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  • インボイス制度と電子帳簿保存法の概念と関係を徹底解説!改定による影響と準備も紹介

    インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正というニュースを通じて「インボイス」や「電帳法」といった言葉を聞いたことがあっても、実際にその内容まで理解できていないという方も多いのではないでしょうか。 今回は、インボイス制度と電子帳簿保存法について、それぞれの概念と具体的な影響、制度への対応に向けた準備について解説をします。 インボイス制度と電子帳簿保存法とは まずは、インボイス制度と電子帳簿保存法について解説をしていきます。 インボイス制度の概要 インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」の通称で、インボイス(適格請求書)を用いることによって仕入税額控除を受けられる制度です。 国税庁が事前に許可を与えた適格請求書発行事業者だけが発行できるインボイスの中で、取引先が支払う消費税額を計算します。 インボイスには以下の内容を含む必要があります。 登録番号 適格請求書を発行する氏名または名称 取引年月日 取引内容 税率ごとに区分した消費税額 適格請求書の交付を受ける取引先の氏名または名称 また、事業者は販売時と仕入れ時に支払う消費税によって二重課税が発生します。この二重課税を避けるために、仕入税額控除という仕組みを使って消費税を計算します。 事業者が消費税を計算するときには仕入税額控除によって計算された金額を支払うことになります。 電子帳簿保存法の概要 電子帳簿保存法とは、電子化された帳簿類を法的に認めるための法律です。また、この法律は1998年に施行され、改正が重ねられてきましたが、2022年1月にも改正されています。 対象書類は、簿記帳簿・記録書類・証憑などが該当します。これらの帳簿類を電子で保存する場合は下記の要件を満たす必要があります。 完全性:情報が改ざんされていないことを証明できるか 可読性:読み取り可能か 再現性:復元時に元の情報と一致しているか 保存期間:書類別に定められた期間保存しているか 保存場所:一元管理やセキュリティ対策をしているか 2022年の改正点の概要を以下に3つ記載します。 税務署長の事前承認制度の廃止:事前承認がなくなることで実施工程を簡素化 適正事務処理要件の廃止:紙原本をスキャナ保存するときに1人で作業可能 検索要件の緩和:電子データ検索時の必要な項目を簡略化 インボイス制度と電子帳簿保存法との関係性 インボイス制度と電子帳簿保存法の関係性について紹介します。 インボイス制度は、インボイスの中で消費税額を計算し、帳簿に記載する制度です。インボイスを適切に保存・管理しておかないと仕入税額控を受けることができません。具体的には、制度に則った帳簿や請求書などを保管しておく必要があります。 一方、電子帳簿保存法は、事業者が帳簿類を電子化して保存するときに、どのような要件を満たす必要があるかを定めた法律です。電子帳簿保存法により、事業者は電子帳簿の作成・保存によって、紙帳簿と同等の証憑力を持つことができます。 インボイス制度と電子帳簿保存法はお互いに関係する制度です。電子帳簿保存法の要件に沿って電子化を行い、適切に管理をすることで、インボイス制度の適切な運用が可能になります。 インボイス制度と電子帳簿保存法による影響 次に、インボイス制度と電子帳簿保存法による影響について解説します。 インボイス制度による影響 インボイス制度の実施は、普段作成する請求書に影響を与えます。 インボイス制度以前の請求書は「区分記載請求書」という書類でしたが、インボイス制度導入に伴い「適格請求書」へと変更になり、請求書の記載事項が変わります。 具体的には、適格請求書になることで 「適格請求書を発行する事業者の登録番号」 「税率ごとの消費税額」 を新たに追記する必要があります。 また、その他の変更点として、消費税額の算出方法が選べることも挙げられます。 以前は、年間の総売上に対して消費税を計算する「割戻し計算」だけが認められていました。しかし、インボイス制度によって売上が発生するたびに消費税を計算する「積上げ計算」を選択することも可能になりました。 電子帳簿保存法による影響 電子帳簿保存法改正の主な影響は、帳票類をデータ保存して管理しなければならなくなったことです。 ただし、2022年の改正で電子データの保存要件が緩和され、電子データの保存がしやすくなっています。 一方で、スキャナ保存したデータに不正があった場合には加重措置が課されることになります。具体的には、隠蔽、仮装、それらの申告漏れがあった場合に10%加重されることになります。 電子データの保存はしやすくなっても、管理は注意して行う必要があります。 インボイス制度と電子帳簿保存法に対応するための準備 インボイス制度と電子帳簿保存法に対応するための準備について解説します。 新しい制度に対する社内教育 1つ目は、新しい制度に対する社内教育です。 インボイス制度や電子帳簿保存法は、帳簿に関することなので経営者や経理担当者のみが知っていればよいという訳ではありません。 たとえば、営業担当者が顧客と請求書のやり取りをする場合、どのように事務処理を進めるのか理解しておかないと余計な時間を取ることになってしまうかもしれません。 社内教育をしっかりと行うことで、新しい制度への理解を深めておくことが重要です。 証憑書類管理システムの導入 2つ目は、証憑書類管理システムの導入です。 証憑書類管理システムの導入により、インボイスに必要な項目が記載されているか、保存要件に不備がないかといったことまで一元管理することが可能になります。 システム導入によって作業が効率化され、工数削減や証憑書類関係の業務の属人性の解消にもつながります。 まとめ 本記事ではインボイス制度と電子帳簿保存法の概要や影響、それらに対応するための準備について解説してきました。 インボイス制度や電子帳簿保存法は電子データでの証憑書類の保存や運用方法を定めた法律であり、電子化の流れが加速しています。 社内の書類が電子データになることで便利になり、生産性が高まる期待もあります。企業はそれらの法整備に対応できるように準備をすることが必要です。 本記事も参考に、インボイス制度や電子帳簿保存法についての対応を検討しましょう。

