ticker
【金属加工 Mitsuri】見積から発注までWEB完結!
金属を使った製品の製造において、板材を曲げたり切断したりする「板金加工」は欠かせない金属の加工方法です。その中でも、板材にシャフトやケーブルを通したり、ネジで締め付けたりするような構造が必要となる場合があります。 その中でも薄い板に穴を開ける方法のひとつとして「抜き加工」があります。今回は、板金加工において、薄い板材に穴を開ける代表的な加工方法、抜き加工について解説していきます。抜き加工の種類や適した材料、やり方などの基礎知識、必要とされる板材の厚さによっても加工方法が異なるため、条件やメリットなども含めて詳しくご紹介します。 板金加工の抜き加工とは? 板金加工における抜き加工は、一般的に金属の板材をせん断することを言います。 プレス、レーザー、ワイヤーカットなど、用いられる方法はさまざまですが、丸型や角型の板材を、汎用的な金型を使って特定の形状にせん断する、タレパンと呼ばれるタレットパンチプレス機が最もポピュラーな抜き加工の方法です。 複雑な形状や高い精度が要求される場合、専用型が用いられる場合もありますが、こちらは汎用型に比べてコストが高くなります。また、同じ抜き加工でもタレパンとレーザーとでは加工の定義や方法が大きく異なるため、今回は板金加工における抜き加工の代表的な方法、タレパンを使った抜き加工についてご紹介します。 抜き加工の種類 抜き加工には、大きく分けて5種類の加工方法があります。また、抜き加工は製品が圧力を受けてせん断されるため、板材は押し込まれる時に多少曲がり、引っ張られたような形状になります。 ●打ち抜き加工…板材から部品になる部分をくり抜く ●穴抜き加工…製品から不要な部分を切り抜く ●切り込み(スリット)加工…製品を繋がったままにして切り込みを入れる ●縁取り(トリミング)加工…製品の不要な部分を縁取る ●半抜き加工…完全に抜くのではなく、浮き上がらせた状態で止める 製品によっては穴抜きと半抜きを両方取り入れるなど、ひとつの製品に複数の抜き加工が施されることもあります。 打ち抜き加工 打ち抜き加工は、抜型と呼ばれる型を使い、金属板に圧力をかけて目的のカタチに打ち抜き、製品部分を完全に分離させる加工方法です。抜き加工といえば打ち抜き加工を想像する人も多く、最もポピュラーな加工方法です。 穴抜き加工 穴抜き加工は打ち抜き加工と同じく型枠を使って金属板をくり抜く加工方法です。異なるのは、打ち抜かれた方ではなく、プレス機に残った金属板が製品になるという点です。用途は製品にネジを通すための穴を開けるなど、板材に穴をあけることを目的に用いられます。 切り込み(スリット)加工 一部がドアのように開いた形状の製品を作る際に用いられる抜き加工です。切り込みに合わせて曲げ加工も必要となるため、金属板と平行のパンチを使うことはできません。そのため、スリットの角度に合わせたパンチとダイが一体となったものを使用するのが一般的です。 傾斜の角度や形状によって抜かれた部分が分離してしまう可能性があるため、加工の際には注意が必要です。 縁取り(トリミング)加工 型枠などで整形された部品の縁をきれいに切り取り、形状を整えるのが縁取り加工です。打ち抜き加工のように製品部分をくり抜くタイプの抜き加工ですが、大きく異なるのはすでに成形されている商品をキレイにするのが目的であること。一般的には、製品の大きさを調整するために用いられます。 半抜き加工 抜き加工を途中やめにして、凸状態の形状を作る加工方法です。他の抜き加工と違い、形状を変化させただけでくり抜いてはいませんが、凹凸をつけるだけの半抜き加工も、抜き加工のひとつに分類されます。 深くまでプレスし過ぎると板材が分断されたり亀裂が入ったりしてしまったりするため、きれいに成形できるかどうかが技術の見せ所となります。 抜き加工に適した材料 抜き加工には、鉄やアルミ、ステンレスや銅などの金属以外にも、ウレタンやゴム、樹脂やカーボンなどにも用いられます。