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チタンとステンレスは、ともに強度と耐食性に優れる一方で、難削材であるといった共通する特徴がいくつかあります。どちらも用途が幅広く、アクセサリーや食器などの身近なものにもチタンやステンレスが採用されているほどです。しかしどちらも耐食性に優れているとはいうものの、万能に錆びを防げるわけではありません。環境によってはチタン、もしくはステンレスの方が優れている場合もあります。そこで本記事では、チタンとステンレスの物理的性質や耐食性の違いなどを比較・解説します。両者の見分け方についても併せて記述しているので、チタンとステンレスの判別にお困りの方もぜひ参考にしてみてください。参考:【チタンの特徴と用途とデメリット】チタンは他の金属とどう違うのか参考:【チタン加工】チタンの加工上の特性や加工方法を徹底解説!!チタンとステンレスの物性比較(硬さ、強度、熱伝導率、比重)<チタンとステンレスの物理的性質>材料溶融点(℃)密度(g/cm3)電気抵抗(μΩ⋅m)20℃熱伝導率(W/m⋅K)20℃比熱(KJ/kg⋅K)体積比熱(W/cm3⋅K) 線膨張係数(/K×10-6)20℃工業用純チタン(CP-Ti)1,6684.510.55170.5192.38.4α-βチタン合金(Ti-6Al-4V)1,6504.431.717.50.6102.78.8βチタン合金(Ti-15-3-3-3)1,6684.761.48.080.5002.48.5ステンレス(SUS304)1,400~1,4207.900.72160.5024.017.0引用元:一般社団法人日本チタン協会<チタンとステンレスの機械的性質>材料引張強さ(規格値)(MPa)比強度(計算値)0.2%耐力(MPa)伸び(規格値)(%)ビッカース硬さ(代表値)(HV)ヤング率(代表値)(GPa)工業用純チタン(CP2種)340~51075~113215≦23≦160106.3α-βチタン合金(Ti-6Al-4V)895≦202≦825≦10≦320110βチタン合金(Ti-15-3-3-3)745~945157~199690~83512≦27078.4ステンレス(SUS304)520≦66≦205≦40≦180199.9引用元:一般社団法人日本チタン協会チタンには大きく分けて、純チタンとチタン合金の2種類があります。純チタンは純度の高いチタンで、チタン合金よりも安価で加工しやすいのが特徴です。チタン合金は、アルミニウムやニッケルといったさまざまな合金元素を含有することで、強度や耐食性などを向上させています。チタンはステンレスと比べて密度(比重)が60%程度と小さく軽量、線膨張係数がステンレスの50%程度で熱収縮しにくい、体積比熱もステンレスの50~60%で昇温しやすいなどの特徴があります。耐力については、純チタンとステンレスでほとんど違いはありません。一方で、ヤング率に関してはステンレスの約半分の値を示します。どちらも優れた耐食性と強度をもちますが、チタンは金属アレルギーが起こりにくい、軽量であるといった特徴から、腕時計などのアクセサリーやアウトドア向けのクッカーにも採用されています。一方で、ステンレスはチタンより重たいものの、美観性に優れ、価格も安いことから、上記の製品ではよく比較される材料です。チタンの用途はそのほかにも、自動車・航空機・医療機器などが代表的です。ステンレスは、機械部品・キッチン周り・家電製品などにも多く採用されています。参考:軽い金属3選!【金属加工でよく使われる】特徴も解説!参考:チタン合金を詳しく解説【専門家が語る】種類や特徴について!チタンとステンレスの錆びにくさ<チタンとステンレスの耐食性比較>腐食媒組成(%)温度(℃)耐食性チタン 18-8ステンレス鋼塩酸1024〇×3024××1080×ND3080×ND硫酸1024△ND5024××10100×ND50100×ND硝酸1024◎◎5024◎◎10100◎◎50100◎〇王水HCl・HNO33:124◎×100〇ND弗化水素530××燐酸10(通気)24〇◎100×◎50(通気)24△◎100×〇塩化第二鉄1024◎×3024◎×10100◎ND30100◎ND塩化第二銅1024〇×3024〇×10100〇ND30100〇ND塩化ナトリウム1024◎〇4024◎〇10100◎*〇*40100◎*〇*アンモニア1024◎◎3024◎◎1080◎〇3080◎〇苛性ソーダ1024◎◎5024◎◎10100◎◎50100〇〇硫化水素乾燥ガス24◎△湿潤ガス24◎〇塩素乾燥ガス24×ND100ND◎湿潤ガス24◎ND90◎ND蓚酸1024〇〇2052×ND5024ND〇50100ND×*は孔食その他の局部腐食を起こす場合があります。記号の説明 ◎:<0.127、〇:<0.127~0.508、△:0.508~1.27、×:>1.27mm/year【注意】上記はあくまで参考値であり、個々の値を保証するものではありません。引用元:一般社団法人日本チタン協会チタンとステンレスはどちらも不働態皮膜を形成するため、耐食性は良好です。しかし、塩化物イオンのある環境下においては、ステンレスよりもチタンのほうが耐食性に優れています。これは、ステンレスが塩化物イオンによって、不働態皮膜が破壊されてしまうのに対し、チタンは塩化物イオンに対しても不働態皮膜が安定しているためです。また、チタンは耐食性について万能というわけではなく、塩酸や硫酸などの非酸化性の酸には腐食しやすい傾向にあります。一方で硝酸のような酸化性の酸の場合は、チタン・ステンレスともに不働態皮膜が安定するため、両者ともに錆びを防止できます。参考:錆びにくい金属について解説【錆びない金属はありません】チタンとステンレスの見分け方ステンレスは、基本的にオーステナイト系は磁性を持たず、フェライト系やマルテンサイト系などの他の種類は磁性を持ちます。一方でチタンは、純チタン・チタン合金ともに非磁性の材料です。そのため、オーステナイト系以外のステンレスとチタンを見分ける場合であれば、磁石が付くかどうかで判断ができます。ただし、オーステナイト系ステンレス鋼は、加工を施すと磁性を持つことがあります。よって、ステンレスとチタンの材質を見分けるときは、磁石に付いたものがステンレスのものだと判断してもよいでしょう。磁石で判別できない場合は、重さで判断してみるのもひとつの方法です。チタンの比重はおよそ4.5であるのに対し、ステンレスは7.9の値となります。同じ体積の物であれば、1.5倍以上も重量に違いがあるため、似たようなサイズのものを比較する場合は判別がしやすいです。また、外観についてもステンレスのほうが光沢があり、チタンのほうが黒ずんで見えます。ただし、表面処理を施していると見分けは付きにくくなります。
