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東京都大田区に、精密絞り加工/順送プレス/トランスファー加工の中国量産をおこなうプレス加工メーカーがある。岐阜精器工業株式会社だ。モーターケースなどの弱電関係の量産に強みを持ち、2002年から中国に進出。何かと板金加工と比較されるプレス加工業者さまはどのようなお仕事をされているのか。今回は、営業担当の波多野慎平氏にお話を伺ってきました。快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。波多野氏はい。弊社はもともとモーターのケースを作っていたという経緯がございまして、精密プレス深絞り加工というものに強みを持っています。ただ、中国進出後は、モーターケースだけでは難しいと判断しまして。様々な分野の部品を深絞り加工で実現させていただいています。その中でも、特に得意としているのがステンレスの深絞り加工です。ステンレスは、材質的に硬くて絞りにくいとされています。それを弊社は、複雑な形状に加工することができます。一般的に、プレス加工というのは、金型を使って量産加工をする形態の事業です。シート材といわれるものを、順送プレスという加工方法で連続加工します。その際に、金型を設計することで、量産加工ができるのですね。スピード的には、1分間に50個以上生産できます。弊社はこのような順送式に加えて、トランスファー方式でも製造を行っています。トランスファー方式とは、各工程で独立した型を一台のプレス機械内に1列に配列して、連続加工を行う方式です。材料というよりも、加工物をどんどん送っていくイメージですね。もともとモーターを手がけていたということもあって、トランスファー方式にも強みを持っています。ありがとうございます。プレス加工というと、自動車産業のイメージが強いのですが、他にはどのような業界に対応されているのでしょうか。波多野氏そうですね。弊社で言うと、もともと多かったのは、弱電関係のモーターケースです。むしろ、自動車関係のものは少ないです。これはコネクター関係になりますが、USBのType-Cといわれるモデルのものも手がけています。深絞り加工によって実現しています。従来のコネクターというものは、曲げて曲げて鉄同士を重ね合わせて接着するというのが、一般的です。しかしながら、そのような加工方法だと、つなぎ目の部分ができてしまいます。Type-Cの特徴は、そのようなつなぎ目がないことで、どちらからでもさすことができる。そのようなつなぎ目のない状態のものを実現するために、絞り加工で対応して欲しいというお客さまのご要望がございます。そのようなところで、我々の方に金型の設計の依頼がきています。そういったところでわれわれの方に話があって、金型の設計をさせていただいて。弊社で対応しているのは、プレスと金型の部分です。ただし、商社のような仕事もしております。マシニング加工や旋盤加工といったもので対応しなければいけないようなものは、協力工場とタッグを組んで日本側に輸出するようなこともおこなっています。なるほど。中国の方に、企業を移されたと伺っております。御社の沿革などを伺ってもよろしいでしょうか。波多野氏もともとは、先代の社長が岐阜県出身でして。上京してきて、大田区でプレスの会社を起こしました。1970年に蒲田で創業したんですね。ただ、当時のプレス機というものは、かなり騒音がでるようなものでして。なかなか住宅地で事業を展開するのは、難しかったという経緯がありました。それで、出身地の岐阜県の方にも工場を建てて、東京と岐阜の両方で仕事を行っていました。当時は東京で金型を作って、その金型を岐阜県の工場に送って、プレス加工、量産加工するという流れで仕事を行っていました。ありがとうございます。今、中国に工場をかまえていらっしゃるわけですけど、そのきっかけなどございましたら、お伺いさせてください。波多野氏弊社は、当初小型のモーターケースを手がけていました。それを日本で生産して、日本のお客さまに納品させていただいていました。このようなモーターの組立などのアッセンブリ関係が全て中国の方に流れていきました。我々が生産したものを、向こうで組立するという流れができてしまったわけですね。今の社長がその流れに危機感を覚えまして。中国に進出して、中国の日系企業さんにものを納めていこう、と。そこで、2000年から中国に進出する準備をしまして、2002年に中国の方で営業許可を取って、生産を開始しました。