一定の靭性がないと、製品はひび割れてしまいます。そのため、硬くてひび割れやすい、ガラスのような素材には抜き加工は使えません。 また、同じ形状の加工でも、やり方や得意不得意が加工会社によって異なるため、工場によって抜き方や製品単価などが変動することもあります。 抜き加工の加工限界 抜き加工に適した素材を使用していても、厚みが薄すぎるとうまく抜くことができません。逆に、厚過ぎる場合も同様で、曲げたりせん断したりすることが難しくなります。そのため、素材によっても異なりますが、一般的に抜き加工は0.5mm~3mmの素材が使用されます。 抜き加工の方法 抜き加工は、タレパンを使った最もポピュラーな加工と、それ以外の方法を使ったものの2種類に大別されます。どちらを選ぶかは、素材や目的、コストによっても異なります。 そのため、タレパンが適しているのはどのような場合か、以下解説します。 タレパンを使った抜き加工 タレパンを使うメリットは加工スピードの早さとコストの安さ。金型を使用するため、1回のプレスで複数個の穴を同時に打ち抜くことも可能です。 板材を打ち抜く際、型の取り方を工夫したり、異なる製品を同じ板材から打ちぬいたりすることで、材料を無駄なく活用することができます。 タレパンには複数の金型を同時にセットすることができ、NC制御によって板材を打ち抜いては次の工程へ送るという動作を繰り返すことができます。これにより、ひとつのプレス機で複数の抜き加工を施し、金属加工を完成させることが可能です。 タレパンの種類と選び方 タレパンには、「単発型」「トランスファー型」「順送型」の3種類があります。 ●単発型 単発型は、単純に1回のプレスで抜き加工をした後、作業者が1つずつ材料の取り出しと次の材料のセットを行う、最も単純で手間の多い方法です。ただし、手間はかかるものの、金型の修理や改造がしやすいメリットもあるため、製品の試作段階で用いられるのはほとんどが単発型です。 数百、数千といったレベルの製品個数であれば、単発型でも十分対応が可能です。また、1個や2個といった少量生産の場合、レーザーを使った加工の方がコスパが良い可能性があります。 ●トランスファー型 トランスファー型は、1つのプレスが終わったら次のプレス機へ、さらにその次のプレス機へと加工品を移動させていくタイプの加工方法です。 ●順送型 順送型は、1台のプレス機に複数の金型をセットし、プレス機の上下動で、1回目はAの型枠を使用して穴を開け、次の型枠に送って2回目は凹凸を作り、3回目にくり抜くといったカタチで、同じプレス機を使い、連続したプレスによって製品を作り出す加工方法です。 どちらも生産速度が早く、数万個、数十万個といった大量生産にも問題なく対応が可能です。
クリーンカットは、ステンレスの切断によく選ばれるレーザー加工法の一つで、特に美しい仕上がりにしたい場合に用いられます。 もちろん、化学処理や研磨等でも表面を綺麗に仕上げることは可能です。しかし、この場合、工程が増えることで納期が長くなったりコストが高くなったりすることがあります。 「それなら、クリーンカットに対応している工場を知っているから、そこに頼もう・・・」 そう思っている方もいらっしゃるでしょう。 ですが、クリーンカットによる仕上がりは、工場の設備や技術、ノウハウによって大きく違います。 今回の記事では、Mitsuriで対応可能なクリーンカットについてご紹介していきます。 クリーンカットとは クリーンカットとは、金属をレーザーで切断加工するとき、アシストガスに窒素を使用する加工法で、窒素切断とも呼ばれます。 レーザー切断は、レーザー光を照射して金属を溶融させ、溶融金属をアシストガスで吹き飛ばして切断・穴あけ等を行う加工法です。一般的なレーザー切断機においては、アシストガスに、エアー(大気)や酸素を使います。しかし、被削材によっては切断面に酸化皮膜が発生し、見た目やその後の加工性を損なうことがあります。その酸化を抑制するため、アシストガスに不活性ガスの窒素を使用した工法がクリーンカットです。