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【金属加工 Mitsuri】見積から発注までWEB完結!
今回は黒皮の特徴や除去方法などについて解説します。 黒皮とは、別名「ミルスケール」とも呼ばれるもので、熱間圧延加工で作られた鉄鋼材料の酸化皮膜を指します。黒皮が付いた鉄鋼材料は黒皮材と呼ばれています。 黒皮材は表面が粗く、塗装の密着性が乏しいことから、一般的に黒皮を除去する必要があります。 黒皮(ミルスケール)とは 引用元:横山テクノ 鉄 黒皮 丸棒材 丸鋼材(SS400・S45C) 寸法 切り売り 小口販売加工 黒皮(ミルスケール)とは、熱間圧延加工で作られた鉄鋼材料の酸化皮膜のことを指します。上図を見ても分かるように、鉄鋼材料が黒色の皮で覆われたような外観が特徴です。また、切削加工のされていない鉄鋼材料の表面を総じて黒皮と呼ぶこともあります。黒皮で表面が覆われた鋼材のことを「黒皮材」と呼びます。 熱間圧延とは、金属が加工による硬化を生じない再結晶温度以上の温度で圧延が行われることです。熱間圧延は、圧延中に高温の素材表面が大気中の酸素と結合し、黒皮を形成します。 参考:【圧延】とは?工法、種類、製品例、圧延の発展の歴史についてご紹介! 黒皮の特徴と用途 黒皮材は、表面にピンホールや凹凸があるほか、表面の精度が低く、寸法精度を要する用途や外観性を重要視する用途に不向きです。一方で、黒皮材は熱間圧延したままの鉄鋼材料のため、価格が安く手に入る特徴があります。 S45CやSS400のようなポピュラーな材料は、黒皮材とミガキ材が流通していますが、I形鋼やH形鋼などの建材用途のものは、黒皮材しか流通していません。 酸化皮膜は、金属表面と空気の接触を防ぐ保護膜として機能するものですが、黒皮材の場合は鋼材と黒皮の密着強度に乏しく、表面にはピンホールや凹凸があることから、防錆目的で黒皮材が選ばれることはほとんどありません。また、塗装を施す場合も、黒皮がある状態では密着性に乏しいことから下地には不向きです。 そのため、黒皮材を用いる際は、黒皮を除去してから塗装して使われるのが一般的です。 黒皮の除去方法 黒皮は、酸洗いにて化学的に除去するか、ショットブラストのように物理的に除去するかの方法があります。 酸洗いとは、塩酸などの酸溶液を使って金属表面のスケールや酸化被膜を除去する手法で、主に表面処理の下処理として多く採用されています。 引用元:株式会社ニホンケミカル ショットブラストの教科書 ミルスケール(黒皮)とは?特徴や除去方法について解説 ショットブラストとは、ワークの表面に細かい砂や玉を衝突させて、表面を粗くしたり表面をバリや錆びを除去する手法のことです。ショットブラストは酸化皮膜を除去したのちに、ワークの表面に凹凸を設けるため、塗装の密着性がよくなります。 黒皮材とミガキ材 ミガキ材とは、冷間圧延加工にて作られた鉄鋼材料のことを指します。冷間圧延は熱間圧延と違い、常温で材料を圧延する方式です。ミガキ材は黒皮材と特徴が異なり、鉄鋼材料の表面は凹凸が少なく、表面がキレイな特徴があります。ただし、冷間圧延加工時に発生する残留応力の影響を考慮しなければならない点には注意が必要です。 S45CやSS400などのポピュラーな鉄鋼材料は、熱間圧延された材料である黒皮材、もしくは冷間圧延された材料であるミガキ材から選びます。 ミガキ材はコストが黒皮材に比べて高いものの、黒皮材を使えるようになるまでの加工のコストを考慮すると、ミガキ材のほうが必ずしも割高になるというわけではありません。そのため、ミガキ材と黒皮材のどちらを選択するかは、加工コストや加工時間、用途などを含めて検討する必要があります。 参考:ミガキ材とは?黒皮との違いやメリット・デメリット 参考:SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品による使い分け
今回はミガキ材のメリット・デメリットや、黒皮材との違いについて解説します。 ミガキ材とは、冷間圧延加工にて作られた鋼材のことを指します。 鋼材は代表的なものに、S45CやSS400がありますが、これらの材料を選定する際は、ミガキ材か黒皮材かを指定しなければなりません。ミガキ材と黒皮材では特徴が異なるため、もし予定と違ったものを入手してしまった場合は、作業工程に影響を及ぼしてしまいます。 この記事を参考にして、ミガキ材と黒皮材の違いを把握し、正しく選定できるようになりましょう。 参考:黒皮(ミルスケール)とは?特徴用途、除去方法など基礎知識を紹介 ミガキ材とは 引用元:イワサ株式会社 取扱商品 磨棒鋼材(ミガキシャフト) ミガキ材とは、冷間圧延加工されて作られた、S45CやSS400などの鋼材のことを指します。ミガキ材の名前の通り、表面は磨かれたかのようなキレイな表面をしていて滑らかです。 冷間圧延加工とは、2本のロールを使って材料を挟み、圧力をかけて材料を塑性加工させる「圧延」を、室温の状態で行うことを指します。「冷」という文字があるものの、冷やして加工はせずに常温のままで加工を行います。冷間圧延での加工は、酸化膜が生じないことから、ミガキ材のキレイな表面が得られるようになります。 圧延加工は、冷間圧延以外に、熱間圧延があります。熱間圧延は材料を高温で軟化させてから圧延する方式で、小さい力でも圧延が可能です。熱間圧延により加工された鋼材は、黒色の酸化膜を生じることから「黒皮材」と呼びます。熱間圧延は、加工性に優れているほか、高温の材料をロールにより加工することで、金属の結晶が強固になり、粘り強い金属が得られます。ただし高温で加工するため、鋼材の表面が空気中の酸素と結合して酸化膜を生じます。 参考:SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品による使い分け 参考:【圧延】とは?工法、種類、製品例、圧延の発展の歴史についてご紹介! ミガキ材のメリットとデメリット ミガキ材のメリットは、表面が滑らかでキレイな点にあります。精度もある程度高く、寸法精度を出したい場合に適しています。 一方でミガキ材のデメリットは、冷間圧延により加工されたもののため、金属に力を加えて起こる加工硬化や、材料の内部に力が残っている残留応力の影響などを考慮しなければならない点です。 また、ミガキ材のコストは、黒皮材に比べて高い傾向にありますが、黒皮材の使用するまでに行う加工のコストを考慮すると、ミガキ材のほうが必ずしも割高になるというわけではありません。そのため、ミガキ材と黒皮材のどちらを選択するかは、加工コストや加工時間、用途などを含めて検討する必要があります。 ミガキ材の規格とサイズ寸法 ミガキ材は、【JIS G 3123:2004 みがき棒鋼】の規格があります。 JIS G 3123で規定されている、標準寸法は以下の表の通りです。 ●標準寸法(丸・六角・角)(単位mm) 形状 径・対辺距離 丸 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 22 23 24 25 26 28 30 32 35 36 38 40 42 45 48 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 六角 5.5 6 7 8 9 10 11 13 14 17 19 20 22 24 26 27 30 32 36 41 46 50 55 60 65 70 75 80 角 5 6 7 8 9 10 12 14 16 17 19 20 22 25 28 30 32 35 38 40 45 50 55 60 65 70 75 80 引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼 ●標準寸法(平)(単位mm) 厚さ 幅 3 9 12 16 19 22 25 32 38 50 4 9 12 16 19 22 25 32 38 50 4.5 9 12 16 19 22 25 32 38 50 5 9 12 16 19 22 25 32 38 50 6 9 12 16 19 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150 9 12 16 19 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150 12 19 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150 16 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150 19 25 32 38 50 65 75 100 125 150 22 32 38 50 65 75 100 125 150 25 32 38 50 65 75 100 125 150 引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼 JIS G 3123:2004規定のみがき棒鋼の寸法許容差は、JIS B 0401-2の表22に基づき、軸hに対する公差等級を適用し、その値は以下表によります。 ●寸法許容差(単位 mm) 径 対辺距離 厚さ及び幅 軸hに対する公差等級 IT6 IT7 IT8 IT9 IT10 IT11 IT12 IT13 3以下 0 -0.006 0 -0.010 0 -0.014 0 -0.025 0 -0.040 0 -0.060 0 -0.10 0 -0.14 3を超え 6以下 0 -0.008 0 -0.012 0 -0.018 0 -0.030 0 -0.048 0 -0.090 0 -0.15 0 -0.22 6を超え 10以下 - 0 -0.015 0 -0.022 0 -0.036 0 -0.058 0 -0.090 0 -0.15 0 -0.22 10を超え 18以下 - 0 -0.021 0 -0.033 0 -0.052 0 -0.084 0 -0.13 0 -0.21 0 -0.33 18を超え 30以下 - 0 -0.021 0 -0.033 0 -0.052 0 -0.084 0 -0.13 0 -0.25 0 -0.33 30を超え 50以下 - 0 -0.025 0 -0.039 0 -0.074 0 -0.12 0 -0.19 0 -0.30 0 -0.46 50を超え 80以下 - 0 -0.030 0 -0.046 0 -0.074 0 -0.12 0 -0.19 0 -0.30 0 -0.46 80を超え 120以下 - 0 -0.035 0 -0.054 0 -0.087 0 -0.14 0 -0.22 0 -0.35 0 -0.54 120を超え 180以下 - - - - - - 0 -0.40 0 -0.63 備考1.偏径差又は偏差は、許容差の30%以下とする。 2.注文者の指定によって、軸h以外(例えば、軸g、jなど)の寸法許容差を採用してもよい。その場合の寸法許容差の数値は、JIS B 0401-2の表17から表32による。 引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼 JIS G 3123:2004規定のみがき棒鋼の、形状及び加工方法別に適用する公差等級は以下表によります。 ●形状及び加工方法別公差等級 形状及び 加工方法 丸 角 六角 平 研削 引抜き 切削 適用する 公差等級 IT6・IT7 IT8・IT9 IT8・IT9 IT10 IT11・IT12 IT13 IT10 IT11 IT11 IT12 IT12 IT13 備考.受渡当事者間の協定によって、上表以外の等級を用いてもよい。 引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼 ミガキ材と黒皮材との違い 引用元:株式会社三和鍍金 【言われてみれば】鋼材の黒皮ってなに? 黒皮材は、熱間圧延にて作られた鋼材のことで、表面が酸化皮膜で覆われています。ミガキ材と違って黒皮材の表面は、ミルスケールとも呼ばれる黒皮で覆われており、凹凸があり、精度に乏しい特徴があります。黒皮を除去するには、酸洗いで黒皮を溶かすか、研磨で物理的に除去します。 ミガキ材と黒皮材の違いについては、以下の表でまとめたので参考にしてください。 ミガキ材 黒皮材 ・冷間圧延加工された鋼材 ・表面がキレイで凹凸が少ない ・精度の高い加工に適している ・熱間圧延加工された鋼材 ・表面は凹凸があり、酸化被膜の黒皮で覆われている ・精度の高い加工には不向き
今回は、SGCCの特徴や板厚、各種性質、SECCやSGHCとの違いなどについて解説します。 SGCCは、溶融亜鉛めっき鋼板のことで、トタン板とも呼ばれる材料です。溶融亜鉛めっきを施していることで優れた耐食性を有しており、主に屋根板などの雨風にさらされるようなものに採用されています。 参考:亜鉛メッキ鋼板について専門家が解説!特徴や用途についてご紹介! SGCC(溶融亜鉛めっき鋼板)とは? SGCCは、冷延原板から製造された溶融亜鉛めっき鋼板です。 【JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯】に規定されている11種類の冷延原板の溶融亜鉛めっき鋼板のなかで唯一、一般用の用途として適用されている鋼板です。 SGCCの特徴と用途 SGCCは、溶融亜鉛めっきを施した鋼板のため、膜厚があり、耐食性に優れています。 SGCCは、その耐食性の高さから、雨風にさらされる雨どい、看板、屋根板、自動車、金属筺体製品などの用途で採用されています。 SGCCの板厚と寸法、サイズ SGCCの板・コイル・波板の適用する表示厚さ(めっき前の原板厚さ)は、【JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯】より、0.19mm以上3.2mm以下の値になります。 SECCやSPCC、SGHCとの違い SGCCは溶かした亜鉛のなかに鋼板を浸してめっきするのに対し、SECCは電気を用いて亜鉛めっきを施しています。SECCは、めっき層が薄くて均一なため、外観が比較的美しく、塗装がしやすい特徴があります。一方でSGCCは、めっき層が厚く、耐食性に優れているため、塗装せずに使用されることが多い材料です。SECCとSGCCは、どちらもSPCC(冷間圧延鋼板)を母材としており、材料特性は同等の値になります。SPCCは一般的な鋼板ですが、そのままでは錆びてしまうので、めっきや塗装処理を必要とします。 SGHCは、SGCCと同じ溶融亜鉛めっき鋼板かつ、JIS G 3302にて一般用に扱われているものになりますが、SGCCと違い熱延原板から作られています。また、SGHCの適用する表示厚さは、1.6mm以上6.0mm以下と、SGCCよりも厚みがあります。 参考:電気亜鉛めっきとは【3分でわかる】専門家がわかりやすく解説します! 参考:ボンデ鋼板(SECC)とは?特殊加工による錆止め効果!メリット・用途を解説! SGCCの性質 ここでは【JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯】に規定されている、各種性質について紹介します。 化学的性質 ●SGCCの化学的性質(単位:%) 種類の記号 C Mn P S SGCC 0.15以下 0.80以下 0.05以下 0.05以下 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 物理的性質 SGCCの物理的性質については、JIS G 3302:2019より規定がありません。 機械的性質 ●SGCCの機械的性質 種類の記号 曲げ性(a) 引張試験特性(b) SGCC 〇(c) - (a):非合金化めっきに適用し、合金化めっきには適用しない。 (b):表示厚さ0.25mm未満については、引張試験特性を適用しない。 (c):波板に使用する場合、曲げ性は適用しない。 非合金化めっきの板、コイル及び波板の曲げ性は、JIS G 3302の曲げ試験を行い、試験片の外側表面(試験片の幅の両端からそれぞれ7mm以上内側の部分)に、肉眼で認められる素地のき裂及び破断を生じてはならない。 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 ●SGCCの引張試験特性 種類の 記号 降伏点 又は耐力 N/mm2 引張強さ N/mm2 伸び % 試験片と方向 表示厚さ mm 0.25以上 0.40未満 0.40以上 0.60未満 0.60以上 1.0未満 1.0以上 1.6未満 1.6以上 2.5未満 2.5以上 SGCC - ※SGCCでは、降伏点又は耐力として205N/mm2以上、引張強さとして270N/mm2以上が使われることがある。 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 材質と成分 ●化学成分(単位:%) 種類の記号 C Mn P S SGCC 0.15以下 0.80以下 0.05以下 0.05以下 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 ●めっき浴成分(単位:%) Zn以外の元素 Zn 1.0以下 (a) 残部(b) (a):意図的に添加した元素の合計。 (b):不可避的に混入した元素を含むことがある。 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 「SGCCを使用した金属部品の調達に困っている」 「SGCCが本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
