レーザー加工の原理とは?

お役立ちTips

レーザー加工の原理とは?





テレビやゲームでしばしば目にするレーザー光線。

その威力は絶大で、どんなものでも切断してしまったり、溶かしてしまったりと物騒極まりないものですよね。

ですが、実は金属加工にはその物騒なレーザー光線を使った加工方法があるんです。

その名もレーザー加工と言い、工業の分野ではもちろん、医療の分野でも一部取り入れられている方法です。

では実際にどうやって、レーザーで金属を加工しているのか。レーザー加工の原理からメリットや種類までざっくりと見ていきましょう。


レーザー加工とは

レーザー加工とは、言葉そのままにレーザー光線を使って加工することです。

レーザーを使って金属や木材などを切断したり穴あけして製品を作っていく、プレス加工や穴あけ加工と同じ金属加工の一種です。

レーザー加工機を使うことによって、もともと手作業で加工していた商品や材料を大量に素早く加工することが可能になりました。

金属や木材だけでなく、柔らかくて加工しずらいゴム素材や布地にも文字や記号を記す表面処理がしやすくなったりと、レーザー加工が普及したことによって加工できる幅が格段に広がりました。

引用元:株式会社ユー・イー・エス


手作業では難しい複雑な加工も容易にできるようになり、今ではいろいろな業種に導入されています。

いろいろな業種の一つに、加工とは違いますが近年では医療でもレーザーの導入が進んでいます。

手術時に出血を抑えるためにレーザーメスを使ったり、虫歯にレーザーをあてて治療したりと、日々、金属加工や日常生活で活躍しています。


引用元:れい歯科クリニック


そんな工業以外の分野でも注目され、研究が進んでいるレーザーですが、その原理はどうなっているのでしょうか。

次の項目で分かりやすく解説していきましょう。


レーザー加工の原理

レーザーと聞くと、やはり皆さんは高熱で高火力を想像するでしょうか。

テレビやゲームで目にするレーザーは一瞬触れただけでも体が溶けたり、レーザーの光を振り回すと瞬時に周りの建物や金属が切断されたりする光景が多いですね。

それを想像すると、確かにテレビのレーザー光線は超がつくほどの高熱を放っていることになります。

実際、金属加工用のレーザーに触れると大変なことになってしまいます。

金属ですら瞬時に切断したり穴をあけたりするので、人体を通せば触れた部分は一瞬でどうにかなってしまうほどの威力が出いてます。

恐ろしく危険なので、レーザー加工機を扱う際はメンテナンスの時を含め重々注意が必要です。


光の波と熱の振動

レーザー加工の原理は波と振動によって成り立っています。

レーザーの威力ですが、なぜ光に金属を溶かすほどの威力があるのかと言うと、それは光の波を合わせているためです。

かみ砕いて説明しましょう。

普通、光というと太陽光や電灯のようにあらゆる方面に光が発せられ、さらに光の色が何色も合わさっています。

太陽光や電灯の光の色は白いですが、白く見える理由はいくつもの光が合わさっているためなんですね。

絵具は何色も混ぜることにより黒くなる性質を持ちますが、光は何色も混ざることにより白く見えるように人間の目はできているのです。


引用元:マーキング学習塾


太陽光などの白い光は何色もあるため、光の波が合いません。

しかし、レーザーの光は一点集中しており、しかも単色なので光の波がそろっているのです。

上の画像のように、波長や山と谷がそろっている光をレーザー加工機内部にあるレンズに通すと、密度の高い光ができあがり、威力が格段に増すのです。

分かりやすく例をあげると、ホースから出る水を散水ノズルで細くすると、水が出る勢いが増す感じです。


引用元:たのめーる


ホースの水を細くして強力にする散水ノズルが、レーザー加工機でいうレンズの役割にあたります。

加工機の中を通ってきた光を集光レンズで細く絞ることで光を集中させ、威力を格段にあげて素材を溶かします。


引用元:Laser Connect


金属や木材などの材料にレーザー光を当てることにより、材料の原子や分子が振動すると急激な発熱が起こります。

そうして溶かした金属をアシストエアーで瞬時に飛ばして、穴をあけた部分をきれいにしていきながら材料を掘り進めていきます。