図1:鉄と鋼と鋳鉄の炭素量の違い 鉄と鋼と鋳鉄の違いは含まれる炭素量です。すべて鉄と炭素の合金である点は共通で、炭素の量のみが異なります。炭素の量が変わると、特に鉄が持つ強さの性能(「強度」と「硬度」)が変わります。素材鉄鋼鋳鉄炭素量(%)0.02%未満0.02~2.14%2.14%超※↑具体的数値については別の考え方もあります。炭素量が多い場合、材料の硬さが増します。硬さが増すほど、一定限度を超えた力が加わったときに折れやすくなるため、用途に応じて適切な素材を選択する必要があります。鉄と鋼と鋳鉄の違いは炭素量だけ鉄の炭素量はおよそ0.02%未満です。一般的に炭素量が多い金属ほど硬くなり、硬くなるほど脆くなるので、鉄は鋼・鋳鉄よりも強度が劣ります。鉄は酸化しやすく加工も難しいため、製品としてそのまま用いられることはほぼありません。基本的に、鉄は炭素量を0.02~2.1%に増やして強度を持たせ、「鋼」として活用します。私たちが普段の生活で使っている「鉄」は、ほとんどが正確には「鋼」です。図2:炭素量の違いで硬さと靭性が反比例する様子鉄・鋼・鋳鉄は、炭素量が増えるほど材料は硬くなり、強度が増しますが、粘り強さを表す「靭性」については、性能が落ちます。靭性が高いほど、材料は折れにくくなります。鉄と鋼は、鋳鉄と比較して炭素量が少ないため、硬さには劣りますが靭性に優れています。鋳鉄より厚みが薄くても、割れにくいのが特徴です。鋼製フライパン鋳鉄製フライパン靭性に優れる薄く成形できる軽い靭性に乏しい割れないように厚みあり重い表面がざらざらしてる場合あり例えば、家庭で使われているフライパンにはプレス加工で作った鋼製のものや、鋳鉄製のものがあります。プレス加工で作った鋼製は、鋳鉄製と比べて靭性に優れているため、薄く成形が可能で重量も軽くなります。一方、鋳鉄製は靭性に乏しいため、割れないように厚みを持たせており、重量も重たくなります。JISによる鉄と鋼と鋳鉄の違いと分類図3:JISによる鉄と鋼と鋳鉄の分類 鉄と鋼と鋳鉄の鉄鋼材料は、性能や規格の種類分類がJISによって定められています。JISの「鉄」は「鋳鉄」を指しています。鉄と鋳鉄の製法の違いと見分け方(1)製法の違い鋳鉄と鉄の違いは炭素量だけではなく、製法にもあります。鋳鉄は、銑鉄・鉄スクラップ・戻り材などの材料を、「キュポラ」と呼ばれる溶解炉などに溶かして作られます。銑鉄は、コークスと鉄鉱石を高炉で溶かしてできたもので、鉄を作るのにも必要な材料です。溶かした鋳鉄は、鋳型に流し込み、冷やし固めることで製品化されます。①高炉 鉄鉱石を溶解・還元②溶銑予備処理 酸素・石灰を加えて不純物除去③転炉 炭素を取り除いて溶鋼へ④二次精錬 不純物を除去しより品質高める⑤連続鋳造設備 鋼片(スラブ・ビームプランク・ブルーム)を作る鉄は、銑鉄から酸素や石灰を加えて硫黄やリンなどの不純物を除去し、酸素を加えて炭素を低減させることにより作られます。これらを取り除く過程で溶かした鉄は、圧延しやすい鋼片(スラブ・ビームブランク・ブルーム)に生成されます。鋼片から圧延や鍛造がされ、鋼管・形鋼・鋼板が作られて市場に出回ります。圧延・鍛造ではなく、鋳造で作られた鋼のことを「鋳鋼」と呼びます。特徴鋳鉄製品・溶かした金属を鋳型に入れ、冷やして凝固し成形・「鋳肌」や「ゆず肌」・厚みが必要鉄製品・鍛造・切削・溶接によって成形・薄くできる鋳鉄製品と鉄製品は、成形の仕方で見分けることができます。鋳鉄品は溶かした金属を鋳型に入れた後、冷やして凝固させ成形しています。鉄製品は、鍛造・切削・溶接により成形しています。鋳鉄は、鋳型から取り出して表面を加工していない「鋳放し」のものだと、表面の仕上がりがざらざらしている場合があります。「鋳肌」や「ゆず肌」と呼ばれ、砂型による造形で起こりうるものです。(2)肉厚の違い鉄と鋳鉄は、肉厚にも大きな違いがあります。鉄は炭素量が少なく粘り強さがあるため、薄肉の形状のものを作ることができます。鋳鉄は粘り強さに欠けるほか、鋳型のなかに溶けた金属を充填させる必要があり、どうしても肉厚が必要です。肉厚が薄いと、鋳型に溶けた金属が回りきらず、成形不良を起こしてしまいます。鉄の種類と炭素量の違い(1)SS材SS材は「一般構造用圧延鋼材」ともいい、建築関係や土木業界で多く使用されている材料です。SS材は、JIS規格によると、SS330・400・490・540の4種類が規定されています。化学成分は、リンと硫黄の含有量が0.05%以内と定められていますが、SS540のみ炭素が0.3%以下、マンガン1.6%以下の条件も加わります。SSの後ろにつく数字は、最低保障されている引っ張り強さを表しています。SS400で例を挙げると、引っ張り強さが400~510N/mm2です。SS材のなかでもSS400は、平鋼・棒鋼・形鋼などで多く流通しており、価格も安価なのが特徴です。(2)炭素鋼鋼材S-C系(SC材)炭素鋼鋼材S-C系は「機械構造用炭素鋼材」といい、一般的に「SC材」とも呼ばれています。SC材はJIS規格で20種類以上の種類がありますが、最も多く使用されている素材は「S45C」です。SとCの間に入る2桁の数字は炭素の含有量を示します。S45Cは、0.45%前後の炭素を含むという意味です。SC材は、SS材に比べて硬度と強度があります。加工性や溶接性にも優れている分、価格も高めです。SS材とSC材の選び方として、硬度や強度などを求める場合はSC材、コストを抑えたい場合はSS材を選ぶのがおすすめです。参考:鉄と鋼の違いについて解説!【専門家が語る】鉄の種類についてもお伝えします!