そのため、クリーンカットは無酸化切断ともいわれます。 ただし、窒素は酸素に比べれば高価なので、コストが高くなります。しかも、大気による酸化も防止する必要があるため、窒素の供給圧力は酸素の倍以上を要し、使用量は酸素に比べて数倍多くなります。 またクリーンカットでは、酸素を使う場合に比べて切断速度が遅くなるという欠点があります。それは窒素では、酸素の燃焼を促進する効果がなく、金属の溶融により時間がかかるからです。 参考記事 レーザー加工については以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。 ⇒【レーザー加工】板金加工におけるレーザー加工について専門家が徹底解説! クリーンカットの効果 クリーンカットによるレーザー加工の一番の効果は、切断面が酸化せず金属そのものが露出することです。金属の種類や加工技術によっては、金属色で輝き、映り込みが入るほど綺麗な切断面となります。 そのため表面仕上げを重要視することが多いステンレスでは、クリーンカットが頻繁に用いられます。ステンレスでは、アシストガスにエアーや酸素を使うと、切断面が黒く焼け焦げてしまうことがあります。 仕上げを考慮すると、ステンレスでは余計にコストがかかる可能性があることもクリーンカットが用いられる理由となっています。 切断後の溶接性から、クリーンカットはステンレスだけでなく鉄にも用いられることがあります。鉄やステンレスの酸化皮膜は融けにくいため、溶接する前に除去する必要があります。その手間やコストから、クリーンカットを選択する場合があるのです。 クリーンカットは、表面処理鋼鈑の切断加工に必要となる場合があります。表面処理鋼鈑では、酸素の使用により表面処理剤が燃焼し、煙が噴出するものがあります。この噴煙は、作業環境を悪くするだけでなく有害なこともあるので、酸素との反応を防止できるクリーンカットが必要となるのです。 クリーンカットの断面の美しさ事例 それでは、クリーンカットで切断面がどれほど美しくなるのか、事例を挙げてご紹介していきます。 下の写真をご覧ください。手前の断面がクリーンカットによるもので、金属色がそのまま表れているのが分かります。 引用元:株式会社ナガラ 次の写真では、クリーンカットで加工したものを左、一般的なレーザー加工によるものを右に配置して比較しています。 引用元:株式会社ナガラ 次の写真は、上の写真の断面を拡大したものです。 右の一般的なものでは、加工断面にバリが発生し、黒く変色しています。 一方、左のクリーンカットによる加工断面は、そのまま製品として使えるほどに綺麗です。 引用元:株式会社ナガラ クリーンカットでは、以下の写真のような複雑な切断加工も可能となっています。 引用元:イシダ製作所 引用元:鉄創庵 参考記事 ステンレスの加工例を以下の記事で豊富に載せていますのでご覧ください。 ⇒ステンレスのレーザー加工ならMitsuri!依頼先でお困りならご相談ください! まとめ クリーンカットとは何かというところから、その効果、また製品事例もご紹介しました。 クリーンカットは、レーザー加工に窒素を用い、切断面を酸化させることなく仕上げることができる方法です。しかし、酸素を使うレーザー加工と比較すると高コストで切断速度が遅いという欠点があります。 その効果としては切断面の美しさが挙げられますが、仕上げの工程も考慮すると結果的にコストが低くなることがあります。 また、クリーンカットの製品事例もご紹介しました。 このように美しい仕上がりやコストの低減が期待できるクリーンカットの依頼先でお悩みの方は、ぜひMitsuriにご相談ください。 Mitsuriは、日本全国に協力企業が140社以上ございます。そのため、レーザー加工を専門とし、クリーンカットに強みを持つ工場も多数ご紹介できます。 クリーンカットでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!
