株式会社ホリコー

金属加工のエキスパート

株式会社ホリコーについて
東京都武蔵村山市に、一貫生産に強みを持つ板金加工メーカーがある。

株式会社ホリコーだ。

自動車部品の試作板金加工から航空機まで。

複数の業界のニーズに、迅速的確に対応する。

現在までの道のりは、いかなるものであったのか。

今回は、代表取締役の堀 隆一氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容を教えてください。

事業内容は、板金を中心にした金属加工。
自動車部品の試作板金加工、プレス金型、治具の設計製作、商用車部品のプレス、板金、溶接組立まで行っています。
素材としては、ハイテン、アルミ、ステンレスを主に扱っています。
設備としては、CAD/CAM、CAE解析。
マシニングレーサー、サーボプレス、ロボット溶接があります。
コストダウン、効率アップのためにロボットを活用しつつ、深絞りなどの昔ながらの技術も大事にしています。
近年では、全工場にLED照明を設置、五面加工機MCR-A5Cⅱを導入しましたね。

御社ならではの強みについて、教えてください。

弊社の強みは、複数の業界のニーズに的確に対応するための、一貫生産です。
受注から納品までの流れとしましては、生産準備、金型製作、試作、量産試作、量産と一連の作業を一貫で行っています。
生産準備には事前検討も含みます。
効率がアップして、低原価になるように、お客様や設計者に積極的に提案もしますね。
事前検討をふまえて、自社で金型までつくります。
量産過程では、品質管理までを行います。
型屋さんに型をお願いしたり、試作だけ、量産だけを行うのではなく、一貫して対応します。
弊社は、西多摩郡の瑞穂町と青森に工場がありますが。
この規模で、このような一貫生産を構築していくのは、難しいことです。

一貫生産は、どのあたりが難しいのでしょうか。

人材の確保と受注の継続が難しいです。
量産の品質保証まで考えると、難しいですね。
弊社は、もともと試作だけをやっていたのが、金型を手がけ、量産まで行うようになりました。
本来は、少量品の試作が主でした。
さらに遡りますと、私の祖父が、中島飛行機(現SUBARU)で戦闘機をつくっていたのが最初です。
戦後、戦闘機がつくれなくなり、中島飛行機が富士重工業になり、SUBARUになりました。
その後、立川に移り、精密板金屋さんとして個人で独立。
昭和39年に「堀製作所」としてスタートしました。
創業時は、いわゆる筐体、箱物板金もやっていました。
4年後の昭和39年に法人になり、今の武蔵村山市に工場をつくったんです。
その翌年に、ホンダの仕事を受ける機会があり、車のボディー部分の試作の仕事をするようになりました。
さらに、平行して、航空機の仕事も引き受けることになりました。
昭和40年代のことです。
徐々に、板金試作からプレスをやるようになり、そして昭和51年頃には金型製作へと。
お仕事の幅を広げてきました。
どんな仕事も断らずに受けて、三日三晩、徹夜してでも完成させる。
今は時代が変わりましたが、これが創業時のモットーで、強みでした。
そして一貫生産のスタイルになったわけです。
受け継いだ仕事を維持するのに、人材の育成や設備の更新が不可欠ですが、運営が難しいです。

一貫生産を視野に入れて、金型製作をはじめられたんですか。

当時、量産までは考えていませんでしたが、試作と金型はセットで考えていました。
航空機部品に関しては、試作と量産の区別なく、つくっていました。
もともと数が少ないから。
特徴として、少量多種の生産スタイルです。
それが、徐々に乗用車の試作の数が少なくなる見込みがありました。
それこそ、CAD/CAMを使って事前に検証ができるので。
それなら量産までできるようにしようと、15、6年前に取り組むことにしました。
試作と量産の感覚は違います。
継続して品質保証をする、納期を守る取り組みもね。
形状が悪かったら、手で叩いて直す仕事のやり方とは違う。
社内に、本当の意味での一貫生産を定着させるのが難しかったですね。
この10年くらいのなかで、徐々にレベルをあげてきたことです。
とはいえ、弊社は一貫生産が強みではありますが、金型専業でやっているところや、量産加工専門でやっているところなど、専門でやっているところには、多分勝てないと思う。
専門特化ではなく、総合力でカバーしていきます。
必ずしも、すべてが強いというよりも、総合力を強みにして、業界でのポジションを確立しています。

一貫生産でお仕事を受けるよさはありますか。

専門特化していると能率はよいとは思います。
しかし、金型とか試作の受注数に波がある時に、量産の仕事を受けることで、受注のばらつきを安定させることができます。
また、お客様へは、必要最低限の投資でラインをつくれるので、負担を軽く提供できますね。

これまで難しかった案件はありますか。

常に難しいですね。
とくに、ターニングポイントになった仕事は、先代の仕事です。
航空機の内装の、ステンレス製の手洗いのユニットです。
短納期でラインを立ちあげて欲しいとの要望をお客様から言われて。
どこからも断られた仕事だったそうです。
納期まで、半年で立ちあげました。
当時は、車の仕事がメインだったのが、航空機の仕事がメインになるくらいに伸びた案件でした。
ステンレス品の受注が拡大していきましたね。

