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    アルマイト処理のメリットについて解説!

    アルミニウムは、合金の種類にもよりますが、比較的軟らかい金属です。そのため、軽くて加工しやすいなどの利点を持ちながらも、強度を必要とする機械部品などには使いづらいといった問題がありました。 その点、アルマイト処理は、アルミニウムの硬度や耐食性などを向上させる効果があり、またその効果もある程度制御することができます。それにより、アルミニウムの用途は、機械部品などにも拡大しています。 今回の記事では、アルマイト処理の内容やメッキとの違いについて説明します。続いて、その工程、アルマイト処理が可能なアルミ合金の種類、アルマイト処理を行うメリットについても詳しく解説していきます。カラーアルマイト処理や硬質アルマイト処理についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。 アルマイト・アルマイト処理とは 引用元:Wikipedia アルマイト処理は、防サビや絶縁性の付与、強度向上などを目的として、アルミ表面に酸化皮膜を人工的に形成させる表面処理法です。 アルミニウムは、空気中で酸化して自然と表面に酸化皮膜を形成。その酸化皮膜によってある程度の強度と耐食性を持つようになります。しかし、自然と形成される酸化皮膜は数ナノメートルと薄く、傷や腐食などがアルミ素地に達してしまうことも多いため、強度や耐食性を必要とする場合にはアルマイト処理が施されます。 アルマイト処理の過程で美観をある程度制御できることもあり、アルミ製のやかんや鍋等の日用品、電車や航空機の内装品、建材などに広く適用される表面処理法です。 また、アルマイトの膜厚は通常10マイクロメートル程度ですが、より膜厚を増した硬質アルマイトは厚さ50マイクロメートルにも達し、その硬度は鉄鋼を超える400HV以上にもなります。そのため、アルマイト処理を施したアルミ製品は、耐摩耗性を必要とする自動車部品や航空機関連部品、シャフトやロールなどの機械部品などにも広く用いられています。 参考記事 アルミニウムの基本的な情報については、以下の記事に詳細がありますのでご参照ください。 ⇒【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説! アルマイトとメッキの違い 引用元:株式会社ミヤキ なお、アルマイトは、メッキとは全く異なる表面処理なので注意が必要です。 アルマイト処理では、アルミニウムを電気分解の陽極として通電し、アルミニウムを溶解させながら酸化させて酸化皮膜を形成させます。このとき、酸化皮膜は、アルミ表面の外部方向へ成長すると同時に、内部方向にも浸透していきます。(上図参照) また、製品の素材そのものが電気分解によって溶解するので、重量や寸法が厳格に定められた製品には向いていません。 その一方、メッキは、耐食性や強度を上げる、外観を変える、多様な機能を付与するなどの目的で行われる表面処理です。酸化皮膜を除去してアルミニウムの素地を露出させ、素材とは別の金属をコーティングする方法です。つまり、メッキでは、酸化皮膜を全て剥がしてしまいますし、メッキ後には酸化皮膜は残りません。 また、アルマイトとメッキにおいて電気分解を行う点は共通していますが、メッキでは電気分解の陽極ではなく陰極にメッキされる金属を使用。電解液中の金属イオンを被メッキ金属へ乗せるように還元析出させます。 つまり、アルマイト処理は電気分解の酸化を利用して膜を形成していますが、メッキは逆に電気分解の還元を利用して膜を形成しているのです。 参考記事 アルミニウムのメッキについて、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。 ⇒アルミニウムのメッキについて解説!実際の工程やメリットについてもご紹介! アルマイトの処理工程 引用元:YKK AP株式会社 それでは、アルマイトはどのような処理工程によって施されるのでしょうか。 アルマイトの処理工程は、通常以下の手順で行われます。ただし、工程の間には、水洗や湯洗などの処理が入ります。また、工場によっては、品質向上などのため、追加の工程が入ることがあります。 アルマイトの処理工程 1.枠吊り 2.脱脂 3.エッチング 4.スマット除去 5.陽極酸化 6.電解着色 7.水洗い後、枠外し 1.枠吊り 引用元:株式会社興和工業所 アルマイト処理は、通常自動化されており、治具(処理物を支持または通電するために用いる支持具)にたて吊りにしたアルミニウム部品を各工程の処理を施す浴槽に順番に沈めていくことで実施します。そのアルミニウム部品を治具に吊る工程がこの枠吊りです。 2.脱脂 脱脂処理は、アルミニウム部品の成形に伴って付着した油分等を取り除く工程です。施される酸化皮膜の密着不良を防止するために行われます。 一般的な金属は通常、アルカリ性の溶液に浸漬することで脱脂を行います。しかし、アルミニウムは、両性金属で酸性にもアルカリ性にも溶けてしまうため、弱アルカリ性や中性の溶液が主に採用されます。場合によっては、液中に泡を発生させて撹拌する超音波清浄機などを併用することがあります。 3.エッチング 引用元:株式会社小池テクノ エッチング処理は、アルミ表面の自然に形成された酸化皮膜や脱脂で取り切れなかった油分などを除去する工程です。苛性ソーダなどの水酸化ナトリウムを含んだアルカリ性溶液にアルミニウムを浸漬。酸化皮膜を溶解させると同時に油分などを除去します。 4.スマット除去 スマット除去処理は、アルミ表面に露わとなった不純物や合金成分を除去する工程です。 アルミニウム合金には銅やケイ素などの不純物や合金成分が含まれていますが、これらの成分の中にはエッチング処理で溶解しないものが存在します。そのため、エッチング処理の後には、このような成分が微粉末として表面に露わになります。この「スマット」と呼ばれる微粉末を取り除く工程がスマット除去工程です。 ケイ素などの除去にはフッ素を含んだ酸性溶液が、銅合金の除去には硝酸を含んだ酸性の溶液が用いられます。 5.陽極酸化 引用元:株式会社ミヤキ 陽極酸化処理は、アルミニウムを電気分解の陽極として通電し、表面に酸化皮膜を形成させる工程です。電解液には、硫酸やシュウ酸などの酸性溶液が用いられます。 この工程においては、上図のように、まず平面的なバリアー皮膜が成長します。その後、表面に凹部が形成されると、硫酸イオンが凹部に入り込んで硫酸アルミを形成。さらに、その硫酸アルミが溶出して表面に無数の穴が空きます。この穴の成長は、皮膜が厚みを増していくと同時に進行していき、最終的には穴が規則正しく伸びた構造となります。 結果として形成される皮膜の厚さは、電解時間に比例します。 6.電解着色 引用元:三協立山株式会社 再び陽極酸化処理を行い、酸化皮膜表面に形成された穴の底に塗料やアルミ以外の金属粒子を電着させる工程です。染料を電着するカラーアルマイト処理については後述します。 