生産設備は、日本にあったものを全て中国に移すような形で。日本の工場を閉鎖させるような形で進出しました。新たに現地で従業員を採用して、そこで技術を教えて生産し始めました。なるほど。そうすると技術的なところの継承はいかがだったのでしょうか。波多野氏プレス加工の場合は、金型というものが一番重要になります。ですから、金型の設計ができる人間に社内に残ってもらって。ただ、その方も、一緒に中国に行ってもらいまして。そこで、金型の設計をしていただきながら、現地の人間に技術を伝承していくという形を取りました。とはいえ、言葉の問題もございますから。実際に中国に行って、実際に金型を組立てるところから側にくっついて、1から教えるような形でやったというふうに聞いています。ありがとうございます。波多野さまは、現在は日本で営業をされるような形なのでしょうか。波多野氏そうですね。例えば。メーカーさんの購買部門の責任者さまなどは、中国ではなくて日本にいらっしゃる。そうすると、そのような購買担当者の方と打ち合わせをしなければいけません。日本で打ち合わせをして、実際に注文をいただいたら、中国で金型でプレス加工する。そのような流れで仕事をしています。なるほど。波多野さまが中国に行かれた際にはどのようなお仕事をされているのですか。波多野氏普段は日本にいるのですが、中国に行った際は監査のようなことをすることが多いですね。製品がきちんとできているかどうか、品質の部分も含めて確認します。後は、現地で働いている人間とのコミュニケーションをきちん取ること。そういったことに集中して仕事しています。今、日本人の従業員は、全部で5名程度。現地で採用してる人間が100名おります。そういった意味では中国人のバランスの方が多いですね。そのため、どうしても日系企業さんとは違う部分が出てきてしまいます。現地の従業員の意見をきちんと尊重しなければいけませんし。まるっきり日系企業のやり方を押し付けるという形ではやっていません。うまく両方のバランスをとりながらですね。彼らは日系企業で働いていて、日系企業の品質を自分たちが保ってやっている。その部分に誇りを持ちながらやってくれているんですね。そのような話を聞くと嬉しい気持ちになりますね。ありがとうございます。御社の課題などを伺ってもよろしいでしょうか。波多野氏そうですね。課題としては、これまでモーターケースなど弱電系を主に手がけていました。さらに別の分野にも量産の比率を増やしていきたいと考えていますね。例えば医療関係ですとか。そのような分野を開拓していくところに課題があると考えています。年に3~4回は展示会に出展するように心がけています。行政でやる商談会などにも出させていただいていますね。商談会ですと、1日に8社くらいは面談ができます。そこで、新規のお客さまを見つけていくということがありますね。大田区などは、年に2回の商談会があります。展示会に割と安い値段で出店することができます。そのような意味で大田区でものづくりをやっていることに、強い部分を持っているかもしれませんね。展示会にいらっしゃる来場者も多いですし。あとやはり大田区というところで展示会をやっても非常に来場者が多いんですね。日本に協力会社さまがいらっしゃるとも伺いました。波多野氏はい。もともと、中国に進出する前に近隣の協力会社さまにプレス加工をお願いするようなこともございました。その当時からのご縁ですね。中国で小ロットで生産して、輸送費をかけて日本に運ぶというのは、割りに合わない部分が出てきますから。そのような場合には、協力会社さまにお願いしています。少し大きな話になってしまうのですが、製造業全体の課題についてお伺いさせてください。波多野氏最近よくあるのは、後継者の問題。私共のところも、今まで仕事していたところが後継者がいなくなって閉めてしまったので、岐阜さんに助けて欲しいというお話を聞きます。事業承継が上手くできずに、工場を占めていってしまうパターンが日本に多いという印象を抱いています。その結果、工場の数が少なくなってきている。これは、製造業をやっている仲間内でもよく話すのですが。製造業に携わってもなかなか利益が出て、売り上げが上がっていくという印象を、若者がなかなか持てないようですね。ただ、ここはやり方次第でして。確かに、本当に苦しい部分はあると思います。でも、中国などを見ていると25、6歳の人間がマシニングを1台買って工場を立ち上げてしまう。そのままイケイケでやっているのを見ます。そういうところでも、日本と中国の差が開いてきてしまっているのかな、と思いますね。
