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  • A1100の特徴、用途、他のアルミ合金との違い

    A1100とは、純度が99%以上の純アルミニウムとして分類される材料のことです。アルミニウムの性質をほぼ受け継いており、比較的軟らかいものの軽量で、導電性や熱伝導性に優れます。塑性加工に適した材料ですが、軟らかいゆえに切削加工は困難です。 表面に形成される酸化皮膜によって高い耐食性を示し、アルマイト処理を施すことで耐食性のほか、耐摩耗性なども向上させることができる素材です。アルミ合金の中で、特に表面処理性が高く、アルマイト処理後の外観は良好です。 日用品や導電材、建材など、幅広く用いられている材料で、私達の生活に欠かせないものとなっています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A1100の特徴、他のアルミ合金と比較 A1100は、導電性や熱伝導性が高い上に、成形加工性や溶接性にも優れたアルミ合金です。空気中で表面に形成される酸化皮膜によって金属内部が保護されるため、耐食性にも優れます。反射性も高く、光や熱、電磁波などをよく反射します。鉄鋼やステンレス鋼と比べると強度に劣るものの、軽量であるために有用性の高い素材です。 引用元:株式会社三和鍍金 また、アルミ合金全般に言えることですが、A1100には、アルマイト処理と呼ばれる表面処理を行うことで、表面に分厚い酸化皮膜を形成させることが可能です。この酸化皮膜は、自然に形成される数ナノメートル程度の酸化皮膜と異なり、数十マイクロメートルにも達して、優れた耐食性と耐摩耗性を発揮します(上図)。A1100は、特に表面処理性が高く、あらかじめアルマイト処理が施されているものも販売されています。 A1100の加工性について、鍛造や圧延、絞りなどの成形加工には適しているものの、切削加工には適していません。ただし、切削加工が不可能というわけではありません。工具が食い込んでしまうのを避けるために切り込み量を加減する、キズの原因となる切り屑の排出をスムーズにするなど、適切な対処を行うことで切削加工も可能です。 参考:アルマイト処理について解説!アルマイト処理のメリットについても解説! 他のアルミ合金との比較 A1100は、1000番手系の中では、強度や切削加工性のバランスが良好でアルマイト処理を施した際の外観が良いという利点があります。 A1050は、アルミニウムの純度が99.5%以上のアルミ合金で、A1100と比べると、導電性には優れるものの、軟らか過ぎる上に切削加工性にも劣ります。一方、A1200は、A1100と比較すると、機械的性質や切削性などに大きな違いはなく、表面処理性も特に良いわけではありません。そのため、電気的特性を重視する場合はA1050、A1050よりも強度が欲しい場合はA1100を選ぶと良いでしょう。 A1100の2000~8000番手系のアルミ合金と比べたときの最も大きな違いは、その強度です。2000~8000番手系のアルミ合金は、銅(Cu)やマンガン(Mn)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)などを加えることで、強度をはじめ、切削加工性や耐熱性、耐摩耗性などの様々な性質を改善したものです。例えば、ジュラルミンとして知られるA2017やアルミ缶の素材に使われるA5052は、焼なまし状態でも強度がA1100の倍以上あります。特に、A2017は、適切な熱処理が必要ですが、引張強さが400 MPaを上回ります。また、A5052は、切削加工性が良く、切削加工向けの材料として有用です。 参考:アルミ材の種類について【専門家が語る】どのアルミ材を使えばいいか一目でわかる! A1100の化学成分 (単位:%) 材質名 Si + Fe Cu Mn Zn その他 Al 個々 合計 A1100 0.95 以下  0.05〜 0.20 0.05 以下 0.10 以下 0.05 以下 0.15 以下 99.00 以上 A1100の化学成分は、JIS規格(JIS 4000:2014)によって上表のように規定されています。 A1100は、純度99.00%以上のアルミに微量の銅(Cu)を加えたものです。添加された銅には、アルマイト処理後の光沢を良好にし、外観を白っぽくする効果があります。これは、A1050やA1200などの他の1000番手のアルミにはない特徴です。 A1100の機械的性質 材質名 質別 引張性質 ブリネル硬さ せん断強さ (MPa)  疲れ強さ (MPa)  縦弾性係数 ×1000 (kg/mm2) 引張強さ (MPa)  耐力 (MPa)  伸び(%) 板 (1.6mm厚) 棒(12.7mmΦ) A1100 O 90 35 35 42 23 60 35 7.0 H12 110 105 12 22 28 70 40 7.0 H14 125 115 9 18 32 75 50 7.0 H16 145 140 6 15 38 85 60 7.0 H18 165 150 5 13 44 90 60 7.0 参照元:株式会社アルミネ A1100の機械的性質は、上表の通りです。 上表の「O」の性質は焼なましを施した最も軟らかい状態のもので、「H」の性質は冷間加工で生じた加工硬化によって強さが増加した状態のものです。「H」の後に続く数値には以下のような意味があります。 ・H12:1/4 硬質 ・H14:1/2 硬質 ・H16:3/4 硬質 ・H18:硬質 金属は一般に加工硬化が進むと、展延性が低下して破断に至る可能性が高まります。そのため、硬化が進んだ金属に引き続き塑性加工を施すには、加熱して高温状態にし、軟化させる必要があります。 A1100では、約200℃へ至るまでに段々と引張強さと耐力が減少して伸び率が増加し、約200℃を超えるとほぼ焼きなまし状態の機械的性質に戻ります。 A1100の用途 A1100は、日用品や電気機器、建材、タンク類、導電材など、幅広い用途があります。 サビにくく腐食しにくい特性を持つことから、各種容器や家庭用品、台所などの器材など、身の回りの物に多く用いられています。高い熱伝導性を活かした熱交換器部品などの用途もあります。導電材料としての用途もあり、銅の代替材料として送電線や配電線にも使われています。反射性が高いことを活かして、照明器具やミラー、反射板などにも用いられます。建築用材料としての用途もありますが、強度が低いために構造材として使用することはできません。 また、A1100は、耐食性が高いため、ジュラルミンを芯材として、A1100を外側に圧着したアルクラッド材の素材に使用されます。アルクラッド材は、芯材の高強度と外板の高耐食性を活かし、航空機材料などに利用されています。

  • A2011の特徴、成分、機械的性質、使い方

    A2011は、快削性合金と呼ばれ、高強度を示す2000番台のアルミ合金の中でも、特に切削加工性に優れる材質です。強度、被切削性に優れる一方で、耐食性に劣るという欠点もあり、使用環境によっては対策が必要です。A2011は、さまざまな機械・工業用部品として利用されています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A2011の特徴(強度、溶接性、耐食性、被切削性) A2011は、強度、被切削性に優れます。A2011は、銅(Cu)を含有するため、高い強度を示す一方で、耐食性は劣ります。また、A2011には鉛(Pb)とビスマス(Bi)が添加されているため、被切削性が良好です。ただし、A2011の溶融溶接性は低く、結合には主にリベット、ボルト接合、抵抗スポット溶接が用いられます。 参考:アルミ溶接は難しい!?溶接方法を事例を用いて徹底解説!! A2011の用途 A2011は、ボリュームシャフト、光学部品、ネジ部品などに用いられています。 A2011の化学成分 <A2011の成分、組成(単位:%)> 材料記号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn V, Bi, Pb, Zr, Ni など Ti その他 Al A2011 0.40 以下 0.7 以下 5.0 ~ 6.0 ー ー ー 0.30 以下 Bi 0.20~0.6, Pb 0.20~0.6 ー 0.05以下 (計0.15以下) 残部 引用元:JISH4040:アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 A2011の化学成分を上表に示しました。 A2011では、Cu(銅)を添加することで、引張強さ・硬さなど機械的性質を高めています。ただし、銅には耐食性を低下させるという欠点もあります。 また、Pb(鉛)とBi(ビスマス)は切削加工性を向上させる目的で添加されています。 A2011の機械的性質 <A2011の機械的性質> 質別 引張性質 ブリネル硬さ (HB W 10/500) せん断強さ (N/mm2) 疲れ強さ (N/mm2) 引張強さ (N/mm2) 耐力 (N/mm2) 伸び(%) 1.6mm 厚 (L=50mm) 12.5mm径 (L=5D) T3 380 295 ー 13 95 220 125 T8 405 310 ー 10 100 240 125 引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p38 A2011の機械的性質は上表の通りです。 A2011の物理的性質 <A2011の物理的性質> 質別 密度 (20℃) (Mg/m3) 溶解温度範囲(℃) 導電率 (20℃) (IACS,%) 熱伝導度 (20℃) (kW/m•℃) 縦弾性係数 (kN/mm2) T3 2.82 541〜638 39 0.15 70.6 T8 45 0.17 引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p50 A2011の物理的性質は上表の通りです。 A2011の使い方・選び方 前述した通り、A2011は鉛(Pb)を0.2~0.6%含みます。鉛は、環境負荷物質として規制されている場合もあるため、選定時には注意が必要です。ただし、近年では非鉛快削アルミ合金として、鉛の代わりにスズ(Sn)を添加した材質も開発されているため、場合によってはこのような材料を選定すると良いでしょう。

  • A6061の特徴、成分、機械的性質

    A6061は、アルミニウム(Al)にマグネシウム(Mg)とシリコン(Si)を加えた【Al-Mg-Si(6000)系】のアルミ合金です。 No.6000系のアルミ合金は、熱伝導率の関係で、溶接個所や周辺部位にまで熱による強度低下が起きるため、ボルトやナットなどの機械的な接合で用いられることが多い材料です。 A6061も同様の特徴がある一方で、耐食性に優れているため、自動車用部品などに採用されています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A6061の特徴(耐食性) A6061は耐食性に優れていますが、溶接継手強度は低い特徴があります。 しかし、T6処理(溶体化処理後、人工時効硬化処理を施したもの)を施すことで、引張強さは260N/mm2以上、耐力は240N/mm2以上まで強度を高めることが可能です。 流通している材料の形状は、丸棒と板が一般的です。 A6061の化学成分 JIS規格の【JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている化学成分は下記表の通りです。 <A6061の化学成分(単位:%)> 合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti その他a) Al 個々 合計 A6061 0.40 ~0.8 0.7 以下 0.15 ~0.40 0.15 以下 0.8 ~1.2 0.04 ~0.35 0.25 以下 0.15 以下 0.05 以下 0.15 以下 残部 注記 a):その他の元素とは、この表で示されていないが存在の予知される場合又は通常の分析過程において、規定の値を超えるおそれがある場合に、製造業者の判断によって分析する元素である。“個々”の値は、表で示されている元素以外の個々の成分値であり、“合計”の値は、個々の成分値を合計したものである。 引用元:JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 A6061の機械的性質 JIS規格の【JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている機械的性質は下記表の通りです。 <A6061の押出棒の機械的性質> 合金番号 質別a) 引張試験 径、厚さ 又は対辺距離 mm 断面積 cm2 引張強さ N/mm2 耐力 N/mm2 伸びb) % A50mm A 6061 Oe) 全て - 145以下 110以下 16以上 - T4d) T4511d) 全て - 180以上 110以上 16以上 14以上 T42f) 全て - 175以上 85以上 16以上 - T6d) T62f) T6511d) 6以下 - 260以上 240以上 8以上 7以上 6を超え - 260以上 240以上 10以上 9以上 <A6061の引抜棒及び引抜線の機械的性質> 合金番号 質別a) 引張試験 径、厚さ 又は対辺距離 mm 断面積 cm2 引張強さ N/mm2 耐力 N/mm2 伸びb) % A50mm A 6061 Oe) 3以下 - 145以下 - - - 3を超え 100以下 - 145以下 - 18以上 - H13 3以上 10以下 - 155以上 205以下 - - - H18 10以下 - 210以上 - - - T39d) 6以下 - 310以上 - - - 6を超え - 260以上 - - - T4 3以下 - 205以上 - - - 3を超え 100以下 300以下 205以上 110以上 18以上 16以上 T42f) 3以下 - 205以上 - - 3を超え100以下 300以下 205以上 95以上 18以上 - T6 T62f) 3以下 - 290以上 - - - 3を超え100以下 300以下 290以上 240以上 10以上 9以上 T89d) 6以下 - 300以上 - - - 注記 a):質別は、JIS H 0001による b):伸びの測定は、標点距離の異なる次の二つの方法のいずれかを採用する。特に、注文者からの指定がない場合は、A50mmによる。ただし、A50mmの規定がない場合は、Aによる。 A50mm:50mm標点距離における伸び A:5.65√S0の標点距離における伸び(S0:試験片の平行部の断面積、mm2) d):押出後の冷却が制御され、室温で固溶状態が保たれた材料に適用してもよい。 e):質別Oの材料は、質別T42又はT62の材料の基礎となるものであり、注文者からの要求がある場合は、注文者において適切な熱処理をした場合に、質別T42又はT62の材料の性能を保証しなければならない。 f):質別T42の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて溶体化処理後、十分な安定状態で自然時効硬化処理をした場合に適用する。また、質別T62の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて溶体化処理後、人工時効硬化処理した場合に適用する。ただし、注文者において溶体化処理する前に何らかの冷間加工又は熱間加工をした場合には、規格値より低くなることがある。 引用元:JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 A6061の物理的性質 質別 導電率 (20℃, IACS,%) 熱伝導率 (25℃、kW/(m・℃)) 線膨張係数 (20~100℃×10-⁶) 縦弾性係数 (×1000Kg/kgf/mm²) 比重 溶解温度範囲 (℃) T4 40 0.15 23.6 7.00 2.70 582~652 T6 43 0.17 23.6 7.00 2.70 582~652 引用元:阪根商事株式会社 A6061の用途 A6061は耐食性に優れる一方で、溶接性に劣ることから以下のような用途に採用されています。 用途例:ボルトやリベット接合の構造用材・自動車用部品など A6061の使い分け アルミ合金の代表的なものにA5052とA2017(ジュラルミン)があります。ここでは、これらの材料とA6061の使い分けをご紹介します。 A6061とA5052の使い分け A5052は耐食性・溶接性に優れているのが特徴です。また、強度についてもアルミ合金のなかでは中程度の数値を示しています。A6061は耐食性が高く、T6処理を行うことで高い強度を得られますが、溶接継手強度が低い点はデメリットです。 これらを比較すると、強度はA6061の方が優れており、溶接継手としてはA6061の方が不向きのため、強度を重視したい場合はA6061を、溶接が必要な製品を作る場合はA5052を用いるのがおすすめです。 参考:A5052の化学成分、機械的性質、強度 A6061とA2017(ジュラルミン)の使い分け A2017はアルミ合金のなかでも優れた強度を持ち、T6処理を施したA6061よりも強度が高い特徴があります。しかし耐食性に関しては劣るので、強度を重視したい場合はA2017を、ある程度の強度と耐食性を備えた材料を使いたい場合はA6061を使うのがおすすめです。 参考:A2017(ジュラルミン)の強度|A2024・A7075との関係

