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【金属加工 Mitsuri】見積から発注までWEB完結!
金属加工の現場でしばしば耳にする「難削材」という言葉。ニュアンスでなんとなく切削加工が難しい素材ということは分かると思いますが、具体的にどういった素材なのかと言われるとなかなか説明が難しいのではないでしょうか。 そこで、今回は難削材について解説していきます。難削材に関する基礎知識や材質の種類など、知っておくことで取り扱い方法や必要とされるシーンなども分かってくるので、ぜひ知識として覚えておきましょう。 難削材とは?なぜ難削材といわれるのか 難削材とは、ただ削りにくいだけでなく「取り扱い自体が難しい素材」のことを指します。硬すぎて削りにくい、壊れやすくて扱いにくい、発火・引火しやすいため注意が必要など、さまざまな条件があり、一筋縄ではいかない素材の相称が、難削材です。また、データがそろっておらず、削りやすいかどうかが分からない金属も難削材に含まれます。 代表的な金属の難削材の一覧 難削材には大きく分けると下記のような特性があります。 多くの素材が下記の1~2個の特徴を有していますが、中には3個、4個の条件を兼ね備えている、非常に加工が難しい素材もあります。 ・硬度が高く削りにくい ・硬脆性があり、加工時に壊れやすい ・加工硬化が生じやすい ・工具と親和性が高く、加工時に溶着しやすい ・高温強度が大きく高温下でも変形しにくい ・熱伝導率が低く、加工時の温度を逃がしにくい ・材料強度が大きく、せん断や引っ張りに強い ・延性が大きく粘り強い性質を持つ ・アブレシブ物質を含んでいる ・加工時に発火、引火する可能性が高い 難削材の性能を踏まえた上で、下記では、具体的な難削材の特徴と、求められている理由について解説します。 ステンレス 一般的な知名度の高い「ステンレス」も、実は難削材のひとつ。ステンレスは熱伝導率が低く、切削加工時に発生する熱をため込みやすい性質と、加工硬化性を兼ね備えていて、高温での加工が難しい素材です。さらに、工具との親和性が高く、切削時に出る切り粉が刃物に溶着しやすいことから、加工精度が出しにくい特徴があります。 上記でも分かるように、非常に耐熱性に優れているステンレス。錆びにくさや耐水性の高さも相まって、火や水を使う場所に多く取り入れられています。また、汚れに強く衛生的にも安心な素材であることから、キッチンや浴槽、食器から車両に至るまで、幅広い分野で必要とされています。 チタン チタンも切削加工が非常に難しい難削材。熱電度率が低く、工具との親和性が高いため、切削加工時に発生する切り粉が原因でビビりが発生したり、工具と化学反応を起こしたりする可能性があります。さらに、切削や研磨で発生する切り粉には発火性があるため、清掃や管理には気を配る必要があります。 軽くて熱に強く、引張強度も高いチタン。耐食性にも優れ、海水に触れる環境でも使用できる数少ない金属です。調理器具やアクセサリー、自動車のエンジンやゴルフのクラブなど日常的にもさまざまなものに活用されているチタン。宮崎オーシャンドームや東京湾横断道路の橋脚など、大型の建築物にも活用されています。 インコネル ニッケルを主体とし、クロムや鉄、炭素などを含有したインコネル。高温強度が大きく熱伝導率が低いこともあり、切削加工が最も困難な材料とも言われています。工具との親和性も高いほか、ステンレスやチタンほど多くのものに活用されていないため切削データが少なく、加工時に切削条件を探りながら進めて行く必要があります。 インコネルは高温での強度や耐酸化性、耐クリープ性が非常に高く、高温でも変形や酸化せずに強度を確保できる素材です。原子力発電所の廃液処理装置やごみ焼却炉、水処理施設、さらにはジェットエンジンやスポーツカーの部品などにも使用されています。 マグネシウム マグネシウムは着火すると激しく燃える性質を持っています。さらに、過熱状態で水に触れると可燃性ガスなどを発生させる金属。高温での加工や火、水のある場所での加工は厳禁で、換気と切り粉の清掃にも注意が必要な素材です。 扱いにくいだけなら手を出さない方が良いのですが、実用金属の中で最も軽いというメリットを持ち、剛性や強度も鉄やアルミニウムより優れているほか、加工自体はしやすい特徴を持っています。一般的にはアルミニウムや亜鉛などを加えた合金として扱われ、自動車の部品やノートパソコン、携帯電話、一眼レフカメラの筐体、杖、車いすなどの福祉用品などに使用されています。 その他の難削材 上記以外にもさまざまな難削材があります。加工の現場では型枠などに用いられる超硬合金もそのひとつ。一般的な金属よりも硬いためドリルの刃が通りにくく加工がしにくい金属です。身近なところではガラスも難削材のひとつ。硬脆性があり、加工時に割れたり壊れたりしてしまう可能性があることから、加工には向いていない素材のひとつです。 金属は種類が豊富で、加工に対してデリケートなものも多くあります。同時にモノづくりでは高機能・高品質のものが求められます。硬い素材は加工できれば強度の高い製品になりますし、熱に強い素材は耐火性能の高い金属として、キッチンや自動車のエンジンなど高温になる場所でも変わらず高い性能を発揮できます。 そのため、難削材を加工できれば製品に付加価値をつけることができ、ユーザーの求められる製品を提供することが可能になります。
パンチングメタルとは、パンチング加工によって孔が開けられた金属の板を指します。建築、自動車、家電など幅広い分野で利用されている材料です。孔の形状や、材質などによってさまざまなパンチングメタルが存在し、用途によって使い分けされています。 パンチングメタルとは パンチングメタルは、打ち抜き(パンチング)加工が施された金属板を指し、打抜金網またはPerforated Metalとも呼ばれます。打ち抜き(パンチング)加工は、下図のようにパンチとダイと呼ばれる金型を使用して、金属の板材などを任意の形状に打ち抜く加工方法です。 パンチングメタルでは、打ち抜き(パンチング)加工によって金属板に対して孔を開けることで、その他のタップ加工やリーマー加工といった穴あけ加工と比べて、加工時間を短縮し、より安価に製作できます。 パンチングメタルの用途は多岐にわたり、建築材料としてさまざまな内外装材に使用されるほか、その意匠性を活かしてモニュメントなどにも利用されています。 参考:【パンチングメタル】材質やサイズ、製品事例まで専門家が解説! 参考:パンチングプレートならMitsuri!種類や材質について専門家が解説! パンチングメタルの開孔率(開口率)とは パンチングメタルの開孔率(開口率)とは、パンチング加工によって打ち抜いた開孔部分の全体に占める割合を指し、パーセント(%)で示されます。開孔率(開口率)は、パンチングメタルの孔の種類、孔の径、ピッチ、配列などを基に計算し、導き出されます。 パンチングメタルの開孔率(開口率)と強度 パンチングメタルの開孔率(開口率)と強度の関係は下図のように示され、開孔率(開口率)が大きくなればなるほど、強度は低下します。ただし、荷重の方向によって強度は異なります。 引用元:Industrial Perforators Association (注:S * =パンチングメタルの降伏強度、S =パンチング加工されていない材料の降伏強度) パンチングメタルの孔(穴)の形状・配列・方向 パンチングメタルの孔(穴)の形状はさまざまで、代表的な形状には丸孔、長孔、角孔などがあります。中でも、丸孔が多用されています。また、孔(穴)の配列(パターン)にも60°千鳥、45°千鳥、並列などの種類があり、60°千鳥が最も一般的な配列として使用されています。下図に、それぞれの孔(穴)の形状及び配列を示しました。 丸孔 長孔 角孔 そのほかにも、以下のような亀甲や装飾用孔のパンチングメタルも存在します。 パンチングメタルの孔(穴)の方向について、丸孔、角孔の場合では、下図のように、板材の短い辺が千鳥状となり、長い辺が目方向(送り方向)となります。ただし、この方向を逆にした「逆抜千鳥」も存在します。 また、長孔やダイヤの場合では、下図のように孔の長さ方向が、板材の短い辺の方向に平行になるタイプ(S/L)と、板材の長い辺の方向に平行になるタイプ(L/L)が存在します。 このように、パンチングメタルの製作を工場に依頼する際には、パンチングメタルの孔(穴)の形状、配列、方向を指定する必要があります。 参考:腕があるパンチングメタル業者10選!パンチングメタルの規格や材質について製品例を用いて解説!
SUM21は、切削性及び加工性に優れる「SUM材」の一種です。SUM21は、S(硫黄)を少量添加することで、切削性を向上させた快削鋼であり、「硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材」とも呼ばれます。特に切削性を重視する場合に利用され、一般機械部品などの用途として広く用いられています。参考:【切削加工とは?】特徴・種類・注意点を動画と一緒にご紹介します!SUM21の特徴(切削性、加工性)SUM材は、SS400、SGD材などの鉄鋼材料と比較して、「切削性」及び「加工性」により優れた材質です。そのため、SUM材は快削材、快削鋼と呼ばれています。中でも、SUM21は、特に切削性に優れている材質です。SUM21の化学成分<SUM21の成分、組成(単位:%)>材料記号CMnPSPbSUM210.13以下0.70~1.000.70~0.120.16~0.23-引用元:JISG4804:硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材SUM21の化学成分を上表に示しました。SUM21の炭素(C)含有量は0.13%以下となっており、SUM材の中でも「低炭素快削鋼」に分類されます。また、SUM材は切削性及び加工性に優れると前述しましたが、それは快削性元素と呼ばれる、S(硫黄)、P(リン)、Pb(鉛)の元素の添加によるものです。SUM21では、S(硫黄)及びP(リン)の元素を添加することで、加工性を改善しています。SUM21の分類(S快削鋼とPb快削鋼)SUM材は、その添加元素によってS快削鋼とPb快削鋼に分類されます。S快削鋼は、S(硫黄)を添加した材質で、特に材料の切削性を重視する場合に用いられます。前述したSUM21の成分から分かる通り、SUM21も「S快削鋼」に分類されます。また、Pb快削鋼は、Pb(鉛)を添加した材質で、特に材料の機械的性質を重視する場合に利用されます。
クロムは、その原子価の違いにより「三価クロム」や「六価クロム」などに分類され、前者は無毒性、後者は強い毒性を示します。表面処理加工によく利用されるクロムですが、これまでは、毒性を持つ「六価クロム」の利用が主流でした。しかし、六価クロムが、RoHS指令やREACH規制SVHC(高懸念物質)などの規制対象物として指定されたことから、現在では六価クロムを三価クロムにシフトするなど、六価クロムの代替が検討されています。クロムとは?クロム(元素番号:Cr)は、大気中で酸素と結びつきやすく、不働態皮膜を形成しやすいという特徴を有します。そのため、クロムはメッキなどの表面処理加工に広く利用されている物質となっています。また、クロムはその原子価によって分類され、 Cr(Ⅲ) 化合物は「三価クロム」、Cr(Ⅵ) 化合物は「六価クロム」と言われます。同じクロムでも、価数が異なると毒性も変わります。参考:クロムメッキとは【中の人が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!六価クロムの毒性六価クロムは非常に強い毒性を有し、肺・胃腸・気道の障害や皮膚炎を引き起こしたり、発がん性を持つなど、人体に悪影響を及ぼします。そのため、六価クロム及びその化合物は、RoHS指令やREACH規制SVHC(高懸念物質)など、さまざまな規制の対象物質とされています。六価クロムは、安価で容易にメッキ処理を行えることから、広くメッキ剤として利用されてきましたが、RoHS指令発令後は、後述する三価クロム(無毒性)の使用へ移行が行われてきました。なお、六価クロムを用いても、メッキ処理後は金属クロム(0価)となるため、きちんと洗浄すれば毒性は問題ありません。また、六価クロムの廃棄の際には無毒化する必要があり、還元剤との反応を利用して三価クロムに変化させ廃棄処理がなされます。参考:RoHS指令について詳細を解説!対象範囲についてもご紹介!三価クロムの毒性三価クロムは、自然界の土中に広く存在している物質で、毒性を持ちません。それに対して六価クロムは、酸化剤などで三価クロムを人工的に高温で燃焼させることで生成されます。前述した通り、メッキ処理において、現在は六価クロムの代替として三価クロムが利用されています。例えば以前は、亜鉛メッキの後処理では「六価クロメート(六価クロメート化合物を含有)」を用いた化成処理法が主流でしたが、現在は六価クロメート化合物を含有しない「三価クロメート」による化成処理法が広く用いられています。参考:【アルマイト処理・化成被膜処理とは?】目的や種類などを徹底解説!
