探しをしているので、どこも仕事がいっぱい。
ですから、新規の発注をお願いしようと思っても、どこも引き受けてくれない。
弊社に来てくれた、お客さまも同じようなお話をされていました。
だんだんと、そのような流れも少し落ち着いてきたように思います。
ただ、依然として新規のお問い合わせがたくさんあるような状況ではありますね。

ありがとうございます。現在、御社は30名ほどと伺っています。平均年齢などをお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。

大久保氏

40代前半ですね。
10数年前に入社したメンバーが中堅として、中心を担っています。
現場の管理、切り盛りをしているのは、さらに一回り下で20代後半から30代。
さらに、若い世代として、20代前半から後半くらいの従業員が頑張ってくれていますね。
あとは、定年に近いようなベテランがいますね。
比較的バランスのとれた構成になっていると思います。

ありがとうございます。少し話が戻ってしまうのですが、グレーゾーンのお仕事を積極的に手がけていく上で大切にしていること、工夫していることなどございますか。

大久保氏

工作機械を始めとした設備には、できるだけ様々なメーカーのものを投入するようにしています。
先ほどの営業戦略ではありませんが、ある特定のメーカーのものだけを導入してしまうとどうしてもできることが限られてきてしまいます。
言い方を変えれば、様々なメーカーのものを揃えることで、他社ではできない加工ができるんですね。

弊社は、地元の澁谷工業のレーザ加工機を使用しています。
結構、特殊な使い方ができて面白いんですよ。
ヘッドのこの範囲に入るものであれば、結構何でもできてしまいます。
これに対して、アマダやトルンプは、板を切るというところにフォーカスしています。
いかに早く、効率よく切れるのかというところですね。

澁谷工業のものは、パイプや形鋼も対応できます。
場合によっては、カバーをつくって、そのカバーの真ん中に穴を空けることもできる。
3次元的な使い方もできるんです。
これは、面白いですし、そういう使い方をして、グレーゾーンのものを手がけることができるので強みになっています。
他では、コマツ産機のであれば、結構無茶な曲げができたりもしますね。
板以外の曲げとか。

アマダさんの場合は、カバー系に強い会社にとってはいい機械なのですが。
カバーもあり、アングルもあり、形鋼もありってなると苦手分野が出てきてしまいます。
その辺りがグレーゾーンと申し上げている分野でして。
なかなか、皆さん対応できないと仰っていますね。
アマダさんの場合は、薄物で板物に強い。
でも、そこは競合他社がたくさんいる分野でもあります。
そちらで事業展開するなら、どうしても最新の機械を入れて、24時間稼働したりしないといけません。
そういう方向に舵を切っている企業さんも多いですが、弊社の場合は設備的にも、立地的にもそういう分野で戦えません。
ですから、自社の強みを前面に出せるような機械設備を整えていますね。


なるほど。どのような領域で強みを持つかで導入する設備も変わってくるんですね。

大久保氏

板金って一言で言っても、様々な加工方法、製品があります。
海外の機械メーカーとか見ると、板金に関する様々な考え方がありますね。
昨年、ドイツの見本市に行ってみたのですが、世界には様々なメーカーがあって、独自の考え方で切磋琢磨されている。
日本のいると、どうしてもアマダさんの板金の考え方が、あるべき板金の姿みたいに感じますけど、そうでもないんですね。
世界的には、ドイツのトルンプ、イタリアのサルバニーニ、スイスのバイストロニック。
この3社が大きなメーカーで、それ以外の中小メーカーも様々な考え方のもとで、工作機械をつくっていらっしゃいますね。
各国、それぞれの考え方で、強みを持ってやってらっしゃるという印象を受けました。
ですから、その中で加工業者がどれを選ぶか。
自社の事業形態なら、これを選ぶみたいなことがもっとあってもいいとは思うのですが。

サルバニーニなんて本当に面白くて。
何でこんな曲げ方するのみたいなところがあったり。
なんでこんなにデザインにこだわるみたいなところもあったり。
デザインと動きが本当に面白いですね。
本当に、国柄とか人柄みたいなものが機械に出ています。