金属粒子を電着させる交流電解着色では、スズやニッケルなどを含む金属塩水溶液中へ交流電流を加えることで再度電解処理を施します。それによって穴に金属粒子が入り込み、酸化皮膜を補強すると共に防サビ性能が向上します。さらに着色も行うことが可能です。 例えば、スズやニッケルでは、黄色やブロンズ、黒色、またそれらの中間色を着けることができます。なお、色調は、電解液の成分や濃度、浸漬時間などによって変化させることが可能です。 交流電解着色を施したアルマイトは、日光に対する堅牢性が高く、紫外線などで変退色しにくいという特徴を持ちます。そのため、アルミサッシなどの屋外で用いられるアルミ製品に頻繁に採用されます。 7.水洗い後、枠外し 以上でアルマイト処理は完了です。製品を水洗するなどした後に枠から外します。 なお、電解着色を行わない場合や塗料で電解着色する場合(後述)には、十分な耐食性を確保するため、アルマイトの穴を封じる封孔処理を行います。 引用元:三協立山株式会社 封孔処理には、酢酸ニッケルや酢酸コバルトなどの金属塩で穴を塞ぐ方法(上図)や、高温加圧水蒸気を当てたり沸騰水中で煮沸したりすることで穴を狭める方法(下図)などがあります。 引用元:株式会社三恵工業所 アルマイト処理が行える金属 引用元:NCネットワーク それでは、どのアルミ合金に対してもアルマイト処理は行うことができるのでしょうか。 まず、アルミ合金には、一般的な金属加工で用いられる展伸用と、鋳物やダイキャストで成形する鋳造用がありますが、鋳造用合金はアルマイトに向かないとされています。それは、鋳造用合金では不純物が多く、アルマイト層がうまく生成されないことが理由です。 一方、展伸用合金は、番手によって1000番から8000番までに分けることができますが、ジュラルミンなどがある2000番手はアルマイト処理が困難な合金として知られています。それは、2000番手では、導電性が高い銅の含有率が大きく、電流密度にムラが生じやすいことから、アルマイト層の厚さがバラツキ易いためです。 しかし、業者の保有設備によっては可能であるため、どの番手のアルミニウム合金をアルマイト処理できるかは業者によってまちまちです。 参考記事 アルミ合金の番手については、以下の記事で詳細を解説していますので、ご参照ください。 ⇒アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! アルマイト処理を行うメリット 引用元:日本伸管株式会社 アルマイト処理を施すと、以下のような様々な効果をアルミニウムに与えることができます。 腐食しにくくなる アルミニウムは、空気中でも容易に酸化して表面に酸化皮膜を形成します。しかし、アルミニウムそのものはアルカリや酸などにも反応しやすく、傷などから変色や腐食を起こすことがあります。 従って、アルマイト処理を施し、分厚い酸化皮膜を形成しておくことで、傷などもアルミニウムの素地まで到達しにくくなり、結果として腐食に強くなります。 絶縁性が向上する アルミニウムは導電性が高い金属ですが、アルマイト膜を構成する酸化アルミニウムは絶縁性で電流を通しません。 硬度が向上する アルマイト処理を施すことで硬度や耐摩耗性が向上します。 硬さがHv20~150であるアルミニウムは、アルマイト処理を施すことでHv200~600まで硬さが向上します。 美観をコントロールできる アルマイト処理では、そのときに形成される微細な穴に金属を電着させたり染料を吸着させたりすることで多様な色を着けることができます。 遮熱性がある アルマイト膜の熱伝導率は、アルミニウムと比べると約3分の1なので、遮熱性を持ちます。 放熱性がある アルマイト膜は、遠赤外線などの放射性が高いという特性を持っているため、ヒートシンクなどの放熱性向上に用いられます。 アルマイト処理の種類 アルマイト処理は、上述した方法のほか、カラーアルマイト処理と硬質アルマイト処理があります。ここでは、これらのアルマイト処理法について説明します。 カラーアルマイト処理 引用元:東京高圧工業株式会社 カラーアルマイト処理は、アルミニウムの陽極酸化処理後、表面に出来た穴に有機塗料を閉じ込めて着色する方法です。金属表面に塗料を焼き付けるのと違い、剥がれにくいという特徴があります。塗料は、アクリル塗料やメラニン塗料などを使用するので、カラーバリエーションが豊富なところも魅力です。 ただし、カラーアルマイトは、紫外線や熱などに弱く、様々な影響で変退色します。そのため、建材などには用いられず、モバイル機器の筐体や化粧品容器、インテリア雑貨などに使われています。 また、カラーアルマイト処理を行う場合には、以下のような工程で進めます。 <カラーアルマイトの処理工程(下図参照)> 1〜5.上述したアルマイトの処理工程と同じ。 6.着色:有機塗料や溶剤などを溶かした電解液に浸漬して通電する電解着色で製品を着色。染料液中へ単に浸漬することで着色する場合もある。 7.封孔処理:染料の流出や汚れの付着を防止するために穴を塞ぐ。(封孔処理については上述) 8.水洗い後、枠外し:製品を枠から外す。 引用元:株式会社ミヤキ 硬質アルマイト処理 引用元:日本伸管株式会社 一方、硬質アルマイト処理は、陽極酸化処理において、通常のアルマイト膜よりも硬く分厚い酸化皮膜を生成する方法です。電解液に特殊な溶液を用いる、高電圧・高電流で通電する、低温の電解液で時間をかけて処理するなど、メーカー毎に多様な方法で硬く厚い酸化皮膜形成を実現しています。 硬質アルマイトは、通常のアルマイトと比較して、硬度(耐摩耗性)や耐食性、絶縁性、耐熱性などに優れているため、シャフトやロールなどの摺動部品、自動車のエンジン部品、航空機関連部品など、様々な用途で用いられています。 なお、色や硬度、皮膜の厚さについて、通常のアルマイトと硬質アルマイトを比較すると以下のようになります。 比較項目 通常のアルマイト 硬質アルマイト 色 着色可 グレー(着色原則不可) 硬度 200HV前後 400HV以上 皮膜の厚さ 5~25μm 20~100μm アルマイト処理の見積り依頼ならMitsuri いかがでしたでしょうか。 アルミ表面へ人工的に酸化皮膜を形成させるアルマイト処理は、製品に耐食性や絶縁性を付与するだけでなく、強度と美観も向上させることができます。 また、カラーアルマイトはアルミ製品のカラーバリエーションを多様化させ、硬質アルマイトは高い硬度が必要な機械部品までにもその用途を拡大させています。 難アルマイト素材と言われていた超ジュラルミンやダイキャストのアルマイト処理も、メーカーによりますが、現在では問題なく行えるようになっています。 Mitsuriは、アルマイト処理の高度な技術を保有する全国各地のメーカー様とお付き合いがあります。現在、協力企業は250社以上ございます。そのため、お客様に最適な表面処理方法をご提示することが可能です。お見積りは複数社から可能です!アルマイト処理のお見積りでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!