  • A7075(超々ジュラルミン)化学成分、強度、腐食、機械的性質

    A7075は、Al-Zn-Mg-Cu系の成分を持つアルミ合金です。A7075は、一般に「超々ジュラルミン」と呼ばれ、アルミ合金の中でもトップクラスの強度を有する材質の一つです。強度に優れる一方、応力腐食割れや耐食性に劣るという欠点があるものの、航空機、スポーツ用品、機械部品など、さまざまな分野で使用されています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A7075の特徴・用途、耐食性 A7075の特徴は、非常に高い強度を持つことです。また、鉄鋼材料と比較して軽量であることから、さまざまな用途で使用されています。ただし、A7075は価格が高いため、多くの場合、強度が必要とされる箇所に限って使用されます。 A7075の用途としては、航空機、人工衛星、ロケット、自動車部品、溶接構造材や各種金型などの工業用部品、スキー板や金属バットなどのスポーツ用品、自転車、ロボットなどが挙げられます。 このように幅広い分野で利用されているA7075ですが、応力腐食割れや耐食性に劣るという難点があることから、使用環境によっては対策が必要です。 参考:応力腐食割れをわかりやすく!3要素と対策方法 A7075の化学成分 <A7075の成分、組成(単位:%)> 材料記号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti その他 Al A7075 0.40 以下 0.50 以下 1.2 ~ 2.0 0.30 以下 2.1 ~ 2.9 0.18 ~ 0.28 5.1 ~ 6.1 0.20 以下 0.05以下 (計0.15以下) 残部 引用元:JISH4000:アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 A7075の化学成分を上表に示しました。 A7075は、Al-Zn-Mg-Cu系のアルミ合金です。A7075では、Zn(亜鉛)とMg(マグネシウム)に加え、Cu(銅)を添加することで、非常に高い強度を得ています。 A7075の機械的性質(強度、硬度等) <A7075(質別:T6)の機械的性質> ブリネル硬さ (HB) 引張強さ (N/mm2) 耐力 (N/mm2) せん断強さ (N/mm2) 疲れ強さ (N/mm2) 伸び (%)板 伸び (%)棒 150 570 505 330 160 11 9 A7075の機械的性質を上表に示しました。A7075は、アルミ合金の中でも、非常に高い強度を示す反面、溶接性や耐食性に劣ります。 A7075の物理的性質 <A7075の物理的性質> 融点 ℃ 密度 (g/cm3) ヤング率 (縦弾性係数) GPa 剛性率 (横弾性係数) GPa ポアソン比 線膨張率 (ppm/K) 定圧比熱 (J/kg•K) 熱伝導率 (W/m•K) 約660.4 2.8 70.7 26 0.33 23.6 962 130 A7075の物理的性質は上表の通りです。

  • A6063の化学成分、機械的性質、強度、耐力

    A6063は、A6000系(Al-Mg-Si系)のなかでも代表的な押出用合金です。A6061より強度は劣るものの、押出加工性が良好で複雑な断面形状でも成形できるほか、耐食性と表面処理性にも優れています。主な用途としては、サッシなどの建築用材・土木用材・車両用材・家電製品などに採用されています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A6063の化学成分 <合金番号6063の化学成分(単位:%)> 合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti その他 Al 個々 合計 6063 0.20~0.6 0.35 以下 0.10 以下 0.10 以下 0.45~0.9 0.10 以下 0.10 以下 0.10 以下 0.05 以下 0.15 以下 残部 引用元:JIS H 4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材 A6063の機械的性質(引っ張り強さ、耐力、伸び等) <合金番号6063の機械的性質> 合金番号 質別a) 引張試験 硬さ試験 試験箇所の肉厚 (mm) 引張強さ (N/mm2) 耐力 (N/mm2) 伸びb) (%) 試験箇所の肉厚 (mm) HV5 A50mm A 6063 T1 12以下 120以上 60以上 12以上 - - - 12を超え25以下 110以上 55以上 12以上 - - - T4c) 25以下 130以上 65以上 12以上 14以上 - - T5d) 12以下 150以上 110以上 8以上 7以上 0.8以上 58以上 12を超え25以下 145以上 105以上 8以上 7以上 T6c) 3以下 205以上 170以上 8以上 - - - 3を超え25以下 205以上 170以上 10以上 - - - T64c) 15以上 180以上 120以上 10以上 12以上 - - T66c) 10以下 245以上 200以上 6以上 8以上 - - 10を超え25以下 225以上 180以上 6以上 8以上 - - a):質別は、JIS H 0001による。 b):伸びの測定は、標点距離の異なる次の二つの方法のいずれかを採用する。特に、注文者からの指定がない場合は、A50mmによる。ただし、A50mmの規定がない場合は、Aによる。 A50mm:50mm標点距離における伸び A:5.65√S0の標点距離における伸び(S0:試験片の平行部の断面積、mm2) c):押出後び冷却が制御され、室温で固溶状態が保たれた材料に適用してもよい。 d):質別T5の機械的性質は、引張試験又は硬さ試験のいずれかによる。 引用元:JIS H 4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材 A6063の物理的性質(密度、比重等) <合金番号6063の物理的性質> 質別 導電率 (20℃, IACS,%) 熱伝導率 (25℃、kW/(m・℃)) 線膨張係数 (20~100℃×10-⁶) 縦弾性係数 (×1000Kg/kgf/mm²) 比重 溶解温度範囲 (℃) T5 55 0.21 23.4 7.00 2.69 625~655 T6 53 0.20 23.4 7.00 2.69 625~655 引用元:阪根商事株式会社 A6063の加工性(押出加工性、耐食性、溶接の継手効率) A6063はアルミ合金のなかでも代表的な押出用材料です。押出加工性に優れているため、高精度の製品を成形できます。また、アルミニウムの特徴である酸化皮膜を形成することから、耐食性も良好です。 溶接に関しては継手効率が低く、ビスやリベット、ボルトナットなどによる接合を採用しているケースが多いです。 参考:【押し出し加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例について徹底解説! 参考:【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説! 参考:アルミ溶接は難しい!?溶接方法を事例を用いて徹底解説!!

  • A5052の化学成分、機械的性質、強度

    A5052は、アルミ合金のなかでも、ちょうど中程度の強度をもった材料です。耐食性や成形性、溶接性に優れていることから、工作材料として幅広い用途で使われています。 5000系のアルミ合金はマグネシウム(Mg)を多く添加しており、その比率に応じて性質が異なるものです。A5052は、5000系の扱いやすい材料であるため、代表的なアルミ合金として使われています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! 参考:アルミ材の種類について【専門家が語る】どのアルミ材を使えばいいか一目でわかる! A5052の特徴(耐食性・溶接性・強度) A5052は耐食性・溶接性に優れているのが特徴です。また、強度についてもアルミ合金のなかでは中程度の数値を示しています。これらの内容から、曲げ加工や切削加工といった工作に適した材料とされ、建築用材・船舶材・車両用材・飲料缶などの幅広い用途で使われています。 一般的に流通している材料は主に板材と丸棒が該当します。特に板材は流通量が多く、容易に入手が可能です。 参考:アルミ溶接は難しい!?溶接方法を事例を用いて徹底解説!! A5052の化学成分 <合金番号5052の化学成分(単位:%)> 合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn その他 Al 個々 合計 5052 0.25 以下 0.40 以下 0.10 以下 0.10 以下 2.2~2.8 0.15~0.35 0.10 以下 0.05 以下 0.15 以下 残部 引用元:JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 A5052の機械的性質 <A5052(板、条、厚板及び円板)の機械的性質> 記号 質別 引張試験 曲げ試験 厚さ (mm) 引張強さ (N/mm2) 耐力 (N/mm2) 伸び (%) A50mm 厚さ (mm) 内側半径 A5052P H112 4.0以上6.5以下 195以上 110以上 9以上 - - 6.5を超え13.0以下 195以上 110以上 7以上 13.0を超え50.0以下 175以上 65以上 12以上 50.0を超え75.0以下 175以上 65以上 16以上 O 0.2以上0.3以下 170以上 215以下 - 14以上 0.2以上0.8以下 0.8を超え2.9以下 2.9を超え6.0以下 密着 厚さの0.5倍 厚さの1倍 0.3を超え0.5以下 65以上 15以上 0.5を超え0.8以下 65以上 17以上 0.8を超え1.3以下 65以上 17以上 1.3を超え2.9以下 65以上 19以上 2.9を超え6.5以下 65以上 19以上 6.5を超え75.0以下 65以上 18以上 H12 H22※) H32 0.2以上0.3以下 215以上 265以下 - 3以上 0.2以上0.8以下 0.8を超え2.9以下 2.9を超え6.0以下 厚さの0.5倍 厚さの1倍 厚さの1.5倍 0.3を超え0.5以下 - 4以上 0.5を超え0.8以下 - 5以上 0.8を超え1.3以下 155以上 5以上 1.3を超え2.9以下 155以上 7以上 2.9を超え6.5以下 155以上 9以上 6.5を超え12.0以下 155以上 11以上 H14 H24※) H34 0.2以上0.5以下 235以上 285以下 180以上 3以上 0.2以上0.8以下 0.8を超え2.9以下 2.9を超え6.0以下 厚さの1倍 厚さの1.5倍 厚さの2倍 0.5を超え0.8以下 4以上 0.8を超え1.3以下 4以上 1.3を超え2.9以下 6以上 2.9を超え6.5以下 6以上 6.5を超え12.0以下 10以上 H16 H26※) H36 0.2以上0.8以下 255以上 305以下 - 3以上 0.2以上0.8以下 0.8を超え1.3以下 1.3を超え4.0以下 厚さの2倍 厚さの2.5倍 厚さの3倍 0.8を超え4.0以下 205以上 4以上 H18 H38 0.2以上0.8以下 255以上 3.5以下 - 3以上 - - 0.8を超え3.0以下 205以上 4以上 - - H19 H39 0.15以上0.5以下 285以上 - 1以上 - - 注記 A50mm:50mm標点距離における伸び ※)質別H22、H24、H26については、引張強さの上限及び耐力は適用しない。 規定の厚さ以外の寸法の機械的性質は、受渡当事者間の協定による。 耐力は、注文者の要求のある場合だけに適用する。 曲げ試験は、注文者の要求のある場合だけに適用する。 引用元:JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条