今回はSGPの基礎知識について解説します。 SGPは、配管用炭素鋼鋼管のことで、水やガスなどの配管に使われています。市場に多く出回っているもので、ホームセンターでも入手が可能です。 一口にSGPと言っても、めっきの有無で種類や用途も異なります。この記事ではSGPの各種類の特徴や、SGPの接続方法について見てみましょう。 SGPとは? SGPとは、「配管用炭素鋼鋼管(Carbon steel pipes for ordinary piping)」と呼ばれる鋼管のことです。SGPの名前は「Steel Gas Pipe」の略称を表しています。 SGPは、製管方法が電気抵抗溶接の場合「E」、鍛接の場合は「B」の記号が付きます。 仕上げ方法によっても、熱間仕上げの場合は「H」、冷間仕上げの場合は「C」、電気抵抗溶接の場合は「G」の記号が付きます。(例:熱間仕上電気抵抗溶接鋼管の場合、SPG-E-Hの表記) 配管用炭素鋼鋼管の主な用途は、JIS G 3452にて、「使用圧力の比較的低い蒸気、水(上水道用を除く)、油、ガス、空気などの配管に用いる」ものとして記載があります。 SGPに適用される寸法は、外径10.5~508.0mmです。 SGP管の種類 引用元:日本水道鋼管協会 管の種類と用途 SGPは白管と黒管の2種類があります。ここでは白と黒の違いについて見てみましょう。 黒管 黒管のSGPは、表面処理がなく、外観が黒く見えるタイプです。主な用途は、蒸気配管・油配管・エアー配管などです。 白管 白管のSGPは、耐食性を高めるために亜鉛めっきが施されており、パイプの外側と内側ともに白色になっています。主な用途は、工業用水配管・空調設備配管・衛生設備配管・消火用配管などです。 白管に似たものとして、水配管用のパイプである「SGPW(水配管用亜鉛めっき鋼管)」もあります。SGPWは、見た目こそSGPの白管と同じパイプになりますが、亜鉛めっきの付着量が平均600g/m2以上と、JIS G 3442で規定されています。 一方でSGPの白管は、亜鉛めっきの付着量に規定がありません。 SGPの接続方法 ここでは、SGPの代表的な接続方法である、ねじ接合と溶接接合の方法について紹介します。 ねじ接合 引用元:モノタロウ 建築設備配管工事の基礎講座 3-1 炭素鋼鋼管(SGP)の切削ねじ接合方法 ねじ接合は、ねじ継手を使ったSGPの一般的な接続方法です。上図のようなねじ切り機によりパイプの両端をねじ加工し、ねじ継手を用いて接続します。 ただし、ねじ接続は加工と施工上の都合により、小口径管(65A程度まで)の配管で利用されています。 溶接接合 SGPは、溶接にて接合する場合もあります。 溶接接合は、口径の大きな管(65A~350A程度)や、強度が必要な場合、水密性・気密性などを要する場合に採用されます。溶接接合の方法にも種類があり、建築設備の施工ではガス溶接と被覆アーク溶接が一般的に利用されています。 SGPの性質 SGPの機械的性質と、化学的性質については以下の通りです。 機械的性質 ●SGPの引張強さ及び伸び 種類の記号 引張強さ 伸び % 引張試験片 引張試験方向 厚さ 3mmを超え 4mm以下 4mmを超え 5mm以下 5mmを超え 6mm以下 6mmを超え 7mm以下 7mmを超え 8mm未満 SGP 290以上 11号試験片 管軸方向 30以上 30以上 30以上 30以上 30以上 12号試験片 管軸方向 24以上 26以上 27以上 28以上 30以上 5号試験片 管軸直角方向 19以上 20以上 22以上 24以上 25以上 ※呼び径32A以下の管については、この表の伸びの規定は通用しないが、試験の結果を記録しておかなければならない。ただし、受渡当事者間の協定によって、伸びを規定してもよい。 引用元:JIS G 3452:2019 配管用炭素鋼鋼管 化学的性質 ●SGPの化学成分(単位:%) 種類の記号 P S SGP 0.040以下 0.040以下 ※必要に応じて上表に規定のない合金元素を添加してもよい。 引用元:JIS G 3452:2019 配管用炭素鋼鋼管 「SGPを使用した金属部品の調達に困っている」 「SGPが本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
リップ溝形鋼とは、Cチャンネルとも呼ばれる、断面がC字型の薄肉の鋼材のことです。軽量かつ高強度で、曲がりにくく、たわみにくいため、建築分野の様々な用途で使用されています。 主に鉄骨造の建物の補強材として用いられますが、高層ビル・橋梁などの構造材や基礎杭に用いられるH形鋼と比べると低強度です。しかし、背中合わせに組み合わせることで、強度の向上が図れることから、軽量鉄骨造の建物の柱や梁などに用いられることがあります。 この記事では、リップ溝形鋼とは何かというところから、リップ溝形鋼の規格や寸法、断面性能、強度、成分などについて解説していきます。 リップ溝形鋼とは 引用元:製品案内「軽量形鋼」中山三星建材株式会社 リップ溝形鋼とは、上図のような、C字型の断面形状を持つ薄肉の鋼材のことです。その形状から、「Cチャンネル」とも呼ばれます。軽量である割に強度が高く、加工性や施工性に優れていることから、重量鉄骨造の補足材や軽量鉄骨造の構造体などに用いられています。ただし、薄肉のために溶接が難しく、ボルトで接合することが多くなっています。 リップ溝形鋼は、H字型やL字型、C字型などの様々な断面形状を持つ「形鋼(かたこう)」と呼ばれる鋼材の一種です。その形鋼の中でも、肉厚が薄い「一般構造用軽量形鋼」に分類されます。その軽量形鋼の中には、軽溝形鋼や軽山形鋼、ハット形鋼などがありますが、リップ溝形鋼は、軽溝形鋼に断面が唇形状となるような、「リップ」と呼ばれる部位が付いた断面形状となっています(下図参照)。ちなみに、リップは補強材として役割があり、リップ溝形鋼は、同一の高さや幅、板厚の軽溝形鋼に比べて、断面性能が高くなっています。 リップ溝形鋼の具体的な用途としては、以下が挙げられます。 ●建築・建設…工場・倉庫・学校・体育館・病院などの重量鉄骨造である建築物の下地材(胴縁や母屋など)。事務所・住宅・プレハブ住宅・店舗・車庫などの軽量鉄骨造である建築物の構造材や下地材。 ●農業関係…ビニールハウス・鶏舎などの骨組み材。 ●その他…ラック・棚・仮設材・エアコン架台・パレットなどの各種材料。 また、リップ溝形鋼の多くは表面処理が施されていて、赤い錆止め塗料が塗布されているものや溶融亜鉛メッキされて白いものが流通しています。酸化皮膜に覆われた黒皮品など、表面処理されていないものもありますが、その場合は、錆止めのための塗装仕上げなどが必要です。 参考:亜鉛メッキ鋼板について専門家が解説!特徴や用途についてご紹介! リップ溝形鋼の規格と寸法 リップ溝形鋼は、一般構造用軽量形鋼の一種としてJIS規格(JIS G 3350:2021)に規定されています。 その中で、断面の標準的な寸法、断面積および単位質量が、以下として記載されています。なお、断面の角部の曲率半径は、板厚(t)の中心線で、通常「1.5t」とされています。 寸法 (mm) 断面積 (cm^2) 単位質量 (kg/m) 高さ [H] 辺 [A] リップ [C] 厚さ [t] 250 75 25 4.5 18.92 14.9 200 75 25 4.5 16.67 13.1 4.0 14.95 11.7 3.2 12.13 9.52 20 4.5 16.22 12.7 4.0 14.55 11.4 3.2 11.81 9.27 150 75 25 4.5 14.42 11.3 4.0 12.95 10.2 3.2 10.53 8.27 20 4.5 13.97 11.0 4.0 12.55 9.85 3.2 10.21 8.01 65 20 4.0 11.75 9.22 3.2 9.567 7.51 2.3 7.012 5.50 50 20 4.5 11.72 9.20 3.2 8.607 6.76 2.3 6.322 4.96 125 50 20 4.5 10.59 8.32 4.0 9.548 7.50 3.2 7.807 6.13 2.3 5.747 4.51 120 60 25 4.5 11.72 9.20 20 3.2 8.287 6.51 2.3 6.092 4.78 40 20 3.2 7.007 5.50 100 50 20 4.5 9.469 7.43 4.0 8.548 6.71 3.2 7.007 5.50 2.3 5.172 4.06 1.6 3.672 2.88 75 45 15 2.3 4.137 3.25 2.0 3.637 2.86 1.6 2.952 2.32 60 30 10 2.3 2.872 2.25 1.6 2.072 1.63 リップ溝形鋼の形状及び寸法の許容差 さらに、形状および寸法の許容範囲も下表のように定められています。 形状・寸法の区分 形状・寸法の許容差 高さ [H] 150mm未満 ±1.5mm 150mm~300mm ±2.0mm 300mm以上 ±3.0mm 辺 [A] 30mm~75mm ±1.5mm リップ [C] 10mm~25mm ±2.0mm 隣接する平板間の角度※ 90° ±1.5° 長さ 7m以下 +40mm 7m超 1m増すごとに+5mm 長さ方向の曲がり 全長の0.2%以下 厚さ [t] 1.6mm~2.0mm ±0.22mm 2.0mm~2.5mm ±0.25mm 2.5mm~3.15mm ±0.28mm 3.15mm~4.0mm ±0.30mm 4.0mm~5.0mm ±0.45mm 5.0mm~6.0mm ±0.60mm ※平板とは、下図の塗り潰し部分のことです。 リップ溝形鋼の断面性能 リップ溝形鋼は、上述したように、軽溝形鋼にリップを付けることで断面性能を向上させた鋼材です。 断面性能は、以下で説明している、重心位置や断面二次モーメント、断面二次半径、断面係数、せん断中心のような断面の性質によって特徴づけられます。 ●重心位置…断面を薄い板状の物体と捉え、その物体を水平に保持したときの重力のつりあいが取れる位置のことです。 ●断面二次モーメント…断面と平行方向の荷重が作用するときの曲げ変形に対する抵抗性のことで、この値が大きいほど曲げにくくなります。 ●断面二次半径…断面二次モーメントが、ある軸の回りに断面の面積が分布したときと等しくなるように、断面の全面積を一点に集中をさせたときのその点と軸との間の距離のことです。断面と垂直方向の荷重が作用するときの座屈(荷重と垂直方向にたわむ現象のこと)変形に対する抵抗性を示し、この値が大きいほどたわみにくくなります。 ●断面係数…断面と平行方向の荷重が作用するときの曲げ変形に対する材質に依らない抵抗性のことで、この値が大きいほど曲げにくくなります。 ●せん断中心…断面と平行方向の荷重が作用するとき、断面にねじれが生じず、曲げ変形のみが発生するようなせん断力の作用点のこと。 断面性能は、JIS規格にて、規定されている寸法ごとに算出された値が記載されており、それぞれのパラメータを以下のように定義すると、下図および下表の通りとなっています。 <断面性能を表すパラメータの定義> Cx, Cy:x方向、y方向の重心位置 Ix, Iy:x軸、y軸回りの断面二次モーメント Rx, Ry:x軸、y軸回りの断面二次半径 Zx, Zy:x軸、y軸回りの断面係数 Sx, Sy:x方向、y方向のせん断中心の位置 S.C.:せん断中心(Shear Center) 寸法 (mm) 重心位置 (cm) 断面二次 モーメント (cm^4) 断面二次半径 (cm) 断面係数 (cm^3) せん断中心 (cm) H×A×C t Cx Cy Ix Iy Rx Ry Zx Zy Sx Sy 250×75×25 4.5 0 2.07 1690 129 9.44 2.62 135 23.8 5.1 0 200×75×25 4.5 0 2.32 990 121 7.61 2.69 99.0 23.3 5.6 0 4.0 0 2.32 895 110 7.74 2.72 89.5 21.3 5.7 0 3.2 0 2.33 736 92.3 7.70 2.76 73.6 17.8 5.7 0 200×75×20 4.5 0 2.19 963 109 7.71 2.60 96.3 20.6 5.3 0 4.0 0 2.19 871 100 7.74 2.62 87.1 18.9 5.3 0 3.2 0 2.19 716 84.1 7.79 2.67 71.6 15.8 5.4 0 150×75×25 4.5 0 2.65 501 109 5.90 2.75 66.9 22.5 6.3 0 4.0 0 2.65 455 99.8 5.93 2.78 60.6 20.6 6.3 0 3.2 0 2.66 375 83.6 5.97 2.82 50.0 17.3 6.4 0 150×75×20 4.5 0 2.50 489 99.2 5.92 2.66 65.2 19.8 6.0 0 4.0 0 2.51 445 91.0 5.95 2.69 59.3 18.2 5.8 0 3.2 0 2.51 366 76.4 5.99 2.74 48.9 15.3 5.1 0 150×65×20 4.0 0 2.11 401 63.7 5.84 2.33 53.5 14.5 5.0 0 3.2 0 2.11 332 53.8 5.89 2.37 44.3 12.2 5.1 0 2.3 0 2.12 248 41.1 5.94 2.42 33.0 9.37 5.2 0 150×50×20 4.5 0 1.54 368 35.7 5.60 1.75 49.0 10.5 3.7 0 3.2 0 1.54 280 28.3 5.71 1.81 37.4 8.19 3.8 0 2.3 0 1.55 210 21.9 5.77 1.86 28.0 6.33 3.8 0 125×50×20 4.5 0 1.68 238 33.5 4.74 1.78 38.0 10.0 4.0 0 4.0 0 1.68 217 33.1 4.77 1.81 34.7 9.38 4.0 0 3.2 0 1.68 181 26.6 4.82 1.85 29.0 8.02 4.0 0 2.3 0 1.69 137 20.6 4.88 1.89 21.9 6.22 4.1 0 120×60×25 4.5 0 2.25 152 58.0 4.63 2.22 41.9 15.5 5.3 0 120×60×20 3.2 0 2.12 186 40.9 4.74 2.22 31.3 10.5 4.9 0 2.3 0 2.13 140 31.3 4.79 2.27 23.3 8.10 5.1 0 120×40×20 3.2 0 1.32 144 15.3 4.53 1.48 24.0 5.71 3.4 0 100×50×20 4.5 0 1.86 139 30.9 3.82 1.81 27.7 9.82 4.3 0 4.0 0 1.86 127 28.7 3.85 1.83 25.4 9.13 4.3 0 3.2 0 1.86 107 24.5 3.90 1.87 21.3 7.81 4.4 0 2.3 0 1.86 80.7 19.0 3.95 1.92 16.1 6.06 4.4 0 1.6 0 1.87 58.4 14.0 3.99 1.95 11.7 4.47 4.5 0 75×45×15 2.3 0 1.72 37.1 11.8 3.00 1.69 9.90 4.24 4.0 0 2.0 0 1.72 33.0 10.5 3.01 1.70 8.79 3.76 4.0 0 1.6 0 1.72 27.1 8.71 3.03 1.72 7.24 3.13 4.1 0 60×30×10 2.3 0 1.06 15.6 3.32 2.33 1.07 5.20 1.71 2.5 0 1.6 0 1.06 11.6 2.56 2.37 1.11 3.88 1.32 2.5 0 リップ溝形鋼は、同一寸法の軽溝形鋼と比べると、断面性能が高くなっています。例えば、軽溝形鋼においては、200×75×4.5(高さ[H]×辺[A]×厚さ[t])の断面性能のパラメータは、以下の通りで、リップ溝形鋼よりも値が低くなっています。 ・断面二次モーメント…(881cm^4, 78.0cm^4) ・断面二次半径…(7.64cm, 2.27cm) ・断面係数…(88.1cm^3, 13.7cm^3) リップ溝形鋼の機械的性質 鋼種記号 厚さの区分 (mm) 降伏点又は耐力 (N/mm^2) 引張強さ (N/mm^2) 伸び % SSC400 1.6~5.0 245以上 400~540 21以上 5.0~6.0 17以上 リップ溝形鋼の機械的性質は、JIS規格にて上表のように規定されています。 リップ溝形鋼は、SS400とほぼ同じ化学成分を持つ材質から、熱間圧延や冷間圧延によって製造されます。そのため、SS400とほぼ同じ強度を持ちます。 また、比較のため、SUS304の機械的性質を挙げると、以下の通りとなっています。 <SUS304の機械的性質> ・耐力…205 N/mm^2 以上 ・引張強さ…520 N/mm^2 以上 ・伸び…40 % 以上 リップ溝形鋼は、SUS304に比べて、近い強度を持っていますが、延性は低めです。 参考:一般構造用圧延鋼材(SS材)とは?【専門家が解説】素人でも3分で判ります リップ溝形鋼の化学成分 鋼種記号 化学成分 (%) 炭素 (C) リン (P) 硫黄 (S) SSC400 0.25以下 0.050以下 0.050以下 リップ溝形鋼の化学成分は、JIS規格にて上表のように規定されています。ただし、必要に応じて、炭素、リンおよび硫黄以外の合金元素を添加することが許されています。 なお、リップ溝形鋼はSS400とほぼ同じ化学成分を持っていますが、SS400には、リンと硫黄の規定しかなく、炭素の含有量は決まっていません。 リップ溝形鋼とCチャンネルの違い リップ溝形鋼とCチャンネルに違いはなく、同じ鋼材のことを示しています。JIS規格で規定されているように、リップ溝形鋼が正式名称で、この鋼材のことは、鋼材メーカーでもリップ溝形鋼と呼びます。 一方、Cチャンネルは、一般的に形鋼がチャンネルと呼ばれていることと、リップ溝形鋼の断面形状がC字型であることから用いられている呼び名です。建築分野では、Cチャンネルと呼ぶことが一般的となっています。 「リップ溝形鋼を使用した金属部品の調達に困っている」 「リップ溝形鋼が本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