  • インボイス制度の問題点を徹底解説!解決方法・押さえておきたい負担軽減措置も詳しく紹介

    インボイス制度の問題点を徹底解説!解決方法・押さえておきたい負担軽減措置も詳しく紹介

    インボイス制度の問題点を徹底解説!解決方法・押さえておきたい負担軽減措置も詳しく紹介 インボイス制度が始まる前に問題点への対策を打っておきたい、と考える担当者もいるでしょう。インボイス制度を適切に利用開始すればメリットを得られるものの、取引先が制度加入していない場合、適切な控除を得られない可能性もあります。制度開始に合わせて社内体制を整備しなければ、経理担当者の負担が増えてしまいます。そのような事態が発生しないためにも、問題点を早期に把握して、対策を打つことが大切です。 そこで本記事では、インボイス制度の問題点と解決方法、押さえておくべき負担軽減措置について詳しく解説します。 インボイス制度の問題点とは まずは、インボイス制度の問題点について、以下4点を説明します。 仕入れ税額控除減額の可能性 経理担当者の負担増の可能性 取引が継続されない可能性 請求書の様式変更 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 仕入れ税額控除減額の可能性 1つ目の問題点は、仕入れ税額控除減額の可能性です。 仕入れ税額控除減額とは、仕入れた商品やサービスにかかった消費税を、自社で支払った消費税から差し引いて納税する仕組みです。消費税の二重課税を解消できる、という特徴があります。 インボイス制度開始後、売り手となる取引先がインボイス制度に加入していない場合、買い手は仕入税額控除が減額されます。免税事業者に支払った消費税は、税務署からは支払ったと認められないため、自社がわざわざ納付しなければなりません。 経理担当者の負担増の可能性 2つ目の問題点は、経理担当者の負担増の可能性です。 インボイス制度導入開始後は、免税事業者となる取引先が、インボイス制度に加入しているか、そうでないかが分かれます。そのため、買い手側の経理担当者は、それぞれの企業に合わせた対応が必要です。 仕入れ税額控除率も異なり、取引ごとに税額計算を行う積上げ計算も加わるため、それぞれのインボイス(適格請求書)を区別して管理する必要があるでしょう。 インボイス制度開始後は、請求書を受け取って処理する経理担当者の請求書業務の負担も増える可能性が高く、制度開始に備えて体制を整えておく必要があります。 取引が継続されない可能性 3つ目の問題点は、取引が継続されない可能性です。 売り手側がインボイス制度に加入していない場合、買い手にとっては「取引先の仕入れ税額控除が減額されてしまう」というデメリットがあります。買い手の中には「インボイス制度に加入していない企業とは今後の取引を見直したい」と判断し、取引を継続されない可能性が高まるでしょう。 そのため、インボイス制度に加入しない免税事業者(売り手)は、インボイス制度開始後取引先が減り、売上も減少してしまうかもしれません。 請求書の様式変更 4つ目の問題点は、請求書の様式変更です。 インボイス制度開始後、売手側は従来の請求書の様式に対して、以下の記載事項を追加して発行する必要があります。 ①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号②取引年月日③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率⑤税率ごとに区分した消費税額等⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 出典:適格請求書等保存方式の概要|国税庁 上記対応のためには、請求書や請求書まわりの帳票(納品書・検収書)などを管理する、基幹システム・帳票システムなどへの対応が必要です。 請求書一つの様式を変更するだけでも、データ生成方法や項目定義、帳票定義の仕様変更など、さまざまなシステムの変更対応をしなければなりません。 経理部門、システムを担当するバックオフィス部門などに、インボイス対応による仕事の負担がかかる可能性もあります。 インボイス制度の問題点の解決方法 インボイス制度の問題点の解決方法について、以下2点を説明します。 売手側の対応 買手側の対応 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 売手側の対応 1つ目は、売手側の対応です。 インボイス制度開始後、要件が満たされた適格請求書をスムーズに発行するためにも、売り手は早い段階で、インボイス制度への登録申請などの手続きを進めておく必要があります。 場合によっては免税事業者から課税事業者への変更対応が必要なケースもあるでしょう。請求書のフォーマット対応や、基幹システム側で項目変更など対応に追われないためにも、余裕を持った期間設定が大切です。 買手側の対応 2つ目は、買手側の対応です。 社内で経理事務を担当する方は、インボイス制度の問題点に備えた対応が必要となります。 たとえば、消費税額の計算方法に関して従来の割り戻し計算ではなく、売上で発生した消費税の金額を都度足す「積上げ計算」を理解しておくことが重要です。 中小企業の場合、売上に係る消費税額から、消費税の納税額を簡単に算出できる「簡易課税制度」の適用も検討しましょう。対象となる課税事業者なら任意で選択でき、経理事務の負担も軽減できる可能性があります。 また、免税事業者と課税事業者から発行される請求書の区分・管理も必要です。請求業務のワークフローの見直しも検討することで、業務効率化を図りましょう。 インボイス制度開始後は、取引先が課税事業者ではない場合、仕入れ税額控除減額の恐れもあります。取引相手が免税事業者か課税事業者かを確認し、今後も継続するべきかを見極めていきましょう。 インボイス制度で問題点を見つけた時に押さえたい負担軽減措置とは インボイス制度で問題点を見つけた時に押さえたい負担軽減措置について、以下4点を説明します。 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例) 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例) 少額な返還インボイスの交付義務免除 登録制度の見直しと手続の柔軟化 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例) 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)とは、インボイス制度開始を機に、免税事業者から課税事業者(インボイス発行事業者)となった小規模事業者に対して、税負担が増えることを防ぐために設けられた控除制度です。 インボイス制度は、小規模事業者や個人事業主・フリーランスにとって、請求書の内容記録や報告負担が重く、導入に踏み切れない場合もあるでしょう。 2割特例を適用可能な小規模事業者は、売上税額の2割を納税額とできるため、納税義務の負担が重いと感じている事業者にとって大きなメリットです。 ただし、この特例は小規模事業者に限られており、補助上限が設けられています。 また、2割特例の期間は、2023年(令和5年)10月1日〜2029年(令和11年)9月30日までの間と限定されています。 したがって、小規模事業者はその期間の間、インボイス制度を導入するために体制などを整えておくといいでしょう。インボイス発行事業者登録を受けていないと、2割特例の対象となりませんので、注意しましょう。 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例) 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)とは、前々年・前々事業年度となる基準期間において、課税売上高が1億円以下、かつ当該課税仕入れに係る支払対価よの額が、1万円未満の場合に適用される仕組みです。 一定の事項が記載された帳簿を保存しておけば、インボイス制度の開始から6年間、仕入税額控除を受けることが可能です。 この制度により、2023年10月1日〜2029年9月30日までの間は、インボイスとして保存しなくとも、国内の課税仕入れに関しても仕入れ額控除を認められるでしょう。 少額な返還インボイスの交付義務免除 少額な返還インボイスの交付義務免除とは、一定金額以下の返品・値引き・割戻しなどを対象に、売上の返還に関して、返還インボイス交付義務が免除される、という制度です。 インボイス制度では、商品などの返品・値引きにおいて売上の一部返還を行う際、適格返還請求書となる返還インボイスを、別途交付する必要がありました。インボイス制度の改正により、税込1万円未満の値引き等については、返還インボイスの交付不要と定められています。 登録制度の見直しと手続の柔軟化 インボイス制度導入にあたり、登録制度の見直し・手続きの柔軟化が行われています。 適格請求書を発行するためには、当初2023年3月31日までが登録期限とされ、その日までに登録申請書を提出する必要がありました。しかし、登録制度の見直しにより、2023年9月30日まで、期限が延長されることとなりました。 この見直しにより、これから導入を検討する企業も増えています。またインボイス制度は多くの企業にとって簡単で使いやすい制度になるのではと、期待が高まっています。 まとめ 本記事では、インボイス制度の問題点とその解決方法、負担軽減措置について解説しました。 インボイス制度準備をしていないままでいると、自社に大きな影響をもたらしてしまうかもしれません。インボイス制度を円滑に進めるためにも、制度開始前に既知の問題点を把握し、請求書等関連システムの仕様変更や体制強化が大切です。インボイス制度は2023年10月1日よりスタートします。制度開始に合わせて、しっかりと準備を整えていきましょう。