  • A2017(ジュラルミン)の強度|A2024・A7075との関係

    「ジュラルミン(A2017)」とは、どのような材料かご存知でしょうか。世の中には「ジュラルミンケース」と呼ばれるトランクがあるため、名前を聞いたことがある方は多いと思います。 ジュラルミンは、軽さと強度を両立した材料であるため、トランク以外にもさまざまな業界で使われている材料です。 今回の記事では、ジュラルミン(A2017)について知りたい方向けに、基礎知識や用途について解説します。また、似た材料でジュラルミンと同様に活用されているシーンの多い、超ジュラルミン(A2024)・超々ジュラルミン(A7050)についても、併せてご紹介します。 ジュラルミンの知識を深めたい方は、ぜひご一読ください。 ジュラルミン(A2017)は、強度のあるアルミニウム合金 ジュラルミンとは、アルミニウムAlに銅CuとマグネシウムMgを添加した、高強度の合金のこと。ジュラルミンには、さらに強度を高めた超ジュラルミンと超々ジュラルミンも存在します。 ジュラルミンは、JIS規格ではA2017と呼ばれている材料で、比重2.79と非常に軽量でありながら、優れた強度と切削加工性を有しているのが特徴。比重は、ステンレスの7.93と比べると、半分以下の軽さです。ただし、他のアルミニウム材と比べて、耐食性と溶接性については劣ります。 また、ジュラルミンは、銅3.5~4.5%、マグネシウム0.40~0.80%を含有しています。アルミニウムは銅を添加すると、強度が高くなる傾向にあります。しかし、酸化しやすくなる性質も付与されてしまい、耐食性は低下します。そのため、腐食しやすい環境でジュラルミンを使用する際は、アルマイト処理などの対策が必要です。 参考:アルマイト処理について解説!アルマイト処理のメリットについても解説! アルミニウム合金は、番号で区別される JIS規格では各アルミニウム合金を番号で区別しています。この番号は、AA(アメリカ・アルミニウム協会)で統一された「AAナンバー」と呼ばれています。今回ご紹介するジュラルミンはA2017に該当しますが、このアルファベットと数字にはそれぞれ意味があります。 引用元:有限会社遠藤鋳造所 それでは、上の番号を例にアルファベット・数字の意味を見てみましょう。 1番目のAは、アルミニウムおよびアルミニウム合金を表す記号です。 2番目の数字は、アルミニウム合金の系統を表しています。2の意味は銅Cuをメインに加えた合金を意味しますが、銅とは別の元素を含むものの場合は、異なる数字を用います。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! 各種類の数字の意味については以下の表にまとめてみましたのでご参考ください。 1  純アルミニウム 2 【Al-Cu系】アルミニウム+銅 3 【Al-Mn系】アルミニウム+マンガン 4 【Al-Si系】アルミニウム+ケイ素 5 【Al-Mg系】アルミニウム+マグネシウム 6 【Al-Mg-Si系】アルミニウム+マグネシウム+ケイ素 7 【Al-Zn-Mg系】アルミニウム+亜鉛+マグネシウム 8 【その他 Li添加系など】アルミニウム+リチウムなど 9  予備 3番目は、0から9までの数字が入り、0は基本合金・1~9までは合金の改良系といったように使い分けます。また、日本独自の合金、またはAA(アメリカ・アルミニウム協会)の規格以外の合金にはNを用います。 4番目は、純アルミニウムの場合、アルミニウム純度の小数点2桁を表示します。また、アルミニウム合金の場合は、アルコアと呼ばれるアメリカのアルミニウム会社の規格記号(旧アルコア記号)をもとに付けられた数字を表示します。 5番目のPは、板や管などの形状を表す記号です。管・棒・線・導体については、普通級と特殊級の2種類に分かれており、特殊級の場合にのみ形状記号の後ろにSが付随します。 形状記号 形状 P 板、条、円板 PC 合わせ板 BE 押出棒 BD 引抜棒 W 引抜線 TE 押出管 TD 引抜管 TW 溶接管 TWA アーク溶接管 S 押出形材 FD 型打鍛造品 FH 自由鍛造品 6番目は、質別記号と呼ばれるもので、調質の種類を表しています。詳細な内容については下記表を参照してください。 質別記号 内容 F 製造のままのもの H 加工硬化により強さを増加したもの O 焼なまししたもの T3 溶体化処理後、冷間加工を行い、更に自然時効させたもの T351 溶体化処理後、冷間加工を行い、残留応力を除去し、更に自然時効させたもの T4 溶体化処理後、自然時効させたもの T451 溶体化処理後、残留応力を除去し、更に自然時効させたもの T5 高温加工から冷却後、人工時効硬化処理したもの T6 溶体化処理後、焼戻しをしたもの T651 溶体化処理後、残留応力を除去し、更に人工時効硬化処理したもの T7 溶体化処理後、安定化処理したもの T8 溶体化処理後、冷間加工を行い、更に人工時効処理をしたもの T9 溶体化処理後、人工時効硬化処理を行い、更に冷間加工したもの 参考:鋼の性質を変える【熱処理】とは?仕組みや種類について徹底解説! ジュラルミンの用途 ジュラルミンは、優れた軽量性と強度を有します。用途としては、これらの特徴を要する、航空機・船舶用材料・金型、その他にネジやリベットといった部品にも用いられています。 また、ジュラルミンは、軽量で持ち運びにも優れているため、スーツケースやアタッシュケース、アウトドア用品のテントやチェアのフレームなどにも採用されています。 超ジュラルミン(A2024)、超々ジュラルミン(A7075)とは 超ジュラルミン 超ジュラルミンは、A2024の材料のこと。銅Cuの含有量が3.8~4.9%、マグネシウムMgの含有量が1.2~1.8%と、ジュラルミン(A2017)よりも多くなっています。これにより、強度と切削加工性がさらに向上していますが、耐食性についてはやや劣るのが特徴です。 比重については、超ジュラルミンが2.78のため、ジュラルミンからほとんど変化はありません。 超々ジュラルミン 超々ジュラルミンは、A7075の材料です。銅Cuは1.2~2.0%、マグネシウムMgは2.1~2.9%、亜鉛Znは5.1~6.1%含有しています。 主に亜鉛とマグネシウムを含有した7000系の材料で、アルミニウム合金のなかでも、非常に優れた強度を有します。その反面、難削材である点はデメリットです。また、応力腐食割れ(引張応力が加わった状態で、特定の腐食環境にさらされると割れる現象)を起こす心配もあるため、腐食環境での使用の際は注意が必要です。 比重については、超々ジュラルミンが2.80と、他のジュラルミンと比べても同等の軽量性を有します。 A2017・A2024・A7075の硬度と比重の比較 材料 硬度(単位:HB) 比重 アルミニウム(A5052) 65 2.7 ジュラルミン(A2017) 105 2.79 超ジュラルミン(A2024) 120 2.78 超々ジュラルミン(A7075) 160 2.80 ステンレス(SUS304) 187 7.93 上表は、ジュラルミン・超ジュラルミン・超々ジュラルミンに加え、使用頻度の多いA5052アルミニウムとSUS304ステンレスの硬度と比重を比較したものです。硬度の単位はすべてブリネル硬さとなります。 上表を見てわかるように、ジュラルミン・超ジュラルミン・超々ジュラルミンは、アルミニウムと比べると、高い強度を有しています。これらは、ステンレスの硬度にやや劣りますが、その分比重の数値が小さいため、比強度(強度と重量の比)に優れています。 ジュラルミンまとめ ジュラルミン(A2017)は、銅とマグネシウムを含有したアルミニウム合金で、軽量性と強度に優れた材料です。似た材料で、より強度に優れた超ジュラルミン(A2024)、超々ジュラルミン(A7075)がありますが、超々ジュラルミンは、アルミニウム合金のなかでも非常に高い強度を持つ材料です。 ジュラルミンは、優れた軽量性と強度を持つことから、主に航空機や船舶用材料などに採用されています。 ジュラルミンをはじめとした、アルミニウム合金の加工業者をお探しの場合は、ぜひMitsuriまでご相談ください。日本全国で250社以上の協力企業と提携しているので、お客様のご希望に沿う加工業者が見つかります。見積りは複数社から可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

  • アルミ板加工について加工の種類ごとにご紹介!

    アルミ板は、軽量かつ加工性や耐食性に優れていることから、電化製品・自動車部品・建築材などの幅広い分野で活躍しています。扱いやすい素材のため、DIYで利用している家庭も多く見受けられます。ただし、一口にアルミと言っても、純アルミニウムやアルミニウム合金など、種類が豊富にあるのをご存知でしょうか。また、アルミ板の加工の種類についても、どのようなものがあるのか知らない方も多いかと思われます。 「アルミ板の種類を知りたい」 「アルミ板の加工方法は何があるの?」 本記事では、このような疑問をお持ちの方に向け、アルミ板の種類や加工方法(曲げ・プレス・切削)について、詳しくご紹介します。アルミ板についてお悩みの方は、ぜひご一読ください。 アルミの特性とアルミ板の種類 アルミは、鉄や銅よりも軽量で、熱伝導性・導電性・展延性が高いのが特徴です。また、表面に酸化被膜を形成するため、耐食性も良好です。しかし、柔らかい素材なので、強度を持たせるために他の金属を添加している場合もあります。 アルミニウムは、純度が99.0%以上のものを「純アルミニウム」、他の金属を添加したものを「アルミニウム合金」と呼びます。これらは、「番手」と呼ばれる、アルファベットのAとその後ろにつく4桁の数字でグループ分けされ、数字によって特性が異なります。 ここでは、代表的なアルミ板の種類を紹介していきます。 1000番台(例:A1050) 2000番台(例:A2017、A2024) 5000番台(例:A5052) 6000番台(例:A6061) 1000番台は、アルミの純度が99.0%以上のものを指します。純度が高いため、アルミニウム本来の加工性の良さや、強度の低さが顕著に表れています。A1050はアルミニウム純度が99.5%で、強度が低い分、加工性に優れています。 2000番台は、アルミに銅とマグネシウムを加えた合金です。A2017は「ジュラルミン」、A2024は「超ジュラルミン」とも呼ばれ、鉄鋼材料に匹敵する強度を有しています。ただし銅を含んでいるため、耐食性にやや難があります。 5000番台は、アルミにマグネシウムを加えた合金。強度を向上しながらも、耐食性や加工性に優れた素材です。A5052は、アルミ合金のなかだと中間ほどの強度があり、幅広い分野で使用されています。 6000番台は、アルミにマグネシウムとシリコンを加えた合金。強度と耐食性に優れているため、ボルトやナットなどの接合部品や、船舶や車両などの材料に使われています。 参考記事 アルミ板の特徴については、以下の記事でも解説しています。 ⇒アルミ板の種類と板厚が丸わかり! 買うべき板が見つかります アルミ板加工【曲げ加工】 曲げ加工とは 曲げ加工は、被加工材を任意の角度に曲げたり、Rを付けたりする加工のこと。曲げ加工は主に、ロール曲げ・板折り曲げ・ベンダー曲げがあります。 ロール曲げは、複数のローラーの間に板材を通して加工。板折り曲げは、被加工材をベースプレートと上板で固定してから、折り曲げる加工方法です。ベンダー曲げは、プレス加工の一種で、金型を使って被加工材をプレスすることで成形します。 参考記事 アルミ板の曲げ加工については、以下の記事で詳しく解説しています。 ⇒アルミ板の曲げ加工について専門家が徹底解説!3つの曲げを紹介!   曲げ加工のメリット・デメリット 曲げ加工は、ロール曲げや板折り曲げだと、金型が不要で成形できます。そのため、イニシャルコストもかからず、素早い対応が可能です。円筒状にも成形できるので、任意の直径に製作することも可能。切削とは違い、材料を削らないため、ムダが出ないこともメリットと言えます。 しかし、曲げ加工をする上で「スプリングバック」と呼ばれる現象に注意しなければなりません。「スプリングバック」とは、被加工材が曲げ加工される前の形状に戻ろうとする力が働き、目的の形状とずれてしまうことを言います。この現象を防ぐために、設計者や作業者は対策を講じなければなりません。対策の仕方によって精度に違いが出るので、高精度の製品を依頼する方は、加工メーカーとよく相談しておきましょう。   曲げ加工の製作事例 アルミ板曲げ加工品(材質:A5052 板厚:5mm サイズ:110×35×70mm) 引用元:株式会社上野製作所 アルミ板曲げ加工品(板厚:1.5mm) 引用元:株式会社NIMURA アルミ板材曲げ加工品(板厚:0.8mm) 引用元:株式会社NIMURA 参考記事 曲げ加工の製作事例は、以下の記事でも詳しく紹介しています。 ⇒アルミ板の曲げ加工について専門家が徹底解説!3つの曲げを紹介! アルミ板加工【プレス加工】 プレス加工とは プレス加工とは、専用のプレス機と金型を用いて、被加工材を変形、またはせん断する加工のこと。金型は上型と下型を用意する必要があり、そこに被加工材を挟み込むことで、任意の形に成形します。 プレス加工は、曲げ加工・せん断加工・絞り加工の大きく3種に分けられます。曲げ加工は、被加工材をプレスして押し曲げること。せん断加工は、穴あけパンチ器のように、プレスして切り抜いたり切ったりすることを言います。絞り加工は、被加工材をプレスして、上型と下型に沿った形状に変形させる加工。例を挙げると、板材からボウルのような形状に成形するようなものです。   プレス加工のメリット・デメリット プレス加工は、金型を用意することで、簡単に同一の製品を生産できます。作業員の手もあまりかからなくなることから、スキルの違いによる品質の差が生まれにくいのもメリットです。 しかし、金型や製造ラインを用意するのにお金と時間がかかる点には注意が必要。また、仕様変更などで、製品の形状に変化を加えなければならない場合も、即座に対応するのは困難です。 このことから、プレス加工は小ロットや試作品の製作よりも、単純な形状の部品などを大量生産するのに適しています。 参考記事 プレス加工の基礎知識や種類については、以下の記事にて詳しく解説しています。 ⇒プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!   プレス加工の製作事例 自動車部品(材質:A5083 板厚:1.2mm 絞り加工) 引用元:株式会社エヌエープロテック 自動車部品(板厚:0.6mm 精度:±0.1mm程度 絞り加工) 引用元:株式会社エヌエープロテック アルミ絞り品(材質:A5052 板厚:0.5mm サイズ:214×122×25mm 絞り加工) 引用元:株式会社西野精器製作所 アルミ板加工【切削加工】 切削加工とは 切削加工とは、被加工材を切る、または削ることで成形する加工のこと。切削加工には大きく分けて、旋削加工・転削加工があります。 旋削加工は、被加工材を回転させ、そこに刃物を当てることで削る加工方法。転削加工は、被加工材ではなく、刃物を回転させて削ります。 参考記事 切削加工の特徴や種類などの詳細は、以下の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。 ⇒【切削加工とは?】特徴・種類・注意点を動画と一緒にご紹介します!   切削加工のメリット・デメリット 切削加工は、プレス加工と違い刃物を使って成形します。金型を用意する必要がないので、イニシャルコストを削減できるほか、小ロットであれば素早い対応も可能。また、構造が複雑かつ、高い精度の物を製作できるのもメリットです。 ただし、材料を無垢の状態から削り出して成形するため、切粉が多く出たり、作業量も多くなることから、大量生産には比較的向いていません。 また、アルミを切削加工すると、発生した熱によりアルミが溶けて、刃物に付着することもあります。アルミが刃物に付着すると、高い精度での加工ができません。これを防ぐためには、切粉を頻繁に取り除いたり、切削油を用いたりするなどの対策が必要です。   切削加工の事例 アルミ切削加工品(材質:A5052 サイズ:2×55×55mm) 引用元:株式会社長濱製作所 アルミ切削加工品(サイズ:450x150x10mm) 引用元:株式会社タカヤマ アルミ研磨プレート(材質:A5052 サイズ:30×200×300mm) 引用元:プレート加工.com 参考記事 アルミ切削加工の特徴や製作事例については、以下の記事にて詳しく紹介しています。 ⇒アルミ切削加工ならMitsuri!1個からでもお受けいたします! アルミ板加工の見積り依頼をするならMitsuri 今回はアルミ板加工について紹介しましたがいかがでしたでしょうか。アルミは軽量で、熱伝導性・導電性・展延性・耐食性に優れています。ただし、柔らかい材質のため、さまざまな金属を添加して、強度を持たせた合金として使用することが多い材料です。 アルミ板の加工は、主に曲げ加工・プレス加工・切削加工があります。アルミは加工しやすい素材ですが、熱で材料が溶けたり、加工中にキズが付きやすいといった点には注意しなければなりません。このことから、高い精度が求められる製品を作る場合は、加工メーカー選びも重要です。 アルミ板加工メーカーをお探しの際は、ぜひMitsuriまでご相談ください。日本全国で250社以上の協力企業と提携しているので、お客様の希望に沿うアルミ板加工メーカーが見つかります。お見積りは複数社から可能ですので、気軽にお問い合わせください。

  • アルミフレームとは?種類やメリット、活用事例を解説!