かなり説明を省いていますが、詳しく説明するとニュアンスが伝わりにくくなってしまうのでこの程度に留めておきます。

以上、レーザー加工の原理の解説でした。


レーザー加工のメリット

レーザー加工の原理が何となくわかったところで、次はメリットの解説に移ります。

レーザー加工のメリットは大雑把に以下の通りです。


  • ・仕上がりが早い

  • ・仕上がりがきれい

  • ・加工の自由度が高い

  • ・難度の高い加工が可能

  • ・メンテナンスに手間が掛からない


当然箇条書きだけでは不十分なので、項目ごとに一つずつ説明していきます。

上から順に見ていきましょう。


作業に手間が掛からない

レーザー加工は金型を使う必要がありません。

基本的に金属の加工には金型と呼ばれる「元の型」が必要になります。


引用元:インジェクション金型の基礎


元の型は他の加工方法ですと、製品を早く均一に大量生産するために必須で、種類も様々あります。

しかし、レーザー加工では金型の変わりにパソコンで形を作るため、一度作った後はデータを入力するだけで加工・生産ができるのです。

金型を使わないため加工途中の金型交換の手間が省けて作業効率が良くなります。


仕上がりがきれい

レーザー加工機を使えば加工後の処理に手間が掛かりません。

バリやカエリの発生を抑えることができるので、切断面がきれいに仕上がります。


引用元:長野二輪 Metal Working 


加工の際に起こりえる歪みやひび割れのリスクもなくすことができ、安定した品質を保つことができます。

従来までの加工方法では必要だった後処理の手間を省けるのは大助かりですね。


加工の自由度が高い

加工できる素材の幅が広いのもレーザー加工のメリットです。

他の方法では硬すぎる金属や柔らかすぎる布地でも、素材によってレンズや照射の出力を変えることで問題なく加工できます。

熱で変形してしまうような薄版の素材でもレーザー加工なら大丈夫です。

また、穴あけや切削以外にも溶接や熱処理、製品に文字を入れ込むマーキングなど様々な加工が可能です。

引用元:ゼロから学ぶ熱処理の基本  熱処理入門


いろいろな製品を作るには、従来では複数の加工方法を取り入れる必要がありました。

ですが、将来的にはレーザー加工だけですべての素材や加工方法を実現することができるかもしれませんね。


難度の高い加工が可能

レーザー加工の台頭により、複雑かつ精密な形でも比較的容易に加工することが可能になりました。

レーザーの光が細いので、他の加工機器では穴あけが出来ないような細かく小さな場所でも正確にでき、曲線を辿った切断でもレーザーなら安定して加工することができます。

複雑な絵柄を描いたり、錆びにくさを向上させるなど製品の様々な表面改善もレーザー加工で出来るので、非常に便利な加工法となってきています。

工業分野の人手が足りない今の時代、できるだけ簡単に、誰にでも品質が安定した製品を作るには、レーザー加工はうってつけと言えるのではないでしょうか。


メンテナンスに手間が掛からない

レーザー加工では材料と工具が接触しないので、刃物や研削盤などを消耗することがなくメンテナンスに手間が掛かりません。

メンテナンスで必要なのはレンズをきれいにしたり、アシストエアーを清掃したりする程度なので交換作業も必要ありません。

また、加工時に材料を切った後の粉塵が発生せず、刃物などに付かないため、除去する手間も省けて作業も楽になります。

金属加工ではこういったメンテナンスの時間を割くことで生産効率を上げていくことも重要でしょう。


レーザー加工のデメリット

数多くメリットがあるレーザー加工ですが、デメリットもそれなりにあるようです。

こちらも詳しく見ていきましょう。


加工速度が遅い

切削加工やプレス加工と比べると加工速度に劣る面があります。

多彩な加工方法を持ち合わせるレーザー加工ですが、速度重視で見るとやや不利な傾向があるようですね。

金属加工にはレーザー加工以外にも早くて精度が高い加工方法がたくさんあるので、必要に応じて適材適所の板金機械を使っていくのです。


厚板の素材は加工しずらい

レーザー加工には適切な焦点距離というものがあり、レーザーの光が集中している箇所があります。