  • 【3分でわかる】アルミの表面処理を徹底解説!【専門家が語る】

    アルミは私達が生活をする中で、無くてはならない素材です。一円玉やアルミ缶、フライパンは勿論、やかんや弁当箱など色々な物で活躍するアルミですが、使用する環境によっては、特殊な加工を行ったり、表面処理を施したりしなければいけません。また、表面処理には様々な方法があり、依頼する際に手間取ってしまうこともあります。 今回は、そんなアルミの表面処理について詳しくご紹介します。 アルミについて興味のある方だけでなく、詳しく知らない方にも是非ご一読いただければと思います。 代表的なアルミの表面処理 アルミは、軽くて加工しやすい素材のため、様々な場所で使われています。しかし、表面処理をすることで、アルミの強みをさらに活かせる製品に生まれ変わります。アルミ処理では主に4つの性質を付与することができます。   耐食性 アルミは本来、耐食性が高いため表面処理をせず、そのまま使用されます。しかし、湿気の多い場所などでは、すぐに酸化し腐食してしまう可能性があります。そのため、アルミに表面処理を行い、耐食性を付与しなくてはなりません。 表面硬化 アルミは加工しやすい半面、素材そのままだと、意外にも柔らかく傷つきやすい素材です。その為、表面処理をすることで表面を硬化させ、傷を付きにくくします。そうすることで、破損を防ぐことができるため、外観を保つこともできます。 装飾性 アルミに表面処理を施すことで、装飾性を上げることができます。表面処理の中には色を付ける処理などもあり、光沢を加えるだけでなく、様々な色に仕上げることが可能です。 絶縁性 全ての表面処理で行っているものではありませんが、表面処理によってアルミに絶縁性を付与することができます。精密な機械部品などにアルミが使用される際は、この絶縁性を付与することが重要となります。   以上がアルミの表面処理によって付与される効果になります。 また、このアルミの表面処理方法には主に①アルマイト②化成処理③メッキ④塗装の4つの方法があります。 ①アルマイト アルマイトは、アルミの表面処理では一番メジャーな方法です。 アルマイトとは、電解液といわれる電気の伝導性を有する液体にアルミの素材を入れ、電流を流すことによって、酸化被膜を表面に形成する表面処理です。アルミが酸化被膜に保護されるため、錆に強い耐食性が得られます。 また、アルマイトは、絶縁性を付与することもできます。   アルマイト処理をした製品には、鍋や弁当箱などの家庭用品だけでなく、電車や飛行機の内装品、自動車の部品など様々な物があります。   さらにアルマイトには、カラーアルマイトや硬質アルマイトと言われる物があります。カラーアルマイトを用いて、表面処理を行うことで、様々な色のアルミ製品を作ることができるため、主に装飾性を付与することに使用されます。硬質アルマイトは、特殊な電解液でアルミニウムを電解処理することによって、通常よりも厚い酸化被膜を形成するものです。 他にもアルマイトには様々な種類があります。もし、気になる方がいましたら、こちらの記事をご覧ください。 【表面加工特集・後編】アルマイト処理・化成被膜処理とは?目的や種類などを徹底解説! ②化成処理 化成処理とは、アルミの表面上に科学的に酸化被膜を形成する表面処理です。名称で説明したアルマイト処理の酸化皮膜は、陽極酸化(電流を流し付与する物)によって得るものなので、科学的に得るものとは違います。アルマイト処理の酸化被膜と比較すると、被膜自体が薄いことが特徴です。その為、アルマイト処理よりも耐食性等は若干落ちてしまいます。 しかし、その代わりに化成処理のほうが簡単に表面処理を行うことが可能です。 また、化成処理の化成被膜はアルミとの密着率が良くなるため、塗装の下地処理としても使われています。アルマイト処理を施すと、絶縁性が増すのに対し、この表面処理では酸化皮膜が形成されても、電気を通します。   加工方法には、高温の純粋でアルミの表面に酸化皮膜を生成させるベーマイト法など、様々な方法があります。 ③メッキ メッキ加工は、他の金属を析出させることで加工素材を覆う表面処理です。大きな特徴は、アルマイト処理や化成処理とは異なり、酸化皮膜でなく金属の被膜で覆うことです。 主に鉄などに行うのが一般的ですが、アルミにメッキ加工をすることで、強度を上げることが可能です。このメッキの種類は、大きく2つに分けることができます。   電解メッキ 電解メッキは、その名前の通り電気でメッキ処理することです。メリットは、アルミだけでなく様々な素材にメッキ処理が可能な点です。また、価格も比較的安く、メッキ処理の時間もあまりかかりません。 デメリットは、複雑形状の物をメッキ処理することが難しい点です。 参考:【表面加工特集・前編】メッキ処理とは?目的・仕組み・種類について徹底解説!   無電解メッキ 無電解メッキは、電気を使わずに、化学変化によってメッキ処理をすることです。メリットは、複雑形状の物にも均一にメッキ処理することが可能な点です。 デメリットは、電解メッキと比較すると価格が高く、メッキの処理時間も長いという点です。 参考:【表面加工特集・前編】メッキ処理とは?目的・仕組み・種類について徹底解説! ④塗装 塗装は、主にはけやスプレーなどによって被膜を付着させる表面処理です。アルマイト処理では酸化皮膜、メッキ処理では金属皮膜を付着させるのに対し、塗装では、樹脂被膜を素材に付着させています。アルミを塗装することによって、耐久性を付与させることができます。また、塗装には様々な色があり、好みによって着色が可能です。 上記のアルマイト処理やメッキ処理と比較すると、表面処理が簡単なので、中には業者に頼まずにスプレーなどで表面処理をする方もいます。 また、塗装には、スプレーなどを使用する他に、電着塗装というものがあります。この電着塗装は、水溶性の樹脂の中に表面処理する素材を入れて、電流を流すことで、付着している樹脂被膜を乾燥させる方法です。電着メッキとも言われていますが、付着させる被膜が樹脂であるため、塗装の分類になります。この電着塗装のメリットは、通常の塗装と比べ、樹脂皮膜が均一に付着する点です。生産性にも優れており、大量生産をする際は、この塗装をする場合が多いです。    代表的なアルミの表面処理についてわかったところで、 ・具体的にアルミのを表面処理をするのにどれくらいの費用が掛かるのか ・納品までどれくらいの期間がかかるのか など知りたいのではないでしょうか。 そんな時はMitsuriにお任せください! アルミの表面処理の事例5選 アルマイト処理 引用元:株式会社川崎 カラーアルマイト 引用元:株式会社フクダコーポレーション 化成処理 引用元:株式会社 東亜電化 無電解メッキ 引用元:植田鍍金工業株式会社 カラー塗装 引用元:ボデーショップ・オキ アルミの表面処理ならMitsuri!1コ〜お受けいたします! 今回はアルミの表面処理についてご紹介しました。 アルミの表面処理には様々な方法があります。どの処理も付与する性質に特徴があります。 表面処理を行っている会社も多数あり、行っている表面処理の種類も変わってきますので、表面処理を依頼する際は、十分に注意してから選ぶことをおすすめします。 また、アルミの表面処理についてお悩みの時は、ぜひMitsuriにご相談下さい。 Mitsuriは、日本全国に協力企業が100社ございます。そのため、お客様にとって最適な素材の選択に加えて、表面処理の得意な工場のご紹介も可能です。 アルミの表面処理でお困りの時は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!

  • 【アルマイト処理・化成被膜処理とは?】目的や種類などを徹底解説!