「鋳物」と「鉄と鋼と鋳鉄」の違い図4:「鋳物」と「鉄と鋼と鋳鉄」の違い 「鋳物」と「鉄・鋼・鋳鉄」との違いは、素材か製品かという点です。鋳物は金属を流し込んで作られた"製品"で、鉄・鋼・鋳鉄は"素材"です。鋳物とは、作りたい製品と同じ空隙を持つ鋳型に溶けた金属を流し込み、冷やし固めてできた製品を指します。冷え固まった製品は、鋳型を分解して取り出したのち、不要な注ぎ口のカットや仕上げ工程などを行って製品化されます。鋳物で使われる鉄系素材鋳物で使われる鉄系素材鋳鋼鋳鉄炭素量0.02~2.1%炭素量2.1~6.67%普通鋼鋳鋼特殊鋼鋳鋼球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)CV黒鉛鋳鉄片状黒鉛鋳鉄白鋳鉄鋳物で使われる鉄系素材は、大きく分けて「鋳鋼」と「鋳鉄」に分類されます。炭素量に違いがあり、鋳鋼は炭素量が0.02~2.1%、鋳鉄は炭素量が2.1~6.67%程度含まれています。鉄と比べて炭素量が多いです。(1)鋳鋼鋳鋼は鋳造で用いられる鋼で、鍛造では作りにくい複雑な形状かつ、鋳鉄だとすぐに壊れてしまうような製品に対して利用されます。鋳鋼には大きく分けて「炭素鋼鋳鋼」と「合金鋼鋳鋼」の2種類があります。図6:炭素鋼鋳鋼の炭素含有量による分類 炭素鋼鋳鋼は、炭素C以外の元素を合金元素として含まない鋳鋼で、電動機部品や車両部品に活用されています。炭素の含有量が0.2%以下を「低炭素鋼」、0.2~0.5%は「中炭素鋼」、0.5%以上は「高炭素鋼」に分類されます。炭素量が多いほど強度が増して靭性が落ちるため、バランスを見て適切な鋳鋼を選ぶ必要があります。合金鋼鋳鋼は、マンガンMn、クロムCr、モリブデンMoなどを添加し、耐食性・耐熱性・耐摩耗性を向上させた鋳鋼です。合金鋼鋳鋼は、主に機械部品・化学工業用ポンプ・キャタピラで活用されています。(2)鋳鉄引用元:日之出水道機器株式会社鋳鉄は、鋳鋼よりも融点が下がり、低い温度で溶解できるのが特徴です。炭素を多く含んでいることから、黒鉛を晶出します。鋳物の冷却速度や合金成分によって黒鉛の形状は変化し、より高い強度や靭性(粘り強さ)を持たせることも可能です。a. 球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)「球状黒鉛鋳鉄」は「ダクタイル鋳鉄」とも呼ばれ、強度がありながらも、靭性に優れています。球状黒鉛鋳鉄は、強度の高さから自動車部品・水道管・車道用マンホール蓋に多く採用されている材料です。b. 片状黒鉛鋳鉄(ねずみ鋳鉄)「片状黒鉛鋳鉄」は「ねずみ鋳鉄」とも呼ばれ、硬さはあるものの、球状黒鉛鋳鉄に比べると伸びがなく、脆いのが特徴です。片状黒鉛鋳鉄は、歩道用マンホール蓋で採用されるなど、球状黒鉛鋳鉄ほど強度を必要としない場合に活用されます。鉄と鋳物の使い分け方とメリット・デメリット鋳物メリット・複雑な形状でも量産可能・硬さ必要&複雑形状の場合、コスト抑えられる・厚み・リブを設けることで簡単に強度を増せるデメリット・製品ごとに鋳型が必要で仕様変更に弱い・鋳型の初期費用掛かる・厚み・寸法精度出せない鋳物は、複雑な形状をした製品でも量産が可能な点がメリットです。車のエンジン部品やマンホール蓋のような、硬さが必要かつ複雑な成形が求められる場合だと、鉄よりも鋳物のほうがコストを抑えられます。しかし、製品ごとに専用の型を用意する必要があるため、仕様変更があった際に融通が利きにくいほか、イニシャルコストもかかる点はデメリットです。鋳物の原型は、基本的に上型と下型用で別々に用意する必要があるほか、中空がある製品の場合、それを設けるための「中子」も用意しなければなりません。鋳造するうえで成形不良を起こさないために、製品に厚みを持たせる必要もあります。鉄系の鋳物は、製品が冷え固まる際に収縮するため、寸法精度が出しにくい点もデメリットです。もし、寸法精度が求められる場合は2次加工により精度を出す必要があります。鉄メリット・薄い製品作れる・寸法精度が安定するデメリット・強度が欲しい箇所には補強部品を別途追加して接合しないといけない鉄は、フライパンのような薄い製品を作る場合や、高い精度を求める場合におすすめです。鉄は粘り強さがあるほか、板金加工やプレス加工による成形により、肉厚が薄い製品でも製作できます。鋳造では鋳物が冷えて固まる際に製品が収縮するなど製品不良を起こす心配がありますが、鉄製品であればこれらの心配はなく、強度や寸法を安定して出せるのがポイントです。鉄のデメリットは、製品に強度を持たせたい場合に補強部品を追加する必要があることです。鋳物だと、簡単に強度が欲しい箇所へ厚みやリブなどを設けられますが、鉄の場合は別途部品を用意して接合しなければなりません。それぞれのメリット・デメリットを考慮して、どちらの製法が適切か選択する必要があります。① Mitsuriでのお見積りは案件を公開して待つだけ!② 複数のお見積りが届く! ⇒金額重視or納期重視?ニーズに合うものを選べる!③ 案件の5割以上が1日以内に見積もりを取得!金属加工でお困りの方は、Mitsuriまでお問い合わせください。日本全国250社以上の登録工場の中からご要望に沿った工場が探しやすく、お見積りは、複数社から直接届きます。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください!