金属板の加工技術は、私たちの生活の中で欠かせないものとなっています。自動車、土木・建築、医療、食品など幅広い分野に利用されているほか、家電機器、産業機器などの部品の製作にもなくてはならない技術です。例えば、家の中を見渡すだけでも、パソコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビなどさまざまな製品に使用されています。今回は、そんな金属板の加工について詳しく解説していきます。特に、金属板に用いられる代表的な素材とその特徴、また代表的な加工方法に関して、一つずつ丁寧にご説明していきます。金属板の加工についてさらに知識を深めたい方や、金属板の加工でお悩みの方は、ぜひご一読ください。金属板の加工について金属板の加工とは、文字通り金属でできた板材を加工することを指します。しかし、一口に金属板の加工と言っても、金属板にどういった材質を用いるのか、またどのような加工を施すのかで、その製品の持つ特徴や用途などが異なってきます。そのため、金属板の加工を用いて製品の設計・製作を行う場合には、素材や加工方法について十分理解した上で行っていくことが非常に重要となります。金属板の種類と用途ここでは、代表的な金属板の材質とその用途について説明していきます。アルミアルミは、比重が鉄や銅の約1/3と軽く、さらに軟らかくて展性も高いことから加工性に優れた金属となっています。また、空気中において酸化皮膜を形成するため、耐食性も有しています。さらにアルミの熱伝導率は鉄の約3倍と、非常に熱を伝えやすい材質です。これらの特徴を活かして、一円硬貨やアルミホイル、アルミ缶、鍋、エンジンのシリンダー、パソコンや家電製品の筐体などさまざまな用途で使用されています。ただし、1円硬貨などを除いて、ほとんどはアルミ合金としての利用となっています。アルミ合金は、その含有されている金属によって次のように分類されており、それぞれ特徴が異なります。アルミ合金の種類・1000番手系(純アルミ):強度は低いが、加工性や熱伝導性に優れる・2000番手系(アルミ-銅合金):強度や切削性に優れるが、やや耐食性に劣る・3000番手系(アルミ-マンガン合金):加工性にはあまり優れないが、高い強度を持つ・4000番手系(アルミ-ケイ素合金):耐摩耗性に優れる・5000番手系(アルミ-マグネシウム合金):強度、耐食性に優れ、さらに溶接性も良好・6000番手系(アルミ-マグネシウム-ケイ素合金):強度、耐食性に優れる・7000番手系(アルミ-亜鉛-マグネシウム合金):アルミ合金の中で最も強度が高いステンレスステンレスは、その表面を覆っている不動態皮膜によって、錆びにくく、耐食性に優れる金属です。その他にも、 耐熱性を有し、加工性、強度においても優れた特性を有しているほか、意匠性にも優れ、メンテナンスが容易であることも大きな特徴です。このような特徴から、建築、土木、家電・精密機器、厨房・家庭用機器、輸送機器、産業機器など非常に幅広い分野で利用されています。特に私たちに身近なものには、洗濯機や冷蔵庫、建物の外装や内装、またゴルフ用品にもステンレスが使用されています。また、ステンレスは、含有する金属及び金属組織の違いから、次のように5種類に分類されます。ステンレスの種類引用元:大同特殊鋼株式会社・マルテンサイト系:非常に硬いが、耐食性には劣る・フェライト系:耐食性は高く、応力腐食割れ(金属材に生じる経年損傷)を起こしにくい・オーステナイト系:耐食性が高く、加工性に優れる・析出硬化系:非常に硬く、耐食性にも優れる・二相系:塩化物(海水など)に対する高い耐食性を持つチタンチタンは、比重が鉄の約半分ととても軽くて、さらに海水中などでも優れた耐食性を発揮します。また、比強度(重量あたりの強度特性)が高く、アルミニウムの約3倍、鉄の約2倍の強度を示します。他にも、無毒性で、生体適合性も良く、人体にやさしい安全な金属です。これらの特徴を活かし、医療・食品の分野や化学工業、建築・土木産業、また航空宇宙産業などで広く用いられています。また、チタン合金は、焼なましの状態でのミクロ組織によって次のように分類されます。チタン合金の種類・純チタン:耐食性及び加工性に優れているが、耐摩耗性に劣る・α合金:低温から高温まで安定した強度を持つ・β合金:冷間加工性・時効硬化性(時間の経過とともに金属が硬化する現象)に優れる・α+β合金:強度が高く、また延性に優れる・耐食合金:耐食性に優れ、高い強度を持つ銅銅は、熱伝導性・電導性・加工性・展延性に優れている金属です。また、銅が酸素に触れると表面に酸化銅の被膜をつくることから、優れた耐食性を持っています。他にも、銅は抗菌作用を持つ金属としても知られています。これらの特徴から、電線や電子機器部品、調理道具や銅像、10円硬貨などに利用されています。銅には合金が存在し、含有する金属によって主に以下の3つに大別されます。銅合金の種類・黄銅(銅-アルミ合金):加工性がよく、意匠性に優れる・洋白(銅-亜鉛-ニッケル合金):耐食性・耐変色性に優れる・青銅(銅-すず合金):展延性に優れ、融点が低い鉄鉄は強度が高く、また優れた加工性を持つことから、古くから私たちの生活の中で欠かせない金属として幅広く用いられてきました。現在は、金属製品の約90%が鉄でできているとも言われています。そのため、自動車、造船、土木・建築、容器・缶、家電機器、産業機械などさまざまな分野で利用されています。また、鉄はその含有する炭素量の違いによって次の3つに分類されます。鉄の種類(カッコ内には炭素含有量を示す)・純鉄(0.02%以下):非常に脆く、軟らかい・鋼(0.02% - 2.1%):炭素含有量によるが、強度、靭性、磁性、耐熱性などに優れる・鋳鉄(2.1% - 6.7%):非常に硬いが、延性や靭性に劣るMitsuriは、これらすべての材質の加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。金属板の加工法の種類最後に、金属板の各種加工方法について説明していきます。金属板の加工法【レーザー加工】レーザー加工とは、高エネルギー密度のレーザー光を照射し、熱エネルギーによって加工する方法を指します。主に、金属板の穴あけや切断に利用されています。レーザー加工では、加工領域が非常に狭いため、非常に微細な加工を行うことができるほか、高エネルギーのレーザー光を使用することで超硬金属や硬脆材料の加工も可能となります。参考記事こちらの記事では、レーザー加工についてその原理や種類など、さらに詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。⇒【レーザー加工】板金加工におけるレーザー加工について専門家が徹底解説!金属板の加工法【溶接加工】溶接加工とは、2種類以上の金属を接合する金属加工方法のことを指します。主に、金属を局部的に加熱して溶かすことで接合する「融接法」と、加熱した金属に圧力を加えて接合する「圧接法」、母材と違う素材を溶融して接合する「ロウ付法」の3つに大別されます。ただし、細かく溶接方法を分類すると、全部で60種類以上にも及びます。参考記事こちらの記事では、溶接加工の種類について、その特徴を詳しく説明しています。溶接加工についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。⇒ 第1回 溶接加工とは?代表的な種類とメリット・デメリットを解説金属板の加工法【プレス加工】プレス加工とは、被加工材を金型に当て、圧力を加えることで材料を金型の形に変形させる加工方法のことを指します。プレス加工では、一度金型を作成すれば短時間で同じ形のものを生産することが可能なため、低コストで大量に生産する場合に最適です。また、プレス加工では金型に合わせて切断するだけでなく、曲げや絞りなどさまざまな加工を施すことができます。参考記事Mitsuriは、さまざまなプレス加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。以下の記事ではおすすめの工場を紹介していますので、プレス加工でお悩みの方はご一読ください。⇒プレス加工のおすすめ工場5選!!金型製作や微細加工等様々な工場をご紹介金属板の加工法【切削加工】切削加工とは、文字通り工具などを使用して、材料を削って加工する方法を指します。主に切削加工は、加工する工作物を固定して工具を回転させる「転削」と、工作物を回転させる「旋削」とに大別されます。参考記事転削の代表として「フライス加工」、旋削の代表として「旋盤加工」が挙げられます。以下の記事では、それら2つの加工について詳しく解説していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。⇒切削加工の種類【専門家が解説】フライス加工、旋盤加工について詳細をお伝えします!金属板の加工を依頼するならMitsuri今回は、金属板の加工をテーマにその代表的な素材や加工方法についてご説明しましたが、いかがでしたか。金属板の素材、またその加工方法の種類は多岐に渡り、そのそれぞれが異なった特徴を持っています。そのため、金属板の加工を行う場合には、素材や加工方法の選択が非常に重要となります。また、メーカーに加工を依頼する際にも、金属板の素材や加工方法に関する基本的な知識を持っていると、より話が進みやすくなるでしょう。金属板の加工メーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。
パンチングメタルは材質や穴のあけ方によりたくさんの種類が存在します。防音材のカバーやフィルター、デザイン性のある外壁としても使われたりと用途はさまざまです。 この記事では「パンチングメタルとはそもそも何?」という疑問についても説明するほか、主に使われている材質やサイズ、穴の種類についても解説します。 パンチングメタルとは 引用元:Mitsuri金属部品カタログ パンチングメタルとは、穴あけの加工が施された金属の板のことを指します。 その名の通り、金属板がパンチング(打ち抜き)加工と呼ばれる方法で穴あけされており、切削加工などと比べて短時間かつ安価に加工できる点が特徴です。 引用元:松陽産業株式会社 パンチング加工は上図のようにパンチとダイと呼ばれる専用の金型を使用します。金型を使用することで、大量生産されるパンチングメタルの穴寸法とピッチをすべて均一に制作することが可能です。 また、使用する金型を変えることによって穴の形状を丸穴以外にも加工できます。 参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!! パンチングメタルの材質 基本的に使用されている材質は主にスチール・ステンレス・アルミがあり、用途によって使用される材質は異なります。 スチールは上記の材質のなかでは比較的安価で加工性に優れています。ステンレスは耐食性に優れていることから屋外での設置や化学施設、食品設備など幅広く使われている材質です。アルミは強度こそ乏しいものの、加工性・耐食性に優れ、軽量でもあることから、車両や電気機器、機械部品に使用されています。 パンチングメタルサイズ パンチングメタルのサイズは取り扱い店により異なりますが、基本的には各材質の定尺サイズで取り扱われることがほとんどです。定尺とは、市場で標準的に流通しているサイズのことを表しており、材質によってそのサイズは異なります。 引用元:toishi.info 上表は各材質の定尺材のサイズをまとめた表です。 パンチングメタルの材質はスチール・ステンレス・アルミが多く使われており、上表のSPCC・SPHC・SECC・SGCCがスチール、SUSがステンレスを表します。パンチングメタルのスチールのサイズは914mm×1829mmが主に取り扱われており、SUSとアルミは1000mm×2000mmが取り扱われていることが多いです。メーカーによってはスチールの1219mm×2438mmなどのサイズも扱っているので、一般的でないサイズが欲しい場合は問い合わせてみましょう。 サイズは長さと幅以外にも厚みを検討する必要があります。厚みも定尺と同じように、材質によって流通している寸法が異なります。厚みはパンチングメタルの穴寸法、ピッチ、開口率にも左右されますが、おおよそ0.5mm~3.0mmまで扱われていることが多いです。 パンチングメタルの種類 ここではパンチングメタルの代表的な種類を紹介します。パンチングメタルは、ひとつの穴形状に対して穴の配列が複数あるので種類は多岐に渡ります。 【丸穴】 引用元:メタルテック株式会社 丸穴はパンチングメタルの中でも最も使用されているタイプと言っても良いでしょう。丸穴は上図左の「丸穴千鳥(またの名を60°千鳥)」と呼ばれるタイプが一般的に扱われています。上記以外にも、上図中央のような「丸穴角千鳥(45°千鳥)」、上図右のような並列に配置された「丸穴並列(直列90°千鳥)」も取り扱いのあるメーカーは多いでしょう。丸穴の派生として丸と十字の模様を組み合わせた種類も存在します。 【長穴】 引用元:メタルテック株式会社 長穴も丸穴と同様に千鳥状の穴配置が基本的ですが、それ以外にもたくさんの打ち抜きパターンが存在します。 上図の左上から順に「長穴(サイド)千鳥」「長穴(エンド)千鳥」「長穴並列(直列)」「ヘリンボン」「長穴綾抜き」とあり、メーカーによっては穴の端部が丸形状か角形状かを選ぶこともできます。 【角穴】 引用元:メタルテック株式会社 角穴は穴形状が正方形となっているタイプで、上図の左から順に「角穴直列」「角穴千鳥」「斜角抜(ダイヤ)」の種類が一般的です。 パンチングメタルの製品事例 パンチングメタルは通気用カバーや防音パネル、建築の外装など用途が幅広く、製品事例は多岐に渡ります。ここでは一部の使用例を見てみましょう。 薄型テレビのスピーカーカバー 丸穴60°千鳥のパンチングメタルが採用されているスピーカーカバーとなります。上図は薄型テレビ用として使用されていますが、テレビ以外の音響製品や電気機器にも使われることが多いです。 高速道路向け防音壁表面パンチング板 こちらも丸穴60°千鳥のパンチングメタルを使用しています。パンチングメタルは防音壁に多く使用されており、穴があることで吸音材の効果を高める効果があるほか、カバーの役割としても優秀です。高速道路にはこちらの防音壁以外にも、防音のために高架の裏面にパンチングメタルが使用されていることもあります。 エアコン室外機パンチングカバー 集合住宅の外壁に飛び出しているエアコンの室外機の目隠しかつ、通気性も持たせるために木目調塗装のパンチングメタルを使用しています。打ち抜きパターンは丸穴45°千鳥を採用。 上図では目隠しとして使用していますが、パンチングメタルはその他にもデザイン性を重視したものを使用することで、外観の雰囲気を向上させることも可能です。 パンチングメタルの基礎知識 パンチングメタルを選定の際には、サイズと種類だけでなく、「穴の配列」「ピッチ方向」「開口率」も見ておく必要があります。 穴の配列 引用元:株式会社布引製作所 パンチングメタルの穴の配列は、千鳥状に打ち抜きされたものが一般的に使われています。ただし千鳥とは一口に言っても、穴の配列する角度を変えることによって、見た目にも大きく変化が見られるでしょう。千鳥以外には並列に打ち抜かれた穴配列もあるほか、長穴のパンチングメタルに関しては、ヘリンボンや綾抜きと呼ばれる特殊なパターンの取り扱いもあるメーカーが多いです。 引用元:メタルテック株式会社 その他にも穴の配列は、「飛ばし型」と呼ばれるパターンのものもあります。飛ばし型は、板の厚み・穴同士のピッチが狭すぎることでパンチング加工が困難な場合に採用される配列です。飛ばし型の特徴は、上図のように板材の左右の両端部が一段毎に穴が飛び出したかのような配列になります。 ピッチ方向 引用元:メタルテック株式会社 ピッチ方向とは、穴の向きを表しています。上図は左右どちらも60°千鳥の打ち抜きパターンとなりますが、ピッチ方向を変えることで見た目が大きく異なりますので購入の際には注意が必要です。上図左は一般的な千鳥の配置で「通常千鳥」、上図右は通常とは異なる打ち抜きパターンであることから「逆抜千鳥」と呼ばれています。 引用元:メタルテック株式会社 長穴に関しても同様に穴の向きの違いで上図のような違いが出るため、連続でパンチングメタルを配置する場合や、指定の形状がある場合は、ピッチ方向に注意して選定するようにしてください。 開口率 開口率とは、穴がまだ空けられていない板材の全体面積に対して、どれだけパンチング加工によって穴が空けられたかを指し示す数値となります。開口率の単位は%にて表示されています。開口率はフィルターとして使用する際、もし透過率を上げたいのなら開口率も上げる必要がありますが、穴を空けすぎることで強度が乏しくなる、歪みがでやすくなるといったことがあるので注意が必要です。開口率を大きく上げたい場合はメーカーに対応できるか相談すると良いでしょう。 パンチングメタルとは、金属板にパンチング(打ち抜き)加工を施し、穴あけされた製品のことを言い、材質はスチール・ステンレス・アルミが一般的に流通しています。 サイズについては、材質により定尺の寸法が異なりますが、1000mm×2000mm程度のものなら、取り扱っているメーカーは多いです。パンチングメタルには穴の形状が主に丸穴・長穴・角穴の3種あります。同じ穴の種類でも配列が変わることで雰囲気は大きく変わるでしょう。 パンチングメタルのご相談ならMitsuriに もしパンチングメタルの購入を検討している場合はMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上のメーカーと提携しているため、あなたのご希望に沿うメーカーが見つかります。お気軽にお問い合わせください。
