株式会社ヒラミヤ

ものづくりは対話からはじまる

株式会社ヒラミヤについて
神奈川県川崎市に、新しい価値を実現する板金加工メーカーがある。

株式会社ヒラミヤだ。

JCDインターナショナルデザインアワード2018金賞を受賞。

3DCADモデルの3次元曲面を板金の技術で形にする。

どのようにして、新しい価値を実現するのか。

今回は、代表取締役の平宮健美(たけみ)氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容と強みを教えてください。

平宮氏

事業内容は、工業製品の委託加工。自動車関連、車両関連をてがけています。
商業施設の装飾品もてがけています。
装飾品は、弊社の中で3割くらいのシェアになりつつあります。
3Dのデータで、ものをつくれることが弊社の強みですね。
工業製品も商業施設も3Dデータがあれば、製作図面がなくても、ものをつくることができます。
お客様が図面を書く必要はないですよ。
その代わり、丁寧に質問することを心がけています。
図面に書いてあるほどの細かさがなくても対応できるように体制を整えています。

とはいえ、工業製品の場合は、製作図面でやりとりをすることが多いです。
お客様も我々も、その方が慣れていて仕事をしやすいですから。
インテリアなどの装飾品関係をてがける際には、デザイナーと一緒に仕事をすることになります。
そうすると、工業製品の場合のような図面でのやりとりでは難しいことが、沢山でてきます。
というのも、図面に書いてあることが絶対なので。
絶対の図面にするには、相当気を使って書かなければなりません。
読むときもそうですが。
そのような図面を書かなくてすむなら、お客さまは喜んでもらえますよね。
3Dデータさえあれば、細かい仕様に関しては、弊社の方で実現できます。
現場がありますので、どういう風につくれば製品に仕上がるかは、わかりますから。


板金加工メーカーさまで、装飾を手がけているところは少ないと理解しています。是非、経緯を伺わせてください。

平宮氏

学生の時に、デザイン科がある学校に通っていました。
それが大きかったのかもしれません。
それで久しぶりにデザインを仕事にしている友人に会ったんですよ。
だけど、デザイナーは画面上でしか、ものをデザインできない。
それに対して弊社のような加工業者は、図面通りにしかものをつくれません。
お互いにやりとりをして、技術上は作れるはずなのになかなかうまくいきませんでした。
その時は、間に入る人がたくさんいたので、うまく自分たちが伝えることができなかった。
デザイナーの方も、こういうデザインにすればもっとよいものができるのに、っていう確認ができなかった。
その時の反省があって、どうやったらうまく形にすることができるのか。

試行錯誤しながら、一緒に仕事をしたことが大きなきっかけとなって、装飾品をてがけるようになりました。
ただ、世の中にありふれているものをつくるのであれば、会社を上手く回していくのは難しいです。
末端のエンドユーザーさまのことを考えれば、同じ品質であれば少しでも安く買いたいでしょう。
利益追求型の企業であれば、より安くものをつくりたいでしょうし。
そういうお客さまとの仕事では、会社を維持していくのが難しいです。
ですから、先ほど申し上げたようなデザイン関係の方々と一緒にものをつくっていくことで、自分たちにしかできないものを実現していく。
そういう形で仕事をしています。

付加価値の部分で、装飾品を手がけることで勝負をされているということでしょうか。

平宮氏

そういう部分は確かにあります。
けれども、一番重要なのは人に見てもらえるかどうかという点です。
工業製品の場合、多くは装置の中に入ってしまって、人の目に触れることがない。
それに対して、意匠的なものをふくむと、必ず作ったものが人の目に触れるところにでる。
弊社のスタッフも実際に見に行ったりしますよ。
そうやって、ずっと使ってもらえているのを自分たちで見ても、嬉しく思うんですよね。
それは本当に有難いことで。
仕事に張り合いが出ますから。
自分たちがもっている技術をきちんと評価してもらえるんだって。
同業者だけではなく、デザイナーの方たちとか異業種の方々からも。
そのような異業種の方々に認めてもらえることが、自分たちにとっては何よりも嬉しいことです。
弊社を信頼して、裁量を持たせて仕事をさせていただけますし。

工業製品の場合は、なかなかそういうわけにはいきません。
図面が完全にできてしまっていますので。
書いてくれた設計者が、見えないところだから任せるよと仰ってくださっても、どこかで文句がつく。
例えば、購買のところで図面にこう書いてあるのだから、それではダメだとか。
弊社からすれば、見えない部分でかつ仕様もちゃんと確認している。
その上で、コストを下げるために努力をしようとしても、図面が絶対という指定がくる。
そういうところで、どうしてもコストがかかってしまいます。
お客さまからすれば、予算は決まっているわけで。
コストがかかる部分を誰が引き受けるのかというと、結局我々が引き受けなくてはいけない。
しかも、そういうコスト高の部分を引き受けることが、慣習的にもなってしまっている。
そうすると、我々もそのやり方でやらなければいけなくなるわけです。
そこで、できませんと言うと、仕事が他社さまに流れていくわけですから。

極端なことをいえば、東南アジアではこの金額でできる。
ヒラミヤもそれでやれっていう話にすらなりかねない。
そこで競争することは、簡単なことではありません。
それよりも先ほど申し上げた、弊社の強みをいかしてものをつくって、かつ喜んでいただきたい。
そのような思いの中で、装飾品関係の仕事を手がけています。