トルンプは本当にシンプルで機能的です。
でも、あまり面白味がない。
カバーもいかにもシンプルに曲げるだけです。
素晴らしいんだけど、面白味がない。

スイスのバイストロニックのレーザの精度はすごかったですね。
それ以外にもフランス系メーカーとか、北欧系メーカーとか色々ありました。
日本の板金業者が、もっと様々なメーカーの機械を導入してみたら、面白いんじゃないかとは思うのですが。
どうしても、最近話を聞いていて多いのが、この機械がないのでこの加工ができませんというような話ですね。
本来は機械だけではできないものを、いかにできるようにするかという点に経験とかノウハウが溜まっていくはずなんですけどね。

ありがとうございます。先ほど、24時間稼働できるかどうかという話がございました。工業地帯だからできることなど、立地によって強みを変えていけないみたいなこともあるのでしょうか。

大久保氏

ありますね。
地域に業者が集まっていることで助かることがたくさんあります。
弊社では言えば、この場所から10分から、15分くらいのところにいつも助けてもらっている企業さまがあります。
1社は材料屋さんで、もう1社が工具関係の商社さん。

材料屋さんは、例えばこういうものをつくっていて、この部材が足りないなって思ったら、電話一本でお願いすれば取りに行けばいいだけです。
バラ売りが得意な材料屋さんなので、本当に色んな材料を持ってらっしゃるんですよね。
弊社が、様々な材料に対応できるのも、この材料屋さんが近くにあるからですね。

工具関係の商社さんも在庫が豊富でして。
ボルト類とか、サンダーの刃とか塗料とか、なんでも置いてあります。
例えば、そこもボルトが2本足りないけど、どうするって時に、そこに電話して今から取りに行けばいい。
そういう立地面では助けていただいていますね。

なるほど。大きな質問になってしまうのですが、板金業界全体や金属加工業界全体の課題などございましたら、是非お伺いさせてください。もちろん、御社の課題でもかまいません。

大久保氏

サプライチェーンと言うか、産業集積というか、その辺りの維持ですね。
事業承継などにも繋がっていくのですが。
先ほど申しあげたように、新規であふれた仕事が、弊社に来るというようなところもあります。
ただ同時に、弊社がこれまで当たり前のように依頼できていたものができなくなってしまうような感じもしています。
例えば、材料でメーカーさんが生産能力がなくなったので、この材質を減産することになりましたという話が出ます。
結果として今まで2日ほどで入ってきたようなものが、2、3ヵ月かかるようになってしまう。
そうなると、弊社も材料が入手できないので、これまで2週間でできていた物が2ヵ月待ってくださいというようなことになります。
これまで、お客さまに当たり前に提供できていたことができなくなってしまう。
たった、一品でもそういうものが出てきたら、製品を出荷できない。
これは弊社のようなユニット製品に強みを持っている会社には大きいです。
どの工程でそういうことが起きてくるか、現時点では予測できない。そういう怖さを持っていますね。


ありがとうございます。最後になんですけど、今後御社が目指す戦略、それに向けてどのような取り組みをされていくのか、お伺いさせてください。

大久保氏

以前は、戦略として他社ができないもの、難しいものを手がけていきたいと考えていました。
ただ、そういう難しいもの、例えばチタンの溶接などはなかなか需要がありません。
難しい加工を手がけることで、技術力は伸びるのですが、事業としては伸びにくいんです。
だから、最近は戦略を変えて、誰もできないものではなくて、誰もやらないものを手がけようと思っています。
やろうと思えばやれるけど、グレーゾーンで倦厭されているようなもの。
他社が手がけないものを弊社では当たり前に実現できるようにして、事業を拡大していきたい。
言い方を変えれば、付加価値が高いものに対応できるような体制ですね。これを今後も続けていきたいと考えています。


まとめ

薄物から厚物まで、種々の材料に対応。


板金加工のカテゴリーにとらわれず。


ある意味では何でも屋として。


付加価値の高い製品を手がける。


株式会社DAISE。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
大久保 龍司
担当者名
大久保 龍司
従業員数
30名
創業年度
1969年
メールアドレス
r-okubo@daise.co.jp
電話番号
076-243-4200 

住所

〒921-8025 石川県金沢市増泉5丁目5-22

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