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この記事を監修する専門家有限会社大川板金取締役 大川嘉雄 氏創業50年、板金加工・機械加工等の金属加工を手掛ける有限会社大川板金で取締役を務める。10年以上の金属加工でのキャリアを活かし、コンサルタントとしてMitsuriのアドバイザーを兼務。町工場の3K(きつい、汚い、危険)イメージを変え、カッコいい人達で溢れる職場を目指している。今回は幾何公差の基礎知識について解説します。幾何公差とは、物体の形状・姿勢・位置関係などの誤差の許容値を表します。設計図面で指示された形状などに加工しようとしても、完全に正しい状態(幾何学的に正しい直線・円・平面)に仕上げることはできません。そこで、どの程度まで歪みやズレを許容できるかを数値化したものとして幾何公差を用います。厳しすぎる公差での設計は要注意!精度を出せる切削加工の場合でも、公差を厳しくしすぎるとお見積り提出に至らない場合があります。こちらの動画では、どのような場合に加工不可となるのか解説していますのでぜひご覧ください!Youtubeにて、金属加工Mitsuriチャンネルを運営中!こちらからご覧ください!幾何公差とは?幾何公差とは、とある物体の形状の幾何学的な精度を表す指標のことで、わかりやすく説明すると、設計で意図している形状・姿勢・位置関係などの歪みやズレの許容値を意味します。似た単語として「寸法公差」がありますが、寸法公差は図面で記述されている寸法の許容誤差範囲を示しています。寸法公差だけ指示した場合、設計者の意図する正しい形状には指示しきれないため、幾何公差を用いる必要があります。幾何公差の分類幾何公差には、大きく分けて「単独形体」と「関連形体」があります。これらをさらに細かく分類すると、「形状公差」「姿勢公差」「位置公差」「振れ公差」の4つに分かれます。●単独形体:形状公差●関連形体:姿勢公差・位置公差・振れ公差単独形体とは、形状に対して、単独で指定できる幾何公差のことです。幾何公差の分類の「形状公差」が単独形体に該当します。関連形体とは、何か基準となる相手との関係を示す必要がある幾何公差のことです。「姿勢公差・位置公差・振れ公差」の3種類が関連形体に該当します。以上のことを踏まえ、それぞれの幾何公差の分類について、どのように図示するかの例と意味について解説します。形状公差引用元:アイアール技術者教育研究所 【機械製図道場・上級編】幾何公差の図示を習得!幾何公差の種類・特性・記号は?データムって何?上図左は、形状公差の平面度を図示している例です。面の幾何公差を指示するために、外形線に指示線を入れて、幾何公差の記入枠と結び付けます。幾何公差記入枠には、平面度を示す記号と許容差の数値を記入することで、幾何公差を指示します。上図の例の場合、幾何学的平面から0.1mm以内の歪みで仕上げるように指示しています。姿勢公差引用元:引用元:アイアール技術者教育研究所 【機械製図道場・上級編】幾何公差の図示を習得!幾何公差の種類・特性・記号は?データムって何?上図左は、姿勢公差の直角度を図示している例です。上図左で記入されている「A」の記号は、「データム記号」と呼ばれるものです。データムとは、関連形体の幾何公差を決めるために設定された、理論的に正確な幾何学的基準のことで、「指定された幾何公差に基づいて加工や検査をする際は、この面または線を基準としてください」という意味を持ちます。このことから、上図では、基準面である底面Aに対して、図示している垂直面が0.05mm以内のズレで仕上げることを指示しています。位置公差引用元:アイアール技術者教育研究所 【機械製図道場・上級編】幾何公差の図示を習得!幾何公差の種類・特性・記号は?データムって何?上図左は、位置公差の同軸度を図示している例です。上図左のように、軸線または中心平面に対して幾何公差を指示する場合は、寸法線と一直線上に向き合うようにして支持線を記入します。上図では、径の大きい方の円筒部の軸心を基準とし、径の小さい方の円筒部の軸心のズレが0.05mm以内に収まるように指示しています。振れ公差引用元:アイアール技術者教育研究所 【機械製図道場・上級編】幾何公差の図示を習得!幾何公差の種類・特性・記号は?データムって何?上図左は、振れ公差の全振れを図示している例です。振れとは、上図右のように、円筒を軸心まわりに回転させると、表面の微細な凹凸により、真円のものと比べてズレが生じることを指します。今回ご紹介している全振れの場合は、全周にわたり公差内に収めることを要求する意味を持ちます。そのため上図では、データム軸直線を中心に回転させた、小さい方の円筒の振れが全周0.03mm以内であることを図示しています。幾何公差の種類単独形体である形状公差は、以下の6つの特性があります。●単独形体(形状公差):真直度、平面度、真円度、円筒度、線の輪郭度、面の輪郭度関連形体である姿勢公差・位置公差・振れ公差は、それぞれで以下の特性があります。●関連形体(姿勢公差):平行度、直角度、傾斜度、線の輪郭度、面の輪郭度●関連形体(位置公差):位置度、同軸度、同芯度、対称度、線の輪郭度、面の輪郭度●関連形体(振れ公差):円周振れ、全振れここでは、幾何公差の各特性についての意味をご紹介します。真直度指定面や軸が、どれだけ変形しているかを表す幾何公差。平面度平面からどれだけ変形しているかを表す幾何公差。真円度真円からどれだけ変形しているかを表す幾何公差。円筒度円筒状のものが、どれだけ真っ直ぐかつ、丸いかを表す幾何公差。線の輪郭度母線形状がどれだけ変形しているかを表す幾何公差。面の輪郭度線の輪郭度のような二次元の線ではなく、表面形状からどれだけ変形しているかを表す幾何公差。平行度データム直線またはデータム平面に対して、どれだけ直線や平面が平行であるかを表す幾何公差。直角度データム直線またはデータム平面に対して、どれだけ直角から傾いているかを示す幾何公差。記述する数値は、角度ではなく、mm単位で表します。傾斜度データム直線またはデータム平面に対して、どれだけ指定角度(90°を除く)から傾いているかを表す幾何公差。直角度と同様に、角度ではなくmm単位で表します。位置度データムまたは他の形体に関連して定められた点、直線、平面に対して、どれだけ位置ズレしているかの幾何公差。同心度データム円の中心に対して、他の円の中心位置がどれだけズレているかを表す幾何公差。同軸度データム軸直線と同一直線上にあるべき軸線が、どれだけ正確な位置からズレているかを表す幾何公差。対称度データム軸直線またはデータム中心平面に対して、互いに対称であるべき形体がどれだけ正確な位置からズレているかを表す幾何公差。円周振れデータム軸直線を軸とする回転体を回転させたとき、指定した任意の箇所がどれだけズレているかを表す幾何公差。全振れデータム軸直線を軸とする回転体を回転させたとき、その表面がどれだけ振れているかを表す幾何公差。幾何公差の記号一覧ここまで幾何公差の特性の意味について解説しました。幾何公差の記号については、以下の表をご参考ください。<単独形体 幾何公差の表>※JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式を参考に作成形状公差は、単独形体の幾何公差のため、データム指示は不要です。ただし「線の輪郭度」と「面の輪郭度」については、関連形体の姿勢公差と位置公差の用途で用いる場合があります。その際はデータム指示が必要です。<関連形体 幾何公差の表>※JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式を参考に作成姿勢公差・位置公差・振れ公差は、関連形体の幾何公差のため、基本的にデータム指示が必要です。ただし、位置度においては、条件によってデータムを不要とする場合もあります。
公差記号とは公差とは「許容される差」を意味します。例えば、製作する部品の寸法が10mmで図面には「公差+0.5」と記載されている場合、完成品の該当箇所が10.5mmとなっても許容範囲内とし品質に問題はないということになります。公差は大きく分けて、普通公差(一般公差)と寸法公差の2種類に分けられます。その寸法公差の中には幾何公差というものがあり、さらに幾何公差の中にも「形状公差」「姿勢公差」「位置公差」「振れ公差」の4つがあります。参考記事:【公差】とは?基本的な定義や許容差との違い・板金加工における公差について解説します!参考記事:【板金加工 図面】図面の基礎を徹底解説!書き方・読み方・必要性公差記号はたくさんあるので慣れないうちは覚えるのに苦労するかもしれません。今回はより楽しく覚えられるようにクイズ形式で記号を紹介していきます!どれも図面でよく使われる記号ですので、全問正解目指して頑張ってください!第1問この記号は何を指定するものでしょうか?①四角さの指定②最も出っ張った部分と最もへこんだ部分の指定③直角の指定答え:②平面度を指す記号。どのくらい正確に平らな面にするべきかの表面の凹凸加減を指定します。最も出っ張っている部分と最もへこんでいる部分が、上下に離れた2つの平面の間に挟まれた一定の距離でなければいけません。第2問この記号は何を指定するものでしょうか?①真っ直ぐの指定②平行さの指定③垂直さの指定答え:①真直度を指す記号。どれくらい真っ直ぐにするべきかを指定します。直線に適用され、中心線や母線などの曲がりを表します。そのため、長尺物を始めとする反りの許容などに利用されます。第3問この記号は何を指定するものでしょうか?①丸さの指定②丸さと真っ直ぐさの指定③丸さと平行さの指定答え:②円筒度を指す記号。まんまるさと真っ直ぐさを指定します。どれくらい正確な円筒形にするべきなのか、そして円筒のゆがみを表します。第4問この記号は何を指定するものでしょうか?①曲面(断面)が注文した通りにできているかの指定②曲面(表面)などが注文した通りにできているかの指定③まんまるさの指定答え:②面の輪郭度を指す記号。曲面(表面)などがデザインした通りにできているかを指示します。面の輪郭度は線の輪郭度と異なり、指定曲面の全体が対象です。第5問この記号は何を指定するものでしょうか?①データム(基準となる平面、直線)に対して、どのくらい正確に直角であるかの指定②データムに対して、どのくらい真っ直ぐであるかの指定③データムに対して、どのくらい2つの平面または直線が平行であるかの指定答え:③平行度を指す記号。平行度には基準となる平面、直線である「データム」が存在します。第6問この記号は何を指定するものでしょうか?①データムに対して、どのくらい真っ直ぐであるかの指定②データムに対して、どのくらい正確な位置にあるかの指定③データムに対して、どのくらい正確に直角であるかの指定答え:③直角度を指す記号。データムに対して、どのくらい正確に直角であるかを指定します。ちなみに、直角度で指定する単位は角度ではなくmmで表記します。第7問この記号は何を指定するものでしょうか?①データムに対して、どのくらい正確に傾斜しているかの指定②データムに対して、どのくらい正確に直角であるかの指定③傾斜がどのくらいあるのかの指定答え:①傾斜度を指す記号。指定する直線や平面が90°以外であり、データムに対して正確に傾斜されているかを指定します。こちらも直角度と同様、傾斜度で指定する単位は角度ではなくmmで表記します。第8問この記号は何を指定するものでしょうか?①データムに対して、垂直であることの指定②データムに対して、対称であることの指定③データムに対して、どのくらい正確な位置にあるかの指定答え:③位置度を指す記号。データムに対してどのくらい正確な位置にあるのか、その精度を指定します。第9問この記号は何を指定するものでしょうか?①回転させたときの任意の円周の一部の振れの指定②回転させたときの表面全体の振れの指定答え:①円周振れを指す記号。部品を回転させたときの任意の円周の一部の振れを指定します。円周振れは部品を回転させたときに生じる測定値の振れが、規定の範囲内にする必要があります。第10問この記号は何を指定するものでしょうか?①回転させたときの任意の円周の一部の振れの指定②回転させたときの表面全体の振れの指定答え:②全振れを指す記号。部品を回転させたときに生じる表面全体の振れを指定します。全振れは円筒面全体の測定値の振れが規定の範囲になければなりません。公差記号のまとめ分類記号幾何公差名データムの有無形状真直度平面度真円度円筒度線の輪郭度面の輪郭度無無無無無無姿勢平行度直角度傾斜度有有有位置位置度同軸度同芯度対称度有有有有振れ円周振れ全振れ有有
数値制御で動作するNC工作機械を扱うには、NCプログラムを用いて指令する必要があります。NCプログラムにはGコードやMコードなどのコードがありますが、これらの内容を理解してプログラムしなければなりません。そこで今回は、NCプログラムのうちのGコードについて解説します。Gコードとは?Gコードとは、NCプログラムの一種で「準備機能」と呼ばれるものです。NC工作機械に指令を送り、ワークの加工が行えるようになります。Gコードは「アドレスキャラクタ」と呼ばれるGのアルファベットと、後ろにつく2桁の数値を表示させることで、指令が送られます。新しい制御装置の場合は、Gコードを3桁やそれ以上の桁にしているものもあります。Gコードは一般的にG00~G99までのコードがあります。種類が豊富で全てを把握するのは難しいものの、頻繁に使うGコードを覚えておけば、プログラム作成は可能です。また、NCプログラムは事前にパソコン上でワークを切削できるシミュレーションソフトがあります。シミュレーションソフトを使えば、プログラムデータをNC工作機械に送る前に、仮想の加工を行えるので、不良品や工具の破損といったトラブルを防止できます。シミュレーションソフトは、トレーニング目的でも使うことが可能です。Gコードの種類引用元:芝浦機械株式会社 モーダルとワンショットGコードには、指令の有効な範囲の違いによって「ワンショットGコード」と「モーダルGコード」の2種類に分けられます。ワンショットGコードワンショットGコードは、指定されたブロックに対してのみ有効なGコードのことを指します。Gコードにはそれぞれグループ分けがされており、グループによってワンショットとモーダルのどちらかに分類されます。モーダルGコードモーダルGコードは、指令されたブロックから持続して有効になるGコードのことを指します。有効な範囲は、同じグループのGコードが指令されるまでです。代表的なGコードの一覧ここでは、JIS B 6315-1で規定されている、NC工作機械でよく使用するGコードについて紹介します。Gコードは使用するNC工作機械により、コードの仕様が異なる場合があるので、ここで紹介するものはあくまで参考として見てください。参考:【JIS B 6315-1 産業オートメーションシステム及びその統合-機械の数値制御-プログラムフォーマット及びアドレスワードの定義-第1部:位置決め,直進運動及び輪郭制御システム用データフォーマット】G00機能:位置決め説明:指令した位置へ最大送り(例えば、早送り)で移動させるモード。このモードによってあらかじめプログラムした速度は無視されるが、キャンセルされない。各軸の運動は、同期しなくてもよい。G01機能:直線補間説明:一様な勾配又は制御軸に平行於な直進運動を指定する制御のモード。G02、G03機能:G02は時計回りの円弧補間、G03は反時計回りの円弧補間説明:工具の運動面をそれと直角な軸の負方向に見たときの工具の運動が、円弧に沿って時計回り、もしくは反時計回りになるように制御する輪郭制御のモード。G04機能:ドウェル(遅延)説明:プログラムした時間又は主軸回転数だけ、次のブロックに入るのを遅らせる機能。G17、G18、G19機能:G17はXY面の選択、G18はZX面の選択、G19はYZ面の選択説明:同時に2軸を動作させる円弧補間、工具径補正などを行わせる面を選択するモード。G28機能:今後とも指定しない、又は原点復帰説明:原点復帰モードとして使用してもよい。G40機能:工具径補正のキャンセル説明:前に与えた工具径補正(直径又は半径)又は工具オフセットをキャンセルする指令。キャンセル後は補正しない工具経路となる。G41機能:工具径補正、左説明:工具の相対的な運動方向に向かって左側に工具経路を補正する指示。G42機能:工具径補正、右説明:工具の相対的な運動方向に向かって左側に工具経路を補正する指示。G43機能:工具オフセット、正説明:工具オフセットの値を関連するブロックの座標値に加算する指令。G44機能:工具オフセット、負説明:工具オフセットの値を関連するブロックの座標値に減算する指令。G49機能:未指定又は工具長オフセットのキャンセル説明:工具長オフセットのキャンセルとして使用してもよい。G54~G59機能:ワーク座標系選択説明:工作物に定められた複数の右手直交座標系からの選択。G80機能:固定サイクルのキャンセル説明:固定サイクルをキャンセルする指令。G81~G89機能:固定サイクル説明:中ぐり、穴あけ、ねじ立てなどの加工を行うために、あらかじめ定めた一連の作業シーケンスを実行させる指令。<固定サイクルのコード内容>コード行き底で戻り代表例ドウェル主軸G81切削送り--早送り穴あけ、もみ付けG82切削送り有-早送り穴あけ、座ぐりG83間欠送り--早送り深穴あけG84主軸正転、切削送り-逆転切削送りねじ立てG85切削送り--切削送り中ぐりG86主軸始動、切削送り-停止早送り中ぐりG87主軸始動、切削送り--手動又は早送り中ぐりG88主軸始動、切削送り有停止手動中ぐりG89切削送り有-切削送り中ぐりG90機能:アブソリュートディメンション説明:ブロック内の座標軸をアブソリュートディメンション(絶対座標)として与える指令。G90は、以後の位置指令が、常に原点からの距離であることを指令します。G91機能:インクリメンタルディメンション説明:ブロック内の座標軸をインクリメンタルディメンション(相対座標・増分座標)として与える指令。G91は、以後の位置指令が直前の位置からの距離であることを指令します。Gコードの固定サイクル固定サイクルとは、穴あけやタップ立てなど、頻繁に行う加工に対してあらかじめ設定した一連の動作を1ブロックにまとめたもののことを指します。JIS B 6315-1では、G81~G89のGコードが該当します。