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【金属加工 Mitsuri】見積から発注までWEB完結!
「フェイスミルとは何か」「フェイスミルの特徴について知りたい」……このような悩みをお持ちの方は必見です。 フェイスミル(正面フライス)は、フライス加工で多く活用されている加工用の刃物工具です。加工機によりフェイスミルを回転させて、テーブルに固定した被加工材を切削していきます。その加工効率の良さから、工業製品を作るうえで必要不可欠な加工と言えるでしょう。金属加工の設計や、依頼をする際にもフェイスミルの知識を持っておくことで、製品化をスムーズに行えます。 そこで、本記事ではフェイスミルの特徴や、構造について知らない方向けに分かりやすく解説します。また、同じフライス加工で使用されている、加工用刃物工具の選び方についてもご紹介しますので、フェイスミルについて知識を得たい方は、ぜひ参考にしてみてください。 フェイスミル(正面フライス)とは 引用元:モノタロウ フェイスミルとは、別名「正面フライス」とも呼ばれており、フライス盤に使用される上写真に示したような切削工具のことを言います。フェイスミルを加工機に取り付け、高速回転させることで、被加工材を切削できるようになります。 上写真の右側が先端で、5箇所に取り付けられている刃を「チップ」と呼びます。上写真左側は、加工機とドッキングする部分になります。 フェイスミルは、主に平面加工・側面加工・段加工をする際に使用。一度に切削できる面積が広く、切削面も高い精度で加工できます。 しかし、刃を複数搭載しているぶん、刃の状態および角度の管理をきちんと行わなければなりません。刃の角度は「すくい角」と呼ばれており、この角度が変化することで、切れ味や切りくずの排出の仕方などが変化します。 フェイスミル(正面フライス)の構造 アキシャルレーキ 引用元:MISUMI アキシャルレーキとは、フェイスミルを側面から見たときの、チップのすくい角のこと。上図左はフェイスミルの半断面で、丸で囲まれた箇所がチップを表しています。 また、上図右は、チップの拡大図でチップを側面から見た「アキシャルレーキ角」とチップを上から見た「ラジアルレーキ角」を表しています。 上図右の「アキシャルレーキ角」と記述している箇所のように、フェイスミルを回転させた際に、刃先が先行する形を正(+)、刃先が遅れる形を負(-)のすくい角として見ます。この角度によって、切りくずの排出の方向や切削力は変化します。 アキシャルレーキのすくい角が正(+)のときは、切削性が良くなり、溶着も起きにくくなります。 ラジアルレーキ ラジアルレーキとは、フェイスミルの上側、もしくは裏側から見たときの、チップのすくい角のことです。イメージはアキシャルレーキの項目に添付した図を参照してください。被加工面に対して垂直方向の角度がアキシャルレーキ。フェイスミルの回転方向に対しての角度がラジアルレーキを意味します。 ラジアルレーキもアキシャルレーキと同様で、フェイスミルを回転させたときに、刃先が先行する形を正(+)、刃先が遅れる形を負(-)のすくい角として見ます。また、切りくずの排出方向や、切削力に変化がある点も同じです。ラジアルレーキは負(-)のすくい角のとき、切りくずの排出性が良くなります。 引用元:三菱マテリアル アキシャルレーキとラジアルレーキは上図のように、それぞれ正(+)と負(-)の組み合わせによって、加工しやすい材料が異なります。このように、被加工材に合わせて適切なフェイスミルを使うことが大切です。 チップポケット 引用元:astamuse 刃の先端近くにある隙間(上図6の箇所)を「チップポケット」と言います。チップポケットは、切りくずを排出しやすくするために設けられた隙間です。 ここでの「チップ」は切りくずのことを指しますが、チップの元々の意味である「小片」からすると、フェイスミルの刃も、切りくずも同じ「チップ」の意味を表しています。 フェイスミルは、刃の数が多いほど、刃と刃の間隔が短くなり、それに伴いチップポケットのスペースも狭くなります。チップポケットが狭いほど、切削時に発生する切りくずが排出されにくくなります。そのため、切りくずを多く排出する加工では、刃の枚数に注意して加工しなければなりません。 