東京都大田区に、精密絞り加工/順送プレス/トランスファー加工の中国量産をおこなうプレス加工メーカーがある。岐阜精器工業株式会社だ。モーターケースなどの弱電関係の量産に強みを持ち、2002年から中国に進出。何かと板金加工と比較されるプレス加工業者さまはどのようなお仕事をされているのか。今回は、営業担当の波多野慎平氏にお話を伺ってきました。快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。波多野氏はい。弊社はもともとモーターのケースを作っていたという経緯がございまして、精密プレス深絞り加工というものに強みを持っています。ただ、中国進出後は、モーターケースだけでは難しいと判断しまして。様々な分野の部品を深絞り加工で実現させていただいています。その中でも、特に得意としているのがステンレスの深絞り加工です。ステンレスは、材質的に硬くて絞りにくいとされています。それを弊社は、複雑な形状に加工することができます。一般的に、プレス加工というのは、金型を使って量産加工をする形態の事業です。シート材といわれるものを、順送プレスという加工方法で連続加工します。その際に、金型を設計することで、量産加工ができるのですね。スピード的には、1分間に50個以上生産できます。弊社はこのような順送式に加えて、トランスファー方式でも製造を行っています。トランスファー方式とは、各工程で独立した型を一台のプレス機械内に1列に配列して、連続加工を行う方式です。材料というよりも、加工物をどんどん送っていくイメージですね。もともとモーターを手がけていたということもあって、トランスファー方式にも強みを持っています。ありがとうございます。プレス加工というと、自動車産業のイメージが強いのですが、他にはどのような業界に対応されているのでしょうか。波多野氏そうですね。弊社で言うと、もともと多かったのは、弱電関係のモーターケースです。むしろ、自動車関係のものは少ないです。これはコネクター関係になりますが、USBのType-Cといわれるモデルのものも手がけています。深絞り加工によって実現しています。従来のコネクターというものは、曲げて曲げて鉄同士を重ね合わせて接着するというのが、一般的です。しかしながら、そのような加工方法だと、つなぎ目の部分ができてしまいます。Type-Cの特徴は、そのようなつなぎ目がないことで、どちらからでもさすことができる。そのようなつなぎ目のない状態のものを実現するために、絞り加工で対応して欲しいというお客さまのご要望がございます。そのようなところで、我々の方に金型の設計の依頼がきています。そういったところでわれわれの方に話があって、金型の設計をさせていただいて。弊社で対応しているのは、プレスと金型の部分です。ただし、商社のような仕事もしております。マシニング加工や旋盤加工といったもので対応しなければいけないようなものは、協力工場とタッグを組んで日本側に輸出するようなこともおこなっています。なるほど。中国の方に、企業を移されたと伺っております。御社の沿革などを伺ってもよろしいでしょうか。波多野氏もともとは、先代の社長が岐阜県出身でして。上京してきて、大田区でプレスの会社を起こしました。1970年に蒲田で創業したんですね。ただ、当時のプレス機というものは、かなり騒音がでるようなものでして。なかなか住宅地で事業を展開するのは、難しかったという経緯がありました。それで、出身地の岐阜県の方にも工場を建てて、東京と岐阜の両方で仕事を行っていました。当時は東京で金型を作って、その金型を岐阜県の工場に送って、プレス加工、量産加工するという流れで仕事を行っていました。ありがとうございます。今、中国に工場をかまえていらっしゃるわけですけど、そのきっかけなどございましたら、お伺いさせてください。波多野氏弊社は、当初小型のモーターケースを手がけていました。それを日本で生産して、日本のお客さまに納品させていただいていました。このようなモーターの組立などのアッセンブリ関係が全て中国の方に流れていきました。我々が生産したものを、向こうで組立するという流れができてしまったわけですね。今の社長がその流れに危機感を覚えまして。中国に進出して、中国の日系企業さんにものを納めていこう、と。そこで、2000年から中国に進出する準備をしまして、2002年に中国の方で営業許可を取って、生産を開始しました。生産設備は、日本にあったものを全て中国に移すような形で。