その焦点距離の範囲でないとエネルギー密度が低下して素材が溶かせなくなるのです。


引用元:鹿児島県工業技術センター 鹿工技ニュース


レーザーは真下に向かっているように見えて、実は光線同士が交わっているんですね。

なので、この焦点の位置から遠ざかってしまうとレーザーの威力が弱まって加工できなくなるということです。

レーザー加工の意外な弱点ですね。

下に向けられているレーザーが作業台や床を貫通しないのは、こういった仕組みがあったのです。


反射率の高い素材は加工できない

アルミや銅など反射率が高いとされている素材は、古いタイプのレーザー加工機ですと上手く加工できないことが多いです。

レーザーの光を弾いてしまっては材料に熱が伝わらないので、当然と言えば当然ですね。

ですが近年になって、反射率が高い素材でも加工できるレーザー加工機が登場しています。

これを機に、これまでレーザーではできなかった素材も、これからどんどん加工できるようになっていくでしょう。


コストが高い

特に不思議なことも意外なこともないですが、レーザー加工機は高いのです。

性能がいい反面、値段は相応ということですね。

消耗品や維持費にもけっこうな費用が掛かり、電気代やガス代などの光熱費に加えて、焦点レンズやミラーには定期的に交換が必要です。

工業製品と言えど精密機械です。

大切に扱いながら、稼働時間やランニングコストにも注視しながら活用していかねばいけません。


レーザー加工の種類

レーザー加工のレーザーには、金属加工用として一般的に使われているもので3種類のレーザーがあります。

3種類とも特徴に違いがあり、用途も違うので、その違いを重点的に説明していきます。


CO2レーザー

3種類のうち最も使用されているレーザー加工機ですね。

名前にあるように二酸化炭素を利用しているガスレーザータイプの加工機です。

金属、木材、ゴム、ガラスなどほとんどの素材に適応できます。

活用の幅に加え値段も他2種類の加工機よりも安く、CO2レーザーが主流になるのも納得の性能です。

ただし弱点として、アルミや銅など反射が強い金属には不向きとなっています。


ファイバーレーザー

ここ数年の間に開発された新しいレーザー加工機です。

CO2レーザーには向かない銅やアルミなどの難溶接材や反射が強い金属の加工ができ、新しく出ただけあってCO2レーザーの弱点を補う特徴を持っています。

加工機自体は高いものの、レーザーガスがいらなかったり、エネルギー効率が良かったりとランニングコストが安く抑えられます。

近年出始めたばかりで本体価格も高いため、まだまだ普及していませんが、今後の進展しだいでは主流になりえるかもしれません。


YAGレーザー

金属の加工以外に医療でも使われるレーザーです。

金属加工では主に溶接とマーキングに使われ、溶接では薄い素材でも変形や歪みがなくきれいに仕上げることができ、溶接スピードも早くできます。

マーキングとは簡単に言うと出来上がった製品に文字や記号を書くことです。


引用元:engrave


YAGレーザーはあらゆる素材に精密かつ高速で写し出すことができます。

医療では歯や目の治療に使われています。

そんな高性能なYAGレーザー加工機ですが、CO2レーザーと比較すると値段やランニングコストが高くついてしまい、そこがネックと言えるでしょう。


レーザー加工のまとめ

レーザー加工と言うと物騒な印象があり、危険ではないかと思われるかもしれませんが、テレビで見られるようなレーザーとは別物です。

まったく危険がないかと言われればウソになりますが、正しく使うことによって、非常に幅広く質の高い加工ができるのです。

レーザー加工は現在においても、次々に新しい加工法が生み出されています。

これから将来的に、性能面でも安全面でもますますの進展に期待が持てることでしょう。





この記事をシェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加
Mitsuri編集部

Mitsuri編集部

Mitsuriは、お客様に寄り添い、製造プロセスに関わる課題をトータルに解決する「お客様の最適な生産活動を達成するコーディネーター」です。

Twitter
Facebook
Instagram
YouTube