    筐体などの構造体の設計には欠かせないアルミフレーム。特に、工場など生産現場では、コンベアや台車、安全柵、作業台など幅広い用途で使用されています。また、最近ではホームセンターなどでも気軽に購入できることから、自作の家庭用家具(ラックやテーブル、物置台など)の製作などにも広く用いられています。 今回は、そんなアルミフレームについて、アルミフレームを使用するメリットやその種類・用途のほか、アルミフレームを使用した活用事例など、幅広い内容について解説していきます。アルミフレームについてさらに知識を深めたい方や、アルミフレームの加工でお悩みの方は、ぜひご一読ください。 アルミフレームとは アルミフレームとは、アルミの加工性の良さを利用して、ビレットと呼ばれる円柱状の塊を押し出すことによって製作された構造材料を指します。最近では、産業用部材として機械用のカバーや架台の骨組みなどにも使用されており、鉄フレームの構造体に代わる素材として注目されています。 アルミフレームのメリット 次に、アルミフレームのメリットについてご紹介していきます。アルミフレームには、以下のような利点が挙げられます。 軽量 アルミの比重は鉄の約1/3となっており、非常に軽い金属となっています。そのため、アルミフレームを使用することで製品の軽量化につながります。 製造コスト・時間の短縮 アルミフレームでは、表面にアルマイト処理(人工的に酸化皮膜を生成させる処理)が施してあるため、メッキや塗装などの工程が必要ありません。 また、ボルト・ナットなどの材料を用いて組み立てを行うため、溶接の工程も必要ありません。このように、アルミフレームを用いることで加工の工程数を減らすことができるため、製品の製造に必要なコストや時間の短縮につながります。 設計の変更が簡単 アルミフレームは、ボルトなどを用いて簡単に組み立てられるので、製品の急な設計変更や後からの増設なども簡単に行うことができます。 また、アルミは鉄などに比べて軟らかい金属であるため加工しやすく、穴あけや切断などの追加工も容易に行うことができるというメリットもあります。 参考記事 こちらの記事では、アルミに関する基本的な知識について詳しく解説しています。アルミについて、さらに詳しく知りたいという方は、ぜひご覧ください。 ⇒【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説! アルミフレームの種類【サイズ】 次に、アルミフレームの種類についてご紹介していきます。まずは、サイズの違いについて見ていきましょう。 アルミフレーム【5シリーズ】 引用元:株式会社ミスミグループ本社 上図(左)に示したように、溝幅6mmのアルミフレームで、M5のボルトに適用するため5シリーズと呼ばれています。20mm、25mm、40mmのサイズがあります。 また、下図に示すようにT溝寸法は12mmで、L寸(フレーム長さ)の公差は±0.5mmとなっています。主な角数は20/25/40mm角です。 引用元:株式会社ミスミグループ本社 <主な用途> 主な用途としては、小型カバーや小物部品のラック、安全柵などとなっており、力の負荷が少ない場所での使用に適しています。 アルミフレーム【6シリーズ】 引用元:株式会社ミスミグループ本社 上図(左)に示したように、溝幅8mmのアルミフレームで、M6のボルトに適用するため6シリーズと呼ばれています。30mm、50mm、60mmのサイズがあります。 また、下図に示すようにT溝寸法は16.5mmで、L寸(フレーム長さ)の公差は±0.5mmとなっています。主な角数は30/50/60mm角です。 引用元:株式会社ミスミグループ本社 <主な用途> 主な用途としては、中型カバーや小型設備架台、コンベアフレームなどとなっており、幅広い用途で用いられています。 アルミフレーム【8シリーズ】 引用元:株式会社ミスミグループ本社 上図(左)に示したように、溝幅10mmのアルミフレームで、M8のボルトに適用するため8シリーズと呼ばれています。40mm、80mmのサイズがあります。 また、下図に示すようにT溝寸法は20mmで、L寸(フレーム長さ)の公差は±0.5mmとなっています。主な角数は40/80mm角です。 引用元:株式会社ミスミグループ本社 <主な用途> 主な用途としては、大型クリーンブースや設備架台、構造物などとなっており、重さのかかる場面での使用に適しています。 アルミフレーム【8-45シリーズ】 引用元:株式会社ミスミグループ本社 上図(左)に示したように、溝幅10mmのアルミフレームで、M8のボルトに適用し、8シリーズの一種となります。45mm、50mm、60mm、90mm、100mmのサイズがあります。 また、下図に示すようにT溝寸法は20mmで、L寸(フレーム長さ)の公差は±0.5mmとなっています。主な角数は45/90mm角です。 引用元:株式会社ミスミグループ本社 <主な用途> 主な用途としては、8シリーズ同様、大型クリーンブースや設備架台、構造物などで、より強度が必要な場面での使用に適しています。 Mitsuriでは、こちらでご紹介したようなさまざまな種類のアルミフレームの製作を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。 アルミフレームの種類【強度】 次に、アルミフレームの各種類における強度の違いについて見ていきましょう。 アルミフレームは、一般に標準アルミフレーム、軽量アルミフレーム、高剛性アルミフレームの3種類に分類され、この順に強度が高くなります。その違いは、使用されている材料の材質や肉厚です。 当然、肉厚が厚い材料では強度は高くなりますが、材料の重量も重くなり、さらにフレームの価格も高騰します。そのため、アルミフレームを選定する際には、必要な強度とともに、重量、価格を考慮することが大切です。 アルミフレームの許容荷重計算 アルミフレームの許容荷重とは、フレームの両端を支持した状態で荷重を加え、フレームのたわみ量がフレーム長さの1/1000mmになった時の荷重を指します。 たわみ量は、たわみ量算出簡易表と呼ばれる表や計算式を用いて算出することが可能です。アルミフレームを使用して製品を設計する際には、アルミフレームの許容荷重の計算が必要となってくるので注意しましょう。 アルミフレームの活用事例 最後に、アルミフレームの活用事例をご紹介していきます。 下の写真は、工場の装置やライン周りなどで用いられる安全柵での活用例です。 引用元:SUS株式会社 下の写真は、機械カバーの扉に用いられているアルミ製シャッターでの活用例です。 引用元:株式会社イマオコーポレーション 下の写真は、工場の生産ラインをつなぐコンベアの架台での活用例です。 引用元:エヌアイシ・オートテック株式会社 アルミフレーム製作の一括見積りを依頼するなら【Mitsuri】 アルミフレームは種類が豊富で、サイズの他にも強度、重量、価格なども異なってくるため、アルミフレームの製作を依頼する際にはメーカーを選定するのが難しくなってくるかもしれません。 アルミフレームの製作を依頼できるメーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!アルミフレームの製作でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

  • アルミプレート加工を徹底解説!板厚、公差、加工事例までご紹介!

    アルミプレートは、アルミ板とも呼ばれ、私たちの身近なところにおいても幅広い用途で使用されています。ただし、アルミプレートと言っても、その種類は多岐に渡り、さらに使用されている板厚もさまざまです。 今回は、そんなアルミプレートについて、その特徴や代表的な種類や板厚に加えて、アルミプレート加工における寸法公差についても説明していきます。また、最後にアルミプレートの曲げ・切断・パンチングプレートの加工事例についても、加工方法の解説とともにご紹介します。 アルミプレートの加工についてさらに知識を深めたい方や、アルミプレートの加工でお悩みの方は、ぜひご一読ください。 アルミの素材の特徴 アルミの素材の特徴としては、比重が軽いこと、優れた加工性・耐食性・熱伝導性を持つことなどが挙げられます。比重や熱伝導性については、鉄と比較すると、比重は鉄の約1/3、熱伝導率は鉄の約3倍となっています。特に、アルミプレートは、その軽さや加工のしやすさから、DIYにも適しており、最近ではホームセンターでアルミ板を購入して、家庭内でアルミケースなどの製作を行う人も増えています。 アルミプレートの種類 アルミは一般的に合金として使用されることが多く、その含有されている金属によって、次のように、1000番台〜8000番台までに分類されます。 アルミ合金の種類 ・1000番台:純アルミ ・2000番台:アルミ-銅合金 ・3000番台:アルミ-マンガン合金 ・4000番台:アルミ-ケイ素合金 ・5000番台:アルミ-マグネシウム合金 ・6000番台:アルミ-マグネシウム-ケイ素合金 ・7000番台:アルミ-亜鉛-マグネシウム合金 ・8000番台:アルミ-リチウム合金 ここでは、その中でもより代表的なアルミプレートの種類について、その特徴とともにご紹介していきます。 A1050 1000番手系であるA1050は、純度が99.5%以上の純アルミの材質となっています。アルミプレートの中でも最も使用されている材料で、サイズ展開も豊富です。特徴としては、強度は低いものの、成形性、溶接性、耐食性、加工性が良好で、中でも耐食性はアルミ合金の中で最も優れています。 A1100 A1100も1000番手系で、純度が99%以上の純アルミ材ですが、その他の1000番手系の材質とは異なり、A1100には微量の銅が添加されています。強度は比較的低いですが、成形性、溶接性、耐食性に優れるという特徴を持っています。 A2017 2000番手系であるA2017は、ジュラルミンとも呼ばれ、アルミに銅や少量のマグネシウムを添加し、強度が非常に高い材質となっています。一方、強度が高い分、加工性は低く、また溶接性や耐食性も他のアルミ合金と比ベて若干劣ります。 A5052 5000番手系であるA5052は、アルミにマグネシウムなどを添加したアルミ合金です。中程度の強度を持ち、アルミ合金プレートの中でも、最も代表的な材料となっています。耐食性、溶接性、成形性、加工性などに優れ、加工や工作に向いています。また、耐海水性も有しています。 A6061 6000番手系であるA6061は、アルミにシリコンやマグネシウムを添加したアルミ合金を指します。強度と耐食性に優れ、バランスのとれた材質となっています。 参考記事 こちらの記事では、アルミ板の種類についてさらに詳しく解説しています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。 ⇒アルミ板の種類と板厚が丸わかり! 買うべき板が見つかります アルミプレートの板厚 次に、前述したアルミプレートの代表的な材質について、一般的な板厚および用途を見ていきましょう。以下の表にまとめました。 材質によって、一般的に利用されている板厚が異なることが分かります。また、用途もさまざまで、アルミプレートが幅広い用途で利用されているということが理解できます。 Mitsuriは、こちらでご紹介したような、さまざまな材質・板厚のアルミプレートの加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。 アルミプレート加工における寸法公差 ここでは、アルミプレート加工における寸法公差とは何か解説していきます。 寸法公差とは 設計においては図面に寸法を記しますが、実際に加工を行う際には、記された寸法と全く同じ寸法に仕上げることは非常に難しくなります。そのため、寸法に応じて実際の寸法として許容される最大値と最小値が定められており、その最大値と最小値の差を「寸法公差」と言います。規格品のアルミプレートの場合でも、寸法公差が記載されて販売されています。通常、板厚の寸法公差は板厚が薄いほど厳しい公差となっています。 工程数に変化が生じる可能性も プレートの寸法公差を調整する場合、通常はまずフライス加工を行い、その後平面研削盤にて研磨を行います。しかし、この平面研削盤による研磨はコストがかかるため、研磨なしでどこまでの寸法公差が出せるのかというところがコストを上げないためには必要となります。プレートの厚み・形状・大きさなどにもよりますが、一般に寸法公差に対する加工の必要性は、下記の通りになります。 引用元:ダイキョー精機株式会社 寸法公差が±0.03~0.01mmの領域では、形状により研磨が必要な場合とそうでない場合とに分かれます。 例えば、真っ平なプレート形状ではなく、段の落ちたところに平面、平行度を指定する場合においては、平面研削盤による研磨加工が必要となってきます。また、場合によっては、フライス加工、研磨加工を行った後、再度フライス加工を施すこともあり、工程数がさらに増える場合もあります。 アルミプレートの加工事例 最後に、アルミプレートの加工事例についてご紹介していきます。 アルミプレートの曲げ加工 曲げ加工とは、文字通り、アルミプレート材の必要な箇所を折り曲げる加工を指します。一般に、プレス機を用いて曲げ加工を施します。アルミプレートの曲げ加工事例は、以下のようになっています。 曲げ加工事例① 引用元:有限会社タケウチ 材質はA5052、板厚t1.5mmのアルミプレートを専用金型を製作して曲げ加工を施した例です。 曲げ加工事例② 引用元:株式会社藤工業所 材質はA5052、板厚t6mmのアルミプレートに90度曲げ加工を施した例です。 曲げ加工事例③ 引用元:株式会社上野製作所 材質はA5052、板厚t3mmのアルミプレートに曲げ加工を施した例です。(寸法:560mm×420mm×230mm) アルミプレートの切断加工 切断は、アルミプレートを必要なサイズや形に切り取る加工を指します。切断の方法にも、フライスやレーザー、プレス、チップソー(丸ノコギリの歯)を用いる切断など、色々な種類があり、材質や板厚などを考慮して、最適な方法を選択します。それでは、アルミプレートの切断加工事例について見ていきましょう。 切断加工事例① 引用元:株式会社レーザーテック 材質はA5052、板厚t5mm、サイズ800mmX2400mmのアルミプレートをレーザーにて幾何学模様に切断した加工例です。 切断加工事例② 引用元:株式会社レーザーテック 材質はA5052、板厚t10mm、サイズ800mmX800mmのアルミプレートをウォータージェット切断(超高圧水の吐出エネルギーを利用して切断を施す加工)で格子状に加工した例です。 切断加工事例③ 引用元:株式会社かねよし 板厚t25mmのアルミ材のレーザー切断の加工例です。 アルミパンチングプレート 引用元:有限会社レモン パンチングプレートは、穴を開けた板材を指し、パンチとダイという金型で材料を打ち抜くプレス機械を用いて加工を行います。上図のように、穴の種類や大きさなどもさまざまです。以下、アルミパンチングプレートの加工事例を見ていきましょう。 パンチングプレート加工事例① 引用元:株式会社タカチ電機工業 既製品として販売されているもので、材質はA1050、3.5mm×20mm長穴のアルミパンチングプレートです。筐体や機器の放熱部のパネル、ファンを使う機器の通気用パネルなどに利用されます。 パンチングプレート加工事例② 引用元:株式会社ウチヌキ 建築外装用アルミパンチングの加工例です。丸穴で直径50mmという大きなパンチング加工を施した外装パネルとなっています。 パンチングプレート加工事例③ 引用元:株式会社ウチヌキ 住宅用レンジフード向けのアルミパンチング材です。バーリング形状(凸形状)のパンチング加工を施すことによって、裏面は油が下に垂れにくく、表面は引っ掛かりがなく掃除がしやすいという特徴を持ちます。 参考記事 こちらの記事では、パンチングプレートについてさらに詳しく解説しています。パンチングプレートの種類や材質など、さらに知識を深めたい方はぜひご覧ください。 ⇒ パンチングプレートならMitsuri!種類や材質について専門家が解説! アルミプレート加工の一括見積りを依頼するなら【Mitsuri】 今回は、アルミプレートについて、その特徴や代表的な種類や板厚に加えて、アルミプレート加工における寸法公差、曲げ・切断・パンチングプレートの加工事例など幅広い内容をご紹介しましたが、いかがでしたか。アルミプレートの種類はさまざまで、それぞれの特徴を活かして多くの用途に利用されています。また、アルミプレートを用いて設計・加工を行う際には、寸法公差を考慮する必要があり、最終製品の品質にも影響してきます。 アルミプレートの加工メーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。