金属を使った製品の製造において、板材を曲げたり切断したりする「板金加工」は欠かせない金属の加工方法です。その中でも、板材にシャフトやケーブルを通したり、ネジで締め付けたりするような構造が必要となる場合があります。 その中でも薄い板に穴を開ける方法のひとつとして「抜き加工」があります。今回は、板金加工において、薄い板材に穴を開ける代表的な加工方法、抜き加工について解説していきます。抜き加工の種類や適した材料、やり方などの基礎知識、必要とされる板材の厚さによっても加工方法が異なるため、条件やメリットなども含めて詳しくご紹介します。 板金加工の抜き加工とは? 板金加工における抜き加工は、一般的に金属の板材をせん断することを言います。 プレス、レーザー、ワイヤーカットなど、用いられる方法はさまざまですが、丸型や角型の板材を、汎用的な金型を使って特定の形状にせん断する、タレパンと呼ばれるタレットパンチプレス機が最もポピュラーな抜き加工の方法です。 複雑な形状や高い精度が要求される場合、専用型が用いられる場合もありますが、こちらは汎用型に比べてコストが高くなります。また、同じ抜き加工でもタレパンとレーザーとでは加工の定義や方法が大きく異なるため、今回は板金加工における抜き加工の代表的な方法、タレパンを使った抜き加工についてご紹介します。 抜き加工の種類 抜き加工には、大きく分けて5種類の加工方法があります。また、抜き加工は製品が圧力を受けてせん断されるため、板材は押し込まれる時に多少曲がり、引っ張られたような形状になります。 ●打ち抜き加工…板材から部品になる部分をくり抜く ●穴抜き加工…製品から不要な部分を切り抜く ●切り込み(スリット)加工…製品を繋がったままにして切り込みを入れる ●縁取り(トリミング)加工…製品の不要な部分を縁取る ●半抜き加工…完全に抜くのではなく、浮き上がらせた状態で止める 製品によっては穴抜きと半抜きを両方取り入れるなど、ひとつの製品に複数の抜き加工が施されることもあります。 打ち抜き加工 打ち抜き加工は、抜型と呼ばれる型を使い、金属板に圧力をかけて目的のカタチに打ち抜き、製品部分を完全に分離させる加工方法です。抜き加工といえば打ち抜き加工を想像する人も多く、最もポピュラーな加工方法です。 穴抜き加工 穴抜き加工は打ち抜き加工と同じく型枠を使って金属板をくり抜く加工方法です。異なるのは、打ち抜かれた方ではなく、プレス機に残った金属板が製品になるという点です。用途は製品にネジを通すための穴を開けるなど、板材に穴をあけることを目的に用いられます。 切り込み(スリット)加工 一部がドアのように開いた形状の製品を作る際に用いられる抜き加工です。切り込みに合わせて曲げ加工も必要となるため、金属板と平行のパンチを使うことはできません。そのため、スリットの角度に合わせたパンチとダイが一体となったものを使用するのが一般的です。 傾斜の角度や形状によって抜かれた部分が分離してしまう可能性があるため、加工の際には注意が必要です。 縁取り(トリミング)加工 型枠などで整形された部品の縁をきれいに切り取り、形状を整えるのが縁取り加工です。打ち抜き加工のように製品部分をくり抜くタイプの抜き加工ですが、大きく異なるのはすでに成形されている商品をキレイにするのが目的であること。一般的には、製品の大きさを調整するために用いられます。 半抜き加工 抜き加工を途中やめにして、凸状態の形状を作る加工方法です。他の抜き加工と違い、形状を変化させただけでくり抜いてはいませんが、凹凸をつけるだけの半抜き加工も、抜き加工のひとつに分類されます。 深くまでプレスし過ぎると板材が分断されたり亀裂が入ったりしてしまったりするため、きれいに成形できるかどうかが技術の見せ所となります。 抜き加工に適した材料 抜き加工には、鉄やアルミ、ステンレスや銅などの金属以外にも、ウレタンやゴム、樹脂やカーボンなどにも用いられます。一定の靭性がないと、製品はひび割れてしまいます。