STKMは機械構造用炭素鋼鋼管のことで、代表的なものとして自動車部品・家具部品・家電・支柱などの用途で採用されています。 一口にSTKMといっても、種類が豊富にあり、各種類で化学成分や機械的性質が異なります。また、サイズについても、継目無し鋼管や電気抵抗溶接鋼管などの種類によって違いがあります。 この記事では「STKMとはどういうもの?」といった疑問にお答えするほか、比重や分類についても解説します。 STKMとは? STKMとは、機械構造用炭素鋼鋼管のことを指します。STKMの記号は、S=Steel、T=Tube、K=構造、M=Machineを意味しています。 STKMはパイプ状の構造であるため、棒鋼よりも軽量に抑えられるほか、サイズのラインナップも豊富です。 また、STKMは細かく種類分けがされており、【JIS G 3445:2021 機械構造用炭素鋼鋼管】の規格にて、機械的性質の異なる22種類が規定されています。STKMの種類は、「STKM11A」のように、STKMの記号の後ろに11~20の数字とA~Cのアルファベットが付随することで判別されています。 STKMの比重 STKMの比重は、鉄鋼と同様に7.85の値となりますが、厳密には成分の違いによって多少の違いが出てきます。 STKMの分類 STKMは製法により大きく分けて【継目無し鋼管・電気抵抗溶接鋼管・鍛接鋼管】の3種類に分類されています。 ここからさらに、仕上げ方法【熱間仕上げ・冷間仕上げ・電気抵抗溶接したまま】の違いにより細かく分類されます。 これらの分類は“種類の記号”の後ろに“製造方法を表す記号”を付けることで、具体的な種類が判別できるようになっています。 詳細については下記表の通りです。 <種類の記号及び製造方法を表す記号> 種類 種類の記号 製造方法を表す記号 製管方法 仕上方法 11種 A STKM11A 継目無し:S 電気抵抗溶接:E 鍛接:B 熱間仕上げ:H 冷間仕上げ:C 電気抵抗溶接まま:G 12種 A STKM12A B STKM12B C STKM12C 13種 A STKM13A B STKM13B C STKM13C 14種 A STKM14A 継目無し:S 電気抵抗溶接:E 熱間仕上げ:H 冷間仕上げ:C 電気抵抗溶接まま:G B STKM14B C STKM14C 15種 A STKM15A C STKM15C 16種 A STKM16A C STKM16C 17種 A STKM17A C STKM17C 18種 A STKM18A B STKM18B C STKM18C 19種 A STKM19A C STKM19C 20種 A STKM20A ※製造方法を表す記号は、次による。ただし、“-”は空白でもよい。 1.熱間仕上継目無鋼管:-S-H 2.冷間仕上継目無鋼管:-S-C 3.電気抵抗溶接まま鋼管:-E-G 4.熱間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-H 5.冷間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-C 6.鍛接鋼管:-B 引用元:JIS G 3445:2021 機械構造用炭素鋼鋼管 例えば、STKM13Aの機械構造用炭素鋼鋼管かつ、継目無鋼管の熱間仕上げのものについては、“STKM13A-S-H”もしくは、“STKM13A S H”で表記されるということになります。 次に各種製管方法の特徴についても見てみましょう。 ●継目無し鋼管(シームレス鋼管) 継目無し鋼管は、別名「シームレス鋼管」とも呼ばれているもので、その名前の通り継目(seam)が無い(less)ことを表しています。 継目無し鋼管は溶接部がなく、全周にわたり凹凸がない均一性のある形状です。これによりねじれに強い特性をもちます。また、溶接では製造が難しい厚肉の鋼管を製造できるのもポイントです。 なお、継目無し鋼管は、鋼の塊をくり抜いて管を製造しています。 ●電気抵抗溶接鋼管(電縫鋼管) 電気抵抗溶接鋼管は、別名「電縫鋼管」とも呼ばれているもので、鋼板をまるめてパイプ状にしてから継目を電気抵抗溶接で接合したもののことです。 電気抵抗溶接鋼管は比較的生産性が高いのが特徴で、小径から中径サイズの製造が可能です。また、鍛接鋼管に比べて継目の強度が高い傾向にあります。一方で溶接ビードができてしまうので、用途によってはビードを削りとる必要があります。 ●鍛接鋼管 鍛接鋼管は、継目を鍛接によって接合したもののことです。 鍛接鋼管は、大量生産に適している点がメリット。一方で熱間加工による成形のため、鋼管の内側と外側に酸化鉄の皮膜が付着してしまい、表面性状に劣ります。 「STKMを使用した金属部品の調達に困っている」 「STKMが本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
合金鋼とは、鉄と炭素以外の合金元素を一定量以上含む鋼のことです。鋼の五元素と呼ばれる炭素やケイ素、マンガン、リン、硫黄を規定量以上含む合金や、その他の元素を一定量以上含有する鋼のことを指します。ステンレス鋼も合金鋼の一種であり、高張力鋼や工具鋼の一部も合金鋼に分類されます。その特徴は、種類によって様々であり、耐食性や耐熱性に優れるもの、強度が高いもの、加工性が良好なものなどがあります。この記事では、合金鋼の詳細や種類、種類によって異なる性質を解説していきます。合金鋼とは?特徴について合金鋼とは、炭素量が0.02~2.14%である炭素鋼に炭素以外の合金元素が一定量以上加えられた鋼のことです。化学成分による分類では、炭素鋼の対となる鋼であるとも言えます。普通鋼に対する特殊鋼を合金鋼と同一視することもあります。ISOでは、下表のように合金鋼が含む添加元素の含有率の下限が定められており、一つ又は複数の元素の含有率が下表の値を超える場合に合金鋼と呼びます。ただし、優れた効果を持つ元素であれば、下表の元素以外を含む場合でも合金鋼と呼ぶことがあります。(単位:%)アルミニウム(Al)ホウ素(B)コバルト(Co)クロム(Cr)銅(Cu)ランタン(La)モリブデン(Mo)ニオブ(Nb)0.10.00080.10.30.40.050.080.06ニッケル(Ni)鉛(Pb)セレン(Se)テルル(Te)チタン(Ti)バナジウム(V)タングステン(W)ジルコニウム(Zr)0.30.40.10.10.050.10.10.05参照元:国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)合金鋼は、含有する合金元素の総量によって、以下のように分類することがあります。●低合金鋼:5%以下●中合金鋼:5~10%●高合金鋼:10%以上合金鋼の意味は幅広く、耐熱鋼などの特定の機能を持つ高機能鋼や、高張力鋼(ハイテン)などの高強度鋼、マンガン鋼やニッケル鋼などの特定の元素を多量に含む鋼なども合金鋼です。よく知られたステンレス鋼も合金鋼に含まれます。したがって、その特徴は合金鋼の種類によって大きく異なり、耐食性や耐熱性が高いものや高い強度を持つもの、加工性が良いものなどと様々です。ただし、合金鋼に共通することとして、炭素鋼と比べて高価であり、市場に出回っている形状や寸法のバリエーションも貧弱であることが挙げられます。参考:鉄と鋼の違い(強度・重さ・硬さ)参考:鉄・鋼・鋳鉄の違いは炭素の量|鋳物の特徴など合金鋼の種類合金鋼には、様々な種類がありますが、ここでは代表的な合金鋼について紹介します。ステンレス鋼ステンレス鋼は、キッチンのシンクなどに使われている優れた腐食耐性を持つ合金鋼です。クロムの含有量が10.5%以上の鋼と定義されているため、高合金鋼に分類されます。クロムを多量に含有するものや、クロムとニッケルを多量に含有するものなど、その種類は多様です。耐食性に加えて、耐熱性に優れた鋼種や加工性を向上させた鋼種、孔食や応力腐食割れなどの一部のステンレス鋼の欠点を補った鋼種などがあります。耐熱鋼耐熱鋼とは、高温環境下においても優れた耐酸化性や強度、腐食耐性を保持する合金鋼のことです。エンジン部品や炉の材料などに用いられます。JIS規格においては、SUH(Steel Use Heat Resisting)で始まる「SUH31」などが耐熱鋼として規定されていますが、それらも化学成分上はステンレス鋼の一種です。「SUS304」などのオーステナイト系ステンレス鋼の一部も耐熱鋼に分類されています。そのほか、モリブデンを数パーセント含むモリブデン鋼や、クロムとモリブデンをわずかに含むクロムモリブデン鋼も耐熱鋼と呼ばれることがあります。高張力鋼(ハイテン)高張力鋼とは、高い引張強さを持つ合金鋼のことです。引張強さがおよそ490 MPa以上のものを指します。特に高強度のものでは1000 MPaを超えるものもあり、超高張力鋼と呼ばれます。なお、代表的な炭素鋼である「SS400」の引張強さは、400 MPaです。シリコンやマンガンなどの合金元素の添加や、金属組織の制御などを行うことで高い強度を実現しています。高圧容器や橋梁、建築のほか、船舶や鉄道車両、自動車のボディなどの材料に用いられます。特に、自動車向けには、高強度である分だけ薄くできるため、自動車の軽量化に役立っています。合金工具鋼・高速度工具鋼合金工具鋼と高速度工具鋼は、工作機械に用いられる工具鋼のうち、炭素工具鋼と呼ばれる炭素鋼が材料ではない工具鋼のことです。合金工具鋼は、炭素工具鋼では硬度や靭性、耐摩耗性などが不足する場合に、工具の材料として選ばれます。一方、高速度工具鋼は、ハイスとも呼ばれ、高温下の硬度や耐軟化性に強みがある工具の材料です。合金工具鋼と高速度工具鋼はそれぞれ、タングステンやクロム、モリブデン、バナジウムなどの合金元素を加えるなどして性質を調整したものです。クロムモリブデン鋼クロムモリブデン鋼とは、クロムを1%程度、モリブデンを0.15~0.45%含む合金鋼のことです。クロムとモリブデンの含有量は少なく、低合金鋼に分類されます。高い強度と靭性を示し、耐熱性にも優れています。溶接が容易で、焼入れを行いやすい素材です。クロムなどの鉄鋼の耐食性に貢献する化学成分を含みますが、それらの量は少なく、ステンレスほどの耐食性はありません。ボルトナット類やエンジン部品、自転車のフレームなどの用途がある合金鋼です。参考:SCM435(クロムモリブデン鋼)材質、硬度、強度、比重、用途合金鋼と錆金や白金などを除くほとんどの金属は、空気中の酸素や水分と反応して錆を生じます。その中でも鉄は、比較的錆びやすく、表面に酸化物の皮膜を生じて金属特有の光沢が失われます。この酸化物の皮膜が、錆と言われるものです。しかし、ステンレス鋼では、空気中においてクロムによって形成された数ナノメートルの酸化皮膜が表面を覆うことで金属内部の腐食を保護しています。さらに、その酸化皮膜が透明であり、外観がほとんど変化しないことから、ステンレスの酸化皮膜は錆と認識されていません。また、酸化皮膜の耐食性は、クロムの含有量が多いほど高くなり、12%程度に達するまで耐食性は向上します(下図左図)。もちろん、この酸化皮膜が破れると、そこから錆が生じる可能性があります。しかし、鋼中のクロムはその傷を自己修復する機能があるため、皮膜は瞬時に再生されます(下図右図)。引用元:日本製鉄株式会社(2005)「モノづくりの原点 科学の世界VOL.22」p2
FC200とは、ねずみ鋳鉄又は普通鋳鉄と呼ばれる鋳鉄の一種で、特に引張強さが200 MPa以上のものを指します。鉄鋼よりも強度が低いものの硬く、切削性に優れた素材です。耐熱性や耐摩耗性、振動減衰性にも優れるため、エンジン部品や耐磨耗部品などに用途があります。 しかし、塑性加工や溶接には向いていないため、鉄鋼のような万能性のある素材であるというわけではありません。 FC200の後部における3桁の数値は、引張強さを示しています。JIS規格においては、引張強さの異なるねずみ鋳鉄が6種類(FC100からFC350まで)定められています。 参考:鉄・鋼・鋳鉄の違いは炭素の量|鋳物の特徴など FC200の特徴と性質、比重 引用元:日立金属株式会社(2016)「日立金属技法vol.32」【表紙写真】p2 FC200は、硬くて脆い素材で、耐摩耗性に優れるほか、振動や騒音の吸収能が高いという特徴もあります。 これらの特徴は、FC200がねずみ鋳鉄であることに由来します。上図は、ねずみ鋳鉄の組織を示したもので、鉄鋼の組織である「パーライト」に「片状黒鉛」と呼ばれるフレーク状の黒鉛がランダムに分布しています。ねずみ鋳鉄は、この片状黒鉛によって、割れやすくなってしまいますが、振動を吸収する能力も獲得しています。さらに、片状黒鉛が摩擦に対する潤滑剤のような役割を果たすため、耐摩耗性が高くなっています。 FC200は、高い耐摩耗性から、軸受や歯車、ブレーキシュー、マンホールの蓋といった耐磨耗部品としての用途があります。比熱や熱伝導率も高いため、高温となりにくく、エンジンや油圧ポンプなどの部品にも用いられます。 また、FC200は、比重が7.2〜7.3と鉄鋼の約7.8と比べて小さいため、自動車などの部品に使用する場合には鉄鋼を使用する場合に比べて軽量化が可能です。 FC200の化学成分 FC200は鋳鉄であるため、鋳鉄の定義上、炭素(C)を2.14〜6.67%、ケイ素(Si)を約1〜3%含みます。それ以外の化学成分は特にJIS規格で定められておらず、販売者と購入者の間で決められるものとされていますが、主に出回っているのは炭素量が2.5〜4.0%、ケイ素が0.8〜3.0%程度のものです。 一部の販売者は、特定の指定がない場合のFC200の化学成分を公表しています。下表は、その一例です。 材質名 C(%) Si(%) Mn(%) P(%) S(%) Ti(%) FC200 2.70~ 3.85 2.30~ 3.20 0.80 以下 0.150 以下 0.040 以下 0.10~ 0.40 参照元:株式会社泰平 FC200の機械的性質 材質名 引張強さ(MPa) ブリネル硬さ(HB) FC200 200以上 223以下 FC200の機械的性質は、JIS規格(JIS G5501:1995)にて上表のように定められています。 FC200は、鉄鋼と比べると、強度が低いものの硬い素材です。硬いために脆くもあります。例えば、SS400は、引張強さが400 MPa以上で、ブリネル硬さが130程度です。 参考:【SS400】とは!?SS400の規格や加工方法について専門家が解説! FC200の物理的性質 材質名 密度 g/cm3 比熱 J/(kg・K) (0~200℃) 線膨張係数 10-6/K (0~200℃) 熱伝導率 W/(m・K) 比抵抗 μΩ・cm ヤング率 103MPa FC200 7.2〜 7.3 502~ 544 11.5~ 12.0 50.2~ 54.4 75~ 85 95〜 120 参照元:いものびと講座 FC200の物理的性質は、上表の通りです。 FC200は、SS400などの鉄鋼と比べると、鉄よりも軽量な炭素を多く含むため、密度は低くなっています。一方、比熱はSS400よりも1割程度高くなっています。また、FC200のヤング率の値は、SS400の2分の1程度と小さく、それゆえにFC200の引張強さも小さくなっています。そのほかの物理的性質は、鉄鋼と大きな違いはありません。 FC200の加工について|向き不向き FC200は、切削加工には向いていますが、塑性加工や溶接には向いていません。 FC200内部には片状黒鉛が分布しています。そのため、片状黒鉛が存在する箇所から剥がれやすく、また割れやすくなっています。切削加工を施すと、細かな切り屑が生じます。FC200は、硬度が高いものの切り屑が小さいために切削抵抗が小さくなり、また切り屑が潤滑剤としての役割も果たすため、切削性に優れます。 一方、FC200は、鉄鋼に比べて展延性に劣るため、塑性加工には適していません。炭素の含有量が多いことから加工硬化も起こしやすく、余計に塑性加工を困難にしています。 また、FC200は、溶接の熱影響部が硬化して割れる「溶接割れ」が生じやすくなっています。溶接割れは、炭素量が多いほど起こりやすいため、鉄鋼よりも炭素含有率が高いFC200は溶接が困難です。 参考:加工硬化とはどんな現象?仕組み・影響・扱い方をご紹介! 「FC200を使用した金属部品の調達に困っている」 「FC200の加工が自社でできなくて困っている」 そのような方に向けてMitsuriでは、見積から発注までWEB上で行えるサービスを提供しております。お手持ちの図面を登録すると、加工可能な工場から見積が届きます。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