  • インボイス制度を簡単にわかりやすく解説!開始後の影響から必要な準備までまとめて紹介

    インボイス制度を簡単にわかりやすく解説!開始後の影響から必要な準備までまとめて紹介

    令和5年10月1日から、インボイス制度が開始されます。まだ制度についてよくわからない、難しそうと考えている方も多いのではないでしょうか。普段、請求書・納品書などの帳票のやり取りが発生している事業者にとって、インボイス制度を利用すれば消費税の仕入税額控除を受けられるなどの大きなメリットがあると言えます。 そこで本記事では、インボイス制度とは何かを簡単に解説するとともに、開始後の影響、する・しないそれぞれのケース影響、スケジュールと必要な準備についても触れていきます。 インボイス制度とは?簡単に解説 まずは、インボイス制度とは何か簡単に解説するために、以下4点を説明します。 概要 目的 開始時期 やらないとどうなる? それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 概要 インボイス制度とは、商品やサービスを購入する際に、購入証明書となるインボイスを受け取ることによって、税金の申告や控除をする制度を指します。適格請求書等保存方式とも呼ばれます。 適格請求書(インボイス)と呼ばれる、一定の要件を満たす請求書をやり取りすることで、インボイスを受け取った企業・個人(購入者)は、自分が支払った税金を申告して控除を受けられるというメリットがあります。一方、販売者は、自社が発行したインボイスをもとに税金を申告し、納付することが求められます。 インボイス制度を開始すれば、税金の申告や控除がスムーズに行われるため、企業や個人にとって有益な制度といえるでしょう。 目的 インボイス制度の主な目的は、税金の申告や控除をスムーズ、かつ正確に行うことです。 買い手は、自社が支払った金額を申告して税金を控除し、税金の支払いを軽減できます。売り手は、インボイスを元に税金を正確に申告・納付できるようになります。インボイスを発行して、売上税にかかった税金を申告・納付できるため、税金の適正な徴収を行えます。 また、税務署などは不正なインボイスの発行や使用を厳重に禁止することも可能です。インボイス制度は、税関機関が管理しています。インボイスによって適正な税金の支払いが行われるようになるため、税関機関にとっても、取引の正確な消費税額と消費税率を把握でき、税金の徴収を適正に行えるといえます。 開始時期 インボイス制度は、令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式として開始されます。制度開始後、インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者に限定されます。 適格請求書発行事業者になりインボイスを発行するためには、登録申請書を提出して登録を受ける必要があります。令和5年10月1日の制度開始から発行したいと考えている場合は、原則として令和5年3月31日までに登録が必要なため注意しましょう。 やらないとどうなる? インボイス制度をやらない場合、どうなるのかについて説明します。 インボイスを発行されない買い手は、原則として消費税の仕入税額控除ができないため、税額が増える可能性があります。 売り手はインボイス制度に登録申請しなければ、インボイスを発行することができません。買い手にとっても税率が上がるなどデメリットしかないため、今後の取引を解除される理由になるかもしれません。 インボイス制度に登録しないことで、買い手・売り手どちらにも大きな影響を与えるでしょう。 簡単にわかるインボイス制度に欠かせない消費税の仕入税額控除とは インボイス制度に欠かせない、消費税の仕入税額控除について、説明します。 消費税の仕入税額控除とは、企業が仕入れた商品やサービスにかかった消費税を、自社で発生する消費税に対して、控除することを指します。 具体的には、課税事業者にとって、自社が納税すべき消費税を計算する際、売上に紐づく消費税から仕入に紐づく消費税を差し引いて計算することです。従来に比べて、消費税の二重課税を解消できる計算方法が可能となります。 従来の制度では、仕入税額控除の適用を受けるためには、企業は仕入れの事実を記載した請求書・帳簿を保存することが求められていました。今後はインボイスを元に、企業が購入した商品やサービスにかかった消費税に関して、自社商品・サービスの売上税の一部である消費税を控除できるようになります。 これにより企業にとっても、販売する商品やサービスにかかる消費税の金額を減らし、経営の負担を軽減できるでしょう。 インボイス制度開始後の影響を簡単に説明 インボイス制度開始後の影響について、以下2点を説明します。 課税事業者の場合 免税事業者の場合 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 課税事業者の場合 インボイス制度開始後の課税事業者への影響について、説明していきます。 課税事業者は、仕入れ先から発行されるインボイスを元に、仕入にかかった消費税額を控除できるようになります。インボイスを入手できなかった場合は、自社の消費税額が増加する可能性もあるかもしれません。簡易課税制度を選択した場合は税負担が増加しない場合もありますが、仕入れ先がインボイス制度に登録しているかどうか、注意すべきでしょう。 免税事業者の場合 インボイス制度開始後の免税事業者の影響について、説明していきます。 免税事業者は、課税事業者の申請を済ませてインボイス制度に登録申請すれば、インボイスを発行できます。そのため、販売先の企業にとっても消費税額の控除が可能です。 課税事業者に登録申請しない場合は、インボイスを交付できず、販売先も仕入税額の控除ができません。6年間の経過措置期間はあるものの、販売先にとっては今後税負担が増加することを懸念して、今後の取引を見直されるかもしれません。 インボイス制度を利用する場合は、課税事業者への申請・インボイス制度への登録申請が必要となりますので国税庁のWebサイトを参考に手順などをしっかりと確認しておきましょう。 参考:[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁 インボイス制度に登録する・しない?それぞれのケースを簡単に説明 ここまで、インボイス制度の概要と、開始後の影響について解説しました。それでは、インボイス制度に登録する・しないでは何が異なるのでしょうか。ここからはそれぞれのケースについて説明していきます。 登録した場合 登録しなかった場合 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 登録した場合 インボイス制度に登録した場合、販売先は仕入れ税額控除が可能となります。減税率も上がる可能性もあり、メリットが大きいと言えるでしょう。今後も販売先からの取引が継続できる可能性も高いです 自社にとっては、インボイスを元にした消費税の申告・納付の手続きが必要となり、納税担当者にとって負担が増える傾向にあるため、制度開始後慌てないように、事前準備が大切です。 登録しなかった場合 インボイス制度に登録しなかった場合、自社の経理業務など納税担当者への負担に関しては、現行と変わりません。 しかし、販売した相手先は消費税の仕入税額控除を受けることができません。販売先は、自社の税負担が増加してしまうかもしれません。インボイスを発行してもらえないならば取引を見直したいと言われて、今後の案件を獲得できなくなる可能性もあります。そのため、企業の今後の収益に大きな影響を及ぼしてしまうかもしれません。 インボイス制度のスケジュールを簡単に説明 インボイス制度のスケジュールについて、以下2点を説明します。 登録申請 導入開始 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 登録申請 インボイスを発行するためには、まずはインボイス制度への登録申請をする必要があります。登録申請手続きは、令和3年10月1日から既に始まっており、登録申請手続きを終えた企業は制度が始まらなくても、登録番号・適用税率・消費税額などの項目を追加したインボイスを発行できるようになります。 現在登録申請をしておらず、令和5年10月1日からインボイスを発行したいと考えている事業者は原則として、令和5年3月31日までに登録申請手続きを済ませることが必要です。 導入開始 インボイスの制度が始まるのは、令和5年10月1日からです。それ以降の取引で、取引先が希望した場合には、インボイスを発行することが義務付けられます。 令和5年10月1日以降、インボイスを発行すれば、販売先にとって仕入れ税額の控除を受けられるようになります。登録申請を終えていれば、令和5年10月1日より前の期間でもインボイス発行できますが、令和5年9月30日時点では仕入税額控除の対象とはならないので注意しましょう。 インボイス制度開始前までにすべき準備を簡単に説明 課税事業者の場合 免税事業者の場合 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 課税事業者の場合 インボイス制度開始前までに、課税事業者がすべき準備について、説明します。 すべき主な準備として、以下3点があります。 ・現在使用の請求書に関して、インボイスに従った記載項目に変更する・インボイスと従来の請求書類など、制度開始前後の資料をしっかりと分けて管理する・電子帳簿保存法などに対応した帳票系のシステムを利用している場合、インボイスの要件を満たせるように仕様変更する 免税事業者の場合 インボイス制度開始前までに、免税事業者がすべき準備について説明します。 小規模事業者や個人事業主、フリーランスが主に該当する免税事業者は、「インボイス制度開始後に課税事業者になるかどうか」の選択検討が必要です。 免税事業者のままでは、適格請求書発行事業者になれず、インボイスの発行ができないという問題があります。 免税事業者はこれまで売上高が1,000万円に満たない場合において、消費税の納税が免除されていましたが、インボイス制度が開始されたら、インボイスが発行できなくなり、6年の経過措置期間はあるものの、やがて免除されなくなるでしょう。 免税事業者は申請を出せば、課税事業者となることも可能です。課税事業者の申請手続きと共に、販売先にインボイスを発行できるように、インボイス制度の登録申請を済ませておくことをおすすめします。 まとめ 本記事では、インボイス制度について簡単に解説しました。消費税の仕入税額控除の方式として、令和5年10月1日から、いよいよインボイス制度がスタートします。制度導入後は、事前に登録申請した事業者だけがインボイス発行できるようになり、控除対象となります。 制度にしっかりと対応するためにも、本記事に記載したインボイス制度の概要、開始後の影響、スケジュールをしっかりと理解しておきましょう。