    今回のテーマは「アルマイト処理」についてです。この記事ではアルマイト処理の特徴や種類、そして別の種類でありながら加工の方法や目的が似ている「化成皮膜処理」について説明いたします。 アルマイト処理とは?仕組みを解説 アルマイト(Alumite)とはアルミニウム(Aluminum)に電気処理をして人工的に酸化被膜を作る表面処理のことです。 酸化被膜とは金属の表面を覆っている薄い膜のことです。この膜が張られることで金属が錆びるのを防ぐことができます。人工的にとありますが、酸化被膜はもともと金属が空気に触れることで自然に作られます。 ただ自然の膜は非常に薄く、水に濡れたり湿気の多い環境下にあるとすぐに剥がれて錆びてしまいます。そのため、アルマイト処理によって人工的に強い酸化被膜を作ることで、より錆びにくい膜を張るのです。 アルマイト処理はメッキ処理と同様に液体が入った水槽に浸すことで行われます。こちらがアルマイト処理の動画になります。短いですが加工の様子がよく分かるかと思います。 メッキはいろいろな金属にほどこすことが可能ですが、アルマイトはアルミニウムのみに行われます。 アルマイト処理の使用例 身近な商品でアルマイト処理がされている例を挙げると弁当箱や化粧板、また照明器具に使われていたりします。他にもアルミニウム製の建築材や医療機器など、建築業や医療の分野でも幅広く利用されています。 メッキ処理とアルマイト処理の違い メッキ処理とアルマイト処理は水槽に製品を浸すという似たような加工の方法ですが、この二つは別の種類の表面処理として扱われます。その理由には下記の二つが挙げられます。 ①処理後の状態の違い まず、アルマイトとメッキは処理の後の状態に違いがあります。 分かりやすく画像で説明しましょう。 引用元:Koike Techno この画像からわかる通り、実はメッキの方は上に膜が重なっているだけなのに対し、アルマイトは製品の内側を削るように重なり合っているのです。そのため、アルマイト処理の方が膜が剥がれにくく、丈夫なコーティングにできます。 ②電気分解の極の違い 二つ目の違いに、金属が陽極と陰極、どちらで電気分解するのかの違いがあります。 アルマイトもメッキもどちらも水槽内に流れる電気で素材の表面を電解して別の金属をくっつけることにより膜を作りますが、アルマイトは陽極でメッキは陰極の電気を流して行います。 陽極と陰極とは電池で言う+と-のようなものですね。電気分解と電池では電極の働きとしては異なりますが、回路は似たような仕組みになっています。 以上①②の違いからアルマイト処理とメッキ処理は別の分類とされているのです。 アルマイトの特徴 アルマイト処理について一通り説明したところで、次にアルマイトが付与された製品の特徴を見ていきましょう。 今回も前編の時と同様に身近な製品を例に挙げながら説明していきます。 アルマイトがほどこされると、もれなく以下の性質が付いてきます。 アルマイトによって付与される性質 ①耐食性が高くなる ②硬度が高くなる ③絶縁性を付与する ④着色して綺麗に見せることができる ①耐食性が高くなる 前述の通り、金属はアルマイト処理をほどこすことによって錆に強くなります。アルミニウム自体は錆に弱い金属ですが、アルマイト処理により劇的に耐食性が向上します。 老朽化や物をぶつけた時の衝撃で表面処理が剥がれてしまうとそこから錆びてしまいますが、基本的に膜がある状態で錆びることはありません。そのため、特に車のパーツや船を作るための部品には必須となります。 ただし、製品の中には膜が作りにくいものもあるので、その場合は検査をして耐食性を確認する必要があります。 ②硬度が高くなる アルマイトで膜を張ることでアルミが格段に硬くなります。その硬度はおよそ4倍から6倍ほど。加えて傷や摩擦にも強くなるので製品が長持ちしやすくなります。 やかんや鍋などの使用頻度の高い日用品には是非利用したいところです。 ③絶縁性を付与する アルミニウムは電気を通しやすい金属ですが、膜を張ることで電気を通さなくできます。そのため、電気を通したい時はメッキ処理の方をほどこしたり表面処理をあえてしなかったりしますね。 主に使用される例としては半導体があります。半導体とは電気を通す物質である導体と電気を通さない物質である絶縁体の中間の物質のことを言います。導体に分類されるのは分かりやすいところで金属や塩水、絶縁体にはゴムやプラスチックなど。 画像の黒い部品が半導体ですが、片面だけをアルマイト処理することで電気の流れをコントロールすることが可能になっています。 半導体が使用されている製品には、もはや私たちの生活の中ではなくてはならないスマートフォンやパソコン、冷蔵庫や洗濯機などその他多種多様なデジタル用品や電化製品に組み込まれています。 また、アルマイトの膜が剥がれているかどうかを確認する際、電気を通さなくする特性を利用することで剥がれているかどうか判断することができます。電気が通らないということはしっかり膜が張られているということですが、もし電気が通るようなら膜が剥がれているということですね。 ④着色して綺麗に見せることができる アルマイト処理でできた膜は無色透明なので好きな色に着色できます。動画で青く色づけされている場面がありましたが、それがいい例ですね。 先ほども例に出たやかんや鍋などもアルマイトで着色された製品です。 仮に何も着色しない場合、膜は透明なので製品はアルミニウムの色である銀色になることが多くなります。 アルマイト処理の種類 続いてアルマイト処理の種類について。 一概にアルマイト処理と言っても製品に必要な機能や装飾性によっていろいろな種類があります。今回は色々あるうちのよく使われる4つの方法を紹介していきます。 アルマイト処理の種類 ①一般アルマイト ②硬質アルマイト ③光沢アルマイト ④カラーアルマイト ①一般アルマイト 通常のアルマイト処理です。アルマイトの特徴のところで説明したように耐食性や硬度を強化します。一般アルマイトは複雑な形状の部品から大型の製品までどんなものでも付与できます。 ②硬質アルマイト 通常のアルマイト処理でもかなり硬くなりますが、それよりさらに硬くするためのアルマイト処理です。長時間加工することにより膜を厚くし、通常のアルマイトよりも5倍以上の硬さに仕上げます。 傷や摩擦にもより強くなるので、主に車のエンジンや飛行機の部品などにほどこされます。 ③光沢アルマイト 化学薬品でアルミに光沢を出すアルマイトです。白や黒、銀色などのバリエーションが出せます。 反対につやを消すためのアルマイト処理もあります。 ④カラーアルマイト 言葉通りカラー着色をするアルマイト処理です。特徴のところの最後に説明した部分ですね。メッキと違い、アルマイトの膜に染み込ませるように着色するので、膜が剥がれない限り色の剥げ落ちがないメリットがあります。 長年にわたる研究により赤、青、金色など様々な色で多彩な模様を描けるようになっています。 化成皮膜処理とは 化成被膜処理の仕組み 表面処理にはメッキ処理やアルマイト処理の他に化成皮膜処理という方法があります。 化成皮膜処理とは金属の耐食性を付与して塗装をするための下地となる膜を作るための加工です。製品となる金属を酸やアルカリ性水溶液を入れた水槽に浸し、塗料を金属に塗りやすくします。そうして化成皮膜処理をした膜の上から塗料を塗っていけるようにします。 引用元:表面処理薬剤 画像では分かりやすいように一段一段が分厚く描かれていますが、実物の製品ではもちろん目に見ない薄さです。では実物を見るついでに、加工の様子も動画で見てみましょう。 化成皮膜処理に使われる材料 化成皮膜処理には主にクロムという金属が使われ、鋼や亜鉛、アルミニウムなどの金属にくっつけます。 クロムとは硬くて非常に高い耐食性を持った金属で、使用例として流し台や車に使用されています。化成皮膜処理の代表的な方法にクロメート処理やパルコート処理などがあり、それらの方法はクロムを使って加工されます。 ノンクロム処理というクロムを使わない化成皮膜処理もありますが、耐食性がクロムを使った方法よりも低くなる代わりに塗料との密着性が高くなるという一長一短な効果であるため使い分けが必要です。 化成被膜処理の使用例 化成皮膜処理をほどこされた製品は主にねじや機械内部の部品など工業製品によく使われます。 普段私たちが何気なく使っている日用品にはあまり馴染みがありませんが、見えない所でいろいろな製品に表面処理がされています。 アルマイト処理はアルミニウムに耐食性や装飾性、その他様々な機能がほどこされる表面処理です。化成皮膜処理は様々な金属に耐食性を付与するのと塗装をするための下地を作るための表面処理でした。 表面処理は製品を完成させるための仕上げでもありますが、製品をより長く、そして幅広く使うためのサポートをする役割も持っているのです。

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    アルマイト処理のメリットについて解説!