SPHCとは、熱間圧延軟鋼板の一種で、【JIS G 3131:2018 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】に規定されている材料です。 SPHCのように、高温で圧延された鋼板は別名「HOT(ホット)」とも呼ばれています。熱間圧延した鋼板は、焼けた状態で空気中にさらされることで、「黒皮(クロカワ)」と呼ばれる酸化被膜(ミルスケール)が発生します。これは名前の通り、表面が黒に近い色をした皮膜のことで、黒皮が鋼板を覆い、新品である鋼板のキズや錆びを保護します。 しかし黒皮は、小さな穴(ピンホール)があったり、ボロボロと剥がれ落ちたりと、安心して錆びから守るには心もとないものです。そのため製品として利用する際は、黒皮を除去し、めっきや塗装を施して使うことがほとんどです。 参考:【圧延】とは?工法、種類、製品例、圧延の発展の歴史についてご紹介! [adrotate banner="26"] SPHCとは?特徴と用途 SPHC(steel plate hot commercial)は、【JIS G 3131 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】のなかでも一般用と分類されている材料です。用途としては自動車・電気機器・機械部品などが挙げられます。 SPHCは冷間圧延鋼板に比べて製作工程が少なく、比較的安価に手に入れられます。また、柔らかい材料であるため、曲げ加工性に優れているのも特徴です。 しかしSPHCは、引張強さが270MPa以上の規定であるため、あまり強度が求められる場所には不向きです。市場に多く流通しているほか、価格が安い点が魅力ですが、コストを下げるためにSS材から代用する場合は、強度の仕様を満たしているか確認しておきましょう。 また、SPHCの板厚は、1.2~14mmが適用厚さとして【JIS G 3131】で規定されています。板厚に対しての寸法の許容値は以下の表の通りです。 <SPHCの厚さの許容差> 厚さ 幅(mm) 1200未満 1200以上 1500未満 1500以上 1800未満 1800以上 2300以下 1.60未満 ±0.14 ±0.15 ±0.16 ※幅1600未満に ついて適用する - 1.60以上2.00未満 ±0.16 ±0.17 ±0.18 ±0.21 ※幅2000未満に ついて適用する 2.00以上2.50未満 ±0.17 ±0.19 ±0.21 ±0.25 ※幅2000未満に ついて適用する 2.50以上3.15未満 ±0.19 ±0.21 ±0.24 ±0.26 3.15以上4.00未満 ±0.21 ±0.23 ±0.26 ±0.27 4.00以上5.00未満 ±0.24 ±0.26 ±0.28 ±0.29 5.00以上6.00未満 ±0.26 ±0.28 ±0.29 ±0.31 6.00以上800未満 ±0.29 ±0.30 ±0.31 ±0.35 8.00以上10.0未満 ±0.32 ±0.33 ±0.34 ±0.40 10.0以上12.5未満 ±0.35 ±0.36 ±0.37 ±0.45 12.5以上14.0以下 ±0.38 ±0.39 ±0.40 ±0.50 引用元:JIS G 3131:2018 SPHCの比重・密度 SPHCの比重は鉄と同じく7.85(密度7.85g/cm3)です。SPHCに限らず、同じ【JIS G 3131】規格内にあるSPH材は、全て同じ値を示します。 SPHCの化学成分 <熱間圧延軟鋼板及び鋼帯の化学成分(単位:%)> 種類の記号 C(炭素) Mn(マンガン) P(リン) S(硫黄) SPHC 0.12以下 0.60以下 0.045以下 0.035以下 SPHD 0.10以下 0.45以下 0.035以下 0.035以下 SPHE 0.08以下 0.40以下 0.030以下 0.030以下 SPHF 0.08以下 0.35以下 0.025以下 0.025以下 ※必要に応じて、この表以外の合金元素を添加してもよい。 引用元:JIS G 3131:2018 上表は【JIS G 3131:2018 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】に記述されている、SPH材の化学成分表を抜粋したものです。 SPHCの機械的性質 <熱間圧延軟鋼板及び鋼帯の機械的性質(引張強さ・伸び)> 種類の記号 引張強さ MPa (N/mm2) 伸び % 引張試験片 厚さ mm 1.2以上 1.6未満 1.6以上 2.0未満 2.0以上 2.5未満 2.5以上 3.2未満 3.2以上 4.0未満 4.0以上 SPHC 270以上 27以上 29以上 29以上 29以上 31以上 31以上 5号試験片 圧延方向 SPHD 270以上 30以上 32以上 33以上 35以上 37以上 39以上 SPHE 270以上 32以上 34以上 35以上 37以上 39以上 41以上 SPHF 270以上 37以上 38以上 39以上 40以上 40以上 42以上 ※受渡当事者間の協定によって、引張強さの上限値として次の値を適用してもよい。 SPHC:440N/mm2、SPHD:420N/mm2、SPHE:400N/mm2、SPHF:380N/mm2 引用元:JIS G 3131:2018 上表は【JIS G 3131:2018 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】に記述されている、SPH材の機械的性質表を抜粋したものです。 SPHCは一般用として規定されていますが、その他の材質は加工用としての規定がされています。加工用の材質はSPHCに比べて炭素量が少なく、伸びに優れているのが特徴です。 SPHCと他材料との違い SPHCとSS400との違い SPHC SS400 名称 熱間圧延軟鋼板 一般構造用圧延鋼材 引張強さ 270N/mm2 400~500N/mm2 規格 JIS G 3131で規定 JIS G 3101で規定 特徴 ・価格が安価 ・曲げ加工性に優れる ・強度に優れる ・板厚の種類が幅広い SPHCとSS400の大きな違いは引張強さになります。SS400のほうが数値が高いため、強度が求められる箇所では、SPHCは不向きです。また、SS400のほうが、板厚の厚みがあるラインナップが豊富にあります。 参考:【SS400】とは!?SS400の規格や加工方法について専門家が解説! 参考:一般構造用圧延鋼材(SS材)とは?【専門家が解説】素人でも3分で判ります SPHCとSPCCとの違い SPHC SPCC 名称 熱間圧延軟鋼板 冷間圧延鋼板 製造方法 高温で圧延する 常温で圧延する 規格 JIS G 3131で規定 JIS G 3141で規定 特徴 ・酸化被膜(黒皮)があり、 錆の進行を抑えられる ・値段が安価 ・精度が高い SPCCは、冷間圧延鋼板(Steel Plate Cold Commercial)の常温で圧延した鋼板であるため、製造方法やJIS規格が異なります。 特徴としては、SPHCはSPCCと比べて冷間圧延の工程がない分、価格が安価です。しかし寸法精度や外観の良さには劣ります。 それぞれのJIS規格で定められている適用厚さに対しても、SPHCが1.2~14mmであるのに対し、SPCCは0.1~3.2mmといった違いもあります。 参考:【SPCC基礎知識】他材料とどう違う?板厚、材質、降伏点、比重、ヤング率 SPHCとSPHC-Pとの違い SPHC-Pは、SPCHにある黒皮を酸で取り除いたもののことで、「酸洗(サンセン)」とも呼びます。SPCHに比べて、酸洗は塗装性が向上しているのが特徴です。 黒皮はキズや腐食を防止しますが、触れるとボロボロと剥げ落ちたり、ピンホールがあったりするため、防錆効果が高いわけではありません。基本的にSPHCを用いる際は、黒皮を落とし、塗装などの表面処理を施すことで、防錆効果を持たせていますが、その黒皮の除去方法のひとつとして酸洗処理があります。 SPHCのQ&Aまとめ Q1.SS材をSPHCで代用する際の注意点を教えてください。 SPHCは強度が求められる場所には不向きです。強度の仕様を満たすか確認しておきましょう。 Q2.SPHCは、SS400とどう違うのですか? 大きな違いは引張強さです。SPHCは270N/mm2、SS400は400~500N/mm2です。強度が求められる箇所では、SPHCは不向きです。 Q3.SPHCは、SPCCとどう違うのですか? SPHCは、SPCCと比べて冷間圧延の工程がありません。そのため価格が安価です。ただし、寸法精度と外観の良さはSPCCより劣ります。 Q4.SPCCとSPHCはどう使い分けるのでしょうか? SPCCとSPHCが被る板厚は「1.6mm」「2.3mm」「3.2mm」です。このような板厚を使う場合は、精度が必要な外観にSPCC、見えない場所にはSPHCと使い分けることが多いです。 Q5.SPHCとSPHC-Pはどう違うのですか? SPCH-Pは、SPCHの黒皮を酸で取り除いたものです(酸洗)。SPHCよりも、塗装性が向上しています。 「SPHCを使用した金属部品の調達に困っている」 「SPHCが本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
S25Cは、主に機械部品に用いられる鋼材です。SC(Steel Carbon)材と呼ばれる炭素鋼の一種で、JIS規格では機械構造用炭素鋼として規定されています。S25Cの比重は7.84~7.86です。 炭素鋼の中でも炭素含有率が0.25%と低く、低炭素鋼に分類される比較的軟らかい素材です。炭素鋼は熱処理を施すことで強靭化しますが、炭素量の少ないS25Cは焼入れを適用しても強度はほとんど向上しません。そのため、熱処理を行うことなく、加工後にそのまま使用されることが多い素材となっています。 市場にも豊富に出回っており、優れた品質かつ多様なサイズの材料を容易に入手可能です。 S25Cの特徴、用途 S25Cの特徴は、熱処理を施さずに使用する低炭素鋼の中では高い強度を持つことです。また、S25Cは、加工性も良く、溶接も可能です。そのため、加工費を抑えたい場合に適しています。 用途としては、特別に高い強度を必要としないネジやボルト、ナット、ピン、機械の構造材などが挙げられます。品質が高いことから、機械部品の材料としても多く採用されています。 S25Cの化学成分 鋼種名 C(%) Si(%) Mn(%) P(%) S(%) Ni(%) Cr(%) Cu(%) Ni+Cr (%) S25C 0.22~ 0.28 0.15~ 0.35 0.30~ 0.60 0.030 以下 0.035 以下 0.20 以下 0.20 以下 0.30 以下 0.35 以下 S45C 0.42~ 0.48 0.15~ 0.35 0.60~ 0.90 0.030 以下 0.035 以下 0.20 以下 0.20 以下 0.30 以下 0.35 以下 S25Cの化学成分は、JIS規格(JIS G 4051:2016)で上表のように規定されています。比較のため、S45Cの化学成分も記載しています。 S25CやS45CなどのSC材は、上表のように化学成分が詳細に規定されています。そのため、引張り強さの下限で規定されているSS400と比べ、化学成分のバラツキが小さく鋼材としての信頼性が高くなっています。 参考:【SS400】とは!?SS400の規格や加工方法について専門家が解説! S25CとS45Cの違い S25CとS45Cの違いは、炭素含有率です。 S25Cの名称に含まれる「25」は、炭素含有率の代表値「0.25%」を示しています。これに準じ、S45Cの炭素含有率の代表値も「0.45%」となっています。 また、S28C以上に共通することですが、S45Cでは、マンガン(Mn)の含有率がS25Cに比べて高く規定されています。その理由は、炭素含有率の高いS45Cなどでは、焼入れ等の熱処理を施して使用することが多いからです。マンガンの添加によって、熱処理時に硬化しやすくなるとともに、靭性を維持したまま材料の強度を向上させる効果があります。 参考:SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品による使い分け S25Cの機械的性質 熱処理 降伏点 (MPa) 引張強さ (MPa) 伸び (%) 硬さ (HB) 焼なまし − − − 121〜183 焼ならし 265 以上 440 以上 27 以上 123〜183 S25Cの機械的性質は、JIS規格で規定されているわけではありませんが、直径25mmの標準試験片については上表のように報告されています。焼なまし後と焼ならし後の機械的性質を示しています。 焼なましは、加熱後にゆっくりと冷却する熱処理で、鋼を可能な限り軟らかくする方法です。一方、焼ならしは、加熱後に空冷で冷却する熱処理で、機械的性質の改善や切削性の向上が期待できる方法です。 S25Cの熱処理 S25Cは、焼なまし又は焼ならしの状態に近い材料を加工し、加工後に熱処理を施すことなく使用されることが多い素材です。 炭素鋼は、熱処理を行うことで強度を向上させて用いることが多い材料です。しかし、S25Cは、炭素含有率が小さいために焼入れなどによる強度の向上はあまり期待できません。とは言え、低炭素鋼の中では高い強度を持つため、熱処理なしでも機械構造用として十分な強度があります。 なお、S25Cに焼なましを行う場合、およそ850℃に加熱後、材料を炉の中に入れたまま、炉の自然な温度低下に合わせて冷却する炉冷を実施します。一方、焼ならしを行う場合、860〜910℃に加熱後、空冷によって冷却します。 参考:鋼の性質を変える【熱処理】とは?仕組みや種類について徹底解説! S25Cの物理的性質 鋼種名 融点 ℃ 密度 g/cm3 比熱 J(kg・K) 熱膨張係数 10-6/K 熱伝導率 W/(m・K) 電気抵抗 μΩ・cm ヤング率 GPa ポアソン比 S25C 1660~ 1770 7.84~ 7.86 0.474~ 0.494 10.7~ 11.6 44~60 13.3~ 19.7 205〜 206 0.27~ 0.29 S25Cの物理的性質は、上表の通りです。ただし、S25Cそのものの値ではなく、炭素量が近い炭素鋼の値ですので、注意してください。 S25Cの加工性 S25Cの加工性は良好であり、溶接も問題なく行うことが可能です。 ただし、焼なまし後のS25Cは軟らかいため、切削加工時に切り屑が切断されず、工具に絡んだり、絡んだ切り屑で素材を傷つけたりすることがあります。その場合、工具の送り量を上げたり、切り込みを深くしたりするなどの対処が必要です。また、被削性が良い焼ならし後のS25Cを採用するという方法もあります。 S25Cの溶接性は良好です。しかし、材料ごとの化学成分のバラツキや化学成分の偏在により、溶接部において割れの原因となる硬化などが起こることがあります。また、熱間圧延時の酸化スケールが残っている黒皮材に対しては、溶接前に研磨を施して鉄の生地を露出させる必要があります。 「S25Cを使用した金属部品の調達に困っている」 「S25Cの加工が自社でできなくて困っている」 そのような方に向けてMitsuriでは、見積から発注までWEB上で行えるサービスを提供しております。お手持ちの図面を登録すると、加工可能な工場から見積が届きます。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