そのため、硬くてひび割れやすい、ガラスのような素材には抜き加工は使えません。 また、同じ形状の加工でも、やり方や得意不得意が加工会社によって異なるため、工場によって抜き方や製品単価などが変動することもあります。 抜き加工の加工限界 抜き加工に適した素材を使用していても、厚みが薄すぎるとうまく抜くことができません。逆に、厚過ぎる場合も同様で、曲げたりせん断したりすることが難しくなります。そのため、素材によっても異なりますが、一般的に抜き加工は0.5mm~3mmの素材が使用されます。 抜き加工の方法 抜き加工は、タレパンを使った最もポピュラーな加工と、それ以外の方法を使ったものの2種類に大別されます。どちらを選ぶかは、素材や目的、コストによっても異なります。 そのため、タレパンが適しているのはどのような場合か、以下解説します。 タレパンを使った抜き加工 タレパンを使うメリットは加工スピードの早さとコストの安さ。金型を使用するため、1回のプレスで複数個の穴を同時に打ち抜くことも可能です。 板材を打ち抜く際、型の取り方を工夫したり、異なる製品を同じ板材から打ちぬいたりすることで、材料を無駄なく活用することができます。 タレパンには複数の金型を同時にセットすることができ、NC制御によって板材を打ち抜いては次の工程へ送るという動作を繰り返すことができます。これにより、ひとつのプレス機で複数の抜き加工を施し、金属加工を完成させることが可能です。 タレパンの種類と選び方 タレパンには、「単発型」「トランスファー型」「順送型」の3種類があります。 ●単発型 単発型は、単純に1回のプレスで抜き加工をした後、作業者が1つずつ材料の取り出しと次の材料のセットを行う、最も単純で手間の多い方法です。ただし、手間はかかるものの、金型の修理や改造がしやすいメリットもあるため、製品の試作段階で用いられるのはほとんどが単発型です。 数百、数千といったレベルの製品個数であれば、単発型でも十分対応が可能です。また、1個や2個といった少量生産の場合、レーザーを使った加工の方がコスパが良い可能性があります。 ●トランスファー型 トランスファー型は、1つのプレスが終わったら次のプレス機へ、さらにその次のプレス機へと加工品を移動させていくタイプの加工方法です。 ●順送型 順送型は、1台のプレス機に複数の金型をセットし、プレス機の上下動で、1回目はAの型枠を使用して穴を開け、次の型枠に送って2回目は凹凸を作り、3回目にくり抜くといったカタチで、同じプレス機を使い、連続したプレスによって製品を作り出す加工方法です。 どちらも生産速度が早く、数万個、数十万個といった大量生産にも問題なく対応が可能です。
クリーンカットは、ステンレスの切断によく選ばれるレーザー加工法の一つで、特に美しい仕上がりにしたい場合に用いられます。 もちろん、化学処理や研磨等でも表面を綺麗に仕上げることは可能です。しかし、この場合、工程が増えることで納期が長くなったりコストが高くなったりすることがあります。 「それなら、クリーンカットに対応している工場を知っているから、そこに頼もう・・・」 そう思っている方もいらっしゃるでしょう。 ですが、クリーンカットによる仕上がりは、工場の設備や技術、ノウハウによって大きく違います。 今回の記事では、Mitsuriで対応可能なクリーンカットについてご紹介していきます。 クリーンカットとは クリーンカットとは、金属をレーザーで切断加工するとき、アシストガスに窒素を使用する加工法で、窒素切断とも呼ばれます。 レーザー切断は、レーザー光を照射して金属を溶融させ、溶融金属をアシストガスで吹き飛ばして切断・穴あけ等を行う加工法です。一般的なレーザー切断機においては、アシストガスに、エアー(大気)や酸素を使います。しかし、被削材によっては切断面に酸化皮膜が発生し、見た目やその後の加工性を損なうことがあります。その酸化を抑制するため、アシストガスに不活性ガスの窒素を使用した工法がクリーンカットです。