パンチングプレートは、穴を開けた板状の金属材料のことです。 しかし、パンチングプレートが何かも知らない方や、知ってはいるものの、どのような穴の種類があって、どんな材質のものがあるのか分からない方も多いことでしょう。自社で使用するときの参考に、どんな用途があるのかを知りたい方もいるかも知れません。 そこでこの記事では、パンチングプレートの概要から多種多様な穴の種類や材質まで解説していきます。また、用途と加工事例も併せてご紹介しますので、パンチングプレートの選定や加工の参考にしてください。 パンチングプレートとは パンチングプレートとは、パンチングプレスによって穴を開けた板状の金属材料のことで、パンチングメタルとも言われます。 パンチングプレスは、パンチとダイという金型で材料を打ち抜くプレス機械です。打ち抜き加工は、主にNC制御(数値制御)によって行うため、規則的な位置に穴を開けることができます。また、金型を選定または製作することで様々な形状の穴を開けることが可能です。 参考:タレパン】タレットパンチプレスの仕組みや特徴について詳しくご紹介!! パンチングプレートの穴の種類 パンチングプレートの穴の形状は、下図の「丸穴」「角穴」「長丸穴」「長角穴」が代表的です。 引用元:阪倉金網株式会社 穴の形状にはこのほか、ダイヤ形や菱形、六角形の形状をしたものや、丸十穴などの丸穴と十字穴を交互に配列したものなどがあります。さらに近年では、プレス機械の複雑な制御がコンピュータでできるため、任意の形状の穴を開けることが可能です。 穴の形状について述べましたが、穴径や穴ピッチ、穴の配列パターンもパンチングプレートの穴の種類を決定する要素です。 穴径は丸穴の直径のことで、Φ5といった表記で直径5mmの丸穴が開いていることを表します。また、穴ピッチは、P10と表記して穴と穴の中心間隔が10mmであることを表します。 一方、穴の代表的な配列には、下図の「60度千鳥」「45度千鳥」「並列」の3種類が挙げられます。 引用元:松陽産業株式会社 「60度千鳥」といった名称は、図のように1段下の穴との角度と、互い違いであることを意味する工業用語「千鳥」から来ています。 穴の配列はこのほか、同形状の異なる穴径の丸穴を配置したり、異なる形状の穴を配置したりするなどの多様な配置があります。しかし、穴の形状と同じく、穴の配列もまた任意にデザインすることが可能となっています。 パンチングプレートにとって、上述した穴の形状、穴径、穴ピッチ、穴の配列によって決まる開口率も忘れていはいけません。開口率は、プレート面積における穴を開けた部分が占める割合をパーセントで表したものです。開口率が大きいほど、金属部分が少なくなるので、当然強度は弱くなってしまいます。 パンチングプレートの材質について パンチングプレートの材質は、鋼、ステンレス、アルミ、銅、真鍮、チタンなど多種にわたります。しかし、一般的には鋼やステンレス、アルミを材料とすることが多いようです。 パンチングプレートの主な材質…鋼、ステンレス、アルミ 鋼板では、冷延・熱延鋼板や高張力鋼板、表面に防サビ加工を施した亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニール樹脂をコーディングした塩ビ鋼板など、表面処理済みの鋼板も対象となっています。 また、ステンレスではSUS304やSUS430、アルミではA1050やA1100が多く使われています。 パンチングプレートの定尺について 金属材料の定尺とは、市場に流通している、つまり既製品として販売されている材料のサイズ・寸法のことです。注文品でないパンチングプレートの多くがこの定尺寸法で販売されています。 定尺は材質によって異なりますが、パンチングプレートでよく用いられる鋼、ステンレス、アルミについては、以下のサイズの定尺材を見つけることができるでしょう。 鋼 914 mm ✕ 1829 mm 1219 mm ✕ 2438 mm 1524 mm ✕ 2438 mm 1524 mm ✕ 3048 mm 1524 mm ✕ 6096 mm ステンレス 1000 mm ✕ 2000 mm 1219 mm ✕ 2438 mm アルミ 1000 mm ✕ 2000 mm 1250 mm ✕ 2500 mm なお、板厚については、メーカーや販売店によってばらつきがありますが、鋼だと0.5~6.0 mm、ステンレスだと0.3~3.0 mm、アルミだと0.5~3.0 mm厚さのパンチングプレートがよく販売されています。 パンチングプレートはどんなところに使われているか パンチングプレートは、単なるプレートにはない、より優れた以下のような特徴・機能を持つため、建築物から家電製品まで様々な用途があります。 パンチングプレートの特徴・機能 軽量 採光 通気/通風 通水 装飾/デザイン 濾過 滑り止め 建材としては、その軽量性や通気性から、壁材や天井材、間仕切などに使われています。また、通風性や採光性に加え、装飾やデザイン性を活かした形で、門扉やフェンス、エクステリアなどにも使用されています。 パンチングプレートは、穴を微細にすることで、フィルターのほか、電子機器や家電製品のメッシュカバーとしても使われています。通気や水切り、滑り止めの役割もできるため、側溝の蓋や床材などの用途もあります。 そのほか、パンチングプレートは、防音壁に用いられ、吸音材の効果を高めるとともに保護・支持材としての役割も果たしています。また、暖房器具では、熱を放射・拡散できる安全のための仕切り板として用いられています。 パンチングプレートの加工事例 下の写真は既製品として販売されているもので、材質はSUS304、厚さは0.6mm、丸穴でΦ6✕P9、配列は60度千鳥のパンチングプレートです。 引用元:モノタロウ 下の写真は、穴径の異なる丸穴を配列したパンチングプレートで、高いデザイン性を持つため、店舗什器用として用いられています。 引用元:三和打抜工業株式会社 次の写真のパンチングプレートは、高耐食性メッキ鋼板を加工してビルの軒天に使用したもので、耐久性・通気性・意匠性を同時に満足しています。 引用元:株式会社ウチヌキ 下の写真は、パンチングプレートを筒状に2次加工したもので、穴を微細にすることでオイルフィルターとしての機能を発揮させています。 引用元:パンチングワールド 下の写真は、公園やアミューズメント施設のゴミ箱を用途として製作されたものですが、このような装飾性の高い加工もパンチングプレスで可能となっています。 引用元:松陽産業株式会社 参考:【パンチングメタルメーカー10選】本当に凄い技術を紹介(玄人必見) まとめ 以上、パンチングプレートの概要や種類、材質や用途について解説しました。 パンチングプレートは、プレス機械によって穴を開けた板金のことです。その種類は、丸や角といった穴の形状と穴径、穴ピッチ、穴の配列によって千差万別です。 その素材には、鋼やステンレス、アルミを使用することが多いですが、チタンのパンチングプレートもあるように特に制限はありません。 幅広い用途があり、通気性や採光性などの穴に由来する性質を活かした建材や防音壁、フィルターや家電製品など、多様に用いられています。 パンチングプレートへの加工は、板が厚いほど、穴が微細になるほど難しくなります。しかし、Mitsuriなら加工事例でご紹介したような加工にも対応できます。 Mitsuriの協力工場は全国に350社以上あり、多数のパンチング加工の実績があるため、安心してご依頼ください。素材の選択のご相談に加えて、パンチング加工が得意な工場のご紹介も可能です。
軽い金属というと、皆さんはどんな金属を思い浮かべるでしょうか。 サッシに用いられているアルミニウム、ノートパソコンの筐体に使われているマグネシウムが真っ先に挙げられることでしょう。航空機の材料として広く知られているチタンも軽いイメージがあります。 軽いことが省エネにつながる現在、この3つの軽い金属の用途は広がり、需要が高まっています。 しかし、これまで軽い金属を扱ったことがない方の中には、 「製品に軽い金属を使いたいが、どの金属がいいかわからない・・・」 「軽いだけでなく、強度も高い金属について知りたい。」 といった疑問や要望をお持ちの方もいるでしょう。 そこで今回の記事では、軽い金属の代表であるアルミニウム・マグネシウム・チタンについて、金属加工でよく使われる特徴を解説していきます。 軽い金属3選とその特徴【金属加工でよく使われる】 3つの軽い金属として代表的なアルミニウム・マグネシウム・チタンは、硬度の違いから、アルミニウムとマグネシウムは軟質金属、チタンは硬質金属に分類されます。 この硬度という指標は、変形しにくさや傷に対する耐性を表します。しかし、アルミニウムは用途によって、マグネシウムはほとんどのケースで合金として用いるため、希望に沿った強度の合金を見つけることが可能です。 具体的にこの3金属を説明する前に、各金属の性能データとおおよそのコスト、切削性を下表に挙げます。ここで、比重・溶融温度・モース硬度は、純金属としてのデータを載せています。また、コスト・切削性は合金にもあてはまりますが、合金の種類によって違いがあるので注意してください。 アルミニウム 引用元:PROTOLABS アルミニウムは、軽量な金属ですが、柔らかいため、銅やマンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛などと合金にして使用することが多い金属です。 アルミニウム合金の種類は膨大ですが、プレスや鍛造、押出し成形用の展伸材と、鋳造用の鋳造材に分けられます。 アルミニウム合金は、加えられた元素の違いによってさらに分類され、展伸材では1000番系から8000番系に分類されています。 鋳造材も添加元素の違いにより分類されていますが、ここでは、金属加工の対象になりやすい展伸材に絞って紹介していきます。 1000番系(純アルミニウム) 1000番系は、99.0%以上のアルミニウム純度を持つ純アルミニウム系材料です。 純アルミニウムは、腐食に強く、毒性がないため、アルミ箔やアルミ缶、1円玉硬貨など、身の回りの物に多く使われています。導電性や熱伝導性にも優れるため、銅の代替材料として電線等にも活用されています。しかし、強度が低いため、構造材には適していません。 また、純アルミニウムは、アルマイトと呼ばれる処理を行うことで、その表面に陽極酸化皮膜という耐食性や耐摩耗性の高い酸化皮膜を形成することができます。これを利用し、航空機の被覆材としても用いられています。 加工性や溶接性にも優れており、鍛造や圧延、プレス成形、切削など様々な加工法に対応しています。ただし、強度の低さから、切削加工時の切り屑で傷付くことがあるので注意が必要です。 2000番系(Al-Cu系合金) 2000番系は、主として銅を多く添加した銅系アルミニウム合金です。 鋼材に匹敵する高い強度を示し、航空機用材料として知られるジェラルミンや超ジェラルミンも銅系に含まれます。しかし、腐食しやすい銅を含むため、耐食性は低下しています。 切削性は純アルミニウム系材料と変わらず高いですが、溶接性は低く、溶接割れが発生しやすくなっています。 3000番系(Al-Mn系合金) 3000番系は、主としてマンガンを多く加えたマンガン系アルミニウム合金です。 マンガン系は、耐食性を維持したまま強度を若干向上させた合金です。アルミ缶など、以前は純アルミニウムを使っていた製品の代わりに用いられています。 加工性は、純アルミニウムとほとんど変わりませんが、プレス加工によって成形することが多いようです。 4000番系(Al-Si系合金) 4000番系は、主としてケイ素(シリコン)を多く加えたケイ素系アルミニウム合金です。 ケイ素系は、シリコンの添加により耐熱性や耐摩耗性が改善。熱膨張率も小さいため、ピストンやシリンダーヘッド等に使用されています。 5000番系(Al-Mg系合金) 5000番系は、主としてマグネシウムを多く添加したマグネシウム系アルミニウム合金です。 マグネシウム系は、耐食性や加工性を維持したまま、強度や溶接性を向上させた合金です。マグネシウムの含有量が多いものには、強度が極めて高い合金もあり、車両や船舶の溶接構造材として用いられます。 強度・耐食性・加工性・溶接性のバランスに優れていることから、用途が広く、金属加工の対象としても主要な材料です。 6000番系(Al-Mg-Si系合金) 6000番系は、主としてマグネシウムとケイ素を多く添加したマグネシウム・ケイ素系アルミニウム合金です。 この合金系は、強度や耐食性が共に良好で、車両や船舶などの構造材に用いられています。 押出し加工性に優れているため、建築用サッシとしても使用されています。 7000番系(Al-Zn-Mg系合金) 7000番系は、主として亜鉛とマグネシウムを多く添加した亜鉛・マグネシウム系アルミニウム合金です。 アルミニウム合金の中で最も強度が高く、航空機に使われる超々ジュラルミンは7000番系に属します。 溶接性の高い種類の合金もあり、溶接構造材に用いられています。 8000番系(その他の合金) 8000番系は、以上で挙げた合金系に含まれない、その他の材料で構成されたアルミニウム合金です。 低密度かつ高剛性の材料として開発されたAl-Li(リチウム)系合金などがあります。 マグネシウム 引用元:セキダイ工業株式会社 マグネシウムは、実用化されている金属の中で最も軽量な金属です。そのほとんどは、アルミニウム、亜鉛、マンガンなどを加え、マグネシウム合金として使用されます。 具体的な用途としては、ステアリングホイール、ノートパソコン、スマートフォン、自動車や航空機の部品などが挙げられ、主に軽量化を目的として使用されています。 マグネシウムの特長 マグネシウムは、軽くて強いことの指標となる比強度(強度/密度)が、鉄やアルミニウムに比べて優れています。そのため、製品のマグネシウム使用量を増やすほど、軽くて強い製品になります。 