    アルミニウムは、合金の種類にもよりますが、比較的軟らかい金属です。そのため、軽くて加工しやすいなどの利点を持ちながらも、強度を必要とする機械部品などには使いづらいといった問題がありました。 その点、アルマイト処理は、アルミニウムの硬度や耐食性などを向上させる効果があり、またその効果もある程度制御することができます。それにより、アルミニウムの用途は、機械部品などにも拡大しています。 今回の記事では、アルマイト処理の内容やメッキとの違いについて説明します。続いて、その工程、アルマイト処理が可能なアルミ合金の種類、アルマイト処理を行うメリットについても詳しく解説していきます。カラーアルマイト処理や硬質アルマイト処理についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。 アルマイト・アルマイト処理とは 引用元:Wikipedia アルマイト処理は、防サビや絶縁性の付与、強度向上などを目的として、アルミ表面に酸化皮膜を人工的に形成させる表面処理法です。 アルミニウムは、空気中で酸化して自然と表面に酸化皮膜を形成。その酸化皮膜によってある程度の強度と耐食性を持つようになります。しかし、自然と形成される酸化皮膜は数ナノメートルと薄く、傷や腐食などがアルミ素地に達してしまうことも多いため、強度や耐食性を必要とする場合にはアルマイト処理が施されます。 アルマイト処理の過程で美観をある程度制御できることもあり、アルミ製のやかんや鍋等の日用品、電車や航空機の内装品、建材などに広く適用される表面処理法です。 また、アルマイトの膜厚は通常10マイクロメートル程度ですが、より膜厚を増した硬質アルマイトは厚さ50マイクロメートルにも達し、その硬度は鉄鋼を超える400HV以上にもなります。そのため、アルマイト処理を施したアルミ製品は、耐摩耗性を必要とする自動車部品や航空機関連部品、シャフトやロールなどの機械部品などにも広く用いられています。 参考記事 アルミニウムの基本的な情報については、以下の記事に詳細がありますのでご参照ください。 ⇒【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説! アルマイトとメッキの違い 引用元:株式会社ミヤキ なお、アルマイトは、メッキとは全く異なる表面処理なので注意が必要です。 アルマイト処理では、アルミニウムを電気分解の陽極として通電し、アルミニウムを溶解させながら酸化させて酸化皮膜を形成させます。このとき、酸化皮膜は、アルミ表面の外部方向へ成長すると同時に、内部方向にも浸透していきます。(上図参照) また、製品の素材そのものが電気分解によって溶解するので、重量や寸法が厳格に定められた製品には向いていません。 その一方、メッキは、耐食性や強度を上げる、外観を変える、多様な機能を付与するなどの目的で行われる表面処理です。酸化皮膜を除去してアルミニウムの素地を露出させ、素材とは別の金属をコーティングする方法です。つまり、メッキでは、酸化皮膜を全て剥がしてしまいますし、メッキ後には酸化皮膜は残りません。 また、アルマイトとメッキにおいて電気分解を行う点は共通していますが、メッキでは電気分解の陽極ではなく陰極にメッキされる金属を使用。電解液中の金属イオンを被メッキ金属へ乗せるように還元析出させます。 つまり、アルマイト処理は電気分解の酸化を利用して膜を形成していますが、メッキは逆に電気分解の還元を利用して膜を形成しているのです。 参考記事 アルミニウムのメッキについて、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。 ⇒アルミニウムのメッキについて解説!実際の工程やメリットについてもご紹介! アルマイトの処理工程 引用元:YKK AP株式会社 それでは、アルマイトはどのような処理工程によって施されるのでしょうか。 アルマイトの処理工程は、通常以下の手順で行われます。ただし、工程の間には、水洗や湯洗などの処理が入ります。また、工場によっては、品質向上などのため、追加の工程が入ることがあります。 アルマイトの処理工程 1.枠吊り 2.脱脂 3.エッチング 4.スマット除去 5.陽極酸化 6.電解着色 7.水洗い後、枠外し 1.枠吊り 引用元:株式会社興和工業所 アルマイト処理は、通常自動化されており、治具(処理物を支持または通電するために用いる支持具)にたて吊りにしたアルミニウム部品を各工程の処理を施す浴槽に順番に沈めていくことで実施します。そのアルミニウム部品を治具に吊る工程がこの枠吊りです。 2.脱脂 脱脂処理は、アルミニウム部品の成形に伴って付着した油分等を取り除く工程です。施される酸化皮膜の密着不良を防止するために行われます。 一般的な金属は通常、アルカリ性の溶液に浸漬することで脱脂を行います。しかし、アルミニウムは、両性金属で酸性にもアルカリ性にも溶けてしまうため、弱アルカリ性や中性の溶液が主に採用されます。場合によっては、液中に泡を発生させて撹拌する超音波清浄機などを併用することがあります。 3.エッチング 引用元:株式会社小池テクノ エッチング処理は、アルミ表面の自然に形成された酸化皮膜や脱脂で取り切れなかった油分などを除去する工程です。苛性ソーダなどの水酸化ナトリウムを含んだアルカリ性溶液にアルミニウムを浸漬。酸化皮膜を溶解させると同時に油分などを除去します。 4.スマット除去 スマット除去処理は、アルミ表面に露わとなった不純物や合金成分を除去する工程です。 アルミニウム合金には銅やケイ素などの不純物や合金成分が含まれていますが、これらの成分の中にはエッチング処理で溶解しないものが存在します。そのため、エッチング処理の後には、このような成分が微粉末として表面に露わになります。この「スマット」と呼ばれる微粉末を取り除く工程がスマット除去工程です。 ケイ素などの除去にはフッ素を含んだ酸性溶液が、銅合金の除去には硝酸を含んだ酸性の溶液が用いられます。 5.陽極酸化 引用元:株式会社ミヤキ 陽極酸化処理は、アルミニウムを電気分解の陽極として通電し、表面に酸化皮膜を形成させる工程です。電解液には、硫酸やシュウ酸などの酸性溶液が用いられます。 この工程においては、上図のように、まず平面的なバリアー皮膜が成長します。その後、表面に凹部が形成されると、硫酸イオンが凹部に入り込んで硫酸アルミを形成。さらに、その硫酸アルミが溶出して表面に無数の穴が空きます。この穴の成長は、皮膜が厚みを増していくと同時に進行していき、最終的には穴が規則正しく伸びた構造となります。 結果として形成される皮膜の厚さは、電解時間に比例します。 6.電解着色 引用元:三協立山株式会社 再び陽極酸化処理を行い、酸化皮膜表面に形成された穴の底に塗料やアルミ以外の金属粒子を電着させる工程です。染料を電着するカラーアルマイト処理については後述します。 金属粒子を電着させる交流電解着色では、スズやニッケルなどを含む金属塩水溶液中へ交流電流を加えることで再度電解処理を施します。