アルミニウムは鉄の約35%の比重であり、密度は低く金属の中でも軽量で、素材が破断せず柔軟に変形しやすいため様々な製品が造られています。アルミニウムは酸素と結びやすく、空気に触れることで薄い酸化皮膜をつくり保護されることで錆びにくくなります。しかし、この酸化皮膜は非常に薄いので、化学反応により腐食しやすくなるため、表面を保護する必要があります。 アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を人工的に作る処理がアルマイトです。本記事では、表面を保護するアルマイト・カラーアルマイト・硬質アルマイトについてご紹介していきます。リサイクル性にもすぐれた軽くて強く、幅広い分野で使われているアルミニウムに、目的に合ったアルマイトをすることでさまざまな商品として私たちの生活に密に関わっています。板金加工ならMitsuri板金加工でお困りなら是非、Mitsuriにご相談ください!Mitsuriなら、板金加工を専門にしている工場の一括見積もりを取ることができます。小ロットや個人での加工依頼OKの工場に絞って見積りすることも可能です。試作も大歓迎です!Mitsuriの協力工場は全国に130社以上あり、多数の板金加工実績があるため、安心して依頼できるんです。板金加工でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!見積もり依頼をする(無料)アルマイトとは引用元:Wikipediaアルマイトとは、アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を作る処理です。アルマイトで人工的にアルミニウム表面に分厚い酸化アルミニウム皮膜を作ることにより、アルミニウムの耐食性(さびや腐食しにくい)、耐摩耗性の向上、装飾その他の機能の付加を目的とします。アルミニウムには、純アルミ、アルミニウム合金があり、1円玉や缶から自動車の部品などさまざまなところに使われています。材料へのニーズが多様化し、従来の特性に加え新たな機能性を付加したアルミニウムが先端分野へ展開されています。アルミニウムの特性軽量、強度、加工性、電気伝導率の高さ、非磁性、熱伝導率の高さ、極低温下でも脆性破壊が無い、赤外線や紫外線、電磁波、各種熱線を反射する、無害、無臭で衛生的、複雑形状の鋳造をつくれる、接合のしやすさ、真空の特性、再生加工しやすい以上のようなアルミニウムの特性を活かし、アルマイトによりさらに耐食性、耐摩耗性の向上、装飾など製品の幅を広げることができます。アルマイトの特徴着色をしない限りは無色透明な皮膜です。染料でいろいろな色に染めることができます。アルマイトの原料は、アルミニウム、アルミニウム合金と電解水溶液、硫酸電解液です。アルマイト処理の工程引用元:柏都電機工業(株)電解液を処理浴に用いて、アルミニウムを陽極として電気分解をすることにより、アルミニウムの表面を電気化学的に酸化させ、酸化アルミニウムの皮膜を作ります。多孔質皮膜を形成した後、高温水溶液、加圧水蒸気に水和することで、孔壁水和膨張させて孔を封じ(孔封処理)、耐食性を向上させます。耐食性の向上とは、腐食(さび)しにくくすることを指します。腐食(さび)すると外観や機能が損なわれてしまいます。耐食性を向上させることにより、さまざまな分野で活用することができます。身近なものでは、弁当箱、やかん、鍋、デジタル家電などキッチン用品から自動車、電車、航空機、ロケットなどもアルマイトされた製品、部品が組み込まれています。アルマイトは、アルミの表面から上に成長皮膜、下に浸透皮膜というように上下に成長します。一律に成長するので、元のアルミ製品の凸凹のままアルマイトされます。カラーアルマイトとは引用元:株式会社川崎カラーアルマイトとは、アルマイト処理によりできた孔の中に染料を浸透させ、染色することです。染料の濃度、温度、染色時間、アルマイト皮膜の厚さにより染料の吸着量が異なり、染料の吸着量が多いほど濃色になります。染料の調合による色調の違いや、表面仕上げの違いで、さまざまな種類があります。製品のバリエーションを豊かにし、製品の目的や使用場面に合った表面を生成できます。アルマイトされている身近な商品にはスマートフォン、窓枠の、アルミサッシ、つりでつかうリール、スマートフォンカバーなどがありますし。また、着色しない場合は、アルミ素材の色になります。カラーアルマイト処理の工程引用元:株式会社アルマックス | Almaxカラーアルマイト処理の工程は、陽極酸化後に染色または二次電解着色し、封孔をします。封孔後の仕上げ処理により、光沢などの変化をつけれます。染色、着色での色の種類や光沢など、バリエーションはさまざまです。また、二次電解、三次電解という陽極酸化後にポーラス内に電気化学的に金属などを摂出させて着色するカラーアルマイトもあります。腐食環境で使用されるアルミサッシなどの部材においては、一般的に封孔処理しないで電着塗装を施した“陽極酸化塗装複合皮膜”が用いられています。硬質アルマイトとは引用元:三和メッキ工業株式会社硬質アルマイトは、滑り特性や摩耗しにくい特性の求められる、自動車のエンジンや航空機関連の部品に用いられます。日本工業規格JIS H 8603「アルミニウム及びアルミニウム合金の工業用硬質陽極酸化皮膜」では、「低温の電解浴又は各種の有機酸を添加した特殊な電解浴を用いて処理されたアルミニウム材の陽極酸化皮膜。通常の方法で処理された皮膜に比べて硬く、かつ、耐摩耗性に優れることを特徴とする。」と定義しています。硬質アルマイトは、アルミニウム素地が通常のアルマイト処理で得られる酸化皮膜よりも厚い層を形成するため、耐久性の向上、製品の強度が増します。硬度は、非熱処理の鉄と比較すると硬質アルマイトのほうが硬く、耐摩耗性、電気絶縁性を発揮させるには20~70ミクロンの範囲で指定します。普通アルマイトと硬質アルマイトを比較してみた標準アルマイト硬質アルマイトプロセス硫酸浴中で処理する最も一般的なプロセス低温の電解槽中で処理することで、厚く硬い皮膜を生成色合い染色を施さなければ通常は白色を呈する一般的にはグレーを呈するものの、用いるアルミ素材と膜厚によって見え方に差が生じる硬度200HV前後鉄より軟らかい400HV以上非熱処理の鉄と比較すると硬質アルマイトのほうが硬い膜厚一般的に5~25ミクロン。使用条件などを勘案して指定耐摩耗性、電気絶縁性を発揮させるには20~70ミクロンの範囲で指定主用途建材、工業用品、家庭用品、各種装飾品などシャフト・ロールなど摺動部品、航空機関連部品引用元:東信工業株式会社家庭用品のコップやお弁当箱、装飾品などから、航空機関連部品まで、用途に合ったアルマイトで、アルミニウム製品を幅広くアルマイト処理しています。まとめアルマイトについて、アルマイト処理、特徴、種類について今回解説しました。さまざまなアルミニウム商品に、アルマイト処理により耐食性、耐摩耗性の向上、装飾などの機能を付加できます。商品開発、改良などぜひご相談ください。見積もり依頼をする(無料)
