電気亜鉛めっきとは?溶融亜鉛めっきとの違いも解説

2023-12-27

電気亜鉛めっきとは、電気を使って鉄素地を亜鉛めっきでコーティングしたものです。
電気亜鉛めっきはメジャーなめっきで、鉄素地のサビを防ぐだけでなく、見た目を良くする効果も兼ね備えているので、製造業において欠かせない手法です。

この記事では、

  1. 電気亜鉛めっきの仕組み
  2. 電気亜鉛めっきと溶融亜鉛めっきの違い
  3. 電気亜鉛めっきならではのメリットと用途

について分かりやすく解説します。

電気亜鉛めっきの仕組み

電気亜鉛めっきの製造手法

亜鉛めっきは、大まかに2つに分けられます。

  • 鉄素地に亜鉛めっき液に浸し電気を通す(電気亜鉛めっき)
  • 鉄素地を高温の亜鉛めっき液に浸す(溶融亜鉛めっき)

今回は亜鉛めっきの解説をします。溶融亜鉛めっきの解説は下記の関連記事をご覧ください。
関連記事:溶融亜鉛めっきとは?特徴、規格、加工工程を解説

亜鉛めっき液は、電気を通すことで電気分解されます。これにより、鉄素地の表面に亜鉛めっきが原子レベルで積み重なります。
積み重なった亜鉛めっきは「亜鉛めっき皮膜」を生成します。これが鉄素地を守る役割を果たします。亜鉛めっき皮膜は、鉄素地の代わりに錆びることで、鉄素地に赤サビが発生することを防ぎます。

亜鉛めっきの防食効果

亜鉛めっきによる防食効果は「犠牲防食作用」と呼ばれます。
簡単に言えば内側の鉄が錆びる代わりに亜鉛めっき皮膜が錆びてくれるので、鉄素地が錆びづらくなります。つまり亜鉛めっき皮膜は厚ければ厚いほど、防食効果も高くなるといえます。

しかし、電気亜鉛めっきにクロメート処理を施した方が高い防食性を得られる場合もあります。クロメート処理については、後述をご覧ください。

関連記事:亜鉛めっきとは?特徴や種類を解説

電気亜鉛めっきと溶融亜鉛めっきの違い

電気亜鉛めっきと溶融亜鉛めっきの一番の違いは、生成される皮膜の厚さにあります。

溶融亜鉛めっきは膜厚が厚くなる製造手法

溶融亜鉛めっき(ドブ付けめっき)は、鉄素地を高温のめっき液に浸して溶融金属(溶融亜鉛)を表面に付着させたあとに冷却する手法です。
溶融亜鉛めっき処理は、電気亜鉛めっきに比べて皮膜が厚くなるため、クロメート処理の必要はありません。

関連記事:溶融亜鉛めっきとは?特徴、規格、加工工程を解説

溶融亜鉛めっきで対応できない部品は電気亜鉛めっきを選びましょう

溶融亜鉛めっきには向いていない部品があります。

  • 板厚がt3.2未満の薄い板金部品
  • 精密部品

高温のめっき液に浸すことから、薄い板のような熱で変形するような部品には向いていません。
また、膜厚が厚いので精密部品にも向いていません。細かい溝や段差がめっきで埋もれてしまいます。

このような部品に亜鉛めっきを施したい場合は、電気亜鉛めっきを選択しましょう。

電気亜鉛めっきのメリット、塗装との比較

めっき液を使うメリット

めっきを施すメリットは大きく3つあります。

  • 防食効果
  • 外観が良くなる
  • 剥がれにくい

めっき液を使う最大のメリットはその剥がれにくさにあります。
塗装と比べて、めっき液を使用した方が鉄素地への密着性が高くなるので、衝撃や刺激による剥離が起こりにくくなります。

塗装でもめっきでも防食効果と外観向上の効果は得られますが、密着性の高いめっきを使って鉄素地をコーティングすることで、塗装よりも長いあいだ鉄素地を守ってくれます。
塗装やめっきが剥がれてしまうと、サビが生じやすくなります。

先ほど、電気亜鉛めっきは、鉄素地などの被めっき物をめっき液に浸して電気分解することで原子レベルで皮膜を生成しているとお伝えしました。
これにより被めっき物とめっきの密着性を高められるので、防腐効果が長く続くのです。

電気亜鉛めっきを強化するクロメート処理

電気亜鉛めっきは一般的に2層から成っていることが多いです。
1層目の亜鉛めっき皮膜の上に、2層目としてクロメート被膜か塗料の皮膜を被せます。

クロメート処理

クロメート処理を施すと、防サビ効果だけでなく、汚れの付着を防ぐ効果を得られます。

亜鉛めっき皮膜は、赤サビに強いですが白サビには弱いです。クロメート処理をすることで白サビが発生するのを防ぎます。

クロメート処理には、三価クロメートや光沢クロメート、黒色クロメートなど種類があり、被めっき物の見栄えを良くすることができます。

関連記事:三価クロメートとは?種類や特徴、六価クロメートとの違い

塗装

一方塗装は、塗装に使う塗料によって亜鉛めっき皮膜の耐食性が決まります。
ただ、電気亜鉛めっきは塗装の下地としてよく使われており、用途は主に塗料をより剥がれにくくするために施されます。電気亜鉛めっきの凹凸を利用して、塗料を剥がれにくくします。

電気亜鉛めっきならではのメリットと用途

常温での防サビ

電気亜鉛めっきを施した鉄素地は15~35℃の温度でサビを防ぐ効果を持っています。常温での防サビに適しているため、重宝されています。

膜厚の薄さ

電気亜鉛めっきは溶融亜鉛めっきに比べて、膜厚が薄いのが特徴です。
また、電気亜鉛めっき処理を施した鉄素地は劣化しないため、製品が変形することもありません。そのため、自動車部品やコンピュータ等の精密機器の部品として採用されることが多いです。

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