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溶接時のスラグはなぜでるのかを解説!スラグ巻き込みの原因と対処法についてもご紹介!

今回は、溶接時に発生するスラグについて詳しく解説していきます。

溶接の際に金属の表面に浮き出てくるのが、スラグと呼ばれる物質です。ただゴミとなってしまうだけの邪魔な金属カスなのか、それともこれはこれで何か必要となるものなのか、よくわからないところです。

「スラグの発生を抑えるための溶接方法が知りたい」とか「溶接にかかるまでの準備作業でスラグを防ぐことができるのだろうか」などの悩みを抱えたまま、手間のかかるスラグの除去をしながら、溶接の作業をしている方もいるかもしれません。

今回ご案内するスラグに関する様々な情報が、溶接作業に携わる大勢の皆様のお役に立てれば幸いです。

スラグとは

溶接の際に発生するスラグというものをご存知でしょうか?

スラグとは簡単に言うと、溶接の際に金属から出てくるカスのことです。溶接時に溶融した金属から分離して発生するもので、現場においては「のろ」とも呼ばれています。

金属から発生するカスですので、当然に溶接後には剥いできれいに除去しなくてはなりません。きれいにしておかないと、次の溶接の際に悪影響がでてくる可能性があるからです。

ただ、ちょっとした注意を怠らないようにしたり、管理さえしっかりしておけば、スラグの発生を減らすことも十分に可能なんです。

スラグの発生を抑えて除去作業の手間が少なくなれば、溶接作業もスムーズに行うことができます。それらの方法も、この後の項目で解説していますので、参考にしていただければと思います。

参考尚、溶接に関する基本的な知識については、こちらの記事をご一読ください。溶接に関する『10の基本知見』製造業マニアの私が切る!【重要】

溶接時にスラグがでるのはなぜか

溶接を行う際に、なぜスラグが発生するのでしょうか。

アーク溶接の場合、アークの熱が溶接材料と母材の一部を溶かして溶融金属となり、それが固まって溶接部が形成されます。溶融時の金属の温度は千数百度という高温になるため、それが誘引となって酸素や窒素などの気体を吸収しやすい状態になります。

それらの気体は、溶接金属が固まっていく時点で、気孔を作り出したり金属内に含まれてる元素と結合したりして、非金属介在物として出現して残ってしまいます。気孔や非金属介在物として発生した場合、溶接部の接合強度に悪影響を与えることも少なくありません。

溶融金属が吸収してしまう気体の中で、水素と窒素においては溶接材料の適切な管理をすることで防湿や再乾燥を防ぐことができますし、溶接の際のシールドをしっかりと行うことで溶接金属の品質低下を抑えることができます。しかし、防止が難しいとされているのが酸素なのです。

そのため、アーク溶接を実施する場合においては、気体を吸収する量や溶接金属への残留を可能な限り抑えるため、十分な対策がとられています。それらの対処法の中で、特に溶融金属から酸素を取り除く作業を行った際の結果として、スラグが発生することとなっているのです。

極力発生を抑えたいスラグではありますが、実際の現場におきましては、溶接の際に使用される被覆アーク溶接棒やスラグ系フラックス入りワイヤなど、脱酸剤以外にもスラグを生成する成分が積極的に添加されています。

その理由は、スラグはただの不要なカスという訳ではなく、溶融金属の表面を覆うことで、大気中に存在する酸素や窒素を溶融金属が吸収しないようにするという役目も受け持っているからなのです。

スラグ巻き込みとは

溶接の際に発生するスラグは、不純物である酸化物が金属の表面に浮き出てきたものです。

しかし、スラグが排出される過程で酸化物が大量に含まれ、スラグが一定の方向に上手く排出されない場合があります。そのような時にスラグが金属の表面に浮き上がれず、溶接金属の中に閉じ込められた状態でスラグとなってしまうのです。これが、スラグ巻き込みという現象です。この際のスラグは、凝固の途中でできるため、通常、球形や長楕円形のような形状となることが多いようです。

