株式会社 アイザック

職人の「応用力」をいかして

株式会社 アイザックについて
設備産業化しつつある板金業界。

その中で、職人の「応用力」を武器に大型板金で勝負する加工メーカーがある。

株式会社アイザックだ。

職人の「応用力」とは何か。

株式会社アイザックの代表である佐川英雄氏にお話を伺いました。
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今回はお時間をいただきましてありがとうございます。まず御社の強みを教えてください。

佐川氏

大型板金・製缶板金加工・精密板金加工を中心に取り組んでいます。
他社様で断られた案件が、口コミや東京都の中小企業振興公社から紹介されて、入ってきます。
強みとしては、職人の「応用力」があることですね。
例えば、機械で加工できないもの、図面に起こせないものでも対応できます。
東京に広い敷地を持って、大型板金ができるのも強みでしょうね。

後は溶接。
溶接技術は大型板金において鍵だと思っています。
溶接の際に出る歪みを機械加工を行わずに取ることができるのも強みですね。
歪取りの際に機械加工を行わないことでコストを安くすることができます。

職人の「応用力」についてもう少し詳しく教えてください。

佐川氏

板金加工にかぎらず、大事なことは工夫です。
機械がなくても工夫次第でできることがたくさんあります。

例えば、一人では持ちあげることができない製品を搬入するとします。
他に手伝ってもらえる人がいなければ、諦めてしまう人もいます。
でも、台車を使えばどうでしょう。
一人でできます。
トラックの荷台にも載せられます。
下ろすときも製品を滑らせて台車に乗せればいいだけです。
当たり前のことかもしれませんが、こういう工夫が大事です。
ガス屋さんも丸いボンベを回転させながら、運びますよね。
工夫は色んなところに施すことができます。
工夫して考えると職人の「応用力」に繋がります。
職人のやっていることには、ちょっとしたことでも工夫が含まれています。
そうやって積み重ねてきた工夫を新しいことにいかすことができます。
それが職人の「応用力」ですね。
こうした工夫は、ものを大切にする態度が生まれるものです。

昔の人は、ものを大切にします。
悪い言い方をすると、使えるものはずっと取っといてしまうんだけど(笑)
でも、それが工夫することにつながってます。

工夫する人としない人がいるかと思います。どこで差が出るのでしょうか。

佐川氏

生きる目標を持っていることですね。
山口県で行方不明の子供を救った尾畠春夫さんってすごいですよね。
今までの人生に感謝してボランティアしようと目標を持っていますよね。
人のやらない力仕事を率先してやって。
終戦の頃に苦労したことが関係していると思うんです。
恵まれた環境でなくても、幸せを見つけてきた。
周りに感謝しながら。

現代は、最初から恵まれた時代ですから、逆に不幸かもしれませんね。
目標を持ちづらいという意味で。環境が恵まれているために。

昔は人を奮い立たせる時代だったんですね。
真面目に生きていこうって。
もちろん今でもそういう目標を持つことはできる。
ただし、今の方が難しいかもしれない。

弊社の職人は仕事に目標を持っている方が多い。
定年超えて仕事すると年金減っちゃうけど、それでも仕事好きだからって頑張っています。
残業もみんなと同じように。忙しいと自発的に休みの日に出てきちゃいます(笑)

ウチでは定年超えてもやりたければそのまま働いてもらっています。
今の時代、定年でクビにしてしまうことも多いですよね。
いい仕事をしたいっていう目標持っていますし、能力もある。
だから、定年前の給料で雇っています。

なるほど。そういった工夫や技術の継承は難しいと思いますが、何か取り組まれていることはございますでしょうか。

佐川氏

いいものができたときは、朝礼後に研修を行うようにしていますね。
社員を集めて、議論するんですね。

それから、週に2回は整理整頓の時間を設けています。その際、若い人には機械の点検をさせるようにしています。
電源を点けるところから。
機械をきちんと覚えてもらって、ようやくスタートラインですね。

技術の基礎を学習するためのテキストやノウハウを記載した社内資料を用意しています。
10年くらい前から用意しています。
教育はとても大事ですから。
職人にも若手の指導をするように頼んでいます。
昔は職人の仕事を盗めといったものですが、今はそれだけでは不十分です。

いつごろから大型板金を始めたのでしょうか。

佐川氏

30年くらい前ですね。
NC工作機機が導入された頃から、将来、職人がする仕事と設備で対応する仕事にわかれると感じました。
どっちで勝負するか考えたのですが、職人の腕が問われる分野に舵をきりました。
それで大型板金の事業を始めたのです。

なるほど。最新機器に頼らない方向ということに舵を切られたのですね。

佐川氏

はい。
ウチでは新しい設備は入れないようにしています。
NC機械で行う加工も、全体の仕事量の半分ほどにとどめています。
確かに道具や機械に頼ることも重要です。
ただ、あまりに便利な機械を入れると自分で工夫しなくなってしまいますね。
工夫しなくなると、腕も落ちると思っています。

古い機械には、古い機械なりのいいところがあるんですね。
例えば、鋳造で作られている部分があって、長持ちします。
プレスをしたときの弾力も違うんですよ。
それに古い機械はパッとものが作れる。
今でも十分に通用するんです。
例えば精密板金で緊急の案件が来た場合。
パッと作ってその日に納品できるのは、そういう機械があるから。
もちろん、大型のものの即日納品は難しいですけどね。

なるほど。先ほど、他社で断られた案件を引き受けているとおっしゃっていました。何か特別な技術をお持ちなのでしょうか。

佐川氏

特別な技術といえるようなものではないんですけどね。
昔は職人が当たり前にやっていたことなんですよ
ただ、今は急激に少なくなってしまった。

一握りの器用な人だけができるというものではないんですけどね。
不器用な人でも一回覚えれば、自分の形に落とし込むことができます。
不器用なことを気にしていれば努力しますし。
覚えが悪くても、人より少し努力すればいいだけの話です。
できない人ほどそこでかじりついて頑張ろうとしますね。
逆になんでも中途半端にできてしまうと、器用貧乏になってしまいます。

要は、やる気が大事なんですね。
ウチでは、50歳で未経験の人を雇いました。
その人も一生懸命やってくれていますよ。
職業訓練校から入ってくれた人も目標持って、頑張ってくれています。

御社の課題について教えてください。

佐川氏

人が足りていないことですね。
営業すれば仕事は増える状況にあります
ただ、人手は足りないし、大型板金で敷地的にも限界があります。業界全体でも人材不足が深刻ですね。

製造業全体で人手不足が深刻であると伺っています。どのような解決方法が考えられるでしょうか。

佐川氏

一番は将来性を感じさせることですね。

正直に言って、この業界は参入障壁が高いと思います。
大型板金は特に。
敷地も機械も必要ですから。
既存の工場で技術を学ばざるをえないですし。

そういう中でウチに将来性を感じて就職してくれる方もいます。
私の息子も看護師をしていたのですが、ウチに就職してくれました。
頼もしいかぎりですよ。


まとめ

小さな工夫の積み重ねが職人の技術を形づくる。


そして、技術は「応用力」として、設備以上の武器となる。


脈々と伝えられる職人の「応用力」。


それが、アイザックが選ばれる理由だ。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
佐川 英雄
担当者名
佐川 英雄
従業員数
18名
創業年度
1967年
メールアドレス
isac@song.ocn.ne.jp
電話番号
042-650-7151 

住所

〒192-0152 東京都八王子市美山町2161-10

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