  • インボイス制度後の請求書の書き方を徹底解説!登録申請書や意識すべきポイントも詳しく紹介

    インボイス制度後の請求書の書き方を徹底解説!登録申請書や意識すべきポイントも詳しく紹介

    インボイス制度後の請求書の書き方を、早い段階で知っておきたいと考えるご担当者も多いかと思います。登録申請書を提出すれば、制度適用後の書き方で書いても問題ないとされているので、早期段階で書き方をおさえておくと、制度開始後もスムーズに切り替えができるでしょう。 そこで本記事では、インボイス制度開始後の請求書の具体的な書き方・制度開始前との書き方の違い・登録申請書の書き方・ポイントについて詳しく解説していきます。 インボイス制度開始後の請求書の書き方 まずは、インボイス制度開始後の請求書の書き方について、以下2つを説明します。 適格請求書 適格簡易請求書(製造業用) それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 適格請求書 インボイス制度の適格請求書の書き方について説明します。 取引先などに送る適格請求書の様式・書式は、法令などで定められていません。デジタルや手書きの両方においても、以下必要事項が記載されたものであれば、適格請求書に該当します。 ①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号②取引年月日 ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率 ⑤税率ごとに区分した消費税額等 ⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 出典:適格請求書等保存方式の概要|国税庁 上記インボイス要件に加えて、従来の請求書に記載していた項目、品目・数量・単価・金額請求金額・発行者名と署名・取引先名なども記載が必要です。 インボイスに合わせて請求書のフォーマット・書式を決める際は、テンプレートを公開しているサイトなどを参考にしてみましょう。 適格簡易請求書(製造業用) インボイス制度の製造業用を例とした適格簡易請求書の書き方について説明します。 不特定多数の者に対して販売等を行う製造業や小売業、飲食店業などの場合には、適格請求書よりも簡単に作成できる、適格簡易請求書を交付することが可能です。 適格簡易請求書には、以下項目の記入が必要です。 ①適格請求書発行事業者の氏名または名称及び登録番号 ②取引年月日 ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ④税率ごとに区分した合計した対価の額(税抜き又は税込み) ⑤税率ごとに区分した消費税等又は適用税率 出典:適格請求書等保存方式の概要|国税庁 インボイス制度の開始前と開始後の書き方における違い インボイス制度の開始前と開始後の請求書の書き方における違いについて、説明します。 インボイス制度開始前と開始後では、請求書の書き方が異なります。インボイス制度開始後は、税金に関する情報を記載することが求められるため、請求書の書き方がより詳細になります。 インボイス制度が開始されると、請求書には以下項目を追加で記載する必要があります。 ・適格請求書発行事業者の登録番号・適用税率(8%や10%など)ごとの取引金額の合計額とその税率 税率ごとに区分した消費税額等の端数処理の際に、1円未満の端数が生じる場合、1つの適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理の計算が必要となるため注意しましょう。詳しくは国税庁が出している「適格請求書等保存方式の概要」を参考にしてみてください。 インボイス制度への登録申請書の書き方 インボイス制度への登録申請書の書き方について、以下4つを説明します。 ケースによって書き方が異なる 郵送提出の場合 e-Tax申請の場合 提出期限 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 ケースによって書き方が異なる インボイス制度に登録するための、登録申請書は、課税事業者になるタイミングなどによって書き方が異なります。 個人事業者や12月決算の法人が令和5年(2023年)中に申請する場合に対して、以下ケース毎の書き方を国税庁が発表しているので、自社ケースにあてはめて参考にしてみてください。 CASE1:令和5年(提出時)が課税事業者の方(個人事業者・12月決算の法人) CASE2:令和5年(提出時)が免税事業者で、令和5年10月1日に登録を受ける方(個人事業者・12月決算の法人) CASE3:令和5年(提出時)が免税事業者で、 令和5年10月2日~12月31日に登録を受ける方(個人事業者・12月決算の法人) CASE4:令和5年(提出時)が免税事業者の方(個人事業者・12月決算の法人)で、 令和6年が①課税事業者または②免税事業者で課税事業者選択届出書を提出し課税事業者になる方 CASE5:令和5年(提出時)・令和6年が免税事業者で、 令和6年1月1日~3月31日に登録を受ける方(個人事業者・12月決算の法人) 出典:登録申請書の書き方 フローチャート|国税庁 郵送提出の場合 インボイス制度に関する申請書等を書面で郵送提出する場合は、それぞれの納税地を管轄しているインボイス登録センターへ送付する必要があります。国税庁の以下サイトを参考に、自社の納税地を管轄するセンターに提出するようにしましょう。 参考:郵送による提出先のご案内|国税庁 インボイス登録センターが受領した後、記載した内容について電話などで連絡がくる場合もあります。 郵送時やインボイス制度で不明点が出てきた場合、インボイス登録センターではなく、インボイスコールセンターに問い合わせするようにしましょう。インボイス登録センターでは、インボイス制度に関する相談は受け付けていないため、質問をしても回答を得られません。 e-Tax申請の場合 e-Tax申請の場合は、スマホアプリでe-Taxソフト(SP版)をダウンロードする、もしくはPCでWebブラウザ経由からe-Taxソフト(WEB版)を使った方法で、申請できます。 e-Taxソフトを使うと、慣れないインボイス制度でも画面に沿って入力するため、まだ慣れないインボイス制度でも入力漏れもなく、スムーズな申請が可能です。 e-Tax申請の場合には、事前に以下を準備する必要があります。 法人の場合は商業登記認証局が発行する電子. 証明書等(個人事業主の場合はマイナンバーカード)利用者識別番号(マイナンバー登録時に発行されるがe-Taxで取得も可能) 提出期限 登録申請書の提出期限について説明します。 インボイス制度が始まるのは令和5年10月1日(2023/10/01)です。その日付から制度を利用したいと考えている事業者は令和5年3月31日(2023/3/31)までに、登録申請書の提出が必要、とチェックしておきましょう。 遅れた場合、制度導入開始日に間に合わない可能性があるため、注意しましょう。 インボイスの書き方で意識すべきポイント インボイスの書き方で意識すべきポイントについて、以下を解説します。 紙とデジタルそれぞれの差はない 枚数指定もない 制度開始前から始めても問題ない それでは、一つずつ見ていきましょう。 紙とデジタルそれぞれの差はない インボイスは、紙・デジタル媒体どちらの発行も認められています。メール送付・電子領収書なども含まれます。 印刷した書面とデジタルデータを併用することも、問題ありません。基本的にインボイスとして記載すべき内容が書いてあること、書類ごとの関連性を正確に確認できれば、インボイスとして認められます。 そのため、納品書は電子の領収書で、請求書は紙で交付することも可能です。 適格請求書に関わる電磁的記録と呼ばれているデジタルの場合、インボイスに記載した内容と同一の記載が必要です。制度対応後は記載項目が追加されていますので、内容に記載漏れのないようにしましょう。 枚数指定もない インボイスは枚数指定もありません。 請求書を提出する際は、必ずしも1枚の書類にする必要はなく、複数枚にまたがっても問題なしとされています。ただし、複数枚はそれぞれ書類同士の関連性を持たせるために識別できる情報の記載が必要です。 また、納品書には、取引の内容・税率ごとの区分取引金額の合計・消費税額の記載、請求書には納品書ごとに合計金額・登録番号の記載が必要となります。 制度開始前から始めても問題ない インボイスは、制度開始前から初めても問題ないとされています。 インボイスの登録申請は、令和3年10月1日から開始されているため、制度が始まる、令和5年10月よりも前からインボイスの交付ができるとされています。 そのため、今からインボイス制度に対応するフォーマットで請求書を作成しても、インボイス制度開始以前の請求書の記載事項を網羅しているため、既存取引への影響はありません。 まとめ 本記事では、インボイス制度開始後の請求書の書き方・制度開始前との書き方の違い・登録申請書の書き方・ポイントについて解説しました。令和5年10月1日より、インボイス制度がスタートしますが、インボイス交付は制度開始を待たずに今からでもすぐに始められます。制度が導入された後スムーズに対応できるように、登録申請を済ませて新しい書き方に慣れていくことをおすすめします。