ありがとうございます。ホームページのヒラミヤストーリーを拝見した。これまで手掛けた中で、特に難しかった加工とか、印象に残っている加工がありましたら、お伺いさせてください。

平宮氏

商業施設の製品はいつも、毎回挑戦です。
建築家やデザイナーは、世の中にないものを作ろうとされるので。
多分これだったらできるかなって思って、試行錯誤しながらですが、毎回なんとか実現しています。
スタッフ含めて挑戦する気持ちを、いつも持っていますね。
弊社は「挑戦なくして明日はない」という標語を貼っています。
毎日が挑戦です。

なるほど。建築家様、デザイナー様とタッグを組んで、お仕事をすることの楽しさ、難しさについて、教えてください。

平宮氏

先ほどの裏返しになるのですが、まだ世の中にないものを一緒に作っていけるところに楽しさがあります。
そういうものにチャレンジする熱い方と知り合うことで、自分の中から湧いてくる面白さみたいなものがあるんです。
建築家とか、デザイナーの方には、そういうチャレンジングな方が多い。
そういう人であれば、自分も積極して協力したいという気持ちになりますよね。

難しさでいえば、サンプルをすぐに出さなければいけなことです。
彼らは、言ったことが明日すぐにできてくると思っています(笑)
これは、ものをつくる工程をわかっていないからなんですが。
ですから、ここはきちんとコミュニケーションを取ります。
もし、それをつくりたいのであれば、この日までに発注をかけてくれないと納品できませんって。
でも、彼らは彼らで忙しくて返事が返ってこないこともある。
そういう場合は、どうしても弊社が引き受けなければいけなくなります。

残業したり、人を入れたり。
当然、その分コストがかさみます。
そうすると、当初の予算からずれてきてしまう。
そうならないように、最初の段階でかなり強く働きかけるようにするしかないのですが。
そんなのできて当たり前でしょう、っていう感じがあるので大変なのですが(笑)

ありがとうございます。板金加工業界全体で、機械産業化が著しいと個人的に感じています。御社のサイトでは、「最終的にオペレーターの腕が技術のコアになっている」と書かれています。この点についてお伺いさせてください。

平宮氏

そういう部分は確かにありますよね。
ただ、私はどれだけ機械化が進んだとしても、基礎には人と人の対話というものがあると思います。
コミュニケーションを重視しているんです。
3Dデータの話にしても、建築家の話をきちんと聞いたり、デザイナーが実現したいことをくみ取れなければいけませんから。
そうしてはじめて、ものを作る工程に入ることができる。
ものをつくる工程になれば、現場のオペレーターの腕にかかってきます。
ものづくりというのは、人間同士の会話を大事にしないと、進めることができないものです。
新しいお客さまからご依頼があった場合、これまでの経験から聞いておいた方がいいこは全部箇条書きにして洗い出します。
それで確認させていただきながら、話を進めさせていただきます。
そこまでやって、きちんとお互いに意思の疎通が取れていると思っていても、食い違うことが出てきます。

これはある意味では仕方がないのですが、できるだけ少なくしなければならない。
できあがったものが作り直しになったり、納得いかないものに仕上がってしまったら、いい気持ちはしませんよね。
現場のオペレーターとも密にコミュニケーションをとるようにしています。
腑に落ちないことや納得できないことがあれば、どんどん言ってもらう。
納得のいかない仕事を続けていたら、技術も落ちていきますから。
そのベースには、やはり人と人の対話がある。
そのような意味で、人の技術の部分を大事にしています。


ありがとうございます。少し大きな話になるのですが、板金加工業界全体の課題についてお伺いできれば。

平宮氏

これはもう簡単でして。
工作機械が高い。
それに対して、時間単価が安い。
機械加工の5軸のマシニングだって、3000万、4000万円くらいで。
その5軸のマシニングがあれば、最後まで製品までできちゃうのに。
板金の場合は、レーザー加工機1台で、1億くらいしちゃいます。
ベンダーだって、2000、3000万円くらいですね。
レーザーで切って、ベンダーで曲げて、溶接して、いろいろな工程に人も一人ずつ必要です。
それぞれの機械が今申し上げたような価格で何千万円と高い。
プログラマーも必要。
にもかかわらず、単価が安すぎる。
割に合わない仕事です。
でも、みんななんとかこなしている。
これはすごいことだと思います。

最後に、お仕事する上で、大事にしている部分を教えてください。

平宮氏

仕事の面でだけではないですが、真摯であること、誠実であることです。
できるかぎり、嘘いつわりなく進めなければいけないと考えています。
人のかかわりを大事にしたいんですね。
人なしではものづくりできませんから。
逆にいえば、多少きびしい仕事であっても、熱い思いを持っている方とは、一緒に頑張っていきたいと考えています。

板金加工は、複雑な要素が絡み合っているんですね。
板金だけでは成り立たちませんが、樹脂であったり、機械加工であったり。
そういうものを溶接して接着して、製品にしていく。
応用が効かないといけない反面、知識やノウハウを蓄積すれば知っていれば、今までにないものにチャレンジすることができます。
弊社は、装飾品を含めたアトリエ系で仕事しているので、特にそう思いますね。

まとめ

株式会社ヒラミヤは、新しい価値を実現する。


それは、対話を重視しているからできること。


異業種とともに。


ものづくりは対話からはじまる。




加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
平宮 健美
担当者名
平宮 健美
創業年度
1970年
メールアドレス
info@hiramiya.co.jp
電話番号
044-811-5760

住所

〒213-0032 神奈川県川崎市高津区久地3-4-1

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