フェイスミル(正面フライス)の加工能率の上げ方 フェイスミルの加工能率を上げるには、刃の枚数が多いものを使いましょう。刃の枚数が多いほど、1回転あたりに削れる量が増えます。 また、1つのチップにかかる負担も軽減されるため、刃先の熱の発生も抑えられます。ただし、刃の枚数を増やすと刃と刃の間隔が狭くなり、切削の際に発生した切りくずが詰まりやすくなるといったデメリットもあります。 外径の大きいフェイスミルを使うと、広い範囲を加工できますが、そのぶん機械もパワーがあるものを必要とするので注意してください。 引用元:サンドビック株式会社 また、加工の仕方によっても、製品の仕上がりやチップの負担に変化があります。 上図左のように、チップの切込みと抜けを繰り返す加工方法だと、刃先に負担がかかるほか、びびりが発生しやすくなります。「びびり」とは、工具と被加工材の間に発生する振動のことで、発生すると仕上げ面に悪影響を及ぼします。しかし、上図右のように、チップを食いついた状態を維持しながら加工すれば、チップにかかる負担と、びびりの発生を軽減できます。 フェイスミル(正面フライス)と工作機械の選び方 切削加工では、フェイスミルのほかにエンドミル・溝フライス・平フライス等が使われています。ここでは、各々の加工用刃物工具の特徴や、どのような切削ができるかを解説します。 エンドミル 引用元:モノタロウ フェイスミルは広い範囲を削るのに適していますが、狭い範囲の加工には向きません。このとき役に立つのがエンドミルです。 エンドミルは、上図に示すようにドリルのような見た目で、工具端部の外周に2枚から4枚程度の刃が付いています。ドリルは軸方向に動かして穴を開けますが、エンドミルは、軸に対して水平方向に動かして切削します。エンドミルは細い形状のため、細かな箇所を削るのに最適。平面加工・側面加工・段加工のほかにも、溝加工や穴加工といった幅広い加工に対応できます。 エンドミルは、太さや長さだけでなく、刃の数や刃の形状など、種類が豊富にありますが、被加工材の材質や精度に合わせて、工具を使い分けなければなりません。 エンドミルは刃の枚数が少ないものだと、刃と刃の間隔は広く、切りくずの排出性は良好です。しかし、芯が細めのため、折れやすい傾向に。一方、刃の枚数が多いと、刃と刃の間隔が狭くなるので、切りくずの排出性に劣りますが、芯は太いため折れにくい傾向にあります。 このことから、大きな切りくずが発生する場合や荒加工では刃数が少ないものを、仕上げ面に高い精度を必要とする場合は刃数の多いものを使います。 溝フライス 引用元:サンドビック株式会社 エンドミルで溝加工は可能ですが、効率よく溝を付けたいのであれば、溝フライスを用います。溝フライスは、円盤のような形状で、外周に多数の刃を搭載。加工スピードが早いため、大量の製品を加工する場合や、深い溝をつけるのに適しています。また、切りくずの排出性と剛性に優れていることから、高い精度で仕上げられるほか、刃物のトラブルも比較的少ないのが特徴です。 平フライス 平フライスは、横型フライス盤を使って平面を削る加工用刃物工具のこと。外周に刃を持ち、回転軸に平行な面を切削できます。平フライスは加工範囲が広いため、切削効率は良好です。しかし、フェイスミルと比べて精度が劣るため、荒削りでの使用や精度を必要としない製品の加工として採用されています。 参考記事 各種のフライス加工については、以下の記事でも詳しく解説しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。 ⇒フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります! フェイスミル(正面フライス)についてのまとめ 今回はフェイスミル(正面フライス)について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。 フェイスミルは平面を削る加工用刃物工具のことを言い、加工範囲が広く、切削効率に優れているのが特徴です。刃の枚数が多いほど加工能率が高くなりますが、そのぶんサイズは大きくなり、重量も重くなるので、パワーのある工作機械を用いる必要があります。 また、加工する製品の特徴や材質に合わせて、高い精度かつ、生産性を高めるためにも、適切なフェイスミルを選ぶことが大切です。 ぜひこの記事を参考にして、金属加工の依頼の際に役立ててください。
