SUS312L(ステンレス鋼)成分、機械的性質

市場に多く出回っているステンレス鋼にSUS304がありますが、SUS312LはSUS304と比較すると、優れた耐久性を有しています。その耐久性の高さから、橋脚や各種プラントなどに採用されており、私たちの生活を影ながら支えてくれています。

本記事では、SUS312Lについて知らない方向けに、特徴や用途を解説。また、化学成分と機械的性質についても併せて記述しています。SUS312Lについて知識を深めたい方は、ぜひチェックしてみてください。

参考:SUS304とSUS430の意味とは? 使い分けや特徴も分かりやすく解説!

SUS312Lの特徴・用途

ステンレス材は、マルテンサイト系・フェライト系・オーステナイト系などの種類に分けられます。そのなかでもSUS312Lは、オーステナイト系のステンレス鋼に該当します。

オーステナイト系のステンレス鋼は、全般的に耐食性に優れているほか、溶接もTIG溶接やプラズマ溶接などが適用可能。また、高温環境でも強度低下が少なく、磁性がないのも特徴です。

参考:【SUS(ステンレス)種類と見分け方】用途・特徴を専門家が徹底解説!

SUS312Lそのものの特徴としては、一般的に錆びやすいとされる海洋環境下において、優れた耐食性を有します。また、代表的なステンレス鋼であるSUS304と比べて、常温での耐力は約1.5倍ほどもある材料です。しかし、その分価格も高めに設定されています。

SUS312Lは、耐食性に優れた高機能なステンレス鋼であることから、「スーパーステンレス鋼」と呼ばれることもあります。

SUS312Lの用途としては、各種プラント・海水熱交換器・煙道・食品タンクなどに使われています。

また、海洋構造物のライフサイクルコスト削減のために、ステンレスライニングとして使用することも。ステンレスライニングは、構造物の耐久性を高めるために、部材にステンレス鋼を巻き付けて防食する方法のことです。

SUS312Lの化学成分

<SUS312Lの化学成分(単位:%)>

種類の記号 C Si Mn P S Ni Cr Mo Cu N その他
SUS312L 0.020以下 0.80以下 1.00以下 0.030以下 0.015以下 17.50~19.50 19.00~21.00 6.00~7.00 0.50~1.00 0.16~0.25 -

引用元:JIS G 4303:2012

SUS312Lの化学成分は上表の通りです。

オーステナイト系の代表的な材質に、SUS304とSUS316Lがありますが、SUS304のクロム量は18.00~20.00%、SUS316Lは16.00~18.00%なのに対して、SUS312Lはクロム量が19.00~21.00%と多く含有されており、特に耐食性に優れています。

ステンレス鋼が錆びに強いとされる理由は、含有するクロムが酸素と結合し、不働態皮膜と呼ばれる薄い膜を形成するためです。不働態皮膜は、クロムの含有量が多いほど安定して形成され、錆びの進行を防止。また、不働態皮膜にキズが付いても、瞬時に修復するという優れた性質も持ちます。

SUS312Lの機械的性質

<SUS312Lの機械的性質>

種類の記号 耐力
MPa
(N/mm²)
引張強さ
Mpa
(N/mm²)
伸び
絞り
硬さ
HBW HRBS又はHRBW HV
SUS312L 300以上 650以上 35以上 40以上 223以下 96以下 230以下

引用元:JIS G 4303:2012

SUS312Lの機械的性質は上表の通りです。一般的に多く使用されているSUS304の耐力は205Mpa以上。これと比較すると、SUS312Lの耐力は約1.5倍の、300Mpa以上の数値になります。

 

「SUS312Lを使用した金属部品の調達に困っている」

「SUS312Lの加工が自社でできなくて困っている」

そのような方に向けてMitsuriでは、見積から発注までWEB上で行えるサービスを提供しております。お手持ちの図面を登録すると、加工可能な工場から見積が届きます。
ステンレス部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。

メルマガ購読

      Mitsuriでどんな取引が行わている?
      新しい機能を使ってどう新規取引につなげる?
      そんな疑問にお答えします!
カテゴリ一覧