航空機の内装部品は、金型をつくるのが難しかったんでしょうか。

金型をつくることよりも、金型ができてからの、形状修正する作業が難しかったです。
納期まで時間のないお仕事でしたので、一連の工程を短期間で求められることも、苦労したことでした。
寸法や仕様を規格内におさめるのが、なかなか大変でしたね。
何種類もあるんだけど、今は数が少なくなりましたね。
金型も、30年前の金型をそのまま使っているから。
それは悩みごとでもあるんです。
金型の保管も、置いておく場所を確保しなければなりません。
メンテナンスやコストや場所の面でも大変です。
これは業界全体の悩みのひとつですね。
技術的には、深絞りの加工になります。
今でも一貫生産以外では、絞り加工が、ほかにはない弊社の強みになっています。
材料の動きが複雑に影響するので、プレス加工での絞りは難しい。
長年のノウハウや経験の積み重ねがありますので。
他社ではできないような難成形材や複雑な形の製造も、お話を聞きますよ。

業界全体に関する問題点をどうお考えでしょうか。

堀氏

日本の製造業が地盤沈下しないように、底上げする活動に取り組まなければと思っています。
自動車業界は注目しはじめていますね。
具体的な話でいえば、金型の保管ですね。
現状、金型の保管は、中小企業が負担しています。
大企業が金型を引き取るように、経産省の方で音頭をとって、是正しようとする取り組みがありますよね。
それは良いことだと思います。
中小企業の負担を減らす動きを期待しています。

製造業の担い手不足に関して、どのようにお考えですか。

若い人が減って、人口構成が変わり、どの業界も人材不足になるから、取り合いになるよね。
目先の人材確保のためには、外国人を入れなくちゃいけない。
でも、外国人は、コアな人材ではないと思う。
ものづくりと一言でいっても、どこのレベルを目指すかで必要な人材が変わってくる。
中小企業の方でも、博士号を取得しているようなレベルが高い人が入ってきても、活躍できる間口、受け皿を持っていたい。
彼らの知的好奇心に響くものがあればと思います。
能力を実際に活かさないともったいないので、アウトプットをいかに用意してあげられるかが大事。
そうはいいつつも、日々の仕事を積み上げることが優先だから。
日常とは別に、将来的な人材確保を考えていかなければならない。
というのも、自分自身も、この業界の中で、アウトプットでやり残したことがあるように感じるんです。
大学時代は、半導体の勉強をしていました。
就職したのが電工メーカーです。
そして家業を継いで今にいたりますが、なにか自身のこれまで学んだことや経験したことと今をつなげてアウトプットできないかと考えています。
この先、製造業の人材がいないということではないと思います。
間口をいかに広げ、受け皿を用意できるかが大事じゃないでしょうか。
世界の人口は増え続けていますので。

工場の機械化については、どうお考えですか。

人間でなければできない仕事は残ると思う。
そういうところは手をかけて、無人のところは無人でやればいいと思います。
たとえば、ファナック(FANUC)さんの工場を見学させてもらった時、ロボットがロボットを組み立てていました。
一方で、メンテナンスは人間の手でしかありません。
そうやって、機械と人間が関与する部分と、すみ分けていくんだと思います。

お仕事の際に大事にされていることがあれば教えてください。

社訓を変えることにしたんです。
我が社は、技術力の向上とともに社員の人格の形成をはかり、社会に貢献することを第一の目標にするという社訓があります。
先代がつくった社訓で、毎朝これを唱和しています。
これに「幸せ」というキーワードを、改めて盛り込みました。
社員だけではなくお客様も幸せになるように、意識しています。
こちらもお客様も、双方幸せになるように意識しています。
手段としては技術を高めたり、短納期を実現し、難しい案件に積極的に取り組んでいくこと。
「ブレークスルー・サポート・カンパニー」をミッションとして掲げています。
われわれはこうあるべきだよね、と。
お客様の困りごとに貢献したい。
それが実現すべきことです。
なりたい姿としては、ホームページに掲げているように「責任感と技術革新で最適解をご提供、多様な能力が融合したものづくり組織」です。
個々のなるべき姿としては、メタルイノベーター。
板金加工を中心とした金属加工のエキスパートとして仕事する。
これを、基本理念としています。
これまでの社訓にある目標はクリアできたと思いますので。
これからは、お客様だけではなく、社員も含めた幸せを目指していきたい。
幸せというキーワードを基本に意識していれば、よいアイディアが出てくるでしょう。
目的意識をもって仕事に挑めば、難しい案件や大変な難局を切り抜けられる術が出てくるんじゃないかと。

最後に、ものづくりの情報発信するわれわれに対して、一言お願いします。

製造業を盛り上げる担い手というつもりでいれば、良い方向で話がかみあってくると思います。
その上で、別の視点が生まれるのではと思います。
また、体験学習のように、ものづくりに直接触れる機会があればよいですね。
どっぷりこの業界につかっている人とは違う角度で、この世界をリアルに見てもらえると思います。
現物を見ると、イメージがわくと思いますし。
接点がずれないようにするには、経験があるといいんじゃないかと。

まとめ

金型の設計製作、試作加工、量産加工を一貫対応。

板金試作からプレス、そして金型へと、事業の幅を広げていった。

深絞りなどの技術力を高め、短納期を実現。

それは、お客様と関わる人間の「幸せ」のため。

株式会社ホリコーは、よりよい未来をつくる。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
堀 隆一
担当者名
堀 隆一
従業員数
100名
創業年度
1964年
メールアドレス
ryuichi_hori@horiko.co.jp
電話番号
042-556-2221

住所

〒190-1201 東京都西多摩郡瑞穂町二本木543

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