  • インボイス制度と電子帳簿保存法の概念と関係を徹底解説!改定による影響と準備も紹介

    インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正というニュースを通じて「インボイス」や「電帳法」といった言葉を聞いたことがあっても、実際にその内容まで理解できていないという方も多いのではないでしょうか。 今回は、インボイス制度と電子帳簿保存法について、それぞれの概念と具体的な影響、制度への対応に向けた準備について解説をします。 インボイス制度と電子帳簿保存法とは まずは、インボイス制度と電子帳簿保存法について解説をしていきます。 インボイス制度の概要 インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」の通称で、インボイス(適格請求書)を用いることによって仕入税額控除を受けられる制度です。 国税庁が事前に許可を与えた適格請求書発行事業者だけが発行できるインボイスの中で、取引先が支払う消費税額を計算します。 インボイスには以下の内容を含む必要があります。 登録番号 適格請求書を発行する氏名または名称 取引年月日 取引内容 税率ごとに区分した消費税額 適格請求書の交付を受ける取引先の氏名または名称 また、事業者は販売時と仕入れ時に支払う消費税によって二重課税が発生します。この二重課税を避けるために、仕入税額控除という仕組みを使って消費税を計算します。 事業者が消費税を計算するときには仕入税額控除によって計算された金額を支払うことになります。 電子帳簿保存法の概要 電子帳簿保存法とは、電子化された帳簿類を法的に認めるための法律です。また、この法律は1998年に施行され、改正が重ねられてきましたが、2022年1月にも改正されています。 対象書類は、簿記帳簿・記録書類・証憑などが該当します。これらの帳簿類を電子で保存する場合は下記の要件を満たす必要があります。 完全性:情報が改ざんされていないことを証明できるか 可読性:読み取り可能か 再現性:復元時に元の情報と一致しているか 保存期間:書類別に定められた期間保存しているか 保存場所:一元管理やセキュリティ対策をしているか 2022年の改正点の概要を以下に3つ記載します。 税務署長の事前承認制度の廃止:事前承認がなくなることで実施工程を簡素化 適正事務処理要件の廃止:紙原本をスキャナ保存するときに1人で作業可能 検索要件の緩和:電子データ検索時の必要な項目を簡略化 インボイス制度と電子帳簿保存法との関係性 インボイス制度と電子帳簿保存法の関係性について紹介します。 インボイス制度は、インボイスの中で消費税額を計算し、帳簿に記載する制度です。インボイスを適切に保存・管理しておかないと仕入税額控を受けることができません。具体的には、制度に則った帳簿や請求書などを保管しておく必要があります。 一方、電子帳簿保存法は、事業者が帳簿類を電子化して保存するときに、どのような要件を満たす必要があるかを定めた法律です。電子帳簿保存法により、事業者は電子帳簿の作成・保存によって、紙帳簿と同等の証憑力を持つことができます。 インボイス制度と電子帳簿保存法はお互いに関係する制度です。電子帳簿保存法の要件に沿って電子化を行い、適切に管理をすることで、インボイス制度の適切な運用が可能になります。 インボイス制度と電子帳簿保存法による影響 次に、インボイス制度と電子帳簿保存法による影響について解説します。 インボイス制度による影響 インボイス制度の実施は、普段作成する請求書に影響を与えます。 インボイス制度以前の請求書は「区分記載請求書」という書類でしたが、インボイス制度導入に伴い「適格請求書」へと変更になり、請求書の記載事項が変わります。 具体的には、適格請求書になることで 「適格請求書を発行する事業者の登録番号」 「税率ごとの消費税額」 を新たに追記する必要があります。 また、その他の変更点として、消費税額の算出方法が選べることも挙げられます。 以前は、年間の総売上に対して消費税を計算する「割戻し計算」だけが認められていました。しかし、インボイス制度によって売上が発生するたびに消費税を計算する「積上げ計算」を選択することも可能になりました。 電子帳簿保存法による影響 電子帳簿保存法改正の主な影響は、帳票類をデータ保存して管理しなければならなくなったことです。 ただし、2022年の改正で電子データの保存要件が緩和され、電子データの保存がしやすくなっています。 一方で、スキャナ保存したデータに不正があった場合には加重措置が課されることになります。具体的には、隠蔽、仮装、それらの申告漏れがあった場合に10%加重されることになります。 電子データの保存はしやすくなっても、管理は注意して行う必要があります。 インボイス制度と電子帳簿保存法に対応するための準備 インボイス制度と電子帳簿保存法に対応するための準備について解説します。 新しい制度に対する社内教育 1つ目は、新しい制度に対する社内教育です。 インボイス制度や電子帳簿保存法は、帳簿に関することなので経営者や経理担当者のみが知っていればよいという訳ではありません。 たとえば、営業担当者が顧客と請求書のやり取りをする場合、どのように事務処理を進めるのか理解しておかないと余計な時間を取ることになってしまうかもしれません。 社内教育をしっかりと行うことで、新しい制度への理解を深めておくことが重要です。 証憑書類管理システムの導入 2つ目は、証憑書類管理システムの導入です。 証憑書類管理システムの導入により、インボイスに必要な項目が記載されているか、保存要件に不備がないかといったことまで一元管理することが可能になります。 システム導入によって作業が効率化され、工数削減や証憑書類関係の業務の属人性の解消にもつながります。 まとめ 本記事ではインボイス制度と電子帳簿保存法の概要や影響、それらに対応するための準備について解説してきました。 インボイス制度や電子帳簿保存法は電子データでの証憑書類の保存や運用方法を定めた法律であり、電子化の流れが加速しています。 社内の書類が電子データになることで便利になり、生産性が高まる期待もあります。企業はそれらの法整備に対応できるように準備をすることが必要です。 本記事も参考に、インボイス制度や電子帳簿保存法についての対応を検討しましょう。