スラグ巻き込みが発生しやすい溶接部としては、狭開先溶接部が挙げられます。

この溶接において、開先壁や横向溶接の上側開先、そしてレ型開先の立板側開先において、スラグ巻き込みがよく見られます。これは、ビードの形状が凸状となった場合、止端部のスラグが剥離しにくくなってしまうためです。

更に、狭開先溶接の際には、開先壁方向への溶込みがどうしても浅くなってしまうため、止端部における溶込みを十分に行うことができないのも原因の一つといえます。その他、肉盛溶接の場合でも、溶込みを浅くするような施工条件が付加されたような場合に、スラグ巻込みが多く見られます。

引用元:(社)日本溶接協会/溶接情報センター

ソリッドワイヤによる多層溶接を行う場合、被覆アーク溶接棒やフラックス入りワイヤに比べてスラグ量が少なくなるので、何パスかを続けて溶接する場合があります。

この時、厚めのスラグを残した状態で溶接を続けてしまうと、アークが不安定になり、スラグ巻込みが発生しやすくなります。

これ以外にも、アークが安定しにくい溶接の開始時点や傾斜下進溶接でも、スラグ巻込みが発生しやすくなるので、施工の際には十分に注意をしなくてはいけません。

対処法

スラグ巻込みの発生は、前工程または前パスでのスラグが十分に除去されていなかった場合や、融合不良が主な原因です。

そのため、溶接開始前にスラグを丁寧に除去するように心がけ、融合不良を起こさないようにすることが重要となります。

手間のかかるスラグの除去を容易にするには、オーバーラップやアンダカットのようなビード形状や、極端な凸状ビードとならないように、適切な溶接条件の元で溶接作業をするようにしましょう。

更には、スラグ剥離性の良い溶接材料をチョイスするのも有効な対処法となります。

※こちらの記事では、たくさんある溶接の種類の中から、代表的な溶接方法について解説しています。⇒溶接の種類はこの記事だけでOK!3分でわかる金属加工で代表的溶接方法!

まとめ

今回は、「溶接時のスラグはなぜでるのかを解説!スラグ巻き込みの原因と対処法についてもご紹介!」をテーマに、溶接スラグに関する情報をご紹介しました。お役に立つ情報はありましたか?

溶接時のスラグはなぜでるのかを解説!スラグ巻き込みの原因と対処法についてもご紹介!

今回は、溶接時に発生するスラグについて詳しく解説していきます。

溶接の際に金属の表面に浮き出てくるのが、スラグと呼ばれる物質です。ただゴミとなってしまうだけの邪魔な金属カスなのか、それともこれはこれで何か必要となるものなのか、よくわからないところです。

「スラグの発生を抑えるための溶接方法が知りたい」とか「溶接にかかるまでの準備作業でスラグを防ぐことができるのだろうか」などの悩みを抱えたまま、手間のかかるスラグの除去をしながら、溶接の作業をしている方もいるかもしれません。

今回ご案内するスラグに関する様々な情報が、溶接作業に携わる大勢の皆様のお役に立てれば幸いです。

スラグとは

溶接の際に発生するスラグというものをご存知でしょうか?

スラグとは簡単に言うと、溶接の際に金属から出てくるカスのことです。溶接時に溶融した金属から分離して発生するもので、現場においては「のろ」とも呼ばれています。

金属から発生するカスですので、当然に溶接後には剥いできれいに除去しなくてはなりません。きれいにしておかないと、次の溶接の際に悪影響がでてくる可能性があるからです。

ただ、ちょっとした注意を怠らないようにしたり、管理さえしっかりしておけば、スラグの発生を減らすことも十分に可能なんです。

スラグの発生を抑えて除去作業の手間が少なくなれば、溶接作業もスムーズに行うことができます。それらの方法も、この後の項目で解説していますので、参考にしていただければと思います。

参考尚、溶接に関する基本的な知識については、こちらの記事をご一読ください。溶接に関する『10の基本知見』製造業マニアの私が切る!【重要】

溶接時にスラグがでるのはなぜか

溶接を行う際に、なぜスラグが発生するのでしょうか。

アーク溶接の場合、アークの熱が溶接材料と母材の一部を溶かして溶融金属となり、それが固まって溶接部が形成されます。溶融時の金属の温度は千数百度という高温になるため、それが誘引となって酸素や窒素などの気体を吸収しやすい状態になります。