また、振動吸収性に優れているため、運動性の高い部品の振動を吸収し、機械寿命を伸ばすことができます。 マグネシウムは、鉄やアルミニウムに比べ、ぶつかったときの凹みが小さいという特性も持っています。そのため、マグネシウムを使用しているノートパソコンやデジタルカメラは、衝撃に強い特性を持ちます。 優れた寸法安定性もマグネシウムの利点です。マグネシウムは、100℃以下ではほぼ変化せず、150℃を維持するために100時間加熱し続けても寸法の変化量はわずか6×10^-6mmです。 マグネシウムは、熱伝導性や放熱性、電磁シールド性にも優れています。また、再利用のコストも低く、再生に要するエネルギーは新規生産時の4~5%程度です。 マグネシウムの加工性 マグネシウムは、切削性に優れています。切削性の指標となる切削抵抗は、マグネシウムを1.0とすると、アルミニウムが1.8、鉄は6.3となります。 しかし、成形は温間で行う必要があります。マグネシウムは、室温での塑性加工が難しく、延性が増加する300℃程度にならないと圧延や押出しによる成形は困難です。ただし、熱間の加工性はアルミニウムにも劣りません。 マグネシウムの欠点 マグネシウムの欠点として、発火しやすいというリスクがあります。切削加工しやすいマグネシウムですが、その削り屑は発火しやすく、着火したマグネシウムに水が触れると激しく燃焼します。 耐食性にも難があります。マグネシウムは、塩素イオンが生じる環境、酸や異種金属と接触している状態では、電蝕作用により腐食することがあります。ただし、絶縁処理や表面処理を行うことで、これらの腐食は防止することができます。 マグネシウム合金 マグネシウム合金もアルミニウム合金と同様、鋳造用と展伸用に分類されます。 展伸用の合金には、亜鉛とアルミニウムを添加したMg-AI-Zn系と、亜鉛とジルコニアを添加したMg-Zn-Zr系が主に用いられています。 これらの元素は、目的の材料特性を得るために添加されており、アルミニウムと亜鉛は強度の改良、ジルコニウムは結晶微細化による熱間加工性の向上を図って添加されています。 チタン 引用元:セキダイ工業株式会社 チタンは、軽量で高強度、耐食性や耐熱性にも優れ、人体親和性(アレルギーを起こしにくい)も高い金属材料として、理想の特性を持っています。 チタンの特長 まず、比重は、アルミニウムやマグネシウムの約2倍と大きいですが、鉄や銅と比べると半分と小さいです。 次に強度ですが、引張強度は、鉄の1.2倍、アルミニウム・マグネシウム・銅との比較では約2倍にも達します。比強度は、マグネシウムと比べると小さいですが、アルミニウム・鉄・銅と比べると高く、鉄の2倍程度です。 また、金属表面に生成される酸化チタンは、極めてサビにくく、海水中では白金と同等の耐食性を示します。耐熱性にも優れており、溶融温度は鉄よりも高い1668℃です。 さらに、酸化チタンの高い安定性から、金属アレルギーを引き起こしにくく、人体中の骨とも拒否反応を起こすことなく結合することができます。 チタンは、純チタンであっても上記のような優れた特性を持ちます。そのため、アクセサリーやスポーツ用品、体内に使う医療器具などの多くの民生品、熱交換器などの工業製品で用いられています。 チタンの加工性 チタンは、強度が高いことのほか、熱伝導率が低いことなども影響し、加工が極めて困難な金属となっています。 切削加工において、チタンは引張強度が高いため、工具は欠けやすく磨耗しやすくなってしまいます。また、熱が伝わりにくいため、加工熱が工具と被削物に移りやすく、工具が磨耗してしまいます。ヤング率も小さい(つまりたわみやすい)ため、加工精度の低下や被削物にヒビが生じることも多く、加工をより困難にしています。被膜されていないチタン内部は、化学的に活性なため、工具と焼き付きやすいという点もあります。 以上のほか、耐摩耗性が低い、切り屑が発火するといった問題もあります。 プレス成形でも、チタンの硬度の高さから加工がとても難しくなっています。 溶接についても、チタンが化学的に活性であることから困難です。溶接時には被膜されていないチタンが露出するため、大気と反応して硬化・脆化が発生し、延性の低下や割れの原因となります。これを防止する手段としては、チタンの周囲をアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスで他金属の溶接時以上にしっかりシールドする必要があります。 チタンの欠点 チタンの欠点は、上述で説明した通り加工が難しいこと、そして高価であることです。 チタンの加工性の低さについては説明しましたが、合金になるとさらに加工が難しくなります。 また、チタンは地球上に豊富に存在する金属ですが、精錬するのに莫大なエネルギーを必要とするため高価になっています。 チタン合金 チタンの合金はおおよそ、α型とβ型、α型とβ型の中間の性質を持つα-β型、白金族元素を添加して耐食性を増した耐食合金の4種類に分けられます。 α型は、高温での強度や溶接性、剛性に優れており、航空機のエンジンやガスタービンなど、高温での強度が求められる部材に用いられます。 β型は、成形性や加工性、強度に優れており、自転車のギアやゴルフクラブのヘッドなど、スポーツレジャー用品や民生品に使われています。 α-β型は、α型とβ型の両方の性質を受け継いだ合金です。また、α型とβ型から成る組織の割合を調整することで、α型またはβ型の特性に寄せたα-β型合金を作ることができます。 一方、耐食合金は、純チタン以上の耐食性を持ちますが、そのほかの性質はほぼ純チタンと同等です。そのため、化学装置や石油精製装置などの腐食しやすい部材に使われています。 まとめ 以上、軽い金属の代表であるアルミニウム・マグネシウム・チタンについてご紹介しました。 アルミニウムは、軽量で腐食に強く、加工しやすい金属ですが、比強度が弱いという欠点があります。しかし、合金とすることで強度を向上させることができるため、広く利用されています。 マグネシウムは、実用金属の中で最軽量の金属で、比強度に非常に優れています。加工性も高いですが、切削屑が発火するといったリスクがあるため、その加工にはノウハウを必要とします。 チタンは、軽量かつ高強度、耐食性や耐熱性にも優れるという理想の金属材料です。しかし、その加工は極めて難しく、切削、プレス成形、溶接といったそれぞれの加工で高い技術を必要とする上、材料が高価である点を考慮しなければなりません。 今後、ますます有望なこれらの軽い金属ですが、使いたい金属が決まったという方も決まらないという方も、ぜひMitsuriにご相談ください。 ノウハウが必要なマグネシウム合金も、高度な技術が必要なチタン合金も、Mitsuriではこれらの加工を専門にしている工場の一括見積もりを取ることができます。 Mitsuriの協力工場は全国に140社以上あり、多数のマグネシウム加工・チタン加工の実績があるため、安心してご依頼ください。 素材の選択のご相談に加えて、マグネシウム加工やチタン加工が得意な工場のご紹介も可能です。 軽量金属の加工でお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!
板のような形をしたばねを「板バネ」といいます。主に「曲げ変形の特性」を活かしたい場所に用いられます。この記事では、板ばねの①種類②用途③材質④加工方法⑤計算方法に関する実用的な知識を解説しています。 板ばねの種類 板ばねには様々な形状のものがあり、 ①重ね板ばね ②薄板ばね ③皿ばね ④渦巻きばね の4つに分類できます。 ※皿ばねと渦巻きばねは、板ばねに含めない場合もあります。 (1)重ね板ばね 引用元:flexdream 重ね板ばねは、長さの異なる板状のばねを複数枚重ね合わせて作ります。複数枚を重ねることで、使用時の応力が分散して耐久力が高まります。 代表的な用途としては、トラックや貨車のサスペンションです。板材同士が接触、摩擦することで振動が減衰していきます。現場では、リーフばね(リーフスプリング)とも呼ばれます。 (2)薄板ばね 引用元: 國光スプリング工業株式会社 薄板ばねは、薄い板形状をしたばねです。最も多用される板ばねで、「板ばね」と言った場合は「薄板ばね」を指しています。文具、VTRテーブのガタ防止、ばね座金、電池ケースの電極・スイッチ、AC100Vスイッチ部品、抜け止め金具など様々な用途に使われます。 ③皿ばね 引用元:Direct INDUSTRY 皿ばねは、円すい状の板ばねの中心をくり抜いた形状をしています。コイルばねを設置できないような狭い場所でも使用可能で、大きな荷重に耐えられます。 ねじの緩み止めの座金、小型モータの軸受予圧用、ワッシャー、軸受回りのガタ防止などに用いられます。 ④渦巻きばね 引用元:宏栄スプリング工業株式会社 渦巻きばねは、板状や帯状の素材を渦巻きのような形に巻いたばねです。ばねの端を引っ張ると、元の形状に戻ろうとする力が働きます。英語ではスパイラルスプリング(Spiral Spring)といい、日本の開発現場では「ぜんまいばね」と呼ばれることが多いです。ぜんまい式のおもちゃ、機械式時計のぜんまいに用いられます。 板ばねの用途 板ばねの使用用途は大きく「緩衝用」「復帰用」「締結用」に分けられます。 (1)緩衝用 板ばねは衝撃を吸収してやわらげる「緩衝用」として用いられる場合があります。貨物自動車、トラック、バスなどの車のサスペンションに使われます。ひと昔前に流行ったオフロード車にも板ばねの技術が生かされています。スキー板は、板ばねそのものです。 (2)復帰用 板ばねは、復元力を動力とする「動力発生用」、位置の「復帰用」としても用いられます。具体例として、アーチェリーの弓、水泳の飛び込み台、オルゴール、ステープラーの針を押し出す薄板などが挙げられます。 (3)締結用 板ばねは、物をはさみ締めつける「締結用」としても用いられます。具体例として、ピンセット、トング、シャープペンシルのクリップがあります。 板ばねの材質 弾性を持った材料はすべてばねとなり得ます。材質で分類すると、①金属②非金属の2種類です。 金属を材質とする金属ばね(炭素鋼、ステンレス、ニッケル合金、チタン合金) 金属ばねは広く使われており、コストが安い、大きな荷重に耐えられる、たわみ量を大きく確保できるといったメリットがあります。板ばねに多用される金属は、①炭素鋼②ステンレス鋼③ニッケル合金④チタン合金の4種類です。 炭素鋼 炭素鋼は、ばね鋼材として多用されます。炭素が主な添加元素で、他成分の含有量によってさらに詳細に分類されます。炭素以外の成分を付加することで、鋼の性能をグレードアップしたものは「合金鋼」と呼ばれます。 ステンレス鋼 ステンレス鋼は、熱やサビに強いという特性があります。非鉄金属では、電気伝導性に優れる銅合金がコネクタ、電気機器などに使用されます。ただし他の鋼材と比べると割高です。 ニッケル合金 ニッケル合金は、耐食性・耐熱性・耐寒性に優れた特性を有し、400℃以上の高温で使用されます。 チタン合金 チタン合金は、鋼と比較して弾性率と比重が小さいので、ばねを軽くしたい場面で利用されます。ただし、コストが高いのが難点です。 非金属材のばね(天然ゴム、プラスチック、セラミック) 金属で実現不可能な特性を出したい場合は、非金属材を使います。板ばねに用いられる代表的な非金属材料には、①天然ゴム②プラスチック③セラミックの3つがあります。 天然ゴム 天然ゴムには、汎用性が高い、ばね定数を自由に調整できる、内部摩擦で変形の際に減衰力が発生するというメリットがあります。反対に、ゴムばねの挙動を明確に計算できない点がデメリットです。 プラスチック プラスチックは、金属と比べて「軽い」「錆びない」「加工が容易」な点がメリットです。ただし、強度が低いことが難点です。強度の低さを克服するために、繊維強化プラスチック(FRP)・ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)・炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などがあります。 セラミック セラミックは脆性材料なので「壊れやすい」「強度にばらつきがある」といった特徴があり、以前はあまり使用されませんでした。現在は技術が進歩したことで、耐熱性を活かした700~1,000℃の高温下で使用されるようになりました。 板ばねの加工方法 板バネの加工 量による分類 温度による分類 少量生産 熱間成形 大量生産 冷間成形 少量生産の場合は、型を必要としない加工機で、ほぼ手作りで製造します。レーザー切断機やタレットパンチ(タレパン)で材料を切断し、穴開け加工を施します。曲げ加工は、プレスブレーキという機械を使用します。近年はレーザー切断機やタレットパンチは、コンピュータで制御されます。多量生産を行う際は、型を用いた加工機(プレス機)を用いて製造します。代表的なプレス機は、単発型・順送型・トランスファー型の3種類です。 板ばねは、それぞれの材質・形状に適した加工方法が存在します。加工方法はおおまかに、熱間成形・冷間成形の2種類に分類されます。一般的には、大型のばねや特殊な加工には熱間成形を、小型のばねには冷間成形を行います。 (1)熱間成形 主に900~1,200℃という高温下で加工する方法で、金属の再結晶温度以上の高温となり、加工がしやすいのが特徴です。加工後すぐに急冷します(焼入れ)。焼入れ工程を経て硬い鋼ができます。ただし、このままだと脆くて不安定な状態なので、所定の温度に再度加熱します(焼戻し)。焼戻し処理を行うことで、ばねとしての特性が現れます。 精度の高い加工の困難さが難点として挙げられます。とりわけ薄板の加工難易度は一気に上がってしまいます。 (2)冷間成形 主に720℃以下で加工する方法で、鋼の持つ金属組織が緻密になる特性を持ちます。金属に必要以上の熱をかけないため、高精度の加工ができます。金属の加工硬化が促進し、材料自体が硬化します。 ただし、大きな力で加工しなければならないことや、加工が過度になると内部ひずみを生じ「残留応力の蓄積」「粘り強さの減少」が起こることが難点です。残留応力を解消するにあたり、低温焼きなましを行います。 板ばねの計算例 板ばねの計算は、材料力学で用いられている公式が使えます。荷重が加わった際の、ばねに生じる最大応力とその位置・そこから求められるたわみやひずみに関しては、形状や材質から決まる各種の定数が関与しています。以下に押さえておくべき用語を紹介します。 応力 応力 = 力 / 断面積 ばねに外力(荷重)を加えると、材料の内部には外力に抵抗する力が発生します。材料に生じる応力が大きくなりすぎると、材料は破損します。応力とは、材料に発生する単位面積当たりの抵抗する力です。応力の種類には「引張り応力」「曲げ応力」「ねじり応力」の3種類があります。1つの応力だけが生じるのは稀で、複数の応力が同時に生じます。 ひずみ ばねに荷重を加えると変形します。変形前の形に対する変形の割合が「ひずみ」です。ひずみには2種類あり、荷重方向のひずみを「縦ひずみ」、直角方向のひずみを「横ひずみ」といいます。 ばねのような弾性のある物体では、「荷重と伸び(応力とひずみ)は比例関係」にあります。ばねを選ぶ際にはこの応力とひずみの関係をしっかり計算して確認する必要があります。 ばね定数 F = k × x ばねに荷重を加えると変形します。加えた力をF、変形量をxとし、上の関係を満たすkを「ばね定数」といいます。ばね定数が大きいほど硬いばねです。 金属加工でお困りの方は、Mitsuriまでお問い合わせください。日本全国250社以上の提携工場があり、ご要望に沿った工場が見つかります。お見積りは複数社から可能です。 下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください!