チタンとステンレスは、ともに強度と耐食性に優れる一方で、難削材であるといった共通する特徴がいくつかあります。どちらも用途が幅広く、アクセサリーや食器などの身近なものにもチタンやステンレスが採用されているほどです。しかしどちらも耐食性に優れているとはいうものの、万能に錆びを防げるわけではありません。環境によってはチタン、もしくはステンレスの方が優れている場合もあります。そこで本記事では、チタンとステンレスの物理的性質や耐食性の違いなどを比較・解説します。両者の見分け方についても併せて記述しているので、チタンとステンレスの判別にお困りの方もぜひ参考にしてみてください。参考:【チタンの特徴と用途とデメリット】チタンは他の金属とどう違うのか参考:【チタン加工】チタンの加工上の特性や加工方法を徹底解説!!チタンとステンレスの物性比較(硬さ、強度、熱伝導率、比重)<チタンとステンレスの物理的性質>材料溶融点(℃)密度(g/cm3)電気抵抗(μΩ⋅m)20℃熱伝導率(W/m⋅K)20℃比熱(KJ/kg⋅K)体積比熱(W/cm3⋅K) 線膨張係数(/K×10-6)20℃工業用純チタン(CP-Ti)1,6684.510.55170.5192.38.4α-βチタン合金(Ti-6Al-4V)1,6504.431.717.50.6102.78.8βチタン合金(Ti-15-3-3-3)1,6684.761.48.080.5002.48.5ステンレス(SUS304)1,400~1,4207.900.72160.5024.017.0引用元:一般社団法人日本チタン協会<チタンとステンレスの機械的性質>材料引張強さ(規格値)(MPa)比強度(計算値)0.2%耐力(MPa)伸び(規格値)(%)ビッカース硬さ(代表値)(HV)ヤング率(代表値)(GPa)工業用純チタン(CP2種)340~51075~113215≦23≦160106.3α-βチタン合金(Ti-6Al-4V)895≦202≦825≦10≦320110βチタン合金(Ti-15-3-3-3)745~945157~199690~83512≦27078.4ステンレス(SUS304)520≦66≦205≦40≦180199.9引用元:一般社団法人日本チタン協会チタンには大きく分けて、純チタンとチタン合金の2種類があります。純チタンは純度の高いチタンで、チタン合金よりも安価で加工しやすいのが特徴です。チタン合金は、アルミニウムやニッケルといったさまざまな合金元素を含有することで、強度や耐食性などを向上させています。チタンはステンレスと比べて密度(比重)が60%程度と小さく軽量、線膨張係数がステンレスの50%程度で熱収縮しにくい、体積比熱もステンレスの50~60%で昇温しやすいなどの特徴があります。耐力については、純チタンとステンレスでほとんど違いはありません。一方で、ヤング率に関してはステンレスの約半分の値を示します。どちらも優れた耐食性と強度をもちますが、チタンは金属アレルギーが起こりにくい、軽量であるといった特徴から、腕時計などのアクセサリーやアウトドア向けのクッカーにも採用されています。一方で、ステンレスはチタンより重たいものの、美観性に優れ、価格も安いことから、上記の製品ではよく比較される材料です。チタンの用途はそのほかにも、自動車・航空機・医療機器などが代表的です。ステンレスは、機械部品・キッチン周り・家電製品などにも多く採用されています。参考:軽い金属3選!【金属加工でよく使われる】特徴も解説!参考:チタン合金を詳しく解説【専門家が語る】種類や特徴について!チタンとステンレスの錆びにくさ<チタンとステンレスの耐食性比較>腐食媒組成(%)温度(℃)耐食性チタン 18-8ステンレス鋼塩酸1024〇×3024××1080×ND3080×ND硫酸1024△ND5024××10100×ND50100×ND硝酸1024◎◎5024◎◎10100◎◎50100◎〇王水HCl・HNO33:124◎×100〇ND弗化水素530××燐酸10(通気)24〇◎100×◎50(通気)24△◎100×〇塩化第二鉄1024◎×3024◎×10100◎ND30100◎ND塩化第二銅1024〇×3024〇×10100〇ND30100〇ND塩化ナトリウム1024◎〇4024◎〇10100◎*〇*40100◎*〇*アンモニア1024◎◎3024◎◎1080◎〇3080◎〇苛性ソーダ1024◎◎5024◎◎10100◎◎50100〇〇硫化水素乾燥ガス24◎△湿潤ガス24◎〇塩素乾燥ガス24×ND100ND◎湿潤ガス24◎ND90◎ND蓚酸1024〇〇2052×ND5024ND〇50100ND×*は孔食その他の局部腐食を起こす場合があります。記号の説明 ◎:<0.127、〇:<0.127~0.508、△:0.508~1.27、×:>1.27mm/year【注意】上記はあくまで参考値であり、個々の値を保証するものではありません。引用元:一般社団法人日本チタン協会チタンとステンレスはどちらも不働態皮膜を形成するため、耐食性は良好です。しかし、塩化物イオンのある環境下においては、ステンレスよりもチタンのほうが耐食性に優れています。これは、ステンレスが塩化物イオンによって、不働態皮膜が破壊されてしまうのに対し、チタンは塩化物イオンに対しても不働態皮膜が安定しているためです。また、チタンは耐食性について万能というわけではなく、塩酸や硫酸などの非酸化性の酸には腐食しやすい傾向にあります。一方で硝酸のような酸化性の酸の場合は、チタン・ステンレスともに不働態皮膜が安定するため、両者ともに錆びを防止できます。参考:錆びにくい金属について解説【錆びない金属はありません】チタンとステンレスの見分け方ステンレスは、基本的にオーステナイト系は磁性を持たず、フェライト系やマルテンサイト系などの他の種類は磁性を持ちます。一方でチタンは、純チタン・チタン合金ともに非磁性の材料です。そのため、オーステナイト系以外のステンレスとチタンを見分ける場合であれば、磁石が付くかどうかで判断ができます。ただし、オーステナイト系ステンレス鋼は、加工を施すと磁性を持つことがあります。よって、ステンレスとチタンの材質を見分けるときは、磁石に付いたものがステンレスのものだと判断してもよいでしょう。磁石で判別できない場合は、重さで判断してみるのもひとつの方法です。チタンの比重はおよそ4.5であるのに対し、ステンレスは7.9の値となります。同じ体積の物であれば、1.5倍以上も重量に違いがあるため、似たようなサイズのものを比較する場合は判別がしやすいです。また、外観についてもステンレスのほうが光沢があり、チタンのほうが黒ずんで見えます。ただし、表面処理を施していると見分けは付きにくくなります。
