シム技研株式会社

UPS電源の一貫受注を実現

シム技研株式会社について
大阪府泉大津市に電源関係に強みを持つ板金加工メーカーがある。

シム技研株式会社だ。

UPS電源の一貫受注を実現。

電源関係に絶対の強みを持つ。

更に、アルミ、銅、真鍮などの非鉄金属素材の精密加工から、重機関係のような大きなものまで。

今回は取締役営業課長の福永幸司氏に話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

福永氏

弊社、いわゆる精密板金の部類に入りますね。
ニプロンという親会社があります。
ニプロン自身は、電源のメーカーなのですが、そこの機構関係を板金部門として手がけさせていただいています。
そのような関係で、弊社の主力は電源の部品関係になります。
最初のスタートとしては、非鉄金属。
アルミ、銅、真鍮など。
電源の中には基盤が入っているのですが、その基盤に携わるものに放熱フィンというものがございます。
接続ドーバーともいいます。
それを手がけるところからスタートしました。
さらに電源に必要になる筐体もの。
要は、ケースですね。
主にそのようなものを手がけています。
基本的に小さな部品ばかりですので、大きな場所も設備もあまり必要ありません。
現在は、それに加えて色々異なる分野も手がけています。
ただ、会社全体で言うと、80%はUPSと言われる電源を手がけていますね。
材料から、最後の2次処理まで。
めっき、塗装、シルクまで一貫受注しています。
この一貫生産ができるところが強みになりますね。
あとは、いわゆる短納期。
塗装、めっきの工程がどうしても時間がかかってしまうので、処理鋼板を使っていこうという話にもなっています。


ありがとうございます。親会社さまの仕事が80%ほどを占めていらっしゃるのでしょうか。

福永氏

いえ、割合でいうと親会社さまは全体の3分の1ほどです。
3分の2ほどは、外販させていただいています。
かつては製品だけではなく、お仕事自体も親会社さまが80%ほどでした。
それが、今逆転している状況ですね。
弊社は、精密板金を手がけている関係で薄板のものを扱っています。
ただ、10年ほど前から、レーザ加工機を導入しました。
そのタイミングであるメーカーさまから、重機の仕事もしてくれないか、という打診を受けまして。
そのようなお仕事も手がけさせていただいています。
レーザ加工機を入れたことで、そのようなお客さまとの取引ができるようになりました。
これは、北米専用のミニ重機でして。
もう北米でしか扱っていないようなものなのですが、一日に60から70台くらい売れているような状況です。

なるほど。少し話が戻るのですが、UPSと言われる電源ものを80%ほど受けているとのことでした。これは、量産ものということなのでしょうか。

福永氏

そうですね。
試作品も手がけますが、量産品の方が得意かもしれませんね。
今年からできるだけ内製化できるように、自動化できるようにしようと考えています。
これまで板金屋さんの仕事というと、どうしても3Kのイメージがありました。
油の中で抜いて、曲げて、溶接していく。
音もうるさいというようなイメージですね。
しかしながら、今の電源というものはそのような溶接を使わない。
かみ合わせ、ジョイントでつくっていきます。
後処理もしませんので、環境にも優しい。
ですから、そのままリサイクル、スクラップできる。
私自身の考えでいうと、溶接などをできるだけ使わずに、今申し上げたようなやり方でものをつくっていきたい。

これは環境の問題だけではなくて。
ご存知かと思いますが、溶接は職人さんの世界でして、なかなか人が育たないというところがあります。
これは、板金業界全体の課題でもありますね。
弊社では、溶接をしなくてもきちんと製品ができるように考えてやっています。
設計班と話をしながら、こういう金型をつくればかみ合わせでできるよねって。
その分コストが下がることもあります。
そういう部分も、弊社の強みと言えるかもしれませんね。


ありがとうございます。やはり日々の仕事の中で、教育もしていくとなるとなかなか難しい。

福永氏

難しいです。
私自身は、やはりものづくりが楽しいのでこの業界にいます。
ですから、実際に曲げたり、くっつけたりすることが楽しい。
でも、今の若い人はどうしても画面上、ネット上のものを多く見てしまっている。
ものづくりの現場でも、その弊害みたいなものが出てきてしまっています。
3DCADがあって、図面上では問題なく設計できる。
でも、実際に加工する部分では一枚の鉄板に人間の手を入れていかなければいけない。
この手を入れるという部分が楽しい仕事なのですが、なかなか伝わらなくなってきているという現状がありますね。

本当は、人を育てていきたいという気持ちはあるのですが、その時間を取ることができない。
安定した教育ができないなら、自動化していくしかない。
そのような流れに弊社もなってきています。
とはいえ、設備も決して安くないので、どのようなかじ取りをしていくのか、本当に悩ましいところです。

なるほど。これまで手がけられた中で難しかった案件や印象に残っている仕事などございましたら、お伺いさせてください。

福永氏

思い出がたくさんあり過ぎますね(笑)
ただ、ここ最近の話でいうと、あるメーカーさまから「こんなものできませんか」というお話が来ました。
よくよくお話を伺ってみたら、大手メーカーさまとの3社合同で医療関係の製品をつくるというお話でした。
今まで手がけたことがないようなお仕事だったので、面食らうようなことも多くて。
先ほどの話ではないですが、画面上では可能なのですが、実際にものをつくろうとなるとかなり困難な部分もありました。
どうしても工程の中に溶接を入れなければいけなくて。
量産になってくると何人かで手分けしてやらなければいけないのですが、そうすると同じものにならない。
私としては、やはり気に入らない(笑)
一人の職人さんに任せれば、そのようなことは起きないのですが。
最終的には、きちんと納得いくものを納入させていただきました。
これまで、電源関係ばかりやってきたのですが、全く別分野の製品を手がけると色々発見があって面白かったです。