  • A1100の特徴、用途、他のアルミ合金との違い

    A1100とは、純度が99%以上の純アルミニウムとして分類される材料のことです。アルミニウムの性質をほぼ受け継いており、比較的軟らかいものの軽量で、導電性や熱伝導性に優れます。塑性加工に適した材料ですが、軟らかいゆえに切削加工は困難です。 表面に形成される酸化皮膜によって高い耐食性を示し、アルマイト処理を施すことで耐食性のほか、耐摩耗性なども向上させることができる素材です。アルミ合金の中で、特に表面処理性が高く、アルマイト処理後の外観は良好です。 日用品や導電材、建材など、幅広く用いられている材料で、私達の生活に欠かせないものとなっています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A1100の特徴、他のアルミ合金と比較 A1100は、導電性や熱伝導性が高い上に、成形加工性や溶接性にも優れたアルミ合金です。空気中で表面に形成される酸化皮膜によって金属内部が保護されるため、耐食性にも優れます。反射性も高く、光や熱、電磁波などをよく反射します。鉄鋼やステンレス鋼と比べると強度に劣るものの、軽量であるために有用性の高い素材です。 引用元:株式会社三和鍍金 また、アルミ合金全般に言えることですが、A1100には、アルマイト処理と呼ばれる表面処理を行うことで、表面に分厚い酸化皮膜を形成させることが可能です。この酸化皮膜は、自然に形成される数ナノメートル程度の酸化皮膜と異なり、数十マイクロメートルにも達して、優れた耐食性と耐摩耗性を発揮します(上図)。A1100は、特に表面処理性が高く、あらかじめアルマイト処理が施されているものも販売されています。 A1100の加工性について、鍛造や圧延、絞りなどの成形加工には適しているものの、切削加工には適していません。ただし、切削加工が不可能というわけではありません。工具が食い込んでしまうのを避けるために切り込み量を加減する、キズの原因となる切り屑の排出をスムーズにするなど、適切な対処を行うことで切削加工も可能です。 参考:アルマイト処理について解説!アルマイト処理のメリットについても解説! 他のアルミ合金との比較 A1100は、1000番手系の中では、強度や切削加工性のバランスが良好でアルマイト処理を施した際の外観が良いという利点があります。 A1050は、アルミニウムの純度が99.5%以上のアルミ合金で、A1100と比べると、導電性には優れるものの、軟らか過ぎる上に切削加工性にも劣ります。一方、A1200は、A1100と比較すると、機械的性質や切削性などに大きな違いはなく、表面処理性も特に良いわけではありません。そのため、電気的特性を重視する場合はA1050、A1050よりも強度が欲しい場合はA1100を選ぶと良いでしょう。 A1100の2000~8000番手系のアルミ合金と比べたときの最も大きな違いは、その強度です。2000~8000番手系のアルミ合金は、銅(Cu)やマンガン(Mn)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)などを加えることで、強度をはじめ、切削加工性や耐熱性、耐摩耗性などの様々な性質を改善したものです。例えば、ジュラルミンとして知られるA2017やアルミ缶の素材に使われるA5052は、焼なまし状態でも強度がA1100の倍以上あります。特に、A2017は、適切な熱処理が必要ですが、引張強さが400 MPaを上回ります。また、A5052は、切削加工性が良く、切削加工向けの材料として有用です。 参考:アルミ材の種類について【専門家が語る】どのアルミ材を使えばいいか一目でわかる! A1100の化学成分 (単位:%) 材質名 Si + Fe Cu Mn Zn その他 Al 個々 合計 A1100 0.95 以下  0.05〜 0.20 0.05 以下 0.10 以下 0.05 以下 0.15 以下 99.00 以上 A1100の化学成分は、JIS規格(JIS 4000:2014)によって上表のように規定されています。 A1100は、純度99.00%以上のアルミに微量の銅(Cu)を加えたものです。添加された銅には、アルマイト処理後の光沢を良好にし、外観を白っぽくする効果があります。これは、A1050やA1200などの他の1000番手のアルミにはない特徴です。 A1100の機械的性質 材質名 質別 引張性質 ブリネル硬さ せん断強さ (MPa)  疲れ強さ (MPa)  縦弾性係数 ×1000 (kg/mm2) 引張強さ (MPa)  耐力 (MPa)  伸び(%) 板 (1.6mm厚) 棒(12.7mmΦ) A1100 O 90 35 35 42 23 60 35 7.0 H12 110 105 12 22 28 70 40 7.0 H14 125 115 9 18 32 75 50 7.0 H16 145 140 6 15 38 85 60 7.0 H18 165 150 5 13 44 90 60 7.0 参照元:株式会社アルミネ A1100の機械的性質は、上表の通りです。 上表の「O」の性質は焼なましを施した最も軟らかい状態のもので、「H」の性質は冷間加工で生じた加工硬化によって強さが増加した状態のものです。「H」の後に続く数値には以下のような意味があります。 ・H12:1/4 硬質 ・H14:1/2 硬質 ・H16:3/4 硬質 ・H18:硬質 金属は一般に加工硬化が進むと、展延性が低下して破断に至る可能性が高まります。そのため、硬化が進んだ金属に引き続き塑性加工を施すには、加熱して高温状態にし、軟化させる必要があります。 A1100では、約200℃へ至るまでに段々と引張強さと耐力が減少して伸び率が増加し、約200℃を超えるとほぼ焼きなまし状態の機械的性質に戻ります。 A1100の用途 A1100は、日用品や電気機器、建材、タンク類、導電材など、幅広い用途があります。 サビにくく腐食しにくい特性を持つことから、各種容器や家庭用品、台所などの器材など、身の回りの物に多く用いられています。高い熱伝導性を活かした熱交換器部品などの用途もあります。導電材料としての用途もあり、銅の代替材料として送電線や配電線にも使われています。反射性が高いことを活かして、照明器具やミラー、反射板などにも用いられます。建築用材料としての用途もありますが、強度が低いために構造材として使用することはできません。 また、A1100は、耐食性が高いため、ジュラルミンを芯材として、A1100を外側に圧着したアルクラッド材の素材に使用されます。アルクラッド材は、芯材の高強度と外板の高耐食性を活かし、航空機材料などに利用されています。

  • A2011の特徴、成分、機械的性質、使い方

    A2011は、快削性合金と呼ばれ、高強度を示す2000番台のアルミ合金の中でも、特に切削加工性に優れる材質です。強度、被切削性に優れる一方で、耐食性に劣るという欠点もあり、使用環境によっては対策が必要です。A2011は、さまざまな機械・工業用部品として利用されています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A2011の特徴(強度、溶接性、耐食性、被切削性) A2011は、強度、被切削性に優れます。A2011は、銅(Cu)を含有するため、高い強度を示す一方で、耐食性は劣ります。また、A2011には鉛(Pb)とビスマス(Bi)が添加されているため、被切削性が良好です。ただし、A2011の溶融溶接性は低く、結合には主にリベット、ボルト接合、抵抗スポット溶接が用いられます。 参考:アルミ溶接は難しい!?溶接方法を事例を用いて徹底解説!! A2011の用途 A2011は、ボリュームシャフト、光学部品、ネジ部品などに用いられています。 A2011の化学成分 <A2011の成分、組成(単位:%)> 材料記号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn V, Bi, Pb, Zr, Ni など Ti その他 Al A2011 0.40 以下 0.7 以下 5.0 ~ 6.0 ー ー ー 0.30 以下 Bi 0.20~0.6, Pb 0.20~0.6 ー 0.05以下 (計0.15以下) 残部 引用元:JISH4040:アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 A2011の化学成分を上表に示しました。 A2011では、Cu(銅)を添加することで、引張強さ・硬さなど機械的性質を高めています。ただし、銅には耐食性を低下させるという欠点もあります。 また、Pb(鉛)とBi(ビスマス)は切削加工性を向上させる目的で添加されています。 A2011の機械的性質 <A2011の機械的性質> 質別 引張性質 ブリネル硬さ (HB W 10/500) せん断強さ (N/mm2) 疲れ強さ (N/mm2) 引張強さ (N/mm2) 耐力 (N/mm2) 伸び(%) 1.6mm 厚 (L=50mm) 12.5mm径 (L=5D) T3 380 295 ー 13 95 220 125 T8 405 310 ー 10 100 240 125 引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p38 A2011の機械的性質は上表の通りです。 A2011の物理的性質 <A2011の物理的性質> 質別 密度 (20℃) (Mg/m3) 溶解温度範囲(℃) 導電率 (20℃) (IACS,%) 熱伝導度 (20℃) (kW/m•℃) 縦弾性係数 (kN/mm2) T3 2.82 541〜638 39 0.15 70.6 T8 45 0.17 引用元:株式会社UACJ「アルミポケットブック第2版」p50 A2011の物理的性質は上表の通りです。 A2011の使い方・選び方 前述した通り、A2011は鉛(Pb)を0.2~0.6%含みます。鉛は、環境負荷物質として規制されている場合もあるため、選定時には注意が必要です。ただし、近年では非鉛快削アルミ合金として、鉛の代わりにスズ(Sn)を添加した材質も開発されているため、場合によってはこのような材料を選定すると良いでしょう。

  • A6061の特徴、成分、機械的性質

    A6061は、アルミニウム(Al)にマグネシウム(Mg)とシリコン(Si)を加えた【Al-Mg-Si(6000)系】のアルミ合金です。 No.6000系のアルミ合金は、熱伝導率の関係で、溶接個所や周辺部位にまで熱による強度低下が起きるため、ボルトやナットなどの機械的な接合で用いられることが多い材料です。 A6061も同様の特徴がある一方で、耐食性に優れているため、自動車用部品などに採用されています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A6061の特徴(耐食性) A6061は耐食性に優れていますが、溶接継手強度は低い特徴があります。 しかし、T6処理(溶体化処理後、人工時効硬化処理を施したもの)を施すことで、引張強さは260N/mm2以上、耐力は240N/mm2以上まで強度を高めることが可能です。 流通している材料の形状は、丸棒と板が一般的です。 A6061の化学成分 JIS規格の【JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている化学成分は下記表の通りです。 <A6061の化学成分(単位:%)> 合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti その他a) Al 個々 合計 A6061 0.40 ~0.8 0.7 以下 0.15 ~0.40 0.15 以下 0.8 ~1.2 0.04 ~0.35 0.25 以下 0.15 以下 0.05 以下 0.15 以下 残部 注記 a):その他の元素とは、この表で示されていないが存在の予知される場合又は通常の分析過程において、規定の値を超えるおそれがある場合に、製造業者の判断によって分析する元素である。“個々”の値は、表で示されている元素以外の個々の成分値であり、“合計”の値は、個々の成分値を合計したものである。 引用元:JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 A6061の機械的性質 JIS規格の【JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている機械的性質は下記表の通りです。 <A6061の押出棒の機械的性質> 合金番号 質別a) 引張試験 径、厚さ 又は対辺距離 mm 断面積 cm2 引張強さ N/mm2 耐力 N/mm2 伸びb) % A50mm A 6061 Oe) 全て - 145以下 110以下 16以上 - T4d) T4511d) 全て - 180以上 110以上 16以上 14以上 T42f) 全て - 175以上 85以上 16以上 - T6d) T62f) T6511d) 6以下 - 260以上 240以上 8以上 7以上 6を超え - 260以上 240以上 10以上 9以上 <A6061の引抜棒及び引抜線の機械的性質> 合金番号 質別a) 引張試験 径、厚さ 又は対辺距離 mm 断面積 cm2 引張強さ N/mm2 耐力 N/mm2 伸びb) % A50mm A 6061 Oe) 3以下 - 145以下 - - - 3を超え 100以下 - 145以下 - 18以上 - H13 3以上 10以下 - 155以上 205以下 - - - H18 10以下 - 210以上 - - - T39d) 6以下 - 310以上 - - - 6を超え - 260以上 - - - T4 3以下 - 205以上 - - - 3を超え 100以下 300以下 205以上 110以上 18以上 16以上 T42f) 3以下 - 205以上 - - 3を超え100以下 300以下 205以上 95以上 18以上 - T6 T62f) 3以下 - 290以上 - - - 3を超え100以下 300以下 290以上 240以上 10以上 9以上 T89d) 6以下 - 300以上 - - - 注記 a):質別は、JIS H 0001による b):伸びの測定は、標点距離の異なる次の二つの方法のいずれかを採用する。特に、注文者からの指定がない場合は、A50mmによる。ただし、A50mmの規定がない場合は、Aによる。 A50mm:50mm標点距離における伸び A:5.65√S0の標点距離における伸び(S0:試験片の平行部の断面積、mm2) d):押出後の冷却が制御され、室温で固溶状態が保たれた材料に適用してもよい。 e):質別Oの材料は、質別T42又はT62の材料の基礎となるものであり、注文者からの要求がある場合は、注文者において適切な熱処理をした場合に、質別T42又はT62の材料の性能を保証しなければならない。 f):質別T42の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて溶体化処理後、十分な安定状態で自然時効硬化処理をした場合に適用する。また、質別T62の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて溶体化処理後、人工時効硬化処理した場合に適用する。ただし、注文者において溶体化処理する前に何らかの冷間加工又は熱間加工をした場合には、規格値より低くなることがある。 引用元:JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 A6061の物理的性質 質別 導電率 (20℃, IACS,%) 熱伝導率 (25℃、kW/(m・℃)) 線膨張係数 (20~100℃×10-⁶) 縦弾性係数 (×1000Kg/kgf/mm²) 比重 溶解温度範囲 (℃) T4 40 0.15 23.6 7.00 2.70 582~652 T6 43 0.17 23.6 7.00 2.70 582~652 引用元:阪根商事株式会社 A6061の用途 A6061は耐食性に優れる一方で、溶接性に劣ることから以下のような用途に採用されています。 用途例:ボルトやリベット接合の構造用材・自動車用部品など A6061の使い分け アルミ合金の代表的なものにA5052とA2017(ジュラルミン)があります。ここでは、これらの材料とA6061の使い分けをご紹介します。 A6061とA5052の使い分け A5052は耐食性・溶接性に優れているのが特徴です。また、強度についてもアルミ合金のなかでは中程度の数値を示しています。A6061は耐食性が高く、T6処理を行うことで高い強度を得られますが、溶接継手強度が低い点はデメリットです。 これらを比較すると、強度はA6061の方が優れており、溶接継手としてはA6061の方が不向きのため、強度を重視したい場合はA6061を、溶接が必要な製品を作る場合はA5052を用いるのがおすすめです。 参考:A5052の化学成分、機械的性質、強度 A6061とA2017(ジュラルミン)の使い分け A2017はアルミ合金のなかでも優れた強度を持ち、T6処理を施したA6061よりも強度が高い特徴があります。しかし耐食性に関しては劣るので、強度を重視したい場合はA2017を、ある程度の強度と耐食性を備えた材料を使いたい場合はA6061を使うのがおすすめです。 参考:A2017(ジュラルミン)の強度|A2024・A7075との関係