Gコードの固定サイクルは、以下の動作から成り立ちます。・X-Y軸の位置決め(G17 XY平面の場合)・R点(リファレンス点、XY平面の場合Z軸の基準位置)レベルまでの早送り・加工・穴底位置の動作・R点レベルまでの逃げ・イニシャルレベル(固定サイクルの開始位置)までの逃げ加工軸方向の移動量は、G90(アブソリュート)とG91(インクリメンタル)で異なります。また、固定サイクルはG80を指令するとキャンセルされます。Gコードにはそれぞれグループが分類されていますが、グループ01のGコード、G00、G01、G02、G03の指令が行われた場合も固定サイクルはキャンセルされます。Gコードのプログラム例正方形に移動するGコードのプログラム例O0001(SAMPLE);G90 G00 X0.Y0.;G01 X10. Y0. F100.;X10.Y10.;X0.Y10.;X0.Y0.;%上記は正方形に移動するGコードのプログラム例です。次に上記で使用している記号や、そのほかに使用する場合のある記号の意味について見てみましょう。・%、データスタート・データエンドプログラムの始めに付く%はデータスタートを表す記号、プログラムの最後に付く%はデータエンドを表します。ただし、機器によっては必要としない場合もあります。・O、プログラム番号データスタートの次のブロックに来るのがOのプログラム番号です。アルファベットOに加えて最大で4文字(0000~9999)の数字が入ります。プログラム番号は、1つのプログラムに1つ記述する必要があります。・()、コメントプログラム番号の後ろに付く()は、コメントの意味を表し、NCでは読み込まれないものです。()は、プログラムの意味を分かりやすくするためのコメントとして便利です。・;、EOBプログラムの行の最後には「;(セミコロン)」が付きます。これは「EOB(エンドオブブロック)」と呼ばれるもので、行の頭から;までをブロックと呼びます。ただし、EOBはパソコンでプログラムを行った場合、設備に読み込ませる際に改行が;に変換されるので付ける必要はありません。・N、シーケンス番号各ブロックの最初には「シーケンス番号」と呼ばれる、アルファベットのNと数値が組み合わされたものが付いている場合もあります。シーケンス番号は、番号が順番に大きくなるようにプログラムの要所に付けておくと、編集の際に番号をサーチすることで、所定のブロックを探しやすくなるので便利です。シーケンス番号の順序や、付けるかどうかの選択は任意になります。・S、主軸の回転数アルファベットのS+数値の表記は、主軸の回転数(rpm)を意味します。・F、送り速度アルファベットのF+数値の表記は、送り速度(mm/min)を意味します。・T、工具選択アルファベットのT+数値は、その数値に該当するツールを呼び出します。Tは呼び出しだけで交換は行わないので、工具交換を行うにはMコードと合わせて使用します。GコードとMコードの違いMコードとは、「補助機能」と呼ばれるもので、NC工作機械を動かして加工するための指令を出すコードのことを指します。Gコードは準備機能であるのに対して、Mコードは補助をするための役割を持ちます。MコードはアドレスキャラクタのMと、後ろにつく2桁の数字で表します。例えば「M03」と記述されているMコードは主軸正転を意味しており、M03に加えて指令した数値で回転を行います。ただし、MコードはNC工作機械のメーカーによって指令が異なる点に注意してください。
今回の記事では、CAMの基礎知識について解説します。CAMは「Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造)」の略で、工作機械を動かすプログラムを作成するためのソフトウェアです。CAD「Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)」のデータを用いて、加工用のNCプログラムなどの生産準備をコンピュータ上で行えます。CAMとはCAMとは、PC上でコンピュータで数値制御を行う工作機械を操作するための加工プログラムソフトウェアのことです。CADで作成した図面をもとにCAMで加工プログラムを作成し、CNCに対応した工作機械にデータを送付して機械加工を行います。CAMの特徴とメリット引用元:株式会社ゼネテック CAD/CAMとはCAMでは、工作機械上で直接操作してプログラムを入力するよりも、精度が高くてスピーディなプログラム作成が可能です。従来では職人の手でしか作れなかったようなものでも、知識とCAMの操作技術があれば、多くの方が精密な製品を加工できるようになります。CAMはCADで作成したモデルに対して、使用する工具・工具の動かし方・加工スピードなどを設定できるほか、パソコン上で視覚的に状態を確認できるので、加工時のトラブルが起こりにくい特徴があります。また、加工にかかる時間も算出できるため、見積もりの作成やスケジュールの調整をするのにも便利です。CAMを利用している現場CAMは、製品の加工を行うためのNCプログラムデータを作成するソフトウェアのため、設計ではなく、主に製造現場にて使われています。自動車・飛行機・医療機器・産業用機械などの部品や、金型の製造にてCAMが利用されています。CAMの種類(内部データ形式による分類)ここでは、CAMの内部データ形式(形状の保持)の種類による違いを解説します。フィーチャ型フィーチャ型は、主に2D加工を中心としたプログラムを作成するためのデータ形式です。形状の幾何情報と意図情報をあわせ持ち、複雑な工程を必要とする部品加工にて多く活用されています。サーフェス型サーフェス型は、主に3D加工で用いるデータ形式です。曲面としての形状情報を有しており、複雑な形状でも精度の高い加工プログラムを作成できます。一方で、計算速度に時間がかかりがちな点は注意が必要です。ポリゴン型ポリゴン型は、主に3D加工で使用するデータ形式です。サーフェス型と異なり、球面はミラーボールのように多数の平面の集まりでデータ化されています。平面は微細なもので構成されているため、球面の近似としてデータを扱います。ポリゴン型はサーフェス型に比べて、平面への変換時に誤差が発生してしまい、高い精度の加工が難しくなります。その一方で、微細な平面情報の集まりであることから、計算速度が速い傾向にあります。CAMの種類(工具軸による分類)ここでは、工具軸の違いによるCAMデータの種類の分類について解説します。工作機械は、ものによって工具軸数が異なります。工具軸の違いで、加工方法や仕上がりに違いがあります。3軸3軸は、X軸・Y軸・Z軸の計3軸により機械加工を行う方式です。5軸加工に比べて、加工の精度やコスト、時間の面では劣りますが、平面削りや溝加工といった単純な加工については、3軸のほうが扱いやすいメリットがあります。3軸は一般的に多く利用されるタイプで、2DCAMと3DCAMの両方で使用されています。固定5軸固定5軸は「割り出し5軸」とも呼ばれるもので、3軸加工に比べて工程ごとの段取りが不要になり、生産性に優れた加工方式です。そもそもの5軸加工は、ワークを掴みなおすことなく多面の加工を行えるので、位置ズレがなく精度の高い加工を行えるほか、段取り替えによる時間を省略できます。固定5軸は、X軸・Y軸・Z軸・回転軸・傾斜軸の計5軸を使いますが、あらかじめ回転軸と傾斜軸で位置決めを行い、残りの3軸で加工する仕組みです。同時5軸と比べると、3次元曲面の加工は行えないものの、簡易的な方式のため、各軸のズレを調整しやすい特徴があります。固定5軸のCAMデータは、位置決めの際に5軸を同時操作できるほか、切削時には2軸や3軸の同時操作を行えます。同時5軸同時5軸は、X軸・Y軸・Z軸・回転軸・傾斜軸の計5軸を同時に動かして機械加工を行うものです。固定5軸と比べて、自由に加工工具の角度を変えられるので、3次元曲面の加工や隠れた部分の加工を行えるメリットがあります。同時5軸のCAMデータは、3軸同時移動データに加えて、回転軸と傾斜軸の動作データも出力できます。複合同期ターレット複合同期ターレットは、複数の工具を複数の加工軸で同時に制御して加工するデータを出力します。2DCAMと3DCAMCAMには大きく分けて2DCAMと3DCAMの2種類があります。これらは、2次元の図面と3次元のモデルのどちらで設計を行ったかで使い分けがされています。2DCAM2DCAMは、2次元CAMとも呼ばれるもので、主に2次元の図面から2次元の加工データを作成する場合に使用します。なかには「2.5DCAM」と呼ばれるものもあり、平面輪郭に断面を付加した加工データを作成できるタイプもあります。3DCAM3DCAMは、主に3次元のモデルから加工データを作成する場合に使用します。複雑な曲面を有するデータに対しても有効で、自由度の高い製品の加工データを作成できます。3DCAMは、2DCAMや2.5DCAMの機能を備えているものが多くありますが、3D専用のものもあります。CADとCAMの違いCAD「Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)」は、パソコン上で図面を描くためのソフトウェアです。一方CAM「Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造)」は、パソコン上でNC工作機械の加工プログラムを作成するためのソフトウェアです。基本的には、CADで設計や製図をしてから、CAMで加工データを作成し、工作機械で製品を作る流れをとります。このことから、CADは主に設計の現場で使用するもので、CAMは製造の現場にて使用するソフトウェアとしての違いがあります。CAD/CAMとはCAD/CAMとは、CADとCAMの機能を両方併せ持つソフトウェアのことです。設計から加工機器を操作するためのプログラミングを、1つのソフトウェアで完結できます。同じソフトウェアで完結できることで、CADとCAMのソフトウェア間の違いにより、データの読み込みがうまくできない場合を防げるほか、CADデータの段階で修正があった場合に即座に対応できるようになります。
製図は設計者から現場加工者まで、商品に携わるほぼ全ての人が確認する大切なものです。今回は製図を描いてみたいけどどう描けばいいのかわからない人に向けて、図面の描き方やルールを解説します。製図とは製図とは商品を製作するために、形や大きさが描かれた図面を作成することを意味します。出来上がった図面の指示通りに加工すれば、正しい製品ができ上がることを目的としています。製図の必要性現代では3D CADや3Dプリンターを活用すれば二次元図面を描かずとも、CADから出たデータから直接部品を製造できます。では、加工をする上でなぜ図面が必要になってくるのでしょうか。それはクオリティの高い部品を作るためには寸法や細かい形状といった様々な情報が欠かせないからです。複雑な形状の加工を行う際に、口頭で寸法や形状を口頭で説明すると、どうしても双方の解釈に誤解が起こりかねません。そこで、加工の指示や形状が描かれた図面が必要となってきます。また検査や検図を行う際は、データではなく紙の図面を使った方が作業効率が良い場合があるため、多くの企業では紙の図面を必要とするところもあります。製図をする際の注意点製図を行う際は、第三者に正確に伝わることが最も重要です。詳しいルールや書き方については以下で解説しますが、まず製図を行う際に心がけなくてはならない最低限の注意点を紹介します。・正確さ図面は投影対象物の形状、加工精度、仕上げ状態、寸法、測定条件などを記載し、設計した意図が相手に伝わるように加工者や測定者に対して必要な情報を全て記入しましょう。・わかりやすさ第三者が理解しやすいよう、補助投影図や断面図などを使いましょう。図や記号だけではわかりにくいと判断できる場合は、注記文にして補足すると伝わりやすくなります。・簡潔さ図面は形状を繰り返す投影図の使用は控え、解釈しやすい文字の大きさや行間に配慮しましょう。場合によっては大きなサイズの紙に変更したり、複数枚に分けたりすることも検討します。JIS規格とは製図をする際には見る人によって異なった解釈をしてしまうリスクがないように、わかりやすく正確に描かなかればいけません。そのため、国内では図面を描く際の共通のルールがいくつか存在します。JISについて製図は「JIS」という国内で決められたルールに従って作成します。JISとは工業標準化法に基づき、全ての工業製品について定められる日本の国家規格です。日本では1930年にJES(日本標準規格製図)が公布され始め、その後、現在のJIS(日本工業規格製図通則)が制定されました。企業活動のグローバル化に伴なって、これまで国際的な設計や製図分野の標準化が進められ、JISも国際標準に準ずるよう定期的な改定が行われています。(引用元:https://https://pub.nikkan.co.jp/uploads/book/pdf_file56cec6837ba66.pdf)製図のルール製図を行う際はJIS規格に従って作成しなければいけません。次に具体的な製図のルールを紹介します。図枠のサイズ図枠(図面枠)とは製図に使用される枠のことを指します。図枠には規定の用紙サイズがあり、一般的に使われるB5やA4サイズに比べると大きいものも使われます。サイズ縦寸法横寸法A4210297A3297420A2420594A1594841A08411189図枠にはこのようにいろんな種類がありますが、サイズは描く対象の大きさによって変わってきます。対象物をちゃんと表現するために必要に応じて尺度を変更するケースもありますが、基本的には図枠内におさまるよう、できるだけ小さな図枠を使いましょう。線の種類図面で使われている線にはいろんな種類があります。これは同じ太さや線を使ってしまうとその線が形状の線なのか、寸法を表した線なのかがわかりにくいためです。そのため、図面を描く際には線の種類を用途によって使い分けなければいけません。製図で使われる線の種類は以下の通りです。線の種類用途線太い実線外形線細い実線引出線、寸法線、ハッチング細い破線かくれ線細い一点鎖線中心線、基準線線の太さは極太線、太線、細線の3種類が一般的に使われており、比率は極太線:太線:細線=4:2:1となっています。下記は製図例です。形状の線とわかりやすくするため、形状を示す線以外は全部細線を使います。(引用元:ものづくりウェブ)文字の種類、大きさ図面で使う文字のルールは以下の通りです。・常用漢字常用漢字を使い、難しい漢字は使わない。16画以上は仮名で表記する。大きさは3.5mm、5mm、7mm、10mm。・かな、カタカナひらがな、カタカナで表記し一緒に使うのは原則NG。ただし、外来語、動物・植物の学術名および注意を促す表記をする場合、混用は認められる。大きさは2.5mm、3.5mm、5mm、7mm、10mm。仮名に使う小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」は0.7の比率にする。・ラテン文字、記号、数字大きさはいずれも2.5mm、3.5mm、5mm、7mm、10mmとする。右に約15度傾けて表記する。・文字のすきま文字線の太さの2倍以上とする。製図の投影法、第三角法とは図面は三次元の対象物を二次元に表したものです。そのため、製図を行う場合は立体を平面に投影することになります。投影は光をある方向から当てたときにできる影で、その影が出た面を投影面と言います。図面はその投影を用いて描かれています。日本ではJIS規格で規定されている第三角法を使って製図を行うのが一般的で、アメリカでも使用されている方法です。ちなみにヨーロッパでは第一角法が広く普及されています。第三角法は機械製図で代表される最もポピュラーな投影法なので、製図を行う前におさえておきましょう。第三角法について一般的に機械製図で使われる第三角法。これは下記の図にあるように、正面図、平面図、側面図で構成されていて、それらを描く位置は決められています。正面図の真上に平面図、正面図の真横に側面図を描きます。ちなみに正面図は商品の代表する面で描くことも決められています。一般的な図面は3方向からの図面で立体の形を的確に表すことが可能です。このような図面を三面図といいます。大三角法による三面図(引用元:独立行政法人 海上技術安全研究所)第三角法のマーク第三角法を使用した図面は、投影法がわかるようにマークを記載しなければいけません。第三角法、第一角法のマークは以下の通りです。(引用元:セドヤのブログ)このマークがあることで、図面を読んだ人は第三角法で描かれていることが一目でわかります。第三角法を用いる際の注意点・正面図、側面図、平面図がバラバラ正面図、側面図、平面図をバラバラな位置に作図したり、横に並べたりするのはNG。正面図の真上に平面図は位置しておき、正面図の横に側面図を描きましょう。・側面図と平面図の奥行きが異なる側面図と平面図の奥行きが異なることはありません。公差とは公差は商品を作った時や組み立てた時に生じる、大きさの誤差が許容される範囲を指します。図面上には、実際に作りたい商品の設計寸法の最大値と最小値を表すことが一般的です。公差の目的製品を作成する時は、図面やCADで寸法をきちんと定義しておけば狙い通りの形状が出来上がります。しかし実際の現場では、材料や加工作業などの段階から多少の誤差が生まれ、どうしても商品のばらつきが起こりかねません。そのため、最大値から最小値の合格ラインを設ける公差を設定する必要があります。普通公差公差にはいくつか種類がありますが、その中でもJIS規格で定められた公差のことを普通公差といいます。これは図面ごとに寸法が都度記載されるものではなく、JISに記載されている表がベースとなって適用されます。普通公差は寸法の指定がされない場合に使用される種類です。図面に記載される寸法には公差が指定されていますが、全部の寸法に公差が記載されていると図面が乱雑になってしまいます。そこで、JISが公式で指定している普通公差を使うことで、書き手と読み手が誤った解釈をすることなくキレイな図面で正確に読み取れるようになるのです。さらに普通公差は各寸法を一括して指定できるので、図面に寸法を記載する手間が省けるメリットもあります。普通公差の等級普通公差は公差のレベルごとに「精級」「中級」「粗級」「極粗級」の4つの等級が設けられています。それに設計者が適した等級を選択します。○普通公差一覧精度目安0.5-3.03.0-6.06.0-3030-120精級(f)±0.05±0.05±0.1±0.15中級(m)±0.1±0.1±0.2±0.3粗級(c)±0.2±0.3±0.5±0.8寸法公差寸法公差とは、高い精度が特に必要な寸法に対して、書き手が任意に決めることができる公差です。設計者の意図を加工者に明確に伝えられるメリットがあります。製図まとめ図面は加工開始〜検査までを一貫する、地図のようなものです。ルールや描き方が細かく決められていますが、何より大切なのは正しい情報を明確にわかりやすく伝えられるように製図を行うことです。製図のルールをある程度覚えたら、少しずつ実際に描きながら図面の描き方をマスターしてみてください。