今回は黒皮の特徴や除去方法などについて解説します。 黒皮とは、別名「ミルスケール」とも呼ばれるもので、熱間圧延加工で作られた鉄鋼材料の酸化皮膜を指します。黒皮が付いた鉄鋼材料は黒皮材と呼ばれています。 黒皮材は表面が粗く、塗装の密着性が乏しいことから、一般的に黒皮を除去する必要があります。 黒皮(ミルスケール)とは 引用元:横山テクノ 鉄 黒皮 丸棒材 丸鋼材(SS400・S45C) 寸法 切り売り 小口販売加工 黒皮(ミルスケール)とは、熱間圧延加工で作られた鉄鋼材料の酸化皮膜のことを指します。上図を見ても分かるように、鉄鋼材料が黒色の皮で覆われたような外観が特徴です。また、切削加工のされていない鉄鋼材料の表面を総じて黒皮と呼ぶこともあります。黒皮で表面が覆われた鋼材のことを「黒皮材」と呼びます。 熱間圧延とは、金属が加工による硬化を生じない再結晶温度以上の温度で圧延が行われることです。熱間圧延は、圧延中に高温の素材表面が大気中の酸素と結合し、黒皮を形成します。 参考:【圧延】とは?工法、種類、製品例、圧延の発展の歴史についてご紹介! 黒皮の特徴と用途 黒皮材は、表面にピンホールや凹凸があるほか、表面の精度が低く、寸法精度を要する用途や外観性を重要視する用途に不向きです。一方で、黒皮材は熱間圧延したままの鉄鋼材料のため、価格が安く手に入る特徴があります。 S45CやSS400のようなポピュラーな材料は、黒皮材とミガキ材が流通していますが、I形鋼やH形鋼などの建材用途のものは、黒皮材しか流通していません。 酸化皮膜は、金属表面と空気の接触を防ぐ保護膜として機能するものですが、黒皮材の場合は鋼材と黒皮の密着強度に乏しく、表面にはピンホールや凹凸があることから、防錆目的で黒皮材が選ばれることはほとんどありません。また、塗装を施す場合も、黒皮がある状態では密着性に乏しいことから下地には不向きです。 そのため、黒皮材を用いる際は、黒皮を除去してから塗装して使われるのが一般的です。 黒皮の除去方法 黒皮は、酸洗いにて化学的に除去するか、ショットブラストのように物理的に除去するかの方法があります。 酸洗いとは、塩酸などの酸溶液を使って金属表面のスケールや酸化被膜を除去する手法で、主に表面処理の下処理として多く採用されています。 引用元:株式会社ニホンケミカル ショットブラストの教科書 ミルスケール(黒皮)とは?特徴や除去方法について解説 ショットブラストとは、ワークの表面に細かい砂や玉を衝突させて、表面を粗くしたり表面をバリや錆びを除去する手法のことです。ショットブラストは酸化皮膜を除去したのちに、ワークの表面に凹凸を設けるため、塗装の密着性がよくなります。 黒皮材とミガキ材 ミガキ材とは、冷間圧延加工にて作られた鉄鋼材料のことを指します。冷間圧延は熱間圧延と違い、常温で材料を圧延する方式です。ミガキ材は黒皮材と特徴が異なり、鉄鋼材料の表面は凹凸が少なく、表面がキレイな特徴があります。ただし、冷間圧延加工時に発生する残留応力の影響を考慮しなければならない点には注意が必要です。 S45CやSS400などのポピュラーな鉄鋼材料は、熱間圧延された材料である黒皮材、もしくは冷間圧延された材料であるミガキ材から選びます。 ミガキ材はコストが黒皮材に比べて高いものの、黒皮材を使えるようになるまでの加工のコストを考慮すると、ミガキ材のほうが必ずしも割高になるというわけではありません。そのため、ミガキ材と黒皮材のどちらを選択するかは、加工コストや加工時間、用途などを含めて検討する必要があります。 参考:ミガキ材とは?黒皮との違いやメリット・デメリット 参考:SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品による使い分け
今回はミガキ材のメリット・デメリットや、黒皮材との違いについて解説します。 ミガキ材とは、冷間圧延加工にて作られた鋼材のことを指します。 鋼材は代表的なものに、S45CやSS400がありますが、これらの材料を選定する際は、ミガキ材か黒皮材かを指定しなければなりません。ミガキ材と黒皮材では特徴が異なるため、もし予定と違ったものを入手してしまった場合は、作業工程に影響を及ぼしてしまいます。 この記事を参考にして、ミガキ材と黒皮材の違いを把握し、正しく選定できるようになりましょう。 参考:黒皮(ミルスケール)とは?特徴用途、除去方法など基礎知識を紹介 ミガキ材とは 引用元:イワサ株式会社 取扱商品 磨棒鋼材(ミガキシャフト) ミガキ材とは、冷間圧延加工されて作られた、S45CやSS400などの鋼材のことを指します。ミガキ材の名前の通り、表面は磨かれたかのようなキレイな表面をしていて滑らかです。 冷間圧延加工とは、2本のロールを使って材料を挟み、圧力をかけて材料を塑性加工させる「圧延」を、室温の状態で行うことを指します。「冷」という文字があるものの、冷やして加工はせずに常温のままで加工を行います。冷間圧延での加工は、酸化膜が生じないことから、ミガキ材のキレイな表面が得られるようになります。 圧延加工は、冷間圧延以外に、熱間圧延があります。熱間圧延は材料を高温で軟化させてから圧延する方式で、小さい力でも圧延が可能です。熱間圧延により加工された鋼材は、黒色の酸化膜を生じることから「黒皮材」と呼びます。熱間圧延は、加工性に優れているほか、高温の材料をロールにより加工することで、金属の結晶が強固になり、粘り強い金属が得られます。ただし高温で加工するため、鋼材の表面が空気中の酸素と結合して酸化膜を生じます。 参考:SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品による使い分け 参考:【圧延】とは?工法、種類、製品例、圧延の発展の歴史についてご紹介! ミガキ材のメリットとデメリット ミガキ材のメリットは、表面が滑らかでキレイな点にあります。精度もある程度高く、寸法精度を出したい場合に適しています。 一方でミガキ材のデメリットは、冷間圧延により加工されたもののため、金属に力を加えて起こる加工硬化や、材料の内部に力が残っている残留応力の影響などを考慮しなければならない点です。 また、ミガキ材のコストは、黒皮材に比べて高い傾向にありますが、黒皮材の使用するまでに行う加工のコストを考慮すると、ミガキ材のほうが必ずしも割高になるというわけではありません。そのため、ミガキ材と黒皮材のどちらを選択するかは、加工コストや加工時間、用途などを含めて検討する必要があります。 ミガキ材の規格とサイズ寸法 ミガキ材は、【JIS G 3123:2004 みがき棒鋼】の規格があります。 JIS G 3123で規定されている、標準寸法は以下の表の通りです。 ●標準寸法(丸・六角・角)(単位mm) 形状 径・対辺距離 丸 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 22 23 24 25 26 28 30 32 35 36 38 40 42 45 48 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 六角 5.5 6 7 8 9 10 11 13 14 17 19 20 22 24 26 27 30 32 36 41 46 50 55 60 65 70 75 80 角 5 6 7 8 9 10 12 14 16 17 19 20 22 25 28 30 32 35 38 40 45 50 55 60 65 70 75 80 引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼 ●標準寸法(平)(単位mm) 厚さ 幅 3 9 12 16 19 22 25 32 38 50 4 9 12 16 19 22 25 32 38 50 4.5 9 12 16 19 22 25 32 38 50 5 9 12 16 19 22 25 32 38 50 6 9 12 16 19 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150 9 12 16 19 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150 12 19 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150 16 22 25 32 38 50 65 75 100 125 150 19 25 32 38 50 65 75 100 125 150 22 32 38 50 65 75 100 125 150 25 32 38 50 65 75 100 125 150 引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼 JIS G 3123:2004規定のみがき棒鋼の寸法許容差は、JIS B 0401-2の表22に基づき、軸hに対する公差等級を適用し、その値は以下表によります。 ●寸法許容差(単位 mm) 径 対辺距離 厚さ及び幅 軸hに対する公差等級 IT6 IT7 IT8 IT9 IT10 IT11 IT12 IT13 3以下 0 -0.006 0 -0.010 0 -0.014 0 -0.025 0 -0.040 0 -0.060 0 -0.10 0 -0.14 3を超え 6以下 0 -0.008 0 -0.012 0 -0.018 0 -0.030 0 -0.048 0 -0.090 0 -0.15 0 -0.22 6を超え 10以下 - 0 -0.015 0 -0.022 0 -0.036 0 -0.058 0 -0.090 0 -0.15 0 -0.22 10を超え 18以下 - 0 -0.021 0 -0.033 0 -0.052 0 -0.084 0 -0.13 0 -0.21 0 -0.33 18を超え 30以下 - 0 -0.021 0 -0.033 0 -0.052 0 -0.084 0 -0.13 0 -0.25 0 -0.33 30を超え 50以下 - 0 -0.025 0 -0.039 0 -0.074 0 -0.12 0 -0.19 0 -0.30 0 -0.46 50を超え 80以下 - 0 -0.030 0 -0.046 0 -0.074 0 -0.12 0 -0.19 0 -0.30 0 -0.46 80を超え 120以下 - 0 -0.035 0 -0.054 0 -0.087 0 -0.14 0 -0.22 0 -0.35 0 -0.54 120を超え 180以下 - - - - - - 0 -0.40 0 -0.63 備考1.偏径差又は偏差は、許容差の30%以下とする。 2.注文者の指定によって、軸h以外(例えば、軸g、jなど)の寸法許容差を採用してもよい。その場合の寸法許容差の数値は、JIS B 0401-2の表17から表32による。 引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼 JIS G 3123:2004規定のみがき棒鋼の、形状及び加工方法別に適用する公差等級は以下表によります。 ●形状及び加工方法別公差等級 形状及び 加工方法 丸 角 六角 平 研削 引抜き 切削 適用する 公差等級 IT6・IT7 IT8・IT9 IT8・IT9 IT10 IT11・IT12 IT13 IT10 IT11 IT11 IT12 IT12 IT13 備考.受渡当事者間の協定によって、上表以外の等級を用いてもよい。 引用元:JIS G 3123:2004 みがき棒鋼 ミガキ材と黒皮材との違い 引用元:株式会社三和鍍金 【言われてみれば】鋼材の黒皮ってなに? 黒皮材は、熱間圧延にて作られた鋼材のことで、表面が酸化皮膜で覆われています。ミガキ材と違って黒皮材の表面は、ミルスケールとも呼ばれる黒皮で覆われており、凹凸があり、精度に乏しい特徴があります。黒皮を除去するには、酸洗いで黒皮を溶かすか、研磨で物理的に除去します。 ミガキ材と黒皮材の違いについては、以下の表でまとめたので参考にしてください。 ミガキ材 黒皮材 ・冷間圧延加工された鋼材 ・表面がキレイで凹凸が少ない ・精度の高い加工に適している ・熱間圧延加工された鋼材 ・表面は凹凸があり、酸化被膜の黒皮で覆われている ・精度の高い加工には不向き
今回は、SGCCの特徴や板厚、各種性質、SECCやSGHCとの違いなどについて解説します。 SGCCは、溶融亜鉛めっき鋼板のことで、トタン板とも呼ばれる材料です。溶融亜鉛めっきを施していることで優れた耐食性を有しており、主に屋根板などの雨風にさらされるようなものに採用されています。 参考:亜鉛メッキ鋼板について専門家が解説!特徴や用途についてご紹介! SGCC(溶融亜鉛めっき鋼板)とは? SGCCは、冷延原板から製造された溶融亜鉛めっき鋼板です。 【JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯】に規定されている11種類の冷延原板の溶融亜鉛めっき鋼板のなかで唯一、一般用の用途として適用されている鋼板です。 SGCCの特徴と用途 SGCCは、溶融亜鉛めっきを施した鋼板のため、膜厚があり、耐食性に優れています。 SGCCは、その耐食性の高さから、雨風にさらされる雨どい、看板、屋根板、自動車、金属筺体製品などの用途で採用されています。 SGCCの板厚と寸法、サイズ SGCCの板・コイル・波板の適用する表示厚さ(めっき前の原板厚さ)は、【JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯】より、0.19mm以上3.2mm以下の値になります。 SECCやSPCC、SGHCとの違い SGCCは溶かした亜鉛のなかに鋼板を浸してめっきするのに対し、SECCは電気を用いて亜鉛めっきを施しています。SECCは、めっき層が薄くて均一なため、外観が比較的美しく、塗装がしやすい特徴があります。一方でSGCCは、めっき層が厚く、耐食性に優れているため、塗装せずに使用されることが多い材料です。SECCとSGCCは、どちらもSPCC(冷間圧延鋼板)を母材としており、材料特性は同等の値になります。SPCCは一般的な鋼板ですが、そのままでは錆びてしまうので、めっきや塗装処理を必要とします。 SGHCは、SGCCと同じ溶融亜鉛めっき鋼板かつ、JIS G 3302にて一般用に扱われているものになりますが、SGCCと違い熱延原板から作られています。また、SGHCの適用する表示厚さは、1.6mm以上6.0mm以下と、SGCCよりも厚みがあります。 参考:電気亜鉛めっきとは【3分でわかる】専門家がわかりやすく解説します! 参考:ボンデ鋼板(SECC)とは?特殊加工による錆止め効果!メリット・用途を解説! SGCCの性質 ここでは【JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯】に規定されている、各種性質について紹介します。 化学的性質 ●SGCCの化学的性質(単位:%) 種類の記号 C Mn P S SGCC 0.15以下 0.80以下 0.05以下 0.05以下 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 物理的性質 SGCCの物理的性質については、JIS G 3302:2019より規定がありません。 機械的性質 ●SGCCの機械的性質 種類の記号 曲げ性(a) 引張試験特性(b) SGCC 〇(c) - (a):非合金化めっきに適用し、合金化めっきには適用しない。 (b):表示厚さ0.25mm未満については、引張試験特性を適用しない。 (c):波板に使用する場合、曲げ性は適用しない。 非合金化めっきの板、コイル及び波板の曲げ性は、JIS G 3302の曲げ試験を行い、試験片の外側表面(試験片の幅の両端からそれぞれ7mm以上内側の部分)に、肉眼で認められる素地のき裂及び破断を生じてはならない。 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 ●SGCCの引張試験特性 種類の 記号 降伏点 又は耐力 N/mm2 引張強さ N/mm2 伸び % 試験片と方向 表示厚さ mm 0.25以上 0.40未満 0.40以上 0.60未満 0.60以上 1.0未満 1.0以上 1.6未満 1.6以上 2.5未満 2.5以上 SGCC - ※SGCCでは、降伏点又は耐力として205N/mm2以上、引張強さとして270N/mm2以上が使われることがある。 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 材質と成分 ●化学成分(単位:%) 種類の記号 C Mn P S SGCC 0.15以下 0.80以下 0.05以下 0.05以下 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 ●めっき浴成分(単位:%) Zn以外の元素 Zn 1.0以下 (a) 残部(b) (a):意図的に添加した元素の合計。 (b):不可避的に混入した元素を含むことがある。 引用元:JIS G 3302:2019 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 「SGCCを使用した金属部品の調達に困っている」 「SGCCが本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