  • A7075(超々ジュラルミン)化学成分、強度、腐食、機械的性質

    A7075は、Al-Zn-Mg-Cu系の成分を持つアルミ合金です。A7075は、一般に「超々ジュラルミン」と呼ばれ、アルミ合金の中でもトップクラスの強度を有する材質の一つです。強度に優れる一方、応力腐食割れや耐食性に劣るという欠点があるものの、航空機、スポーツ用品、機械部品など、さまざまな分野で使用されています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A7075の特徴・用途、耐食性 A7075の特徴は、非常に高い強度を持つことです。また、鉄鋼材料と比較して軽量であることから、さまざまな用途で使用されています。ただし、A7075は価格が高いため、多くの場合、強度が必要とされる箇所に限って使用されます。 A7075の用途としては、航空機、人工衛星、ロケット、自動車部品、溶接構造材や各種金型などの工業用部品、スキー板や金属バットなどのスポーツ用品、自転車、ロボットなどが挙げられます。 このように幅広い分野で利用されているA7075ですが、応力腐食割れや耐食性に劣るという難点があることから、使用環境によっては対策が必要です。 参考:応力腐食割れをわかりやすく!3要素と対策方法 A7075の化学成分 <A7075の成分、組成(単位:%)> 材料記号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti その他 Al A7075 0.40 以下 0.50 以下 1.2 ~ 2.0 0.30 以下 2.1 ~ 2.9 0.18 ~ 0.28 5.1 ~ 6.1 0.20 以下 0.05以下 (計0.15以下) 残部 引用元:JISH4000:アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 A7075の化学成分を上表に示しました。 A7075は、Al-Zn-Mg-Cu系のアルミ合金です。A7075では、Zn(亜鉛)とMg(マグネシウム)に加え、Cu(銅)を添加することで、非常に高い強度を得ています。 A7075の機械的性質(強度、硬度等) <A7075(質別:T6)の機械的性質> ブリネル硬さ (HB) 引張強さ (N/mm2) 耐力 (N/mm2) せん断強さ (N/mm2) 疲れ強さ (N/mm2) 伸び (%)板 伸び (%)棒 150 570 505 330 160 11 9 A7075の機械的性質を上表に示しました。A7075は、アルミ合金の中でも、非常に高い強度を示す反面、溶接性や耐食性に劣ります。 A7075の物理的性質 <A7075の物理的性質> 融点 ℃ 密度 (g/cm3) ヤング率 (縦弾性係数) GPa 剛性率 (横弾性係数) GPa ポアソン比 線膨張率 (ppm/K) 定圧比熱 (J/kg•K) 熱伝導率 (W/m•K) 約660.4 2.8 70.7 26 0.33 23.6 962 130 A7075の物理的性質は上表の通りです。

  • A6063の化学成分、機械的性質、強度、耐力

    A6063は、A6000系(Al-Mg-Si系)のなかでも代表的な押出用合金です。A6061より強度は劣るものの、押出加工性が良好で複雑な断面形状でも成形できるほか、耐食性と表面処理性にも優れています。主な用途としては、サッシなどの建築用材・土木用材・車両用材・家電製品などに採用されています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! A6063の化学成分 <合金番号6063の化学成分(単位:%)> 合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti その他 Al 個々 合計 6063 0.20~0.6 0.35 以下 0.10 以下 0.10 以下 0.45~0.9 0.10 以下 0.10 以下 0.10 以下 0.05 以下 0.15 以下 残部 引用元:JIS H 4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材 A6063の機械的性質(引っ張り強さ、耐力、伸び等) <合金番号6063の機械的性質> 合金番号 質別a) 引張試験 硬さ試験 試験箇所の肉厚 (mm) 引張強さ (N/mm2) 耐力 (N/mm2) 伸びb) (%) 試験箇所の肉厚 (mm) HV5 A50mm A 6063 T1 12以下 120以上 60以上 12以上 - - - 12を超え25以下 110以上 55以上 12以上 - - - T4c) 25以下 130以上 65以上 12以上 14以上 - - T5d) 12以下 150以上 110以上 8以上 7以上 0.8以上 58以上 12を超え25以下 145以上 105以上 8以上 7以上 T6c) 3以下 205以上 170以上 8以上 - - - 3を超え25以下 205以上 170以上 10以上 - - - T64c) 15以上 180以上 120以上 10以上 12以上 - - T66c) 10以下 245以上 200以上 6以上 8以上 - - 10を超え25以下 225以上 180以上 6以上 8以上 - - a):質別は、JIS H 0001による。 b):伸びの測定は、標点距離の異なる次の二つの方法のいずれかを採用する。特に、注文者からの指定がない場合は、A50mmによる。ただし、A50mmの規定がない場合は、Aによる。 A50mm:50mm標点距離における伸び A:5.65√S0の標点距離における伸び(S0:試験片の平行部の断面積、mm2) c):押出後び冷却が制御され、室温で固溶状態が保たれた材料に適用してもよい。 d):質別T5の機械的性質は、引張試験又は硬さ試験のいずれかによる。 引用元:JIS H 4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材 A6063の物理的性質(密度、比重等) <合金番号6063の物理的性質> 質別 導電率 (20℃, IACS,%) 熱伝導率 (25℃、kW/(m・℃)) 線膨張係数 (20~100℃×10-⁶) 縦弾性係数 (×1000Kg/kgf/mm²) 比重 溶解温度範囲 (℃) T5 55 0.21 23.4 7.00 2.69 625~655 T6 53 0.20 23.4 7.00 2.69 625~655 引用元:阪根商事株式会社 A6063の加工性(押出加工性、耐食性、溶接の継手効率) A6063はアルミ合金のなかでも代表的な押出用材料です。押出加工性に優れているため、高精度の製品を成形できます。また、アルミニウムの特徴である酸化皮膜を形成することから、耐食性も良好です。 溶接に関しては継手効率が低く、ビスやリベット、ボルトナットなどによる接合を採用しているケースが多いです。 参考:【押し出し加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例について徹底解説! 参考:【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説! 参考:アルミ溶接は難しい!?溶接方法を事例を用いて徹底解説!!

  • A5052の化学成分、機械的性質、強度

    A5052は、アルミ合金のなかでも、ちょうど中程度の強度をもった材料です。耐食性や成形性、溶接性に優れていることから、工作材料として幅広い用途で使われています。 5000系のアルミ合金はマグネシウム(Mg)を多く添加しており、その比率に応じて性質が異なるものです。A5052は、5000系の扱いやすい材料であるため、代表的なアルミ合金として使われています。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! 参考:アルミ材の種類について【専門家が語る】どのアルミ材を使えばいいか一目でわかる! A5052の特徴(耐食性・溶接性・強度) A5052は耐食性・溶接性に優れているのが特徴です。また、強度についてもアルミ合金のなかでは中程度の数値を示しています。これらの内容から、曲げ加工や切削加工といった工作に適した材料とされ、建築用材・船舶材・車両用材・飲料缶などの幅広い用途で使われています。 一般的に流通している材料は主に板材と丸棒が該当します。特に板材は流通量が多く、容易に入手が可能です。 参考:アルミ溶接は難しい!?溶接方法を事例を用いて徹底解説!! A5052の化学成分 <合金番号5052の化学成分(単位:%)> 合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn その他 Al 個々 合計 5052 0.25 以下 0.40 以下 0.10 以下 0.10 以下 2.2~2.8 0.15~0.35 0.10 以下 0.05 以下 0.15 以下 残部 引用元:JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条 A5052の機械的性質 <A5052(板、条、厚板及び円板)の機械的性質> 記号 質別 引張試験 曲げ試験 厚さ (mm) 引張強さ (N/mm2) 耐力 (N/mm2) 伸び (%) A50mm 厚さ (mm) 内側半径 A5052P H112 4.0以上6.5以下 195以上 110以上 9以上 - - 6.5を超え13.0以下 195以上 110以上 7以上 13.0を超え50.0以下 175以上 65以上 12以上 50.0を超え75.0以下 175以上 65以上 16以上 O 0.2以上0.3以下 170以上 215以下 - 14以上 0.2以上0.8以下 0.8を超え2.9以下 2.9を超え6.0以下 密着 厚さの0.5倍 厚さの1倍 0.3を超え0.5以下 65以上 15以上 0.5を超え0.8以下 65以上 17以上 0.8を超え1.3以下 65以上 17以上 1.3を超え2.9以下 65以上 19以上 2.9を超え6.5以下 65以上 19以上 6.5を超え75.0以下 65以上 18以上 H12 H22※) H32 0.2以上0.3以下 215以上 265以下 - 3以上 0.2以上0.8以下 0.8を超え2.9以下 2.9を超え6.0以下 厚さの0.5倍 厚さの1倍 厚さの1.5倍 0.3を超え0.5以下 - 4以上 0.5を超え0.8以下 - 5以上 0.8を超え1.3以下 155以上 5以上 1.3を超え2.9以下 155以上 7以上 2.9を超え6.5以下 155以上 9以上 6.5を超え12.0以下 155以上 11以上 H14 H24※) H34 0.2以上0.5以下 235以上 285以下 180以上 3以上 0.2以上0.8以下 0.8を超え2.9以下 2.9を超え6.0以下 厚さの1倍 厚さの1.5倍 厚さの2倍 0.5を超え0.8以下 4以上 0.8を超え1.3以下 4以上 1.3を超え2.9以下 6以上 2.9を超え6.5以下 6以上 6.5を超え12.0以下 10以上 H16 H26※) H36 0.2以上0.8以下 255以上 305以下 - 3以上 0.2以上0.8以下 0.8を超え1.3以下 1.3を超え4.0以下 厚さの2倍 厚さの2.5倍 厚さの3倍 0.8を超え4.0以下 205以上 4以上 H18 H38 0.2以上0.8以下 255以上 3.5以下 - 3以上 - - 0.8を超え3.0以下 205以上 4以上 - - H19 H39 0.15以上0.5以下 285以上 - 1以上 - - 注記 A50mm:50mm標点距離における伸び ※)質別H22、H24、H26については、引張強さの上限及び耐力は適用しない。 規定の厚さ以外の寸法の機械的性質は、受渡当事者間の協定による。 耐力は、注文者の要求のある場合だけに適用する。 曲げ試験は、注文者の要求のある場合だけに適用する。 引用元:JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条

