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【マグ溶接】マグ溶接原理や特徴を解説!!他の溶接との違いはどこにある?

2023-11-07

アーク溶接とは、電気の力で熱を発生させ溶接を行うことです。

アーク溶接にも様々な溶接方法があり、部材によって使い分けることが大切です。

今回ご紹介する「マグ溶接」も、アーク溶接のうちの一つ。そんなアーク溶接の中でも、効率的で強度が高く仕上がりも美しい「マグ溶接」について解説していきます。

マグ溶接とは

マグ溶接とは、放電現象を利用するアーク溶接の一種です。

アーク溶接にも様々な種類がありますが、マグ溶接は半自動溶接に分類されます。アーク溶接といえば半自動溶接のことを指すほど、一般的な溶接方法です。半自動溶接は二酸化炭素などのガスを噴出しながら溶接材としてワイヤを使用します。溶接材は自動的に供給されますが、人の手で溶接を行うので半自動溶接と呼ばれています。産業用機械などロボットが行う際には自動溶接と呼ばれることもあります。

従来の手棒溶接では、電極とは別に溶接材として溶接棒を使用します。溶接棒は短くなると交換する必要があり、一度に多くの溶接は出来ませんでした。そこで、電極自体を溶接材としたワイヤを用いることで、長時間の供給が可能となり、効率が格段にあがりました。

また、溶接を行うなかで金属と大気が触れると、金属の中に窒素や水素などが溶け込みます。すると、気泡が入り込んだり、金属の中に水素が吸収されたりすることで脆くなり、強度が大きく低下します。それを防ぐためにアルゴンや二酸化炭素をシールドガスとして噴出しながら溶接を行う必要があるのです。

マグ溶接の特徴

マグ溶接は、アルゴンガスと炭酸ガスの混合ガスを使用します。そうすることで溶着速度が速く、深く溶け込むので強度があがります。さらにスパッタ(溶接時に飛散する金属の粒)の少ない美しい仕上がりになります。

マグ溶接のマグは「Metal Active Gas」に由来します。Active Gasは、酸化性のあるガスのことをいいます。炭酸ガスは通常では不活性ですが、溶接時の高温により一酸化炭素(CO)と酸素(O)に分かれることで酸化性が生まれます。一般に溶接時に酸素が発生すると強度が低下しますが、溶接材のワイヤにケイ素やマンガンを脱酸素剤として含むことで二酸化ケイ素や酸化マンガンとなって溶接部の金属表面に現れます。それにより、粘り強く十分な強度を持った溶接が可能となりました。

また、電極・溶接材の役割を担うワイヤにも様々な種類がありますが、マグ溶接では主に「ソリッドワイヤ」と「フラックスワイヤ」を用います。この2つは自動化をしやすくし、より合理的な溶接が可能になるため、頻繁に使用されます。

それでは、特徴について簡単に説明していきます。

ソリッドワイヤ

  • スラグ(溶けた金属から分離して表面に出てくる物質)の発生が少ない
  • 大電流域での溶接の場合アークが集中しやすいので溶け込みが深くなる
  • 小電流域での溶接の場合溶け込みが浅いので薄板の溶接に向いている

フラックスワイヤ

  • 溶接部の凹凸が少なく、美しい外観に仕上がる
  • スパッタの発生が少ない
  • 溶着速度がソリッドワイヤより速い

それぞれ求める仕上がりの外観や強度に合わせて使い分けていくことが大切です。

マグ溶接・ミグ溶接・炭酸ガスアーク溶接の違い

半自動溶接は、使用するガスによって炭酸ガスアーク溶接、ミグ溶接、マグ溶接の3つに分かれます。それでは、それぞれの違いやメリット・デメリットについて見ていきましょう。

炭酸ガスアーク溶接(炭酸ガス)

シールドガスに二酸化炭素の炭酸ガスを使用します。日本で最も一般的に用いられる溶接方法です。マグ溶接の特徴で説明したように、炭酸ガスは高温により化学反応を起こすため、細く均等で安定したアーク(放電)が発生します。すると、熱エネルギーが集中し溶け込みが深くなるので、強度のある溶接が出来ます。しかし、スパッタ(溶接時に発生する金属の粒)が多くなるため仕上がりがでこぼこになり、見た目が悪く塗装欠陥の原因になります。また、アルミなどの非鉄金属は活性ガスにより化学反応を起こすので、向いていません。

参考記事:炭酸ガスアーク溶接とは?【3分でわかる】向いている金属もご紹介!