図1:鉄と鋼と鋳鉄の炭素量の違い 鉄と鋼と鋳鉄の違いは含まれる炭素量です。すべて鉄と炭素の合金である点は共通で、炭素の量のみが異なります。炭素の量が変わると、特に鉄が持つ強さの性能(「強度」と「硬度」)が変わります。素材鉄鋼鋳鉄炭素量(%)0.02%未満0.02~2.14%2.14%超※↑具体的数値については別の考え方もあります。炭素量が多い場合、材料の硬さが増します。硬さが増すほど、一定限度を超えた力が加わったときに折れやすくなるため、用途に応じて適切な素材を選択する必要があります。鉄と鋼と鋳鉄の違いは炭素量だけ鉄の炭素量はおよそ0.02%未満です。一般的に炭素量が多い金属ほど硬くなり、硬くなるほど脆くなるので、鉄は鋼・鋳鉄よりも強度が劣ります。鉄は酸化しやすく加工も難しいため、製品としてそのまま用いられることはほぼありません。基本的に、鉄は炭素量を0.02~2.1%に増やして強度を持たせ、「鋼」として活用します。私たちが普段の生活で使っている「鉄」は、ほとんどが正確には「鋼」です。図2:炭素量の違いで硬さと靭性が反比例する様子鉄・鋼・鋳鉄は、炭素量が増えるほど材料は硬くなり、強度が増しますが、粘り強さを表す「靭性」については、性能が落ちます。靭性が高いほど、材料は折れにくくなります。鉄と鋼は、鋳鉄と比較して炭素量が少ないため、硬さには劣りますが靭性に優れています。鋳鉄より厚みが薄くても、割れにくいのが特徴です。鋼製フライパン鋳鉄製フライパン靭性に優れる薄く成形できる軽い靭性に乏しい割れないように厚みあり重い表面がざらざらしてる場合あり例えば、家庭で使われているフライパンにはプレス加工で作った鋼製のものや、鋳鉄製のものがあります。プレス加工で作った鋼製は、鋳鉄製と比べて靭性に優れているため、薄く成形が可能で重量も軽くなります。一方、鋳鉄製は靭性に乏しいため、割れないように厚みを持たせており、重量も重たくなります。JISによる鉄と鋼と鋳鉄の違いと分類図3:JISによる鉄と鋼と鋳鉄の分類 鉄と鋼と鋳鉄の鉄鋼材料は、性能や規格の種類分類がJISによって定められています。JISの「鉄」は「鋳鉄」を指しています。鉄と鋳鉄の製法の違いと見分け方(1)製法の違い鋳鉄と鉄の違いは炭素量だけではなく、製法にもあります。鋳鉄は、銑鉄・鉄スクラップ・戻り材などの材料を、「キュポラ」と呼ばれる溶解炉などに溶かして作られます。銑鉄は、コークスと鉄鉱石を高炉で溶かしてできたもので、鉄を作るのにも必要な材料です。溶かした鋳鉄は、鋳型に流し込み、冷やし固めることで製品化されます。①高炉 鉄鉱石を溶解・還元②溶銑予備処理 酸素・石灰を加えて不純物除去③転炉 炭素を取り除いて溶鋼へ④二次精錬 不純物を除去しより品質高める⑤連続鋳造設備 鋼片(スラブ・ビームプランク・ブルーム)を作る鉄は、銑鉄から酸素や石灰を加えて硫黄やリンなどの不純物を除去し、酸素を加えて炭素を低減させることにより作られます。これらを取り除く過程で溶かした鉄は、圧延しやすい鋼片(スラブ・ビームブランク・ブルーム)に生成されます。鋼片から圧延や鍛造がされ、鋼管・形鋼・鋼板が作られて市場に出回ります。圧延・鍛造ではなく、鋳造で作られた鋼のことを「鋳鋼」と呼びます。特徴鋳鉄製品・溶かした金属を鋳型に入れ、冷やして凝固し成形・「鋳肌」や「ゆず肌」・厚みが必要鉄製品・鍛造・切削・溶接によって成形・薄くできる鋳鉄製品と鉄製品は、成形の仕方で見分けることができます。鋳鉄品は溶かした金属を鋳型に入れた後、冷やして凝固させ成形しています。鉄製品は、鍛造・切削・溶接により成形しています。鋳鉄は、鋳型から取り出して表面を加工していない「鋳放し」のものだと、表面の仕上がりがざらざらしている場合があります。「鋳肌」や「ゆず肌」と呼ばれ、砂型による造形で起こりうるものです。(2)肉厚の違い鉄と鋳鉄は、肉厚にも大きな違いがあります。鉄は炭素量が少なく粘り強さがあるため、薄肉の形状のものを作ることができます。鋳鉄は粘り強さに欠けるほか、鋳型のなかに溶けた金属を充填させる必要があり、どうしても肉厚が必要です。肉厚が薄いと、鋳型に溶けた金属が回りきらず、成形不良を起こしてしまいます。鉄の種類と炭素量の違い(1)SS材SS材は「一般構造用圧延鋼材」ともいい、建築関係や土木業界で多く使用されている材料です。SS材は、JIS規格によると、SS330・400・490・540の4種類が規定されています。化学成分は、リンと硫黄の含有量が0.05%以内と定められていますが、SS540のみ炭素が0.3%以下、マンガン1.6%以下の条件も加わります。SSの後ろにつく数字は、最低保障されている引っ張り強さを表しています。SS400で例を挙げると、引っ張り強さが400~510N/mm2です。SS材のなかでもSS400は、平鋼・棒鋼・形鋼などで多く流通しており、価格も安価なのが特徴です。(2)炭素鋼鋼材S-C系(SC材)炭素鋼鋼材S-C系は「機械構造用炭素鋼材」といい、一般的に「SC材」とも呼ばれています。SC材はJIS規格で20種類以上の種類がありますが、最も多く使用されている素材は「S45C」です。SとCの間に入る2桁の数字は炭素の含有量を示します。S45Cは、0.45%前後の炭素を含むという意味です。SC材は、SS材に比べて硬度と強度があります。加工性や溶接性にも優れている分、価格も高めです。SS材とSC材の選び方として、硬度や強度などを求める場合はSC材、コストを抑えたい場合はSS材を選ぶのがおすすめです。参考:鉄と鋼の違いについて解説!【専門家が語る】鉄の種類についてもお伝えします!