それによって穴に金属粒子が入り込み、酸化皮膜を補強すると共に防サビ性能が向上します。さらに着色も行うことが可能です。 例えば、スズやニッケルでは、黄色やブロンズ、黒色、またそれらの中間色を着けることができます。なお、色調は、電解液の成分や濃度、浸漬時間などによって変化させることが可能です。 交流電解着色を施したアルマイトは、日光に対する堅牢性が高く、紫外線などで変退色しにくいという特徴を持ちます。そのため、アルミサッシなどの屋外で用いられるアルミ製品に頻繁に採用されます。 7.水洗い後、枠外し 以上でアルマイト処理は完了です。製品を水洗するなどした後に枠から外します。 なお、電解着色を行わない場合や塗料で電解着色する場合(後述)には、十分な耐食性を確保するため、アルマイトの穴を封じる封孔処理を行います。 引用元:三協立山株式会社 封孔処理には、酢酸ニッケルや酢酸コバルトなどの金属塩で穴を塞ぐ方法(上図)や、高温加圧水蒸気を当てたり沸騰水中で煮沸したりすることで穴を狭める方法(下図)などがあります。 引用元:株式会社三恵工業所 アルマイト処理が行える金属 引用元:NCネットワーク それでは、どのアルミ合金に対してもアルマイト処理は行うことができるのでしょうか。 まず、アルミ合金には、一般的な金属加工で用いられる展伸用と、鋳物やダイキャストで成形する鋳造用がありますが、鋳造用合金はアルマイトに向かないとされています。それは、鋳造用合金では不純物が多く、アルマイト層がうまく生成されないことが理由です。 一方、展伸用合金は、番手によって1000番から8000番までに分けることができますが、ジュラルミンなどがある2000番手はアルマイト処理が困難な合金として知られています。それは、2000番手では、導電性が高い銅の含有率が大きく、電流密度にムラが生じやすいことから、アルマイト層の厚さがバラツキ易いためです。 しかし、業者の保有設備によっては可能であるため、どの番手のアルミニウム合金をアルマイト処理できるかは業者によってまちまちです。 参考記事 アルミ合金の番手については、以下の記事で詳細を解説していますので、ご参照ください。 ⇒アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! アルマイト処理を行うメリット 引用元:日本伸管株式会社 アルマイト処理を施すと、以下のような様々な効果をアルミニウムに与えることができます。 腐食しにくくなる アルミニウムは、空気中でも容易に酸化して表面に酸化皮膜を形成します。しかし、アルミニウムそのものはアルカリや酸などにも反応しやすく、傷などから変色や腐食を起こすことがあります。 従って、アルマイト処理を施し、分厚い酸化皮膜を形成しておくことで、傷などもアルミニウムの素地まで到達しにくくなり、結果として腐食に強くなります。 絶縁性が向上する アルミニウムは導電性が高い金属ですが、アルマイト膜を構成する酸化アルミニウムは絶縁性で電流を通しません。 硬度が向上する アルマイト処理を施すことで硬度や耐摩耗性が向上します。 硬さがHv20~150であるアルミニウムは、アルマイト処理を施すことでHv200~600まで硬さが向上します。 美観をコントロールできる アルマイト処理では、そのときに形成される微細な穴に金属を電着させたり染料を吸着させたりすることで多様な色を着けることができます。 遮熱性がある アルマイト膜の熱伝導率は、アルミニウムと比べると約3分の1なので、遮熱性を持ちます。 放熱性がある アルマイト膜は、遠赤外線などの放射性が高いという特性を持っているため、ヒートシンクなどの放熱性向上に用いられます。 アルマイト処理の種類 アルマイト処理は、上述した方法のほか、カラーアルマイト処理と硬質アルマイト処理があります。ここでは、これらのアルマイト処理法について説明します。 カラーアルマイト処理 引用元:東京高圧工業株式会社 カラーアルマイト処理は、アルミニウムの陽極酸化処理後、表面に出来た穴に有機塗料を閉じ込めて着色する方法です。金属表面に塗料を焼き付けるのと違い、剥がれにくいという特徴があります。塗料は、アクリル塗料やメラニン塗料などを使用するので、カラーバリエーションが豊富なところも魅力です。 ただし、カラーアルマイトは、紫外線や熱などに弱く、様々な影響で変退色します。そのため、建材などには用いられず、モバイル機器の筐体や化粧品容器、インテリア雑貨などに使われています。 また、カラーアルマイト処理を行う場合には、以下のような工程で進めます。 <カラーアルマイトの処理工程(下図参照)> 1〜5.上述したアルマイトの処理工程と同じ。 6.着色:有機塗料や溶剤などを溶かした電解液に浸漬して通電する電解着色で製品を着色。染料液中へ単に浸漬することで着色する場合もある。 7.封孔処理:染料の流出や汚れの付着を防止するために穴を塞ぐ。(封孔処理については上述) 8.水洗い後、枠外し:製品を枠から外す。 引用元:株式会社ミヤキ 硬質アルマイト処理 引用元:日本伸管株式会社 一方、硬質アルマイト処理は、陽極酸化処理において、通常のアルマイト膜よりも硬く分厚い酸化皮膜を生成する方法です。電解液に特殊な溶液を用いる、高電圧・高電流で通電する、低温の電解液で時間をかけて処理するなど、メーカー毎に多様な方法で硬く厚い酸化皮膜形成を実現しています。 硬質アルマイトは、通常のアルマイトと比較して、硬度(耐摩耗性)や耐食性、絶縁性、耐熱性などに優れているため、シャフトやロールなどの摺動部品、自動車のエンジン部品、航空機関連部品など、様々な用途で用いられています。 なお、色や硬度、皮膜の厚さについて、通常のアルマイトと硬質アルマイトを比較すると以下のようになります。 比較項目 通常のアルマイト 硬質アルマイト 色 着色可 グレー(着色原則不可) 硬度 200HV前後 400HV以上 皮膜の厚さ 5~25μm 20~100μm アルマイト処理の見積り依頼ならMitsuri いかがでしたでしょうか。 アルミ表面へ人工的に酸化皮膜を形成させるアルマイト処理は、製品に耐食性や絶縁性を付与するだけでなく、強度と美観も向上させることができます。 また、カラーアルマイトはアルミ製品のカラーバリエーションを多様化させ、硬質アルマイトは高い硬度が必要な機械部品までにもその用途を拡大させています。 難アルマイト素材と言われていた超ジュラルミンやダイキャストのアルマイト処理も、メーカーによりますが、現在では問題なく行えるようになっています。 Mitsuriは、アルマイト処理の高度な技術を保有する全国各地のメーカー様とお付き合いがあります。現在、協力企業は250社以上ございます。そのため、お客様に最適な表面処理方法をご提示することが可能です。お見積りは複数社から可能です!アルマイト処理のお見積りでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!