今回はSGPの基礎知識について解説します。 SGPは、配管用炭素鋼鋼管のことで、水やガスなどの配管に使われています。市場に多く出回っているもので、ホームセンターでも入手が可能です。 一口にSGPと言っても、めっきの有無で種類や用途も異なります。この記事ではSGPの各種類の特徴や、SGPの接続方法について見てみましょう。 SGPとは? SGPとは、「配管用炭素鋼鋼管(Carbon steel pipes for ordinary piping)」と呼ばれる鋼管のことです。SGPの名前は「Steel Gas Pipe」の略称を表しています。 SGPは、製管方法が電気抵抗溶接の場合「E」、鍛接の場合は「B」の記号が付きます。 仕上げ方法によっても、熱間仕上げの場合は「H」、冷間仕上げの場合は「C」、電気抵抗溶接の場合は「G」の記号が付きます。(例:熱間仕上電気抵抗溶接鋼管の場合、SPG-E-Hの表記) 配管用炭素鋼鋼管の主な用途は、JIS G 3452にて、「使用圧力の比較的低い蒸気、水(上水道用を除く)、油、ガス、空気などの配管に用いる」ものとして記載があります。 SGPに適用される寸法は、外径10.5~508.0mmです。 SGP管の種類 引用元:日本水道鋼管協会 管の種類と用途 SGPは白管と黒管の2種類があります。ここでは白と黒の違いについて見てみましょう。 黒管 黒管のSGPは、表面処理がなく、外観が黒く見えるタイプです。主な用途は、蒸気配管・油配管・エアー配管などです。 白管 白管のSGPは、耐食性を高めるために亜鉛めっきが施されており、パイプの外側と内側ともに白色になっています。主な用途は、工業用水配管・空調設備配管・衛生設備配管・消火用配管などです。 白管に似たものとして、水配管用のパイプである「SGPW(水配管用亜鉛めっき鋼管)」もあります。SGPWは、見た目こそSGPの白管と同じパイプになりますが、亜鉛めっきの付着量が平均600g/m2以上と、JIS G 3442で規定されています。 一方でSGPの白管は、亜鉛めっきの付着量に規定がありません。 SGPの接続方法 ここでは、SGPの代表的な接続方法である、ねじ接合と溶接接合の方法について紹介します。 ねじ接合 引用元:モノタロウ 建築設備配管工事の基礎講座 3-1 炭素鋼鋼管(SGP)の切削ねじ接合方法 ねじ接合は、ねじ継手を使ったSGPの一般的な接続方法です。上図のようなねじ切り機によりパイプの両端をねじ加工し、ねじ継手を用いて接続します。 ただし、ねじ接続は加工と施工上の都合により、小口径管(65A程度まで)の配管で利用されています。 溶接接合 SGPは、溶接にて接合する場合もあります。 溶接接合は、口径の大きな管(65A~350A程度)や、強度が必要な場合、水密性・気密性などを要する場合に採用されます。溶接接合の方法にも種類があり、建築設備の施工ではガス溶接と被覆アーク溶接が一般的に利用されています。 SGPの性質 SGPの機械的性質と、化学的性質については以下の通りです。 機械的性質 ●SGPの引張強さ及び伸び 種類の記号 引張強さ 伸び % 引張試験片 引張試験方向 厚さ 3mmを超え 4mm以下 4mmを超え 5mm以下 5mmを超え 6mm以下 6mmを超え 7mm以下 7mmを超え 8mm未満 SGP 290以上 11号試験片 管軸方向 30以上 30以上 30以上 30以上 30以上 12号試験片 管軸方向 24以上 26以上 27以上 28以上 30以上 5号試験片 管軸直角方向 19以上 20以上 22以上 24以上 25以上 ※呼び径32A以下の管については、この表の伸びの規定は通用しないが、試験の結果を記録しておかなければならない。ただし、受渡当事者間の協定によって、伸びを規定してもよい。 引用元:JIS G 3452:2019 配管用炭素鋼鋼管 化学的性質 ●SGPの化学成分(単位:%) 種類の記号 P S SGP 0.040以下 0.040以下 ※必要に応じて上表に規定のない合金元素を添加してもよい。 引用元:JIS G 3452:2019 配管用炭素鋼鋼管 「SGPを使用した金属部品の調達に困っている」 「SGPが本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
リップ溝形鋼とは、Cチャンネルとも呼ばれる、断面がC字型の薄肉の鋼材のことです。軽量かつ高強度で、曲がりにくく、たわみにくいため、建築分野の様々な用途で使用されています。 主に鉄骨造の建物の補強材として用いられますが、高層ビル・橋梁などの構造材や基礎杭に用いられるH形鋼と比べると低強度です。しかし、背中合わせに組み合わせることで、強度の向上が図れることから、軽量鉄骨造の建物の柱や梁などに用いられることがあります。 この記事では、リップ溝形鋼とは何かというところから、リップ溝形鋼の規格や寸法、断面性能、強度、成分などについて解説していきます。 リップ溝形鋼とは 引用元:製品案内「軽量形鋼」中山三星建材株式会社 リップ溝形鋼とは、上図のような、C字型の断面形状を持つ薄肉の鋼材のことです。その形状から、「Cチャンネル」とも呼ばれます。軽量である割に強度が高く、加工性や施工性に優れていることから、重量鉄骨造の補足材や軽量鉄骨造の構造体などに用いられています。ただし、薄肉のために溶接が難しく、ボルトで接合することが多くなっています。 リップ溝形鋼は、H字型やL字型、C字型などの様々な断面形状を持つ「形鋼(かたこう)」と呼ばれる鋼材の一種です。その形鋼の中でも、肉厚が薄い「一般構造用軽量形鋼」に分類されます。その軽量形鋼の中には、軽溝形鋼や軽山形鋼、ハット形鋼などがありますが、リップ溝形鋼は、軽溝形鋼に断面が唇形状となるような、「リップ」と呼ばれる部位が付いた断面形状となっています(下図参照)。ちなみに、リップは補強材として役割があり、リップ溝形鋼は、同一の高さや幅、板厚の軽溝形鋼に比べて、断面性能が高くなっています。 リップ溝形鋼の具体的な用途としては、以下が挙げられます。 ●建築・建設…工場・倉庫・学校・体育館・病院などの重量鉄骨造である建築物の下地材(胴縁や母屋など)。事務所・住宅・プレハブ住宅・店舗・車庫などの軽量鉄骨造である建築物の構造材や下地材。 ●農業関係…ビニールハウス・鶏舎などの骨組み材。 ●その他…ラック・棚・仮設材・エアコン架台・パレットなどの各種材料。 また、リップ溝形鋼の多くは表面処理が施されていて、赤い錆止め塗料が塗布されているものや溶融亜鉛メッキされて白いものが流通しています。酸化皮膜に覆われた黒皮品など、表面処理されていないものもありますが、その場合は、錆止めのための塗装仕上げなどが必要です。 参考:亜鉛メッキ鋼板について専門家が解説!特徴や用途についてご紹介! リップ溝形鋼の規格と寸法 リップ溝形鋼は、一般構造用軽量形鋼の一種としてJIS規格(JIS G 3350:2021)に規定されています。 その中で、断面の標準的な寸法、断面積および単位質量が、以下として記載されています。なお、断面の角部の曲率半径は、板厚(t)の中心線で、通常「1.5t」とされています。 寸法 (mm) 断面積 (cm^2) 単位質量 (kg/m) 高さ [H] 辺 [A] リップ [C] 厚さ [t] 250 75 25 4.5 18.92 14.9 200 75 25 4.5 16.67 13.1 4.0 14.95 11.7 3.2 12.13 9.52 20 4.5 16.22 12.7 4.0 14.55 11.4 3.2 11.81 9.27 150 75 25 4.5 14.42 11.3 4.0 12.95 10.2 3.2 10.53 8.27 20 4.5 13.97 11.0 4.0 12.55 9.85 3.2 10.21 8.01 65 20 4.0 11.75 9.22 3.2 9.567 7.51 2.3 7.012 5.50 50 20 4.5 11.72 9.20 3.2 8.607 6.76 2.3 6.322 4.96 125 50 20 4.5 10.59 8.32 4.0 9.548 7.50 3.2 7.807 6.13 2.3 5.747 4.51 120 60 25 4.5 11.72 9.20 20 3.2 8.287 6.51 2.3 6.092 4.78 40 20 3.2 7.007 5.50 100 50 20 4.5 9.469 7.43 4.0 8.548 6.71 3.2 7.007 5.50 2.3 5.172 4.06 1.6 3.672 2.88 75 45 15 2.3 4.137 3.25 2.0 3.637 2.86 1.6 2.952 2.32 60 30 10 2.3 2.872 2.25 1.6 2.072 1.63 リップ溝形鋼の形状及び寸法の許容差 さらに、形状および寸法の許容範囲も下表のように定められています。 形状・寸法の区分 形状・寸法の許容差 高さ [H] 150mm未満 ±1.5mm 150mm~300mm ±2.0mm 300mm以上 ±3.0mm 辺 [A] 30mm~75mm ±1.5mm リップ [C] 10mm~25mm ±2.0mm 隣接する平板間の角度※ 90° ±1.5° 長さ 7m以下 +40mm 7m超 1m増すごとに+5mm 長さ方向の曲がり 全長の0.2%以下 厚さ [t] 1.6mm~2.0mm ±0.22mm 2.0mm~2.5mm ±0.25mm 2.5mm~3.15mm ±0.28mm 3.15mm~4.0mm ±0.30mm 4.0mm~5.0mm ±0.45mm 5.0mm~6.0mm ±0.60mm ※平板とは、下図の塗り潰し部分のことです。 リップ溝形鋼の断面性能 リップ溝形鋼は、上述したように、軽溝形鋼にリップを付けることで断面性能を向上させた鋼材です。 断面性能は、以下で説明している、重心位置や断面二次モーメント、断面二次半径、断面係数、せん断中心のような断面の性質によって特徴づけられます。 ●重心位置…断面を薄い板状の物体と捉え、その物体を水平に保持したときの重力のつりあいが取れる位置のことです。 ●断面二次モーメント…断面と平行方向の荷重が作用するときの曲げ変形に対する抵抗性のことで、この値が大きいほど曲げにくくなります。 ●断面二次半径…断面二次モーメントが、ある軸の回りに断面の面積が分布したときと等しくなるように、断面の全面積を一点に集中をさせたときのその点と軸との間の距離のことです。断面と垂直方向の荷重が作用するときの座屈(荷重と垂直方向にたわむ現象のこと)変形に対する抵抗性を示し、この値が大きいほどたわみにくくなります。 ●断面係数…断面と平行方向の荷重が作用するときの曲げ変形に対する材質に依らない抵抗性のことで、この値が大きいほど曲げにくくなります。 ●せん断中心…断面と平行方向の荷重が作用するとき、断面にねじれが生じず、曲げ変形のみが発生するようなせん断力の作用点のこと。 断面性能は、JIS規格にて、規定されている寸法ごとに算出された値が記載されており、それぞれのパラメータを以下のように定義すると、下図および下表の通りとなっています。 <断面性能を表すパラメータの定義> Cx, Cy:x方向、y方向の重心位置 Ix, Iy:x軸、y軸回りの断面二次モーメント Rx, Ry:x軸、y軸回りの断面二次半径 Zx, Zy:x軸、y軸回りの断面係数 Sx, Sy:x方向、y方向のせん断中心の位置 S.C.:せん断中心(Shear Center) 寸法 (mm) 重心位置 (cm) 断面二次 モーメント (cm^4) 断面二次半径 (cm) 断面係数 (cm^3) せん断中心 (cm) H×A×C t Cx Cy Ix Iy Rx Ry Zx Zy Sx Sy 250×75×25 4.5 0 2.07 1690 129 9.44 2.62 135 23.8 5.1 0 200×75×25 4.5 0 2.32 990 121 7.61 2.69 99.0 23.3 5.6 0 4.0 0 2.32 895 110 7.74 2.72 89.5 21.3 5.7 0 3.2 0 2.33 736 92.3 7.70 2.76 73.6 17.8 5.7 0 200×75×20 4.5 0 2.19 963 109 7.71 2.60 96.3 20.6 5.3 0 4.0 0 2.19 871 100 7.74 2.62 87.1 18.9 5.3 0 3.2 0 2.19 716 84.1 7.79 2.67 71.6 15.8 5.4 0 150×75×25 4.5 0 2.65 501 109 5.90 2.75 66.9 22.5 6.3 0 4.0 0 2.65 455 99.8 5.93 2.78 60.6 20.6 6.3 0 3.2 0 2.66 375 83.6 5.97 2.82 50.0 17.3 6.4 0 150×75×20 4.5 0 2.50 489 99.2 5.92 2.66 65.2 19.8 6.0 0 4.0 0 2.51 445 91.0 5.95 2.69 59.3 18.2 5.8 0 3.2 0 2.51 366 76.4 5.99 2.74 48.9 15.3 5.1 0 150×65×20 4.0 0 2.11 401 63.7 5.84 2.33 53.5 14.5 5.0 0 3.2 0 2.11 332 53.8 5.89 2.37 44.3 12.2 5.1 0 2.3 0 2.12 248 41.1 5.94 2.42 33.0 9.37 5.2 0 150×50×20 4.5 0 1.54 368 35.7 5.60 1.75 49.0 10.5 3.7 0 3.2 0 1.54 280 28.3 5.71 1.81 37.4 8.19 3.8 0 2.3 0 1.55 210 21.9 5.77 1.86 28.0 6.33 3.8 0 125×50×20 4.5 0 1.68 238 33.5 4.74 1.78 38.0 10.0 4.0 0 4.0 0 1.68 217 33.1 4.77 1.81 34.7 9.38 4.0 0 3.2 0 1.68 181 26.6 4.82 1.85 29.0 8.02 4.0 0 2.3 0 1.69 137 20.6 4.88 1.89 21.9 6.22 4.1 0 120×60×25 4.5 0 2.25 152 58.0 4.63 2.22 41.9 15.5 5.3 0 120×60×20 3.2 0 2.12 186 40.9 4.74 2.22 31.3 10.5 4.9 0 2.3 0 2.13 140 31.3 4.79 2.27 23.3 8.10 5.1 0 120×40×20 3.2 0 1.32 144 15.3 4.53 1.48 24.0 5.71 3.4 0 100×50×20 4.5 0 1.86 139 30.9 3.82 1.81 27.7 9.82 4.3 0 4.0 0 1.86 127 28.7 3.85 1.83 25.4 9.13 4.3 0 3.2 0 1.86 107 24.5 3.90 1.87 21.3 7.81 4.4 0 2.3 0 1.86 80.7 19.0 3.95 1.92 16.1 6.06 4.4 0 1.6 0 1.87 58.4 14.0 3.99 1.95 11.7 4.47 4.5 0 75×45×15 2.3 0 1.72 37.1 11.8 3.00 1.69 9.90 4.24 4.0 0 2.0 0 1.72 33.0 10.5 3.01 1.70 8.79 3.76 4.0 0 1.6 0 1.72 27.1 8.71 3.03 1.72 7.24 3.13 4.1 0 60×30×10 2.3 0 1.06 15.6 3.32 2.33 1.07 5.20 1.71 2.5 0 1.6 0 1.06 11.6 2.56 2.37 1.11 3.88 1.32 2.5 0 リップ溝形鋼は、同一寸法の軽溝形鋼と比べると、断面性能が高くなっています。例えば、軽溝形鋼においては、200×75×4.5(高さ[H]×辺[A]×厚さ[t])の断面性能のパラメータは、以下の通りで、リップ溝形鋼よりも値が低くなっています。 ・断面二次モーメント…(881cm^4, 78.0cm^4) ・断面二次半径…(7.64cm, 2.27cm) ・断面係数…(88.1cm^3, 13.7cm^3) リップ溝形鋼の機械的性質 鋼種記号 厚さの区分 (mm) 降伏点又は耐力 (N/mm^2) 引張強さ (N/mm^2) 伸び % SSC400 1.6~5.0 245以上 400~540 21以上 5.0~6.0 17以上 リップ溝形鋼の機械的性質は、JIS規格にて上表のように規定されています。 リップ溝形鋼は、SS400とほぼ同じ化学成分を持つ材質から、熱間圧延や冷間圧延によって製造されます。そのため、SS400とほぼ同じ強度を持ちます。 また、比較のため、SUS304の機械的性質を挙げると、以下の通りとなっています。 <SUS304の機械的性質> ・耐力…205 N/mm^2 以上 ・引張強さ…520 N/mm^2 以上 ・伸び…40 % 以上 リップ溝形鋼は、SUS304に比べて、近い強度を持っていますが、延性は低めです。 参考:一般構造用圧延鋼材(SS材)とは?【専門家が解説】素人でも3分で判ります リップ溝形鋼の化学成分 鋼種記号 化学成分 (%) 炭素 (C) リン (P) 硫黄 (S) SSC400 0.25以下 0.050以下 0.050以下 リップ溝形鋼の化学成分は、JIS規格にて上表のように規定されています。ただし、必要に応じて、炭素、リンおよび硫黄以外の合金元素を添加することが許されています。 なお、リップ溝形鋼はSS400とほぼ同じ化学成分を持っていますが、SS400には、リンと硫黄の規定しかなく、炭素の含有量は決まっていません。 リップ溝形鋼とCチャンネルの違い リップ溝形鋼とCチャンネルに違いはなく、同じ鋼材のことを示しています。JIS規格で規定されているように、リップ溝形鋼が正式名称で、この鋼材のことは、鋼材メーカーでもリップ溝形鋼と呼びます。 一方、Cチャンネルは、一般的に形鋼がチャンネルと呼ばれていることと、リップ溝形鋼の断面形状がC字型であることから用いられている呼び名です。建築分野では、Cチャンネルと呼ぶことが一般的となっています。 「リップ溝形鋼を使用した金属部品の調達に困っている」 「リップ溝形鋼が本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