その医療関係のものは、割と大型のものですよね。精密板金、小物が得意な御社にどうして、そのような依頼が来たのでしょうか。

福永氏

どうしてでしょうかね(笑)
おかげさまで、ずっと忙しくさせてもらっていまして。
そこのメーカーさまとのおつきあいはあったのですが、なかなか中身までは見ることはできていませんでした。
ただ、そこの外注担当の方が困っているというお話を聞きまして。
たまたま、自分の住んでいるところの近所でもあったので、一回見に行きましょうかって、行ったんです。
確かに難しいお仕事で、弊社も決して得意なわけではなかったのですが。
困ってらっしゃったので、一度挑戦させてもらおうかと。
そういう経緯だったのですが、びっくりするような大手メーカーさまがでてきたので、本当にびっくりしました(笑)

ただ、弊社は今13名という少人数で仕事をしています。
なかなか手広く仕事をできないというのが本音です。
以前は、50社くらいのお客さまと取引をしていましたが、手が回らない状況になりまして。
もちろん、できないことはないのですが、きちんとしたサービスをすることを考えると難しい。
現在は、20社ぐらいまでに絞らさせていただいています。

ありがとうございます。お忙しいことと景気の動向は関連されているのでしょうか。

福永氏

かなり景気の動向に左右されます。
お取引先のメーカーさまは棚卸期間のあるところが多いです。
年間12ヵ月のうち、2ヵ月くらいは稼働率が落ちてしまいます。
そのような関係で、レーザ加工機を導入して、重機を手がけるようになりました。
おかげ様で重機の方がかなり伸びてきていまして、だんだん逆転してきています。

それから、最近で言うとアメリカと中国の関係も大きいですね。
内需の需要が落ちました。
じゃあ、新規開拓をすればいいかというと、今度内需が立ち上がってきたときに対応できなくなってしまう。
この辺りは、板金屋の持っている弱みですね。
メーカーさんならメーカーさんでパートナーとして見てくださっているところは大丈夫なのですが。
未だに下請けとしてしか意識をしていないような会社さまもいます。
弊社は、そういう事例に出会うことはないのですが、内需はなくても仕込んどけとか、そういう企業もあると聞いています。

昔の板金屋といったら、本当に下請け扱いがひどくて、買いたたきがしょっちゅうあったと聞いています。
もしかしたら、今でもそういうところがあるかもしれません。
ただ、そういう仕事は、面白くないし将来性もない。
だから、人も入ってこないし、育たないのは当たり前ですよね。

なるほど。今新しい取り組みとか挑戦されていらっしゃることなどございましたら、お伺いさせてください。

福永氏

先ほど申し上げたように、とにかくどれだけ内製化ができるのか、また自動化できるのか。
ここに挑戦していますね。
設備投資は、お金である程度できますが、それを扱うのはやはり人間ですから。
人間の部分にもきちんと投資をして、教育をしていかなければいけないと思っています。
今、取材されている中で溶接を手がけている板金屋さんも多いと思いますが、なかなかそのような職人仕事ができる人間というのが育たないという現実はあります。
完全に分業制にするにせよ、世代交代を見据えて若い人を入れるにせよ、どちらにも苦労がつきまといますよね。
正直、板金業界というか、板金メーカーというか、町工場も一緒ですけど、皆さん悩んでいる部分だと思います。
弊社も、悩みながら一歩ずつ進めるように努力しているような状態ですね。


ありがとうございます。最後に大きな質問になってしまうのですが、板金業界全体や金属加工業界全体の課題などございましたら、是非お伺いさせてください。もちろん、御社の課題でもかまいません。

福永氏

あまり偉そうには言えないのですが、やはり人ですね。
この業界で30数年やってきました。
その間、若い人間が育った時期もありました。
しかしながら、なかなかものづくりの楽しさ、面白さが伝わらなくなってきている印象を受けています。
それが、私の中では一番大きい問題です。

自分の中にきちんと目標を持っている人間は、やはり育ちますし、伸びます。
ただ、そういう人間が少なくなってきてしまった。
すぐにできないと言ったり、来ても辞めてしまったり。
これは、他のお客さまや仲間のところ見ていてもそうです。
どうしたら、ものをつくることの楽しさを伝えられるのか。
我々の世代がきちんと考えて向き合っていかないといけない問題だと認識しています。


まとめ

非鉄金属の精密加工を手がけてきた経験で。


大手メーカーの製品開発にも貢献。


確かな技術と顧客への丁寧なサービス。


シム技研株式会社は、今日もものづくりを推し進める。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
福永 幸司
担当者名
福永 幸司
従業員数
13名
創業年度
1989年
メールアドレス
cimgiken@nipron.co.jp
電話番号
06-6430-1105

住所

〒660-0095 兵庫県尼崎市大浜町2-57

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