  • インボイス制度の問題点を徹底解説!解決方法・押さえておきたい負担軽減措置も詳しく紹介

    インボイス制度の問題点を徹底解説!解決方法・押さえておきたい負担軽減措置も詳しく紹介

    インボイス制度の問題点を徹底解説!解決方法・押さえておきたい負担軽減措置も詳しく紹介 インボイス制度が始まる前に問題点への対策を打っておきたい、と考える担当者もいるでしょう。インボイス制度を適切に利用開始すればメリットを得られるものの、取引先が制度加入していない場合、適切な控除を得られない可能性もあります。制度開始に合わせて社内体制を整備しなければ、経理担当者の負担が増えてしまいます。そのような事態が発生しないためにも、問題点を早期に把握して、対策を打つことが大切です。 そこで本記事では、インボイス制度の問題点と解決方法、押さえておくべき負担軽減措置について詳しく解説します。 インボイス制度の問題点とは まずは、インボイス制度の問題点について、以下4点を説明します。 仕入れ税額控除減額の可能性 経理担当者の負担増の可能性 取引が継続されない可能性 請求書の様式変更 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 仕入れ税額控除減額の可能性 1つ目の問題点は、仕入れ税額控除減額の可能性です。 仕入れ税額控除減額とは、仕入れた商品やサービスにかかった消費税を、自社で支払った消費税から差し引いて納税する仕組みです。消費税の二重課税を解消できる、という特徴があります。 インボイス制度開始後、売り手となる取引先がインボイス制度に加入していない場合、買い手は仕入税額控除が減額されます。免税事業者に支払った消費税は、税務署からは支払ったと認められないため、自社がわざわざ納付しなければなりません。 経理担当者の負担増の可能性 2つ目の問題点は、経理担当者の負担増の可能性です。 インボイス制度導入開始後は、免税事業者となる取引先が、インボイス制度に加入しているか、そうでないかが分かれます。そのため、買い手側の経理担当者は、それぞれの企業に合わせた対応が必要です。 仕入れ税額控除率も異なり、取引ごとに税額計算を行う積上げ計算も加わるため、それぞれのインボイス(適格請求書)を区別して管理する必要があるでしょう。 インボイス制度開始後は、請求書を受け取って処理する経理担当者の請求書業務の負担も増える可能性が高く、制度開始に備えて体制を整えておく必要があります。 取引が継続されない可能性 3つ目の問題点は、取引が継続されない可能性です。 売り手側がインボイス制度に加入していない場合、買い手にとっては「取引先の仕入れ税額控除が減額されてしまう」というデメリットがあります。買い手の中には「インボイス制度に加入していない企業とは今後の取引を見直したい」と判断し、取引を継続されない可能性が高まるでしょう。 そのため、インボイス制度に加入しない免税事業者(売り手)は、インボイス制度開始後取引先が減り、売上も減少してしまうかもしれません。 請求書の様式変更 4つ目の問題点は、請求書の様式変更です。 インボイス制度開始後、売手側は従来の請求書の様式に対して、以下の記載事項を追加して発行する必要があります。 ①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号②取引年月日③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率⑤税率ごとに区分した消費税額等⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 出典:適格請求書等保存方式の概要|国税庁 上記対応のためには、請求書や請求書まわりの帳票(納品書・検収書)などを管理する、基幹システム・帳票システムなどへの対応が必要です。 請求書一つの様式を変更するだけでも、データ生成方法や項目定義、帳票定義の仕様変更など、さまざまなシステムの変更対応をしなければなりません。 経理部門、システムを担当するバックオフィス部門などに、インボイス対応による仕事の負担がかかる可能性もあります。 インボイス制度の問題点の解決方法 インボイス制度の問題点の解決方法について、以下2点を説明します。 売手側の対応 買手側の対応 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 売手側の対応 1つ目は、売手側の対応です。 インボイス制度開始後、要件が満たされた適格請求書をスムーズに発行するためにも、売り手は早い段階で、インボイス制度への登録申請などの手続きを進めておく必要があります。 場合によっては免税事業者から課税事業者への変更対応が必要なケースもあるでしょう。請求書のフォーマット対応や、基幹システム側で項目変更など対応に追われないためにも、余裕を持った期間設定が大切です。 買手側の対応 2つ目は、買手側の対応です。 社内で経理事務を担当する方は、インボイス制度の問題点に備えた対応が必要となります。 たとえば、消費税額の計算方法に関して従来の割り戻し計算ではなく、売上で発生した消費税の金額を都度足す「積上げ計算」を理解しておくことが重要です。 中小企業の場合、売上に係る消費税額から、消費税の納税額を簡単に算出できる「簡易課税制度」の適用も検討しましょう。対象となる課税事業者なら任意で選択でき、経理事務の負担も軽減できる可能性があります。 また、免税事業者と課税事業者から発行される請求書の区分・管理も必要です。請求業務のワークフローの見直しも検討することで、業務効率化を図りましょう。 インボイス制度開始後は、取引先が課税事業者ではない場合、仕入れ税額控除減額の恐れもあります。取引相手が免税事業者か課税事業者かを確認し、今後も継続するべきかを見極めていきましょう。 インボイス制度で問題点を見つけた時に押さえたい負担軽減措置とは インボイス制度で問題点を見つけた時に押さえたい負担軽減措置について、以下4点を説明します。 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例) 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例) 少額な返還インボイスの交付義務免除 登録制度の見直しと手続の柔軟化 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例) 小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)とは、インボイス制度開始を機に、免税事業者から課税事業者(インボイス発行事業者)となった小規模事業者に対して、税負担が増えることを防ぐために設けられた控除制度です。 インボイス制度は、小規模事業者や個人事業主・フリーランスにとって、請求書の内容記録や報告負担が重く、導入に踏み切れない場合もあるでしょう。 2割特例を適用可能な小規模事業者は、売上税額の2割を納税額とできるため、納税義務の負担が重いと感じている事業者にとって大きなメリットです。 ただし、この特例は小規模事業者に限られており、補助上限が設けられています。 また、2割特例の期間は、2023年(令和5年)10月1日〜2029年(令和11年)9月30日までの間と限定されています。 したがって、小規模事業者はその期間の間、インボイス制度を導入するために体制などを整えておくといいでしょう。インボイス発行事業者登録を受けていないと、2割特例の対象となりませんので、注意しましょう。 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例) 一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)とは、前々年・前々事業年度となる基準期間において、課税売上高が1億円以下、かつ当該課税仕入れに係る支払対価よの額が、1万円未満の場合に適用される仕組みです。 一定の事項が記載された帳簿を保存しておけば、インボイス制度の開始から6年間、仕入税額控除を受けることが可能です。 この制度により、2023年10月1日〜2029年9月30日までの間は、インボイスとして保存しなくとも、国内の課税仕入れに関しても仕入れ額控除を認められるでしょう。 少額な返還インボイスの交付義務免除 少額な返還インボイスの交付義務免除とは、一定金額以下の返品・値引き・割戻しなどを対象に、売上の返還に関して、返還インボイス交付義務が免除される、という制度です。 インボイス制度では、商品などの返品・値引きにおいて売上の一部返還を行う際、適格返還請求書となる返還インボイスを、別途交付する必要がありました。インボイス制度の改正により、税込1万円未満の値引き等については、返還インボイスの交付不要と定められています。 登録制度の見直しと手続の柔軟化 インボイス制度導入にあたり、登録制度の見直し・手続きの柔軟化が行われています。 適格請求書を発行するためには、当初2023年3月31日までが登録期限とされ、その日までに登録申請書を提出する必要がありました。しかし、登録制度の見直しにより、2023年9月30日まで、期限が延長されることとなりました。 この見直しにより、これから導入を検討する企業も増えています。またインボイス制度は多くの企業にとって簡単で使いやすい制度になるのではと、期待が高まっています。 まとめ 本記事では、インボイス制度の問題点とその解決方法、負担軽減措置について解説しました。 インボイス制度準備をしていないままでいると、自社に大きな影響をもたらしてしまうかもしれません。インボイス制度を円滑に進めるためにも、制度開始前に既知の問題点を把握し、請求書等関連システムの仕様変更や体制強化が大切です。インボイス制度は2023年10月1日よりスタートします。制度開始に合わせて、しっかりと準備を整えていきましょう。