製造業界で欠かせないのが「CAD」と呼ばれるソフトです。CADの発売により、これまで手作業で行っていた設計図の作成がパソコンとCADを使うことで格段に時間短縮されました。今回は新たにCADソフトを導入しようという方に向けて、製造業界で使われているCADの種類をご紹介します。CADとは?CAD(キャド)は「Computer Aided Design」の頭文字をとった略語で、それまでは手作業で製作された設計図をコンピュータを使って手軽に作成できるようにしたソフトです。スピーディさ、正確さが特徴CADを使うことでスピーディに作業できるようになったことはもちろん、手書きではどうしても困難だった小さなズレなどもより正確に作成できるようになりました。さらにCADを使えば修正履歴も保存できるので、ログをしっかり残しておきたい時にも便利です。また、データで管理が可能なので、紙を保存しておく手間や場所も必要ありません。共有したい場合はファックスや郵送の必要もないので、確認したい時にすぐチェックできるのもメリットの一つです。2DCADCADは大きく分けて、「2DCAD」「3DCAD」の2つの種類があります。2DCADとは二次元データの製図を行うCADのことをいいます。図面を平面・正面・側面からなる大三角法によって製図されます。2DCADは3DCADに比べて導入が比較的行いやすいため、2DCADのみ導入している企業も多くあります。一方で図面の読み取りにスキルが必須となるので手間がかかりやすく、図面読み取りや加工の検討などいくつもの工程を挟まなければいけません。3DCAD一方の3DCADは三次元データの製図が行えます。立体で表現できるため、作りたい形状を理想に近い状態で再現できます。立体そのものを見ながら作業できるので、加工方法の検討に要する時間も短縮されます。また、3Dモデルから2D図面の作成も行えるので、3DCADさえあれば2D図面の作成も容易にできるでしょう。ただし、3DCADは操作の慣れが必要なので、企業によっては対応していないところも多く見られます。しかし近年では、そのデメリットも希薄化しているとも言われています。3Dプリンタなどの登場により、3DCADデータの活躍の場が広がったからです。「フリーCAD」という無料で使える3DCADもあり、個人レベルでは以前よりも簡単に作成できるようになりました。CADに関する記事:【2D CADと3D CADの違い】 | CADの基礎知識無料で使えるフリー3DCAD比較表Fusion 360(非商用利用)OnShapeDesignSparkMechanicalFreeCADSketchUpFreeCreoElements/DirectModeling Expressソリッド◯◯◯◯✕◯サーフェス・自由曲面◯◯✕✕◯◯アセンブリ◯◯◯◯✕△(上限あり)図面◯◯△✕✕✕履歴◯◯✕◯✕✕インポート33種30種10種40種18種10種エクスポート11種10種10種31種19種6種プラグイン機能◯◯◯◯◯✕対応OSWindows(64bit), MacフルクラウドのためインターネットがつながればOKWindowswWindows, Linux, MacWindows(64bit), MacWindows (引用元:キャド研)中間ファイルとはCADを使っていく中で、中間ファイルというワードを耳にしたことがあるのではないでしょうか。CADは用途や目的別にたくさんの種類があります。しかし、双方でデータの共有などを行いたい場合、先方が同じCADファイルを使用していなければ読み込みができません。 CADには多くの種類があり、それぞれのソフト内の構造が異なるため、データが開けない恐れがあるからです。例えば、Power Pointで作った画像をExcelに貼り付けるためには、まずjpegの画像形式にデータを変換しなければいけません。その変換するためのファイルとしてCADで使われているのが「中間ファイル」と呼ばれるものです。これは共通のデータが読み込めるCADファイルを介することで、データの読み込みが可能になる仕組みです。ちなみにこの中間ファイルは、特に3DCADを使うときによく使われます。2Dデータの種類と特徴2DCAD、3DCADデータにはそれぞれ使用する際の用途やメリットがあることがわかりました。次に2DCADデータの種類と特徴を紹介していきます。ここで紹介する種類は製造業界でよく使われているもので、他業界、他職種となるとその種類はもっと多くなります。DWGDWGはAutodesk社が策定している形式で、AutoCAD標準のファイル形式です。そのため、AutoCADを用いてファイルを作成した場合には、こちらの形式で作成されます。しかし、AutoCAD標準のファイル形式であるにも関わらず、なぜDWGの拡張子である「.dwg」が存在するのでしょうか。それは、DWG形式のCAD図面、そしてAutoCAD自体がCAD業界全体の事実上の標準になっているからです。DWGが事実上のスタンダードになっていますが、全部のCADがDWG形式に対応している訳ではありません。なぜならDWGの形式の使用は非公開とされており、他ソフトウェアでの対応が困難だからです。では、対応が容易ではないにも関わらずDWGが業界のスタンダードであると、使用しているソフトでDWG形式の図面ファイルが開けず困ってしまう人も多いはずです。そんなときに活躍するのが、次に紹介するDXFファイルです。DXFDXFはAUTODESK社で定められているファイル形式です。 AUTODESK社はCADの中でもトップシェアであり、その高さから業界の中では最もスタンダードなファイル形式とされています。 仕様が公開されているため、CADソフトの中でもDXFに対応しているCADがたくさん存在しています。仕様の解説書も販売されているので、 CADを初めて使う方でも安心して導入できるでしょう。DXFの特徴は、データの互換性があること。DXFはAutoCADの異なったバージョン間で互換性を持たせるために策定されました。そのため、バージョンで未対応の内容がファイル内に記載されていても、該当箇所を読み飛ばすことで読み込みができるという特徴があります。また、DXF形式はテキスト形式なので、テキストエディタ等で開いて内容をチェックできるという特徴があります。SLDDRWSLDDRWは、Dassault Systemes SolidWorks Corpによって開発されたファイルです。SolidWorks CADソフトウェアプログラムを使って作られた独自のCADファイルで、 .SLDPRTや.SLDASMをはじめ、CADデザインを含むSLDDRWファイルを使えばデザインをシミュレートしてPCに公開することが可能です。また、SOLIDWORKS®固有ファイルの表示はもちろん、DWG、DXFファイルの表示や印刷ができます。AI(Illustrator)Adobe Illustratorは、画像と文字が組み合わさったレイアウト作成や図形や線が組み合わさったイラストを作る際に使います。使い方のチュートリアルが公式に掲載されているので、初めてソフトを使う方でも安心して取り組めます。さらに7日間無料の体験版もあるので、気軽に試しやすいのもポイントです。JWW(JW_CAD)Jw(JWW)_CADの大きな特徴として、無料で使えることが挙げられます。フリーとはいえ高い機能が実装されており、凡庸性が高いことから独自にカスタマイズできることも広く普及しているポイントと言えるでしょう。ちなみに公式ではWindowsのみの対応とされていますが、MacOS XでJw(JWW)_CADを動かせるソフト「Jw_CAD for Mac」も無料で配布されています。3Dデータの種類と特徴次に3Dデータの種類と特徴を紹介します。STEPSTEPは国際標準化機構(ISO)で規格されているファイル形式で、国際標準として広く普及されています。中間ファイルとしてソフトウェアプログラム間の互換性を上げ、設計をさらに容易にできるように作られました。STEPの大きな特徴は、精度の高さにあります。モデルを保存する際、フィーチャを通常の幾何学的図形に単純化しないことによって高い寸法精度が維持できます。そのため、細部まで正確に保存することができるのです。また、モデルをエクスポートした後でもモデルを編集及びカスタマイズできます。STEPはファイル形式で本体全体が保存されるので、後からモデルを再編集することも可能です。そのため、コラボレーション、クロスプラットフォームの設計、モデルの共有が簡単になります。STEPのデメリットとして挙げられるのが、ファイル容量が大きくとられてしまうこと。ほとんどの3Dモデルよりも同じモデルを保存した際にファイルサイズが大きくなってしまいます。さらにモデルの特定のテクスチャ、マテリアル、ライティングの情報は保存できません。x_tx_tも中間ファイルの一つで、ソリッドデータが化けにくいというメリットがあります。ただし、バージョンがたくさんあるため、 CADのバージョンが低い場合は開けなくなるかもしれません。SLDPRTSLDPRTファイルを使うと、アセンブリモデルの設計や、それらをSLDASMファイル、技術画面、アニメーション、シミュレーションとして保存が可能です。ただし、SLDPRTは専用のプロジェクトビューアツールを使用しなければ表示されません。また、SLDASMファイル内にあるプロジェクト全てを公開する必要がなく、自分のプロジェクト関連部分のみを共有できます。IGESIGESは米国規格境界(ANSI)で策定されたファイル形式で、世界基準となっているCADの一つです。国内では主に自動車業界での需要が高いですが、製造業界でも多くの企業で使用されています。ただし、標準とはいえ全ての仕様の表現が可能な訳ではなく、互換性が一番高いファイル形式に翻訳しなければいけません。3DM3DMはopenNURBS Initiativeによって開発されたファイルで、3D NURBS CADファイルとも呼ばれています。3Dモデルデータ(サーフェス、ポイント、カーブに関する情報など)が格納されており、メタデータとフォーマット属性も保存できます。3DMは用途が幅広く、モデルデータをたくさんの CADやグラフィカルプログラム、CAE、CAMソフトウェア間で保存、共有できます。この凡庸性の高さからNURBSとポリゴン表現を利用でき、さまざまなデバイスやプログラム間で3Dジオメトリデータの交換が可能です。CATIA V5CATIA V5はダッソー・システムズが開発したソフトです。世界で一番使われていると言われており、3DCADの中でも特に高性能とされています。ワークベンチの数が豊富なのが特徴で、ナレッジエンジニアリング、デザイン面作成、解析、生産加工関連など、幅広い分野に特化したさまざまなワークベンチを持ち、複雑な形でも再現が可能です。ただし、高性能な分、独学で習得することは容易ではありません。体験版などもないため、CADを扱い慣れている人におすすめです。CADの操作に慣れていない方は、まず別のフリーCADを使って慣れておいた方がいいかもしれません。Creo(旧Pro/ENGINEER)パラメトリック・フィーチャー・ベース・モデリングを基本とした、3Dソリッドモデリングの操作ができます。ソリッドの外形形状データを他のソリッドと寸法値との合致関係情報で保持しているので、寸法や関係の変更をする際は簡単に修正することが可能です。また、削除や形状の追加が自由にできるので、形状全体を一つの演算式として持っておく必要はありません。このような編集作業による形状計算の待ち時間が発生しないことも、Creoの特長の一つです。Solid EdgeSolid Edgeは1995年にWindowsベースのミッドレンジCADとして発表されました。Solid Edge独自の「シンクロナス・テクノロジー」は、ダイレクトモデリングのシンプルさとスピード、そしてパラメトリック設計の制御と柔軟性が合わさったモデリングです。寸法を変更することによりモデルが壊れてしまうという懸念点を、Solid Edgeはダイレクト編集によって即時対応化を実現しました。さらにアセンブリ内の図面との連想性や位置拘束も保ったままになります。NXNXは柔軟で自由度の高い設計手法が可能です。大きな特長はシンクロナスモデリング機能の搭載。NX以外のCADソフトで作られた履歴データがないモデルに対しても、ダイレクトに編集できます。iCAD SX生産設備・装置設計・機械の設計プロセスや製品形状の特徴に着目して開発された、iCAD SX。なんと100万部品をわずか0.2秒の早さで処理する、高速3DCADエンジンが搭載されています。他ソフトに搭載されているものと比較すると、iCAD SXは200倍の処理が可能です。この処理速度により、開発リードタイムの短縮が実現できるでしょう。STLSTLファイルは3Dプリンタなどのデファクトスタンダードとして広く使われています。ただし、幅広いソフトの表現を再現できる程度の互換性はありません。3Dモデルの形状が複雑だったり、情報量が多かったりすると再現性は下がります。完璧な互換を保証するものではないので、大切なデータを扱う際には注意しましょう。CADまとめ本記事では製造業界で使われているCADを紹介しましたが、自動車や建築業界となるとさらに多くの種類があります。またCADの種類によって、その特長や仕事で対応できる幅はかなり異なってくるでしょう。CADはものづくりをしていく中で、私たちとは切っても切れない関係にある大切なツールです。日々の仕事で使うものだからこそ、CAD選びは慎重に行ってみてくださいね。
BOMとは「部品表」と呼ばれ、英語のBill Of Materialsの略です。BOMは、製品の製造に必要な部品や材料の一覧表です。部品の階層構造を視覚的に示し、かつ製品の見積りから設計、調達、製造、そしてメンテナンスまで利用されており、製造業において非常に重要な役割を果たします。BOM(部品表)とは何か、BOMの役割BOMの中身・構成要素・書き込む情報BOMは、品目情報である「PN(Parts Number)」と、それぞれの部品が何に使われるかなどが示される構成管理情報「PS(Part Structure)」から構成されます。書き込む情報としては、品名、型式、メーカー名、数量(使用数量、購入単位数量)、ロケーション番号、使用、材質などが挙げられます。BOMでは、製品を設計、製造するために必要な図面などの情報を、品目情報と関連して管理することができます。通常、設計部門においてBOMが作成された後、生産部門へ渡され生産管理に必要な情報を加え、生産スケジュールが組まれます。また、購買部門において、部品調達に関する情報が加えられます。BOMの種類BOMには、以下のような種類があります。BOMの種類・E-BOM(設計部品表)・M-BOM(製造部品表)・S-BOM(販売部品表)・購買BOM・サービスBOME-BOM(設計部品表)E-BOM(Engineering BOM)は、製品の開発・設計に利用されます。部品構成や図面などの設計情報の他、技術情報などが含まれます。M-BOM(製造部品表)M-BOM(Manufacturing BOM)は、製造部門だけでなく、調達部門や生産管理部門でも使用されます。必要な部品の情報や工程情報などが含まれ、生産スケジュールの管理や、部品の調達、工程管理などに用いられます。S-BOM(販売部品表)販売支援で使用される部品表です。購買BOM購買で発注を行う際に利用されます。購入単位数量や、仕入先ごとの購入価格リスト、代替品種のリストなど、見積り・発注作業に必要な情報が含まれます。サービスBOM製品のメンテナンスや点検に利用されます。メンテナンスに必要な部品が含まれます。BOMのメリット図:各部門におけるBOMを利用した代表的な施策例・製造部門:生産計画管理、在庫管理・生産技術部門:リードタイム検討、設備設計、工程管理・原価管理部門:原価計算・購買部門:業者選定の判断、単価の判断、購買計画管理BOMでは、製品の開発段階から製造段階までに必要な在庫、製造、購買に関する情報や成果物(仕様書、計算書、図面、3Dデータなど)を一元化して管理することが可能です。また、前述した通りBOMは各部門において用いられ、次のような施策に利用され、現場のボトルネック解消にも役立ちます。