日本の工場を閉鎖させるような形で進出しました。新たに現地で従業員を採用して、そこで技術を教えて生産し始めました。なるほど。そうすると技術的なところの継承はいかがだったのでしょうか。波多野氏プレス加工の場合は、金型というものが一番重要になります。ですから、金型の設計ができる人間に社内に残ってもらって。ただ、その方も、一緒に中国に行ってもらいまして。そこで、金型の設計をしていただきながら、現地の人間に技術を伝承していくという形を取りました。とはいえ、言葉の問題もございますから。実際に中国に行って、実際に金型を組立てるところから側にくっついて、1から教えるような形でやったというふうに聞いています。ありがとうございます。波多野さまは、現在は日本で営業をされるような形なのでしょうか。波多野氏そうですね。例えば。メーカーさんの購買部門の責任者さまなどは、中国ではなくて日本にいらっしゃる。そうすると、そのような購買担当者の方と打ち合わせをしなければいけません。日本で打ち合わせをして、実際に注文をいただいたら、中国で金型でプレス加工する。そのような流れで仕事をしています。なるほど。波多野さまが中国に行かれた際にはどのようなお仕事をされているのですか。波多野氏普段は日本にいるのですが、中国に行った際は監査のようなことをすることが多いですね。製品がきちんとできているかどうか、品質の部分も含めて確認します。後は、現地で働いている人間とのコミュニケーションをきちん取ること。そういったことに集中して仕事しています。今、日本人の従業員は、全部で5名程度。現地で採用してる人間が100名おります。そういった意味では中国人のバランスの方が多いですね。そのため、どうしても日系企業さんとは違う部分が出てきてしまいます。現地の従業員の意見をきちんと尊重しなければいけませんし。まるっきり日系企業のやり方を押し付けるという形ではやっていません。うまく両方のバランスをとりながらですね。彼らは日系企業で働いていて、日系企業の品質を自分たちが保ってやっている。その部分に誇りを持ちながらやってくれているんですね。そのような話を聞くと嬉しい気持ちになりますね。ありがとうございます。御社の課題などを伺ってもよろしいでしょうか。波多野氏そうですね。課題としては、これまでモーターケースなど弱電系を主に手がけていました。さらに別の分野にも量産の比率を増やしていきたいと考えていますね。例えば医療関係ですとか。そのような分野を開拓していくところに課題があると考えています。年に3~4回は展示会に出展するように心がけています。行政でやる商談会などにも出させていただいていますね。商談会ですと、1日に8社くらいは面談ができます。そこで、新規のお客さまを見つけていくということがありますね。大田区などは、年に2回の商談会があります。展示会に割と安い値段で出店することができます。そのような意味で大田区でものづくりをやっていることに、強い部分を持っているかもしれませんね。展示会にいらっしゃる来場者も多いですし。あとやはり大田区というところで展示会をやっても非常に来場者が多いんですね。日本に協力会社さまがいらっしゃるとも伺いました。波多野氏はい。もともと、中国に進出する前に近隣の協力会社さまにプレス加工をお願いするようなこともございました。その当時からのご縁ですね。中国で小ロットで生産して、輸送費をかけて日本に運ぶというのは、割りに合わない部分が出てきますから。そのような場合には、協力会社さまにお願いしています。少し大きな話になってしまうのですが、製造業全体の課題についてお伺いさせてください。波多野氏最近よくあるのは、後継者の問題。私共のところも、今まで仕事していたところが後継者がいなくなって閉めてしまったので、岐阜さんに助けて欲しいというお話を聞きます。事業承継が上手くできずに、工場を占めていってしまうパターンが日本に多いという印象を抱いています。その結果、工場の数が少なくなってきている。これは、製造業をやっている仲間内でもよく話すのですが。製造業に携わってもなかなか利益が出て、売り上げが上がっていくという印象を、若者がなかなか持てないようですね。ただ、ここはやり方次第でして。確かに、本当に苦しい部分はあると思います。でも、中国などを見ていると25、6歳の人間がマシニングを1台買って工場を立ち上げてしまう。そのままイケイケでやっているのを見ます。そういうところでも、日本と中国の差が開いてきてしまっているのかな、と思いますね。