STKMは機械構造用炭素鋼鋼管のことで、代表的なものとして自動車部品・家具部品・家電・支柱などの用途で採用されています。 一口にSTKMといっても、種類が豊富にあり、各種類で化学成分や機械的性質が異なります。また、サイズについても、継目無し鋼管や電気抵抗溶接鋼管などの種類によって違いがあります。 この記事では「STKMとはどういうもの?」といった疑問にお答えするほか、比重や分類についても解説します。 STKMとは? STKMとは、機械構造用炭素鋼鋼管のことを指します。STKMの記号は、S=Steel、T=Tube、K=構造、M=Machineを意味しています。 STKMはパイプ状の構造であるため、棒鋼よりも軽量に抑えられるほか、サイズのラインナップも豊富です。 また、STKMは細かく種類分けがされており、【JIS G 3445:2021 機械構造用炭素鋼鋼管】の規格にて、機械的性質の異なる22種類が規定されています。STKMの種類は、「STKM11A」のように、STKMの記号の後ろに11~20の数字とA~Cのアルファベットが付随することで判別されています。 STKMの比重 STKMの比重は、鉄鋼と同様に7.85の値となりますが、厳密には成分の違いによって多少の違いが出てきます。 STKMの分類 STKMは製法により大きく分けて【継目無し鋼管・電気抵抗溶接鋼管・鍛接鋼管】の3種類に分類されています。 ここからさらに、仕上げ方法【熱間仕上げ・冷間仕上げ・電気抵抗溶接したまま】の違いにより細かく分類されます。 これらの分類は“種類の記号”の後ろに“製造方法を表す記号”を付けることで、具体的な種類が判別できるようになっています。 詳細については下記表の通りです。 <種類の記号及び製造方法を表す記号> 種類 種類の記号 製造方法を表す記号 製管方法 仕上方法 11種 A STKM11A 継目無し:S 電気抵抗溶接:E 鍛接:B 熱間仕上げ:H 冷間仕上げ:C 電気抵抗溶接まま:G 12種 A STKM12A B STKM12B C STKM12C 13種 A STKM13A B STKM13B C STKM13C 14種 A STKM14A 継目無し:S 電気抵抗溶接:E 熱間仕上げ:H 冷間仕上げ:C 電気抵抗溶接まま:G B STKM14B C STKM14C 15種 A STKM15A C STKM15C 16種 A STKM16A C STKM16C 17種 A STKM17A C STKM17C 18種 A STKM18A B STKM18B C STKM18C 19種 A STKM19A C STKM19C 20種 A STKM20A ※製造方法を表す記号は、次による。ただし、“-”は空白でもよい。 1.熱間仕上継目無鋼管:-S-H 2.冷間仕上継目無鋼管:-S-C 3.電気抵抗溶接まま鋼管:-E-G 4.熱間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-H 5.冷間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-C 6.鍛接鋼管:-B 引用元:JIS G 3445:2021 機械構造用炭素鋼鋼管 例えば、STKM13Aの機械構造用炭素鋼鋼管かつ、継目無鋼管の熱間仕上げのものについては、“STKM13A-S-H”もしくは、“STKM13A S H”で表記されるということになります。 次に各種製管方法の特徴についても見てみましょう。 ●継目無し鋼管(シームレス鋼管) 継目無し鋼管は、別名「シームレス鋼管」とも呼ばれているもので、その名前の通り継目(seam)が無い(less)ことを表しています。 継目無し鋼管は溶接部がなく、全周にわたり凹凸がない均一性のある形状です。これによりねじれに強い特性をもちます。また、溶接では製造が難しい厚肉の鋼管を製造できるのもポイントです。 なお、継目無し鋼管は、鋼の塊をくり抜いて管を製造しています。 ●電気抵抗溶接鋼管(電縫鋼管) 電気抵抗溶接鋼管は、別名「電縫鋼管」とも呼ばれているもので、鋼板をまるめてパイプ状にしてから継目を電気抵抗溶接で接合したもののことです。 電気抵抗溶接鋼管は比較的生産性が高いのが特徴で、小径から中径サイズの製造が可能です。また、鍛接鋼管に比べて継目の強度が高い傾向にあります。一方で溶接ビードができてしまうので、用途によってはビードを削りとる必要があります。 ●鍛接鋼管 鍛接鋼管は、継目を鍛接によって接合したもののことです。 鍛接鋼管は、大量生産に適している点がメリット。一方で熱間加工による成形のため、鋼管の内側と外側に酸化鉄の皮膜が付着してしまい、表面性状に劣ります。 「STKMを使用した金属部品の調達に困っている」 「STKMが本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
合金鋼とは、鉄と炭素以外の合金元素を一定量以上含む鋼のことです。鋼の五元素と呼ばれる炭素やケイ素、マンガン、リン、硫黄を規定量以上含む合金や、その他の元素を一定量以上含有する鋼のことを指します。ステンレス鋼も合金鋼の一種であり、高張力鋼や工具鋼の一部も合金鋼に分類されます。その特徴は、種類によって様々であり、耐食性や耐熱性に優れるもの、強度が高いもの、加工性が良好なものなどがあります。この記事では、合金鋼の詳細や種類、種類によって異なる性質を解説していきます。合金鋼とは?特徴について合金鋼とは、炭素量が0.02~2.14%である炭素鋼に炭素以外の合金元素が一定量以上加えられた鋼のことです。化学成分による分類では、炭素鋼の対となる鋼であるとも言えます。普通鋼に対する特殊鋼を合金鋼と同一視することもあります。ISOでは、下表のように合金鋼が含む添加元素の含有率の下限が定められており、一つ又は複数の元素の含有率が下表の値を超える場合に合金鋼と呼びます。ただし、優れた効果を持つ元素であれば、下表の元素以外を含む場合でも合金鋼と呼ぶことがあります。(単位:%)アルミニウム(Al)ホウ素(B)コバルト(Co)クロム(Cr)銅(Cu)ランタン(La)モリブデン(Mo)ニオブ(Nb)0.10.00080.10.30.40.050.080.06ニッケル(Ni)鉛(Pb)セレン(Se)テルル(Te)チタン(Ti)バナジウム(V)タングステン(W)ジルコニウム(Zr)0.30.40.10.10.050.10.10.05参照元:国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)合金鋼は、含有する合金元素の総量によって、以下のように分類することがあります。●低合金鋼:5%以下●中合金鋼:5~10%●高合金鋼:10%以上合金鋼の意味は幅広く、耐熱鋼などの特定の機能を持つ高機能鋼や、高張力鋼(ハイテン)などの高強度鋼、マンガン鋼やニッケル鋼などの特定の元素を多量に含む鋼なども合金鋼です。よく知られたステンレス鋼も合金鋼に含まれます。したがって、その特徴は合金鋼の種類によって大きく異なり、耐食性や耐熱性が高いものや高い強度を持つもの、加工性が良いものなどと様々です。ただし、合金鋼に共通することとして、炭素鋼と比べて高価であり、市場に出回っている形状や寸法のバリエーションも貧弱であることが挙げられます。参考:鉄と鋼の違い(強度・重さ・硬さ)参考:鉄・鋼・鋳鉄の違いは炭素の量|鋳物の特徴など合金鋼の種類合金鋼には、様々な種類がありますが、ここでは代表的な合金鋼について紹介します。ステンレス鋼ステンレス鋼は、キッチンのシンクなどに使われている優れた腐食耐性を持つ合金鋼です。クロムの含有量が10.5%以上の鋼と定義されているため、高合金鋼に分類されます。クロムを多量に含有するものや、クロムとニッケルを多量に含有するものなど、その種類は多様です。耐食性に加えて、耐熱性に優れた鋼種や加工性を向上させた鋼種、孔食や応力腐食割れなどの一部のステンレス鋼の欠点を補った鋼種などがあります。耐熱鋼耐熱鋼とは、高温環境下においても優れた耐酸化性や強度、腐食耐性を保持する合金鋼のことです。エンジン部品や炉の材料などに用いられます。JIS規格においては、SUH(Steel Use Heat Resisting)で始まる「SUH31」などが耐熱鋼として規定されていますが、それらも化学成分上はステンレス鋼の一種です。「SUS304」などのオーステナイト系ステンレス鋼の一部も耐熱鋼に分類されています。そのほか、モリブデンを数パーセント含むモリブデン鋼や、クロムとモリブデンをわずかに含むクロムモリブデン鋼も耐熱鋼と呼ばれることがあります。高張力鋼(ハイテン)高張力鋼とは、高い引張強さを持つ合金鋼のことです。引張強さがおよそ490 MPa以上のものを指します。特に高強度のものでは1000 MPaを超えるものもあり、超高張力鋼と呼ばれます。なお、代表的な炭素鋼である「SS400」の引張強さは、400 MPaです。シリコンやマンガンなどの合金元素の添加や、金属組織の制御などを行うことで高い強度を実現しています。高圧容器や橋梁、建築のほか、船舶や鉄道車両、自動車のボディなどの材料に用いられます。特に、自動車向けには、高強度である分だけ薄くできるため、自動車の軽量化に役立っています。合金工具鋼・高速度工具鋼合金工具鋼と高速度工具鋼は、工作機械に用いられる工具鋼のうち、炭素工具鋼と呼ばれる炭素鋼が材料ではない工具鋼のことです。合金工具鋼は、炭素工具鋼では硬度や靭性、耐摩耗性などが不足する場合に、工具の材料として選ばれます。一方、高速度工具鋼は、ハイスとも呼ばれ、高温下の硬度や耐軟化性に強みがある工具の材料です。合金工具鋼と高速度工具鋼はそれぞれ、タングステンやクロム、モリブデン、バナジウムなどの合金元素を加えるなどして性質を調整したものです。クロムモリブデン鋼クロムモリブデン鋼とは、クロムを1%程度、モリブデンを0.15~0.45%含む合金鋼のことです。クロムとモリブデンの含有量は少なく、低合金鋼に分類されます。高い強度と靭性を示し、耐熱性にも優れています。溶接が容易で、焼入れを行いやすい素材です。クロムなどの鉄鋼の耐食性に貢献する化学成分を含みますが、それらの量は少なく、ステンレスほどの耐食性はありません。ボルトナット類やエンジン部品、自転車のフレームなどの用途がある合金鋼です。参考:SCM435(クロムモリブデン鋼)材質、硬度、強度、比重、用途合金鋼と錆金や白金などを除くほとんどの金属は、空気中の酸素や水分と反応して錆を生じます。その中でも鉄は、比較的錆びやすく、表面に酸化物の皮膜を生じて金属特有の光沢が失われます。この酸化物の皮膜が、錆と言われるものです。しかし、ステンレス鋼では、空気中においてクロムによって形成された数ナノメートルの酸化皮膜が表面を覆うことで金属内部の腐食を保護しています。さらに、その酸化皮膜が透明であり、外観がほとんど変化しないことから、ステンレスの酸化皮膜は錆と認識されていません。また、酸化皮膜の耐食性は、クロムの含有量が多いほど高くなり、12%程度に達するまで耐食性は向上します(下図左図)。もちろん、この酸化皮膜が破れると、そこから錆が生じる可能性があります。しかし、鋼中のクロムはその傷を自己修復する機能があるため、皮膜は瞬時に再生されます(下図右図)。引用元:日本製鉄株式会社(2005)「モノづくりの原点 科学の世界VOL.22」p2
FC200とは、ねずみ鋳鉄又は普通鋳鉄と呼ばれる鋳鉄の一種で、特に引張強さが200 MPa以上のものを指します。鉄鋼よりも強度が低いものの硬く、切削性に優れた素材です。耐熱性や耐摩耗性、振動減衰性にも優れるため、エンジン部品や耐磨耗部品などに用途があります。 しかし、塑性加工や溶接には向いていないため、鉄鋼のような万能性のある素材であるというわけではありません。 FC200の後部における3桁の数値は、引張強さを示しています。JIS規格においては、引張強さの異なるねずみ鋳鉄が6種類(FC100からFC350まで)定められています。 参考:鉄・鋼・鋳鉄の違いは炭素の量|鋳物の特徴など FC200の特徴と性質、比重 引用元:日立金属株式会社(2016)「日立金属技法vol.32」【表紙写真】p2 FC200は、硬くて脆い素材で、耐摩耗性に優れるほか、振動や騒音の吸収能が高いという特徴もあります。 これらの特徴は、FC200がねずみ鋳鉄であることに由来します。上図は、ねずみ鋳鉄の組織を示したもので、鉄鋼の組織である「パーライト」に「片状黒鉛」と呼ばれるフレーク状の黒鉛がランダムに分布しています。ねずみ鋳鉄は、この片状黒鉛によって、割れやすくなってしまいますが、振動を吸収する能力も獲得しています。さらに、片状黒鉛が摩擦に対する潤滑剤のような役割を果たすため、耐摩耗性が高くなっています。 FC200は、高い耐摩耗性から、軸受や歯車、ブレーキシュー、マンホールの蓋といった耐磨耗部品としての用途があります。比熱や熱伝導率も高いため、高温となりにくく、エンジンや油圧ポンプなどの部品にも用いられます。 また、FC200は、比重が7.2〜7.3と鉄鋼の約7.8と比べて小さいため、自動車などの部品に使用する場合には鉄鋼を使用する場合に比べて軽量化が可能です。 FC200の化学成分 FC200は鋳鉄であるため、鋳鉄の定義上、炭素(C)を2.14〜6.67%、ケイ素(Si)を約1〜3%含みます。それ以外の化学成分は特にJIS規格で定められておらず、販売者と購入者の間で決められるものとされていますが、主に出回っているのは炭素量が2.5〜4.0%、ケイ素が0.8〜3.0%程度のものです。 一部の販売者は、特定の指定がない場合のFC200の化学成分を公表しています。下表は、その一例です。 材質名 C(%) Si(%) Mn(%) P(%) S(%) Ti(%) FC200 2.70~ 3.85 2.30~ 3.20 0.80 以下 0.150 以下 0.040 以下 0.10~ 0.40 参照元:株式会社泰平 FC200の機械的性質 材質名 引張強さ(MPa) ブリネル硬さ(HB) FC200 200以上 223以下 FC200の機械的性質は、JIS規格(JIS G5501:1995)にて上表のように定められています。 FC200は、鉄鋼と比べると、強度が低いものの硬い素材です。硬いために脆くもあります。例えば、SS400は、引張強さが400 MPa以上で、ブリネル硬さが130程度です。 参考:【SS400】とは!?SS400の規格や加工方法について専門家が解説! FC200の物理的性質 材質名 密度 g/cm3 比熱 J/(kg・K) (0~200℃) 線膨張係数 10-6/K (0~200℃) 熱伝導率 W/(m・K) 比抵抗 μΩ・cm ヤング率 103MPa FC200 7.2〜 7.3 502~ 544 11.5~ 12.0 50.2~ 54.4 75~ 85 95〜 120 参照元:いものびと講座 FC200の物理的性質は、上表の通りです。 FC200は、SS400などの鉄鋼と比べると、鉄よりも軽量な炭素を多く含むため、密度は低くなっています。一方、比熱はSS400よりも1割程度高くなっています。また、FC200のヤング率の値は、SS400の2分の1程度と小さく、それゆえにFC200の引張強さも小さくなっています。そのほかの物理的性質は、鉄鋼と大きな違いはありません。 FC200の加工について|向き不向き FC200は、切削加工には向いていますが、塑性加工や溶接には向いていません。 FC200内部には片状黒鉛が分布しています。そのため、片状黒鉛が存在する箇所から剥がれやすく、また割れやすくなっています。切削加工を施すと、細かな切り屑が生じます。FC200は、硬度が高いものの切り屑が小さいために切削抵抗が小さくなり、また切り屑が潤滑剤としての役割も果たすため、切削性に優れます。 一方、FC200は、鉄鋼に比べて展延性に劣るため、塑性加工には適していません。炭素の含有量が多いことから加工硬化も起こしやすく、余計に塑性加工を困難にしています。 また、FC200は、溶接の熱影響部が硬化して割れる「溶接割れ」が生じやすくなっています。溶接割れは、炭素量が多いほど起こりやすいため、鉄鋼よりも炭素含有率が高いFC200は溶接が困難です。 参考:加工硬化とはどんな現象?仕組み・影響・扱い方をご紹介! 「FC200を使用した金属部品の調達に困っている」 「FC200の加工が自社でできなくて困っている」 そのような方に向けてMitsuriでは、見積から発注までWEB上で行えるサービスを提供しております。お手持ちの図面を登録すると、加工可能な工場から見積が届きます。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