金属加工の現場でしばしば耳にする「難削材」という言葉。ニュアンスでなんとなく切削加工が難しい素材ということは分かると思いますが、具体的にどういった素材なのかと言われるとなかなか説明が難しいのではないでしょうか。 そこで、今回は難削材について解説していきます。難削材に関する基礎知識や材質の種類など、知っておくことで取り扱い方法や必要とされるシーンなども分かってくるので、ぜひ知識として覚えておきましょう。 難削材とは?なぜ難削材といわれるのか 難削材とは、ただ削りにくいだけでなく「取り扱い自体が難しい素材」のことを指します。硬すぎて削りにくい、壊れやすくて扱いにくい、発火・引火しやすいため注意が必要など、さまざまな条件があり、一筋縄ではいかない素材の相称が、難削材です。また、データがそろっておらず、削りやすいかどうかが分からない金属も難削材に含まれます。 代表的な金属の難削材の一覧 難削材には大きく分けると下記のような特性があります。 多くの素材が下記の1~2個の特徴を有していますが、中には3個、4個の条件を兼ね備えている、非常に加工が難しい素材もあります。 ・硬度が高く削りにくい ・硬脆性があり、加工時に壊れやすい ・加工硬化が生じやすい ・工具と親和性が高く、加工時に溶着しやすい ・高温強度が大きく高温下でも変形しにくい ・熱伝導率が低く、加工時の温度を逃がしにくい ・材料強度が大きく、せん断や引っ張りに強い ・延性が大きく粘り強い性質を持つ ・アブレシブ物質を含んでいる ・加工時に発火、引火する可能性が高い 難削材の性能を踏まえた上で、下記では、具体的な難削材の特徴と、求められている理由について解説します。 ステンレス 一般的な知名度の高い「ステンレス」も、実は難削材のひとつ。ステンレスは熱伝導率が低く、切削加工時に発生する熱をため込みやすい性質と、加工硬化性を兼ね備えていて、高温での加工が難しい素材です。さらに、工具との親和性が高く、切削時に出る切り粉が刃物に溶着しやすいことから、加工精度が出しにくい特徴があります。 上記でも分かるように、非常に耐熱性に優れているステンレス。錆びにくさや耐水性の高さも相まって、火や水を使う場所に多く取り入れられています。また、汚れに強く衛生的にも安心な素材であることから、キッチンや浴槽、食器から車両に至るまで、幅広い分野で必要とされています。 チタン チタンも切削加工が非常に難しい難削材。熱電度率が低く、工具との親和性が高いため、切削加工時に発生する切り粉が原因でビビりが発生したり、工具と化学反応を起こしたりする可能性があります。さらに、切削や研磨で発生する切り粉には発火性があるため、清掃や管理には気を配る必要があります。 軽くて熱に強く、引張強度も高いチタン。耐食性にも優れ、海水に触れる環境でも使用できる数少ない金属です。調理器具やアクセサリー、自動車のエンジンやゴルフのクラブなど日常的にもさまざまなものに活用されているチタン。宮崎オーシャンドームや東京湾横断道路の橋脚など、大型の建築物にも活用されています。 インコネル ニッケルを主体とし、クロムや鉄、炭素などを含有したインコネル。高温強度が大きく熱伝導率が低いこともあり、切削加工が最も困難な材料とも言われています。工具との親和性も高いほか、ステンレスやチタンほど多くのものに活用されていないため切削データが少なく、加工時に切削条件を探りながら進めて行く必要があります。 インコネルは高温での強度や耐酸化性、耐クリープ性が非常に高く、高温でも変形や酸化せずに強度を確保できる素材です。原子力発電所の廃液処理装置やごみ焼却炉、水処理施設、さらにはジェットエンジンやスポーツカーの部品などにも使用されています。 マグネシウム マグネシウムは着火すると激しく燃える性質を持っています。さらに、過熱状態で水に触れると可燃性ガスなどを発生させる金属。高温での加工や火、水のある場所での加工は厳禁で、換気と切り粉の清掃にも注意が必要な素材です。 扱いにくいだけなら手を出さない方が良いのですが、実用金属の中で最も軽いというメリットを持ち、剛性や強度も鉄やアルミニウムより優れているほか、加工自体はしやすい特徴を持っています。一般的にはアルミニウムや亜鉛などを加えた合金として扱われ、自動車の部品やノートパソコン、携帯電話、一眼レフカメラの筐体、杖、車いすなどの福祉用品などに使用されています。 その他の難削材 上記以外にもさまざまな難削材があります。加工の現場では型枠などに用いられる超硬合金もそのひとつ。一般的な金属よりも硬いためドリルの刃が通りにくく加工がしにくい金属です。身近なところではガラスも難削材のひとつ。硬脆性があり、加工時に割れたり壊れたりしてしまう可能性があることから、加工には向いていない素材のひとつです。 金属は種類が豊富で、加工に対してデリケートなものも多くあります。同時にモノづくりでは高機能・高品質のものが求められます。硬い素材は加工できれば強度の高い製品になりますし、熱に強い素材は耐火性能の高い金属として、キッチンや自動車のエンジンなど高温になる場所でも変わらず高い性能を発揮できます。 そのため、難削材を加工できれば製品に付加価値をつけることができ、ユーザーの求められる製品を提供することが可能になります。
パンチングメタルとは、パンチング加工によって孔が開けられた金属の板を指します。建築、自動車、家電など幅広い分野で利用されている材料です。孔の形状や、材質などによってさまざまなパンチングメタルが存在し、用途によって使い分けされています。 パンチングメタルとは パンチングメタルは、打ち抜き(パンチング)加工が施された金属板を指し、打抜金網またはPerforated Metalとも呼ばれます。打ち抜き(パンチング)加工は、下図のようにパンチとダイと呼ばれる金型を使用して、金属の板材などを任意の形状に打ち抜く加工方法です。 パンチングメタルでは、打ち抜き(パンチング)加工によって金属板に対して孔を開けることで、その他のタップ加工やリーマー加工といった穴あけ加工と比べて、加工時間を短縮し、より安価に製作できます。 パンチングメタルの用途は多岐にわたり、建築材料としてさまざまな内外装材に使用されるほか、その意匠性を活かしてモニュメントなどにも利用されています。 参考:【パンチングメタル】材質やサイズ、製品事例まで専門家が解説! 参考:パンチングプレートならMitsuri!種類や材質について専門家が解説! パンチングメタルの開孔率(開口率)とは パンチングメタルの開孔率(開口率)とは、パンチング加工によって打ち抜いた開孔部分の全体に占める割合を指し、パーセント(%)で示されます。開孔率(開口率)は、パンチングメタルの孔の種類、孔の径、ピッチ、配列などを基に計算し、導き出されます。 パンチングメタルの開孔率(開口率)と強度 パンチングメタルの開孔率(開口率)と強度の関係は下図のように示され、開孔率(開口率)が大きくなればなるほど、強度は低下します。ただし、荷重の方向によって強度は異なります。 引用元:Industrial Perforators Association (注:S * =パンチングメタルの降伏強度、S =パンチング加工されていない材料の降伏強度) パンチングメタルの孔(穴)の形状・配列・方向 パンチングメタルの孔(穴)の形状はさまざまで、代表的な形状には丸孔、長孔、角孔などがあります。中でも、丸孔が多用されています。また、孔(穴)の配列(パターン)にも60°千鳥、45°千鳥、並列などの種類があり、60°千鳥が最も一般的な配列として使用されています。下図に、それぞれの孔(穴)の形状及び配列を示しました。 丸孔 長孔 角孔 そのほかにも、以下のような亀甲や装飾用孔のパンチングメタルも存在します。 パンチングメタルの孔(穴)の方向について、丸孔、角孔の場合では、下図のように、板材の短い辺が千鳥状となり、長い辺が目方向(送り方向)となります。ただし、この方向を逆にした「逆抜千鳥」も存在します。 また、長孔やダイヤの場合では、下図のように孔の長さ方向が、板材の短い辺の方向に平行になるタイプ(S/L)と、板材の長い辺の方向に平行になるタイプ(L/L)が存在します。 このように、パンチングメタルの製作を工場に依頼する際には、パンチングメタルの孔(穴)の形状、配列、方向を指定する必要があります。 参考:腕があるパンチングメタル業者10選!パンチングメタルの規格や材質について製品例を用いて解説!
SUM21は、切削性及び加工性に優れる「SUM材」の一種です。SUM21は、S(硫黄)を少量添加することで、切削性を向上させた快削鋼であり、「硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材」とも呼ばれます。特に切削性を重視する場合に利用され、一般機械部品などの用途として広く用いられています。参考:【切削加工とは?】特徴・種類・注意点を動画と一緒にご紹介します!SUM21の特徴(切削性、加工性)SUM材は、SS400、SGD材などの鉄鋼材料と比較して、「切削性」及び「加工性」により優れた材質です。そのため、SUM材は快削材、快削鋼と呼ばれています。中でも、SUM21は、特に切削性に優れている材質です。SUM21の化学成分<SUM21の成分、組成(単位:%)>材料記号CMnPSPbSUM210.13以下0.70~1.000.70~0.120.16~0.23-引用元:JISG4804:硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材SUM21の化学成分を上表に示しました。SUM21の炭素(C)含有量は0.13%以下となっており、SUM材の中でも「低炭素快削鋼」に分類されます。また、SUM材は切削性及び加工性に優れると前述しましたが、それは快削性元素と呼ばれる、S(硫黄)、P(リン)、Pb(鉛)の元素の添加によるものです。SUM21では、S(硫黄)及びP(リン)の元素を添加することで、加工性を改善しています。SUM21の分類(S快削鋼とPb快削鋼)SUM材は、その添加元素によってS快削鋼とPb快削鋼に分類されます。S快削鋼は、S(硫黄)を添加した材質で、特に材料の切削性を重視する場合に用いられます。前述したSUM21の成分から分かる通り、SUM21も「S快削鋼」に分類されます。また、Pb快削鋼は、Pb(鉛)を添加した材質で、特に材料の機械的性質を重視する場合に利用されます。
クロムは、その原子価の違いにより「三価クロム」や「六価クロム」などに分類され、前者は無毒性、後者は強い毒性を示します。表面処理加工によく利用されるクロムですが、これまでは、毒性を持つ「六価クロム」の利用が主流でした。しかし、六価クロムが、RoHS指令やREACH規制SVHC(高懸念物質)などの規制対象物として指定されたことから、現在では六価クロムを三価クロムにシフトするなど、六価クロムの代替が検討されています。クロムとは?クロム(元素番号:Cr)は、大気中で酸素と結びつきやすく、不働態皮膜を形成しやすいという特徴を有します。そのため、クロムはメッキなどの表面処理加工に広く利用されている物質となっています。また、クロムはその原子価によって分類され、 Cr(Ⅲ) 化合物は「三価クロム」、Cr(Ⅵ) 化合物は「六価クロム」と言われます。同じクロムでも、価数が異なると毒性も変わります。参考:クロムメッキとは【中の人が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!六価クロムの毒性六価クロムは非常に強い毒性を有し、肺・胃腸・気道の障害や皮膚炎を引き起こしたり、発がん性を持つなど、人体に悪影響を及ぼします。そのため、六価クロム及びその化合物は、RoHS指令やREACH規制SVHC(高懸念物質)など、さまざまな規制の対象物質とされています。六価クロムは、安価で容易にメッキ処理を行えることから、広くメッキ剤として利用されてきましたが、RoHS指令発令後は、後述する三価クロム(無毒性)の使用へ移行が行われてきました。なお、六価クロムを用いても、メッキ処理後は金属クロム(0価)となるため、きちんと洗浄すれば毒性は問題ありません。また、六価クロムの廃棄の際には無毒化する必要があり、還元剤との反応を利用して三価クロムに変化させ廃棄処理がなされます。参考:RoHS指令について詳細を解説!対象範囲についてもご紹介!三価クロムの毒性三価クロムは、自然界の土中に広く存在している物質で、毒性を持ちません。それに対して六価クロムは、酸化剤などで三価クロムを人工的に高温で燃焼させることで生成されます。前述した通り、メッキ処理において、現在は六価クロムの代替として三価クロムが利用されています。例えば以前は、亜鉛メッキの後処理では「六価クロメート(六価クロメート化合物を含有)」を用いた化成処理法が主流でしたが、現在は六価クロメート化合物を含有しない「三価クロメート」による化成処理法が広く用いられています。参考:【アルマイト処理・化成被膜処理とは?】目的や種類などを徹底解説!