皆さんは、切削加工をご存じでしょうか?金属加工メーカー等で働く人以外にはあまり聞きなれないものだと思います。 今回はそんな切削加工についてご紹介させて頂きます。切削加工とはどういう加工なのかという説明はもちろん、その種類まで詳しく紹介させていただくので、「切削加工ってなに?」と疑問に思っている方や興味のある方も是非、ご一読いただきたいと思います。 切削加工とは 切削とは、工具を用いて加工する対象物から、その一部を削り取る加工のことです。この場合、大きくは「切削」と「送り」という二つの動きが必要となります。 切削は対象物から一部を削り取る動きのことを言います。一方、送りとは工具を移動させて、ほかの部分の切削を可能にする動きのことです。 たとえば、ある一直線上で切削を行った後、工具を切削方向と垂直に送ることで、新たな面の切削が可能となり、これを繰り返すと平面を生み出すことが可能になります。 このように、切削加工は切削と送りを繰り返していくことで、工作物を加工していきます。 フライス加工とは フライス加工とは切削加工の一種で、回転軸に取り付けたフライス盤という切削工具を回転させて行う加工です。 設置した工作物に工具を当て続けていく切削を行うので、加工する工作物の表面を平面や曲面に加工できます。また、その他みぞ削りなどの多様な加工が可能です。 フライス盤は、工具を取り付ける主軸の方向によって、横形と立形があるほか、本体が門のような形状をした門形など多数の種類があり、①正面フライス、②エンドミル、③溝フライスなどの工具を使うことによって、目的の形状に工作物を加工していきます。 1.正面フライス 正面フライスとは、フライス加工のなか最もよく使用される加工工具です。そのため、多数の工具が豊富に用意されています。 正面フライスは広い平面を効率よく削るため外径が大きく、円周上に多数の刃(チップ)を等間隔に付けた構造をしています。 複数のチップを取り付けた正面フライスでは、刃が材料を削るときに、1回転で削れる量が増えていきます。つまり、外径が大きいほど、また刃数が増えるほど加工能率が高くなることになります。 2.エンドミル エンドミルはフライス加工の切削工具の一つで、ドリルに類似した外観を持ちます。しかし、ドリルは軸方向に推進して円形の穴を空ける用途であるのに対して、エンドミルは側面の刃で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられます。 また、エンドミルは端面を平滑に仕上げる際にも用いられます。中心部の切れ刃が不完全であるため、ドリルのような単体での穴あけ加工には本来適しませんが、穴の中心にドリルなどで下穴を開けておくことで、軸方向へ推進して削り込むことも可能です。 3.溝フライス 上記で説明したエンドミルやメタルソー(金属製ののこ刃)の工具で、工作物の側面や端面に、溝を施す加工です。溝削りの場合、他の加工と比べて工作物との接触面が大きくなるため、切削速度・送り量・切り込み量を大きくすることは出来ません。 フライス加工の機械について フライス加工の機械は、主軸の向きによる種別と主軸とテーブルの移動方向による種別に分類されます。ですが、市場に出回っているフライス盤の8割程は立型フライス盤が占め、一般的にフライス盤といえば立型のフライス盤を指します。 1.立型フライス盤 主軸が地面に対して垂直(下向き)のフライス盤を縦型フライス盤といいます。また、縦型のフライス盤には、大きく分けて2種類の方があります。主軸頭が切込み運動を行い、テーブルが前後左右に動く「ベッド型(主軸頭移動型)」と、主軸頭が固定された「ヒザ型(主軸頭固定型)」があります。 ・ベッド型 主軸頭が上下に動き、テーブルが前後左右に動くものを「ベッド型」といいます。「ヒザ型」より剛性があり、同じ製品を大量につくる場合は「ベッド型」が適しています。 ・ヒザ型 フライス盤の中でもっとも汎用な機械が「ヒザ型」です。上下に運動するニーに支えられたテーブルが左右に動きます。「ベッド型」に比べると、目線の高さで加工できるため視認性が良く、軽い素材の加工や加工と測定を繰り返す細かい作業に適していいます。 2.