  • A2017(ジュラルミン)の強度|A2024・A7075との関係

    「ジュラルミン(A2017)」とは、どのような材料かご存知でしょうか。世の中には「ジュラルミンケース」と呼ばれるトランクがあるため、名前を聞いたことがある方は多いと思います。 ジュラルミンは、軽さと強度を両立した材料であるため、トランク以外にもさまざまな業界で使われている材料です。 今回の記事では、ジュラルミン(A2017)について知りたい方向けに、基礎知識や用途について解説します。また、似た材料でジュラルミンと同様に活用されているシーンの多い、超ジュラルミン(A2024)・超々ジュラルミン(A7050)についても、併せてご紹介します。 ジュラルミンの知識を深めたい方は、ぜひご一読ください。 ジュラルミン(A2017)は、強度のあるアルミニウム合金 ジュラルミンとは、アルミニウムAlに銅CuとマグネシウムMgを添加した、高強度の合金のこと。ジュラルミンには、さらに強度を高めた超ジュラルミンと超々ジュラルミンも存在します。 ジュラルミンは、JIS規格ではA2017と呼ばれている材料で、比重2.79と非常に軽量でありながら、優れた強度と切削加工性を有しているのが特徴。比重は、ステンレスの7.93と比べると、半分以下の軽さです。ただし、他のアルミニウム材と比べて、耐食性と溶接性については劣ります。 また、ジュラルミンは、銅3.5~4.5%、マグネシウム0.40~0.80%を含有しています。アルミニウムは銅を添加すると、強度が高くなる傾向にあります。しかし、酸化しやすくなる性質も付与されてしまい、耐食性は低下します。そのため、腐食しやすい環境でジュラルミンを使用する際は、アルマイト処理などの対策が必要です。 参考:アルマイト処理について解説!アルマイト処理のメリットについても解説! アルミニウム合金は、番号で区別される JIS規格では各アルミニウム合金を番号で区別しています。この番号は、AA(アメリカ・アルミニウム協会)で統一された「AAナンバー」と呼ばれています。今回ご紹介するジュラルミンはA2017に該当しますが、このアルファベットと数字にはそれぞれ意味があります。 引用元:有限会社遠藤鋳造所 それでは、上の番号を例にアルファベット・数字の意味を見てみましょう。 1番目のAは、アルミニウムおよびアルミニウム合金を表す記号です。 2番目の数字は、アルミニウム合金の系統を表しています。2の意味は銅Cuをメインに加えた合金を意味しますが、銅とは別の元素を含むものの場合は、異なる数字を用います。 参考:アルミ合金の種類や特徴、用途について詳しく解説【専門家が語る】適切なアルミ番がわかります! 各種類の数字の意味については以下の表にまとめてみましたのでご参考ください。 1  純アルミニウム 2 【Al-Cu系】アルミニウム+銅 3 【Al-Mn系】アルミニウム+マンガン 4 【Al-Si系】アルミニウム+ケイ素 5 【Al-Mg系】アルミニウム+マグネシウム 6 【Al-Mg-Si系】アルミニウム+マグネシウム+ケイ素 7 【Al-Zn-Mg系】アルミニウム+亜鉛+マグネシウム 8 【その他 Li添加系など】アルミニウム+リチウムなど 9  予備 3番目は、0から9までの数字が入り、0は基本合金・1~9までは合金の改良系といったように使い分けます。また、日本独自の合金、またはAA(アメリカ・アルミニウム協会)の規格以外の合金にはNを用います。 4番目は、純アルミニウムの場合、アルミニウム純度の小数点2桁を表示します。また、アルミニウム合金の場合は、アルコアと呼ばれるアメリカのアルミニウム会社の規格記号(旧アルコア記号)をもとに付けられた数字を表示します。 5番目のPは、板や管などの形状を表す記号です。管・棒・線・導体については、普通級と特殊級の2種類に分かれており、特殊級の場合にのみ形状記号の後ろにSが付随します。 形状記号 形状 P 板、条、円板 PC 合わせ板 BE 押出棒 BD 引抜棒 W 引抜線 TE 押出管 TD 引抜管 TW 溶接管 TWA アーク溶接管 S 押出形材 FD 型打鍛造品 FH 自由鍛造品 6番目は、質別記号と呼ばれるもので、調質の種類を表しています。詳細な内容については下記表を参照してください。 質別記号 内容 F 製造のままのもの H 加工硬化により強さを増加したもの O 焼なまししたもの T3 溶体化処理後、冷間加工を行い、更に自然時効させたもの T351 溶体化処理後、冷間加工を行い、残留応力を除去し、更に自然時効させたもの T4 溶体化処理後、自然時効させたもの T451 溶体化処理後、残留応力を除去し、更に自然時効させたもの T5 高温加工から冷却後、人工時効硬化処理したもの T6 溶体化処理後、焼戻しをしたもの T651 溶体化処理後、残留応力を除去し、更に人工時効硬化処理したもの T7 溶体化処理後、安定化処理したもの T8 溶体化処理後、冷間加工を行い、更に人工時効処理をしたもの T9 溶体化処理後、人工時効硬化処理を行い、更に冷間加工したもの 参考:鋼の性質を変える【熱処理】とは?仕組みや種類について徹底解説! ジュラルミンの用途 ジュラルミンは、優れた軽量性と強度を有します。用途としては、これらの特徴を要する、航空機・船舶用材料・金型、その他にネジやリベットといった部品にも用いられています。 また、ジュラルミンは、軽量で持ち運びにも優れているため、スーツケースやアタッシュケース、アウトドア用品のテントやチェアのフレームなどにも採用されています。 超ジュラルミン(A2024)、超々ジュラルミン(A7075)とは 超ジュラルミン 超ジュラルミンは、A2024の材料のこと。銅Cuの含有量が3.8~4.9%、マグネシウムMgの含有量が1.2~1.8%と、ジュラルミン(A2017)よりも多くなっています。これにより、強度と切削加工性がさらに向上していますが、耐食性についてはやや劣るのが特徴です。 比重については、超ジュラルミンが2.78のため、ジュラルミンからほとんど変化はありません。 超々ジュラルミン 超々ジュラルミンは、A7075の材料です。銅Cuは1.2~2.0%、マグネシウムMgは2.1~2.9%、亜鉛Znは5.1~6.1%含有しています。 主に亜鉛とマグネシウムを含有した7000系の材料で、アルミニウム合金のなかでも、非常に優れた強度を有します。その反面、難削材である点はデメリットです。また、応力腐食割れ(引張応力が加わった状態で、特定の腐食環境にさらされると割れる現象)を起こす心配もあるため、腐食環境での使用の際は注意が必要です。 比重については、超々ジュラルミンが2.80と、他のジュラルミンと比べても同等の軽量性を有します。 A2017・A2024・A7075の硬度と比重の比較 材料 硬度(単位:HB) 比重 アルミニウム(A5052) 65 2.7 ジュラルミン(A2017) 105 2.79 超ジュラルミン(A2024) 120 2.78 超々ジュラルミン(A7075) 160 2.80 ステンレス(SUS304) 187 7.93 上表は、ジュラルミン・超ジュラルミン・超々ジュラルミンに加え、使用頻度の多いA5052アルミニウムとSUS304ステンレスの硬度と比重を比較したものです。硬度の単位はすべてブリネル硬さとなります。 上表を見てわかるように、ジュラルミン・超ジュラルミン・超々ジュラルミンは、アルミニウムと比べると、高い強度を有しています。これらは、ステンレスの硬度にやや劣りますが、その分比重の数値が小さいため、比強度(強度と重量の比)に優れています。 ジュラルミンまとめ ジュラルミン(A2017)は、銅とマグネシウムを含有したアルミニウム合金で、軽量性と強度に優れた材料です。似た材料で、より強度に優れた超ジュラルミン(A2024)、超々ジュラルミン(A7075)がありますが、超々ジュラルミンは、アルミニウム合金のなかでも非常に高い強度を持つ材料です。 ジュラルミンは、優れた軽量性と強度を持つことから、主に航空機や船舶用材料などに採用されています。 ジュラルミンをはじめとした、アルミニウム合金の加工業者をお探しの場合は、ぜひMitsuriまでご相談ください。日本全国で250社以上の協力企業と提携しているので、お客様のご希望に沿う加工業者が見つかります。見積りは複数社から可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

  • アルミ板加工について加工の種類ごとにご紹介!

    アルミ板は、軽量かつ加工性や耐食性に優れていることから、電化製品・自動車部品・建築材などの幅広い分野で活躍しています。扱いやすい素材のため、DIYで利用している家庭も多く見受けられます。ただし、一口にアルミと言っても、純アルミニウムやアルミニウム合金など、種類が豊富にあるのをご存知でしょうか。また、アルミ板の加工の種類についても、どのようなものがあるのか知らない方も多いかと思われます。 「アルミ板の種類を知りたい」 「アルミ板の加工方法は何があるの?」 本記事では、このような疑問をお持ちの方に向け、アルミ板の種類や加工方法(曲げ・プレス・切削)について、詳しくご紹介します。アルミ板についてお悩みの方は、ぜひご一読ください。 アルミの特性とアルミ板の種類 アルミは、鉄や銅よりも軽量で、熱伝導性・導電性・展延性が高いのが特徴です。また、表面に酸化被膜を形成するため、耐食性も良好です。しかし、柔らかい素材なので、強度を持たせるために他の金属を添加している場合もあります。 アルミニウムは、純度が99.0%以上のものを「純アルミニウム」、他の金属を添加したものを「アルミニウム合金」と呼びます。これらは、「番手」と呼ばれる、アルファベットのAとその後ろにつく4桁の数字でグループ分けされ、数字によって特性が異なります。 ここでは、代表的なアルミ板の種類を紹介していきます。 1000番台(例:A1050) 2000番台(例:A2017、A2024) 5000番台(例:A5052) 6000番台(例:A6061) 1000番台は、アルミの純度が99.0%以上のものを指します。純度が高いため、アルミニウム本来の加工性の良さや、強度の低さが顕著に表れています。A1050はアルミニウム純度が99.5%で、強度が低い分、加工性に優れています。 2000番台は、アルミに銅とマグネシウムを加えた合金です。A2017は「ジュラルミン」、A2024は「超ジュラルミン」とも呼ばれ、鉄鋼材料に匹敵する強度を有しています。ただし銅を含んでいるため、耐食性にやや難があります。 5000番台は、アルミにマグネシウムを加えた合金。強度を向上しながらも、耐食性や加工性に優れた素材です。A5052は、アルミ合金のなかだと中間ほどの強度があり、幅広い分野で使用されています。 6000番台は、アルミにマグネシウムとシリコンを加えた合金。強度と耐食性に優れているため、ボルトやナットなどの接合部品や、船舶や車両などの材料に使われています。 参考記事 アルミ板の特徴については、以下の記事でも解説しています。 ⇒アルミ板の種類と板厚が丸わかり! 買うべき板が見つかります アルミ板加工【曲げ加工】 曲げ加工とは 曲げ加工は、被加工材を任意の角度に曲げたり、Rを付けたりする加工のこと。曲げ加工は主に、ロール曲げ・板折り曲げ・ベンダー曲げがあります。 ロール曲げは、複数のローラーの間に板材を通して加工。板折り曲げは、被加工材をベースプレートと上板で固定してから、折り曲げる加工方法です。ベンダー曲げは、プレス加工の一種で、金型を使って被加工材をプレスすることで成形します。 参考記事 アルミ板の曲げ加工については、以下の記事で詳しく解説しています。 ⇒アルミ板の曲げ加工について専門家が徹底解説!3つの曲げを紹介!   曲げ加工のメリット・デメリット 曲げ加工は、ロール曲げや板折り曲げだと、金型が不要で成形できます。そのため、イニシャルコストもかからず、素早い対応が可能です。円筒状にも成形できるので、任意の直径に製作することも可能。切削とは違い、材料を削らないため、ムダが出ないこともメリットと言えます。 しかし、曲げ加工をする上で「スプリングバック」と呼ばれる現象に注意しなければなりません。「スプリングバック」とは、被加工材が曲げ加工される前の形状に戻ろうとする力が働き、目的の形状とずれてしまうことを言います。この現象を防ぐために、設計者や作業者は対策を講じなければなりません。対策の仕方によって精度に違いが出るので、高精度の製品を依頼する方は、加工メーカーとよく相談しておきましょう。   曲げ加工の製作事例 アルミ板曲げ加工品(材質:A5052 板厚:5mm サイズ:110×35×70mm) 引用元:株式会社上野製作所 アルミ板曲げ加工品(板厚:1.5mm) 引用元:株式会社NIMURA アルミ板材曲げ加工品(板厚:0.8mm) 引用元:株式会社NIMURA 参考記事 曲げ加工の製作事例は、以下の記事でも詳しく紹介しています。 ⇒アルミ板の曲げ加工について専門家が徹底解説!3つの曲げを紹介! アルミ板加工【プレス加工】 プレス加工とは プレス加工とは、専用のプレス機と金型を用いて、被加工材を変形、またはせん断する加工のこと。金型は上型と下型を用意する必要があり、そこに被加工材を挟み込むことで、任意の形に成形します。 プレス加工は、曲げ加工・せん断加工・絞り加工の大きく3種に分けられます。曲げ加工は、被加工材をプレスして押し曲げること。せん断加工は、穴あけパンチ器のように、プレスして切り抜いたり切ったりすることを言います。絞り加工は、被加工材をプレスして、上型と下型に沿った形状に変形させる加工。例を挙げると、板材からボウルのような形状に成形するようなものです。   プレス加工のメリット・デメリット プレス加工は、金型を用意することで、簡単に同一の製品を生産できます。作業員の手もあまりかからなくなることから、スキルの違いによる品質の差が生まれにくいのもメリットです。 しかし、金型や製造ラインを用意するのにお金と時間がかかる点には注意が必要。また、仕様変更などで、製品の形状に変化を加えなければならない場合も、即座に対応するのは困難です。 このことから、プレス加工は小ロットや試作品の製作よりも、単純な形状の部品などを大量生産するのに適しています。 参考記事 プレス加工の基礎知識や種類については、以下の記事にて詳しく解説しています。 ⇒プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!   プレス加工の製作事例 自動車部品(材質:A5083 板厚:1.2mm 絞り加工) 引用元:株式会社エヌエープロテック 自動車部品(板厚:0.6mm 精度:±0.1mm程度 絞り加工) 引用元:株式会社エヌエープロテック アルミ絞り品(材質:A5052 板厚:0.5mm サイズ:214×122×25mm 絞り加工) 引用元:株式会社西野精器製作所 アルミ板加工【切削加工】 切削加工とは 切削加工とは、被加工材を切る、または削ることで成形する加工のこと。切削加工には大きく分けて、旋削加工・転削加工があります。 旋削加工は、被加工材を回転させ、そこに刃物を当てることで削る加工方法。転削加工は、被加工材ではなく、刃物を回転させて削ります。 参考記事 切削加工の特徴や種類などの詳細は、以下の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。 ⇒【切削加工とは?】特徴・種類・注意点を動画と一緒にご紹介します!   切削加工のメリット・デメリット 切削加工は、プレス加工と違い刃物を使って成形します。金型を用意する必要がないので、イニシャルコストを削減できるほか、小ロットであれば素早い対応も可能。また、構造が複雑かつ、高い精度の物を製作できるのもメリットです。 ただし、材料を無垢の状態から削り出して成形するため、切粉が多く出たり、作業量も多くなることから、大量生産には比較的向いていません。 また、アルミを切削加工すると、発生した熱によりアルミが溶けて、刃物に付着することもあります。アルミが刃物に付着すると、高い精度での加工ができません。これを防ぐためには、切粉を頻繁に取り除いたり、切削油を用いたりするなどの対策が必要です。   切削加工の事例 アルミ切削加工品(材質:A5052 サイズ:2×55×55mm) 引用元:株式会社長濱製作所 アルミ切削加工品(サイズ:450x150x10mm) 引用元:株式会社タカヤマ アルミ研磨プレート(材質:A5052 サイズ:30×200×300mm) 引用元:プレート加工.com 参考記事 アルミ切削加工の特徴や製作事例については、以下の記事にて詳しく紹介しています。 ⇒アルミ切削加工ならMitsuri!1個からでもお受けいたします! アルミ板加工の見積り依頼をするならMitsuri 今回はアルミ板加工について紹介しましたがいかがでしたでしょうか。アルミは軽量で、熱伝導性・導電性・展延性・耐食性に優れています。ただし、柔らかい材質のため、さまざまな金属を添加して、強度を持たせた合金として使用することが多い材料です。 アルミ板の加工は、主に曲げ加工・プレス加工・切削加工があります。アルミは加工しやすい素材ですが、熱で材料が溶けたり、加工中にキズが付きやすいといった点には注意しなければなりません。このことから、高い精度が求められる製品を作る場合は、加工メーカー選びも重要です。 アルミ板加工メーカーをお探しの際は、ぜひMitsuriまでご相談ください。日本全国で250社以上の協力企業と提携しているので、お客様の希望に沿うアルミ板加工メーカーが見つかります。お見積りは複数社から可能ですので、気軽にお問い合わせください。

  • アルミフレームとは?種類やメリット、活用事例を解説!

