圧入加工について専門家が解説!特徴や使用場面についてもご紹介!

加工方法 | 2020年12月01日

引用元:TAKACHI


圧入加工は、加工金属を含め部品同士をつなぎ合わせ、目的の形状を組み立てる「接合」と呼ばれる加工方法のひとつです。溶接などの他の方法と比べて、板金の歪みなどが少なくきれいに仕上がるため、接合部に溶接等の痕跡を残したくない部材や見た目が重視される部分などを中心に採用されています。

溶接に比べると簡単な工具だけで加工できる圧入ですが、適切な接合に仕上がるかどうか不安な点もあるでしょう。また、圧入にもメリットとデメリットがあるため、溶接などの他の接合加工の方法と比較しながら、適切な場面で取り入れる必要があります。

今回は圧入加工について、特徴から使用場面、実際の加工事例まで網羅してご説明していきます。金属の接合加工に圧入を取り入れようと検討している方、業者に圧入加工を依頼したいと考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

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圧入とは

圧入とは、金属の接合加工の種類の中でも機械的接合と呼ばれる方法のひとつです。ナットやスペーサー、ビスといった部材を、金属板(鉄板・ステンレス板・アルミ板など)に加圧して挿入することで、穴側部材と差込み部材の両者が反発し合うように圧力を生じ、強く接合されることになります。

圧入加工の多くはプレス機など専用の機械を使って行われます。金属板にナットやネジなどを押し込むことになるため、金属板には圧力に耐えうる強度が必要です。

圧力で押し込んで固定するには、材料の切り口穴寸法に対してわずかに大きいサイズの部材を、大きな挿入圧力で押し込んで固定することになります。材料が圧力に負けてしまわないように調節しながら圧入を行う技術と、加工後の仕上がりを考慮した部材選びの知識が、加工を成功させる必須条件です。

ちなみに、圧入加工自体は金属のみならず、樹脂やゴムといった素材における加工方法としても使用されています。


参考記事

金属の接合方法については、下記の記事にも詳しい説明がありますので参照してください。

接合加工基礎知識!板金加工品にも使われる「カシメ加工」を徹底解説



圧入の特徴

続いて、圧入の特徴として、メリットとデメリットをご説明します。


圧入のメリット

  • ●熱で溶かして接合する溶接に比べると、板金への影響が少なく仕上がりがきれい

  • ●組み立てや解体がしやすく、簡単な工具でも行えるケースが多い

  • ●接合する部材は同種はもちろん、異種でも問題ない
    圧入に使う部材は、同じ金属材質だけでなく、異なる金属素材同士でも問題なく接合することができます。

  • ●接合強度を高めるために接着剤を使用できる
    接合強度を高めるために、素材に合わせた種類の接着剤を塗布してから圧入する、という方法が取られる場合もあります。

  • ●破断した場合には、接合部で破断が進んでしまうのを抑えられる
    溶接のように素材同士を溶かしてつなげているわけではないので、片方の部材が破断しても、もう片方には影響が出にくくなっています。


圧入のデメリット

  • ●差し込み部材の形状は円が多いが、削る部分が多い場合には加工に時間がかかりコストパフォーマンスが悪くなる
    円形に削る際に、サイズの通りに正確な円形を加工できないなどの失敗によって、時間だけでなく材料費もかかるため、割高になりやすいでしょう。

  • ●金属板など穴側の材質の熱膨張率(温度の変化によって膨張する割合)が、差込む側の部材の熱膨張率よりも大きい場合、高温になると接合が解消してしまうので注意

  • ●接合部の信頼性を高めるためには、多数の部品や加工処理が必要で、コストがかかりやすい

  • ●継ぎ手が重ね継ぎ手になりやすく、溶接など他の接合方法に比べて継ぎ手の密度が低く、不連続した形状が生まれやすい
    はんだを使った溶接など金属特有の接合方法に比べると、圧入加工では継ぎ手の密度が低いため、形状や機械全体への影響が出る可能性があります。



圧入加工の使用場面

次に、実際に圧入加工が行われる場面について見ていきましょう。代表的な使用場面をまとめます。


  • ベースにピンを立てる接合(ベースの穴にピンを圧入する場合など)

    引用元:こだま製作所

圧入できる部材の大きさは、直径3mmなどの小型から大型まで幅広く、用途に合わせてさまざまなサイズで対応できる工具や機械を使って行われます。

引用元:株式会社サンテクス

また、圧入加工は単体でなく、旋盤加工など他の加工方法と合わせて利用されることも多いです。上の画像は、コストを下げる目的を兼ねてステンレスの棒と真鍮を利用し、圧入加工したビデオカメラの部品で、真鍮側には段差をつけるための旋盤加工も行われています。



圧入加工事例

ここで、圧入加工の実際の事例をいくつかご紹介します。

モリブデンのパンチ圧入事例

引用元:トップ精工

モリブデンをパンチ圧入したもの

精密機械へのバネの圧入

引用元:手作業・手仕事の手作業カンパニー

精密機械へのバネ(2ヶ所)の圧入の様子

ジンコートのセルスペーサー圧入

引用元:広瀬製作所

ジンコート(クロムフリー)のセルスペーサー(プレスによって固定するのに使われるナットの一種)圧入



まとめ

圧入加工は、シャフトなどの部材を金属板に押し込むだけの単純な加工と思われるかもしれません。しかし、実際には金属板と差し込み材質の厚みや種類、穴や差込み部材のサイズなどを考慮して、的確に加工を行う必要があります。圧入加工で強固な接合を成功させるには、機械を扱う側のコントロール力などが要されるため、確実に加工できる業者選びも重要です。

Mitsuriは、日本全国140社以上の協力企業の中から、圧入加工が依頼可能な製作所や工場をご案内できます。お客様のご要望や希望条件に合わせて、最適な業者を随時ご紹介しています。

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