ミグ溶接(不活性ガス)

シールドガスにアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを使用します。不活性ガスは金属と化学反応を起こさないため、アルミやチタンなどの非鉄金属の溶接に用いられます。

メリットは、炭酸ガスアーク溶接と比較してスパッタが出ないため美しく仕上がります。また、アークが広がることで溶け込みが浅く、歪みの発生が少ないので薄い金属板の溶接に向いています。しかし溶け込みが浅い分、強度はそれほどありません。さらに、日本では不活性ガスは高価なので、コストがかかることもデメリットとして挙げられます。

参考記事:ミグ溶接を徹底解説!【専門家が語る】素人でも3分で理解できます!

マグ溶接(炭酸ガス+不活性ガス)

二酸化炭素の炭酸ガスアーク溶接と不活性ガスのミグ溶接を合わせ、互いの不足を補った溶接方法です。最も一般的な比率は炭酸ガス20%+不活性ガス80%です。二つのガスを混合することで、炭酸ガスの化学反応による溶け込みの深い強度と、不活性ガスによるスパッタのない美しい仕上がりが可能になりました。ただし、炭酸ガスが化学反応を起こすため、アルミなどの非鉄金属には向きません。また、ミグ溶接と同様に不活性ガスは高価なため、コストがかかります。

マグ溶接に向いている材料

マグ溶接は、炭酸ガスを使用するため主に炭酸ガスアーク溶接と同様に鋼鉄の溶接に向いています。ステンレスはマグ溶接には向いていないとされていますが、フェライト系やオーステナイト系のステンレスは、不活性ガスのみを使用するミグ溶接では十分な強度の溶接が出来ません。そのため、強度や仕上がりの見た目などを考慮し、マグ溶接を用いることもあります。マグ溶接に向いている材料と向いていない材料は以下の通りです。

向いている材料

  • 軟鋼
  • 高張力鋼

向いていない材料

  • アルミニウムやチタンなどの軽金属
  • 銅や亜鉛などのベースメタル
  • ニッケルやクロムなどのレアメタル
  • 金や銀などの貴金属

まとめ

いかがでしたでしょうか。

マグ溶接は炭酸ガスと不活性ガスの2つを使用することで、炭酸ガスの課題であった仕上がりの美しさと、ミグ溶接の課題であった強度をクリアし、効率的な溶接が可能になります。

最も溶接を効率的に行うために、溶接する部材によってシールドガスの比率や種類・ワイヤの種類を見極める必要があります。

【マグ溶接】マグ溶接原理や特徴を解説!!他の溶接との違いはどこにある?

2023-11-07

アーク溶接とは、電気の力で熱を発生させ溶接を行うことです。

アーク溶接にも様々な溶接方法があり、部材によって使い分けることが大切です。

今回ご紹介する「マグ溶接」も、アーク溶接のうちの一つ。そんなアーク溶接の中でも、効率的で強度が高く仕上がりも美しい「マグ溶接」について解説していきます。

マグ溶接とは

マグ溶接とは、放電現象を利用するアーク溶接の一種です。

アーク溶接にも様々な種類がありますが、マグ溶接は半自動溶接に分類されます。アーク溶接といえば半自動溶接のことを指すほど、一般的な溶接方法です。半自動溶接は二酸化炭素などのガスを噴出しながら溶接材としてワイヤを使用します。溶接材は自動的に供給されますが、人の手で溶接を行うので半自動溶接と呼ばれています。産業用機械などロボットが行う際には自動溶接と呼ばれることもあります。

従来の手棒溶接では、電極とは別に溶接材として溶接棒を使用します。溶接棒は短くなると交換する必要があり、一度に多くの溶接は出来ませんでした。そこで、電極自体を溶接材としたワイヤを用いることで、長時間の供給が可能となり、効率が格段にあがりました。

また、溶接を行うなかで金属と大気が触れると、金属の中に窒素や水素などが溶け込みます。すると、気泡が入り込んだり、金属の中に水素が吸収されたりすることで脆くなり、強度が大きく低下します。それを防ぐためにアルゴンや二酸化炭素をシールドガスとして噴出しながら溶接を行う必要があるのです。

マグ溶接の特徴

マグ溶接は、アルゴンガスと炭酸ガスの混合ガスを使用します。そうすることで溶着速度が速く、深く溶け込むので強度があがります。さらにスパッタ(溶接時に飛散する金属の粒)の少ない美しい仕上がりになります。

マグ溶接のマグは「Metal Active Gas」に由来します。Active Gasは、酸化性のあるガスのことをいいます。炭酸ガスは通常では不活性ですが、溶接時の高温により一酸化炭素(CO)と酸素(O)に分かれることで酸化性が生まれます。一般に溶接時に酸素が発生すると強度が低下しますが、溶接材のワイヤにケイ素やマンガンを脱酸素剤として含むことで二酸化ケイ素や酸化マンガンとなって溶接部の金属表面に現れます。それにより、粘り強く十分な強度を持った溶接が可能となりました。