模型フライス盤 主軸が地面に対して水平(横向き)のフライス盤を横型フライス盤といいます。 溝入れや切断加工に適しています。また、板状の工作物の側面加工は、横型でなければ加工することが出来ません。 3.万能フライス盤 万能フライス盤は、膝型フライス盤の一種で構造的には横型フライス盤とほぼ同じですが、旋回台を設けてテーブルが水平面内に回転できる点が異なっています。 主軸が180度動く立横兼用の万能フライス盤等もあります。フライス盤の加工機能に加え、歯車やドリルなどの複雑な加工が可能です。 その他にも、マニシングセンタという目的に合わせてフライス削り、中ぐり、穴あけ、ねじ立てなどの異種の加工を1台で行うことができる数値制御工作機械があります。万能ではありますが、プログラムを設定しなくてはならないので、現物合わせで削りたい時には、やはりフライス(汎用フライス盤)のほうが素早い対応ができます。 旋盤加工 旋盤加工とは、工作物を高速で回転させ、その対象物に刃物を押し当てて削り出していく加工のことを言います。 フライス加工が平面加工などをするのに対して、旋盤加工は棒のねじ切り等を加工します。旋盤加工する形状は基本的に丸モノとなり、マシニング加工に比べて、段取りや加工時間が少ないので素早い対応ができます。 一見するとフライス加工との違いについては分かりにくいと思いますが、特徴は、回転する爪に金属素材を取り付けるということです。その取り付けた金属を回転させて旋削チップなどの機械工具で削っていきます。 フライス盤は金属が回るのではなく、刃物が回転して削っていくという機械です。 また、旋盤加工は製品が回転する事で加工を行うので、外径や内径の寸法が出しやすいという利点があります。通常は同芯で外径と内径を加工する事ができるので、ぶれる事がない製品を作り出す事が可能です。 切削加工の良いところは、難しい依頼もフライス加工と旋盤加工を駆使していくことで、一つの部品を完成させることができる点です。 まとめ 今回は、主にフライス加工についてご紹介しました。 切削加工には種類があり、加工方法も変わってきます。もし今回の記事を読んで、これから金属加工メーカーに依頼をすることを考えている方や切削加工に興味のある方の一助となれば幸いです。
「フェイスミルとは何か」「フェイスミルの特徴について知りたい」……このような悩みをお持ちの方は必見です。 フェイスミル(正面フライス)は、フライス加工で多く活用されている加工用の刃物工具です。加工機によりフェイスミルを回転させて、テーブルに固定した被加工材を切削していきます。その加工効率の良さから、工業製品を作るうえで必要不可欠な加工と言えるでしょう。金属加工の設計や、依頼をする際にもフェイスミルの知識を持っておくことで、製品化をスムーズに行えます。 そこで、本記事ではフェイスミルの特徴や、構造について知らない方向けに分かりやすく解説します。また、同じフライス加工で使用されている、加工用刃物工具の選び方についてもご紹介しますので、フェイスミルについて知識を得たい方は、ぜひ参考にしてみてください。 フェイスミル(正面フライス)とは 引用元:モノタロウ フェイスミルとは、別名「正面フライス」とも呼ばれており、フライス盤に使用される上写真に示したような切削工具のことを言います。フェイスミルを加工機に取り付け、高速回転させることで、被加工材を切削できるようになります。 上写真の右側が先端で、5箇所に取り付けられている刃を「チップ」と呼びます。上写真左側は、加工機とドッキングする部分になります。 フェイスミルは、主に平面加工・側面加工・段加工をする際に使用。一度に切削できる面積が広く、切削面も高い精度で加工できます。 しかし、刃を複数搭載しているぶん、刃の状態および角度の管理をきちんと行わなければなりません。刃の角度は「すくい角」と呼ばれており、この角度が変化することで、切れ味や切りくずの排出の仕方などが変化します。 フェイスミル(正面フライス)の構造 アキシャルレーキ 引用元:MISUMI アキシャルレーキとは、フェイスミルを側面から見たときの、チップのすくい角のこと。上図左はフェイスミルの半断面で、丸で囲まれた箇所がチップを表しています。 また、上図右は、チップの拡大図でチップを側面から見た「アキシャルレーキ角」とチップを上から見た「ラジアルレーキ角」を表しています。 