「鋳物」と「鉄と鋼と鋳鉄」の違い図4:「鋳物」と「鉄と鋼と鋳鉄」の違い 「鋳物」と「鉄・鋼・鋳鉄」との違いは、素材か製品かという点です。鋳物は金属を流し込んで作られた"製品"で、鉄・鋼・鋳鉄は"素材"です。鋳物とは、作りたい製品と同じ空隙を持つ鋳型に溶けた金属を流し込み、冷やし固めてできた製品を指します。冷え固まった製品は、鋳型を分解して取り出したのち、不要な注ぎ口のカットや仕上げ工程などを行って製品化されます。鋳物で使われる鉄系素材鋳物で使われる鉄系素材鋳鋼鋳鉄炭素量0.02~2.1%炭素量2.1~6.67%普通鋼鋳鋼特殊鋼鋳鋼球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)CV黒鉛鋳鉄片状黒鉛鋳鉄白鋳鉄鋳物で使われる鉄系素材は、大きく分けて「鋳鋼」と「鋳鉄」に分類されます。炭素量に違いがあり、鋳鋼は炭素量が0.02~2.1%、鋳鉄は炭素量が2.1~6.67%程度含まれています。鉄と比べて炭素量が多いです。(1)鋳鋼鋳鋼は鋳造で用いられる鋼で、鍛造では作りにくい複雑な形状かつ、鋳鉄だとすぐに壊れてしまうような製品に対して利用されます。鋳鋼には大きく分けて「炭素鋼鋳鋼」と「合金鋼鋳鋼」の2種類があります。図6:炭素鋼鋳鋼の炭素含有量による分類 炭素鋼鋳鋼は、炭素C以外の元素を合金元素として含まない鋳鋼で、電動機部品や車両部品に活用されています。炭素の含有量が0.2%以下を「低炭素鋼」、0.2~0.5%は「中炭素鋼」、0.5%以上は「高炭素鋼」に分類されます。炭素量が多いほど強度が増して靭性が落ちるため、バランスを見て適切な鋳鋼を選ぶ必要があります。合金鋼鋳鋼は、マンガンMn、クロムCr、モリブデンMoなどを添加し、耐食性・耐熱性・耐摩耗性を向上させた鋳鋼です。合金鋼鋳鋼は、主に機械部品・化学工業用ポンプ・キャタピラで活用されています。(2)鋳鉄引用元:日之出水道機器株式会社鋳鉄は、鋳鋼よりも融点が下がり、低い温度で溶解できるのが特徴です。炭素を多く含んでいることから、黒鉛を晶出します。鋳物の冷却速度や合金成分によって黒鉛の形状は変化し、より高い強度や靭性(粘り強さ)を持たせることも可能です。a. 球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)「球状黒鉛鋳鉄」は「ダクタイル鋳鉄」とも呼ばれ、強度がありながらも、靭性に優れています。球状黒鉛鋳鉄は、強度の高さから自動車部品・水道管・車道用マンホール蓋に多く採用されている材料です。b. 片状黒鉛鋳鉄(ねずみ鋳鉄)「片状黒鉛鋳鉄」は「ねずみ鋳鉄」とも呼ばれ、硬さはあるものの、球状黒鉛鋳鉄に比べると伸びがなく、脆いのが特徴です。片状黒鉛鋳鉄は、歩道用マンホール蓋で採用されるなど、球状黒鉛鋳鉄ほど強度を必要としない場合に活用されます。鉄と鋳物の使い分け方とメリット・デメリット鋳物メリット・複雑な形状でも量産可能・硬さ必要&複雑形状の場合、コスト抑えられる・厚み・リブを設けることで簡単に強度を増せるデメリット・製品ごとに鋳型が必要で仕様変更に弱い・鋳型の初期費用掛かる・厚み・寸法精度出せない鋳物は、複雑な形状をした製品でも量産が可能な点がメリットです。車のエンジン部品やマンホール蓋のような、硬さが必要かつ複雑な成形が求められる場合だと、鉄よりも鋳物のほうがコストを抑えられます。しかし、製品ごとに専用の型を用意する必要があるため、仕様変更があった際に融通が利きにくいほか、イニシャルコストもかかる点はデメリットです。鋳物の原型は、基本的に上型と下型用で別々に用意する必要があるほか、中空がある製品の場合、それを設けるための「中子」も用意しなければなりません。鋳造するうえで成形不良を起こさないために、製品に厚みを持たせる必要もあります。鉄系の鋳物は、製品が冷え固まる際に収縮するため、寸法精度が出しにくい点もデメリットです。もし、寸法精度が求められる場合は2次加工により精度を出す必要があります。鉄メリット・薄い製品作れる・寸法精度が安定するデメリット・強度が欲しい箇所には補強部品を別途追加して接合しないといけない鉄は、フライパンのような薄い製品を作る場合や、高い精度を求める場合におすすめです。鉄は粘り強さがあるほか、板金加工やプレス加工による成形により、肉厚が薄い製品でも製作できます。鋳造では鋳物が冷えて固まる際に製品が収縮するなど製品不良を起こす心配がありますが、鉄製品であればこれらの心配はなく、強度や寸法を安定して出せるのがポイントです。鉄のデメリットは、製品に強度を持たせたい場合に補強部品を追加する必要があることです。鋳物だと、簡単に強度が欲しい箇所へ厚みやリブなどを設けられますが、鉄の場合は別途部品を用意して接合しなければなりません。それぞれのメリット・デメリットを考慮して、どちらの製法が適切か選択する必要があります。① Mitsuriでのお見積りは案件を公開して待つだけ!② 複数のお見積りが届く! ⇒金額重視or納期重視?ニーズに合うものを選べる!③ 案件の5割以上が1日以内に見積もりを取得!金属加工でお困りの方は、Mitsuriまでお問い合わせください。日本全国250社以上の登録工場の中からご要望に沿った工場が探しやすく、お見積りは、複数社から直接届きます。下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください!