それらの気体は、溶接金属が固まっていく時点で、気孔を作り出したり金属内に含まれてる元素と結合したりして、非金属介在物として出現して残ってしまいます。気孔や非金属介在物として発生した場合、溶接部の接合強度に悪影響を与えることも少なくありません。

溶融金属が吸収してしまう気体の中で、水素と窒素においては溶接材料の適切な管理をすることで防湿や再乾燥を防ぐことができますし、溶接の際のシールドをしっかりと行うことで溶接金属の品質低下を抑えることができます。しかし、防止が難しいとされているのが酸素なのです。

そのため、アーク溶接を実施する場合においては、気体を吸収する量や溶接金属への残留を可能な限り抑えるため、十分な対策がとられています。それらの対処法の中で、特に溶融金属から酸素を取り除く作業を行った際の結果として、スラグが発生することとなっているのです。

極力発生を抑えたいスラグではありますが、実際の現場におきましては、溶接の際に使用される被覆アーク溶接棒やスラグ系フラックス入りワイヤなど、脱酸剤以外にもスラグを生成する成分が積極的に添加されています。

その理由は、スラグはただの不要なカスという訳ではなく、溶融金属の表面を覆うことで、大気中に存在する酸素や窒素を溶融金属が吸収しないようにするという役目も受け持っているからなのです。

スラグ巻き込みとは

溶接の際に発生するスラグは、不純物である酸化物が金属の表面に浮き出てきたものです。

しかし、スラグが排出される過程で酸化物が大量に含まれ、スラグが一定の方向に上手く排出されない場合があります。そのような時にスラグが金属の表面に浮き上がれず、溶接金属の中に閉じ込められた状態でスラグとなってしまうのです。これが、スラグ巻き込みという現象です。この際のスラグは、凝固の途中でできるため、通常、球形や長楕円形のような形状となることが多いようです。

スラグ巻き込みが発生しやすい溶接部としては、狭開先溶接部が挙げられます。

この溶接において、開先壁や横向溶接の上側開先、そしてレ型開先の立板側開先において、スラグ巻き込みがよく見られます。これは、ビードの形状が凸状となった場合、止端部のスラグが剥離しにくくなってしまうためです。

更に、狭開先溶接の際には、開先壁方向への溶込みがどうしても浅くなってしまうため、止端部における溶込みを十分に行うことができないのも原因の一つといえます。その他、肉盛溶接の場合でも、溶込みを浅くするような施工条件が付加されたような場合に、スラグ巻込みが多く見られます。

引用元:(社)日本溶接協会/溶接情報センター

ソリッドワイヤによる多層溶接を行う場合、被覆アーク溶接棒やフラックス入りワイヤに比べてスラグ量が少なくなるので、何パスかを続けて溶接する場合があります。

この時、厚めのスラグを残した状態で溶接を続けてしまうと、アークが不安定になり、スラグ巻込みが発生しやすくなります。

これ以外にも、アークが安定しにくい溶接の開始時点や傾斜下進溶接でも、スラグ巻込みが発生しやすくなるので、施工の際には十分に注意をしなくてはいけません。

対処法

スラグ巻込みの発生は、前工程または前パスでのスラグが十分に除去されていなかった場合や、融合不良が主な原因です。

そのため、溶接開始前にスラグを丁寧に除去するように心がけ、融合不良を起こさないようにすることが重要となります。

手間のかかるスラグの除去を容易にするには、オーバーラップやアンダカットのようなビード形状や、極端な凸状ビードとならないように、適切な溶接条件の元で溶接作業をするようにしましょう。

更には、スラグ剥離性の良い溶接材料をチョイスするのも有効な対処法となります。

※こちらの記事では、たくさんある溶接の種類の中から、代表的な溶接方法について解説しています。⇒溶接の種類はこの記事だけでOK!3分でわかる金属加工で代表的溶接方法!

まとめ

今回は、「溶接時のスラグはなぜでるのかを解説!スラグ巻き込みの原因と対処法についてもご紹介!」をテーマに、溶接スラグに関する情報をご紹介しました。お役に立つ情報はありましたか?

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