  • 【3分でわかる】アルミの表面処理を徹底解説!【専門家が語る】

    アルミは私達が生活をする中で、無くてはならない素材です。一円玉やアルミ缶、フライパンは勿論、やかんや弁当箱など色々な物で活躍するアルミですが、使用する環境によっては、特殊な加工を行ったり、表面処理を施したりしなければいけません。また、表面処理には様々な方法があり、依頼する際に手間取ってしまうこともあります。 今回は、そんなアルミの表面処理について詳しくご紹介します。 アルミについて興味のある方だけでなく、詳しく知らない方にも是非ご一読いただければと思います。 代表的なアルミの表面処理 アルミは、軽くて加工しやすい素材のため、様々な場所で使われています。しかし、表面処理をすることで、アルミの強みをさらに活かせる製品に生まれ変わります。アルミ処理では主に4つの性質を付与することができます。   耐食性 アルミは本来、耐食性が高いため表面処理をせず、そのまま使用されます。しかし、湿気の多い場所などでは、すぐに酸化し腐食してしまう可能性があります。そのため、アルミに表面処理を行い、耐食性を付与しなくてはなりません。 表面硬化 アルミは加工しやすい半面、素材そのままだと、意外にも柔らかく傷つきやすい素材です。その為、表面処理をすることで表面を硬化させ、傷を付きにくくします。そうすることで、破損を防ぐことができるため、外観を保つこともできます。 装飾性 アルミに表面処理を施すことで、装飾性を上げることができます。表面処理の中には色を付ける処理などもあり、光沢を加えるだけでなく、様々な色に仕上げることが可能です。 絶縁性 全ての表面処理で行っているものではありませんが、表面処理によってアルミに絶縁性を付与することができます。精密な機械部品などにアルミが使用される際は、この絶縁性を付与することが重要となります。   以上がアルミの表面処理によって付与される効果になります。 また、このアルミの表面処理方法には主に①アルマイト②化成処理③メッキ④塗装の4つの方法があります。 ①アルマイト アルマイトは、アルミの表面処理では一番メジャーな方法です。 アルマイトとは、電解液といわれる電気の伝導性を有する液体にアルミの素材を入れ、電流を流すことによって、酸化被膜を表面に形成する表面処理です。アルミが酸化被膜に保護されるため、錆に強い耐食性が得られます。 また、アルマイトは、絶縁性を付与することもできます。   アルマイト処理をした製品には、鍋や弁当箱などの家庭用品だけでなく、電車や飛行機の内装品、自動車の部品など様々な物があります。   さらにアルマイトには、カラーアルマイトや硬質アルマイトと言われる物があります。カラーアルマイトを用いて、表面処理を行うことで、様々な色のアルミ製品を作ることができるため、主に装飾性を付与することに使用されます。硬質アルマイトは、特殊な電解液でアルミニウムを電解処理することによって、通常よりも厚い酸化被膜を形成するものです。 他にもアルマイトには様々な種類があります。もし、気になる方がいましたら、こちらの記事をご覧ください。 【表面加工特集・後編】アルマイト処理・化成被膜処理とは?目的や種類などを徹底解説! ②化成処理 化成処理とは、アルミの表面上に科学的に酸化被膜を形成する表面処理です。名称で説明したアルマイト処理の酸化皮膜は、陽極酸化(電流を流し付与する物)によって得るものなので、科学的に得るものとは違います。アルマイト処理の酸化被膜と比較すると、被膜自体が薄いことが特徴です。その為、アルマイト処理よりも耐食性等は若干落ちてしまいます。 しかし、その代わりに化成処理のほうが簡単に表面処理を行うことが可能です。 また、化成処理の化成被膜はアルミとの密着率が良くなるため、塗装の下地処理としても使われています。アルマイト処理を施すと、絶縁性が増すのに対し、この表面処理では酸化皮膜が形成されても、電気を通します。   加工方法には、高温の純粋でアルミの表面に酸化皮膜を生成させるベーマイト法など、様々な方法があります。 ③メッキ メッキ加工は、他の金属を析出させることで加工素材を覆う表面処理です。大きな特徴は、アルマイト処理や化成処理とは異なり、酸化皮膜でなく金属の被膜で覆うことです。 主に鉄などに行うのが一般的ですが、アルミにメッキ加工をすることで、強度を上げることが可能です。このメッキの種類は、大きく2つに分けることができます。   電解メッキ 電解メッキは、その名前の通り電気でメッキ処理することです。メリットは、アルミだけでなく様々な素材にメッキ処理が可能な点です。また、価格も比較的安く、メッキ処理の時間もあまりかかりません。 デメリットは、複雑形状の物をメッキ処理することが難しい点です。 参考:【表面加工特集・前編】メッキ処理とは?目的・仕組み・種類について徹底解説!   無電解メッキ 無電解メッキは、電気を使わずに、化学変化によってメッキ処理をすることです。メリットは、複雑形状の物にも均一にメッキ処理することが可能な点です。 デメリットは、電解メッキと比較すると価格が高く、メッキの処理時間も長いという点です。 参考:【表面加工特集・前編】メッキ処理とは?目的・仕組み・種類について徹底解説! ④塗装 塗装は、主にはけやスプレーなどによって被膜を付着させる表面処理です。アルマイト処理では酸化皮膜、メッキ処理では金属皮膜を付着させるのに対し、塗装では、樹脂被膜を素材に付着させています。アルミを塗装することによって、耐久性を付与させることができます。また、塗装には様々な色があり、好みによって着色が可能です。 上記のアルマイト処理やメッキ処理と比較すると、表面処理が簡単なので、中には業者に頼まずにスプレーなどで表面処理をする方もいます。 また、塗装には、スプレーなどを使用する他に、電着塗装というものがあります。この電着塗装は、水溶性の樹脂の中に表面処理する素材を入れて、電流を流すことで、付着している樹脂被膜を乾燥させる方法です。電着メッキとも言われていますが、付着させる被膜が樹脂であるため、塗装の分類になります。この電着塗装のメリットは、通常の塗装と比べ、樹脂皮膜が均一に付着する点です。生産性にも優れており、大量生産をする際は、この塗装をする場合が多いです。    代表的なアルミの表面処理についてわかったところで、 ・具体的にアルミのを表面処理をするのにどれくらいの費用が掛かるのか ・納品までどれくらいの期間がかかるのか など知りたいのではないでしょうか。 そんな時はMitsuriにお任せください! アルミの表面処理の事例5選 アルマイト処理 引用元:株式会社川崎 カラーアルマイト 引用元:株式会社フクダコーポレーション 化成処理 引用元:株式会社 東亜電化 無電解メッキ 引用元:植田鍍金工業株式会社 カラー塗装 引用元:ボデーショップ・オキ アルミの表面処理ならMitsuri!1コ〜お受けいたします! 今回はアルミの表面処理についてご紹介しました。 アルミの表面処理には様々な方法があります。どの処理も付与する性質に特徴があります。 表面処理を行っている会社も多数あり、行っている表面処理の種類も変わってきますので、表面処理を依頼する際は、十分に注意してから選ぶことをおすすめします。 また、アルミの表面処理についてお悩みの時は、ぜひMitsuriにご相談下さい。 Mitsuriは、日本全国に協力企業が100社ございます。そのため、お客様にとって最適な素材の選択に加えて、表面処理の得意な工場のご紹介も可能です。 アルミの表面処理でお困りの時は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!

  • 【アルマイト処理・化成被膜処理とは?】目的や種類などを徹底解説!