金属板の加工技術は、私たちの生活の中で欠かせないものとなっています。自動車、土木・建築、医療、食品など幅広い分野に利用されているほか、家電機器、産業機器などの部品の製作にもなくてはならない技術です。例えば、家の中を見渡すだけでも、パソコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビなどさまざまな製品に使用されています。今回は、そんな金属板の加工について詳しく解説していきます。特に、金属板に用いられる代表的な素材とその特徴、また代表的な加工方法に関して、一つずつ丁寧にご説明していきます。金属板の加工についてさらに知識を深めたい方や、金属板の加工でお悩みの方は、ぜひご一読ください。金属板の加工について金属板の加工とは、文字通り金属でできた板材を加工することを指します。しかし、一口に金属板の加工と言っても、金属板にどういった材質を用いるのか、またどのような加工を施すのかで、その製品の持つ特徴や用途などが異なってきます。そのため、金属板の加工を用いて製品の設計・製作を行う場合には、素材や加工方法について十分理解した上で行っていくことが非常に重要となります。金属板の種類と用途ここでは、代表的な金属板の材質とその用途について説明していきます。アルミアルミは、比重が鉄や銅の約1/3と軽く、さらに軟らかくて展性も高いことから加工性に優れた金属となっています。また、空気中において酸化皮膜を形成するため、耐食性も有しています。さらにアルミの熱伝導率は鉄の約3倍と、非常に熱を伝えやすい材質です。これらの特徴を活かして、一円硬貨やアルミホイル、アルミ缶、鍋、エンジンのシリンダー、パソコンや家電製品の筐体などさまざまな用途で使用されています。ただし、1円硬貨などを除いて、ほとんどはアルミ合金としての利用となっています。アルミ合金は、その含有されている金属によって次のように分類されており、それぞれ特徴が異なります。アルミ合金の種類・1000番手系(純アルミ):強度は低いが、加工性や熱伝導性に優れる・2000番手系(アルミ-銅合金):強度や切削性に優れるが、やや耐食性に劣る・3000番手系(アルミ-マンガン合金):加工性にはあまり優れないが、高い強度を持つ・4000番手系(アルミ-ケイ素合金):耐摩耗性に優れる・5000番手系(アルミ-マグネシウム合金):強度、耐食性に優れ、さらに溶接性も良好・6000番手系(アルミ-マグネシウム-ケイ素合金):強度、耐食性に優れる・7000番手系(アルミ-亜鉛-マグネシウム合金):アルミ合金の中で最も強度が高いステンレスステンレスは、その表面を覆っている不動態皮膜によって、錆びにくく、耐食性に優れる金属です。その他にも、 耐熱性を有し、加工性、強度においても優れた特性を有しているほか、意匠性にも優れ、メンテナンスが容易であることも大きな特徴です。このような特徴から、建築、土木、家電・精密機器、厨房・家庭用機器、輸送機器、産業機器など非常に幅広い分野で利用されています。特に私たちに身近なものには、洗濯機や冷蔵庫、建物の外装や内装、またゴルフ用品にもステンレスが使用されています。また、ステンレスは、含有する金属及び金属組織の違いから、次のように5種類に分類されます。ステンレスの種類引用元:大同特殊鋼株式会社・マルテンサイト系:非常に硬いが、耐食性には劣る・フェライト系:耐食性は高く、応力腐食割れ(金属材に生じる経年損傷)を起こしにくい・オーステナイト系:耐食性が高く、加工性に優れる・析出硬化系:非常に硬く、耐食性にも優れる・二相系:塩化物(海水など)に対する高い耐食性を持つチタンチタンは、比重が鉄の約半分ととても軽くて、さらに海水中などでも優れた耐食性を発揮します。また、比強度(重量あたりの強度特性)が高く、アルミニウムの約3倍、鉄の約2倍の強度を示します。他にも、無毒性で、生体適合性も良く、人体にやさしい安全な金属です。これらの特徴を活かし、医療・食品の分野や化学工業、建築・土木産業、また航空宇宙産業などで広く用いられています。また、チタン合金は、焼なましの状態でのミクロ組織によって次のように分類されます。チタン合金の種類・純チタン:耐食性及び加工性に優れているが、耐摩耗性に劣る・α合金:低温から高温まで安定した強度を持つ・β合金:冷間加工性・時効硬化性(時間の経過とともに金属が硬化する現象)に優れる・α+β合金:強度が高く、また延性に優れる・耐食合金:耐食性に優れ、高い強度を持つ銅銅は、熱伝導性・電導性・加工性・展延性に優れている金属です。また、銅が酸素に触れると表面に酸化銅の被膜をつくることから、優れた耐食性を持っています。他にも、銅は抗菌作用を持つ金属としても知られています。これらの特徴から、電線や電子機器部品、調理道具や銅像、10円硬貨などに利用されています。銅には合金が存在し、含有する金属によって主に以下の3つに大別されます。銅合金の種類・黄銅(銅-アルミ合金):加工性がよく、意匠性に優れる・洋白(銅-亜鉛-ニッケル合金):耐食性・耐変色性に優れる・青銅(銅-すず合金):展延性に優れ、融点が低い鉄鉄は強度が高く、また優れた加工性を持つことから、古くから私たちの生活の中で欠かせない金属として幅広く用いられてきました。現在は、金属製品の約90%が鉄でできているとも言われています。そのため、自動車、造船、土木・建築、容器・缶、家電機器、産業機械などさまざまな分野で利用されています。また、鉄はその含有する炭素量の違いによって次の3つに分類されます。鉄の種類(カッコ内には炭素含有量を示す)・純鉄(0.02%以下):非常に脆く、軟らかい・鋼(0.02% - 2.1%):炭素含有量によるが、強度、靭性、磁性、耐熱性などに優れる・鋳鉄(2.1% - 6.7%):非常に硬いが、延性や靭性に劣るMitsuriは、これらすべての材質の加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お気軽にお問い合わせください。金属板の加工法の種類最後に、金属板の各種加工方法について説明していきます。金属板の加工法【レーザー加工】レーザー加工とは、高エネルギー密度のレーザー光を照射し、熱エネルギーによって加工する方法を指します。主に、金属板の穴あけや切断に利用されています。レーザー加工では、加工領域が非常に狭いため、非常に微細な加工を行うことができるほか、高エネルギーのレーザー光を使用することで超硬金属や硬脆材料の加工も可能となります。参考記事こちらの記事では、レーザー加工についてその原理や種類など、さらに詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。⇒【レーザー加工】板金加工におけるレーザー加工について専門家が徹底解説!金属板の加工法【溶接加工】溶接加工とは、2種類以上の金属を接合する金属加工方法のことを指します。主に、金属を局部的に加熱して溶かすことで接合する「融接法」と、加熱した金属に圧力を加えて接合する「圧接法」、母材と違う素材を溶融して接合する「ロウ付法」の3つに大別されます。ただし、細かく溶接方法を分類すると、全部で60種類以上にも及びます。参考記事こちらの記事では、溶接加工の種類について、その特徴を詳しく説明しています。溶接加工についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。⇒ 第1回 溶接加工とは?代表的な種類とメリット・デメリットを解説金属板の加工法【プレス加工】プレス加工とは、被加工材を金型に当て、圧力を加えることで材料を金型の形に変形させる加工方法のことを指します。プレス加工では、一度金型を作成すれば短時間で同じ形のものを生産することが可能なため、低コストで大量に生産する場合に最適です。また、プレス加工では金型に合わせて切断するだけでなく、曲げや絞りなどさまざまな加工を施すことができます。参考記事Mitsuriは、さまざまなプレス加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。以下の記事ではおすすめの工場を紹介していますので、プレス加工でお悩みの方はご一読ください。⇒プレス加工のおすすめ工場5選!!金型製作や微細加工等様々な工場をご紹介金属板の加工法【切削加工】切削加工とは、文字通り工具などを使用して、材料を削って加工する方法を指します。主に切削加工は、加工する工作物を固定して工具を回転させる「転削」と、工作物を回転させる「旋削」とに大別されます。参考記事転削の代表として「フライス加工」、旋削の代表として「旋盤加工」が挙げられます。以下の記事では、それら2つの加工について詳しく解説していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。⇒切削加工の種類【専門家が解説】フライス加工、旋盤加工について詳細をお伝えします!金属板の加工を依頼するならMitsuri今回は、金属板の加工をテーマにその代表的な素材や加工方法についてご説明しましたが、いかがでしたか。金属板の素材、またその加工方法の種類は多岐に渡り、そのそれぞれが異なった特徴を持っています。そのため、金属板の加工を行う場合には、素材や加工方法の選択が非常に重要となります。また、メーカーに加工を依頼する際にも、金属板の素材や加工方法に関する基本的な知識を持っていると、より話が進みやすくなるでしょう。金属板の加工メーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上の企業と提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。Mitsuriでのお見積りは複数社から可能です!ぜひお気軽にお問い合わせください。
パンチングメタルは材質や穴のあけ方によりたくさんの種類が存在します。防音材のカバーやフィルター、デザイン性のある外壁としても使われたりと用途はさまざまです。 この記事では「パンチングメタルとはそもそも何?」という疑問についても説明するほか、主に使われている材質やサイズ、穴の種類についても解説します。 パンチングメタルとは 引用元:Mitsuri金属部品カタログ パンチングメタルとは、穴あけの加工が施された金属の板のことを指します。 その名の通り、金属板がパンチング(打ち抜き)加工と呼ばれる方法で穴あけされており、切削加工などと比べて短時間かつ安価に加工できる点が特徴です。 引用元:松陽産業株式会社 パンチング加工は上図のようにパンチとダイと呼ばれる専用の金型を使用します。金型を使用することで、大量生産されるパンチングメタルの穴寸法とピッチをすべて均一に制作することが可能です。 また、使用する金型を変えることによって穴の形状を丸穴以外にも加工できます。 参考:【金型製作】金型の種類と基礎や流れについて徹底解説!! パンチングメタルの材質 基本的に使用されている材質は主にスチール・ステンレス・アルミがあり、用途によって使用される材質は異なります。 スチールは上記の材質のなかでは比較的安価で加工性に優れています。ステンレスは耐食性に優れていることから屋外での設置や化学施設、食品設備など幅広く使われている材質です。アルミは強度こそ乏しいものの、加工性・耐食性に優れ、軽量でもあることから、車両や電気機器、機械部品に使用されています。 パンチングメタルサイズ パンチングメタルのサイズは取り扱い店により異なりますが、基本的には各材質の定尺サイズで取り扱われることがほとんどです。定尺とは、市場で標準的に流通しているサイズのことを表しており、材質によってそのサイズは異なります。 引用元:toishi.info 上表は各材質の定尺材のサイズをまとめた表です。 パンチングメタルの材質はスチール・ステンレス・アルミが多く使われており、上表のSPCC・SPHC・SECC・SGCCがスチール、SUSがステンレスを表します。パンチングメタルのスチールのサイズは914mm×1829mmが主に取り扱われており、SUSとアルミは1000mm×2000mmが取り扱われていることが多いです。メーカーによってはスチールの1219mm×2438mmなどのサイズも扱っているので、一般的でないサイズが欲しい場合は問い合わせてみましょう。 サイズは長さと幅以外にも厚みを検討する必要があります。厚みも定尺と同じように、材質によって流通している寸法が異なります。厚みはパンチングメタルの穴寸法、ピッチ、開口率にも左右されますが、おおよそ0.5mm~3.0mmまで扱われていることが多いです。 パンチングメタルの種類 ここではパンチングメタルの代表的な種類を紹介します。パンチングメタルは、ひとつの穴形状に対して穴の配列が複数あるので種類は多岐に渡ります。 【丸穴】 引用元:メタルテック株式会社 丸穴はパンチングメタルの中でも最も使用されているタイプと言っても良いでしょう。丸穴は上図左の「丸穴千鳥(またの名を60°千鳥)」と呼ばれるタイプが一般的に扱われています。上記以外にも、上図中央のような「丸穴角千鳥(45°千鳥)」、上図右のような並列に配置された「丸穴並列(直列90°千鳥)」も取り扱いのあるメーカーは多いでしょう。丸穴の派生として丸と十字の模様を組み合わせた種類も存在します。 【長穴】 引用元:メタルテック株式会社 長穴も丸穴と同様に千鳥状の穴配置が基本的ですが、それ以外にもたくさんの打ち抜きパターンが存在します。 上図の左上から順に「長穴(サイド)千鳥」「長穴(エンド)千鳥」「長穴並列(直列)」「ヘリンボン」「長穴綾抜き」とあり、メーカーによっては穴の端部が丸形状か角形状かを選ぶこともできます。 【角穴】 引用元:メタルテック株式会社 角穴は穴形状が正方形となっているタイプで、上図の左から順に「角穴直列」「角穴千鳥」「斜角抜(ダイヤ)」の種類が一般的です。 パンチングメタルの製品事例 パンチングメタルは通気用カバーや防音パネル、建築の外装など用途が幅広く、製品事例は多岐に渡ります。ここでは一部の使用例を見てみましょう。 薄型テレビのスピーカーカバー 丸穴60°千鳥のパンチングメタルが採用されているスピーカーカバーとなります。上図は薄型テレビ用として使用されていますが、テレビ以外の音響製品や電気機器にも使われることが多いです。 高速道路向け防音壁表面パンチング板 こちらも丸穴60°千鳥のパンチングメタルを使用しています。パンチングメタルは防音壁に多く使用されており、穴があることで吸音材の効果を高める効果があるほか、カバーの役割としても優秀です。高速道路にはこちらの防音壁以外にも、防音のために高架の裏面にパンチングメタルが使用されていることもあります。 エアコン室外機パンチングカバー 集合住宅の外壁に飛び出しているエアコンの室外機の目隠しかつ、通気性も持たせるために木目調塗装のパンチングメタルを使用しています。打ち抜きパターンは丸穴45°千鳥を採用。 上図では目隠しとして使用していますが、パンチングメタルはその他にもデザイン性を重視したものを使用することで、外観の雰囲気を向上させることも可能です。 パンチングメタルの基礎知識 パンチングメタルを選定の際には、サイズと種類だけでなく、「穴の配列」「ピッチ方向」「開口率」も見ておく必要があります。 穴の配列 引用元:株式会社布引製作所 パンチングメタルの穴の配列は、千鳥状に打ち抜きされたものが一般的に使われています。ただし千鳥とは一口に言っても、穴の配列する角度を変えることによって、見た目にも大きく変化が見られるでしょう。千鳥以外には並列に打ち抜かれた穴配列もあるほか、長穴のパンチングメタルに関しては、ヘリンボンや綾抜きと呼ばれる特殊なパターンの取り扱いもあるメーカーが多いです。 引用元:メタルテック株式会社 その他にも穴の配列は、「飛ばし型」と呼ばれるパターンのものもあります。飛ばし型は、板の厚み・穴同士のピッチが狭すぎることでパンチング加工が困難な場合に採用される配列です。飛ばし型の特徴は、上図のように板材の左右の両端部が一段毎に穴が飛び出したかのような配列になります。 ピッチ方向 引用元:メタルテック株式会社 ピッチ方向とは、穴の向きを表しています。上図は左右どちらも60°千鳥の打ち抜きパターンとなりますが、ピッチ方向を変えることで見た目が大きく異なりますので購入の際には注意が必要です。上図左は一般的な千鳥の配置で「通常千鳥」、上図右は通常とは異なる打ち抜きパターンであることから「逆抜千鳥」と呼ばれています。 引用元:メタルテック株式会社 長穴に関しても同様に穴の向きの違いで上図のような違いが出るため、連続でパンチングメタルを配置する場合や、指定の形状がある場合は、ピッチ方向に注意して選定するようにしてください。 開口率 開口率とは、穴がまだ空けられていない板材の全体面積に対して、どれだけパンチング加工によって穴が空けられたかを指し示す数値となります。開口率の単位は%にて表示されています。開口率はフィルターとして使用する際、もし透過率を上げたいのなら開口率も上げる必要がありますが、穴を空けすぎることで強度が乏しくなる、歪みがでやすくなるといったことがあるので注意が必要です。開口率を大きく上げたい場合はメーカーに対応できるか相談すると良いでしょう。 パンチングメタルとは、金属板にパンチング(打ち抜き)加工を施し、穴あけされた製品のことを言い、材質はスチール・ステンレス・アルミが一般的に流通しています。 サイズについては、材質により定尺の寸法が異なりますが、1000mm×2000mm程度のものなら、取り扱っているメーカーは多いです。パンチングメタルには穴の形状が主に丸穴・長穴・角穴の3種あります。同じ穴の種類でも配列が変わることで雰囲気は大きく変わるでしょう。 パンチングメタルのご相談ならMitsuriに もしパンチングメタルの購入を検討している場合はMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上のメーカーと提携しているため、あなたのご希望に沿うメーカーが見つかります。お気軽にお問い合わせください。
