株式会社 フクムラ

若さとチームワークで

株式会社 フクムラについて
東京都足立区に人間力に強みをもつ板金加工メーカーがある。

株式会社フクムラだ。

2009年度「足立ブランド」に認定。

人間力を武器に幅広い製品に対応する。

強い連携とスピーディーな意思決定を如何にして実現するのか。

今回は、代表取締役の鈴木正江(まさえ)氏、専務取締役の福村京介氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容と強みを教えてください。

鈴木氏

精密板金加工で、金属で板ものを折り紙していくイメージです。
レーザー加工機、板金加工機で外形をカットして下処理したものを折り曲げて、作っていくんですけど。
取扱商品が、ヒートシンク、放熱板、カバーやシャーシ。
箱物が多く、補強金具なども扱います。


特定の業界に強い、もしくは、お取引先が集中している分野はありますか。

福村氏

それが、弊社の強みであり、弱みなんです。
普通だったら、医療なら医療と、業態を絞って営業していきます。
うちの場合は、特定の業界が元気がなくなった時に、もろに影響を受けてしまうので。
弊社の機械で製作できるものに関しては、逆に業態を決め込まないスタイルで営業をかけています。
だから、医療器具だったり、弱電関係、建築関係、楽器関係、家具とか、補強金具とかインテリア性のあるものだったり。
うちの機械で、できるのであれば、なんでもお受けしますよというスタイルです。
どの業態が元気なくなっても、手広くやっていれば、業界の影響を受けにくいと思います。
うちは、弱電関係が主なんです。
カバー、シャーシ。これらが売り上げのほとんどを占めているかといえば、そういうわけでもなく。
お話いただくものを手広くやっているというのが、正直なところです。

紹介で案件がくることが多いのでしょうか。

福村氏

実際には、飛び込みで営業をかけることは少なくて。同業のお客様からお話をいただいたり、逆に外注さん、塗装屋さんやメッキ屋さんから、こういうものができないかってご相談をいただいたり。
材料屋さんも然りですが。
7割は引き合いがあったお客様で、残りは新規の方です。

鈴木氏

年に数回、東京ビッグサイトで産業交流展、ギフトショーがありまして。
そこに「足立ブランド」で、ブースを借りていただけるので、年に2回くらい展示します。
興味を持っていただいた方に、足立ブランドの冊子を配るんですね。
すぐには、ご連絡はありませんが、しばらくして、見た方から依頼があります。


足立ブランドで、他の金属加工業者の会社さんと共同受注や横のつながりはありますか。

福村氏

共同受注という形ではないんですけど、横のつながりはありますね。
同じ業種が少なく、得手不得手があるので。
プレス屋さんは、数ものは得意だけれど、金型を起こさない小ロットは得意ではない。
そういう時には弊社の方に話をいただいたりします。
また、新規の方から、機械加工屋さんの仕事が飛び込んできた時に、逆にお願いしたりなどします。

板金は人が介在することが多いと思います。御社の人に対する思いについて、お聞かせいただけますか。

鈴木氏

昨年、急に先代の社長が倒れたんです。
引き継ぎもなにもできていないまま、会社を続けていかれるかどうかという状況になり。
そんな時に、今まで一緒に働いてきた人に励ましてもらったり、仕事の面でサポートしてもらったりしました。
家族同様に、人は大事だと感じました。


従業員とのコミュニケーションで大切にされていることはごさいますか。

福村氏

見ていただいたらわかると思うんですが、同年代しかいないんですよ。
30代の若い職人しかいないので。
ぼくは彼らと年が近いですし、情報収集したものをピックアップするフィルター役をやっています。
ほかに、60代が2人います。
そのうち1人が嘱託で、もう1人が代表で。
正社員で現場で動いているのが、30半ばですね。
従業員の若さは、うちの強みのひとつです。
先代が亡くなったので、関係がフラットなんです。
上下関係が一切ないので、連携が強く、意思決定が早いです。
同僚同士のような感覚なので。
「どうする、やっちゃおうぜ」って。
一任されて、好きにやらせてもらっているのが、いい意味で社風に影響していると思っています。

若い世代の方が多いのは、どういう理由なんでしょうか。

鈴木氏

一度フクムラに入ると、ずっと辞めない人が多かったんです。
年配の人が70歳くらいになると体力的に大変なので、1人抜け、2人抜けしまして。
中途採用はしていないので、そのような感じになりました。
すごく忙しい時期に、息子と息子の同級生が入ってきたのをきっかけに、その当時で、20代の子が入ってきました。

福村氏

実は、ぼくは出戻りでして。
21歳の時に一度弊社に入って、先代と喧嘩して出て行きました。
幼馴染が同時期に入社して、ぼくが辞めた後もずっと頑張っていたんです。
先代が昨年の12月に亡くなった時、元同期の彼が、現場が回らないから戻ってきて欲しいと言ってきて。
ぼくは、この会社を辞めた後も、実は、金属加工に関わっていました。
辞めた時のタイミングで、人員を補うために雇った若い人が入ってきました。
知り合いの若い人もいましたので、彼を引っ張ってきて。
結果的に、若い人ばかりになりました。
ただ、ぼくを含めて、30代の子たちは、10年以上の金属加工の経験があるので。
年齢の割には、経験があるのかなって思います。
もちろん、50代、60代の熟練工にはかなわないんですけど。


板金業界全体の課題について、実感があれば、お聞かせいただけますか。

鈴木氏

量産ものが、単価の安い外国に行ってしまいました。弊社はおかげさまで、やめないでいてくれるので、大丈夫ですが。
人が、なかなか来てくれません。
もう少し人がいてくれるといいんですが。