    今回のテーマは「アルマイト処理」についてです。この記事ではアルマイト処理の特徴や種類、そして別の種類でありながら加工の方法や目的が似ている「化成皮膜処理」について説明いたします。 アルマイト処理とは?仕組みを解説 アルマイト(Alumite)とはアルミニウム(Aluminum)に電気処理をして人工的に酸化被膜を作る表面処理のことです。 酸化被膜とは金属の表面を覆っている薄い膜のことです。この膜が張られることで金属が錆びるのを防ぐことができます。人工的にとありますが、酸化被膜はもともと金属が空気に触れることで自然に作られます。 ただ自然の膜は非常に薄く、水に濡れたり湿気の多い環境下にあるとすぐに剥がれて錆びてしまいます。そのため、アルマイト処理によって人工的に強い酸化被膜を作ることで、より錆びにくい膜を張るのです。 アルマイト処理はメッキ処理と同様に液体が入った水槽に浸すことで行われます。こちらがアルマイト処理の動画になります。短いですが加工の様子がよく分かるかと思います。 メッキはいろいろな金属にほどこすことが可能ですが、アルマイトはアルミニウムのみに行われます。 アルマイト処理の使用例 身近な商品でアルマイト処理がされている例を挙げると弁当箱や化粧板、また照明器具に使われていたりします。他にもアルミニウム製の建築材や医療機器など、建築業や医療の分野でも幅広く利用されています。 メッキ処理とアルマイト処理の違い メッキ処理とアルマイト処理は水槽に製品を浸すという似たような加工の方法ですが、この二つは別の種類の表面処理として扱われます。その理由には下記の二つが挙げられます。 ①処理後の状態の違い まず、アルマイトとメッキは処理の後の状態に違いがあります。 分かりやすく画像で説明しましょう。 引用元:Koike Techno この画像からわかる通り、実はメッキの方は上に膜が重なっているだけなのに対し、アルマイトは製品の内側を削るように重なり合っているのです。そのため、アルマイト処理の方が膜が剥がれにくく、丈夫なコーティングにできます。 ②電気分解の極の違い 二つ目の違いに、金属が陽極と陰極、どちらで電気分解するのかの違いがあります。 アルマイトもメッキもどちらも水槽内に流れる電気で素材の表面を電解して別の金属をくっつけることにより膜を作りますが、アルマイトは陽極でメッキは陰極の電気を流して行います。 陽極と陰極とは電池で言う+と-のようなものですね。電気分解と電池では電極の働きとしては異なりますが、回路は似たような仕組みになっています。 以上①②の違いからアルマイト処理とメッキ処理は別の分類とされているのです。 アルマイトの特徴 アルマイト処理について一通り説明したところで、次にアルマイトが付与された製品の特徴を見ていきましょう。 今回も前編の時と同様に身近な製品を例に挙げながら説明していきます。 アルマイトがほどこされると、もれなく以下の性質が付いてきます。 アルマイトによって付与される性質 ①耐食性が高くなる ②硬度が高くなる ③絶縁性を付与する ④着色して綺麗に見せることができる ①耐食性が高くなる 前述の通り、金属はアルマイト処理をほどこすことによって錆に強くなります。アルミニウム自体は錆に弱い金属ですが、アルマイト処理により劇的に耐食性が向上します。 老朽化や物をぶつけた時の衝撃で表面処理が剥がれてしまうとそこから錆びてしまいますが、基本的に膜がある状態で錆びることはありません。そのため、特に車のパーツや船を作るための部品には必須となります。 ただし、製品の中には膜が作りにくいものもあるので、その場合は検査をして耐食性を確認する必要があります。 ②硬度が高くなる アルマイトで膜を張ることでアルミが格段に硬くなります。その硬度はおよそ4倍から6倍ほど。加えて傷や摩擦にも強くなるので製品が長持ちしやすくなります。 やかんや鍋などの使用頻度の高い日用品には是非利用したいところです。 ③絶縁性を付与する アルミニウムは電気を通しやすい金属ですが、膜を張ることで電気を通さなくできます。そのため、電気を通したい時はメッキ処理の方をほどこしたり表面処理をあえてしなかったりしますね。 主に使用される例としては半導体があります。半導体とは電気を通す物質である導体と電気を通さない物質である絶縁体の中間の物質のことを言います。導体に分類されるのは分かりやすいところで金属や塩水、絶縁体にはゴムやプラスチックなど。 画像の黒い部品が半導体ですが、片面だけをアルマイト処理することで電気の流れをコントロールすることが可能になっています。 半導体が使用されている製品には、もはや私たちの生活の中ではなくてはならないスマートフォンやパソコン、冷蔵庫や洗濯機などその他多種多様なデジタル用品や電化製品に組み込まれています。 また、アルマイトの膜が剥がれているかどうかを確認する際、電気を通さなくする特性を利用することで剥がれているかどうか判断することができます。電気が通らないということはしっかり膜が張られているということですが、もし電気が通るようなら膜が剥がれているということですね。 ④着色して綺麗に見せることができる アルマイト処理でできた膜は無色透明なので好きな色に着色できます。動画で青く色づけされている場面がありましたが、それがいい例ですね。 先ほども例に出たやかんや鍋などもアルマイトで着色された製品です。 仮に何も着色しない場合、膜は透明なので製品はアルミニウムの色である銀色になることが多くなります。 アルマイト処理の種類 続いてアルマイト処理の種類について。 一概にアルマイト処理と言っても製品に必要な機能や装飾性によっていろいろな種類があります。今回は色々あるうちのよく使われる4つの方法を紹介していきます。 アルマイト処理の種類 ①一般アルマイト ②硬質アルマイト ③光沢アルマイト ④カラーアルマイト ①一般アルマイト 通常のアルマイト処理です。アルマイトの特徴のところで説明したように耐食性や硬度を強化します。一般アルマイトは複雑な形状の部品から大型の製品までどんなものでも付与できます。 ②硬質アルマイト 通常のアルマイト処理でもかなり硬くなりますが、それよりさらに硬くするためのアルマイト処理です。長時間加工することにより膜を厚くし、通常のアルマイトよりも5倍以上の硬さに仕上げます。 傷や摩擦にもより強くなるので、主に車のエンジンや飛行機の部品などにほどこされます。 ③光沢アルマイト 化学薬品でアルミに光沢を出すアルマイトです。白や黒、銀色などのバリエーションが出せます。 反対につやを消すためのアルマイト処理もあります。 ④カラーアルマイト 言葉通りカラー着色をするアルマイト処理です。特徴のところの最後に説明した部分ですね。メッキと違い、アルマイトの膜に染み込ませるように着色するので、膜が剥がれない限り色の剥げ落ちがないメリットがあります。 長年にわたる研究により赤、青、金色など様々な色で多彩な模様を描けるようになっています。 化成皮膜処理とは 化成被膜処理の仕組み 表面処理にはメッキ処理やアルマイト処理の他に化成皮膜処理という方法があります。 化成皮膜処理とは金属の耐食性を付与して塗装をするための下地となる膜を作るための加工です。製品となる金属を酸やアルカリ性水溶液を入れた水槽に浸し、塗料を金属に塗りやすくします。そうして化成皮膜処理をした膜の上から塗料を塗っていけるようにします。 引用元:表面処理薬剤 画像では分かりやすいように一段一段が分厚く描かれていますが、実物の製品ではもちろん目に見ない薄さです。では実物を見るついでに、加工の様子も動画で見てみましょう。 化成皮膜処理に使われる材料 化成皮膜処理には主にクロムという金属が使われ、鋼や亜鉛、アルミニウムなどの金属にくっつけます。 クロムとは硬くて非常に高い耐食性を持った金属で、使用例として流し台や車に使用されています。化成皮膜処理の代表的な方法にクロメート処理やパルコート処理などがあり、それらの方法はクロムを使って加工されます。 ノンクロム処理というクロムを使わない化成皮膜処理もありますが、耐食性がクロムを使った方法よりも低くなる代わりに塗料との密着性が高くなるという一長一短な効果であるため使い分けが必要です。 化成被膜処理の使用例 化成皮膜処理をほどこされた製品は主にねじや機械内部の部品など工業製品によく使われます。 普段私たちが何気なく使っている日用品にはあまり馴染みがありませんが、見えない所でいろいろな製品に表面処理がされています。 アルマイト処理はアルミニウムに耐食性や装飾性、その他様々な機能がほどこされる表面処理です。化成皮膜処理は様々な金属に耐食性を付与するのと塗装をするための下地を作るための表面処理でした。 表面処理は製品を完成させるための仕上げでもありますが、製品をより長く、そして幅広く使うためのサポートをする役割も持っているのです。