宇宙を目指す航空板金加工とは?ー空のその先へ向かう技術

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宇宙を目指す航空板金加工とは?ー空のその先へ向かう技術


子供のころよく聞いた不思議ななぞなぞを今もよく思い出します。

水の上に浮かぶ金属ってなーんだ?……答えは船。

空を飛ぶ金属の塊ってなーんだ?……答えは飛行機。よくよく考えたら、どちらもすごいことですよね。特に空に関しては、すでに成層圏を飛び出し、世界はすでに宇宙に目を向けています。

今回は、空だけでなく宇宙にも広がる航空板金加工について、認証制度工業規格も併せてご紹介します。 


宇宙を目指した取り組み

「はやぶさ」の後継機である小惑星探査機「はやぶさ2」リュウグウにタッチダウンした2019年2月22日。日本の科学技術の水準の高さを世界に知らしめたといわれる画期的な出来事でした。

引用元:ニュースイッチ 日刊工業新聞

リュウグウ全長約900mほどの、そろばん玉のような形状をした、地球に近づく軌道を持っている天体のなかの小惑星(地球近傍小惑星)。

地球からどのくらい離れているかというとおよそ片道26億キロ到達するのに2年半ほどかかるそうで、このくらい距離が離れてしまうとほとんど実感としてとらえにくいですよね。

 世界は今、宇宙を目指しているのです。日本は2016年に宇宙開発に民間から参入を促す宇宙活動法が成立、2018年11月から全面施行にフェーズを移しています。今や陸海空、はては宇宙までも国際的な覇権争いが本格化しているのです。


板金加工と航空宇宙、どんな関係があるの?

アイデアを実現することはかなりの努力を必要とします。もちろん、理論は大切。しかしその理論を支えるのは技術力です。航空宇宙に関する板金はまさに技術力が問われます。航空宇宙にはそれこそ宇宙という特殊な環境に耐用する板金加工が必要とされます。いわゆる精密加工特殊加工といわれるものです。

大学で航空宇宙に関する学部などでは、素材や加工についても学びます。普通に考えてもリュウグウに到達する躯体には宇宙という環境下で片道2年半、およそ26億キロを航行するには特別な仕様がなされていると想像できますからね。特殊な合金を使用することで板金加工も特殊ならざるを得ないのです。

 

精密加工や特殊加工にはどんなものがあるの?

精密加工のひとつにホーニングがあります。これは複数個の砥石を一定の圧力で円筒の内面に押し付け、低速で砥石軸を回転させて加工する方法です。低速で砥石軸を回転させることで加工時に発生する変質やひずみを少なくすることができます。

引用元:weblio

そういえば、1986年に発生したスペースシャトル・チャレンジャー爆発事故は発射の様子を観覧していた人すべてに大きなショックを与えたものですが、その事故の原因とされているのはOリングの不具合というもの。どんな不具合なのか知る由もありませんが、ひずみや変成が精度に大きく関係することは明らかです。

ホーニングのほか、精密加工には物理や化学エネルギーを利用して施す加工として、放電加工や電子ビーム加工、イオンビーム加工などが。

これらのほかにも電解研磨や超音波加工、プラズマ加工、流体ジェット加工など、特殊技術を必要とする加工は目白押しです。被加工物の精度はもちろんのこと、素材を知り尽くしていないとこうした特殊加工は施せないというのもうなずけるでしょう。

 

品質を保証するNadcap、JIS Q 9100

Nadcapとは?

Nadcapはカタカナ読みで「ナドキャップ」と言います。

米国のNPO法人にあたるPerformance Review Institute(略称PRI)が審査機関となり、航空宇宙産業における特殊工程作業を評価する国際的な認証制度のことです。ここでは特殊加工を12の項目で大きく分け、さらにそれを小区分で細かに品質を管理するという厳密なもの。ハードルが高そうな認証制度といえるでしょう。

PRIにはボーイング、エアバス、GEなど、名だたるメーカーが参加していて、この認証制度を取得していることによって航空宇宙産業に参入しやすい、というよりは参入資格を得るという印象があります。

 

JIS Q 9100とは?

JIS Q 9100はカタカナ読みで「ジスキュー」といい、JISとある通り日本の工業標準です。国際航空宇宙品質グループ(IAQG)が作成した9100規格を基に、技術的内容と構成を変更することなく作成した日本工業規格航空機部品の製造、加工の品質保証管理に対する規格のこと。これは、米国のAS9100、欧州のEN9100と同じ様式・内容で、国際相互認証されているのが特徴です。

つまり、JIS Q 9100は米国や欧州の企業に対しても有効な規格であるのと同時に、AS9100、EN9100も同様に日本でも有効となるわけですから、これを取得しているか否かが宇宙航空産業への参入に大きく関わってきます。


航空宇宙にもとめられるもの

Nadcap、JIS Q 9100のどちらを取得すべきか、これは航空宇宙産業への参入のほか費用対効果など、企業としてのあり方もかかわることですのでどちらが得とは言えませんが、いずれにしてもこれらの認証制度工業規格は、航空宇宙に関する精度を保証し、安全性を高めることに目を向けたものであることは確かです。航空宇宙に関する板金加工がいかに難しいものであるかを物語る一つであるといえるでしょう。


まとめ

チャレンジングであればあるほど、人は挑もうとするものです。板金に携わる者としてチャレンジしてみたい目標の一つとして航空宇宙産業があるのです。宇宙(そら)を見上げれば、衛星という板金加工の最高峰の形がある。あなたの手掛けた板金加工が科学技術の進歩を支えているのです。

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Mitsuri編集部

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Mitsuriは、お客様に寄り添い、製造プロセスに関わる課題をトータルに解決する「お客様の最適な生産活動を達成するコーディネーター」です。

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