大安工業株式会社

お客さまのお困りごとに設計から

大安工業株式会社について
滋賀県東近江市に鋼製家具、医療機器に強みをもつ板金加工メーカーがある。

大安工業株式会社だ。

受託加工のみならず、製品開発まで。

メーカーの製品開発の相談にものる。

今回は専務取締役の安井栄作氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

安井氏

弊社は、今の社長が創業者でこの地で40年ほどの歴史があります。
主に手がけているのは、薄板の板金加工ですね。
特に、この近くにある鋼製家具メーカーさんや医療機器のメーカーさんなどの受託加工を主に手がけています。
それ以外でも、約30社ほどのお客さまとお付き合いがありまして。
少量から中量産までを手がけています。
小回りの利く会社であることが強みかなと思っていますので、小ロットの注文に臨機応変に対応できるように心がけています。
これは、板金一般に言えることだと思いますが、業界を絞ってお客さまと対応していません。
車業界から、医療機器メーカーまで、様々な業界の方とお付き合いをしています。
そういう意味では、幅広い業界に対応していますね。


ありがとうございます。ものづくりには人が欠かせないと感じています。御社の人に対する思いみたいなところをお伺いさせてください。

安井氏

弊社は、もともと町工場から始まっています。
創業当初は、近所のおばちゃんなどに来ていただいてお仕事をしていました。
今は、全体で35名ほどの従業員がおりまして、地元の方々がほとんどですね。
それプラスアルファで研修生を受け入れています。
ベトナムから9名の方に来ていただいています。
弊社だけではないと思うのですが、人不足の問題を抱えていまして。
なかなか、日本人の方にたくさん入っていただくことができていません。
とはいえ、研修生の受け入れは15年以上やっています。
近くの一軒家を寮にして。
彼らが頑張って働いてくれているので、仕事をたくさんいただいてもきちんと実現できています。
そういう意味では、とても貴重な存在です。

なるほど。コミュニケーション上の問題はいかがでしょうか。

安井氏

言葉は、どうしても難しいですね。
2年前までは、中国の方にも来ていただいたんですが。
中国の方は、漢字を書けばなんとか伝わります。
ただ、ベトナム語は難しい(笑)
でも、彼らは若いですし、モチベーション高く仕事していただいているので、日本語を覚えるのは早い。
まだまだカタコトの部分もあったりしますが、上手くコミュニケーションを取れていますね。
今の時代、日本人だけで仕事をしていくのは難しいように感じています。
海外の方も、積極的に雇用していきたいと考えています。



ありがとうございます。人手不足だけではなく、設備産業化してきているという問題も伺っています。

安井氏

そうですね。
日本の技術が、どんどんと失われてきているように感じています。
今は、何でもできるような機械が出てきています。
昔ながらの職人さんの技術も、機械で代替できるようになってきている。
働き方改革の議論もありますけど、今はもうできるだけ無人でやろうとか。
ロボットを使って、人がいなくても仕事ができるように、という流れがありますよね。
ただ、そういう機械はびっくりするくらい高い。
レーザ加工機なんて、1億くらいしてしまう。
そこから、自社用にカスタマイズするとさらに価格が跳ね上がります。
そうなってくると、弊社のような中小企業ではなかなか難しいものがあります。

ですから、できるだけ小ロットのものを手がけるようにしています。
お客さまのお困りごとを、さっと解決できるようなところを強みにしていきたいと考えています。
これまでは、メーカーさまも自社工場を持たれていたのですが、ファブレスになってきています。
悪く言うと下請け依存のメーカーさまが多くなってきています。
弊社は、いい意味でそういう流れにのりたいと考えています。
何かお困りごとがあれば、相談させていただいてパートナーとしてやっていけるような企業を目指しています。

ファブレス企業が増えてきているということは、工場の数が減ってきているということですよね。

安井氏

もちろんそうです。
昔はメーカーさまの中に工場がありました。
で、自社できちんと加工もされていました。
溢れた分を下請け企業に流されていました。
でも、今は組立てのみのような形が多くなってきています。
基本的に、加工は下請けに流される。
ですから、加工する技術もなくなってきています。
これは大手メーカーさんも同様です。
ですから、我々のような下請けが様々な相談を受けたり、設計までお願いされることが多くなってきている印象がありますね。

