ブラスト工業株式会社

製缶板金からブラスト処理まで一貫で

ブラスト工業株式会社について
栃木県佐野市に製缶板金からブラスト処理まで一貫加工できる板金加工メーカーがある。

ブラスト工業株式会社だ。

製缶板金加工と鋳物加工に強みを持って、昭和39年より表面処理部品メーカーとして活躍。

製缶板金と鋳物加工をどのようにかけあわせるのか。

今回は、代表の近藤 仁彦氏にお話を伺ってきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。


近藤氏

弊社は、ショットブラスト機という表面処理機を作っているメーカーの関連会社になります。
その表面処理機の製缶板金関連の仕事を、ほぼ100パーセント請け負っています。
ですから、その親会社さまから頂いている仕事がメイン事業になりますね。
もちろん景気の動向によって、受注が減ってしまうということもございます。
そのような場合には、製缶板金の仕事の営業をさせていただいて、お仕事をいただくということもございますね。
手がけているものとしては、多品種小ロットのものがほとんどです。

弊社の強みに関していえば、図面さえいただければ、一貫して完成品まで製作できます。
図面を展開し、レーザ加工機で加工、折り曲げ、溶接、塗装。ここまで実現することができますね。


ありがとうございます。ブラスト加工と鋳物加工を行っていると伺っています。このような事業と板金が重なってくるようなことがあるのでしょうか。

近藤氏

それはなかなかないですね。
製缶板金部分と鋳物加工部分は、基本的に別の加工工程になります。
両者を完成品の段階で組み合わせるということはございますが、溶接で接着するというようなことはないですね。
そもそも表面処理機という機械は、表面の錆を取ることを目的とした機械です。
要は研磨機なんですね。
高速で回転しながら研磨しますので、研磨部分がしっかりしていないといけない。
普通の鉄ですと簡単になくなってしまいます。
耐摩耗、硬い素材でつくらなければいけないので、鋳物でつくるわけです。
そのために鋳物の事業を手がけているわけです。
耐摩耗部品を鋳物でつくっているわけなんですね。
そこは、製缶板金とは別になります。


板金で耐摩耗品をつくるというのは、難しいことなのでしょうか。

近藤氏

板金でつくるとなると、耐摩耗に耐えられる素材を使用しなければいけなくなります。
全くできないわけではないです。
これは一例ですが、弊社ではSS材、一般の鉄鋼と、ハイマンガン鋼を使用します。
ハイマンガン鋼はマンガンが入っているので、表面が硬い。
製缶部品にそのハイマンガン部品を、ハイブリットでくっつけて使う。
そういう加工をすることもあります。
ただ、鋳物に比べれば耐摩耗性は低いです。
ですから、あくまでも鋳物中心に作ります。
その中で、製缶板金部品の中で、どうしても耐摩耗部品を使用した方がトータルコストが下がる場合というものもありまして。
マンガンを使った鋼材をSS材と張り合わせて、使用するということがあります。
ただ、そのような場合には、当然ながら溶接に工夫をしなければいけません。
これは一般的な板金加工メーカーにない、特色かもしれませんね。


ありがとうございます。特につながりの強い業界などございましたらお伺いさせてください。

近藤氏

弊社の製品を納めているのは、先ほど述べた親会社さま。
親会社さまでつくられた機械がどのような業界で使用されるのか、ということでいえば様々です。
ただ、その中でも建設業界で多く使用されています。
鉄骨業者さまには、必ず一台は入っていますね。
オリンピック関係で建築ラッシュがございますよね。
その関係で、おかげさまで忙しくさせていただいています。

自動車メーカーさまも多いですね。
自動車メーカーさまも表面を処理する部品がたくさんあります。鋳物を色々使うので、エンジンブロックであったりとか、様々なケースであったりとか。
鋳物はどうしても、砂を落として錆を落とすという工程が必要なんですね。
ですから、そこで必ず必要になってきます。
アルミもたくさんを使いますよね、自動車は。
アルミ製品のバリを取ったりをするところでも、使うんです。