福村氏

協力会社さんの事業承継が、まだできていないんですよね。
それが、すごくネックです。
ぼくらは、まだ30代なんで、あと30年以上は、協力会社さんにお付き合いしていただきたいです。
おそらく今の現状だと、協力会社さんは後継者がいないだろうなって思います。
同業というよりも、協力会社さん、表面処理屋さんが、今後どうなっていくかが課題です。

表面処理屋さんが人手不足というのは聞きます。

福村氏

公害の基準が、めっきり厳しくなってしまいましたので、今は、メッキ屋さんは新設できないですよね。
今設備を作ろうとすると、昔の10倍も20倍もの労力が必要になります。
メッキ屋さんがどんどん減って、淘汰されて、生き残ったところがぼくらを選ぶようになりますね。
昔はぼくらが、選んできた側じゃないですか。
それが、反転しているのが現実なんですね。
いろいろな業者さんに仕事を出しているんですけど。
たとえば30kg以下で仕事を出したら、30キロ単価で仕事を見るからねと、一式単価にされちゃうんですよ。
もちろん30kg以上の大きい品物でやればいいんですが、うちは手のひらサイズのものが多いので。
5kgや10kgの品物なんて、ザラなんですよ。
一式だと、単価的に厳しいものがあったりして。
目を配らせて、選びあっている状況が不安ですね。

板金業界の担い手不足の問題がありますが、原因をどのようにお考えですか。

鈴木氏

どの会社も現状維持か小さくなっていく中で、自分の子供に対して、このまま続けてほしいと言いづらい、ということがありますね。

福村氏

業態的にも成熟してしまっているので、これ以上はもう伸びないでしょう。
海外移転だったり、ロボットの自動化で、一点集中で忙しくなる企業があっても、業態自体は衰退していくと思います。
なおかつ、設備が高価です。3000万円、5000万円とか、家一軒買えるような設備ばかりじゃないですか。
それに対して、製品が1個50円や100円、何銭安くしなければなど、コストが厳しいんですよね。
そういった意味でも、減価償却で回収するまで時間がかかりますし。
会社さんによっては、数千万するようなレーザー加工機を、2,3年ごとに取り替えているんですよ。
そこまでの資金力が、弊社にあるのだろうかと思います。


今までで困難だった案件や苦労されたエピソードについて教えてください。

鈴木氏

亡くなった先代一人でやっていた仕事があったんです。ご贔屓さんの仕事で断れなくて、難しい仕事だったので大変でした。

福村氏

本来、ノギスとか、マイクロメーターとか測定メーカーとかいろいろあるんですが。
先代が一人でやっていたのが、測定器が使えない、測定不可の品物で。
図面を、4分の1スケールとかでいただくんですけど。
1分の1スケールに縮尺しなおして、製作したものをあてがって、実測を紙であてがうしかないような製品だったんです。
誰もできないからこそ、先代がやっていたんです。
一見の方から、その製作図面をいただいたら、「すみません、製作不可です」と言いたくなる内容なのですが。
ところが、ずっとよくしていただいている方なので。
先代の見よう見まねでやって、見よう見まねなんで上手くいかなくて苦労した経緯がありまして。

今までで、面白かったお仕事はありますか。

鈴木氏

安心堂さんの印刷機ですね。
ものづくりのイベントの時には、必ず印刷機をもっていくんですけど。
ぱっと、金属の部分をうちですべてやらせていただいています。
ほかの製品に関しては、中に入ってしまって、どのように使われているかは見られません。
これは、身近に使っているところが見られます。

福村氏

OEMですね。
展示会で、安心堂さん、この印刷機いつも展示されているんですよ。
展示ブースで、この印刷機を使った印刷物を物販しているんです。
そういうのを、見させていただく機会が多いので。
消費者が使っているところ、そして笑顔を見られるので、やりがいがあったと思います。

お仕事の中で、なにか新しい取り組みや挑戦されていることをお聞かせください。

鈴木氏

待っているだけの町工場では、どんどん小さくなってしまいます。
自分のところで作ろうと数年前からチャレンジしています。
自社で考えたものを、ものづくりのイベントに出して、紹介していただいて、将来的に自社で作っていきたいと思っています。
もうすでに、何点か作りました。
作って表彰されたものもあります。
買い手の東急ハンズさんから、引き合いがありまして。
金額の面で折り合いがつかなくて、商品化にまで至っていないんです。
でも、商品化に向けて、みんなで自社ブランドで売れるものを作っていきたいです。

「幸せのふくちゃん」というのも代表作のひとつでしょうか。

鈴木氏

「幸せのふくちゃん」は、TASKものづくり大賞で奨励賞を受賞したもので。
トイレットペーパーを、上段下段で使えるものです。
店舗では販売していないんですけど、催事場で展示しています。

福村氏

エンドユーザーに直接お売りできるような製品を目指していますが、それは最終目標で。
製品を名刺代わりにお配りすることで、弊社の技術を認知していただくだけでも成果があると思います。

まとめ

若い世代が主になることで、高い人間力を実現。


人を大切に。


だからこそ、人が集まってくる。


人間力は強い連携力で、迅速な対応を可能にする。


株式会社フクムラは、板金業界の未来を担う。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
福村 京介
担当者名
鈴木 正江
創業年度
1962年
メールアドレス
fukumura@fukumura.info
電話番号
03-3919-5849

住所

〒120-0046 東京都足立区小台2-33-18

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