上図右の「アキシャルレーキ角」と記述している箇所のように、フェイスミルを回転させた際に、刃先が先行する形を正(+)、刃先が遅れる形を負(-)のすくい角として見ます。この角度によって、切りくずの排出の方向や切削力は変化します。 アキシャルレーキのすくい角が正(+)のときは、切削性が良くなり、溶着も起きにくくなります。 ラジアルレーキ ラジアルレーキとは、フェイスミルの上側、もしくは裏側から見たときの、チップのすくい角のことです。イメージはアキシャルレーキの項目に添付した図を参照してください。被加工面に対して垂直方向の角度がアキシャルレーキ。フェイスミルの回転方向に対しての角度がラジアルレーキを意味します。 ラジアルレーキもアキシャルレーキと同様で、フェイスミルを回転させたときに、刃先が先行する形を正(+)、刃先が遅れる形を負(-)のすくい角として見ます。また、切りくずの排出方向や、切削力に変化がある点も同じです。ラジアルレーキは負(-)のすくい角のとき、切りくずの排出性が良くなります。 引用元:三菱マテリアル アキシャルレーキとラジアルレーキは上図のように、それぞれ正(+)と負(-)の組み合わせによって、加工しやすい材料が異なります。このように、被加工材に合わせて適切なフェイスミルを使うことが大切です。 チップポケット 引用元:astamuse 刃の先端近くにある隙間(上図6の箇所)を「チップポケット」と言います。チップポケットは、切りくずを排出しやすくするために設けられた隙間です。 ここでの「チップ」は切りくずのことを指しますが、チップの元々の意味である「小片」からすると、フェイスミルの刃も、切りくずも同じ「チップ」の意味を表しています。 フェイスミルは、刃の数が多いほど、刃と刃の間隔が短くなり、それに伴いチップポケットのスペースも狭くなります。チップポケットが狭いほど、切削時に発生する切りくずが排出されにくくなります。そのため、切りくずを多く排出する加工では、刃の枚数に注意して加工しなければなりません。 フェイスミル(正面フライス)の加工能率の上げ方 フェイスミルの加工能率を上げるには、刃の枚数が多いものを使いましょう。刃の枚数が多いほど、1回転あたりに削れる量が増えます。 また、1つのチップにかかる負担も軽減されるため、刃先の熱の発生も抑えられます。ただし、刃の枚数を増やすと刃と刃の間隔が狭くなり、切削の際に発生した切りくずが詰まりやすくなるといったデメリットもあります。 外径の大きいフェイスミルを使うと、広い範囲を加工できますが、そのぶん機械もパワーがあるものを必要とするので注意してください。 引用元:サンドビック株式会社 また、加工の仕方によっても、製品の仕上がりやチップの負担に変化があります。 上図左のように、チップの切込みと抜けを繰り返す加工方法だと、刃先に負担がかかるほか、びびりが発生しやすくなります。「びびり」とは、工具と被加工材の間に発生する振動のことで、発生すると仕上げ面に悪影響を及ぼします。しかし、上図右のように、チップを食いついた状態を維持しながら加工すれば、チップにかかる負担と、びびりの発生を軽減できます。 フェイスミル(正面フライス)と工作機械の選び方 切削加工では、フェイスミルのほかにエンドミル・溝フライス・平フライス等が使われています。ここでは、各々の加工用刃物工具の特徴や、どのような切削ができるかを解説します。 エンドミル 引用元:モノタロウ フェイスミルは広い範囲を削るのに適していますが、狭い範囲の加工には向きません。このとき役に立つのがエンドミルです。 エンドミルは、上図に示すようにドリルのような見た目で、工具端部の外周に2枚から4枚程度の刃が付いています。ドリルは軸方向に動かして穴を開けますが、エンドミルは、軸に対して水平方向に動かして切削します。エンドミルは細い形状のため、細かな箇所を削るのに最適。平面加工・側面加工・段加工のほかにも、溝加工や穴加工といった幅広い加工に対応できます。 エンドミルは、太さや長さだけでなく、刃の数や刃の形状など、種類が豊富にありますが、被加工材の材質や精度に合わせて、工具を使い分けなければなりません。 エンドミルは刃の枚数が少ないものだと、刃と刃の間隔は広く、切りくずの排出性は良好です。しかし、芯が細めのため、折れやすい傾向に。