  • インボイス制度を簡単にわかりやすく解説!開始後の影響から必要な準備までまとめて紹介

    インボイス制度を簡単にわかりやすく解説!開始後の影響から必要な準備までまとめて紹介

    令和5年10月1日から、インボイス制度が開始されます。まだ制度についてよくわからない、難しそうと考えている方も多いのではないでしょうか。普段、請求書・納品書などの帳票のやり取りが発生している事業者にとって、インボイス制度を利用すれば消費税の仕入税額控除を受けられるなどの大きなメリットがあると言えます。 そこで本記事では、インボイス制度とは何かを簡単に解説するとともに、開始後の影響、する・しないそれぞれのケース影響、スケジュールと必要な準備についても触れていきます。 インボイス制度とは?簡単に解説 まずは、インボイス制度とは何か簡単に解説するために、以下4点を説明します。 概要 目的 開始時期 やらないとどうなる? それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 概要 インボイス制度とは、商品やサービスを購入する際に、購入証明書となるインボイスを受け取ることによって、税金の申告や控除をする制度を指します。適格請求書等保存方式とも呼ばれます。 適格請求書(インボイス)と呼ばれる、一定の要件を満たす請求書をやり取りすることで、インボイスを受け取った企業・個人(購入者)は、自分が支払った税金を申告して控除を受けられるというメリットがあります。一方、販売者は、自社が発行したインボイスをもとに税金を申告し、納付することが求められます。 インボイス制度を開始すれば、税金の申告や控除がスムーズに行われるため、企業や個人にとって有益な制度といえるでしょう。 目的 インボイス制度の主な目的は、税金の申告や控除をスムーズ、かつ正確に行うことです。 買い手は、自社が支払った金額を申告して税金を控除し、税金の支払いを軽減できます。売り手は、インボイスを元に税金を正確に申告・納付できるようになります。インボイスを発行して、売上税にかかった税金を申告・納付できるため、税金の適正な徴収を行えます。 また、税務署などは不正なインボイスの発行や使用を厳重に禁止することも可能です。インボイス制度は、税関機関が管理しています。インボイスによって適正な税金の支払いが行われるようになるため、税関機関にとっても、取引の正確な消費税額と消費税率を把握でき、税金の徴収を適正に行えるといえます。 開始時期 インボイス制度は、令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式として開始されます。制度開始後、インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者に限定されます。 適格請求書発行事業者になりインボイスを発行するためには、登録申請書を提出して登録を受ける必要があります。令和5年10月1日の制度開始から発行したいと考えている場合は、原則として令和5年3月31日までに登録が必要なため注意しましょう。 やらないとどうなる? インボイス制度をやらない場合、どうなるのかについて説明します。 インボイスを発行されない買い手は、原則として消費税の仕入税額控除ができないため、税額が増える可能性があります。 売り手はインボイス制度に登録申請しなければ、インボイスを発行することができません。買い手にとっても税率が上がるなどデメリットしかないため、今後の取引を解除される理由になるかもしれません。 インボイス制度に登録しないことで、買い手・売り手どちらにも大きな影響を与えるでしょう。 簡単にわかるインボイス制度に欠かせない消費税の仕入税額控除とは インボイス制度に欠かせない、消費税の仕入税額控除について、説明します。 消費税の仕入税額控除とは、企業が仕入れた商品やサービスにかかった消費税を、自社で発生する消費税に対して、控除することを指します。 具体的には、課税事業者にとって、自社が納税すべき消費税を計算する際、売上に紐づく消費税から仕入に紐づく消費税を差し引いて計算することです。従来に比べて、消費税の二重課税を解消できる計算方法が可能となります。 従来の制度では、仕入税額控除の適用を受けるためには、企業は仕入れの事実を記載した請求書・帳簿を保存することが求められていました。今後はインボイスを元に、企業が購入した商品やサービスにかかった消費税に関して、自社商品・サービスの売上税の一部である消費税を控除できるようになります。 これにより企業にとっても、販売する商品やサービスにかかる消費税の金額を減らし、経営の負担を軽減できるでしょう。 インボイス制度開始後の影響を簡単に説明 インボイス制度開始後の影響について、以下2点を説明します。 課税事業者の場合 免税事業者の場合 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 課税事業者の場合 インボイス制度開始後の課税事業者への影響について、説明していきます。 課税事業者は、仕入れ先から発行されるインボイスを元に、仕入にかかった消費税額を控除できるようになります。インボイスを入手できなかった場合は、自社の消費税額が増加する可能性もあるかもしれません。簡易課税制度を選択した場合は税負担が増加しない場合もありますが、仕入れ先がインボイス制度に登録しているかどうか、注意すべきでしょう。 免税事業者の場合 インボイス制度開始後の免税事業者の影響について、説明していきます。 免税事業者は、課税事業者の申請を済ませてインボイス制度に登録申請すれば、インボイスを発行できます。そのため、販売先の企業にとっても消費税額の控除が可能です。 課税事業者に登録申請しない場合は、インボイスを交付できず、販売先も仕入税額の控除ができません。6年間の経過措置期間はあるものの、販売先にとっては今後税負担が増加することを懸念して、今後の取引を見直されるかもしれません。 インボイス制度を利用する場合は、課税事業者への申請・インボイス制度への登録申請が必要となりますので国税庁のWebサイトを参考に手順などをしっかりと確認しておきましょう。 参考:[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁 インボイス制度に登録する・しない?それぞれのケースを簡単に説明 ここまで、インボイス制度の概要と、開始後の影響について解説しました。それでは、インボイス制度に登録する・しないでは何が異なるのでしょうか。ここからはそれぞれのケースについて説明していきます。 登録した場合 登録しなかった場合 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 登録した場合 インボイス制度に登録した場合、販売先は仕入れ税額控除が可能となります。減税率も上がる可能性もあり、メリットが大きいと言えるでしょう。今後も販売先からの取引が継続できる可能性も高いです 自社にとっては、インボイスを元にした消費税の申告・納付の手続きが必要となり、納税担当者にとって負担が増える傾向にあるため、制度開始後慌てないように、事前準備が大切です。 登録しなかった場合 インボイス制度に登録しなかった場合、自社の経理業務など納税担当者への負担に関しては、現行と変わりません。 しかし、販売した相手先は消費税の仕入税額控除を受けることができません。販売先は、自社の税負担が増加してしまうかもしれません。インボイスを発行してもらえないならば取引を見直したいと言われて、今後の案件を獲得できなくなる可能性もあります。そのため、企業の今後の収益に大きな影響を及ぼしてしまうかもしれません。 インボイス制度のスケジュールを簡単に説明 インボイス制度のスケジュールについて、以下2点を説明します。 登録申請 導入開始 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 登録申請 インボイスを発行するためには、まずはインボイス制度への登録申請をする必要があります。登録申請手続きは、令和3年10月1日から既に始まっており、登録申請手続きを終えた企業は制度が始まらなくても、登録番号・適用税率・消費税額などの項目を追加したインボイスを発行できるようになります。 現在登録申請をしておらず、令和5年10月1日からインボイスを発行したいと考えている事業者は原則として、令和5年3月31日までに登録申請手続きを済ませることが必要です。 導入開始 インボイスの制度が始まるのは、令和5年10月1日からです。それ以降の取引で、取引先が希望した場合には、インボイスを発行することが義務付けられます。 令和5年10月1日以降、インボイスを発行すれば、販売先にとって仕入れ税額の控除を受けられるようになります。登録申請を終えていれば、令和5年10月1日より前の期間でもインボイス発行できますが、令和5年9月30日時点では仕入税額控除の対象とはならないので注意しましょう。 インボイス制度開始前までにすべき準備を簡単に説明 課税事業者の場合 免税事業者の場合 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 課税事業者の場合 インボイス制度開始前までに、課税事業者がすべき準備について、説明します。 すべき主な準備として、以下3点があります。 ・現在使用の請求書に関して、インボイスに従った記載項目に変更する・インボイスと従来の請求書類など、制度開始前後の資料をしっかりと分けて管理する・電子帳簿保存法などに対応した帳票系のシステムを利用している場合、インボイスの要件を満たせるように仕様変更する 免税事業者の場合 インボイス制度開始前までに、免税事業者がすべき準備について説明します。 小規模事業者や個人事業主、フリーランスが主に該当する免税事業者は、「インボイス制度開始後に課税事業者になるかどうか」の選択検討が必要です。 免税事業者のままでは、適格請求書発行事業者になれず、インボイスの発行ができないという問題があります。 免税事業者はこれまで売上高が1,000万円に満たない場合において、消費税の納税が免除されていましたが、インボイス制度が開始されたら、インボイスが発行できなくなり、6年の経過措置期間はあるものの、やがて免除されなくなるでしょう。 免税事業者は申請を出せば、課税事業者となることも可能です。課税事業者の申請手続きと共に、販売先にインボイスを発行できるように、インボイス制度の登録申請を済ませておくことをおすすめします。 まとめ 本記事では、インボイス制度について簡単に解説しました。消費税の仕入税額控除の方式として、令和5年10月1日から、いよいよインボイス制度がスタートします。制度導入後は、事前に登録申請した事業者だけがインボイス発行できるようになり、控除対象となります。 制度にしっかりと対応するためにも、本記事に記載したインボイス制度の概要、開始後の影響、スケジュールをしっかりと理解しておきましょう。