ザグリは、ボルトやネジのゆるみ防止・美観性の向上・ケガの防止のために必要な加工です。身近なところでは、ドアの蝶番や家具などに多く採用されています。ザグリにはいくつか種類があり、使用するネジや用途によって、形状や図示の仕方が異なります。設計者は、これらを考慮して加工指示を変えなければなりません。しかし、あまり知識のない方は、ザグリがどのような加工なのか分からず、ザグリとキリを混同しているケースも多いと聞きます。そこで今回の記事では、「ザグリとは何か」について解説するほか、キリとの違いや深ザグリ、皿ザグリの基礎知識、加工方法までをご紹介します。ザグリについて知識を付けたい方は、ぜひご一読ください。ザグリとは、ネジ等の頭部飛び出しを防ぐ加工ザグリとは、ネジやボルト頭部、座金などの飛び出しを防ぐための穴加工のことです。カナ表記だけでなく、「座ぐり」と記述されることもあります。ザグリは、鋳物のようなざらざらした表面や、傾斜面に対して平坦になるように加工し、締め付け力を均一化するための加工でもあります。ボルトは、締め付けた際に、ボルト頭部と材料の接触面積を大きく設けるほど、均一に締結が可能。その結果、緩みにくくなる効果が期待できます。また、ボルトは頭部に高さがあるため、ザグリを設けていないと大きく出っ張った状態になり、ケガなどのトラブルを起こすことも。これを避けるためにも、ザグリ加工を施す必要があります。ザグリとキリの違いキリは、ドリルでの穴開けのことをいいます。例えば、「10キリ」と図面に指示されていた場合、「ドリルで直径10mmの穴を開ける」という意味を表します。引用元:機械製図 JIS B 0001:2009上図は機械製図のJIS規格「JIS B 0001:2009」から抜粋したものです。キリ穴の深さに指示がある場合は、上図162のように、穴寸法の後ろに深さを示す記号を記入します。また、上図163では、深さの記号が図示されていませんが、この場合は貫通穴であることを意味します。そのほかにも、上図164のように、ドリル先端で形成される円錐部分は、高さ(H)に含まないことも覚えておきましょう。また、上図の図162・図163に表示されている「φ」の記号は、「ファイ」と呼ばれ、直径〇mmの穴であることを意味します。これは穴が開いていることのみが条件で、「キリ=ドリル加工」のような加工方法の指示はありません。引用元:機械製図 JIS B 0001:2009プレス抜きやリーマ仕上げでの加工指示がある場合も、「キリ」のように簡略表示を使います。加工方法と簡略表示の一覧については上表を参考にしてください。引用元:ものづくりウェブ一方、ザグリは上図右の引出線のように図示します。旧JIS規格では、浅いザグリの深さは表記を省略していましたが、2020年現在の機械製図JIS規格「JIS B 0001:2009」では、ザグリの深さを指示する必要があります。引用元:機械製図 JIS B 0001:2009ただし、浅いザグリの図内の形状については、上図のように省略しても問題ありません。ザグリ加工の方法ザグリの加工方法は、ドリルでボルト用の穴を開けたあとに、エンドミルで加工するのが一般的です。参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!引用元:モノタロウまた、加工業者によっては、ザグリを開けるための専用工具である「ザグリドリル(段付きドリル、ドリル付沈めフライス)」を用いることもあります。上の画像は、ザグリドリルの参考写真です。引用元:モノタロウザグリドリルは、上図④~⑦を見ていただければ分かるように、穴あけとザグリ加工を一度に行えます。そのため、工具の切り替えが少なく、作業工程も抑えて加工できる点がメリットです。ただし、ドリル部分とフライス部分が一体化されている分、ザグリの加工寸法に融通が効かないといったデメリットもあります。「深ザグリ」でザグリの深さを指定!座金だけでなく、ボルトの頭までを隠すようにザグリを深く設けることを「深ザグリ」といいます。一般的にザグリは、1mm前後の深さになりますが、深ザグリはそれよりも深い加工となります。深ザグリは、ボルトの頭部が材料の表面と面一になるため、美観性の向上や、引っかかりによるケガの防止といった効果があります。引用元:ものづくりウェブ深ザグリの寸法の示し方については、ザグリと同じく、上図の引出線のような書き方になります。しかし、深ザグリの形状については、ザグリと違い、省略せずに図を描かなければなりません。上図左および中央は、2020年現在の機械製図JIS規格「JIS B 0001:2009」での図示方法ですが、製図者によっては、上図右の枠内のように表記をしている場合もあります。こちらは旧JIS規格での図示方法になるので、JIS規格の通りに製図する場合は注意してください。皿ザグリとは皿ザグリは、皿ネジや皿ボルト用に、円錐状に角度が付いたザグリのこと。現場によっては「皿モミ」と呼ばれる場合もあります。引用元:機械製図 JIS B 0001:2009皿ザグリの図示の仕方は、上図のように、穴の直径を示す寸法の次に皿ザグリの記号を示し、その後ろに皿ザグリの入口の大きさを記入します。引出線の矢印の位置については、上図aとbのように、皿ザグリの入口内径と外径どちらに表示しても問題はありません。また、皿ザグリの開き角を指示する場合は、上図cのように、皿穴の入口外径の後ろに「×」の記号と角度を表記します。皿ザグリの記号を使わずに加工指示する場合は、上図dのように図示します。引用元:モノタロウ皿ザグリの加工方法は、ドリルで穴を開けたあとに面取りカッターを使います。上の写真は、面取りカッターの参考画像です。また、刃物メーカーによっては、ザグリと同じく穴あけと皿ザグリを同時に行える、専用のドリルもラインナップされています。そのほかにも、プレス加工にて皿ザグリの形状をした金型を用い、皿ザグリを設けることも可能です。プレス加工は、作業工程が少なく済むため、量産時のコストダウンが期待できます。参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!まとめ今回は、ザグリの基礎知識について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。ザグリは、ネジやボルト頭部、座金などの飛び出しを防ぐための穴加工のこと。主に六角穴付きボルトを使用した際に、設けられます。また、ザグリの加工方法は、ドリルで穴を開けてから、エンドミルで加工するのが一般的です。ザグリには、深めに段付き加工をする「深ザグリ」や、皿ボルト用に面取りされた「皿ザグリ」があります。設計者は、用途や使用するボルトに合わせて、ザグリの加工を使い分けましょう。ザグリや皿ザグリの加工工場をお探しの場合は、ぜひMitsuriにご登録ください。日本全国で250社以上の工場が登録しているので、お客様のご希望に沿う工場が見つかります。見積りは複数社から可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
「抜き勾配」は、あまり聞き慣れない言葉ではありますが、樹脂製品などを製作する射出成形加工の過程においては、欠かすことができない概念です。射出成形加工では、金型を用いて成形を行いますが、この金型から製品を引き抜く際に、抜き勾配を考慮することは非常に重要です。今回は、この「抜き勾配」をテーマに、抜き勾配とは何かという説明から、抜き勾配角度、さらに、抜き勾配を付けたくない場合の設計方法などについて、幅広く解説していきます。また、最後には、抜き勾配とテーパーの違いについてもご説明していきます。抜き勾配について、さらに知識を深めたい方や、抜き勾配でお悩みの方は、ぜひご一読ください。抜き勾配とは引用元:株式会社大塚商会樹脂部品などを量産する場合には、一般に射出成形という加工が用いられます。射出成形とは、溶かした樹脂を金型に流し冷却することで成形した後、金型から樹脂を引き抜く(離型させる)ことによって、成形品を得る方法です。この離型の際に、金型から成形品をより容易に引き抜くのに役に立つのが、「抜き勾配」です。「抜き勾配」とは、成形品が離型する方向に、あらかじめ設けておく「勾配」を指します。上図に示したように、抜き勾配をつけておくことで、離型の際、成形品と金型の間に隙間が生じるため、成形品を傷つけることなく、スムーズに取り出すことが可能となります。抜き勾配の計算方法以前は、抜き勾配の計算は、設計者によって図面上で行われていましたが、最近では、コンピューターを用いた3次元CADを利用して、設計の段階から抜き勾配を簡単に付けることができます。これによって、CAD上で簡単に勾配角度を設定して設計ができ、さらに設計された3Dモデルの勾配角度を簡単にチェックできるようになりました。抜き勾配の角度成形品の形状などによっても異なりますが、抜き勾配の角度は、一般に0.5~3°の範囲内、特に1°から2°となることが多いです。抜き勾配は、成形品の離型性を考えると、できる限り角度を大きくする方が良いと言われています。一般的な抜き勾配の角度設定では、キャビティー外周では約1°〜2°程度、コア外周では約0.5°~1°、ボスやリブなどの突起部の場合は約0.5°に設定するのが望ましいと言われています。なお、「キャビティー」及び「コア」とは、下図に示したように、それぞれ射出成形における金型の凹部、及び凸部を指します。また、キャビティーを雌型、コアを雄型と言うこともあります。引用元:株式会社REまた、表面の粗さが大きい材料や、シボ加工(金属の表面に模様をつける表面処理)を施した材料などを用いる場合には、成形品が金型から抜けにくくなるため、抜き勾配の角度をより大きくする必要があります。通常は、このような場合、最低でも、3°以上の抜き勾配が必要となると言われています。抜き勾配を付けたくない場合の設計方法前述した通り、射出成形において、成形品の離型性を考慮すると、抜き勾配はできる限り角度を大きくする方が良いのですが、製品の設計によっては、抜き勾配を設けることができない場合などもあります。このような場合には、一般的にスライド金型が利用されます。スライド金型とは、一例として下図に示したような構造を持っており、金型が開くときに、アンギュラピンに沿ってスライドコア部分が金型に対して水平に可動するようになっています。金型をスライドさせる方法は他にもいくつかありますが、これにより抜き勾配がなくても金型からの離型が可能となります。引用元:株式会社アペルザその他にも、突き出しピン(エジェクタピン)などを利用して、成形品の取り出しを行うことも可能です。エジェクタピンは、金型のコア部に配置されており、金型が開いた後、ピンが突き出すことで、パーツが型から押し出されます。その後、ピンは元の位置に戻り、再び樹脂が充填され、射出成形が行われます。エジェクタピン以外にも、プレートで突き出す方法やエアで突き出す方法などによって、成形品を取り出すことも可能です。抜き勾配とテーパーの違い引用元:株式会社RE最後に、抜き勾配とテーパーの違いについて解説していきます。抜き勾配とテーパーはよく混同されやすいのですが、上図に示したように、抜き勾配は角度を示しており、テーパーは、製品の斜面にできる傾斜を指します。なお、テーパー角度とは、両側の傾きによって成される角度のことを指します。ただし、このように抜き勾配とテーパーは全く異なる意味を持つ用語ですが、混同されやすいため、設計の段階でよく確認を行ってから、加工に取り掛かることをおすすめします。抜き勾配についてまとめ今回は、抜き勾配をテーマに、抜き勾配とは何かという説明からはじめ、抜き勾配の角度などについて、ご紹介しました。さらに、抜き勾配を付けたくない場合の設計方法や抜き勾配とテーパーの違いについても解説しましたが、いかがでしたでしょうか。抜き勾配は、特に射出成形加工においては、欠かせない知識です。また、製品を設計する上でも非常に重要な概念となるため、事前に知っておけば、メーカーに加工を依頼する際でもスムーズに話を進めることができるでしょう。抜き勾配でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
継手とはどのような部品なのでしょうか。一般的に継手と言っても種類が多いため、種類や、具体的な使い道、使い分けについて知りたい人も多いでしょう。使われている業界も様々あり、石油化学や製紙、食品、薬品、半導体などのあらゆる産業設備、LNG、LPGタンカー、ケミカルタンカーなどの造船、海水淡水化プラント設備などの工場パイプラインから浄水場などの社会インフラ向けまで帽広い分野で使われています。この記事では、継手の概要から特徴の説明、継手の加工方法の例や扱っている会社の紹介も行います。ぜひ、継手に関する理解を深める参考にして下さいね。継手の種類継手とは、建築物や構造物、機械類の部材を結合する方法、またはその接合部のことを指します。機械類の部材を結合する部品を例にすると、ボルトやナット、フランジ等がイメージしやすいかと思います。今回紹介するものは、継手の中でも配管同士をつなぎ合わせる際に使用する継手です。継手には、素材に準じて主に下記の種類があります。継手の種類黒継手…可鍛鋳鉄製で表面処理はされておらず、工業用によく使用される。白継手…黒継手にめっき加工を施したもの。ステンレス継手…ステンレスの耐食性を活かし、使用されることが多い。クロームメッキ継手…水洗金具やアングル止水管に使用される。黄銅製継手…水洗トイレや便器スパッドで使用される。青銅製継手…黄銅よりも高品質で、海水に対しても耐食性が良い。継手加工に適した素材ステンレスステンレスは優れた耐食性を持ち、建築やプラント関連、原子炉などに広く使用され、配管の主役とも呼べる商品です。通称として「ステン」や「SUS(サス)」と呼ばれています。ねじ込みや溶接などの形状があります。ステンレスの中でも材質は様々あり、成分によって性質および用途が変わってきます。例えば、SCS13と呼ばれるステンレス材は、ステンレス鋼・耐熱鋼として最も広く使用されており、食品設備、一般化学設備、原子力といった様々な分野で使用されています。アルミアルミは軽量化を目的に使用される場合が多く、その用途としては、精密機器の配管部品や、機器を接続するための部品となります。 持ち運びや可動性のある装置では、軽量化により利便性を上げるという目的のために軽量化が必要となり、アルミへの材質の置き換えを検討する場合が多いと言えます。継手の加工を得意としている工場3選株式会社永島製作所引用元:株式会社永島製作所①会社概要本社:石川県羽咋市寺家町タ1−9TEL:0767-22-7011FAX:0767-22-7012設立:1970年12月加工:配管加工、継手加工、金属塑性を利用した加工 など素材:ステンレス材 などホームページ:http://www.nagashima-f.co.jp/②会社紹介株式会社永島製作所はバイオテクノロジー用ステンレス配管部品、建築・水道用配管部品、装飾構造用配管部品の製造販売業務、ビール工場・飲料・医薬工業配管付属品継手並びに加工管、及び金属塑性を利用した加工品を製作しています。③メリット・デメリットステンレスの特性を活かした塑性加工を行っており、難しい形状の変形が可能です。塑性加工とは素材をプレス機などで物体の外側から力を加えて形状を変える加工技術です。難加工材を加工するときは、シワや割れなどが起こりやすく、大きく形状を変えることは容易ではありません。当社では、プレス加工、曲げ加工、バルジ加工等の塑性加工に独自の技術を持ち安定した加工を実現しました。また、成形と熱処理を繰り返すことで、複雑な形でありながら、一体型の製品をつくることが可能で、工程を大幅に省略することができます。鋳造品からの切削加工品とは異なり、素地そのものの組織が安定しており、一体型の構造により中間製品として切削工程が大幅に省かれます。複雑な形状の製作も承っていますが、モノによっては対応できない場合があるので注意が必要です。④製品事例株式会社永島製作所の製品をご紹介します。360°パイプ熱交換用パイプ株式会社東澤製作所引用元:株式会社東澤製作所①会社概要本社:東京都葛飾区金町1-17-2TEL:0495-33-4651FAX:0495-33-4653設立:1944年加工:金属・機械・切削加工素材:鉄材 などホームページ:http://www.higashizawa.co.jp/②会社紹介株式会社東澤製作所は管用ネジ加工を得意とし、継手やその他加工品の製作をしています。お客様の製品化された部品を多く生産しており、その業界は医療、食品、半導体、工作機械、土木、電設、建設機械、印刷機、油圧部品等で幅広く扱われております。③メリット・デメリット株式会社東澤製作所では在庫生産方式をとっており、メリットとしてコスト低減、納期の大幅な削減、そして時間に縛られずに製作できるため品質の確保が可能となっております。そのため、生産計画に遅れない部品の供給を可能にしています。一方で、小ロットの製造の場合、在庫をつくるために最低限のロット数を設けさせてもらう場合があります。近年の製造メーカーでは、先行きの見えない市場に対応が難しい状況となっております。受注から生産となった時に、納期に関して非常に厳しい要求がされますが製作する側の経験を生かして仕様変更によりコストダウンの提案も要望があれば応じます。是非、該当する案件ございましたらMitsuriまでご相談下さい。④製品事例株式会社永東澤作所の製品をご紹介します。PTネジニップル株式会社MIEテクノ①会社概要本社:三重県桑名市大字星川1001番地TEL:0594-31-3131FAX:0594-33-3488設立:明治40年6月加工:金属・機械・切削加工素材:鉄材 などホームページ:http://www.mie-corp.jp/mie/index.php②会社紹介株式会社MIEテクノは、1907年(明治40年)に当時の新素材として脚光を浴びた「ホーロー製品」のメーカーとして創業しました。多業種の製造現場や生活インフラに利用され、当社のブランド力をさらに向上する商材として確固たる地位を築いています。③メリット・デメリットISO9001を取得しJIS表示を認定された本社工場で、徹底した品質管理のもとにお客様ニーズにお応えする高品質商品の製造に取り組んでいます。小径管から大径管まで豊富な寸法範囲、薄肉から厚肉まで多彩な肉厚種類など、様々な要望にお応えします。少量・多品種の製造対応の場合は、コスト面でのデメリットや対応できない可能性もございます。④製品事例株式会社MIEテクノの製品をご紹介します。エルボティー継手継手の加工事例引用元:ユタカ精工株式会社継手の加工事例として、最近の部品軽量化の流れで特に需要が増えている製品であるアルミフランジを紹介します。アルミのオール切削加工による部品の製作はもちろん、アルミ鋳物+切削加工による部品製作も可能です。特に後者の加工方法では、部品の形状の自由度が上がり、生産数量によってはイニシャルコストも抑えられることができるので、コストダウン効果は非常に高いと言えます。まとめ今回は主に配管継手について解説を行いました。配管継手は、主にステンレスやアルミによって出来ています。環境や部位、用途によって材質や形状を選ぶ必要があります。また、メーカーでの加工方法や製造方法が異なり、併せて部品形状の自由度や生産数によるイニシャルコスト等が異なるため、メーカー選びが大切と言えるでしょう。