ヘアライン仕上げとは【専門家が語る】製品事例もご紹介!

ヘアライン仕上げをご存知でしょうか。ヘアライン仕上げは、単一方向に細い線状の傷を付ける表面仕上げです。金属製の腕時計におけるマットな質感を与える外観部と言えば分かりやすいでしょうか。

美しい外観のヘアライン仕上げですが、金属製品を取り扱っていたり金属加工業に従事していても、その詳細は分からないという方もいらっしゃるでしょう。仕事上で関わりがなくとも、キッチンシンクなどの購入の参考に知識を得ておきたい方もいるかもしれません。

そこで、今回の記事では、ヘアライン仕上げとは何かというところからその詳細、また製品事例までご紹介していきます。

ヘアライン仕上げとは

ヘアライン仕上げは、金属の表面処理の一つで、髪の毛のような細い線状の模様が単一方向に入った仕上げのことです。つや消しの効果があるため、映り込みは少ないですが、光沢や反射などの金属特有の質感は維持しています。

素材としては、主にステンレスが用いられますが、銅や真鍮、アルミ、チタンなどにヘアライン仕上げを施すこともあります。ただし、銅や真鍮は、サビで変色してくるので、変色や風合いを出したい場合を除き、クリア塗装などのさらなる表面処理が必要となります。

用途としては、建材、インテリア、キッチン、家電、装飾品、鉄道、精密機械などがあり、民生品から業務用品まで幅広く使われています。

参考記事ステンレスのヘアライン仕上げについては、以下の記事に詳細がありますので、ぜひご覧ください。⇒ステンレスのヘアライン加工の種類や特徴について専門家が解説!

ヘアライン仕上げの種類

ヘアライン仕上げには、線状模様の細さや付け方によって、様々な種類があります。ここでは、そのいくつかをご紹介します。

●ヘアライン

これは、メーカーによって違いはありますが、通常のヘアライン仕上げとして提示されるものです。

●スクラッチヘアライン

短い線状模様を付けたヘアライン仕上げです。少し粗い印象を与えます。

●ヘアライン・クロス

ヘアライン模様をクロス状に付けたもので、和紙の風合いをイメージして加工したものです。

●デザインヘアライン

ヘアライン模様を織物状に付けたものです。メーカーによりますが、デザインを指定してヘアライン仕上げを施すことも可能です。

ヘアライン仕上げの加工法

引用元:株式会社藤田ワークス

ヘアライン仕上げの加工法には、旋盤や研削盤、ベルト研磨機で研磨目を付ける方法、サンドペーパー(紙やすり)や研磨剤を用いて手作業でヘアライン模様を出す方法などがあります。

旋盤では回転する材料に研磨工具を当てることで、研削盤では回転する研磨工具に材料を当てることで金属表面を削り取ってヘアライン仕上げを行います。

一方、上の写真にあるようなベルト研磨機では、輪形状の砥粒研磨ベルトをベルト研磨機で回転させ、材料に当てることで金属表面を磨きます。特に、ヘアライン仕上げでは通常、P150~P240番の砥粒研磨ベルトで一定方向に磨いて模様を出します。

手作業では、サンドペーパー、またはクロスと研磨剤を使用して一方向に磨くことでヘアライン模様を出すことができます。

なお、研磨ベルトやサンドペーパーの表面には砥粒が付着していますが、この砥粒はJIS規格で定められており、粒径の大きい粗粒がP12からP220までの15種、粒径の小さい微粉がP240からP2500までの13種あります。一方、研磨剤に含まれている砥粒も類似したJIS規格で定められていますが、研磨ベルトやサンドペーパーの規格とは異なる規格です。

Mitsuriでは、ヘアライン仕上げが可能な多くの研磨メーカーと提携しています。そのため、多様な種類のヘアライン仕上げが可能です。また、製品サイズやロット量についても幅広く対応できますので、ぜひご相談ください。

ヘアライン仕上げのメリット・デメリット

金属表面を物理的に加工する仕上げには、ヘアライン仕上げのほか、鏡面仕上げやバイブレーション仕上げ、エンボス仕上げなどがあります。ここでは、これらの仕上げ法と比較した場合のヘアライン仕上げのメリット・デメリットについて説明します。

ヘアライン仕上げを除いた仕上げ法は、以下のようになっています。

物理的な表面加工の種類鏡面仕上げ…鏡のように表面を磨き上げる仕上げ法バイブレーション仕上げ…ランダム方向に研磨模様を施した仕上げ法で、無方向性ヘアライン仕上げとも呼ばれるエンボス仕上げ…表面に細かい凹凸を付けた仕上げ法で、少しくもった質感を示す

●鏡面仕上げ

引用元:板金市場

●バイブレーション仕上げ

引用元:DENHOME

●エンボス仕上げ

引用元:e-kitchen.biz

ヘアライン仕上げのメリット・鏡面仕上げよりも傷が目立ちにくい・鏡面仕上げにはない滑り止め効果がある

ヘアライン仕上げのデメリット・線模様が経年劣化で薄れてくる・線模様の方向と直角方向の傷が目立ちやすい・バイブレーション仕上げやエンボス仕上げよりも傷が目立ちやすい

参考記事鏡面仕上げの種類や特徴について、以下の記事に解説しているので、詳細を知りたい方はぜひご覧ください。⇒ステンレスの鏡面仕上げには種類がある?種類や特徴を紹介!

ヘアライン仕上げの製品事例

それでは、ヘアライン仕上げの製品事例を紹介していきます。

以下の写真は、ヘアライン仕上げを施したステンレス(SUS304)製の板金パネルです。

引用元:筐体設計・製造.COM

次の写真は、丸パイプにヘアライン仕上げを施したものです。

引用元:有限会社今岡製作所

続くシステムキッチンの写真では、シンクやワークトップにヘアライン仕上げが施されています。

引用元:P's supply homes

以下の写真は、NAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続ハードディスク)ですが、天面がヘアライン仕上げのアルミパネルです。

引用元:AV Watch

次の写真のように、ヘアライン仕上げは、スマートフォンにもよく用いられる仕上げ法です。

引用元:Gigazine

まとめ

以上、ヘアライン仕上げの詳細と製品事例についてご紹介しました。

ヘアライン仕上げは、金属表面に線状の模様を付ける表面仕上げ法で、つや消しや滑り止め、傷を目立たなくするなどの効果があります。ステンレスに施されることが多く、建築物やインテリア、家電製品など、身の回りの様々なところで見ることができます。

しかし、このヘアライン仕上げは、メーカーによって仕上げ可能な種類や仕上がり具合は異なります。

ですがMitsuriでは、日本全国に協力工場が140社以上あるため、お客様のご希望に合わせたヘアライン仕上げのご提案が可能です。

ヘアライン仕上げでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。

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