そのため、クリーンカットは無酸化切断ともいわれます。 ただし、窒素は酸素に比べれば高価なので、コストが高くなります。しかも、大気による酸化も防止する必要があるため、窒素の供給圧力は酸素の倍以上を要し、使用量は酸素に比べて数倍多くなります。 またクリーンカットでは、酸素を使う場合に比べて切断速度が遅くなるという欠点があります。それは窒素では、酸素の燃焼を促進する効果がなく、金属の溶融により時間がかかるからです。 参考記事 レーザー加工については以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。 ⇒【レーザー加工】板金加工におけるレーザー加工について専門家が徹底解説! クリーンカットの効果 クリーンカットによるレーザー加工の一番の効果は、切断面が酸化せず金属そのものが露出することです。金属の種類や加工技術によっては、金属色で輝き、映り込みが入るほど綺麗な切断面となります。 そのため表面仕上げを重要視することが多いステンレスでは、クリーンカットが頻繁に用いられます。ステンレスでは、アシストガスにエアーや酸素を使うと、切断面が黒く焼け焦げてしまうことがあります。 仕上げを考慮すると、ステンレスでは余計にコストがかかる可能性があることもクリーンカットが用いられる理由となっています。 切断後の溶接性から、クリーンカットはステンレスだけでなく鉄にも用いられることがあります。鉄やステンレスの酸化皮膜は融けにくいため、溶接する前に除去する必要があります。その手間やコストから、クリーンカットを選択する場合があるのです。 クリーンカットは、表面処理鋼鈑の切断加工に必要となる場合があります。表面処理鋼鈑では、酸素の使用により表面処理剤が燃焼し、煙が噴出するものがあります。この噴煙は、作業環境を悪くするだけでなく有害なこともあるので、酸素との反応を防止できるクリーンカットが必要となるのです。 クリーンカットの断面の美しさ事例 それでは、クリーンカットで切断面がどれほど美しくなるのか、事例を挙げてご紹介していきます。 下の写真をご覧ください。手前の断面がクリーンカットによるもので、金属色がそのまま表れているのが分かります。 引用元:株式会社ナガラ 次の写真では、クリーンカットで加工したものを左、一般的なレーザー加工によるものを右に配置して比較しています。 引用元:株式会社ナガラ 次の写真は、上の写真の断面を拡大したものです。 右の一般的なものでは、加工断面にバリが発生し、黒く変色しています。 一方、左のクリーンカットによる加工断面は、そのまま製品として使えるほどに綺麗です。 引用元:株式会社ナガラ クリーンカットでは、以下の写真のような複雑な切断加工も可能となっています。 引用元:イシダ製作所 引用元:鉄創庵 参考記事 ステンレスの加工例を以下の記事で豊富に載せていますのでご覧ください。 ⇒ステンレスのレーザー加工ならMitsuri!依頼先でお困りならご相談ください! まとめ クリーンカットとは何かというところから、その効果、また製品事例もご紹介しました。 クリーンカットは、レーザー加工に窒素を用い、切断面を酸化させることなく仕上げることができる方法です。しかし、酸素を使うレーザー加工と比較すると高コストで切断速度が遅いという欠点があります。 その効果としては切断面の美しさが挙げられますが、仕上げの工程も考慮すると結果的にコストが低くなることがあります。 また、クリーンカットの製品事例もご紹介しました。 このように美しい仕上がりやコストの低減が期待できるクリーンカットの依頼先でお悩みの方は、ぜひMitsuriにご相談ください。 Mitsuriは、日本全国に協力企業が140社以上ございます。そのため、レーザー加工を専門とし、クリーンカットに強みを持つ工場も多数ご紹介できます。 クリーンカットでお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!