メーカーを選ぶ際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で140社以上のメーカーと提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を監修する専門家有限会社大川板金取締役 大川嘉雄 氏創業50年、板金加工・機械加工等の金属加工を手掛ける有限会社大川板金で取締役を務める。10年以上の金属加工でのキャリアを活かし、コンサルタントとしてMitsuriのアドバイザーを兼務。町工場の3K(きつい、汚い、危険)イメージを変え、カッコいい人達で溢れる職場を目指している。今回は幾何公差の基礎知識について解説します。幾何公差とは、物体の形状・姿勢・位置関係などの誤差の許容値を表します。設計図面で指示された形状などに加工しようとしても、完全に正しい状態(幾何学的に正しい直線・円・平面)に仕上げることはできません。そこで、どの程度まで歪みやズレを許容できるかを数値化したものとして幾何公差を用います。厳しすぎる公差での設計は要注意!精度を出せる切削加工の場合でも、公差を厳しくしすぎるとお見積り提出に至らない場合があります。こちらの動画では、どのような場合に加工不可となるのか解説していますのでぜひご覧ください!Youtubeにて、金属加工Mitsuriチャンネルを運営中!こちらからご覧ください!幾何公差とは?幾何公差とは、とある物体の形状の幾何学的な精度を表す指標のことで、わかりやすく説明すると、設計で意図している形状・姿勢・位置関係などの歪みやズレの許容値を意味します。似た単語として「寸法公差」がありますが、寸法公差は図面で記述されている寸法の許容誤差範囲を示しています。寸法公差だけ指示した場合、設計者の意図する正しい形状には指示しきれないため、幾何公差を用いる必要があります。幾何公差の分類幾何公差には、大きく分けて「単独形体」と「関連形体」があります。これらをさらに細かく分類すると、「形状公差」「姿勢公差」「位置公差」「振れ公差」の4つに分かれます。●単独形体:形状公差●関連形体:姿勢公差・位置公差・振れ公差単独形体とは、形状に対して、単独で指定できる幾何公差のことです。幾何公差の分類の「形状公差」が単独形体に該当します。関連形体とは、何か基準となる相手との関係を示す必要がある幾何公差のことです。「姿勢公差・位置公差・振れ公差」の3種類が関連形体に該当します。以上のことを踏まえ、それぞれの幾何公差の分類について、どのように図示するかの例と意味について解説します。形状公差引用元:アイアール技術者教育研究所 【機械製図道場・上級編】幾何公差の図示を習得!幾何公差の種類・特性・記号は?データムって何?上図左は、形状公差の平面度を図示している例です。面の幾何公差を指示するために、外形線に指示線を入れて、幾何公差の記入枠と結び付けます。幾何公差記入枠には、平面度を示す記号と許容差の数値を記入することで、幾何公差を指示します。上図の例の場合、幾何学的平面から0.1mm以内の歪みで仕上げるように指示しています。姿勢公差引用元:引用元:アイアール技術者教育研究所 【機械製図道場・上級編】幾何公差の図示を習得!幾何公差の種類・特性・記号は?データムって何?上図左は、姿勢公差の直角度を図示している例です。上図左で記入されている「A」の記号は、「データム記号」と呼ばれるものです。データムとは、関連形体の幾何公差を決めるために設定された、理論的に正確な幾何学的基準のことで、「指定された幾何公差に基づいて加工や検査をする際は、この面または線を基準としてください」という意味を持ちます。このことから、上図では、基準面である底面Aに対して、図示している垂直面が0.05mm以内のズレで仕上げることを指示しています。位置公差引用元:アイアール技術者教育研究所 【機械製図道場・上級編】幾何公差の図示を習得!幾何公差の種類・特性・記号は?データムって何?上図左は、位置公差の同軸度を図示している例です。上図左のように、軸線または中心平面に対して幾何公差を指示する場合は、寸法線と一直線上に向き合うようにして支持線を記入します。上図では、径の大きい方の円筒部の軸心を基準とし、径の小さい方の円筒部の軸心のズレが0.05mm以内に収まるように指示しています。振れ公差引用元:アイアール技術者教育研究所 【機械製図道場・上級編】幾何公差の図示を習得!幾何公差の種類・特性・記号は?データムって何?上図左は、振れ公差の全振れを図示している例です。振れとは、上図右のように、円筒を軸心まわりに回転させると、表面の微細な凹凸により、真円のものと比べてズレが生じることを指します。今回ご紹介している全振れの場合は、全周にわたり公差内に収めることを要求する意味を持ちます。そのため上図では、データム軸直線を中心に回転させた、小さい方の円筒の振れが全周0.03mm以内であることを図示しています。幾何公差の種類単独形体である形状公差は、以下の6つの特性があります。●単独形体(形状公差):真直度、平面度、真円度、円筒度、線の輪郭度、面の輪郭度関連形体である姿勢公差・位置公差・振れ公差は、それぞれで以下の特性があります。●関連形体(姿勢公差):平行度、直角度、傾斜度、線の輪郭度、面の輪郭度●関連形体(位置公差):位置度、同軸度、同芯度、対称度、線の輪郭度、面の輪郭度●関連形体(振れ公差):円周振れ、全振れここでは、幾何公差の各特性についての意味をご紹介します。真直度指定面や軸が、どれだけ変形しているかを表す幾何公差。平面度平面からどれだけ変形しているかを表す幾何公差。真円度真円からどれだけ変形しているかを表す幾何公差。円筒度円筒状のものが、どれだけ真っ直ぐかつ、丸いかを表す幾何公差。線の輪郭度母線形状がどれだけ変形しているかを表す幾何公差。面の輪郭度線の輪郭度のような二次元の線ではなく、表面形状からどれだけ変形しているかを表す幾何公差。平行度データム直線またはデータム平面に対して、どれだけ直線や平面が平行であるかを表す幾何公差。直角度データム直線またはデータム平面に対して、どれだけ直角から傾いているかを示す幾何公差。記述する数値は、角度ではなく、mm単位で表します。傾斜度データム直線またはデータム平面に対して、どれだけ指定角度(90°を除く)から傾いているかを表す幾何公差。直角度と同様に、角度ではなくmm単位で表します。位置度データムまたは他の形体に関連して定められた点、直線、平面に対して、どれだけ位置ズレしているかの幾何公差。同心度データム円の中心に対して、他の円の中心位置がどれだけズレているかを表す幾何公差。同軸度データム軸直線と同一直線上にあるべき軸線が、どれだけ正確な位置からズレているかを表す幾何公差。対称度データム軸直線またはデータム中心平面に対して、互いに対称であるべき形体がどれだけ正確な位置からズレているかを表す幾何公差。円周振れデータム軸直線を軸とする回転体を回転させたとき、指定した任意の箇所がどれだけズレているかを表す幾何公差。全振れデータム軸直線を軸とする回転体を回転させたとき、その表面がどれだけ振れているかを表す幾何公差。幾何公差の記号一覧ここまで幾何公差の特性の意味について解説しました。幾何公差の記号については、以下の表をご参考ください。<単独形体 幾何公差の表>※JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式を参考に作成形状公差は、単独形体の幾何公差のため、データム指示は不要です。ただし「線の輪郭度」と「面の輪郭度」については、関連形体の姿勢公差と位置公差の用途で用いる場合があります。その際はデータム指示が必要です。<関連形体 幾何公差の表>※JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式を参考に作成姿勢公差・位置公差・振れ公差は、関連形体の幾何公差のため、基本的にデータム指示が必要です。ただし、位置度においては、条件によってデータムを不要とする場合もあります。
公差記号とは公差とは「許容される差」を意味します。例えば、製作する部品の寸法が10mmで図面には「公差+0.5」と記載されている場合、完成品の該当箇所が10.5mmとなっても許容範囲内とし品質に問題はないということになります。公差は大きく分けて、普通公差(一般公差)と寸法公差の2種類に分けられます。その寸法公差の中には幾何公差というものがあり、さらに幾何公差の中にも「形状公差」「姿勢公差」「位置公差」「振れ公差」の4つがあります。参考記事:【公差】とは?基本的な定義や許容差との違い・板金加工における公差について解説します!参考記事:【板金加工 図面】図面の基礎を徹底解説!書き方・読み方・必要性公差記号はたくさんあるので慣れないうちは覚えるのに苦労するかもしれません。今回はより楽しく覚えられるようにクイズ形式で記号を紹介していきます!どれも図面でよく使われる記号ですので、全問正解目指して頑張ってください!第1問この記号は何を指定するものでしょうか?①四角さの指定②最も出っ張った部分と最もへこんだ部分の指定③直角の指定答え:②平面度を指す記号。どのくらい正確に平らな面にするべきかの表面の凹凸加減を指定します。最も出っ張っている部分と最もへこんでいる部分が、上下に離れた2つの平面の間に挟まれた一定の距離でなければいけません。第2問この記号は何を指定するものでしょうか?①真っ直ぐの指定②平行さの指定③垂直さの指定答え:①真直度を指す記号。どれくらい真っ直ぐにするべきかを指定します。直線に適用され、中心線や母線などの曲がりを表します。そのため、長尺物を始めとする反りの許容などに利用されます。第3問この記号は何を指定するものでしょうか?①丸さの指定②丸さと真っ直ぐさの指定③丸さと平行さの指定答え:②円筒度を指す記号。まんまるさと真っ直ぐさを指定します。どれくらい正確な円筒形にするべきなのか、そして円筒のゆがみを表します。第4問この記号は何を指定するものでしょうか?①曲面(断面)が注文した通りにできているかの指定②曲面(表面)などが注文した通りにできているかの指定③まんまるさの指定答え:②面の輪郭度を指す記号。曲面(表面)などがデザインした通りにできているかを指示します。面の輪郭度は線の輪郭度と異なり、指定曲面の全体が対象です。第5問この記号は何を指定するものでしょうか?①データム(基準となる平面、直線)に対して、どのくらい正確に直角であるかの指定②データムに対して、どのくらい真っ直ぐであるかの指定③データムに対して、どのくらい2つの平面または直線が平行であるかの指定答え:③平行度を指す記号。平行度には基準となる平面、直線である「データム」が存在します。第6問この記号は何を指定するものでしょうか?①データムに対して、どのくらい真っ直ぐであるかの指定②データムに対して、どのくらい正確な位置にあるかの指定③データムに対して、どのくらい正確に直角であるかの指定答え:③直角度を指す記号。データムに対して、どのくらい正確に直角であるかを指定します。ちなみに、直角度で指定する単位は角度ではなくmmで表記します。第7問この記号は何を指定するものでしょうか?①データムに対して、どのくらい正確に傾斜しているかの指定②データムに対して、どのくらい正確に直角であるかの指定③傾斜がどのくらいあるのかの指定答え:①傾斜度を指す記号。指定する直線や平面が90°以外であり、データムに対して正確に傾斜されているかを指定します。こちらも直角度と同様、傾斜度で指定する単位は角度ではなくmmで表記します。第8問この記号は何を指定するものでしょうか?①データムに対して、垂直であることの指定②データムに対して、対称であることの指定③データムに対して、どのくらい正確な位置にあるかの指定答え:③位置度を指す記号。データムに対してどのくらい正確な位置にあるのか、その精度を指定します。第9問この記号は何を指定するものでしょうか?①回転させたときの任意の円周の一部の振れの指定②回転させたときの表面全体の振れの指定答え:①円周振れを指す記号。部品を回転させたときの任意の円周の一部の振れを指定します。円周振れは部品を回転させたときに生じる測定値の振れが、規定の範囲内にする必要があります。第10問この記号は何を指定するものでしょうか?①回転させたときの任意の円周の一部の振れの指定②回転させたときの表面全体の振れの指定答え:②全振れを指す記号。部品を回転させたときに生じる表面全体の振れを指定します。全振れは円筒面全体の測定値の振れが規定の範囲になければなりません。公差記号のまとめ分類記号幾何公差名データムの有無形状真直度平面度真円度円筒度線の輪郭度面の輪郭度無無無無無無姿勢平行度直角度傾斜度有有有位置位置度同軸度同芯度対称度有有有有振れ円周振れ全振れ有有
数値制御で動作するNC工作機械を扱うには、NCプログラムを用いて指令する必要があります。NCプログラムにはGコードやMコードなどのコードがありますが、これらの内容を理解してプログラムしなければなりません。そこで今回は、NCプログラムのうちのGコードについて解説します。Gコードとは?Gコードとは、NCプログラムの一種で「準備機能」と呼ばれるものです。NC工作機械に指令を送り、ワークの加工が行えるようになります。Gコードは「アドレスキャラクタ」と呼ばれるGのアルファベットと、後ろにつく2桁の数値を表示させることで、指令が送られます。新しい制御装置の場合は、Gコードを3桁やそれ以上の桁にしているものもあります。Gコードは一般的にG00~G99までのコードがあります。種類が豊富で全てを把握するのは難しいものの、頻繁に使うGコードを覚えておけば、プログラム作成は可能です。また、NCプログラムは事前にパソコン上でワークを切削できるシミュレーションソフトがあります。シミュレーションソフトを使えば、プログラムデータをNC工作機械に送る前に、仮想の加工を行えるので、不良品や工具の破損といったトラブルを防止できます。シミュレーションソフトは、トレーニング目的でも使うことが可能です。Gコードの種類引用元:芝浦機械株式会社 モーダルとワンショットGコードには、指令の有効な範囲の違いによって「ワンショットGコード」と「モーダルGコード」の2種類に分けられます。ワンショットGコードワンショットGコードは、指定されたブロックに対してのみ有効なGコードのことを指します。Gコードにはそれぞれグループ分けがされており、グループによってワンショットとモーダルのどちらかに分類されます。モーダルGコードモーダルGコードは、指令されたブロックから持続して有効になるGコードのことを指します。有効な範囲は、同じグループのGコードが指令されるまでです。代表的なGコードの一覧ここでは、JIS B 6315-1で規定されている、NC工作機械でよく使用するGコードについて紹介します。Gコードは使用するNC工作機械により、コードの仕様が異なる場合があるので、ここで紹介するものはあくまで参考として見てください。参考:【JIS B 6315-1 産業オートメーションシステム及びその統合-機械の数値制御-プログラムフォーマット及びアドレスワードの定義-第1部:位置決め,直進運動及び輪郭制御システム用データフォーマット】G00機能:位置決め説明:指令した位置へ最大送り(例えば、早送り)で移動させるモード。このモードによってあらかじめプログラムした速度は無視されるが、キャンセルされない。各軸の運動は、同期しなくてもよい。G01機能:直線補間説明:一様な勾配又は制御軸に平行於な直進運動を指定する制御のモード。G02、G03機能:G02は時計回りの円弧補間、G03は反時計回りの円弧補間説明:工具の運動面をそれと直角な軸の負方向に見たときの工具の運動が、円弧に沿って時計回り、もしくは反時計回りになるように制御する輪郭制御のモード。G04機能:ドウェル(遅延)説明:プログラムした時間又は主軸回転数だけ、次のブロックに入るのを遅らせる機能。G17、G18、G19機能:G17はXY面の選択、G18はZX面の選択、G19はYZ面の選択説明:同時に2軸を動作させる円弧補間、工具径補正などを行わせる面を選択するモード。G28機能:今後とも指定しない、又は原点復帰説明:原点復帰モードとして使用してもよい。G40機能:工具径補正のキャンセル説明:前に与えた工具径補正(直径又は半径)又は工具オフセットをキャンセルする指令。キャンセル後は補正しない工具経路となる。G41機能:工具径補正、左説明:工具の相対的な運動方向に向かって左側に工具経路を補正する指示。G42機能:工具径補正、右説明:工具の相対的な運動方向に向かって左側に工具経路を補正する指示。G43機能:工具オフセット、正説明:工具オフセットの値を関連するブロックの座標値に加算する指令。G44機能:工具オフセット、負説明:工具オフセットの値を関連するブロックの座標値に減算する指令。G49機能:未指定又は工具長オフセットのキャンセル説明:工具長オフセットのキャンセルとして使用してもよい。G54~G59機能:ワーク座標系選択説明:工作物に定められた複数の右手直交座標系からの選択。G80機能:固定サイクルのキャンセル説明:固定サイクルをキャンセルする指令。G81~G89機能:固定サイクル説明:中ぐり、穴あけ、ねじ立てなどの加工を行うために、あらかじめ定めた一連の作業シーケンスを実行させる指令。<固定サイクルのコード内容>コード行き底で戻り代表例ドウェル主軸G81切削送り--早送り穴あけ、もみ付けG82切削送り有-早送り穴あけ、座ぐりG83間欠送り--早送り深穴あけG84主軸正転、切削送り-逆転切削送りねじ立てG85切削送り--切削送り中ぐりG86主軸始動、切削送り-停止早送り中ぐりG87主軸始動、切削送り--手動又は早送り中ぐりG88主軸始動、切削送り有停止手動中ぐりG89切削送り有-切削送り中ぐりG90機能:アブソリュートディメンション説明:ブロック内の座標軸をアブソリュートディメンション(絶対座標)として与える指令。G90は、以後の位置指令が、常に原点からの距離であることを指令します。G91機能:インクリメンタルディメンション説明:ブロック内の座標軸をインクリメンタルディメンション(相対座標・増分座標)として与える指令。G91は、以後の位置指令が直前の位置からの距離であることを指令します。Gコードの固定サイクル固定サイクルとは、穴あけやタップ立てなど、頻繁に行う加工に対してあらかじめ設定した一連の動作を1ブロックにまとめたもののことを指します。JIS B 6315-1では、G81~G89のGコードが該当します。Gコードの固定サイクルは、以下の動作から成り立ちます。