パンチングプレートは、穴を開けた板状の金属材料のことです。 しかし、パンチングプレートが何かも知らない方や、知ってはいるものの、どのような穴の種類があって、どんな材質のものがあるのか分からない方も多いことでしょう。自社で使用するときの参考に、どんな用途があるのかを知りたい方もいるかも知れません。 そこでこの記事では、パンチングプレートの概要から多種多様な穴の種類や材質まで解説していきます。また、用途と加工事例も併せてご紹介しますので、パンチングプレートの選定や加工の参考にしてください。 パンチングプレートとは パンチングプレートとは、パンチングプレスによって穴を開けた板状の金属材料のことで、パンチングメタルとも言われます。 パンチングプレスは、パンチとダイという金型で材料を打ち抜くプレス機械です。打ち抜き加工は、主にNC制御(数値制御)によって行うため、規則的な位置に穴を開けることができます。また、金型を選定または製作することで様々な形状の穴を開けることが可能です。 参考:タレパン】タレットパンチプレスの仕組みや特徴について詳しくご紹介!! パンチングプレートの穴の種類 パンチングプレートの穴の形状は、下図の「丸穴」「角穴」「長丸穴」「長角穴」が代表的です。 引用元:阪倉金網株式会社 穴の形状にはこのほか、ダイヤ形や菱形、六角形の形状をしたものや、丸十穴などの丸穴と十字穴を交互に配列したものなどがあります。さらに近年では、プレス機械の複雑な制御がコンピュータでできるため、任意の形状の穴を開けることが可能です。 穴の形状について述べましたが、穴径や穴ピッチ、穴の配列パターンもパンチングプレートの穴の種類を決定する要素です。 穴径は丸穴の直径のことで、Φ5といった表記で直径5mmの丸穴が開いていることを表します。また、穴ピッチは、P10と表記して穴と穴の中心間隔が10mmであることを表します。 一方、穴の代表的な配列には、下図の「60度千鳥」「45度千鳥」「並列」の3種類が挙げられます。 引用元:松陽産業株式会社 「60度千鳥」といった名称は、図のように1段下の穴との角度と、互い違いであることを意味する工業用語「千鳥」から来ています。 穴の配列はこのほか、同形状の異なる穴径の丸穴を配置したり、異なる形状の穴を配置したりするなどの多様な配置があります。しかし、穴の形状と同じく、穴の配列もまた任意にデザインすることが可能となっています。 パンチングプレートにとって、上述した穴の形状、穴径、穴ピッチ、穴の配列によって決まる開口率も忘れていはいけません。開口率は、プレート面積における穴を開けた部分が占める割合をパーセントで表したものです。開口率が大きいほど、金属部分が少なくなるので、当然強度は弱くなってしまいます。 パンチングプレートの材質について パンチングプレートの材質は、鋼、ステンレス、アルミ、銅、真鍮、チタンなど多種にわたります。しかし、一般的には鋼やステンレス、アルミを材料とすることが多いようです。 パンチングプレートの主な材質…鋼、ステンレス、アルミ 鋼板では、冷延・熱延鋼板や高張力鋼板、表面に防サビ加工を施した亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニール樹脂をコーディングした塩ビ鋼板など、表面処理済みの鋼板も対象となっています。 また、ステンレスではSUS304やSUS430、アルミではA1050やA1100が多く使われています。 パンチングプレートの定尺について 金属材料の定尺とは、市場に流通している、つまり既製品として販売されている材料のサイズ・寸法のことです。注文品でないパンチングプレートの多くがこの定尺寸法で販売されています。 定尺は材質によって異なりますが、パンチングプレートでよく用いられる鋼、ステンレス、アルミについては、以下のサイズの定尺材を見つけることができるでしょう。 鋼 914 mm ✕ 1829 mm 1219 mm ✕ 2438 mm 1524 mm ✕ 2438 mm 1524 mm ✕ 3048 mm 1524 mm ✕ 6096 mm ステンレス 1000 mm ✕ 2000 mm 1219 mm ✕ 2438 mm アルミ 1000 mm ✕ 2000 mm 1250 mm ✕ 2500 mm なお、板厚については、メーカーや販売店によってばらつきがありますが、鋼だと0.5~6.0 mm、ステンレスだと0.3~3.0 mm、アルミだと0.5~3.0 mm厚さのパンチングプレートがよく販売されています。 パンチングプレートはどんなところに使われているか パンチングプレートは、単なるプレートにはない、より優れた以下のような特徴・機能を持つため、建築物から家電製品まで様々な用途があります。 パンチングプレートの特徴・機能 軽量 採光 通気/通風 通水 装飾/デザイン 濾過 滑り止め 建材としては、その軽量性や通気性から、壁材や天井材、間仕切などに使われています。また、通風性や採光性に加え、装飾やデザイン性を活かした形で、門扉やフェンス、エクステリアなどにも使用されています。 パンチングプレートは、穴を微細にすることで、フィルターのほか、電子機器や家電製品のメッシュカバーとしても使われています。通気や水切り、滑り止めの役割もできるため、側溝の蓋や床材などの用途もあります。 そのほか、パンチングプレートは、防音壁に用いられ、吸音材の効果を高めるとともに保護・支持材としての役割も果たしています。また、暖房器具では、熱を放射・拡散できる安全のための仕切り板として用いられています。 パンチングプレートの加工事例 下の写真は既製品として販売されているもので、材質はSUS304、厚さは0.6mm、丸穴でΦ6✕P9、配列は60度千鳥のパンチングプレートです。 引用元:モノタロウ 下の写真は、穴径の異なる丸穴を配列したパンチングプレートで、高いデザイン性を持つため、店舗什器用として用いられています。 引用元:三和打抜工業株式会社 次の写真のパンチングプレートは、高耐食性メッキ鋼板を加工してビルの軒天に使用したもので、耐久性・通気性・意匠性を同時に満足しています。 引用元:株式会社ウチヌキ 下の写真は、パンチングプレートを筒状に2次加工したもので、穴を微細にすることでオイルフィルターとしての機能を発揮させています。 引用元:パンチングワールド 下の写真は、公園やアミューズメント施設のゴミ箱を用途として製作されたものですが、このような装飾性の高い加工もパンチングプレスで可能となっています。 引用元:松陽産業株式会社 参考:【パンチングメタルメーカー10選】本当に凄い技術を紹介(玄人必見) まとめ 以上、パンチングプレートの概要や種類、材質や用途について解説しました。 パンチングプレートは、プレス機械によって穴を開けた板金のことです。その種類は、丸や角といった穴の形状と穴径、穴ピッチ、穴の配列によって千差万別です。 その素材には、鋼やステンレス、アルミを使用することが多いですが、チタンのパンチングプレートもあるように特に制限はありません。 幅広い用途があり、通気性や採光性などの穴に由来する性質を活かした建材や防音壁、フィルターや家電製品など、多様に用いられています。 パンチングプレートへの加工は、板が厚いほど、穴が微細になるほど難しくなります。しかし、Mitsuriなら加工事例でご紹介したような加工にも対応できます。 Mitsuriの協力工場は全国に350社以上あり、多数のパンチング加工の実績があるため、安心してご依頼ください。素材の選択のご相談に加えて、パンチング加工が得意な工場のご紹介も可能です。
軽い金属というと、皆さんはどんな金属を思い浮かべるでしょうか。 サッシに用いられているアルミニウム、ノートパソコンの筐体に使われているマグネシウムが真っ先に挙げられることでしょう。航空機の材料として広く知られているチタンも軽いイメージがあります。 軽いことが省エネにつながる現在、この3つの軽い金属の用途は広がり、需要が高まっています。 しかし、これまで軽い金属を扱ったことがない方の中には、 「製品に軽い金属を使いたいが、どの金属がいいかわからない・・・」 「軽いだけでなく、強度も高い金属について知りたい。」 といった疑問や要望をお持ちの方もいるでしょう。 そこで今回の記事では、軽い金属の代表であるアルミニウム・マグネシウム・チタンについて、金属加工でよく使われる特徴を解説していきます。 軽い金属3選とその特徴【金属加工でよく使われる】 3つの軽い金属として代表的なアルミニウム・マグネシウム・チタンは、硬度の違いから、アルミニウムとマグネシウムは軟質金属、チタンは硬質金属に分類されます。 この硬度という指標は、変形しにくさや傷に対する耐性を表します。しかし、アルミニウムは用途によって、マグネシウムはほとんどのケースで合金として用いるため、希望に沿った強度の合金を見つけることが可能です。 具体的にこの3金属を説明する前に、各金属の性能データとおおよそのコスト、切削性を下表に挙げます。ここで、比重・溶融温度・モース硬度は、純金属としてのデータを載せています。また、コスト・切削性は合金にもあてはまりますが、合金の種類によって違いがあるので注意してください。 アルミニウム 引用元:PROTOLABS アルミニウムは、軽量な金属ですが、柔らかいため、銅やマンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛などと合金にして使用することが多い金属です。 アルミニウム合金の種類は膨大ですが、プレスや鍛造、押出し成形用の展伸材と、鋳造用の鋳造材に分けられます。 アルミニウム合金は、加えられた元素の違いによってさらに分類され、展伸材では1000番系から8000番系に分類されています。 鋳造材も添加元素の違いにより分類されていますが、ここでは、金属加工の対象になりやすい展伸材に絞って紹介していきます。 1000番系(純アルミニウム) 1000番系は、99.0%以上のアルミニウム純度を持つ純アルミニウム系材料です。 純アルミニウムは、腐食に強く、毒性がないため、アルミ箔やアルミ缶、1円玉硬貨など、身の回りの物に多く使われています。導電性や熱伝導性にも優れるため、銅の代替材料として電線等にも活用されています。しかし、強度が低いため、構造材には適していません。 また、純アルミニウムは、アルマイトと呼ばれる処理を行うことで、その表面に陽極酸化皮膜という耐食性や耐摩耗性の高い酸化皮膜を形成することができます。これを利用し、航空機の被覆材としても用いられています。 加工性や溶接性にも優れており、鍛造や圧延、プレス成形、切削など様々な加工法に対応しています。ただし、強度の低さから、切削加工時の切り屑で傷付くことがあるので注意が必要です。 2000番系(Al-Cu系合金) 2000番系は、主として銅を多く添加した銅系アルミニウム合金です。 鋼材に匹敵する高い強度を示し、航空機用材料として知られるジェラルミンや超ジェラルミンも銅系に含まれます。しかし、腐食しやすい銅を含むため、耐食性は低下しています。 切削性は純アルミニウム系材料と変わらず高いですが、溶接性は低く、溶接割れが発生しやすくなっています。 3000番系(Al-Mn系合金) 3000番系は、主としてマンガンを多く加えたマンガン系アルミニウム合金です。 マンガン系は、耐食性を維持したまま強度を若干向上させた合金です。アルミ缶など、以前は純アルミニウムを使っていた製品の代わりに用いられています。 加工性は、純アルミニウムとほとんど変わりませんが、プレス加工によって成形することが多いようです。 4000番系(Al-Si系合金) 4000番系は、主としてケイ素(シリコン)を多く加えたケイ素系アルミニウム合金です。 ケイ素系は、シリコンの添加により耐熱性や耐摩耗性が改善。熱膨張率も小さいため、ピストンやシリンダーヘッド等に使用されています。 5000番系(Al-Mg系合金) 5000番系は、主としてマグネシウムを多く添加したマグネシウム系アルミニウム合金です。 マグネシウム系は、耐食性や加工性を維持したまま、強度や溶接性を向上させた合金です。マグネシウムの含有量が多いものには、強度が極めて高い合金もあり、車両や船舶の溶接構造材として用いられます。 強度・耐食性・加工性・溶接性のバランスに優れていることから、用途が広く、金属加工の対象としても主要な材料です。 6000番系(Al-Mg-Si系合金) 6000番系は、主としてマグネシウムとケイ素を多く添加したマグネシウム・ケイ素系アルミニウム合金です。 この合金系は、強度や耐食性が共に良好で、車両や船舶などの構造材に用いられています。 押出し加工性に優れているため、建築用サッシとしても使用されています。 7000番系(Al-Zn-Mg系合金) 7000番系は、主として亜鉛とマグネシウムを多く添加した亜鉛・マグネシウム系アルミニウム合金です。 アルミニウム合金の中で最も強度が高く、航空機に使われる超々ジュラルミンは7000番系に属します。 溶接性の高い種類の合金もあり、溶接構造材に用いられています。 8000番系(その他の合金) 8000番系は、以上で挙げた合金系に含まれない、その他の材料で構成されたアルミニウム合金です。 低密度かつ高剛性の材料として開発されたAl-Li(リチウム)系合金などがあります。 マグネシウム 引用元:セキダイ工業株式会社 マグネシウムは、実用化されている金属の中で最も軽量な金属です。そのほとんどは、アルミニウム、亜鉛、マンガンなどを加え、マグネシウム合金として使用されます。 具体的な用途としては、ステアリングホイール、ノートパソコン、スマートフォン、自動車や航空機の部品などが挙げられ、主に軽量化を目的として使用されています。 マグネシウムの特長 マグネシウムは、軽くて強いことの指標となる比強度(強度/密度)が、鉄やアルミニウムに比べて優れています。