また、電極・溶接材の役割を担うワイヤにも様々な種類がありますが、マグ溶接では主に「ソリッドワイヤ」と「フラックスワイヤ」を用います。この2つは自動化をしやすくし、より合理的な溶接が可能になるため、頻繁に使用されます。

それでは、特徴について簡単に説明していきます。

ソリッドワイヤ

  • スラグ(溶けた金属から分離して表面に出てくる物質)の発生が少ない
  • 大電流域での溶接の場合アークが集中しやすいので溶け込みが深くなる
  • 小電流域での溶接の場合溶け込みが浅いので薄板の溶接に向いている

フラックスワイヤ

  • 溶接部の凹凸が少なく、美しい外観に仕上がる
  • スパッタの発生が少ない
  • 溶着速度がソリッドワイヤより速い

それぞれ求める仕上がりの外観や強度に合わせて使い分けていくことが大切です。

マグ溶接・ミグ溶接・炭酸ガスアーク溶接の違い

半自動溶接は、使用するガスによって炭酸ガスアーク溶接、ミグ溶接、マグ溶接の3つに分かれます。それでは、それぞれの違いやメリット・デメリットについて見ていきましょう。

炭酸ガスアーク溶接(炭酸ガス)

シールドガスに二酸化炭素の炭酸ガスを使用します。日本で最も一般的に用いられる溶接方法です。マグ溶接の特徴で説明したように、炭酸ガスは高温により化学反応を起こすため、細く均等で安定したアーク(放電)が発生します。すると、熱エネルギーが集中し溶け込みが深くなるので、強度のある溶接が出来ます。しかし、スパッタ(溶接時に発生する金属の粒)が多くなるため仕上がりがでこぼこになり、見た目が悪く塗装欠陥の原因になります。また、アルミなどの非鉄金属は活性ガスにより化学反応を起こすので、向いていません。

参考記事:炭酸ガスアーク溶接とは?【3分でわかる】向いている金属もご紹介!

ミグ溶接(不活性ガス)

シールドガスにアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを使用します。不活性ガスは金属と化学反応を起こさないため、アルミやチタンなどの非鉄金属の溶接に用いられます。

メリットは、炭酸ガスアーク溶接と比較してスパッタが出ないため美しく仕上がります。また、アークが広がることで溶け込みが浅く、歪みの発生が少ないので薄い金属板の溶接に向いています。しかし溶け込みが浅い分、強度はそれほどありません。さらに、日本では不活性ガスは高価なので、コストがかかることもデメリットとして挙げられます。

参考記事:ミグ溶接を徹底解説!【専門家が語る】素人でも3分で理解できます!

マグ溶接(炭酸ガス+不活性ガス)

二酸化炭素の炭酸ガスアーク溶接と不活性ガスのミグ溶接を合わせ、互いの不足を補った溶接方法です。最も一般的な比率は炭酸ガス20%+不活性ガス80%です。二つのガスを混合することで、炭酸ガスの化学反応による溶け込みの深い強度と、不活性ガスによるスパッタのない美しい仕上がりが可能になりました。ただし、炭酸ガスが化学反応を起こすため、アルミなどの非鉄金属には向きません。また、ミグ溶接と同様に不活性ガスは高価なため、コストがかかります。

マグ溶接に向いている材料

マグ溶接は、炭酸ガスを使用するため主に炭酸ガスアーク溶接と同様に鋼鉄の溶接に向いています。ステンレスはマグ溶接には向いていないとされていますが、フェライト系やオーステナイト系のステンレスは、不活性ガスのみを使用するミグ溶接では十分な強度の溶接が出来ません。そのため、強度や仕上がりの見た目などを考慮し、マグ溶接を用いることもあります。マグ溶接に向いている材料と向いていない材料は以下の通りです。

向いている材料

  • 軟鋼
  • 高張力鋼

向いていない材料

  • アルミニウムやチタンなどの軽金属
  • 銅や亜鉛などのベースメタル
  • ニッケルやクロムなどのレアメタル
  • 金や銀などの貴金属

まとめ

いかがでしたでしょうか。

マグ溶接は炭酸ガスと不活性ガスの2つを使用することで、炭酸ガスの課題であった仕上がりの美しさと、ミグ溶接の課題であった強度をクリアし、効率的な溶接が可能になります。

最も溶接を効率的に行うために、溶接する部材によってシールドガスの比率や種類・ワイヤの種類を見極める必要があります。

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