・X-Y軸の位置決め(G17 XY平面の場合)・R点(リファレンス点、XY平面の場合Z軸の基準位置)レベルまでの早送り・加工・穴底位置の動作・R点レベルまでの逃げ・イニシャルレベル(固定サイクルの開始位置)までの逃げ加工軸方向の移動量は、G90(アブソリュート)とG91(インクリメンタル)で異なります。また、固定サイクルはG80を指令するとキャンセルされます。Gコードにはそれぞれグループが分類されていますが、グループ01のGコード、G00、G01、G02、G03の指令が行われた場合も固定サイクルはキャンセルされます。Gコードのプログラム例正方形に移動するGコードのプログラム例O0001(SAMPLE);G90 G00 X0.Y0.;G01 X10. Y0. F100.;X10.Y10.;X0.Y10.;X0.Y0.;%上記は正方形に移動するGコードのプログラム例です。次に上記で使用している記号や、そのほかに使用する場合のある記号の意味について見てみましょう。・%、データスタート・データエンドプログラムの始めに付く%はデータスタートを表す記号、プログラムの最後に付く%はデータエンドを表します。ただし、機器によっては必要としない場合もあります。・O、プログラム番号データスタートの次のブロックに来るのがOのプログラム番号です。アルファベットOに加えて最大で4文字(0000~9999)の数字が入ります。プログラム番号は、1つのプログラムに1つ記述する必要があります。・()、コメントプログラム番号の後ろに付く()は、コメントの意味を表し、NCでは読み込まれないものです。()は、プログラムの意味を分かりやすくするためのコメントとして便利です。・;、EOBプログラムの行の最後には「;(セミコロン)」が付きます。これは「EOB(エンドオブブロック)」と呼ばれるもので、行の頭から;までをブロックと呼びます。ただし、EOBはパソコンでプログラムを行った場合、設備に読み込ませる際に改行が;に変換されるので付ける必要はありません。・N、シーケンス番号各ブロックの最初には「シーケンス番号」と呼ばれる、アルファベットのNと数値が組み合わされたものが付いている場合もあります。シーケンス番号は、番号が順番に大きくなるようにプログラムの要所に付けておくと、編集の際に番号をサーチすることで、所定のブロックを探しやすくなるので便利です。シーケンス番号の順序や、付けるかどうかの選択は任意になります。・S、主軸の回転数アルファベットのS+数値の表記は、主軸の回転数(rpm)を意味します。・F、送り速度アルファベットのF+数値の表記は、送り速度(mm/min)を意味します。・T、工具選択アルファベットのT+数値は、その数値に該当するツールを呼び出します。Tは呼び出しだけで交換は行わないので、工具交換を行うにはMコードと合わせて使用します。GコードとMコードの違いMコードとは、「補助機能」と呼ばれるもので、NC工作機械を動かして加工するための指令を出すコードのことを指します。Gコードは準備機能であるのに対して、Mコードは補助をするための役割を持ちます。MコードはアドレスキャラクタのMと、後ろにつく2桁の数字で表します。例えば「M03」と記述されているMコードは主軸正転を意味しており、M03に加えて指令した数値で回転を行います。ただし、MコードはNC工作機械のメーカーによって指令が異なる点に注意してください。
今回の記事では、CAMの基礎知識について解説します。CAMは「Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造)」の略で、工作機械を動かすプログラムを作成するためのソフトウェアです。CAD「Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)」のデータを用いて、加工用のNCプログラムなどの生産準備をコンピュータ上で行えます。CAMとはCAMとは、PC上でコンピュータで数値制御を行う工作機械を操作するための加工プログラムソフトウェアのことです。CADで作成した図面をもとにCAMで加工プログラムを作成し、CNCに対応した工作機械にデータを送付して機械加工を行います。CAMの特徴とメリット引用元:株式会社ゼネテック CAD/CAMとはCAMでは、工作機械上で直接操作してプログラムを入力するよりも、精度が高くてスピーディなプログラム作成が可能です。従来では職人の手でしか作れなかったようなものでも、知識とCAMの操作技術があれば、多くの方が精密な製品を加工できるようになります。CAMはCADで作成したモデルに対して、使用する工具・工具の動かし方・加工スピードなどを設定できるほか、パソコン上で視覚的に状態を確認できるので、加工時のトラブルが起こりにくい特徴があります。また、加工にかかる時間も算出できるため、見積もりの作成やスケジュールの調整をするのにも便利です。CAMを利用している現場CAMは、製品の加工を行うためのNCプログラムデータを作成するソフトウェアのため、設計ではなく、主に製造現場にて使われています。自動車・飛行機・医療機器・産業用機械などの部品や、金型の製造にてCAMが利用されています。CAMの種類(内部データ形式による分類)ここでは、CAMの内部データ形式(形状の保持)の種類による違いを解説します。フィーチャ型フィーチャ型は、主に2D加工を中心としたプログラムを作成するためのデータ形式です。形状の幾何情報と意図情報をあわせ持ち、複雑な工程を必要とする部品加工にて多く活用されています。サーフェス型サーフェス型は、主に3D加工で用いるデータ形式です。曲面としての形状情報を有しており、複雑な形状でも精度の高い加工プログラムを作成できます。一方で、計算速度に時間がかかりがちな点は注意が必要です。ポリゴン型ポリゴン型は、主に3D加工で使用するデータ形式です。サーフェス型と異なり、球面はミラーボールのように多数の平面の集まりでデータ化されています。平面は微細なもので構成されているため、球面の近似としてデータを扱います。ポリゴン型はサーフェス型に比べて、平面への変換時に誤差が発生してしまい、高い精度の加工が難しくなります。その一方で、微細な平面情報の集まりであることから、計算速度が速い傾向にあります。CAMの種類(工具軸による分類)ここでは、工具軸の違いによるCAMデータの種類の分類について解説します。工作機械は、ものによって工具軸数が異なります。工具軸の違いで、加工方法や仕上がりに違いがあります。3軸3軸は、X軸・Y軸・Z軸の計3軸により機械加工を行う方式です。5軸加工に比べて、加工の精度やコスト、時間の面では劣りますが、平面削りや溝加工といった単純な加工については、3軸のほうが扱いやすいメリットがあります。3軸は一般的に多く利用されるタイプで、2DCAMと3DCAMの両方で使用されています。固定5軸固定5軸は「割り出し5軸」とも呼ばれるもので、3軸加工に比べて工程ごとの段取りが不要になり、生産性に優れた加工方式です。そもそもの5軸加工は、ワークを掴みなおすことなく多面の加工を行えるので、位置ズレがなく精度の高い加工を行えるほか、段取り替えによる時間を省略できます。固定5軸は、X軸・Y軸・Z軸・回転軸・傾斜軸の計5軸を使いますが、あらかじめ回転軸と傾斜軸で位置決めを行い、残りの3軸で加工する仕組みです。同時5軸と比べると、3次元曲面の加工は行えないものの、簡易的な方式のため、各軸のズレを調整しやすい特徴があります。固定5軸のCAMデータは、位置決めの際に5軸を同時操作できるほか、切削時には2軸や3軸の同時操作を行えます。同時5軸同時5軸は、X軸・Y軸・Z軸・回転軸・傾斜軸の計5軸を同時に動かして機械加工を行うものです。固定5軸と比べて、自由に加工工具の角度を変えられるので、3次元曲面の加工や隠れた部分の加工を行えるメリットがあります。同時5軸のCAMデータは、3軸同時移動データに加えて、回転軸と傾斜軸の動作データも出力できます。複合同期ターレット複合同期ターレットは、複数の工具を複数の加工軸で同時に制御して加工するデータを出力します。2DCAMと3DCAMCAMには大きく分けて2DCAMと3DCAMの2種類があります。これらは、2次元の図面と3次元のモデルのどちらで設計を行ったかで使い分けがされています。2DCAM2DCAMは、2次元CAMとも呼ばれるもので、主に2次元の図面から2次元の加工データを作成する場合に使用します。なかには「2.5DCAM」と呼ばれるものもあり、平面輪郭に断面を付加した加工データを作成できるタイプもあります。3DCAM3DCAMは、主に3次元のモデルから加工データを作成する場合に使用します。複雑な曲面を有するデータに対しても有効で、自由度の高い製品の加工データを作成できます。3DCAMは、2DCAMや2.5DCAMの機能を備えているものが多くありますが、3D専用のものもあります。CADとCAMの違いCAD「Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)」は、パソコン上で図面を描くためのソフトウェアです。一方CAM「Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造)」は、パソコン上でNC工作機械の加工プログラムを作成するためのソフトウェアです。基本的には、CADで設計や製図をしてから、CAMで加工データを作成し、工作機械で製品を作る流れをとります。このことから、CADは主に設計の現場で使用するもので、CAMは製造の現場にて使用するソフトウェアとしての違いがあります。CAD/CAMとはCAD/CAMとは、CADとCAMの機能を両方併せ持つソフトウェアのことです。設計から加工機器を操作するためのプログラミングを、1つのソフトウェアで完結できます。同じソフトウェアで完結できることで、CADとCAMのソフトウェア間の違いにより、データの読み込みがうまくできない場合を防げるほか、CADデータの段階で修正があった場合に即座に対応できるようになります。
製図は設計者から現場加工者まで、商品に携わるほぼ全ての人が確認する大切なものです。今回は製図を描いてみたいけどどう描けばいいのかわからない人に向けて、図面の描き方やルールを解説します。製図とは製図とは商品を製作するために、形や大きさが描かれた図面を作成することを意味します。出来上がった図面の指示通りに加工すれば、正しい製品ができ上がることを目的としています。製図の必要性現代では3D CADや3Dプリンターを活用すれば二次元図面を描かずとも、CADから出たデータから直接部品を製造できます。では、加工をする上でなぜ図面が必要になってくるのでしょうか。それはクオリティの高い部品を作るためには寸法や細かい形状といった様々な情報が欠かせないからです。複雑な形状の加工を行う際に、口頭で寸法や形状を口頭で説明すると、どうしても双方の解釈に誤解が起こりかねません。そこで、加工の指示や形状が描かれた図面が必要となってきます。また検査や検図を行う際は、データではなく紙の図面を使った方が作業効率が良い場合があるため、多くの企業では紙の図面を必要とするところもあります。製図をする際の注意点製図を行う際は、第三者に正確に伝わることが最も重要です。詳しいルールや書き方については以下で解説しますが、まず製図を行う際に心がけなくてはならない最低限の注意点を紹介します。・正確さ図面は投影対象物の形状、加工精度、仕上げ状態、寸法、測定条件などを記載し、設計した意図が相手に伝わるように加工者や測定者に対して必要な情報を全て記入しましょう。・わかりやすさ第三者が理解しやすいよう、補助投影図や断面図などを使いましょう。図や記号だけではわかりにくいと判断できる場合は、注記文にして補足すると伝わりやすくなります。・簡潔さ図面は形状を繰り返す投影図の使用は控え、解釈しやすい文字の大きさや行間に配慮しましょう。場合によっては大きなサイズの紙に変更したり、複数枚に分けたりすることも検討します。JIS規格とは製図をする際には見る人によって異なった解釈をしてしまうリスクがないように、わかりやすく正確に描かなかればいけません。そのため、国内では図面を描く際の共通のルールがいくつか存在します。JISについて製図は「JIS」という国内で決められたルールに従って作成します。JISとは工業標準化法に基づき、全ての工業製品について定められる日本の国家規格です。日本では1930年にJES(日本標準規格製図)が公布され始め、その後、現在のJIS(日本工業規格製図通則)が制定されました。企業活動のグローバル化に伴なって、これまで国際的な設計や製図分野の標準化が進められ、JISも国際標準に準ずるよう定期的な改定が行われています。(引用元:https://https://pub.nikkan.co.jp/uploads/book/pdf_file56cec6837ba66.pdf)製図のルール製図を行う際はJIS規格に従って作成しなければいけません。次に具体的な製図のルールを紹介します。図枠のサイズ図枠(図面枠)とは製図に使用される枠のことを指します。図枠には規定の用紙サイズがあり、一般的に使われるB5やA4サイズに比べると大きいものも使われます。サイズ縦寸法横寸法A4210297A3297420A2420594A1594841A08411189図枠にはこのようにいろんな種類がありますが、サイズは描く対象の大きさによって変わってきます。対象物をちゃんと表現するために必要に応じて尺度を変更するケースもありますが、基本的には図枠内におさまるよう、できるだけ小さな図枠を使いましょう。線の種類図面で使われている線にはいろんな種類があります。これは同じ太さや線を使ってしまうとその線が形状の線なのか、寸法を表した線なのかがわかりにくいためです。そのため、図面を描く際には線の種類を用途によって使い分けなければいけません。製図で使われる線の種類は以下の通りです。線の種類用途線太い実線外形線細い実線引出線、寸法線、ハッチング細い破線かくれ線細い一点鎖線中心線、基準線線の太さは極太線、太線、細線の3種類が一般的に使われており、比率は極太線:太線:細線=4:2:1となっています。下記は製図例です。形状の線とわかりやすくするため、形状を示す線以外は全部細線を使います。(引用元:ものづくりウェブ)文字の種類、大きさ図面で使う文字のルールは以下の通りです。・常用漢字常用漢字を使い、難しい漢字は使わない。16画以上は仮名で表記する。大きさは3.5mm、5mm、7mm、10mm。・かな、カタカナひらがな、カタカナで表記し一緒に使うのは原則NG。ただし、外来語、動物・植物の学術名および注意を促す表記をする場合、混用は認められる。大きさは2.5mm、3.5mm、5mm、7mm、10mm。仮名に使う小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」は0.7の比率にする。・ラテン文字、記号、数字大きさはいずれも2.5mm、3.5mm、5mm、7mm、10mmとする。右に約15度傾けて表記する。・文字のすきま文字線の太さの2倍以上とする。製図の投影法、第三角法とは図面は三次元の対象物を二次元に表したものです。そのため、製図を行う場合は立体を平面に投影することになります。投影は光をある方向から当てたときにできる影で、その影が出た面を投影面と言います。図面はその投影を用いて描かれています。日本ではJIS規格で規定されている第三角法を使って製図を行うのが一般的で、アメリカでも使用されている方法です。ちなみにヨーロッパでは第一角法が広く普及されています。第三角法は機械製図で代表される最もポピュラーな投影法なので、製図を行う前におさえておきましょう。第三角法について一般的に機械製図で使われる第三角法。これは下記の図にあるように、正面図、平面図、側面図で構成されていて、それらを描く位置は決められています。正面図の真上に平面図、正面図の真横に側面図を描きます。ちなみに正面図は商品の代表する面で描くことも決められています。一般的な図面は3方向からの図面で立体の形を的確に表すことが可能です。このような図面を三面図といいます。大三角法による三面図(引用元:独立行政法人 海上技術安全研究所)第三角法のマーク第三角法を使用した図面は、投影法がわかるようにマークを記載しなければいけません。第三角法、第一角法のマークは以下の通りです。(引用元:セドヤのブログ)このマークがあることで、図面を読んだ人は第三角法で描かれていることが一目でわかります。第三角法を用いる際の注意点・正面図、側面図、平面図がバラバラ正面図、側面図、平面図をバラバラな位置に作図したり、横に並べたりするのはNG。正面図の真上に平面図は位置しておき、正面図の横に側面図を描きましょう。・側面図と平面図の奥行きが異なる側面図と平面図の奥行きが異なることはありません。公差とは公差は商品を作った時や組み立てた時に生じる、大きさの誤差が許容される範囲を指します。図面上には、実際に作りたい商品の設計寸法の最大値と最小値を表すことが一般的です。公差の目的製品を作成する時は、図面やCADで寸法をきちんと定義しておけば狙い通りの形状が出来上がります。しかし実際の現場では、材料や加工作業などの段階から多少の誤差が生まれ、どうしても商品のばらつきが起こりかねません。そのため、最大値から最小値の合格ラインを設ける公差を設定する必要があります。普通公差公差にはいくつか種類がありますが、その中でもJIS規格で定められた公差のことを普通公差といいます。これは図面ごとに寸法が都度記載されるものではなく、JISに記載されている表がベースとなって適用されます。普通公差は寸法の指定がされない場合に使用される種類です。図面に記載される寸法には公差が指定されていますが、全部の寸法に公差が記載されていると図面が乱雑になってしまいます。そこで、JISが公式で指定している普通公差を使うことで、書き手と読み手が誤った解釈をすることなくキレイな図面で正確に読み取れるようになるのです。さらに普通公差は各寸法を一括して指定できるので、図面に寸法を記載する手間が省けるメリットもあります。普通公差の等級普通公差は公差のレベルごとに「精級」「中級」「粗級」「極粗級」の4つの等級が設けられています。それに設計者が適した等級を選択します。○普通公差一覧精度目安0.5-3.03.0-6.06.0-3030-120精級(f)±0.05±0.05±0.1±0.15中級(m)±0.1±0.1±0.2±0.3粗級(c)±0.2±0.3±0.5±0.8寸法公差寸法公差とは、高い精度が特に必要な寸法に対して、書き手が任意に決めることができる公差です。設計者の意図を加工者に明確に伝えられるメリットがあります。製図まとめ図面は加工開始〜検査までを一貫する、地図のようなものです。ルールや描き方が細かく決められていますが、何より大切なのは正しい情報を明確にわかりやすく伝えられるように製図を行うことです。製図のルールをある程度覚えたら、少しずつ実際に描きながら図面の描き方をマスターしてみてください。