  • インボイス制度後の請求書の書き方を徹底解説!登録申請書や意識すべきポイントも詳しく紹介

    インボイス制度後の請求書の書き方を徹底解説!登録申請書や意識すべきポイントも詳しく紹介

    インボイス制度後の請求書の書き方を、早い段階で知っておきたいと考えるご担当者も多いかと思います。登録申請書を提出すれば、制度適用後の書き方で書いても問題ないとされているので、早期段階で書き方をおさえておくと、制度開始後もスムーズに切り替えができるでしょう。 そこで本記事では、インボイス制度開始後の請求書の具体的な書き方・制度開始前との書き方の違い・登録申請書の書き方・ポイントについて詳しく解説していきます。 インボイス制度開始後の請求書の書き方 まずは、インボイス制度開始後の請求書の書き方について、以下2つを説明します。 適格請求書 適格簡易請求書(製造業用) それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 適格請求書 インボイス制度の適格請求書の書き方について説明します。 取引先などに送る適格請求書の様式・書式は、法令などで定められていません。デジタルや手書きの両方においても、以下必要事項が記載されたものであれば、適格請求書に該当します。 ①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号②取引年月日 ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率 ⑤税率ごとに区分した消費税額等 ⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 出典:適格請求書等保存方式の概要|国税庁 上記インボイス要件に加えて、従来の請求書に記載していた項目、品目・数量・単価・金額請求金額・発行者名と署名・取引先名なども記載が必要です。 インボイスに合わせて請求書のフォーマット・書式を決める際は、テンプレートを公開しているサイトなどを参考にしてみましょう。 適格簡易請求書(製造業用) インボイス制度の製造業用を例とした適格簡易請求書の書き方について説明します。 不特定多数の者に対して販売等を行う製造業や小売業、飲食店業などの場合には、適格請求書よりも簡単に作成できる、適格簡易請求書を交付することが可能です。 適格簡易請求書には、以下項目の記入が必要です。 ①適格請求書発行事業者の氏名または名称及び登録番号 ②取引年月日 ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ④税率ごとに区分した合計した対価の額(税抜き又は税込み) ⑤税率ごとに区分した消費税等又は適用税率 出典:適格請求書等保存方式の概要|国税庁 インボイス制度の開始前と開始後の書き方における違い インボイス制度の開始前と開始後の請求書の書き方における違いについて、説明します。 インボイス制度開始前と開始後では、請求書の書き方が異なります。インボイス制度開始後は、税金に関する情報を記載することが求められるため、請求書の書き方がより詳細になります。 インボイス制度が開始されると、請求書には以下項目を追加で記載する必要があります。 ・適格請求書発行事業者の登録番号・適用税率(8%や10%など)ごとの取引金額の合計額とその税率 税率ごとに区分した消費税額等の端数処理の際に、1円未満の端数が生じる場合、1つの適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理の計算が必要となるため注意しましょう。詳しくは国税庁が出している「適格請求書等保存方式の概要」を参考にしてみてください。 インボイス制度への登録申請書の書き方 インボイス制度への登録申請書の書き方について、以下4つを説明します。 ケースによって書き方が異なる 郵送提出の場合 e-Tax申請の場合 提出期限 それぞれ、一つずつ見ていきましょう。 ケースによって書き方が異なる インボイス制度に登録するための、登録申請書は、課税事業者になるタイミングなどによって書き方が異なります。 個人事業者や12月決算の法人が令和5年(2023年)中に申請する場合に対して、以下ケース毎の書き方を国税庁が発表しているので、自社ケースにあてはめて参考にしてみてください。 CASE1:令和5年(提出時)が課税事業者の方(個人事業者・12月決算の法人) CASE2:令和5年(提出時)が免税事業者で、令和5年10月1日に登録を受ける方(個人事業者・12月決算の法人) CASE3:令和5年(提出時)が免税事業者で、 令和5年10月2日~12月31日に登録を受ける方(個人事業者・12月決算の法人) CASE4:令和5年(提出時)が免税事業者の方(個人事業者・12月決算の法人)で、 令和6年が①課税事業者または②免税事業者で課税事業者選択届出書を提出し課税事業者になる方 CASE5:令和5年(提出時)・令和6年が免税事業者で、 令和6年1月1日~3月31日に登録を受ける方(個人事業者・12月決算の法人) 出典:登録申請書の書き方 フローチャート|国税庁 郵送提出の場合 インボイス制度に関する申請書等を書面で郵送提出する場合は、それぞれの納税地を管轄しているインボイス登録センターへ送付する必要があります。国税庁の以下サイトを参考に、自社の納税地を管轄するセンターに提出するようにしましょう。 参考:郵送による提出先のご案内|国税庁 インボイス登録センターが受領した後、記載した内容について電話などで連絡がくる場合もあります。 郵送時やインボイス制度で不明点が出てきた場合、インボイス登録センターではなく、インボイスコールセンターに問い合わせするようにしましょう。インボイス登録センターでは、インボイス制度に関する相談は受け付けていないため、質問をしても回答を得られません。 e-Tax申請の場合 e-Tax申請の場合は、スマホアプリでe-Taxソフト(SP版)をダウンロードする、もしくはPCでWebブラウザ経由からe-Taxソフト(WEB版)を使った方法で、申請できます。 e-Taxソフトを使うと、慣れないインボイス制度でも画面に沿って入力するため、まだ慣れないインボイス制度でも入力漏れもなく、スムーズな申請が可能です。 e-Tax申請の場合には、事前に以下を準備する必要があります。 法人の場合は商業登記認証局が発行する電子. 証明書等(個人事業主の場合はマイナンバーカード)利用者識別番号(マイナンバー登録時に発行されるがe-Taxで取得も可能) 提出期限 登録申請書の提出期限について説明します。 インボイス制度が始まるのは令和5年10月1日(2023/10/01)です。その日付から制度を利用したいと考えている事業者は令和5年3月31日(2023/3/31)までに、登録申請書の提出が必要、とチェックしておきましょう。 遅れた場合、制度導入開始日に間に合わない可能性があるため、注意しましょう。 インボイスの書き方で意識すべきポイント インボイスの書き方で意識すべきポイントについて、以下を解説します。 紙とデジタルそれぞれの差はない 枚数指定もない 制度開始前から始めても問題ない それでは、一つずつ見ていきましょう。 紙とデジタルそれぞれの差はない インボイスは、紙・デジタル媒体どちらの発行も認められています。メール送付・電子領収書なども含まれます。 印刷した書面とデジタルデータを併用することも、問題ありません。基本的にインボイスとして記載すべき内容が書いてあること、書類ごとの関連性を正確に確認できれば、インボイスとして認められます。 そのため、納品書は電子の領収書で、請求書は紙で交付することも可能です。 適格請求書に関わる電磁的記録と呼ばれているデジタルの場合、インボイスに記載した内容と同一の記載が必要です。制度対応後は記載項目が追加されていますので、内容に記載漏れのないようにしましょう。 枚数指定もない インボイスは枚数指定もありません。 請求書を提出する際は、必ずしも1枚の書類にする必要はなく、複数枚にまたがっても問題なしとされています。ただし、複数枚はそれぞれ書類同士の関連性を持たせるために識別できる情報の記載が必要です。 また、納品書には、取引の内容・税率ごとの区分取引金額の合計・消費税額の記載、請求書には納品書ごとに合計金額・登録番号の記載が必要となります。 制度開始前から始めても問題ない インボイスは、制度開始前から初めても問題ないとされています。 インボイスの登録申請は、令和3年10月1日から開始されているため、制度が始まる、令和5年10月よりも前からインボイスの交付ができるとされています。 そのため、今からインボイス制度に対応するフォーマットで請求書を作成しても、インボイス制度開始以前の請求書の記載事項を網羅しているため、既存取引への影響はありません。 まとめ 本記事では、インボイス制度開始後の請求書の書き方・制度開始前との書き方の違い・登録申請書の書き方・ポイントについて解説しました。令和5年10月1日より、インボイス制度がスタートしますが、インボイス交付は制度開始を待たずに今からでもすぐに始められます。制度が導入された後スムーズに対応できるように、登録申請を済ませて新しい書き方に慣れていくことをおすすめします。