なるほど。加工しなくなったことによって、設計の部分にも影響があったりされるのですね。

安井氏

ありますね。
以前であれば、加工して叩き上げられた方が、設計に行かれていました。
でも、今はいきなり設計から始めるような流れがあります。
大学を出てすぐにされるんですね。
そうすると、こんなものできないというような設計図が回ってきたりします(笑)
この曲げどうやったらできるの、というようなものが出てきますね。
ですから、設計の段階でお呼びがかかって、相談を受けたりするようなことも増えてきました。
ある意味ではチャンスだと思って、そういう仕事も積極的に手がけていこうと思っています。


ありがとうございます。これまで手がけられた中で難しかった案件や印象に残っている仕事などございましたら、お伺いさせてください。

安井氏

その時代その時代の流行りものって、売り上げがすごく伸びるんですね。
10年以上前の話になるのですが、パチンコ屋さんがすごい勢いで増えた時期がありました。
その頃、パチンコをしている方用に、吸い殻を回収する機械というものがありまして。
煙草を捨てれば、箱に全部送ってくれるようなもの。
一時期、商社さまから依頼があって、つくっていました。
それが、たくさん売れました。
大手のパチンコ屋さん2社に入るものだったのですが、そのパチンコ屋さんが毎月10店舗くらい出店されるんです。
それが、2、3年続きましたね。
ですから、とにかく出さなければいけなくて、その当時はそれをメインにやっていました。
当時の売り上げは、本当にすごかったですね。
でも、流行りものは長く続かないんです。
パチンコ屋さんの不況も出てきて、今はもうメンテナンス程度になっています。

なるほど。流行りものは波が激しいので嫌がる業者さまもいると伺っています。

安井氏

確かにそういう面はありますね。
ただ、弊社の社長は色々なものにチャレンジすることが好きな方で。
色々なお付き合いのある中で、そういうのをやってくれないかとお願いされると、チャレンジするんですね。
別の仕事で売り上げもでているという状況もあってなのですが。
ただ、当時は結構大変でして(笑)
工場の中でつくる部分もあったのですが、どちらかというと現場で組立てを行なわなければいけない部分もありまして。
夜中に走って取り付けに行ったというようなこともありました。

御社では、取り付けまで担当されていたのでしょうか。

安井氏

いえ、取り付け業者さまに頼んでいたので、主に立ち合いですね。
部材を運んだりなど。
今やっているような受託加工もしながら、プラスアルファで手がけていましたので、当時はとても忙しかったです。
しかも、そういうものには開発費とか金型費とか、受託加工とは異なる部分で費用がかかりました。
その製品に関しては、製造メーカーとして手がけていましたので、メーカーの大変さもよくわかりました。
製品をつくったからには、最後まで責任を見なければいけない。
そういう意味でとても勉強になりましたね。
下請けの大変なところ、メーカーの大変なところ、それぞれあるということがよくわかりました。



ありがとうございます。商社さまとのお付き合いというのは日頃からあるようなものなのでしょうか。それとも、突発的にお仕事のお話をいただくのでしょうか。

安井氏

弊社の社長が、人脈が広くて。
知り合いの知り合いみたいなところから、お話が来る感じですね。
その当時は、パチンコ関係の商社がたくさんあったんです。
直取引でやるようなこともありましたね。
ただ、弊社は製造の会社なので、販売まで手がけるというのは、なかなか難しいものがあります。
製品をつくる会社と売る会社は全く別物というイメージを持っています。
製品をつくるのは問題ないのですが、それを売ろうと思うとパートナー企業がないと難しい。
ですから、弊社がメーカーとして、すべてを手がけようとしても、なかなかうまくいかないだろうなと思っていますね。

なるほど。今、新しい取り組みとか挑戦されていらっしゃることなどございましたら、お伺いさせてください。

安井氏

弊社が、今取り組んでいるのは、もう一度自社の技術を磨くということです。
研修生の技術をあげるということも一つのテーマなのですが、やはり技術を高め直さなければならない。
ですから、様々な仕事をしながら、色々な製品をつくりだしていく。
その過程で、あんなことできますよ、こんなこともできます、というのを増やしていきたいと思っています。