製造業界で欠かせないのが「CAD」と呼ばれるソフトです。CADの発売により、これまで手作業で行っていた設計図の作成がパソコンとCADを使うことで格段に時間短縮されました。今回は新たにCADソフトを導入しようという方に向けて、製造業界で使われているCADの種類をご紹介します。CADとは?CAD(キャド)は「Computer Aided Design」の頭文字をとった略語で、それまでは手作業で製作された設計図をコンピュータを使って手軽に作成できるようにしたソフトです。スピーディさ、正確さが特徴CADを使うことでスピーディに作業できるようになったことはもちろん、手書きではどうしても困難だった小さなズレなどもより正確に作成できるようになりました。さらにCADを使えば修正履歴も保存できるので、ログをしっかり残しておきたい時にも便利です。また、データで管理が可能なので、紙を保存しておく手間や場所も必要ありません。共有したい場合はファックスや郵送の必要もないので、確認したい時にすぐチェックできるのもメリットの一つです。2DCADCADは大きく分けて、「2DCAD」「3DCAD」の2つの種類があります。2DCADとは二次元データの製図を行うCADのことをいいます。図面を平面・正面・側面からなる大三角法によって製図されます。2DCADは3DCADに比べて導入が比較的行いやすいため、2DCADのみ導入している企業も多くあります。一方で図面の読み取りにスキルが必須となるので手間がかかりやすく、図面読み取りや加工の検討などいくつもの工程を挟まなければいけません。3DCAD一方の3DCADは三次元データの製図が行えます。立体で表現できるため、作りたい形状を理想に近い状態で再現できます。立体そのものを見ながら作業できるので、加工方法の検討に要する時間も短縮されます。また、3Dモデルから2D図面の作成も行えるので、3DCADさえあれば2D図面の作成も容易にできるでしょう。ただし、3DCADは操作の慣れが必要なので、企業によっては対応していないところも多く見られます。しかし近年では、そのデメリットも希薄化しているとも言われています。3Dプリンタなどの登場により、3DCADデータの活躍の場が広がったからです。「フリーCAD」という無料で使える3DCADもあり、個人レベルでは以前よりも簡単に作成できるようになりました。CADに関する記事:【2D CADと3D CADの違い】 | CADの基礎知識無料で使えるフリー3DCAD比較表Fusion 360(非商用利用)OnShapeDesignSparkMechanicalFreeCADSketchUpFreeCreoElements/DirectModeling Expressソリッド◯◯◯◯✕◯サーフェス・自由曲面◯◯✕✕◯◯アセンブリ◯◯◯◯✕△(上限あり)図面◯◯△✕✕✕履歴◯◯✕◯✕✕インポート33種30種10種40種18種10種エクスポート11種10種10種31種19種6種プラグイン機能◯◯◯◯◯✕対応OSWindows(64bit), MacフルクラウドのためインターネットがつながればOKWindowswWindows, Linux, MacWindows(64bit), MacWindows (引用元:キャド研)中間ファイルとはCADを使っていく中で、中間ファイルというワードを耳にしたことがあるのではないでしょうか。CADは用途や目的別にたくさんの種類があります。しかし、双方でデータの共有などを行いたい場合、先方が同じCADファイルを使用していなければ読み込みができません。 CADには多くの種類があり、それぞれのソフト内の構造が異なるため、データが開けない恐れがあるからです。例えば、Power Pointで作った画像をExcelに貼り付けるためには、まずjpegの画像形式にデータを変換しなければいけません。その変換するためのファイルとしてCADで使われているのが「中間ファイル」と呼ばれるものです。これは共通のデータが読み込めるCADファイルを介することで、データの読み込みが可能になる仕組みです。ちなみにこの中間ファイルは、特に3DCADを使うときによく使われます。2Dデータの種類と特徴2DCAD、3DCADデータにはそれぞれ使用する際の用途やメリットがあることがわかりました。次に2DCADデータの種類と特徴を紹介していきます。ここで紹介する種類は製造業界でよく使われているもので、他業界、他職種となるとその種類はもっと多くなります。DWGDWGはAutodesk社が策定している形式で、AutoCAD標準のファイル形式です。そのため、AutoCADを用いてファイルを作成した場合には、こちらの形式で作成されます。しかし、AutoCAD標準のファイル形式であるにも関わらず、なぜDWGの拡張子である「.dwg」が存在するのでしょうか。それは、DWG形式のCAD図面、そしてAutoCAD自体がCAD業界全体の事実上の標準になっているからです。DWGが事実上のスタンダードになっていますが、全部のCADがDWG形式に対応している訳ではありません。なぜならDWGの形式の使用は非公開とされており、他ソフトウェアでの対応が困難だからです。では、対応が容易ではないにも関わらずDWGが業界のスタンダードであると、使用しているソフトでDWG形式の図面ファイルが開けず困ってしまう人も多いはずです。そんなときに活躍するのが、次に紹介するDXFファイルです。DXFDXFはAUTODESK社で定められているファイル形式です。 AUTODESK社はCADの中でもトップシェアであり、その高さから業界の中では最もスタンダードなファイル形式とされています。 仕様が公開されているため、CADソフトの中でもDXFに対応しているCADがたくさん存在しています。仕様の解説書も販売されているので、 CADを初めて使う方でも安心して導入できるでしょう。DXFの特徴は、データの互換性があること。DXFはAutoCADの異なったバージョン間で互換性を持たせるために策定されました。そのため、バージョンで未対応の内容がファイル内に記載されていても、該当箇所を読み飛ばすことで読み込みができるという特徴があります。また、DXF形式はテキスト形式なので、テキストエディタ等で開いて内容をチェックできるという特徴があります。SLDDRWSLDDRWは、Dassault Systemes SolidWorks Corpによって開発されたファイルです。SolidWorks CADソフトウェアプログラムを使って作られた独自のCADファイルで、 .SLDPRTや.SLDASMをはじめ、CADデザインを含むSLDDRWファイルを使えばデザインをシミュレートしてPCに公開することが可能です。また、SOLIDWORKS®固有ファイルの表示はもちろん、DWG、DXFファイルの表示や印刷ができます。AI(Illustrator)Adobe Illustratorは、画像と文字が組み合わさったレイアウト作成や図形や線が組み合わさったイラストを作る際に使います。使い方のチュートリアルが公式に掲載されているので、初めてソフトを使う方でも安心して取り組めます。さらに7日間無料の体験版もあるので、気軽に試しやすいのもポイントです。JWW(JW_CAD)Jw(JWW)_CADの大きな特徴として、無料で使えることが挙げられます。フリーとはいえ高い機能が実装されており、凡庸性が高いことから独自にカスタマイズできることも広く普及しているポイントと言えるでしょう。ちなみに公式ではWindowsのみの対応とされていますが、MacOS XでJw(JWW)_CADを動かせるソフト「Jw_CAD for Mac」も無料で配布されています。3Dデータの種類と特徴次に3Dデータの種類と特徴を紹介します。STEPSTEPは国際標準化機構(ISO)で規格されているファイル形式で、国際標準として広く普及されています。中間ファイルとしてソフトウェアプログラム間の互換性を上げ、設計をさらに容易にできるように作られました。STEPの大きな特徴は、精度の高さにあります。モデルを保存する際、フィーチャを通常の幾何学的図形に単純化しないことによって高い寸法精度が維持できます。そのため、細部まで正確に保存することができるのです。また、モデルをエクスポートした後でもモデルを編集及びカスタマイズできます。STEPはファイル形式で本体全体が保存されるので、後からモデルを再編集することも可能です。そのため、コラボレーション、クロスプラットフォームの設計、モデルの共有が簡単になります。STEPのデメリットとして挙げられるのが、ファイル容量が大きくとられてしまうこと。ほとんどの3Dモデルよりも同じモデルを保存した際にファイルサイズが大きくなってしまいます。さらにモデルの特定のテクスチャ、マテリアル、ライティングの情報は保存できません。x_tx_tも中間ファイルの一つで、ソリッドデータが化けにくいというメリットがあります。ただし、バージョンがたくさんあるため、 CADのバージョンが低い場合は開けなくなるかもしれません。SLDPRTSLDPRTファイルを使うと、アセンブリモデルの設計や、それらをSLDASMファイル、技術画面、アニメーション、シミュレーションとして保存が可能です。ただし、SLDPRTは専用のプロジェクトビューアツールを使用しなければ表示されません。また、SLDASMファイル内にあるプロジェクト全てを公開する必要がなく、自分のプロジェクト関連部分のみを共有できます。IGESIGESは米国規格境界(ANSI)で策定されたファイル形式で、世界基準となっているCADの一つです。国内では主に自動車業界での需要が高いですが、製造業界でも多くの企業で使用されています。ただし、標準とはいえ全ての仕様の表現が可能な訳ではなく、互換性が一番高いファイル形式に翻訳しなければいけません。3DM3DMはopenNURBS Initiativeによって開発されたファイルで、3D NURBS CADファイルとも呼ばれています。3Dモデルデータ(サーフェス、ポイント、カーブに関する情報など)が格納されており、メタデータとフォーマット属性も保存できます。3DMは用途が幅広く、モデルデータをたくさんの CADやグラフィカルプログラム、CAE、CAMソフトウェア間で保存、共有できます。この凡庸性の高さからNURBSとポリゴン表現を利用でき、さまざまなデバイスやプログラム間で3Dジオメトリデータの交換が可能です。CATIA V5CATIA V5はダッソー・システムズが開発したソフトです。世界で一番使われていると言われており、3DCADの中でも特に高性能とされています。ワークベンチの数が豊富なのが特徴で、ナレッジエンジニアリング、デザイン面作成、解析、生産加工関連など、幅広い分野に特化したさまざまなワークベンチを持ち、複雑な形でも再現が可能です。ただし、高性能な分、独学で習得することは容易ではありません。体験版などもないため、CADを扱い慣れている人におすすめです。CADの操作に慣れていない方は、まず別のフリーCADを使って慣れておいた方がいいかもしれません。Creo(旧Pro/ENGINEER)パラメトリック・フィーチャー・ベース・モデリングを基本とした、3Dソリッドモデリングの操作ができます。ソリッドの外形形状データを他のソリッドと寸法値との合致関係情報で保持しているので、寸法や関係の変更をする際は簡単に修正することが可能です。また、削除や形状の追加が自由にできるので、形状全体を一つの演算式として持っておく必要はありません。このような編集作業による形状計算の待ち時間が発生しないことも、Creoの特長の一つです。Solid EdgeSolid Edgeは1995年にWindowsベースのミッドレンジCADとして発表されました。Solid Edge独自の「シンクロナス・テクノロジー」は、ダイレクトモデリングのシンプルさとスピード、そしてパラメトリック設計の制御と柔軟性が合わさったモデリングです。寸法を変更することによりモデルが壊れてしまうという懸念点を、Solid Edgeはダイレクト編集によって即時対応化を実現しました。さらにアセンブリ内の図面との連想性や位置拘束も保ったままになります。NXNXは柔軟で自由度の高い設計手法が可能です。大きな特長はシンクロナスモデリング機能の搭載。NX以外のCADソフトで作られた履歴データがないモデルに対しても、ダイレクトに編集できます。iCAD SX生産設備・装置設計・機械の設計プロセスや製品形状の特徴に着目して開発された、iCAD SX。なんと100万部品をわずか0.2秒の早さで処理する、高速3DCADエンジンが搭載されています。他ソフトに搭載されているものと比較すると、iCAD SXは200倍の処理が可能です。この処理速度により、開発リードタイムの短縮が実現できるでしょう。STLSTLファイルは3Dプリンタなどのデファクトスタンダードとして広く使われています。ただし、幅広いソフトの表現を再現できる程度の互換性はありません。3Dモデルの形状が複雑だったり、情報量が多かったりすると再現性は下がります。完璧な互換を保証するものではないので、大切なデータを扱う際には注意しましょう。CADまとめ本記事では製造業界で使われているCADを紹介しましたが、自動車や建築業界となるとさらに多くの種類があります。またCADの種類によって、その特長や仕事で対応できる幅はかなり異なってくるでしょう。CADはものづくりをしていく中で、私たちとは切っても切れない関係にある大切なツールです。日々の仕事で使うものだからこそ、CAD選びは慎重に行ってみてくださいね。
BOMとは「部品表」と呼ばれ、英語のBill Of Materialsの略です。BOMは、製品の製造に必要な部品や材料の一覧表です。部品の階層構造を視覚的に示し、かつ製品の見積りから設計、調達、製造、そしてメンテナンスまで利用されており、製造業において非常に重要な役割を果たします。BOM(部品表)とは何か、BOMの役割BOMの中身・構成要素・書き込む情報BOMは、品目情報である「PN(Parts Number)」と、それぞれの部品が何に使われるかなどが示される構成管理情報「PS(Part Structure)」から構成されます。書き込む情報としては、品名、型式、メーカー名、数量(使用数量、購入単位数量)、ロケーション番号、使用、材質などが挙げられます。BOMでは、製品を設計、製造するために必要な図面などの情報を、品目情報と関連して管理することができます。通常、設計部門においてBOMが作成された後、生産部門へ渡され生産管理に必要な情報を加え、生産スケジュールが組まれます。また、購買部門において、部品調達に関する情報が加えられます。BOMの種類BOMには、以下のような種類があります。BOMの種類・E-BOM(設計部品表)・M-BOM(製造部品表)・S-BOM(販売部品表)・購買BOM・サービスBOME-BOM(設計部品表)E-BOM(Engineering BOM)は、製品の開発・設計に利用されます。部品構成や図面などの設計情報の他、技術情報などが含まれます。M-BOM(製造部品表)M-BOM(Manufacturing BOM)は、製造部門だけでなく、調達部門や生産管理部門でも使用されます。必要な部品の情報や工程情報などが含まれ、生産スケジュールの管理や、部品の調達、工程管理などに用いられます。S-BOM(販売部品表)販売支援で使用される部品表です。購買BOM購買で発注を行う際に利用されます。購入単位数量や、仕入先ごとの購入価格リスト、代替品種のリストなど、見積り・発注作業に必要な情報が含まれます。サービスBOM製品のメンテナンスや点検に利用されます。メンテナンスに必要な部品が含まれます。BOMのメリット図:各部門におけるBOMを利用した代表的な施策例・製造部門:生産計画管理、在庫管理・生産技術部門:リードタイム検討、設備設計、工程管理・原価管理部門:原価計算・購買部門:業者選定の判断、単価の判断、購買計画管理BOMでは、製品の開発段階から製造段階までに必要な在庫、製造、購買に関する情報や成果物(仕様書、計算書、図面、3Dデータなど)を一元化して管理することが可能です。また、前述した通りBOMは各部門において用いられ、次のような施策に利用され、現場のボトルネック解消にも役立ちます。