一方、刃の枚数が多いと、刃と刃の間隔が狭くなるので、切りくずの排出性に劣りますが、芯は太いため折れにくい傾向にあります。 このことから、大きな切りくずが発生する場合や荒加工では刃数が少ないものを、仕上げ面に高い精度を必要とする場合は刃数の多いものを使います。 溝フライス 引用元:サンドビック株式会社 エンドミルで溝加工は可能ですが、効率よく溝を付けたいのであれば、溝フライスを用います。溝フライスは、円盤のような形状で、外周に多数の刃を搭載。加工スピードが早いため、大量の製品を加工する場合や、深い溝をつけるのに適しています。また、切りくずの排出性と剛性に優れていることから、高い精度で仕上げられるほか、刃物のトラブルも比較的少ないのが特徴です。 平フライス 平フライスは、横型フライス盤を使って平面を削る加工用刃物工具のこと。外周に刃を持ち、回転軸に平行な面を切削できます。平フライスは加工範囲が広いため、切削効率は良好です。しかし、フェイスミルと比べて精度が劣るため、荒削りでの使用や精度を必要としない製品の加工として採用されています。 参考記事 各種のフライス加工については、以下の記事でも詳しく解説しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。 ⇒フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります! フェイスミル(正面フライス)についてのまとめ 今回はフェイスミル(正面フライス)について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。 フェイスミルは平面を削る加工用刃物工具のことを言い、加工範囲が広く、切削効率に優れているのが特徴です。刃の枚数が多いほど加工能率が高くなりますが、そのぶんサイズは大きくなり、重量も重くなるので、パワーのある工作機械を用いる必要があります。 また、加工する製品の特徴や材質に合わせて、高い精度かつ、生産性を高めるためにも、適切なフェイスミルを選ぶことが大切です。 ぜひこの記事を参考にして、金属加工の依頼の際に役立ててください。
皆さんは、切削加工をご存じでしょうか?金属加工メーカー等で働く人以外にはあまり聞きなれないものだと思います。 今回はそんな切削加工についてご紹介させて頂きます。切削加工とはどういう加工なのかという説明はもちろん、その種類まで詳しく紹介させていただくので、「切削加工ってなに?」と疑問に思っている方や興味のある方も是非、ご一読いただきたいと思います。 切削加工とは 切削とは、工具を用いて加工する対象物から、その一部を削り取る加工のことです。この場合、大きくは「切削」と「送り」という二つの動きが必要となります。 切削は対象物から一部を削り取る動きのことを言います。一方、送りとは工具を移動させて、ほかの部分の切削を可能にする動きのことです。 たとえば、ある一直線上で切削を行った後、工具を切削方向と垂直に送ることで、新たな面の切削が可能となり、これを繰り返すと平面を生み出すことが可能になります。 このように、切削加工は切削と送りを繰り返していくことで、工作物を加工していきます。 フライス加工とは フライス加工とは切削加工の一種で、回転軸に取り付けたフライス盤という切削工具を回転させて行う加工です。 設置した工作物に工具を当て続けていく切削を行うので、加工する工作物の表面を平面や曲面に加工できます。また、その他みぞ削りなどの多様な加工が可能です。 フライス盤は、工具を取り付ける主軸の方向によって、横形と立形があるほか、本体が門のような形状をした門形など多数の種類があり、①正面フライス、②エンドミル、③溝フライスなどの工具を使うことによって、目的の形状に工作物を加工していきます。 1.正面フライス 正面フライスとは、フライス加工のなか最もよく使用される加工工具です。そのため、多数の工具が豊富に用意されています。 正面フライスは広い平面を効率よく削るため外径が大きく、円周上に多数の刃(チップ)を等間隔に付けた構造をしています。 複数のチップを取り付けた正面フライスでは、刃が材料を削るときに、1回転で削れる量が増えていきます。つまり、外径が大きいほど、また刃数が増えるほど加工能率が高くなることになります。 