FeIT Inc.(古川電気工業)

試作は板金加工の源流だ

FeIT Inc.(古川電気工業)について
横浜市港北区に試作板金に強みをもった加工メーカーがある。

古川電気工業株式会社だ。

ネットワークを活かして調達から組立まで。

スタートアップファクトリーの支援事業も行っている。

試作板金の面白味はどこにあるのか。

今回は社長のご子息である古川智健氏に話を伺ってきました。
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お時間いただきありがとうございます。早速ですが、御社の事業内容や強みを教えてください。

古川氏

弊社の強みは調達力と組立だと思います。弊社工場では板金や化成品の加工を行っています。
100社以上の取引先ネットワークを活用し、ワンストップで製品を納入しております。
金属、プラスチック問わず切削品やねじ、その他の部品を調達して、サブアッセンブリー。
付加価値を高め、お客様に納品しています。
弊社の強みの中でも、試作や少量短納期品の分野で、複数の業者から購入しているお客様に、品質や納期管理をご対応させて頂いています。
そのように対応させて頂くことで、お客様の設計業務や生産管理など、本来のお仕事にご注力頂けると思っています。

100社との協力関係はどのように構築されたんですか。

古川氏

もともとうちは大手電機メーカーNECさんの下請け会社でした。
78年ほど量産の依頼をこなす中で、いろいろな業者様とのつながりを構築してきました。
また、横浜市界隈には町工場のつながりがあります
私共では対応できない加工に関しては協力して頂いております。

最近では経済産業省事業のスタートアップファクトリーの工場として取り上げられました。
そこで取り上げられている同じような加工メーカー様とつながりを持つことができました。
現状協力関係にある業者様にプラスして、他分野で活躍されているメーカー様と協力関係を広げていけば、できることが増えていくと考えています。

具体的にはどのようなイメージをお持ちですか。

古川氏

例えば、ITハードウェアの製造。
今できることは、外側の筐体の製造や中の緩衝材を貼り付けるというところまででした。
協力会社様が増えていけば、設計・組立・配線を行って装置一式みたいなモノ(完品)を作っていけるようになると思っています。

工場同士でつながってより付加価値を高めていこうという取り組みなんですね。ちなみに量産生産から少量多品種の生産に移っていった経緯をお伺いできればと思います。

 古川氏

価格の関係で数万個単位の大量生産は中国や東南アジアに依頼先が移ってしまっています。
当社も長らくプレス加工をやっていましたけど、価格的にも厳しくなってきて。
量が増えても利薄になってしまいます。
長い目で見ると採算がとれないのは明らかでした。

量産から試作に転換する中で、強い不安がありました。
実際社員が離れていってしまったということもありました。
横浜という地の利でやっていく上では、量産ではなく源流である設計開発の部分をやっているお客様に特化して、110コの試作を回していくことでしか活路を見出だせないと思い、突っ走ってきました。

横の繋がりも御社の強みと思ったのですが、技術的な強みはありますか。

古川氏

技術的な部分でいえば化成品加工は弊社の強みかなと思います。
コストカットや納期を早めたりできるんですよね。
例えば、液晶の保護パネルを弊社で生産していました。
これまでは、プラスティックを削り出して作っていました。
でも、プラスティックをプレス機械で抜けるように細工をして生産してみました。
そうしたら、コストカットにつながってお客様に喜んで頂いたことがあります。
その経験から、新しく設備投資をして化成品加工にも対応できるように生産体制を整えて行くことにしました。
一時は板金加工と化成品加工の売上が逆転するぐらい依頼をもらったこともあります。

ここも御社様ならではの部分ですね。

古川氏

そうですね。
紐付き材料というものがあります。
このような材料の調達方法は、本来難しいんですが、弊社は材料商社様ともつながりがありますので。
金属だけでなく加工材を調達して加工できるというのは、弊社の強みかもしれないですね。

次の質問に参ります。智健様はアメリカの現地の製造設備の商社にお勤めという経歴だと伺っています。日本のものづくりとアメリカとものづくりの違いってどこにありますか。

古川氏

スピード感ですね。
アメリカっていい製品であればすぐに取引が始まるんです。
試作から製品化までがとても早いといいますか。

今、私どももアメリカに製品を輸出させていただいています。
EV製造ラインの保全部材を納入していますが、見積もりの遅れが失注につながる為、SAQSPEED, AGILITY, QUICKNESS)を意識する事が、非常に重要です。そのスピード感が日本とアメリカの一番の違いかもしれないですね。

スピード感の違いはどこからきているんでしょうか?

古川氏

アメリカの場合は発注元と設計開発元のつながりが非常に強いのに対し、日本の場合は決済のルールが多く、発注プロセスに時間がかかります。
弊社では協力会社を増やして設計開発まで深煎りできるようにしています。
少しでもアメリカのスピード感を実現しよう思っているので。

スタートアップファクトリーの記事を拝見しました。具体的に取り組んでいらっしゃることを伺いしてもよろしいでしょうか?

古川氏

これから世の中に新しいモノを作りたいというスタートアップやベンチャー企業様の支援をさせて頂いています。
具体的には、新しいIoTデバイスやロボットの試作開発をサポートさせて頂いています。
直近では、防犯ブザーを開発しているスタートアップ様のハードウェアの部分でお仕事をしています。

どうしてこのような取り組みに興味を持ったのでしょうか?

古川氏

単純に私の好奇心ですね(笑)
弊社の仕事上でも工場に関係者が一堂に会し、ある製品の設計開発から製品の完成まで一貫して対応したのですが、すごくやりがいを感じたんですよね。
同じように、世の中のためになるモノを作ろうとしているスタートアップ様と協力して1つのモノを作っていく。
これはやりがいのあることだな、と思っています。

最後の質問になります。ものづくりの担い手不足が叫ばれていますが、御社様には20代の社員様が3名いらっしゃいます。若者がものづくりに魅力を感じてもらうために意識されていることはありますでしょうか。

古川氏

そうですね。
彼らの自主性を尊重していろいろと任せています。
少なくともトップダウンで頭ごなしに何か指示を出すという体制ではないですね。
もちろん、何か困っていたら手を差し伸べますが。
そういったある種ベンチャーっぽい雰囲気が若者にとっては、働きやすい環境なのかもしれませんね。

戌亥氏

今の中間管理職の方は若者達を理解するのが、なかなかできないところがあります。
でも、専務は実際に僕らのこと理解しようとしてくれます。

そこが入社を決めた一番の理由ですね。
専務には初めていいますが(笑)
年上だからというしがらみもないし、専務だからというしがらみもないです。
そこが働きやすい一番の理由だと思います。


まとめ

ネットワークを活かして、100社以上と取引を持つ。

調達と組立まで一貫生産。


スタートアップファクトリーも事業支援。


試作は板金加工の源流。


やりがいはそこにある。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
古川 豊
担当者名
戌亥 S.ゼーン
従業員数
20名
創業年度
1941年
メールアドレス
sz-inui@feit.co.jp
電話番号
045-548-6071

住所

〒223-0057 神奈川県横浜市港北区新羽町3752-2

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