    筐体などの構造体の設計には欠かせないアルミフレーム。特に、工場など生産現場では、コンベアや台車、安全柵、作業台など幅広い用途で使用されています。また、最近ではホームセンターなどでも気軽に購入できることから、自作の家庭用家具(ラックやテーブル、物置台など)の製作などにも広く用いられています。 今回は、そんなアルミフレームについて、アルミフレームを使用するメリットやその種類・用途のほか、アルミフレームを使用した活用事例など、幅広い内容について解説していきます。アルミフレームについてさらに知識を深めたい方や、アルミフレームの加工でお悩みの方は、ぜひご一読ください。 アルミフレームとは アルミフレームとは、アルミの加工性の良さを利用して、ビレットと呼ばれる円柱状の塊を押し出すことによって製作された構造材料を指します。最近では、産業用部材として機械用のカバーや架台の骨組みなどにも使用されており、鉄フレームの構造体に代わる素材として注目されています。 アルミフレームのメリット 次に、アルミフレームのメリットについてご紹介していきます。アルミフレームには、以下のような利点が挙げられます。 軽量 アルミの比重は鉄の約1/3となっており、非常に軽い金属となっています。そのため、アルミフレームを使用することで製品の軽量化につながります。 製造コスト・時間の短縮 アルミフレームでは、表面にアルマイト処理(人工的に酸化皮膜を生成させる処理)が施してあるため、メッキや塗装などの工程が必要ありません。 また、ボルト・ナットなどの材料を用いて組み立てを行うため、溶接の工程も必要ありません。このように、アルミフレームを用いることで加工の工程数を減らすことができるため、製品の製造に必要なコストや時間の短縮につながります。 設計の変更が簡単 アルミフレームは、ボルトなどを用いて簡単に組み立てられるので、製品の急な設計変更や後からの増設なども簡単に行うことができます。 また、アルミは鉄などに比べて軟らかい金属であるため加工しやすく、穴あけや切断などの追加工も容易に行うことができるというメリットもあります。 参考記事 こちらの記事では、アルミに関する基本的な知識について詳しく解説しています。アルミについて、さらに詳しく知りたいという方は、ぜひご覧ください。 ⇒【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説! アルミフレームの種類【サイズ】 次に、アルミフレームの種類についてご紹介していきます。まずは、サイズの違いについて見ていきましょう。 アルミフレーム【5シリーズ】 引用元:株式会社ミスミグループ本社 上図(左)に示したように、溝幅6mmのアルミフレームで、M5のボルトに適用するため5シリーズと呼ばれています。20mm、25mm、40mmのサイズがあります。 また、下図に示すようにT溝寸法は12mmで、L寸(フレーム長さ)の公差は±0.5mmとなっています。主な角数は20/25/40mm角です。 引用元:株式会社ミスミグループ本社 <主な用途> 主な用途としては、小型カバーや小物部品のラック、安全柵などとなっており、力の負荷が少ない場所での使用に適しています。 アルミフレーム【6シリーズ】 引用元:株式会社ミスミグループ本社 上図(左)に示したように、溝幅8mmのアルミフレームで、M6のボルトに適用するため6シリーズと呼ばれています。30mm、50mm、60mmのサイズがあります。 また、下図に示すようにT溝寸法は16.5mmで、L寸(フレーム長さ)の公差は±0.5mmとなっています。主な角数は30/50/60mm角です。 引用元:株式会社ミスミグループ本社 <主な用途> 主な用途としては、中型カバーや小型設備架台、コンベアフレームなどとなっており、幅広い用途で用いられています。 アルミフレーム【8シリーズ】 引用元:株式会社ミスミグループ本社 上図(左)に示したように、溝幅10mmのアルミフレームで、M8のボルトに適用するため8シリーズと呼ばれています。40mm、80mmのサイズがあります。 また、下図に示すようにT溝寸法は20mmで、L寸(フレーム長さ)の公差は±0.5mmとなっています。主な角数は40/80mm角です。 引用元:株式会社ミスミグループ本社 <主な用途> 主な用途としては、大型クリーンブースや設備架台、構造物などとなっており、重さのかかる場面での使用に適しています。 アルミフレーム【8-45シリーズ】 引用元:株式会社ミスミグループ本社 上図(左)に示したように、溝幅10mmのアルミフレームで、M8のボルトに適用し、8シリーズの一種となります。45mm、50mm、60mm、90mm、100mmのサイズがあります。 また、下図に示すようにT溝寸法は20mmで、L寸(フレーム長さ)の公差は±0.5mmとなっています。主な角数は45/90mm角です。 引用元:株式会社ミスミグループ本社 <主な用途> 主な用途としては、8シリーズ同様、大型クリーンブースや設備架台、構造物などで、より強度が必要な場面での使用に適しています。 Mitsuriでは、こちらでご紹介したようなさまざまな種類のアルミフレームの製作を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。 アルミフレームの種類【強度】 次に、アルミフレームの各種類における強度の違いについて見ていきましょう。 アルミフレームは、一般に標準アルミフレーム、軽量アルミフレーム、高剛性アルミフレームの3種類に分類され、この順に強度が高くなります。その違いは、使用されている材料の材質や肉厚です。 当然、肉厚が厚い材料では強度は高くなりますが、材料の重量も重くなり、さらにフレームの価格も高騰します。そのため、アルミフレームを選定する際には、必要な強度とともに、重量、価格を考慮することが大切です。 アルミフレームの許容荷重計算 アルミフレームの許容荷重とは、フレームの両端を支持した状態で荷重を加え、フレームのたわみ量がフレーム長さの1/1000mmになった時の荷重を指します。 たわみ量は、たわみ量算出簡易表と呼ばれる表や計算式を用いて算出することが可能です。アルミフレームを使用して製品を設計する際には、アルミフレームの許容荷重の計算が必要となってくるので注意しましょう。 アルミフレームの活用事例 最後に、アルミフレームの活用事例をご紹介していきます。 下の写真は、工場の装置やライン周りなどで用いられる安全柵での活用例です。 引用元:SUS株式会社 下の写真は、機械カバーの扉に用いられているアルミ製シャッターでの活用例です。 引用元:株式会社イマオコーポレーション 下の写真は、工場の生産ラインをつなぐコンベアの架台での活用例です。 引用元:エヌアイシ・オートテック株式会社 アルミフレーム製作の一括見積りを依頼するなら【Mitsuri】 アルミフレームは種類が豊富で、サイズの他にも強度、重量、価格なども異なってくるため、アルミフレームの製作を依頼する際にはメーカーを選定するのが難しくなってくるかもしれません。 アルミフレームの製作を依頼できるメーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!アルミフレームの製作でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

  • アルミプレート加工を徹底解説!板厚、公差、加工事例までご紹介!

    アルミプレートは、アルミ板とも呼ばれ、私たちの身近なところにおいても幅広い用途で使用されています。ただし、アルミプレートと言っても、その種類は多岐に渡り、さらに使用されている板厚もさまざまです。 今回は、そんなアルミプレートについて、その特徴や代表的な種類や板厚に加えて、アルミプレート加工における寸法公差についても説明していきます。また、最後にアルミプレートの曲げ・切断・パンチングプレートの加工事例についても、加工方法の解説とともにご紹介します。 アルミプレートの加工についてさらに知識を深めたい方や、アルミプレートの加工でお悩みの方は、ぜひご一読ください。 アルミの素材の特徴 アルミの素材の特徴としては、比重が軽いこと、優れた加工性・耐食性・熱伝導性を持つことなどが挙げられます。比重や熱伝導性については、鉄と比較すると、比重は鉄の約1/3、熱伝導率は鉄の約3倍となっています。特に、アルミプレートは、その軽さや加工のしやすさから、DIYにも適しており、最近ではホームセンターでアルミ板を購入して、家庭内でアルミケースなどの製作を行う人も増えています。 アルミプレートの種類 アルミは一般的に合金として使用されることが多く、その含有されている金属によって、次のように、1000番台〜8000番台までに分類されます。 アルミ合金の種類 ・1000番台:純アルミ ・2000番台:アルミ-銅合金 ・3000番台:アルミ-マンガン合金 ・4000番台:アルミ-ケイ素合金 ・5000番台:アルミ-マグネシウム合金 ・6000番台:アルミ-マグネシウム-ケイ素合金 ・7000番台:アルミ-亜鉛-マグネシウム合金 ・8000番台:アルミ-リチウム合金 ここでは、その中でもより代表的なアルミプレートの種類について、その特徴とともにご紹介していきます。 A1050 1000番手系であるA1050は、純度が99.5%以上の純アルミの材質となっています。アルミプレートの中でも最も使用されている材料で、サイズ展開も豊富です。特徴としては、強度は低いものの、成形性、溶接性、耐食性、加工性が良好で、中でも耐食性はアルミ合金の中で最も優れています。 A1100 A1100も1000番手系で、純度が99%以上の純アルミ材ですが、その他の1000番手系の材質とは異なり、A1100には微量の銅が添加されています。強度は比較的低いですが、成形性、溶接性、耐食性に優れるという特徴を持っています。 A2017 2000番手系であるA2017は、ジュラルミンとも呼ばれ、アルミに銅や少量のマグネシウムを添加し、強度が非常に高い材質となっています。一方、強度が高い分、加工性は低く、また溶接性や耐食性も他のアルミ合金と比ベて若干劣ります。 A5052 5000番手系であるA5052は、アルミにマグネシウムなどを添加したアルミ合金です。中程度の強度を持ち、アルミ合金プレートの中でも、最も代表的な材料となっています。耐食性、溶接性、成形性、加工性などに優れ、加工や工作に向いています。また、耐海水性も有しています。 A6061 6000番手系であるA6061は、アルミにシリコンやマグネシウムを添加したアルミ合金を指します。強度と耐食性に優れ、バランスのとれた材質となっています。 参考記事 こちらの記事では、アルミ板の種類についてさらに詳しく解説しています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。 ⇒アルミ板の種類と板厚が丸わかり! 買うべき板が見つかります アルミプレートの板厚 次に、前述したアルミプレートの代表的な材質について、一般的な板厚および用途を見ていきましょう。以下の表にまとめました。 材質によって、一般的に利用されている板厚が異なることが分かります。また、用途もさまざまで、アルミプレートが幅広い用途で利用されているということが理解できます。 Mitsuriは、こちらでご紹介したような、さまざまな材質・板厚のアルミプレートの加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。 アルミプレート加工における寸法公差 ここでは、アルミプレート加工における寸法公差とは何か解説していきます。 寸法公差とは 設計においては図面に寸法を記しますが、実際に加工を行う際には、記された寸法と全く同じ寸法に仕上げることは非常に難しくなります。そのため、寸法に応じて実際の寸法として許容される最大値と最小値が定められており、その最大値と最小値の差を「寸法公差」と言います。規格品のアルミプレートの場合でも、寸法公差が記載されて販売されています。通常、板厚の寸法公差は板厚が薄いほど厳しい公差となっています。 工程数に変化が生じる可能性も プレートの寸法公差を調整する場合、通常はまずフライス加工を行い、その後平面研削盤にて研磨を行います。しかし、この平面研削盤による研磨はコストがかかるため、研磨なしでどこまでの寸法公差が出せるのかというところがコストを上げないためには必要となります。プレートの厚み・形状・大きさなどにもよりますが、一般に寸法公差に対する加工の必要性は、下記の通りになります。 引用元:ダイキョー精機株式会社 寸法公差が±0.03~0.01mmの領域では、形状により研磨が必要な場合とそうでない場合とに分かれます。 例えば、真っ平なプレート形状ではなく、段の落ちたところに平面、平行度を指定する場合においては、平面研削盤による研磨加工が必要となってきます。また、場合によっては、フライス加工、研磨加工を行った後、再度フライス加工を施すこともあり、工程数がさらに増える場合もあります。 アルミプレートの加工事例 最後に、アルミプレートの加工事例についてご紹介していきます。 アルミプレートの曲げ加工 曲げ加工とは、文字通り、アルミプレート材の必要な箇所を折り曲げる加工を指します。一般に、プレス機を用いて曲げ加工を施します。アルミプレートの曲げ加工事例は、以下のようになっています。 曲げ加工事例① 引用元:有限会社タケウチ 材質はA5052、板厚t1.5mmのアルミプレートを専用金型を製作して曲げ加工を施した例です。 曲げ加工事例② 引用元:株式会社藤工業所 材質はA5052、板厚t6mmのアルミプレートに90度曲げ加工を施した例です。 曲げ加工事例③ 引用元:株式会社上野製作所 材質はA5052、板厚t3mmのアルミプレートに曲げ加工を施した例です。(寸法:560mm×420mm×230mm) アルミプレートの切断加工 切断は、アルミプレートを必要なサイズや形に切り取る加工を指します。切断の方法にも、フライスやレーザー、プレス、チップソー(丸ノコギリの歯)を用いる切断など、色々な種類があり、材質や板厚などを考慮して、最適な方法を選択します。それでは、アルミプレートの切断加工事例について見ていきましょう。 切断加工事例① 引用元:株式会社レーザーテック 材質はA5052、板厚t5mm、サイズ800mmX2400mmのアルミプレートをレーザーにて幾何学模様に切断した加工例です。 切断加工事例② 引用元:株式会社レーザーテック 材質はA5052、板厚t10mm、サイズ800mmX800mmのアルミプレートをウォータージェット切断(超高圧水の吐出エネルギーを利用して切断を施す加工)で格子状に加工した例です。 切断加工事例③ 引用元:株式会社かねよし 板厚t25mmのアルミ材のレーザー切断の加工例です。 アルミパンチングプレート 引用元:有限会社レモン パンチングプレートは、穴を開けた板材を指し、パンチとダイという金型で材料を打ち抜くプレス機械を用いて加工を行います。上図のように、穴の種類や大きさなどもさまざまです。以下、アルミパンチングプレートの加工事例を見ていきましょう。 パンチングプレート加工事例① 引用元:株式会社タカチ電機工業 既製品として販売されているもので、材質はA1050、3.5mm×20mm長穴のアルミパンチングプレートです。筐体や機器の放熱部のパネル、ファンを使う機器の通気用パネルなどに利用されます。 パンチングプレート加工事例② 引用元:株式会社ウチヌキ 建築外装用アルミパンチングの加工例です。丸穴で直径50mmという大きなパンチング加工を施した外装パネルとなっています。 パンチングプレート加工事例③ 引用元:株式会社ウチヌキ 住宅用レンジフード向けのアルミパンチング材です。バーリング形状(凸形状)のパンチング加工を施すことによって、裏面は油が下に垂れにくく、表面は引っ掛かりがなく掃除がしやすいという特徴を持ちます。 参考記事 こちらの記事では、パンチングプレートについてさらに詳しく解説しています。パンチングプレートの種類や材質など、さらに知識を深めたい方はぜひご覧ください。 ⇒ パンチングプレートならMitsuri!種類や材質について専門家が解説! アルミプレート加工の一括見積りを依頼するなら【Mitsuri】 今回は、アルミプレートについて、その特徴や代表的な種類や板厚に加えて、アルミプレート加工における寸法公差、曲げ・切断・パンチングプレートの加工事例など幅広い内容をご紹介しましたが、いかがでしたか。アルミプレートの種類はさまざまで、それぞれの特徴を活かして多くの用途に利用されています。また、アルミプレートを用いて設計・加工を行う際には、寸法公差を考慮する必要があり、最終製品の品質にも影響してきます。 アルミプレートの加工メーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。