ブラスト機を航空機を手がけている業者さまのところでも拝見したことがあります。

近藤氏

本当に多岐にわたるんですね、使用される業界が。
確かに、航空機でも使用されていますね。
少し、お話ずれてしまうかもしれませんが、弊社は大手のメーカーさんと共同特許を取っているんです。
それはカーボンを表面処理する技術でして。
金属ではないのですが、カーボンはカーボンで、表面処理をするノウハウが特別に必要となってきます。
そこで、弊社の機械を入れてやっていますね。
それは、賞をいただきました。

これまでなさってきた仕事の中で、難しかった案件や印象に残っているお仕事などございましたら、お伺いさせてください。

近藤氏

そうですね。
そういう話しになってきますと、さっき申し上げたような耐摩耗素材が大変でして。
これと普通のSSの材質を溶接する。
ここには大変工夫が必要でしたので、苦労しましたね。
というのも、一般的な溶接の棒が流れないんですよね。
普通、溶接は母材を溶け込ませるわけなんですが、耐摩耗素材の場合は簡単にいかない。
溶け込むのが難しかったりとか、ヒビが入ってしまったり。
接着自体もなかなかうまくいかなかったり。
論文などを見ると、水の中につけるといいなど書いてありますが、それだとコストがかかってしまうんですね。
コストに見合いながら品質を維持する技法、工法を開発する。
これには苦労しましたね。
もちろん引張試験なども行いながら、ちゃんと強度も確かめて。
そういうところまでして、今の基準を作りあげました。

ありがとうございます。今、特に力を入れていらっしゃることなどありましたら、お伺いさせてください。

近藤氏

納期と見積りの部分ですね。
確かなものをできるだけスピード感をもって出せるように努力しています。
見積りに関して言えば、ベテランの職人たちが、経験をいかしながら確かなものを出してくれています。
ただ、どうしても世代交代というものがきてしまう。
その時に今ベテランの職人が持っている知見をできるだけソフト化できるように尽力しています。
まさにそのような事業に取り組んでいる最中でして。
製缶板金の見積りソフトを作ろうとしています。
CAMと連動させることも視野に入れながら、頑張っているところです。

また、現場のマニュアル化も目指しています。
とはいえ、単純にマニュアルを作るのは大変ですので。
資料をつくる方も大変ですし、見る方も大変。
そこで、現場にカメラを入れて、工程ごとの姿を撮影する。
絵だけ見て、工程が分かるようにしたいと考えています。
そうすることで、新しく入ってきた人もすぐに現場で仕事ができるようになる。
そういうものを外部の方と共同開発しようとしています。

なるほど。お仕事をする際に大切にしていることをお伺いさせてください。

近藤氏

これは当たり前ですけど、信用ですね。
信用の中で大事なのは、やはり納期。
決められた納期の中でミスをしない、クレームをもらわない仕事をする。
ここをきちんと守っていくことで信用ができてきます。
それから、自分たちがお客さまの立場になって考えるということが、本当に大事。
弊社が作った製品を、お客様が喜んでもらえるような仕事をしなければいけない。

この仕事は、どうしても日々納期との闘いな部分があります。
とはいえ、間に合わせるために適当な仕事をしていいわけではない。
納期の中で高い品質を実現する。
その積み重ねの中で、信用、信頼をいただいていくわけです。

納期と品質を守るために心がけていることはございますでしょうか。

近藤氏

子どもの夏休みの宿題ではないですけど、ギリギリになって手がけたりしないことですね(笑)
常日頃から、きちんと工程管理をしながら、状況を把握していくことが大事です。
弊社は、大体納期が一ヵ月くらいのものが多いです。
安易に引き受けて、ギリギリになってできませんでは信用を失いますよね。
毎週毎週、進捗を確認しながら、お客さまと相談しながらやっていく。
先ほどの話にもつながるのですが、ここをソフト化することで数字だけ見れば、わかるようになればいいですよね。
例えば、数字できちんと把握できていれば、お仕事の依頼があった最初の段階で、納期の交渉ができる。
もちろん場合によっては、ご依頼を断らなければいけないケースも出てくるでしょうね。
ただ、できないなら、できないとちゃんと言うことができますよね。
きちんと数字を見せながら、理由を言って。
そういう断り方ができれば、またそこで信頼が生まれてくると思います。