そのため、製品のマグネシウム使用量を増やすほど、軽くて強い製品になります。 また、振動吸収性に優れているため、運動性の高い部品の振動を吸収し、機械寿命を伸ばすことができます。 マグネシウムは、鉄やアルミニウムに比べ、ぶつかったときの凹みが小さいという特性も持っています。そのため、マグネシウムを使用しているノートパソコンやデジタルカメラは、衝撃に強い特性を持ちます。 優れた寸法安定性もマグネシウムの利点です。マグネシウムは、100℃以下ではほぼ変化せず、150℃を維持するために100時間加熱し続けても寸法の変化量はわずか6×10^-6mmです。 マグネシウムは、熱伝導性や放熱性、電磁シールド性にも優れています。また、再利用のコストも低く、再生に要するエネルギーは新規生産時の4~5%程度です。 マグネシウムの加工性 マグネシウムは、切削性に優れています。切削性の指標となる切削抵抗は、マグネシウムを1.0とすると、アルミニウムが1.8、鉄は6.3となります。 しかし、成形は温間で行う必要があります。マグネシウムは、室温での塑性加工が難しく、延性が増加する300℃程度にならないと圧延や押出しによる成形は困難です。ただし、熱間の加工性はアルミニウムにも劣りません。 マグネシウムの欠点 マグネシウムの欠点として、発火しやすいというリスクがあります。切削加工しやすいマグネシウムですが、その削り屑は発火しやすく、着火したマグネシウムに水が触れると激しく燃焼します。 耐食性にも難があります。マグネシウムは、塩素イオンが生じる環境、酸や異種金属と接触している状態では、電蝕作用により腐食することがあります。ただし、絶縁処理や表面処理を行うことで、これらの腐食は防止することができます。 マグネシウム合金 マグネシウム合金もアルミニウム合金と同様、鋳造用と展伸用に分類されます。 展伸用の合金には、亜鉛とアルミニウムを添加したMg-AI-Zn系と、亜鉛とジルコニアを添加したMg-Zn-Zr系が主に用いられています。 これらの元素は、目的の材料特性を得るために添加されており、アルミニウムと亜鉛は強度の改良、ジルコニウムは結晶微細化による熱間加工性の向上を図って添加されています。 チタン 引用元:セキダイ工業株式会社 チタンは、軽量で高強度、耐食性や耐熱性にも優れ、人体親和性(アレルギーを起こしにくい)も高い金属材料として、理想の特性を持っています。 チタンの特長 まず、比重は、アルミニウムやマグネシウムの約2倍と大きいですが、鉄や銅と比べると半分と小さいです。 次に強度ですが、引張強度は、鉄の1.2倍、アルミニウム・マグネシウム・銅との比較では約2倍にも達します。比強度は、マグネシウムと比べると小さいですが、アルミニウム・鉄・銅と比べると高く、鉄の2倍程度です。 また、金属表面に生成される酸化チタンは、極めてサビにくく、海水中では白金と同等の耐食性を示します。耐熱性にも優れており、溶融温度は鉄よりも高い1668℃です。 さらに、酸化チタンの高い安定性から、金属アレルギーを引き起こしにくく、人体中の骨とも拒否反応を起こすことなく結合することができます。 チタンは、純チタンであっても上記のような優れた特性を持ちます。そのため、アクセサリーやスポーツ用品、体内に使う医療器具などの多くの民生品、熱交換器などの工業製品で用いられています。 チタンの加工性 チタンは、強度が高いことのほか、熱伝導率が低いことなども影響し、加工が極めて困難な金属となっています。 切削加工において、チタンは引張強度が高いため、工具は欠けやすく磨耗しやすくなってしまいます。また、熱が伝わりにくいため、加工熱が工具と被削物に移りやすく、工具が磨耗してしまいます。ヤング率も小さい(つまりたわみやすい)ため、加工精度の低下や被削物にヒビが生じることも多く、加工をより困難にしています。被膜されていないチタン内部は、化学的に活性なため、工具と焼き付きやすいという点もあります。 以上のほか、耐摩耗性が低い、切り屑が発火するといった問題もあります。 プレス成形でも、チタンの硬度の高さから加工がとても難しくなっています。 溶接についても、チタンが化学的に活性であることから困難です。溶接時には被膜されていないチタンが露出するため、大気と反応して硬化・脆化が発生し、延性の低下や割れの原因となります。これを防止する手段としては、チタンの周囲をアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスで他金属の溶接時以上にしっかりシールドする必要があります。 チタンの欠点 チタンの欠点は、上述で説明した通り加工が難しいこと、そして高価であることです。 チタンの加工性の低さについては説明しましたが、合金になるとさらに加工が難しくなります。 また、チタンは地球上に豊富に存在する金属ですが、精錬するのに莫大なエネルギーを必要とするため高価になっています。 チタン合金 チタンの合金はおおよそ、α型とβ型、α型とβ型の中間の性質を持つα-β型、白金族元素を添加して耐食性を増した耐食合金の4種類に分けられます。 α型は、高温での強度や溶接性、剛性に優れており、航空機のエンジンやガスタービンなど、高温での強度が求められる部材に用いられます。 β型は、成形性や加工性、強度に優れており、自転車のギアやゴルフクラブのヘッドなど、スポーツレジャー用品や民生品に使われています。 α-β型は、α型とβ型の両方の性質を受け継いだ合金です。また、α型とβ型から成る組織の割合を調整することで、α型またはβ型の特性に寄せたα-β型合金を作ることができます。 一方、耐食合金は、純チタン以上の耐食性を持ちますが、そのほかの性質はほぼ純チタンと同等です。そのため、化学装置や石油精製装置などの腐食しやすい部材に使われています。 まとめ 以上、軽い金属の代表であるアルミニウム・マグネシウム・チタンについてご紹介しました。 アルミニウムは、軽量で腐食に強く、加工しやすい金属ですが、比強度が弱いという欠点があります。しかし、合金とすることで強度を向上させることができるため、広く利用されています。 マグネシウムは、実用金属の中で最軽量の金属で、比強度に非常に優れています。加工性も高いですが、切削屑が発火するといったリスクがあるため、その加工にはノウハウを必要とします。 チタンは、軽量かつ高強度、耐食性や耐熱性にも優れるという理想の金属材料です。しかし、その加工は極めて難しく、切削、プレス成形、溶接といったそれぞれの加工で高い技術を必要とする上、材料が高価である点を考慮しなければなりません。 今後、ますます有望なこれらの軽い金属ですが、使いたい金属が決まったという方も決まらないという方も、ぜひMitsuriにご相談ください。 ノウハウが必要なマグネシウム合金も、高度な技術が必要なチタン合金も、Mitsuriではこれらの加工を専門にしている工場の一括見積もりを取ることができます。 Mitsuriの協力工場は全国に140社以上あり、多数のマグネシウム加工・チタン加工の実績があるため、安心してご依頼ください。 素材の選択のご相談に加えて、マグネシウム加工やチタン加工が得意な工場のご紹介も可能です。 軽量金属の加工でお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい!
板のような形をしたばねを「板バネ」といいます。主に「曲げ変形の特性」を活かしたい場所に用いられます。この記事では、板ばねの①種類②用途③材質④加工方法⑤計算方法に関する実用的な知識を解説しています。 板ばねの種類 板ばねには様々な形状のものがあり、 ①重ね板ばね ②薄板ばね ③皿ばね ④渦巻きばね の4つに分類できます。 ※皿ばねと渦巻きばねは、板ばねに含めない場合もあります。 (1)重ね板ばね 引用元:flexdream 重ね板ばねは、長さの異なる板状のばねを複数枚重ね合わせて作ります。複数枚を重ねることで、使用時の応力が分散して耐久力が高まります。 代表的な用途としては、トラックや貨車のサスペンションです。板材同士が接触、摩擦することで振動が減衰していきます。現場では、リーフばね(リーフスプリング)とも呼ばれます。 (2)薄板ばね 引用元: 國光スプリング工業株式会社 薄板ばねは、薄い板形状をしたばねです。最も多用される板ばねで、「板ばね」と言った場合は「薄板ばね」を指しています。文具、VTRテーブのガタ防止、ばね座金、電池ケースの電極・スイッチ、AC100Vスイッチ部品、抜け止め金具など様々な用途に使われます。 ③皿ばね 引用元:Direct INDUSTRY 皿ばねは、円すい状の板ばねの中心をくり抜いた形状をしています。コイルばねを設置できないような狭い場所でも使用可能で、大きな荷重に耐えられます。 ねじの緩み止めの座金、小型モータの軸受予圧用、ワッシャー、軸受回りのガタ防止などに用いられます。 ④渦巻きばね 引用元:宏栄スプリング工業株式会社 渦巻きばねは、板状や帯状の素材を渦巻きのような形に巻いたばねです。ばねの端を引っ張ると、元の形状に戻ろうとする力が働きます。英語ではスパイラルスプリング(Spiral Spring)といい、日本の開発現場では「ぜんまいばね」と呼ばれることが多いです。ぜんまい式のおもちゃ、機械式時計のぜんまいに用いられます。 板ばねの用途 板ばねの使用用途は大きく「緩衝用」「復帰用」「締結用」に分けられます。 (1)緩衝用 板ばねは衝撃を吸収してやわらげる「緩衝用」として用いられる場合があります。貨物自動車、トラック、バスなどの車のサスペンションに使われます。ひと昔前に流行ったオフロード車にも板ばねの技術が生かされています。スキー板は、板ばねそのものです。 (2)復帰用 板ばねは、復元力を動力とする「動力発生用」、位置の「復帰用」としても用いられます。具体例として、アーチェリーの弓、水泳の飛び込み台、オルゴール、ステープラーの針を押し出す薄板などが挙げられます。 (3)締結用 板ばねは、物をはさみ締めつける「締結用」としても用いられます。具体例として、ピンセット、トング、シャープペンシルのクリップがあります。 板ばねの材質 弾性を持った材料はすべてばねとなり得ます。材質で分類すると、①金属②非金属の2種類です。 金属を材質とする金属ばね(炭素鋼、ステンレス、ニッケル合金、チタン合金) 金属ばねは広く使われており、コストが安い、大きな荷重に耐えられる、たわみ量を大きく確保できるといったメリットがあります。板ばねに多用される金属は、①炭素鋼②ステンレス鋼③ニッケル合金④チタン合金の4種類です。 炭素鋼 炭素鋼は、ばね鋼材として多用されます。炭素が主な添加元素で、他成分の含有量によってさらに詳細に分類されます。炭素以外の成分を付加することで、鋼の性能をグレードアップしたものは「合金鋼」と呼ばれます。 ステンレス鋼 ステンレス鋼は、熱やサビに強いという特性があります。非鉄金属では、電気伝導性に優れる銅合金がコネクタ、電気機器などに使用されます。ただし他の鋼材と比べると割高です。 ニッケル合金 ニッケル合金は、耐食性・耐熱性・耐寒性に優れた特性を有し、400℃以上の高温で使用されます。 チタン合金 チタン合金は、鋼と比較して弾性率と比重が小さいので、ばねを軽くしたい場面で利用されます。ただし、コストが高いのが難点です。 非金属材のばね(天然ゴム、プラスチック、セラミック) 金属で実現不可能な特性を出したい場合は、非金属材を使います。板ばねに用いられる代表的な非金属材料には、①天然ゴム②プラスチック③セラミックの3つがあります。 天然ゴム 天然ゴムには、汎用性が高い、ばね定数を自由に調整できる、内部摩擦で変形の際に減衰力が発生するというメリットがあります。反対に、ゴムばねの挙動を明確に計算できない点がデメリットです。 プラスチック プラスチックは、金属と比べて「軽い」「錆びない」「加工が容易」な点がメリットです。ただし、強度が低いことが難点です。強度の低さを克服するために、繊維強化プラスチック(FRP)・ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)・炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などがあります。 セラミック セラミックは脆性材料なので「壊れやすい」「強度にばらつきがある」といった特徴があり、以前はあまり使用されませんでした。現在は技術が進歩したことで、耐熱性を活かした700~1,000℃の高温下で使用されるようになりました。 板ばねの加工方法 板バネの加工 量による分類 温度による分類 少量生産 熱間成形 大量生産 冷間成形 少量生産の場合は、型を必要としない加工機で、ほぼ手作りで製造します。レーザー切断機やタレットパンチ(タレパン)で材料を切断し、穴開け加工を施します。曲げ加工は、プレスブレーキという機械を使用します。近年はレーザー切断機やタレットパンチは、コンピュータで制御されます。多量生産を行う際は、型を用いた加工機(プレス機)を用いて製造します。代表的なプレス機は、単発型・順送型・トランスファー型の3種類です。 板ばねは、それぞれの材質・形状に適した加工方法が存在します。加工方法はおおまかに、熱間成形・冷間成形の2種類に分類されます。一般的には、大型のばねや特殊な加工には熱間成形を、小型のばねには冷間成形を行います。 (1)熱間成形 主に900~1,200℃という高温下で加工する方法で、金属の再結晶温度以上の高温となり、加工がしやすいのが特徴です。加工後すぐに急冷します(焼入れ)。焼入れ工程を経て硬い鋼ができます。ただし、このままだと脆くて不安定な状態なので、所定の温度に再度加熱します(焼戻し)。焼戻し処理を行うことで、ばねとしての特性が現れます。 精度の高い加工の困難さが難点として挙げられます。とりわけ薄板の加工難易度は一気に上がってしまいます。 (2)冷間成形 主に720℃以下で加工する方法で、鋼の持つ金属組織が緻密になる特性を持ちます。金属に必要以上の熱をかけないため、高精度の加工ができます。金属の加工硬化が促進し、材料自体が硬化します。 ただし、大きな力で加工しなければならないことや、加工が過度になると内部ひずみを生じ「残留応力の蓄積」「粘り強さの減少」が起こることが難点です。残留応力を解消するにあたり、低温焼きなましを行います。 板ばねの計算例 板ばねの計算は、材料力学で用いられている公式が使えます。荷重が加わった際の、ばねに生じる最大応力とその位置・そこから求められるたわみやひずみに関しては、形状や材質から決まる各種の定数が関与しています。以下に押さえておくべき用語を紹介します。 応力 応力 = 力 / 断面積 ばねに外力(荷重)を加えると、材料の内部には外力に抵抗する力が発生します。材料に生じる応力が大きくなりすぎると、材料は破損します。応力とは、材料に発生する単位面積当たりの抵抗する力です。応力の種類には「引張り応力」「曲げ応力」「ねじり応力」の3種類があります。1つの応力だけが生じるのは稀で、複数の応力が同時に生じます。 ひずみ ばねに荷重を加えると変形します。変形前の形に対する変形の割合が「ひずみ」です。ひずみには2種類あり、荷重方向のひずみを「縦ひずみ」、直角方向のひずみを「横ひずみ」といいます。 ばねのような弾性のある物体では、「荷重と伸び(応力とひずみ)は比例関係」にあります。ばねを選ぶ際にはこの応力とひずみの関係をしっかり計算して確認する必要があります。 ばね定数 F = k × x ばねに荷重を加えると変形します。加えた力をF、変形量をxとし、上の関係を満たすkを「ばね定数」といいます。ばね定数が大きいほど硬いばねです。 金属加工でお困りの方は、Mitsuriまでお問い合わせください。日本全国250社以上の提携工場があり、ご要望に沿った工場が見つかります。お見積りは複数社から可能です。 下の赤いボタンをクリックして、お気軽にお問い合わせください!