2.エンドミル エンドミルはフライス加工の切削工具の一つで、ドリルに類似した外観を持ちます。しかし、ドリルは軸方向に推進して円形の穴を空ける用途であるのに対して、エンドミルは側面の刃で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられます。 また、エンドミルは端面を平滑に仕上げる際にも用いられます。中心部の切れ刃が不完全であるため、ドリルのような単体での穴あけ加工には本来適しませんが、穴の中心にドリルなどで下穴を開けておくことで、軸方向へ推進して削り込むことも可能です。 3.溝フライス 上記で説明したエンドミルやメタルソー(金属製ののこ刃)の工具で、工作物の側面や端面に、溝を施す加工です。溝削りの場合、他の加工と比べて工作物との接触面が大きくなるため、切削速度・送り量・切り込み量を大きくすることは出来ません。 フライス加工の機械について フライス加工の機械は、主軸の向きによる種別と主軸とテーブルの移動方向による種別に分類されます。ですが、市場に出回っているフライス盤の8割程は立型フライス盤が占め、一般的にフライス盤といえば立型のフライス盤を指します。 1.立型フライス盤 主軸が地面に対して垂直(下向き)のフライス盤を縦型フライス盤といいます。また、縦型のフライス盤には、大きく分けて2種類の方があります。主軸頭が切込み運動を行い、テーブルが前後左右に動く「ベッド型(主軸頭移動型)」と、主軸頭が固定された「ヒザ型(主軸頭固定型)」があります。 ・ベッド型 主軸頭が上下に動き、テーブルが前後左右に動くものを「ベッド型」といいます。「ヒザ型」より剛性があり、同じ製品を大量につくる場合は「ベッド型」が適しています。 ・ヒザ型 フライス盤の中でもっとも汎用な機械が「ヒザ型」です。上下に運動するニーに支えられたテーブルが左右に動きます。「ベッド型」に比べると、目線の高さで加工できるため視認性が良く、軽い素材の加工や加工と測定を繰り返す細かい作業に適していいます。 2.模型フライス盤 主軸が地面に対して水平(横向き)のフライス盤を横型フライス盤といいます。 溝入れや切断加工に適しています。また、板状の工作物の側面加工は、横型でなければ加工することが出来ません。 3.万能フライス盤 万能フライス盤は、膝型フライス盤の一種で構造的には横型フライス盤とほぼ同じですが、旋回台を設けてテーブルが水平面内に回転できる点が異なっています。 主軸が180度動く立横兼用の万能フライス盤等もあります。フライス盤の加工機能に加え、歯車やドリルなどの複雑な加工が可能です。 その他にも、マニシングセンタという目的に合わせてフライス削り、中ぐり、穴あけ、ねじ立てなどの異種の加工を1台で行うことができる数値制御工作機械があります。万能ではありますが、プログラムを設定しなくてはならないので、現物合わせで削りたい時には、やはりフライス(汎用フライス盤)のほうが素早い対応ができます。 旋盤加工 旋盤加工とは、工作物を高速で回転させ、その対象物に刃物を押し当てて削り出していく加工のことを言います。 フライス加工が平面加工などをするのに対して、旋盤加工は棒のねじ切り等を加工します。旋盤加工する形状は基本的に丸モノとなり、マシニング加工に比べて、段取りや加工時間が少ないので素早い対応ができます。 一見するとフライス加工との違いについては分かりにくいと思いますが、特徴は、回転する爪に金属素材を取り付けるということです。その取り付けた金属を回転させて旋削チップなどの機械工具で削っていきます。 フライス盤は金属が回るのではなく、刃物が回転して削っていくという機械です。 また、旋盤加工は製品が回転する事で加工を行うので、外径や内径の寸法が出しやすいという利点があります。通常は同芯で外径と内径を加工する事ができるので、ぶれる事がない製品を作り出す事が可能です。 切削加工の良いところは、難しい依頼もフライス加工と旋盤加工を駆使していくことで、一つの部品を完成させることができる点です。 まとめ 今回は、主にフライス加工についてご紹介しました。 切削加工には種類があり、加工方法も変わってきます。もし今回の記事を読んで、これから金属加工メーカーに依頼をすることを考えている方や切削加工に興味のある方の一助となれば幸いです。