アルミニウムは鉄の約35%の比重であり、密度は低く金属の中でも軽量で、素材が破断せず柔軟に変形しやすいため様々な製品が造られています。アルミニウムは酸素と結びやすく、空気に触れることで薄い酸化皮膜をつくり保護されることで錆びにくくなります。しかし、この酸化皮膜は非常に薄いので、化学反応により腐食しやすくなるため、表面を保護する必要があります。 アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を人工的に作る処理がアルマイトです。本記事では、表面を保護するアルマイト・カラーアルマイト・硬質アルマイトについてご紹介していきます。リサイクル性にもすぐれた軽くて強く、幅広い分野で使われているアルミニウムに、目的に合ったアルマイトをすることでさまざまな商品として私たちの生活に密に関わっています。板金加工ならMitsuri板金加工でお困りなら是非、Mitsuriにご相談ください!Mitsuriなら、板金加工を専門にしている工場の一括見積もりを取ることができます。小ロットや個人での加工依頼OKの工場に絞って見積りすることも可能です。試作も大歓迎です!Mitsuriの協力工場は全国に130社以上あり、多数の板金加工実績があるため、安心して依頼できるんです。板金加工でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!見積もり依頼をする(無料)アルマイトとは引用元:Wikipediaアルマイトとは、アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を作る処理です。アルマイトで人工的にアルミニウム表面に分厚い酸化アルミニウム皮膜を作ることにより、アルミニウムの耐食性(さびや腐食しにくい)、耐摩耗性の向上、装飾その他の機能の付加を目的とします。アルミニウムには、純アルミ、アルミニウム合金があり、1円玉や缶から自動車の部品などさまざまなところに使われています。材料へのニーズが多様化し、従来の特性に加え新たな機能性を付加したアルミニウムが先端分野へ展開されています。アルミニウムの特性軽量、強度、加工性、電気伝導率の高さ、非磁性、熱伝導率の高さ、極低温下でも脆性破壊が無い、赤外線や紫外線、電磁波、各種熱線を反射する、無害、無臭で衛生的、複雑形状の鋳造をつくれる、接合のしやすさ、真空の特性、再生加工しやすい以上のようなアルミニウムの特性を活かし、アルマイトによりさらに耐食性、耐摩耗性の向上、装飾など製品の幅を広げることができます。アルマイトの特徴着色をしない限りは無色透明な皮膜です。染料でいろいろな色に染めることができます。アルマイトの原料は、アルミニウム、アルミニウム合金と電解水溶液、硫酸電解液です。アルマイト処理の工程引用元:柏都電機工業(株)電解液を処理浴に用いて、アルミニウムを陽極として電気分解をすることにより、アルミニウムの表面を電気化学的に酸化させ、酸化アルミニウムの皮膜を作ります。多孔質皮膜を形成した後、高温水溶液、加圧水蒸気に水和することで、孔壁水和膨張させて孔を封じ(孔封処理)、耐食性を向上させます。耐食性の向上とは、腐食(さび)しにくくすることを指します。腐食(さび)すると外観や機能が損なわれてしまいます。耐食性を向上させることにより、さまざまな分野で活用することができます。身近なものでは、弁当箱、やかん、鍋、デジタル家電などキッチン用品から自動車、電車、航空機、ロケットなどもアルマイトされた製品、部品が組み込まれています。アルマイトは、アルミの表面から上に成長皮膜、下に浸透皮膜というように上下に成長します。一律に成長するので、元のアルミ製品の凸凹のままアルマイトされます。カラーアルマイトとは引用元:株式会社川崎カラーアルマイトとは、アルマイト処理によりできた孔の中に染料を浸透させ、染色することです。染料の濃度、温度、染色時間、アルマイト皮膜の厚さにより染料の吸着量が異なり、染料の吸着量が多いほど濃色になります。染料の調合による色調の違いや、表面仕上げの違いで、さまざまな種類があります。製品のバリエーションを豊かにし、製品の目的や使用場面に合った表面を生成できます。アルマイトされている身近な商品にはスマートフォン、窓枠の、アルミサッシ、つりでつかうリール、スマートフォンカバーなどがありますし。また、着色しない場合は、アルミ素材の色になります。カラーアルマイト処理の工程引用元:株式会社アルマックス | Almaxカラーアルマイト処理の工程は、陽極酸化後に染色または二次電解着色し、封孔をします。封孔後の仕上げ処理により、光沢などの変化をつけれます。染色、着色での色の種類や光沢など、バリエーションはさまざまです。また、二次電解、三次電解という陽極酸化後にポーラス内に電気化学的に金属などを摂出させて着色するカラーアルマイトもあります。腐食環境で使用されるアルミサッシなどの部材においては、一般的に封孔処理しないで電着塗装を施した“陽極酸化塗装複合皮膜”が用いられています。硬質アルマイトとは引用元:三和メッキ工業株式会社硬質アルマイトは、滑り特性や摩耗しにくい特性の求められる、自動車のエンジンや航空機関連の部品に用いられます。日本工業規格JIS H 8603「アルミニウム及びアルミニウム合金の工業用硬質陽極酸化皮膜」では、「低温の電解浴又は各種の有機酸を添加した特殊な電解浴を用いて処理されたアルミニウム材の陽極酸化皮膜。通常の方法で処理された皮膜に比べて硬く、かつ、耐摩耗性に優れることを特徴とする。」と定義しています。硬質アルマイトは、アルミニウム素地が通常のアルマイト処理で得られる酸化皮膜よりも厚い層を形成するため、耐久性の向上、製品の強度が増します。硬度は、非熱処理の鉄と比較すると硬質アルマイトのほうが硬く、耐摩耗性、電気絶縁性を発揮させるには20~70ミクロンの範囲で指定します。普通アルマイトと硬質アルマイトを比較してみた標準アルマイト硬質アルマイトプロセス硫酸浴中で処理する最も一般的なプロセス低温の電解槽中で処理することで、厚く硬い皮膜を生成色合い染色を施さなければ通常は白色を呈する一般的にはグレーを呈するものの、用いるアルミ素材と膜厚によって見え方に差が生じる硬度200HV前後鉄より軟らかい400HV以上非熱処理の鉄と比較すると硬質アルマイトのほうが硬い膜厚一般的に5~25ミクロン。使用条件などを勘案して指定耐摩耗性、電気絶縁性を発揮させるには20~70ミクロンの範囲で指定主用途建材、工業用品、家庭用品、各種装飾品などシャフト・ロールなど摺動部品、航空機関連部品引用元:東信工業株式会社家庭用品のコップやお弁当箱、装飾品などから、航空機関連部品まで、用途に合ったアルマイトで、アルミニウム製品を幅広くアルマイト処理しています。まとめアルマイトについて、アルマイト処理、特徴、種類について今回解説しました。さまざまなアルミニウム商品に、アルマイト処理により耐食性、耐摩耗性の向上、装飾などの機能を付加できます。商品開発、改良などぜひご相談ください。見積もり依頼をする(無料)