ザグリは、ボルトやネジのゆるみ防止・美観性の向上・ケガの防止のために必要な加工です。身近なところでは、ドアの蝶番や家具などに多く採用されています。ザグリにはいくつか種類があり、使用するネジや用途によって、形状や図示の仕方が異なります。設計者は、これらを考慮して加工指示を変えなければなりません。しかし、あまり知識のない方は、ザグリがどのような加工なのか分からず、ザグリとキリを混同しているケースも多いと聞きます。そこで今回の記事では、「ザグリとは何か」について解説するほか、キリとの違いや深ザグリ、皿ザグリの基礎知識、加工方法までをご紹介します。ザグリについて知識を付けたい方は、ぜひご一読ください。ザグリとは、ネジ等の頭部飛び出しを防ぐ加工ザグリとは、ネジやボルト頭部、座金などの飛び出しを防ぐための穴加工のことです。カナ表記だけでなく、「座ぐり」と記述されることもあります。ザグリは、鋳物のようなざらざらした表面や、傾斜面に対して平坦になるように加工し、締め付け力を均一化するための加工でもあります。ボルトは、締め付けた際に、ボルト頭部と材料の接触面積を大きく設けるほど、均一に締結が可能。その結果、緩みにくくなる効果が期待できます。また、ボルトは頭部に高さがあるため、ザグリを設けていないと大きく出っ張った状態になり、ケガなどのトラブルを起こすことも。これを避けるためにも、ザグリ加工を施す必要があります。ザグリとキリの違いキリは、ドリルでの穴開けのことをいいます。例えば、「10キリ」と図面に指示されていた場合、「ドリルで直径10mmの穴を開ける」という意味を表します。引用元:機械製図 JIS B 0001:2009上図は機械製図のJIS規格「JIS B 0001:2009」から抜粋したものです。キリ穴の深さに指示がある場合は、上図162のように、穴寸法の後ろに深さを示す記号を記入します。また、上図163では、深さの記号が図示されていませんが、この場合は貫通穴であることを意味します。そのほかにも、上図164のように、ドリル先端で形成される円錐部分は、高さ(H)に含まないことも覚えておきましょう。また、上図の図162・図163に表示されている「φ」の記号は、「ファイ」と呼ばれ、直径〇mmの穴であることを意味します。これは穴が開いていることのみが条件で、「キリ=ドリル加工」のような加工方法の指示はありません。引用元:機械製図 JIS B 0001:2009プレス抜きやリーマ仕上げでの加工指示がある場合も、「キリ」のように簡略表示を使います。加工方法と簡略表示の一覧については上表を参考にしてください。引用元:ものづくりウェブ一方、ザグリは上図右の引出線のように図示します。旧JIS規格では、浅いザグリの深さは表記を省略していましたが、2020年現在の機械製図JIS規格「JIS B 0001:2009」では、ザグリの深さを指示する必要があります。引用元:機械製図 JIS B 0001:2009ただし、浅いザグリの図内の形状については、上図のように省略しても問題ありません。ザグリ加工の方法ザグリの加工方法は、ドリルでボルト用の穴を開けたあとに、エンドミルで加工するのが一般的です。参考:フライス加工について専門家が解説!加工の種類・加工機の種類がこの1記事でわかります!引用元:モノタロウまた、加工業者によっては、ザグリを開けるための専用工具である「ザグリドリル(段付きドリル、ドリル付沈めフライス)」を用いることもあります。上の画像は、ザグリドリルの参考写真です。引用元:モノタロウザグリドリルは、上図④~⑦を見ていただければ分かるように、穴あけとザグリ加工を一度に行えます。そのため、工具の切り替えが少なく、作業工程も抑えて加工できる点がメリットです。ただし、ドリル部分とフライス部分が一体化されている分、ザグリの加工寸法に融通が効かないといったデメリットもあります。「深ザグリ」でザグリの深さを指定!座金だけでなく、ボルトの頭までを隠すようにザグリを深く設けることを「深ザグリ」といいます。一般的にザグリは、1mm前後の深さになりますが、深ザグリはそれよりも深い加工となります。深ザグリは、ボルトの頭部が材料の表面と面一になるため、美観性の向上や、引っかかりによるケガの防止といった効果があります。引用元:ものづくりウェブ深ザグリの寸法の示し方については、ザグリと同じく、上図の引出線のような書き方になります。しかし、深ザグリの形状については、ザグリと違い、省略せずに図を描かなければなりません。上図左および中央は、2020年現在の機械製図JIS規格「JIS B 0001:2009」での図示方法ですが、製図者によっては、上図右の枠内のように表記をしている場合もあります。こちらは旧JIS規格での図示方法になるので、JIS規格の通りに製図する場合は注意してください。皿ザグリとは皿ザグリは、皿ネジや皿ボルト用に、円錐状に角度が付いたザグリのこと。現場によっては「皿モミ」と呼ばれる場合もあります。引用元:機械製図 JIS B 0001:2009皿ザグリの図示の仕方は、上図のように、穴の直径を示す寸法の次に皿ザグリの記号を示し、その後ろに皿ザグリの入口の大きさを記入します。引出線の矢印の位置については、上図aとbのように、皿ザグリの入口内径と外径どちらに表示しても問題はありません。また、皿ザグリの開き角を指示する場合は、上図cのように、皿穴の入口外径の後ろに「×」の記号と角度を表記します。皿ザグリの記号を使わずに加工指示する場合は、上図dのように図示します。引用元:モノタロウ皿ザグリの加工方法は、ドリルで穴を開けたあとに面取りカッターを使います。上の写真は、面取りカッターの参考画像です。また、刃物メーカーによっては、ザグリと同じく穴あけと皿ザグリを同時に行える、専用のドリルもラインナップされています。そのほかにも、プレス加工にて皿ザグリの形状をした金型を用い、皿ザグリを設けることも可能です。プレス加工は、作業工程が少なく済むため、量産時のコストダウンが期待できます。参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!まとめ今回は、ザグリの基礎知識について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。ザグリは、ネジやボルト頭部、座金などの飛び出しを防ぐための穴加工のこと。主に六角穴付きボルトを使用した際に、設けられます。また、ザグリの加工方法は、ドリルで穴を開けてから、エンドミルで加工するのが一般的です。ザグリには、深めに段付き加工をする「深ザグリ」や、皿ボルト用に面取りされた「皿ザグリ」があります。設計者は、用途や使用するボルトに合わせて、ザグリの加工を使い分けましょう。ザグリや皿ザグリの加工工場をお探しの場合は、ぜひMitsuriにご登録ください。日本全国で250社以上の工場が登録しているので、お客様のご希望に沿う工場が見つかります。見積りは複数社から可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
「抜き勾配」は、あまり聞き慣れない言葉ではありますが、樹脂製品などを製作する射出成形加工の過程においては、欠かすことができない概念です。射出成形加工では、金型を用いて成形を行いますが、この金型から製品を引き抜く際に、抜き勾配を考慮することは非常に重要です。今回は、この「抜き勾配」をテーマに、抜き勾配とは何かという説明から、抜き勾配角度、さらに、抜き勾配を付けたくない場合の設計方法などについて、幅広く解説していきます。また、最後には、抜き勾配とテーパーの違いについてもご説明していきます。抜き勾配について、さらに知識を深めたい方や、抜き勾配でお悩みの方は、ぜひご一読ください。抜き勾配とは引用元:株式会社大塚商会樹脂部品などを量産する場合には、一般に射出成形という加工が用いられます。射出成形とは、溶かした樹脂を金型に流し冷却することで成形した後、金型から樹脂を引き抜く(離型させる)ことによって、成形品を得る方法です。この離型の際に、金型から成形品をより容易に引き抜くのに役に立つのが、「抜き勾配」です。「抜き勾配」とは、成形品が離型する方向に、あらかじめ設けておく「勾配」を指します。上図に示したように、抜き勾配をつけておくことで、離型の際、成形品と金型の間に隙間が生じるため、成形品を傷つけることなく、スムーズに取り出すことが可能となります。抜き勾配の計算方法以前は、抜き勾配の計算は、設計者によって図面上で行われていましたが、最近では、コンピューターを用いた3次元CADを利用して、設計の段階から抜き勾配を簡単に付けることができます。これによって、CAD上で簡単に勾配角度を設定して設計ができ、さらに設計された3Dモデルの勾配角度を簡単にチェックできるようになりました。抜き勾配の角度成形品の形状などによっても異なりますが、抜き勾配の角度は、一般に0.5~3°の範囲内、特に1°から2°となることが多いです。抜き勾配は、成形品の離型性を考えると、できる限り角度を大きくする方が良いと言われています。一般的な抜き勾配の角度設定では、キャビティー外周では約1°〜2°程度、コア外周では約0.5°~1°、ボスやリブなどの突起部の場合は約0.5°に設定するのが望ましいと言われています。なお、「キャビティー」及び「コア」とは、下図に示したように、それぞれ射出成形における金型の凹部、及び凸部を指します。また、キャビティーを雌型、コアを雄型と言うこともあります。引用元:株式会社REまた、表面の粗さが大きい材料や、シボ加工(金属の表面に模様をつける表面処理)を施した材料などを用いる場合には、成形品が金型から抜けにくくなるため、抜き勾配の角度をより大きくする必要があります。通常は、このような場合、最低でも、3°以上の抜き勾配が必要となると言われています。抜き勾配を付けたくない場合の設計方法前述した通り、射出成形において、成形品の離型性を考慮すると、抜き勾配はできる限り角度を大きくする方が良いのですが、製品の設計によっては、抜き勾配を設けることができない場合などもあります。このような場合には、一般的にスライド金型が利用されます。スライド金型とは、一例として下図に示したような構造を持っており、金型が開くときに、アンギュラピンに沿ってスライドコア部分が金型に対して水平に可動するようになっています。金型をスライドさせる方法は他にもいくつかありますが、これにより抜き勾配がなくても金型からの離型が可能となります。引用元:株式会社アペルザその他にも、突き出しピン(エジェクタピン)などを利用して、成形品の取り出しを行うことも可能です。エジェクタピンは、金型のコア部に配置されており、金型が開いた後、ピンが突き出すことで、パーツが型から押し出されます。その後、ピンは元の位置に戻り、再び樹脂が充填され、射出成形が行われます。エジェクタピン以外にも、プレートで突き出す方法やエアで突き出す方法などによって、成形品を取り出すことも可能です。抜き勾配とテーパーの違い引用元:株式会社RE最後に、抜き勾配とテーパーの違いについて解説していきます。抜き勾配とテーパーはよく混同されやすいのですが、上図に示したように、抜き勾配は角度を示しており、テーパーは、製品の斜面にできる傾斜を指します。なお、テーパー角度とは、両側の傾きによって成される角度のことを指します。ただし、このように抜き勾配とテーパーは全く異なる意味を持つ用語ですが、混同されやすいため、設計の段階でよく確認を行ってから、加工に取り掛かることをおすすめします。抜き勾配についてまとめ今回は、抜き勾配をテーマに、抜き勾配とは何かという説明からはじめ、抜き勾配の角度などについて、ご紹介しました。さらに、抜き勾配を付けたくない場合の設計方法や抜き勾配とテーパーの違いについても解説しましたが、いかがでしたでしょうか。抜き勾配は、特に射出成形加工においては、欠かせない知識です。また、製品を設計する上でも非常に重要な概念となるため、事前に知っておけば、メーカーに加工を依頼する際でもスムーズに話を進めることができるでしょう。抜き勾配でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
継手とはどのような部品なのでしょうか。一般的に継手と言っても種類が多いため、種類や、具体的な使い道、使い分けについて知りたい人も多いでしょう。使われている業界も様々あり、石油化学や製紙、食品、薬品、半導体などのあらゆる産業設備、LNG、LPGタンカー、ケミカルタンカーなどの造船、海水淡水化プラント設備などの工場パイプラインから浄水場などの社会インフラ向けまで帽広い分野で使われています。この記事では、継手の概要から特徴の説明、継手の加工方法の例や扱っている会社の紹介も行います。ぜひ、継手に関する理解を深める参考にして下さいね。継手の種類継手とは、建築物や構造物、機械類の部材を結合する方法、またはその接合部のことを指します。機械類の部材を結合する部品を例にすると、ボルトやナット、フランジ等がイメージしやすいかと思います。今回紹介するものは、継手の中でも配管同士をつなぎ合わせる際に使用する継手です。継手には、素材に準じて主に下記の種類があります。継手の種類黒継手…可鍛鋳鉄製で表面処理はされておらず、工業用によく使用される。白継手…黒継手にめっき加工を施したもの。ステンレス継手…ステンレスの耐食性を活かし、使用されることが多い。クロームメッキ継手…水洗金具やアングル止水管に使用される。黄銅製継手…水洗トイレや便器スパッドで使用される。青銅製継手…黄銅よりも高品質で、海水に対しても耐食性が良い。継手加工に適した素材ステンレスステンレスは優れた耐食性を持ち、建築やプラント関連、原子炉などに広く使用され、配管の主役とも呼べる商品です。通称として「ステン」や「SUS(サス)」と呼ばれています。ねじ込みや溶接などの形状があります。ステンレスの中でも材質は様々あり、成分によって性質および用途が変わってきます。例えば、SCS13と呼ばれるステンレス材は、ステンレス鋼・耐熱鋼として最も広く使用されており、食品設備、一般化学設備、原子力といった様々な分野で使用されています。アルミアルミは軽量化を目的に使用される場合が多く、その用途としては、精密機器の配管部品や、機器を接続するための部品となります。 持ち運びや可動性のある装置では、軽量化により利便性を上げるという目的のために軽量化が必要となり、アルミへの材質の置き換えを検討する場合が多いと言えます。継手の加工を得意としている工場3選株式会社永島製作所引用元:株式会社永島製作所①会社概要本社:石川県羽咋市寺家町タ1−9TEL:0767-22-7011FAX:0767-22-7012設立:1970年12月加工:配管加工、継手加工、金属塑性を利用した加工 など素材:ステンレス材 などホームページ:http://www.nagashima-f.co.jp/②会社紹介株式会社永島製作所はバイオテクノロジー用ステンレス配管部品、建築・水道用配管部品、装飾構造用配管部品の製造販売業務、ビール工場・飲料・医薬工業配管付属品継手並びに加工管、及び金属塑性を利用した加工品を製作しています。③メリット・デメリットステンレスの特性を活かした塑性加工を行っており、難しい形状の変形が可能です。塑性加工とは素材をプレス機などで物体の外側から力を加えて形状を変える加工技術です。難加工材を加工するときは、シワや割れなどが起こりやすく、大きく形状を変えることは容易ではありません。当社では、プレス加工、曲げ加工、バルジ加工等の塑性加工に独自の技術を持ち安定した加工を実現しました。また、成形と熱処理を繰り返すことで、複雑な形でありながら、一体型の製品をつくることが可能で、工程を大幅に省略することができます。鋳造品からの切削加工品とは異なり、素地そのものの組織が安定しており、一体型の構造により中間製品として切削工程が大幅に省かれます。複雑な形状の製作も承っていますが、モノによっては対応できない場合があるので注意が必要です。④製品事例株式会社永島製作所の製品をご紹介します。360°パイプ熱交換用パイプ株式会社東澤製作所引用元:株式会社東澤製作所①会社概要本社:東京都葛飾区金町1-17-2TEL:0495-33-4651FAX:0495-33-4653設立:1944年加工:金属・機械・切削加工素材:鉄材 などホームページ:http://www.higashizawa.co.jp/②会社紹介株式会社東澤製作所は管用ネジ加工を得意とし、継手やその他加工品の製作をしています。お客様の製品化された部品を多く生産しており、その業界は医療、食品、半導体、工作機械、土木、電設、建設機械、印刷機、油圧部品等で幅広く扱われております。③メリット・デメリット株式会社東澤製作所では在庫生産方式をとっており、メリットとしてコスト低減、納期の大幅な削減、そして時間に縛られずに製作できるため品質の確保が可能となっております。そのため、生産計画に遅れない部品の供給を可能にしています。一方で、小ロットの製造の場合、在庫をつくるために最低限のロット数を設けさせてもらう場合があります。近年の製造メーカーでは、先行きの見えない市場に対応が難しい状況となっております。受注から生産となった時に、納期に関して非常に厳しい要求がされますが製作する側の経験を生かして仕様変更によりコストダウンの提案も要望があれば応じます。是非、該当する案件ございましたらMitsuriまでご相談下さい。④製品事例株式会社永東澤作所の製品をご紹介します。PTネジニップル株式会社MIEテクノ①会社概要本社:三重県桑名市大字星川1001番地TEL:0594-31-3131FAX:0594-33-3488設立:明治40年6月加工:金属・機械・切削加工素材:鉄材 などホームページ:http://www.mie-corp.jp/mie/index.php②会社紹介株式会社MIEテクノは、1907年(明治40年)に当時の新素材として脚光を浴びた「ホーロー製品」のメーカーとして創業しました。多業種の製造現場や生活インフラに利用され、当社のブランド力をさらに向上する商材として確固たる地位を築いています。③メリット・デメリットISO9001を取得しJIS表示を認定された本社工場で、徹底した品質管理のもとにお客様ニーズにお応えする高品質商品の製造に取り組んでいます。小径管から大径管まで豊富な寸法範囲、薄肉から厚肉まで多彩な肉厚種類など、様々な要望にお応えします。少量・多品種の製造対応の場合は、コスト面でのデメリットや対応できない可能性もございます。④製品事例株式会社MIEテクノの製品をご紹介します。エルボティー継手継手の加工事例引用元:ユタカ精工株式会社継手の加工事例として、最近の部品軽量化の流れで特に需要が増えている製品であるアルミフランジを紹介します。アルミのオール切削加工による部品の製作はもちろん、アルミ鋳物+切削加工による部品製作も可能です。特に後者の加工方法では、部品の形状の自由度が上がり、生産数量によってはイニシャルコストも抑えられることができるので、コストダウン効果は非常に高いと言えます。まとめ今回は主に配管継手について解説を行いました。配管継手は、主にステンレスやアルミによって出来ています。環境や部位、用途によって材質や形状を選ぶ必要があります。また、メーカーでの加工方法や製造方法が異なり、併せて部品形状の自由度や生産数によるイニシャルコスト等が異なるため、メーカー選びが大切と言えるでしょう。メーカーを選ぶ際には、ぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で140社以上のメーカーと提携しているため、きっとご希望に沿うメーカーが見つかるでしょう。ぜひお気軽にお問い合わせください。