SPHCとは、熱間圧延軟鋼板の一種で、【JIS G 3131:2018 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】に規定されている材料です。 SPHCのように、高温で圧延された鋼板は別名「HOT(ホット)」とも呼ばれています。熱間圧延した鋼板は、焼けた状態で空気中にさらされることで、「黒皮(クロカワ)」と呼ばれる酸化被膜(ミルスケール)が発生します。これは名前の通り、表面が黒に近い色をした皮膜のことで、黒皮が鋼板を覆い、新品である鋼板のキズや錆びを保護します。 しかし黒皮は、小さな穴(ピンホール)があったり、ボロボロと剥がれ落ちたりと、安心して錆びから守るには心もとないものです。そのため製品として利用する際は、黒皮を除去し、めっきや塗装を施して使うことがほとんどです。 参考:【圧延】とは?工法、種類、製品例、圧延の発展の歴史についてご紹介! [adrotate banner="26"] SPHCとは?特徴と用途 SPHC(steel plate hot commercial)は、【JIS G 3131 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】のなかでも一般用と分類されている材料です。用途としては自動車・電気機器・機械部品などが挙げられます。 SPHCは冷間圧延鋼板に比べて製作工程が少なく、比較的安価に手に入れられます。また、柔らかい材料であるため、曲げ加工性に優れているのも特徴です。 しかしSPHCは、引張強さが270MPa以上の規定であるため、あまり強度が求められる場所には不向きです。市場に多く流通しているほか、価格が安い点が魅力ですが、コストを下げるためにSS材から代用する場合は、強度の仕様を満たしているか確認しておきましょう。 また、SPHCの板厚は、1.2~14mmが適用厚さとして【JIS G 3131】で規定されています。板厚に対しての寸法の許容値は以下の表の通りです。 <SPHCの厚さの許容差> 厚さ 幅(mm) 1200未満 1200以上 1500未満 1500以上 1800未満 1800以上 2300以下 1.60未満 ±0.14 ±0.15 ±0.16 ※幅1600未満に ついて適用する - 1.60以上2.00未満 ±0.16 ±0.17 ±0.18 ±0.21 ※幅2000未満に ついて適用する 2.00以上2.50未満 ±0.17 ±0.19 ±0.21 ±0.25 ※幅2000未満に ついて適用する 2.50以上3.15未満 ±0.19 ±0.21 ±0.24 ±0.26 3.15以上4.00未満 ±0.21 ±0.23 ±0.26 ±0.27 4.00以上5.00未満 ±0.24 ±0.26 ±0.28 ±0.29 5.00以上6.00未満 ±0.26 ±0.28 ±0.29 ±0.31 6.00以上800未満 ±0.29 ±0.30 ±0.31 ±0.35 8.00以上10.0未満 ±0.32 ±0.33 ±0.34 ±0.40 10.0以上12.5未満 ±0.35 ±0.36 ±0.37 ±0.45 12.5以上14.0以下 ±0.38 ±0.39 ±0.40 ±0.50 引用元:JIS G 3131:2018 SPHCの比重・密度 SPHCの比重は鉄と同じく7.85(密度7.85g/cm3)です。SPHCに限らず、同じ【JIS G 3131】規格内にあるSPH材は、全て同じ値を示します。 SPHCの化学成分 <熱間圧延軟鋼板及び鋼帯の化学成分(単位:%)> 種類の記号 C(炭素) Mn(マンガン) P(リン) S(硫黄) SPHC 0.12以下 0.60以下 0.045以下 0.035以下 SPHD 0.10以下 0.45以下 0.035以下 0.035以下 SPHE 0.08以下 0.40以下 0.030以下 0.030以下 SPHF 0.08以下 0.35以下 0.025以下 0.025以下 ※必要に応じて、この表以外の合金元素を添加してもよい。 引用元:JIS G 3131:2018 上表は【JIS G 3131:2018 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】に記述されている、SPH材の化学成分表を抜粋したものです。 SPHCの機械的性質 <熱間圧延軟鋼板及び鋼帯の機械的性質(引張強さ・伸び)> 種類の記号 引張強さ MPa (N/mm2) 伸び % 引張試験片 厚さ mm 1.2以上 1.6未満 1.6以上 2.0未満 2.0以上 2.5未満 2.5以上 3.2未満 3.2以上 4.0未満 4.0以上 SPHC 270以上 27以上 29以上 29以上 29以上 31以上 31以上 5号試験片 圧延方向 SPHD 270以上 30以上 32以上 33以上 35以上 37以上 39以上 SPHE 270以上 32以上 34以上 35以上 37以上 39以上 41以上 SPHF 270以上 37以上 38以上 39以上 40以上 40以上 42以上 ※受渡当事者間の協定によって、引張強さの上限値として次の値を適用してもよい。 SPHC:440N/mm2、SPHD:420N/mm2、SPHE:400N/mm2、SPHF:380N/mm2 引用元:JIS G 3131:2018 上表は【JIS G 3131:2018 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】に記述されている、SPH材の機械的性質表を抜粋したものです。 SPHCは一般用として規定されていますが、その他の材質は加工用としての規定がされています。加工用の材質はSPHCに比べて炭素量が少なく、伸びに優れているのが特徴です。 SPHCと他材料との違い SPHCとSS400との違い SPHC SS400 名称 熱間圧延軟鋼板 一般構造用圧延鋼材 引張強さ 270N/mm2 400~500N/mm2 規格 JIS G 3131で規定 JIS G 3101で規定 特徴 ・価格が安価 ・曲げ加工性に優れる ・強度に優れる ・板厚の種類が幅広い SPHCとSS400の大きな違いは引張強さになります。SS400のほうが数値が高いため、強度が求められる箇所では、SPHCは不向きです。また、SS400のほうが、板厚の厚みがあるラインナップが豊富にあります。 参考:【SS400】とは!?SS400の規格や加工方法について専門家が解説! 参考:一般構造用圧延鋼材(SS材)とは?【専門家が解説】素人でも3分で判ります SPHCとSPCCとの違い SPHC SPCC 名称 熱間圧延軟鋼板 冷間圧延鋼板 製造方法 高温で圧延する 常温で圧延する 規格 JIS G 3131で規定 JIS G 3141で規定 特徴 ・酸化被膜(黒皮)があり、 錆の進行を抑えられる ・値段が安価 ・精度が高い SPCCは、冷間圧延鋼板(Steel Plate Cold Commercial)の常温で圧延した鋼板であるため、製造方法やJIS規格が異なります。 特徴としては、SPHCはSPCCと比べて冷間圧延の工程がない分、価格が安価です。しかし寸法精度や外観の良さには劣ります。 それぞれのJIS規格で定められている適用厚さに対しても、SPHCが1.2~14mmであるのに対し、SPCCは0.1~3.2mmといった違いもあります。 参考:【SPCC基礎知識】他材料とどう違う?板厚、材質、降伏点、比重、ヤング率 SPHCとSPHC-Pとの違い SPHC-Pは、SPCHにある黒皮を酸で取り除いたもののことで、「酸洗(サンセン)」とも呼びます。SPCHに比べて、酸洗は塗装性が向上しているのが特徴です。 黒皮はキズや腐食を防止しますが、触れるとボロボロと剥げ落ちたり、ピンホールがあったりするため、防錆効果が高いわけではありません。基本的にSPHCを用いる際は、黒皮を落とし、塗装などの表面処理を施すことで、防錆効果を持たせていますが、その黒皮の除去方法のひとつとして酸洗処理があります。 SPHCのQ&Aまとめ Q1.SS材をSPHCで代用する際の注意点を教えてください。 SPHCは強度が求められる場所には不向きです。強度の仕様を満たすか確認しておきましょう。 Q2.SPHCは、SS400とどう違うのですか? 大きな違いは引張強さです。SPHCは270N/mm2、SS400は400~500N/mm2です。強度が求められる箇所では、SPHCは不向きです。 Q3.SPHCは、SPCCとどう違うのですか? SPHCは、SPCCと比べて冷間圧延の工程がありません。そのため価格が安価です。ただし、寸法精度と外観の良さはSPCCより劣ります。 Q4.SPCCとSPHCはどう使い分けるのでしょうか? SPCCとSPHCが被る板厚は「1.6mm」「2.3mm」「3.2mm」です。このような板厚を使う場合は、精度が必要な外観にSPCC、見えない場所にはSPHCと使い分けることが多いです。 Q5.SPHCとSPHC-Pはどう違うのですか? SPCH-Pは、SPCHの黒皮を酸で取り除いたものです(酸洗)。SPHCよりも、塗装性が向上しています。 「SPHCを使用した金属部品の調達に困っている」 「SPHCが本当に適切な材料かわからない」 そのような方に向けてMitsuriでは、部品の見積り依頼時に「鉄(おまかせ)」としても依頼が可能です。ご依頼の際に用途や設置場所を詳しく記載していただければ、加工が可能な工場が適切な材料を用いて見積り・加工を行います。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。
S25Cは、主に機械部品に用いられる鋼材です。SC(Steel Carbon)材と呼ばれる炭素鋼の一種で、JIS規格では機械構造用炭素鋼として規定されています。S25Cの比重は7.84~7.86です。 炭素鋼の中でも炭素含有率が0.25%と低く、低炭素鋼に分類される比較的軟らかい素材です。炭素鋼は熱処理を施すことで強靭化しますが、炭素量の少ないS25Cは焼入れを適用しても強度はほとんど向上しません。そのため、熱処理を行うことなく、加工後にそのまま使用されることが多い素材となっています。 市場にも豊富に出回っており、優れた品質かつ多様なサイズの材料を容易に入手可能です。 S25Cの特徴、用途 S25Cの特徴は、熱処理を施さずに使用する低炭素鋼の中では高い強度を持つことです。また、S25Cは、加工性も良く、溶接も可能です。そのため、加工費を抑えたい場合に適しています。 用途としては、特別に高い強度を必要としないネジやボルト、ナット、ピン、機械の構造材などが挙げられます。品質が高いことから、機械部品の材料としても多く採用されています。 S25Cの化学成分 鋼種名 C(%) Si(%) Mn(%) P(%) S(%) Ni(%) Cr(%) Cu(%) Ni+Cr (%) S25C 0.22~ 0.28 0.15~ 0.35 0.30~ 0.60 0.030 以下 0.035 以下 0.20 以下 0.20 以下 0.30 以下 0.35 以下 S45C 0.42~ 0.48 0.15~ 0.35 0.60~ 0.90 0.030 以下 0.035 以下 0.20 以下 0.20 以下 0.30 以下 0.35 以下 S25Cの化学成分は、JIS規格(JIS G 4051:2016)で上表のように規定されています。比較のため、S45Cの化学成分も記載しています。 S25CやS45CなどのSC材は、上表のように化学成分が詳細に規定されています。そのため、引張り強さの下限で規定されているSS400と比べ、化学成分のバラツキが小さく鋼材としての信頼性が高くなっています。 参考:【SS400】とは!?SS400の規格や加工方法について専門家が解説! S25CとS45Cの違い S25CとS45Cの違いは、炭素含有率です。 S25Cの名称に含まれる「25」は、炭素含有率の代表値「0.25%」を示しています。これに準じ、S45Cの炭素含有率の代表値も「0.45%」となっています。 また、S28C以上に共通することですが、S45Cでは、マンガン(Mn)の含有率がS25Cに比べて高く規定されています。その理由は、炭素含有率の高いS45Cなどでは、焼入れ等の熱処理を施して使用することが多いからです。マンガンの添加によって、熱処理時に硬化しやすくなるとともに、靭性を維持したまま材料の強度を向上させる効果があります。 参考:SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品による使い分け S25Cの機械的性質 熱処理 降伏点 (MPa) 引張強さ (MPa) 伸び (%) 硬さ (HB) 焼なまし − − − 121〜183 焼ならし 265 以上 440 以上 27 以上 123〜183 S25Cの機械的性質は、JIS規格で規定されているわけではありませんが、直径25mmの標準試験片については上表のように報告されています。焼なまし後と焼ならし後の機械的性質を示しています。 焼なましは、加熱後にゆっくりと冷却する熱処理で、鋼を可能な限り軟らかくする方法です。一方、焼ならしは、加熱後に空冷で冷却する熱処理で、機械的性質の改善や切削性の向上が期待できる方法です。 S25Cの熱処理 S25Cは、焼なまし又は焼ならしの状態に近い材料を加工し、加工後に熱処理を施すことなく使用されることが多い素材です。 炭素鋼は、熱処理を行うことで強度を向上させて用いることが多い材料です。しかし、S25Cは、炭素含有率が小さいために焼入れなどによる強度の向上はあまり期待できません。とは言え、低炭素鋼の中では高い強度を持つため、熱処理なしでも機械構造用として十分な強度があります。 なお、S25Cに焼なましを行う場合、およそ850℃に加熱後、材料を炉の中に入れたまま、炉の自然な温度低下に合わせて冷却する炉冷を実施します。一方、焼ならしを行う場合、860〜910℃に加熱後、空冷によって冷却します。 参考:鋼の性質を変える【熱処理】とは?仕組みや種類について徹底解説! S25Cの物理的性質 鋼種名 融点 ℃ 密度 g/cm3 比熱 J(kg・K) 熱膨張係数 10-6/K 熱伝導率 W/(m・K) 電気抵抗 μΩ・cm ヤング率 GPa ポアソン比 S25C 1660~ 1770 7.84~ 7.86 0.474~ 0.494 10.7~ 11.6 44~60 13.3~ 19.7 205〜 206 0.27~ 0.29 S25Cの物理的性質は、上表の通りです。ただし、S25Cそのものの値ではなく、炭素量が近い炭素鋼の値ですので、注意してください。 S25Cの加工性 S25Cの加工性は良好であり、溶接も問題なく行うことが可能です。 ただし、焼なまし後のS25Cは軟らかいため、切削加工時に切り屑が切断されず、工具に絡んだり、絡んだ切り屑で素材を傷つけたりすることがあります。その場合、工具の送り量を上げたり、切り込みを深くしたりするなどの対処が必要です。また、被削性が良い焼ならし後のS25Cを採用するという方法もあります。 S25Cの溶接性は良好です。しかし、材料ごとの化学成分のバラツキや化学成分の偏在により、溶接部において割れの原因となる硬化などが起こることがあります。また、熱間圧延時の酸化スケールが残っている黒皮材に対しては、溶接前に研磨を施して鉄の生地を露出させる必要があります。 「S25Cを使用した金属部品の調達に困っている」 「S25Cの加工が自社でできなくて困っている」 そのような方に向けてMitsuriでは、見積から発注までWEB上で行えるサービスを提供しております。お手持ちの図面を登録すると、加工可能な工場から見積が届きます。鉄部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。