品質に関しては、出荷の責任者がいてそこで担保しています。
ただ、それで100パーセント安全かというとなかなか難しいところがありますね。
この点に関しては、一人一人の意識を高めないといけないところでもあります。
ですから、どうしても教育の問題にもつながってくる。
弊社では、チェックシートや検査表を作りながら、全員が高い意識で仕事に臨めるように、工夫して対応しています。
とはいえ、そのような工夫も一人一人の意識を高めないことには、ざるになってしまうこともあるでしょう。
教育とアイデア。
両者を両輪にして、うまく品質の管理ををできるように日進月歩でやっています。


ものづくりの担い手不足のお話を伺わせてください。

近藤氏

幸か不幸か、栃木県のこの辺りに関しては、深刻というほどの問題にまではなっていません。
この近くには、工業系の大学がありまして。
大学とコミュニケーションをとらせていただきながら、新卒の方に来ていただけている状況が続いています。
弊社は、従業員が大体50名ほどいるのですが、その中の20人くらいがそこの卒業生です。
毎年採用ができているような状態です。
後は、職安からの紹介。
まだお願いすれば、紹介していただけるだけの人材がいます。
ですから、そこからも採用させていただいてます。
また、一部の仕事は派遣さんにお願いしています。
派遣さんに関していえば、なかなか求職しても来ていただけない状況になってきています。


ものづくり全体に人が集まらない理由についてはいかがお考えでしょうか。

近藤氏

楽してもうからないからではないでしょうね。
オフィス仕事とは違って、現場は夏暑くて、冬寒い。
仕事をする上で、どうしても体力が必要になってくる。
そういう環境の中で、仕事をしなければいけませんから、決して楽な仕事とはいえないでしょうね。
ただ、反対にやりがいや達成感はあるとは思います。
自分の手がけたものが、実際に世の中に出ていく。
お客様に使っていただいて、喜んでもらえている。
そういう面白さはありますよ。


少し話が大きくなるのですが、板金加工業界全体の課題についてお伺いさせてください。

近藤氏

これは難しい質問ですね(笑)
少しこれは思いつきになってしまうのですが。
鋳物だと、鋳造業会とかそういうものがあります。
板金には、そういう業界がない。
自分のところの工場で仕事がパンパンになった時に、すぐにお願いができるような横のつながりがない。
仕方ないから、タウンページで工場を探して、折衝をする(笑)
これは結構大変です。
日頃から、製缶板金なら製缶板金で交流会などがあってお付き合いがあると、とても助かります。
弊社が忙しいときは、どうしても他社さまにお願いしたいことがでてくる。
もちろん他社さまが忙しいときは、弊社もお手伝いさせていただく。
安心してスムーズに相互扶助ができれば、業界自体の活性化にもつながるように感じます。

これは弊社の顧問とよく話すことなんですけど。
これから10年、20年という先のことを考えると、製缶板金屋は半分になるのではないかと言われています。
じゃあ、仕事も半分になるのかというと、仕事の量はそのまま残る。
要は、淘汰の時代がくると思うんです。
今まで通り納期と品質を守りながら、さらに仕事が増えてくるとする。
そうすると、弊社が生き残っていくには何をしなければならないのか。
こういうことも考えながら、日々仕事をしていかなければいけませんよね。


まとめ

ブラスト機に要求される高い耐摩耗性を鋳物加工で。


製缶板金でも創意と工夫で高い耐摩耗性を実現する。


製造業に欠かすことのできないブラスト機を支える。


ブラスト工業株式会社は、製缶板金からブラスト処理まで一貫加工する。




加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
近藤 仁彦
担当者名
近藤 仁彦
従業員数
60名
創業年度
1964年
メールアドレス
info@blast-industry.jp
電話番号
0283-87-0111 

住所

〒327-0515 栃木県佐野市柿平町69

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