もう一つ、これは挑戦なのですが、弊社ではステンレスの棚をつくっています。
知り合いにパン屋さんがいまして。
パン業界って給食をたくさん手がけられているのですが、とても衛生法が厳しいんです。
工場にあるものはステンレスに変えないといけない。
鉄だとどうしても、錆びてしまって混入の恐れがある。
そういう話を聞きまして、じゃあということで、弊社でステンレスで使われるものを手がけ始めました。
これは、始めて間もないのですが、まずはパン業界に絞って手がけています。

それはオリジナル商品になるのでしょうか。

安井氏

そうですね、オリジナル商品になります。
ただ、業界でどのようなものをつくられているのかを我々は知らないので。
教えていただきながら、手がけさせていただいています。
向こうから注文が来るようなレベルにまではなっていないのですが、そういうところも手がけていきたいと思っています。
衛生法も厳しいので、そのような基準をきちんとクリアして。
パン屋さんも決して大きくはないので、このサイズで欲しいというようなニーズもあるんです。
弊社のような規模感ですと、どうしても大量生産で他社さまと競争するのは厳しいものがあります。
ですから、どこに頼んだらいいんだろう、というようなもの。
それを提案も含めて手がけていきたいと思っています。
ただ、販売の部分はやはり難しいです。製造で手いっぱいで、販売営業をする人間を割くだけの力がないのが正直なところです。
ですから、見方を変えて自社で販売をするのではなく、販売を担当してもらえるところと組んで、一緒にやっていけたらと思っています。


ありがとうございます。こういう取材で勉強させていただいているのは、法規制の厳しいところにあえて挑戦される企業さまがいらっしゃることです。生産量は多くないのだけれど、安定した受注はあるので、あえて挑戦するというお話をよく伺っています。

安井氏

その辺りどのように進めていけばいいのか、悩みどころですね。
どこの業界でも調べてみると、こんな考え方があるのかとか、このような法律があるのかとか、っていう発見があります。
これまで手がけてきた業界だけ見ていると、わからないこと沢山あります。
そういうところに関わることで、どんなことで困ってらっしゃるのか、どういう悩みがあるのか、分かることがありますそういうところで、弊社がお手伝いできることがあれば、と思っていますね。
間に商社さまが入ったりすると、どうしても相手さまがどのように使用されているのか、とか、どういうものが欲しいのかという情報が入ってきません。
そういうところに直で切り込んでいくことができれば、現場の方々の声が聞こえます。
そこは、仕事としても面白いですし、何より新鮮なことがたくさんあります。

なるほど。最後に大きな質問になってしまうのですが、板金業界全体や金属加工業界全体の課題などございましたら、是非お伺いさせてください。もちろん、御社の課題でもかまいません。

安井氏

一つは技術の継承ではないでしょうか。今まで蓄積されてきた技術が、日本の方になかなか伝えられていけていないように感じています。機械がよくはなってきているんですけど、例えば溶接のような職人さんが培ってきた技術を伝えていくことはなかなか難しい。機械に頼ったつくり方に変化してきてしまっています。日本自体が効率を求める国に変わってきてしまっているように思います。昔だったら、こういう技術を結晶化したものはすごい、高く売れるね、っていう時代がありました。でも、今はそのようなことはなくなっています。いくら職人さんが、すごいものをつくったとしても、同様のものを機械でつくることができるなら、機械でつくった値段がついてしまう。もう、昔のような技術が育たない時代になってきているのかなとも思います。ちょっともったいないな、っていう思いがありますね。弊社の課題でいうと、人の問題が一番大きいですね。どれだけ人に来てもらえるのか。そのためには、魅力的に思ってもらえるような会社にしなければいけません。中小企業でも、やりがいのある仕事を手がけている会社はたくさんあります。弊社も、そのような会社にならなければいけません。そのような会社になれば、人手不足もなくなるのではないかと考えていますね。


まとめ

お客さまのお困りごとに。


設計から参画。


小ロット生産で生き残るために。


大安工業株式会社は、難しい業界にあえてチャレンジする。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
安井 栄夫
担当者名
安井 栄作
従業員数
35名
創業年度
1979年
メールアドレス
info@daiyasu.jp
電話番号
0748-55-2064

住所

〒529-1541 滋賀県東近江市蒲生堂町571

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